JP5285134B2 - リチウムイオン酸素電池 - Google Patents

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本発明は、リチウムイオン酸素電池に関する。
従来、活物質としてリン酸鉄リチウム(LiFePO)を含む正極と、活物質としてグラファイトを含む負極と、該正極と負極とに挟持されリチウムイオンを伝導可能な電解質層とを備えるリチウムイオン二次電池が知られている。前記リチウムイオン二次電池では、前記正極又は負極において、充放電に伴ってリチウムイオンがリン酸鉄リチウム又はグラファイトに吸蔵又は放出(インターカレーション又はデインターカレーション)されることにより電池として作用する。
ところが、前記リン酸鉄リチウムは、放出(デインターカレーション)されるリチウム量が増大すると結晶構造を維持することができなくなるために、理論容量が150mAh/gであるのに対し、通常利用できる容量は120〜140mAh/gと考えられている。一方、前記グラファイトは、その理論容量が372mAh/gであり、前記リン酸鉄リチウムにおいて通常利用できると考えられている容量の約3倍の容量を備えている。
そこで、前記リチウムイオン電池は、電池を構成する際に、負極活物質の質量に対して、正極活物質の質量を約3倍とする必要があり、質量当たりのエネルギー密度を十分に大きくすることができないという問題がある。
前記問題を解決するために、酸素を活物質とすると共に酸化リチウム又は過酸化リチウムを含む正極と、活物質としてグラファイトを含む負極と、該正極と負極とに挟持されリチウムイオンを伝導可能な電解質層とを備えるリチウムイオン酸素電池が提案されている(例えば特許文献1参照)。前記リチウムイオン酸素電池において、前記正極は、活性炭素繊維を備えると共に大気に開放されており、大気中の酸素を該活性炭素繊維により酸化する。
前記リチウムイオン酸素電池では、放電時には、次の式に示すように前記負極においてグラファイトに吸蔵(インターカレーション)されている金属リチウムがイオン化してリチウムイオンと電子が生成する。そして、生成したリチウムイオンは前記グラファイトから放出(デインターカレーション)されて、前記電解質層を透過して正極に移動する。
一方、正極においては、大気中から取り込まれた酸素が電子を受け取って酸素イオンとなり、前記リチウムイオンと反応して酸化リチウム又は過酸化リチウムを生成する。そこで、前記負極と正極とを導線で接続することにより、電気エネルギーを取り出すことができる。
(負極) 4Li → 4Li +4e
(正極) O + 4e → 2O2−
4Li + 2O2− → 2Li
2Li + 2O2− → Li
また、充電時には、次の式に示すように前記正極において酸化リチウムまたは過酸化リチウムからリチウムイオンと電子と酸素とが生成し、生成したリチウムイオンは前記電解質層を透過して負極に移動する。そして、負極では前記リチウムイオンが電子を受け取り、金属リチウムとして析出する。析出した金属リチウムは、前記グラファイトに吸蔵(インターカレーション)される。
(正極) 2LiO → 4Li + O + 4e
Li → 2Li + O + 4e
(負極) 4Li +4e → 4Li
前記リチウムイオン酸素電池によれば、前記正極は大気中の酸素を活物質とするので、正極活物質の質量に制約を受けることが無く、質量当たりのエネルギー密度を増大させることができる。
特開2005−166685号公報
ところが、前記従来のリチウムイオン酸素電池では、正極が大気に開放されているために、大気中に含まれる水分や二酸化炭素が電池内に侵入して各構成要素が劣化され、性能が低下するという問題がある。
前記問題を解決するために、前記従来のリチウムイオン酸素電池において、正極、負極及び電解質層を筐体に密封して収容すると共に、該正極が酸素貯蔵材料と酸化リチウム又は過酸化リチウムとを含むようにすることが考えられる。このようにするときには、前記正極において所要の酸素が前記酸素貯蔵材料から供給され、前記リチウムイオン酸素電池の各構成要素が大気中に含まれる水分や二酸化炭素により劣化されることがないので、性能の低下を回避して容量の大きなリチウムイオン酸素電池を得ることができるものと期待される。
