JP5280849B2 - 患者持ち上げ移送装置 - Google Patents

Description

本発明は、一般的には物を動かすための装置に関し、より具体的には、患者を寝台からテーブルへ動かすように、運動に障害のある人を移送するための方法と装置に関する。

物を或る場所から他へ動かすための、特に患者のように運動に障害のある個人を移送するために、多種多様の製品が設計されてきている。病院環境では、しばしば患者を寝台から検査台若しくは手術台へ又はその逆へ移送しなければならない。患者を移送する基本的な装置には、二人の付き添いが手動で運ぶ担架や、より簡単に一人の付き添いが扱うことのできる車輪付き担架がある。

しかしながら、患者を寝台又は他の支持体表面から担架や車輪付き担架へ移す場合、未だ問題がある。患者が協力的で、負傷していたり障害を持っていたりしなければ、個人を車輪付き担架へ看護師の手助けで滑らせることは簡単なことであるが、患者に意識が無いか、動かすことが良くない障害や負傷（例えば骨折）があると、患者を寝台から車輪付き担架へ移送することには大変な手間がかかる。患者が異状に重い場合、この問題は悪化する。

この問題の解決策の一つは、人の下にトレイ又はシートを滑り込ませ、次に、その上に人が乗った後にトレイ又はシートを寝台から車輪付き担架へ引っ張ることである。剛性のトレイは患者と寝台の間に強引に挿入することができ、シートは、まず車輪付き担架の反対側に人を揺り動かし、次に、シートが下に引かれたとき車輪付き担架の側へ揺り戻すことにより、徐々に人の下へ押し込まれる。この手法は、患者が非協力的な場合には困難であり、更に患者が協力的であるとしても、トレイと身体との摩擦接触があり、シートでは確実に支持がされないために、非常に不快なものとなる。

或る移送装置は、剛性のトレイを車輪付き担架に組み込んでおり、これが側方へ移動して患者の下へ摺動し、その後（患者を支持した状態で）輸送のための中央位置へ摺動して戻ることができる。この概念を更に変形したものでは、移送装置は、逆方向に回転する複数のエンドレスベルトを用い、支持トレイが患者の下に潜り込むようにして患者と寝台の双方に対する摩擦を実質的になくす。このような設計の一例が米国特許第５，５４０，３２１号に示されている。第１のエンドレスベルトは一組の上部トレイを包囲し、第２のエンドレスベルトは一組の下部トレイを包囲し、ベルトが接触する部分（上部と下部のトレイの組の間）は逆回転と同じ速度で同じ方向に動く。トレイが患者の下に挿入されると、上部トレイのベルトはトレイの並進運動と同じ速度で外側へ動き大きな摩擦を生じることなく患者の下に潜り込み、下部トレイのベルトは同様に寝台のシートに沿って反転する。一旦患者がトレイで支持されると、トレイ組立体全体が寝台から持ち上げられ、患者を運搬するために装置が車輪で動く。

逆回転ベルトの設計には、未だ幾つかの深刻な問題がある。移送装置全体（基部及び支持部材を含む。）は、トレイが患者の下に挿入されると移動し、患者を運ぶとき（例えば３２１特許の図１０参照）には装置の転倒を防止するために基部が寝台又はテーブルの下に延びていなければならない。この制約のために、このような装置を全ての環境で、すなわち寝台又はテーブルの下に十分な隙間空間がない環境（多くの装具が寝台やテーブルに付加されてその下の空間を占有しているので、一般的になりりつつある状況）で使用できる訳ではない。更に、これらの装置はその片側に沿ってのみ積み込みと積み卸しができるので、患者が寝台又はテーブルに対して装置上で（頭から足の方向で）適切に方向付けされていない場合に問題を生じることがある。また、３２１特許に示されているような設計は、患者と支持トレイの固い表面との間にベルトの薄い層しか存在しないので、余り快適なものではない。更に、病院は患者から出る流体による潜在的な汚染にますます気を遣うようになっているところ、従来技術のベルト型の移送装置を適切に清潔にすることは、不可能ではないが、困難である。

上記の事項に照らし、操作と取り扱いが未だ容易でありながら、配置により多くの柔軟性を有する改良した患者移送装置を工夫することが望ましい。装置が患者にとって快適なものであれば、なお好適である。