しかしながら、前記従来のリチウムイオン酸素電池において、前記負極をグラファイトとしたのでは前述のようにその理論容量が372mAh/gであるので電池容量の増大に限りがあり、さらに大きな電池容量を備えるリチウムイオン酸素電池が望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑み、大きな電池容量を得ることができるリチウムイオン酸素電池を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明のリチウムイオン酸素電池は、酸素を活物質とすると共にリチウム源を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料を含む負極と、該正極と該負極とに挟持されリチウムイオンを伝導可能な電解質層を備えるリチウムイオン酸素電池において、該正極、負極及び電解質層は筐体に密封されて収容されていると共に、該正極は酸素貯蔵材料と、該リチウム源としてのリチウム化合物とを含み、該負極はリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料としてのリチウム−シリコン合金を含み、該電解質層と該負極との間に固体電解質界面層を備えることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン酸素電池は、前記正極、負極及び電解質層が筐体に密封されて収容されているので、各構成要素が大気中に含まれる水分や二酸化炭素により劣化されることがなく、容量の大きなリチウムイオン酸素電池を得ることができる。また、本発明のリチウムイオン酸素電池は、前記負極にリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料として、グラファイトよりも大きな4000mAh/g程度の理論容量を備えるリチウム−シリコン合金を含むので、さらに大きな電池容量を得ることができる。
また、本発明のリチウムイオン酸素電池は、前記電解質層と前記負極との間に固体電解質界面層を備えることにより、充電容量と放電容量との差としての不可逆容量を無くして安定にした充放電を維持することができ、優れたサイクル性能を得ることができる。
前記負極は、リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料からなる正極と、金属リチウムからなる負極と、該正極と該金属リチウムからなる負極とに挟持されリチウムイオンを伝導可能な電解質層とを備える電池に電流を印加し、該リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料に対するリチウムイオンの挿入と脱離とを繰り返すことにより、該リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料の表面に該固体電解質界面層が形成されたものを用いることができる。
このとき、前記リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料に対するリチウムイオンの挿入と脱離との繰り返しは、不可逆容量が消失するまで行うことにより、前記固体電解質界面層を形成することができる。
本発明のリチウムイオン酸素電池において、前記酸素貯蔵材料は、イットリウムとマンガンとを含む複合金属酸化物からなることが好ましい。前記酸素貯蔵材料は、前記複合酸化物からなることにより、前記酸素を吸蔵又は放出する機能を備え、その表面に酸素を吸着、脱着させることができると共に、前記正極における化学反応の触媒として作用することができる。
従って、本発明のリチウムイオン酸素電池では、正極にイットリウムとマンガンとを含む複合金属酸化物からなる前記酸素貯蔵材料を用いることにより、負極に含まれる前記シリコンの理論容量を有効に利用することができ、さらに大きな電池容量を得ることができる。
本発明のリチウムイオン酸素電池の一構成例を示す説明的断面図。 本発明のリチウムイオン酸素電池の負極に対するリチウムイオンの挿入と脱離との繰り返し操作に用いる電池の構成を示す説明的断面図 図2に示す電池における1サイクル目の充放電曲線を示すグラフ。 図2に示す電池における2サイクル目と3サイクル目との充放電曲線を示すグラフ。 図1に示すリチウムイオン酸素電池において充放電を繰り返したときの5サイクル目の充放電曲線を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態のリチウムイオン酸素電池1は、正極2と、負極3と、正極2と負極3との間に配設される電解質層4とを備え、正極2、負極3及び電解質層4は、ケース5に密閉して収容されている。
ケース5は、カップ状のケース本体6と、ケース本体6を閉蓋する蓋体7とを備え、ケース本体6と蓋体7との間には絶縁樹脂8が介装されている。また、正極2は蓋体7の天面との間に正極集電体9を備えており、負極3はケース本体6の底面との間に負極集電体10を備えている。
リチウムイオン酸素電池1において、正極2は酸素貯蔵材料と、導電材料と、結着剤とからなり、リチウム化合物を含んでいる。前記酸素貯蔵材料は、酸素を吸蔵、放出する機能を備えると同時に、その表面に酸素を吸着、脱着させることができる。ここで、前記酸素貯蔵材料は、酸素を吸蔵、放出する場合には、酸素との化学結合の生成、解離を伴うが、その表面に酸素を吸着、脱着させる場合には単に分子間力のみが作用し、化学結合の生成、解離を伴わない。
従って、前記酸素貯蔵材料の表面に対する酸素の吸着、脱着は、該酸素貯蔵材料が酸素を吸蔵、放出する場合に比較して低エネルギーで行われることとなり、電池反応には該酸素貯蔵材料の表面に吸着されている酸素が優先的に用いられる。この結果、反応速度の低下及び過電圧の上昇を抑制することができる。
前記酸素貯蔵材料は、酸素を吸蔵又は放出する機能を備え、その表面に酸素を吸着、脱着させることができると共に、正極2における化学反応の触媒としても作用することが好ましい。このような酸素貯蔵材料として、例えばYMnO等のYとMnとを含む複合酸化物を挙げることができる。
また、前記導電材料としては、例えば、ケッチェンブラック等の炭素質材料を挙げることができる。また、前記結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。
また、前記リチウム化合物としては、例えば過酸化リチウム(Li)、酸化リチウム(LiO)等のリチウム酸化物を挙げることができる。
次に、負極3は、リチウムイオンを吸蔵又は放出することができる材料としてシリコンを含む。ここで、シリコンは不導体であるので、負極3は、シリコンと共に導電材料と、結着剤とを含むことが好ましい。前記導電材料としては、例えば、ケッチェンブラック等の炭素質材料を挙げることができる。また、前記結着剤としては、ポリイミド等を挙げることができる。
負極3は、前記シリコン、前記導電材料及び前記結着剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、純水等の分散剤に分散させ、得られた分散液を負極集電体10に塗布、乾燥させることにより形成することができる。
次に、電解質層4は、例えば、非水系電解質溶液をセパレータに浸漬させたものであってもよく、溶融塩又は固体電解質であってもよい。
前記非水系電解質溶液は、例えば、リチウム塩を非水系溶媒に溶解したものを用いることができる。前記リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等を挙げることができる。また、前記非水系溶媒としては、例えば、炭酸エステル系溶媒、エーテル系溶媒、イオン液体等を挙げることができる。
前記炭酸エステル系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を挙げることができる。前記炭酸エステル系溶媒は2種以上混合して用いることもできる。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、ジメチルトリグラム、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。前記エーテル系溶媒は2種以上混合して用いることもできる。
前記イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム、アンモニウム、ピリジニウム、ペリジウム等のカチオンと、ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(TTSI)、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド(BETI)、テトラフルオロボレート、パークロレート、ハロゲンアニオン等のアニオンとの塩を挙げることができる。
前記セパレータとしては、例えば、ガラス繊維、ガラス製ペーパー、ポリプロピレン製不織布、ポリイミド製不織布、ポリフェニレンスルフィド製不織布、ポリエチレン製多孔フィルム等を挙げることができる。
また、前記固体電解質としては、例えば、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質等を挙げることができる。
前記酸化物系固体電解質としては、例えば、リチウム、ランタン、ジルコニウムの複合酸化物であるLiLaZr12、リチウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、ゲルマニウム、リンを主成分とするガラスセラミックス等を挙げることができる。前記LiLaZr12は、リチウム、ランタン、ジルコニウムの一部を、それぞれストロンチウム、バリウム、銀、イットリウム、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、ニオブ等の他の金属で置換されたものであってもよい。
次に、正極集電体9としては、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム等のメッシュからなるものを挙げることができる。また、負極集電体10としては、銅、チタン、ステンレス鋼等のリチウムが合金化することのない金属箔を挙げることができる。