したがって、本発明の一つの目的は、患者のような対象を一つの位置から他の位置へ運搬するための改良した方法と装置を提供することである。

本発明の他の目的は、操作の間に患者の寝台又はテーブルの下に隙間を必要としないような患者移送装置を提供することである。

本発明の更に他の目的は、装置のどちらの側でも簡単に積み卸しができる改良した患者移送装置を提供することである。

前記の目的は、一般に、少なくとも１つの支持部材を有する基部、支持部材に取り付けられ基部上の定位置と基部側方の伸張位置との間で移動可能なキャリッジ部材並びにキャリッジ部材に固定された下部テーブル部材及び下部テーブル部材に結合された上部テーブル部材であって前記上部テーブル部材が前記下部テーブル部材と強制的に接触する下方位置と前記上部テーブル部材が前記下部テーブル部材と接触しない上方位置との間で移動可能なものを有するテーブル組立体から成る移送装置により達成される。装置は、対象の支持面（例えば寝台又はテーブル）に隣接して基部を位置決めすること、テーブル組立体の高さを支持面の高さに調節すること、基部を静止状態とし、上部及び下部のテーブルを強制接触状態としてテーブル組立体を伸張位置へ移動しテーブル組立体を支持面上にある対象の下へ置くこと並びに対象を上部テーブル上で支持し上部及び下部のテーブルを分離したままでテーブル組立体を定位置へ戻すことにより操作される。装置は、双方向形式で動作することができ、伸張位置は基部の第１側部への第１伸張位置であり、テーブル組立体は、対象を上部テーブル上で支持し上部及び下部のテーブルを分離したままで第１側部と反対側の基部の第２側部への第２伸張位置へ更に移動可能である。例示的な実施例では、上部のテーブルが第１ベルトによって包囲された上部プレートを含み、下部のテーブルが第２ベルトによって包囲された下部プレートを含み、上部及び下部のテーブルを強制的に接触させた状態でテーブル組立体が伸張位置へ移動するとき、第１及び第２のベルトが相互に逆回転する。テーブル組立体は、好適には、逆回転ベルトの外転（eversion）速度に対応した速度で定位置へ又は定位置から移動するように同期する。上部と下部のプレートは、好ましくは、ベルト表面の清掃を容易化するために少なくとも２．５〜５ｃｍ（1 to 2 inches）の距離だけ離される。移送中に患者をより楽にし、圧迫痛を減少するために、パッドを上部プレートと頂部ベルトの間に挿入してもよい。好ましくは、パッドと頂部ベルトとの間に低摩擦層を置く。

代替的な実施例では、患者持ち上げ移送装置は、４個の回転脚輪と２個の中央線上の逆回転結合された操舵輪を含む操舵システムを有する。操舵輪は、曲率中心が装置の横方向中央線上にある回転軌跡を有し、装置の各端に搭載されるハンドルバーにより制御される。選択的に操舵輪を床から持ち上げるか、又は制動をかけるために足踏みペダルを用いてもよい。前端の脚輪対を直進方向に固定するために、他の足踏みペダルが装置の後端に備えられる。好適には、装置の移送テーブルを縦方向（移送中の患者の快適さのため）、横方向（受け取り時に患者の下へ移動するため）のいずれかに傾斜させてもよい。好ましくは、移送装置は、上部ベルトの真下の空気マットレスを膨張させる空間を持つために、上部ベルトに十分なたるみを持たせるように縁部ローラが待避する上部テーブル部を有する。縁部ローラは、上部テーブルに取り付けられたカム従動子を案内するスロットを有する待避腕により回転可能に支持される。上部ベルトは、上部テーブルの移動可能なピンチローラの組を用い下部ベルトから選択的に離される。移動可能なピンチローラは、空気により作動させることができる。この実施例では、上部ベルトの外面はより大きな摩擦係数を有し、下部ベルトの外面はより小さな摩擦係数を有する。好ましくは、ベルトは、殺菌剤のような抗菌剤を含む材料で構成される。

前記の事項は、本発明の付加的な目的、特徴及び効果と共に、以下の詳細な記載で明確となる。

本発明は、添付図面を参照することによって当業者により良く理解され、その多くの目的、特徴及び効果が明らかとなる。

ここで図面を参照すると、特に図１〜３を参照すると、本発明によって構成された患者持ち上げ移送装置の一つの実施例１０が描かれている。持ち上げ移送装置１０は、一般的には枠又は基部１２、基部１２に搭載された二つの垂直支持柱１４、支持柱１４に取り付けられた水平摺動組立体１６、摺動組立体１６に取り付けられたテーブル組立体１８及び支持柱１４に取り付けられた摺動レール２０から成る。