また、本実施形態のリチウムイオン酸素電池1は、図1(b)に示すように、負極3と電解質層4との間に固体電解質界面層11を備えていることが好ましい。固体電解質界面層11は、負極3に対してリチウムイオンが挿入と脱離とを繰り返すことにより、負極3の表面に形成されるものである。固体電解質界面層11は、図1(a)に示すリチウムイオン酸素電池1において充放電を繰り返すことにより自然に形成されたものであってもよいが、予め負極3に対してリチウムイオンの挿入と脱離とを繰り返す操作(エージング)を行うことにより形成されたものであってもよい。
固体電解質界面層11は、予め負極3に対して前記エージングを行うことにより形成されたものであることにより、不可逆容量を消失させることができる。
前記エージングは、例えば、図2に示すように、負極3を形成するシリコン含有材料3aを電池21に組み込んで、正極22として充放電を繰り返すことにより行うことができる。図2に示す電池21は、シリコン含有材料3aからなる正極22と、金属リチウムからなる負極23と、正極22と負極23との間に配設される電解質層24とを備え、正極22、負極23及び電解質層24は、ケース25に密閉して収容されている。ケース25は、図1(a)に示すケース5と同様の構成を備えており、カップ状のケース本体26と、ケース本体26を閉蓋する蓋体27とを備え、ケース本体26と蓋体27との間には絶縁樹脂28が介装されている。尚、正極22と、蓋体27の天面との間には、集電体29が配設されている。
負極3を形成するシリコン含有材料3aは、電池21に組み込まれて、不可逆容量が消失するまで充放電を繰り返すことにより、その表面に固体電解質界面層11を形成することができる。固体電解質界面層11が形成されたシリコン含有材料3aは電池21から取出され、図1(b)に示すリチウムイオン酸素電池1の負極3として用いられる。
本実施形態のリチウムイオン酸素電池1では、充電時には、正極2において、次の式に示すように、前記リチウム化合物としての過酸化リチウム又は酸化リチウムからリチウムイオンと酸素イオンとが生成する。ここで、前記リチウムイオンは電解質層4を透過して負極3に移動し、前記酸素イオンは前記酸素貯蔵材料に化学結合を生成して吸蔵され、或いはその表面に吸着されることにより、貯蔵される。
一方、負極3においては、正極2から移動して来た前記リチウムイオンが、電子を受け取ってリチウム−シリコン合金を形成することにより前記シリコンに吸蔵される。
(正極) LiO → 2Li + O2−
Li → 2Li + 2O
(負極) Si + 4.4Li + 4.4e → Li4.4Si
また、放電時には、次の式に示すように、負極3においてリチウム−シリコン合金が分解され、リチウムイオンと電子とが生成する。生成したリチウムイオンは、前記シリコンから放出され、電解質層4を介して正極2に移動する。一方、正極2においては、前記酸素貯蔵材料から化学結合の解離により放出され、或いはその表面から脱着されることにより取出された酸素が、負極3から移動して来た前記リチウムイオンと共に電子を受け取って、過酸化リチウム又は酸化リチウムを生成する。
(負極) Li4.4Si → Si + 4.4Li + 4.4e
(正極) 4Li + O + 4e → 2Li
2Li + O + 2e → Li
そこで、負極3と正極2とを導線(図示せず)で接続することにより、電気エネルギーを取り出すことができる。
このとき、正極2には、前記充電時に過酸化リチウム又は酸化リチウムがイオン化することにより空孔が形成されているので、前記放電時に形成された過酸化リチウム又は酸化リチウムは該空孔内に析出することができる。この結果、前記正極2における体積増を抑制することができる。
また、リチウムイオン酸素電池1は、図1(b)に示すように、負極3と電解質層4との間に固体電解質界面層11を備えていることにより、電解質が負極3に接触することを防止できるので、該電解質が負極3の表面における反応により分解することが無くなる。従って、固体電解質界面層11を備えるリチウムイオン酸素電池1によれば、不可逆容量を無くして安定にした充放電を維持することができ、優れたサイクル性能を得ることができる。
次に、実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、硝酸イットリウム5水和物と、硝酸マンガン6水和物と、リンゴ酸とを、1:1:6のモル比となるようにして、粉砕混合し、複合金属酸化物材料の混合物を得た。次に、得られた複合金属酸化物材料の混合物を250℃の温度で30分間反応させた後、さらに、300℃の温度で30分間、350℃の温度で1時間反応させた。次に、反応生成物の混合物を粉砕混合した後、1000℃の温度で1時間焼成して、化学式YMnOで表される複合金属酸化物を得た。
次に、得られたYMnO40質量部と、導電材料としてケッチェンブラック(株式会社ライオン製)50質量部と、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製)10質量部と、さらにリチウム化合物としての過酸化リチウムとを加え混合した。前記過酸化リチウムは、負極3に用いられるシリコンの2倍の質量とした。そして、得られた混合物を、Alメッシュからなる正極集電体9に5MPaの圧力で圧着し、直径15mm、厚さ1mmの正極2を形成した。
次に、シリコン(株式会社高純度化学研究所製)90質量部と、導電材料としてケッチェンブラック(株式会社ライオン製)5質量部と、結着剤としてのポリイミド5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて混合した。そして、得られた分散液を、アプリケータで厚さ12.5μmの銅箔上に塗布し、乾燥させた後、プレスにより打ち抜いて、直径14mm、厚さ100μmのシリコン含有材料3aを形成した。
次に、シリコン含有材料3aを図2に示す電池21に組み込み、正極22としてエージングを行った。電池21の作成は、まず、内径17mmの有底円筒状のSUS製ケース本体26の内部に、直径14mmの金属リチウムからなる負極23を配置し、負極23上に同径のガラス繊維セパレータ(日本板硝子株式会社製)を重ね合わせた。次に、前記セパレータ上に、前記のようにして得られたシリコン含有材料3aをセパレータに接するように重ね合わせ、正極22とした。正極22(シリコン含有材料3a)は、前記セパレータと反対側の面に前記銅箔を集電体29として備えている。次に、前記セパレータに非水系電解質溶液を注入し、電解質層24を形成した。
前記非水系電解質溶液としては、エチレンカーボネート30質量部と、ジエチルカーボネート70質量部とを混合した混合溶液に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解した溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
次に、ケース本体26に収容された負極23、電解質層24、正極22、集電体29からなる積層体を、内径17mmの有底円筒状のSUS製蓋体27により密封した。このとき、ケース本体26と蓋体27との間に、外径70mm、内径40mm、厚さ0.3mmのポリテトラフルオロエチレンからなるリング状の絶縁樹脂28を配設することにより、図2に示す電池21を得た。
次に、電池1を電気化学測定装置(東方技研株式会社製)に装着し、正極22と負極23との間に、負極23の1cm当たりに対し0.5mAの電流を印加し、カットオフ電位を0Vと2.0Vとして充放電を3サイクル繰り返した。これにより、正極22(シリコン含有材料3a)に対してリチウムイオンの挿入と脱離とを繰り返す操作(エージング)を行った。
前記1サイクル目の充放電曲線を図3に、2サイクル目と3サイクル目との充放電曲線を図4に示す。図3に示す1サイクル目の充放電では放電容量(正極22に対するリチウムイオンの挿入)と、充電容量(正極22からのリチウムイオンの脱離)との間に差があり、不可逆容量が発生している。一方、図4に示す2サイクル目の充放電では放電容量と充電容量との差が無く、不可逆容量が消失していることが明らかである。前記不可逆容量の消失は、正極22(シリコン含有材料3a)の表面に固体電解質界面層11が形成されたことを示している。
また、図4に示す3サイクル目の充放電では、2サイクル目の充放電時と同等の充放電容量が維持されており、固体電解質界面層11が形成された正極22(シリコン含有材料3a)を用いることにより、優れたサイクル性能を得ることができることが明らかである。
次に、電池21を分解して、前記エージングが施されたシリコン含有材料3aを集電体29と共に取り出し、内径17mmの有底円筒状のSUS製ケース本体6の内部に、集電体29がケース本体6の底面に当接するように配置し、負極3とした。このとき、集電体29は負極集電体10となる。
次に、負極3上に、直径17mmのガラス繊維セパレータ(日本板硝子株式会社製)を重ね合わせた。次に、前記セパレータ上に、前記のようにして得られた正極2及び正極集電体9を、正極2が該セパレータに接するように重ね合わせた。次に、前記セパレータに非水系電解質溶液を注入し、電解質層4を形成した。
前記非水系電解質溶液としては、エチレンカーボネート50質量部と、ジエチルカーボネート50質量部とを混合した混合溶液に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解した溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