基部１２は、上から見た形状は一般に矩形であり、装置１０の長さ一杯に延びている。基部１２は、耐久性のある任意の材料、好ましくは装置の固定に役立つようかなり密度の高い金属又はステンレススチールのような合金で構成される。四個の車輪又は旋回脚輪２２は、基部１２の各隅に一つずつ取り付けられ、基部１２の底と床の間に約７．６ｃｍ（three inches）の隙間空間を形成する。脚輪２２は、好ましくは大径で、転がり抵抗が低く、積み込み又は積み卸し作業の間に基部１２を静止させるための係止機構又はブレーキを有する。他に、四個の係止用の杭（ゴム製の脚を有し、各隅に位置）を基部１２から床におろし、車輪を床から僅かに持ち上げることも望ましく、そうすると、杭は持ち上げと移送の間にユニットをしっかりと所定位置に保持する。後輪は、雑貨店の手押し車と同様の方法で装置１０を押すのに便利なように、前の脚輪のみに固定してもよい。患者を円滑に運ぶために基部と車輪の間に緩衝システムを組み込むことも随意である。

支持柱１４は、断面矩形の筒状部材であり、好ましくはステンレススチール製である。支持柱１４は、下側端部を基部１２の対応する受け部に挿入し、ボルトのような締め具を用いるか、又は溶接により固定して基部１２に搭載してもよい。支持柱１４の実効的な高さは、支持柱１４の上部を囲み、垂直に摺動する、又は自在に伸縮する袖部２４を用いることにより、調節可能である。袖部２４は、送りねじ又は係止摺動構造によって柱１４に結合し、足踏みペダルで袖部を選択的に上昇又は下降させて動作させてもよい。足踏みペダルからの力の分配システムは、機械的、流体的、又はこれらの組合わせでよい。その替わりに、袖部２４の動作の動力源として電動機を用い、電動機を制御するスイッチ又はダイヤルと共に蓄電池を基部１２の区画内に配置してもよい。

側方レール２０は、患者を乗せた後、運搬の間に患者が横揺れしたり滑ったりしないように、患者持ち上げ移送装置１０の左側と右側に沿って垂直方向に位置づけられる。側方レール２０は、積み込み又は積み卸しの作業の間はテーブル組立体１８の下に収納される。側方レールは、支持柱に形成された戻り止めに係合する底面のつまみ又は止め金具を用いてこれらの二つの位置のいずれかに解放可能なように係止される。

図４は、テーブル組立体１８の摺動組立体１６への取り付け及び摺動組立体１６の支持柱１４への取り付けをより詳細に示す。摺動組立体１６は、装置１０の各端（頭部と足部）で各支持柱袖部２４に固定された二つの摺動枠３０及び摺動する机の引き出しのように摺動枠３０の軸受軌道内を摺動する二つのキャリッジを含む。摺動枠３０は、好ましくはステンレススチールで構成され、締め具又は溶接により袖部２４に付着されている。キャリッジ３２もステンレススチールで構成されている。キャリッジ３２は、枠３０内をユニットの左方又は右方のいずれかへ自由に摺動する部材である。

テーブル組立体１８は、上部テーブル部３４及び下部テーブル部３６を含む。図２及び５に見られるように、上部テーブル部３４は、第１エンドレスベルト４０で囲まれた上部プレート３８及びプレートの長さ方向両端に沿ったベルト内の小径の遊動ローラ４２、４４を含む。下部テーブル部３６は、第２エンドレスベルト４８で囲まれた下部プレート４６及びプレートの長さ方向両端に沿ったベルト内の小径の駆動ローラ５０、５２を含む。遊動ローラ４２、４４間の長さは駆動ローラ５０、５２間の長さより長く、すなわち、テーブル組立体が中央位置（定位置）にある時、上部テーブル部３４の長さ方向の各端は下部テーブル部３６の対応する長さ方向の端と僅かに重なる。ベルトがプレートの全長を完全に囲む必要はないが、ベルトの幅が実質的にテーブル組立体部材の全長まで延びていることが望ましい。

上部と下部のプレート３８、４６は、好ましくはステンレススチールのような剛性の金属の波形シートで形成されており、交互の溝部と頂部が各プレート３８、４６の不連続な上面と下面を形成している。対向するローラ又はプラテン５４は、波形の溝５６に一つおきに配置され、上部テーブル部３４が下部テーブル部３６と接触しているときに、頂部ベルト４０の底部脚部を底部ベルト４８の頂部脚部に強制的に押しつけることに役立つ。また、プラテンは、頂面上に横たわっている患者の荷重を下部支持プレート構造へ分配することを助ける。