次に、ケース本体6に収容された負極集電体10、負極3、電解質層4、正極2、正極集電体9からなる積層体を、内径17mmの有底円筒状のSUS製蓋体7で閉蓋した。このとき、ケース本体6と蓋体7との間に、外径70mm、内径40mm、厚さ0.3mmのポリテトラフルオロエチレンからなるリング状の絶縁樹脂8を配設することにより、図1(b)に示すリチウムイオン酸素電池1を得た。
次に、本実施例で得られたリチウムイオン酸素電池1を電気化学測定装置(東方技研株式会社製)に装着し、負極3と正極2との間に、負極3の1cm当たりに対し0.1mAの電流を印加し、カットオフ電位を2.0Vと4.0Vとするか、又は充放電容量が2500mAh/gとなるようにして、充放電を5サイクル繰り返した。5サイクル目のセル電圧と充電容量との関係を図5(a)に、セル電圧と放電容量との関係を図5(b)にそれぞれ示す。
〔比較例〕
本比較例では、まず、リン酸鉄リチウム(LiFePO)40質量部と、導電材料としてケッチェンブラック(株式会社ライオン製)50質量部と、結着剤としてのカルボキシメチルセルロース10質量部とを、水に分散させて混合した。そして、得られた分散液を、アプリケータで厚さ12.5μmのAl箔上に塗布し、乾燥させた後、プレスにより打ち抜いて、直径15mm、厚さ100μmの正極を形成した。正極は、前記Al箔を正極集電体として備えている。
本比較例では、前記正極を用いると共に、負極3にエージングを施さなかったことを除いて、図1(a)に示す構成と同一の構成を備えるリチウムイオン酸素電池を得た。尚、本比較例のリチウムイオン酸素電池では、前記非水系電解質溶液として、エチレンカーボネート30質量部と、ジエチルカーボネート70質量部とを混合した混合溶液に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解した溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。
次に、本比較例で得られたリチウムイオン酸素電池を用いた以外は、前記実施例と全く同一にして充放電を5サイクル繰り返した。5サイクル目のセル電圧と充電容量との関係を図5(a)に、セル電圧と放電容量との関係を図5(b)にそれぞれ示す。
図5から、YMnOからなる酸素貯蔵材料を備える正極2とシリコンを含む負極3とを備えるリチウムイオン酸素電池1(実施例)によれば、リン酸鉄リチウムを含む正極とシリコンを含む負極3とを備えるリチウムイオン酸素電池(比較例)に比較して、格段に大きな充放電容量(電池容量)を得ることができることが明らかである。
1…リチウムイオン酸素電池、 2…正極、 3…負極、 4…電解質層、 5…ケース、 11…固体電解質界面層。

Claims (4)

  1. 酸素を活物質とすると共にリチウム源を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料を含む負極と、該正極と該負極とに挟持されリチウムイオンを伝導可能な電解質層を備えるリチウムイオン酸素電池において、
    該正極、負極及び電解質層は筐体に密封されて収容されていると共に、該正極は酸素貯蔵材料と、該リチウム源としてのリチウム化合物とを含み、該負極はリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料としてのリチウム−シリコン合金を含み、該電解質層と該負極との間に固体電解質界面層を備えることを特徴とするリチウムイオン酸素電池。
  2. 請求項記載のリチウムイオン酸素電池において、前記負極は、リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料からなる正極と、金属リチウムからなる負極と、該正極と該金属リチウムからなる負極とに挟持されリチウムイオンを伝導可能な電解質層とを備える電池に電流を印加し、該リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料に対するリチウムイオンの挿入と脱離とを繰り返すことにより、該リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料の表面に該固体電解質界面層が形成されたものであることを特徴とするリチウムイオン酸素電池。
  3. 請求項記載のリチウムイオン酸素電池において、前記リチウム−シリコン合金を含みリチウムイオンを吸蔵又は放出可能な材料に対するリチウムイオンの挿入と脱離との繰り返しは、不可逆容量が消失するまで行うことを特徴とするリチウムイオン酸素電池。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1項記載のリチウムイオン酸素電池において、前記酸素貯蔵材料は、イットリウムとマンガンとを含む複合金属酸化物からなることを特徴とするリチウムイオン酸素電池。
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