気泡パッド６０は、一般に上部プレート３８と同じ大きさであり、頂部ベルト４０の頂部脚部の上面と上部プレート３８の上面との間に配置される。気泡パッド６０の長さ方向端部は先細になっており、頂部ベルト４０が一組の端部ローラから気泡パッド６０の頂面を超えて移動し、他の組の端部ローラへ戻ることを容易にしている。気泡パッド６０は、一般的には輸送の間ユニットが患者にとって快適であるようにしており、患者が長期間装置上にいても床擦れを生じないようにしている。典型的な実施形態では、パッド６０は厚さ１．９ｃｍ（0.75 inches）のポリウレタンフォームで、フォームの長さ方向端部は、片面では先細であり、端部厚さ０．３ｃｍ（0.12 inches）で、端から約１２．７〜１５．２ｃｍ（5 to 6 inches）の位置で最大厚さとなる。気泡パッドに替えて、パッドは空気マットレス、水を入れた浮袋等でもよい。

気泡パッド６０に沿った頂部ベルト４０の運動を更に便ならしめるために、低摩擦材料の薄層６２を使用して気泡パッド６０を覆う、すなわち頂部ベルト４０の頂部脚部の下面に接触させることができる。低摩擦層６２は、気泡パッドの先細端部を超えて上部プレート３８端部で固定され、気泡パッド６０の全幅、全長にわたって延びる繊維強化ポリテトラフルオロエチレンシートとすることができる。シート端部は、締め具、接着剤又はプレート３８端部への圧接により固定することができる。この上部テーブル部３４の設計は、独立した（手動の）移送テーブルに役立つ。

ベルト４０及び４８は、真のエンドレスベルトとして、又は連結の継ぎ目を有する（厚みを余計に増さずに重ねる）ものとして形成でき、繊維強化ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）弾性体のような耐久性があり、柔軟な任意の材料で構成できる。各ベルトは、好ましくは０．０７６ｃｍ〜０．１ｃｍ（0.03 to 0.04 inches）の範囲の厚さを有し、患者持ち上げ移送装置１０の全長と同幅である。底部ベルト４８が断面Ｖ形の小さな案内／駆動ストリップをベルト４８内の３０．５ｃｍ（foot）毎に有していてもよく、頂部ベルト４０がより小さなＶ形のストリップを６１ｃｍ（two feet）毎に有していてもよい。ベルトの外面は寝台又は患者に対して高摩擦係数を有し（例えばＰＶＣ又はエチルビニルアセテートＥＶＡ）を使用）、ベルトの内面はポリテトラフルオロエチレンのような低摩擦材料の皮膜を有する。

図４に戻ると、下部テーブル部３６内の駆動ローラ５０、５２及びプラテン５４の軸並びに下部プレート４６は、全てその長さ方向端部でキャリッジ３２に取り付けられている。それ故、下部テーブル部３６は、袖部２４の運動と共に垂直方向に動く。上部テーブル部３４内の遊動ローラ４２、４４及びプラテン５４の軸並びに上部プレート３８は、全てその長さ方向端部で装置１０の各隅に一つずつの四個の垂直プレートセパレータ７０に取り付けられている。各垂直プレートセパレータ７０はキャリッジ３２に貼り付けられているので、垂直プレートセパレータも袖部２４の運動と共に垂直方向に動く。垂直プレートセパレータ７０は短いねじジャッキ組立体を含み、その各々は上部プレート３８の隅の一つに取り付けられるナット７２及びキャリッジ３２に取り付けられナット７２にはまる送りねじ７４から成る。垂直の歯車箱７６は、水平方向の歯車モータ７８を通じて動力を送りねじ７４に伝える。モータ７８は装置１０の所与の端部で二つの送りねじの内の一つを直接駆動し、その端部の第二の送りねじは鎖歯車８０と駆動鎖８２の対を介して第一の送りねじにより駆動される。垂直プレートセパレータは、上部テーブル部３４を下部テーブル部３６から少なくとも２．５ｃｍ〜５．１ｃｍ（1 to 2 inches）離すように機能する。複数のテーブル部が分離されると頂部ベルト４０にたるみが生じるが、分離距離により頂部ベルトの垂れ下がり部分と底部ベルト４８の頂部脚部との間の接触が十分に防止される。

図５には典型的なベルト駆動機構が描かれている。駆動ローラ５０及び５２の各軸の一端は駆動鎖９０にかみ合う歯又は歯車を有する。駆動鎖９０は数個の遊動鎖歯車９２及び駆動軸９４により張力を与えて支持されている。遊動鎖歯車９２及び駆動軸９４はキャリッジ３２の延長部に回転自在に搭載されており、駆動機構は袖部２４の運動と共に垂直に移動し、更にユニットのテーブル組立体１８が位置する側へ移動する。遊動鎖歯車９２、駆動軸９４並びにローラ４２、４４、５０及び５２は、時計方向にも反時計方向にも回転することができる。上部テーブル部３４が下部テーブル部と強制的に接触しているとき、駆動鎖９０を介した底部ベルト４８のいずれかの方向への運動は、ベルト外面の摩擦係合を通じて今度は頂部ベルト４０を駆動する。上部テーブル部３４が下部テーブル部３６に対して上昇した位置にあるとき、ベルトは接触しないので、底部ベルト４８を駆動しても頂部ベルト４０は動かない。

キャリッジ３２とテーブル組立体１８を定位置と（左右の）拡張位置との間で水平方向に（横方向に）駆動するために、ラックアンドピニオンを用いることができる。ラックは各キャリッジに取り付けられ、ラックの長さはキャリッジ３２の摺動運動の方向に沿って延びている。駆動ピニオンは、各摺動枠３０に搭載され、隣接するラックの歯と係合する。摺動組立体１６の運動は図５に示されるベルト駆動機構と同期しているので、キャリッジ３２は、ベルト４０及び４８の外転速度に一致した速度で定位置へ又は定位置から横方向に摺動する。この同期は、運動をモータ内の検知器により監視制御するステッピングモータ又は機械的結合の使用により達成できる。このようにして、テーブル組立体１８は、患者と頂部ベルト４０間に、又は寝台／テーブルと底部ベルト４８間に摩擦係合が本質的にない状態で、患者の下へ潜り込む（又は患者から潜り出す）ことができ、更に、基部１２をも横に動かす必要なく、この動作を行う。

垂直プレートセパレータ７０、駆動軸９４及び駆動ピニオン１０２の全ては、機械的手段（歯車、軸、鎖歯車、てこ、カム、掛け金等）及び／又は流体的手段（ポンプ、ピストンシリンダ、モータ、弁、剛性又は可撓性の管類等）を、操作者が運動のモードを選択し、動力機構を所望の駆動機構に適用するための手動操作スイッチと共に備えることにより、袖部２４の上昇と下降に使用するものと同一の足踏みペダルで動力を供給できる。替わりに、２以上の足踏みペダルを採用し、次の４つの動作、すなわち、患者を移送する元の寝台の高さに合わせてテーブル組立体を上昇又は下降させる線形垂直動作、患者を寝台に乗せたり降ろしたりする間にベルトテーブルを右側又は左側に伸ばしたり縮めたりする回転運動、ベルトテーブルの底部ベルトを時計方向又は反時計方向に駆動する回転動作、並びに上部テーブル部を下部テーブル部に対して上昇又は下降させる線形又は回転動作に動力を供給することができる。足踏みペダルは、ユニットが壁又は他の物体に衝突したときペダルを損傷しないように、基部１２の凹所に位置することが好ましい。足踏みペダルの替わりに、携帯用電源及び制御器を有する１以上の電動機により動力を供給することができる。

装置１０の可動部は、操作者が患者を装置上又はその近傍の位置に移送し続け患者の安全を損なうことを防止するために、安全保護装置により制限することができる。安全保護装置は、脚輪／車輪が回転に対して係止されていないか基部の動きを防止する他の手段が採用されていない場合のテーブルの水平又は垂直動作、検出器が寝台のマットレス又は他の支持面に十分な圧力があると指示していない場合のテーブル組立体又は摺動組立体の水平（横）動作、検出器が動作中でない場合のベルトの回転、装置が車輪付き担架として機能しているときにテーブル組立体（又は袖部２４）がその上の重量減少のために規定高さ以下となっていない場合の脚輪／車輪の動き（又は係止柱の収納）、を防止するために用いることができる。

本発明は、患者持ち上げ移送装置１０の積み込みと積み卸しを示す図６ないし９を参照すれば更によく理解できる。図６では、装置１０が病院の寝台又はテーブルに接しており、摺動組立体１６が部分的に伸張されて上部と下部のテーブル部３４と３６が相互に接触しており、テーブル組立体１８の先端がまさに患者の下に潜り込もうとしている。この装置は、患者が仰向けであろうと俯せであろうと使用できる。図７では、テーブル組立体１８が完全に患者の下に移動し、上部と下部のテーブル部が分離している。装置上の患者の動作によるモーメント力は、垂直プレートセパレータ７０とキャリッジ３２との結合により上部テーブル部３４から下部テーブル部３６へ伝達され、下部テーブル部３６は横方向に装置を支持する。そして、摺動組立体１６とテーブル組立体１８は、図８に示されるように、定位置へ戻される。頂部ベルト４０は、患者が定位置へ又は定位置から動かされるときテーブル部が未だ分離しているため静止しており、下部テーブル部３６の先端は、寝台１２０のマットレス上にある間は装置を支持し続ける。これらの組立体が定位置（基部１２の実質的な中央）へ戻ると、装置１０を車輪付き担架のように用いて患者を他の場所へ運ぶことができる。図９は、患者を装置１０の他の側の他の寝台又はテーブル１２０'へ下ろすこと、つまり患者持ち上げ移送装置１０が双方向的であることを示している。この実施形態では、摺動組立体１６、テーブル組立体１８及びその駆動機構の構成と動作は、一般的には上部及び下部のテーブル部に共通な長さ方向の軸に関して対称である。

ユニットの基部を動かすことなく支持テーブルを患者の下へ動かす摺動組立体を用いることにより、患者持ち上げ移送装置１０は、寝台又はテーブルの下の空間が僅かであるか全く無いような状況で効果的に使用することができる。従来の多くの装置では、患者を支持面に乗せた後に装置から落下することを防ぐために、寝台又はテーブルの下に基部の一部を伸張させることが必要である。本発明は、上部と下部のテーブル部の分離を可能とし、テーブル組立体全体が定位置へ戻るときに下部テーブル部が装置を横方向に支持できるようにすることで、このような心配を無くしている。更に、この設計ではベルトの逆回転を巧みに利用して積み卸しの間の摩擦係合を減少し、患者を寝台から装置へ移送するときには患者が上部テーブル部上で平静でいられるようにする。

患者持ち上げ移送装置１０の大きさは、用途に応じて大きく変わる。例えば、小児科用の装置は、平均的な大人用の装置よりもかなり小さくなる。以下に概略の大きさを例示的に挙げると、基部１２は一般に２２４ｃｍ（88"）×８６ｃｍ（34"）×２３ｃｍ（9"）で、車輪２２は径１５ｃｍ（6"）で、支持柱１４は断面５ｃｍ（2"）×１３ｃｍ（5"）で基部１２上に１１２ｃｍ（44"）延び、袖部２４は高さ２３ｃｍ（9"）、摺動枠３０は長さ８４ｃｍ（33"）で高さ１０ｃｍ（4"）の軌道を有し、キャリッジ３２は４１ｃｍ（33"）×２５ｃｍ（10"）×６．４ｃｍ（2.5"）で、上部及び下部プレート３８、４６は８４ｃｍ（33"）×２０１ｃｍ（79"）で、波形は厚さ１．９ｃｍ（0.75"）である。

本発明により、介護人は横たわった患者を種々の寝台、テーブル及び他の支持面間で楽に、安全に、かつ快適に移動させることができ、使用法が非常に分かりやすくなり、大した操作研修を受けていない通常の技能を有する看護要員でも操作することができる。患者を装置のどちらの側からも乗せることができるという能力は、付加的に配置上の柔軟性を生じる。また重要なことは、上部及び下部のテーブル部の分離により生じる隙間空間により、患者からの流体で汚染された場合にベルト表面を適切に清掃し殺菌できることである。更に、装置を特定の用途に容易に適合することができ、例えば、点滴用袋の支持体を基部に搭載でき、又は基部に貯蔵室を設けることことができる。

図１０には、本発明の患者持ち上げ移送装置の他の実施形態１３０で、移送テーブル、操舵機構及び運搬ベルトに或る改良を施したものを示す。患者持ち上げ移送装置１３０は、一般的には、移送テーブル１３８を備える水平摺動組立体１３６を支持する垂直支持部１３４を有する長い枠又は基部１３２から成る。また、側部レール１４０が備えられ、枠拡張部１４２に取り付けられている。好ましくは、バンパパッド１４４が枠拡張部１４２上に位置し、装置が壁や他の垂直面に置かれるときの衝撃を和らげる。装置１３０には、酸素ボンベ１４８、補給品、リネン製品等のための棚１４６のような保管用の面又は空間が患者支持領域の下にある。好ましくは、棚１４６には端部に沿って壁又は唇部１５０があり、物品や流体が床にこぼれ落ちることを防止する。この実施形態では、機械の全体的な高さは１１７ｃｍ（46"）で、その動作の高さの範囲は５８ｃｍ（23"）〜９１ｃｍ（36"）で、その幅は（標準的な９１ｃｍ（36"）の扉の開口を通られるように）８５．１ｃｍ（33.5"）で、機械の全体的な長さは（２０３ｃｍ（80"）の長さの寝台用に）２３６ｃｍ（93"）であり、身長１９１ｃｍ（6'3"）までの患者に適合する。機械は、体重２２７ｋｇ（500 lbs）までの患者を支持する。同一の設計でより大きなものは、３６３ｋｇ（800 lbs）まで支持することができる。機械自体は、２０４ｋｇ（450 lbs）である。垂直支持部のスクリューアクチュエータの基部にストレーンゲージ又はロードセルを用いて基部に患者体重測定システム又は秤を基部に組み込むことも可能である。

図１１の平面図には、患者持ち上げ移送装置１３０の車輪懸架と操舵機構が断続線で示されている。患者持ち上げ移送装置１３０の操舵機構は、一人の操作者が装置を操縦して廊下を進み、角を回り、エレベータと部屋に入ることがより容易にできるように設計されている。装置１３０は、通常矩形の基部１３２の四隅又はその近傍に位置する４個の回転脚輪を備え、更に、基部１３２の各端部の底の円形切り欠きに沿って延びる２個の高摩擦の操舵制動輪１５４を用いている。操舵制動輪１５４は、基部１３２の長さ方向中央線に沿っており、逆Ｕ字枠に支持され、各輪の軸の端部がＵ字の開放端（脚）に結合されている。Ｕ字枠の閉鎖端は、中空の垂直旋回軸に取り付けられている。垂直旋回軸は、基部１３２の端部に搭載されるブロック単位で軸受支持され、車輪１５４が垂直に約２．５ｃｍ（1"）動き、床と接触したり離れたりできるようにする。ばねは、床面で滑りが生じないように、床に接触しているときに車輪１５４に約３４ｋｇ（75 lbs）の垂直負荷を前もってかける。車輪１５４は、床に対して前もって負荷がかけられ、この前負荷の下で上下に１．２５ｃｍ（0.5"）動くことができ、床面の不規則性を補償する。また、この懸架システムは、１又はそれ以上の緩衝装置を含む。

車輪１５４は、垂直旋回軸の周りに回転し、基部１３２の各端部に位置するハンドルバー１５６からの腕と結合リンクを通じて制御される。ハンドルバー１５６は、水平旋回軸に回転可能に搭載され、好ましくは底部で操作者側に僅かに傾いている。各ハンドルバー１５６は、球面軸受を用いてプッシュロッド１５８の端部に結合されている。プッシュロッド１５８の他端の球面軸受は、装置１３０の全長に通常延びている操舵軸１６２に取り付けられる個々のベルクランク１６０の作動レバーに結合されている。操舵軸は、基部１３２に取り付けられる軸受ブロック１６４に回転可能に搭載される。他の組のベルクランク１６６は、各車輪１５４に最も近い操舵軸１６２に取り付けられる。ベルクランク１６６の作動レバーは、各プッシュロッド１６８の一端の球面軸受に結合され、プッシュロッド１６８の他端の球面軸受は、それぞれ第３の組のベルクランク１７０の作動レバーに結合される。ベルクランク１７０は、車輪１５４を支持する個々のＵ字枠に取り付けられる。したがって、どちらかのハンドルバー１５６が回転されると、そのプッシュロッドがベルクランク１６０に係合して軸１６２を回転させ、ベルクランク１６６がプッシュロッド１６８を作動させてベルクランク１７０を回し、車輪１５４をも回転させる。

車輪１５４が床に強制的に接され、車軸が共に装置１３０の長さ方向に垂直である場合、いずれかの端で押されると、真っ直ぐに前進する。ベルクランク１６６は、プッシュロッド１６８でベルクランク１７０に結合され、車輪１５４の軸を異なる方向に回転させるようにする。例えば、上から見て、車台基部の一端の車輪が時計方向に回転（図１１の頂部の車輪１５４）すると、機械の他端の車輪は反時計方向に回転（図１１の底部の車輪１５４）する。それ故、機械の一端のハンドルバー１５６がその水平旋回軸の周りに回されると、車輪１５４は、等しい角度で垂直旋回軸の周りに逆回転（一つの車輪は時計方向で、他の車輪は反時計方向）する。一端車輪１５４がこのように回転されると、装置１３０は、右又は左への回転のためにいずれの端を押すこともできる。ハンドルバー１５６が水平旋回軸の周りに更に回転されると、装置１３０は、右又は左へより鋭く回ることができる。

この操舵機構により、注意深く車輪付き担架の運動を制御するために通常両端に操作者を要するような隅に４個の回転脚輪を有するだけの車輪付き担架に比べ、優れた操作性が得られる。装置１３０の操舵機構は、その曲率中心１７２が装置１３０の横方向中心線１７４上となる回転軌跡を生じるように車輪１５４を位置づけることにより、更に良くすることができる。好ましくは、車輪１５４を脚輪１５２の外側に位置させ、すなわち車輪１５４を装置１３０の端に近くし、回転半径を小さくするために車輪の逆回転の角度を増加する。この特徴により、回転中の車輪１５４の横方向の力は小さくなる。また、車輪１５４は、脚輪１５２（例えば幅３．２ｃｍ（1 1/4"））より幅が広い（例えば６．４ｃｍ（2 1/2"））ことが好ましく、脚輪１５２はショア硬度約８０のポリウレタンのような比較的硬い材料で構成されることが好ましく、車輪１５４は摩擦を増すためにショア硬度約６０のポリウレタンのような比較的柔らかい材料で構成されることが好ましい。

パワードライブ（不図示）を中央の車輪１５４に設け、速度制御を含むようにしても良い。ハンドルバー１５６付近に制御器を搭載すると共に、モータ、連結器及び電源（蓄電池）を基部１３２の下方内部に設けてもよい。

車輪１５４をハンドルバーの操舵レバーと連結器に結合することに加え、これらは、装置１３０の両端に位置する３位置足踏みペダル１８０にも結合される。足踏みペダル１８０は、基部１３２に取り付けられる軸受ブロック１８４でまた回転自在に支持される持ち上げ／制動軸１８２に取り付けられる。他の組のベルクランク１８６は、各車輪１５４に近い持ち上げ／制動軸１８２に取り付けられる。各ベルクランク１８２の作動レバーは各プッシュロッドの一端の球面軸受に結合され、その他端はレバー１８８の中間部の柱に結合される球面軸受を有する。各レバー１８８の一端は基部１３２の側部に回転可能に取り付けられ、レバー１８８の他端は車輪１５４の各垂直旋回軸に対してかつその内部で同心である中空軸に摺動可能に結合している。また、レバー１８８のこの端は、車輪１５４を床から持ち上げる前負荷ばねの上昇動作を制限する垂直旋回軸の上端に取り付けられた圧力板に隣接する。このようにして、足踏みペダル１８０が回転すると、軸１８２が回転し、ベルクランク１８６の作動レバーによりその各々のプッシュロッドがレバー１８８を上昇又は下降させる。

各足踏みペダル１８０又は持ち上げ／制動軸１８２には戻り止め又は他の鎖錠機構があり、足踏みペダルをレバー１８８の３位置、すなわち上昇位置、中間位置及び下降位置、に対応する３つの異なる位置の内の一つに保持する。レバー１８８が上昇位置にあるとき、圧力板の上昇が可能となり、前負荷ばねの力により車輪１５４が床から持ち上げられる。この位置では回転脚輪１５２だけが床に接し、装置１３０は任意の方向に簡単に押されることになるが、この操舵モードは病室のような狭い空間で装置を操縦するのに特に有効である。レバー１８８が中間位置にあるとき、圧力板に影響し、垂直旋回軸及び車輪１５４を下方に床へ所定の前負荷の力で押す。この位置では、装置１３０の６個の車輪全て（車輪１５４及び脚輪１５２）は床に接し、機械のいずれかの端でハンドルバー１５６を用いて装置を操縦することができる。レバー１８８が下降位置にあるとき、垂直旋回軸を更に下方に押し、軸の底部に取り付けられた制動板が車輪１５４の頂部に接触して車輪の回転を防止する。この位置では、やはり６個の車輪全てが床に接触するが、装置は動かず、これは装置で患者の受け取り又は引き渡しをしているときに特に有効である。脚輪１５２に更に制動をかけることは不要である。

装置１３０が動いているときに使用するためにプッシュハンドルで制御される比例制動を制動システムに備えることも随意である。また、車輪１５４の床に対する下方への（前負荷の）力は可変であり、すなわち、軽い患者には力を減少し、重い患者には車輪の床に対するグリップ力を増加するように力を増加する。

更に、患者持ち上げ移送装置１３０は、装置前端（操作者の反対側）の２個の回転脚輪１５２が前進又は直進方向に固定される別の操舵モードを備える。この操舵モードは、装置の操作者側（後部）の端に位置することが好都合な別の足踏みペダル１９０によって選択される。足踏みペダル１９０は、装置１３０前端の回転軸１９４に係合するチェーン又はベルトを駆動する。軸１９４は、ガイド１９６を上昇及び下降させるねじジャッキに係合するねじ切り又は歯車が各端部に形成されている。ガイド１９６は脚輪１５２の前側の対を直進方向に固定する。この特徴が実行され、車輪１５４が上げられると、装置１３０は、前端脚輪が固定され押す側の端の脚輪が自由に回転する雑貨店の買い物カートと同様の態様で操舵される。この足踏みペダル、ガイド及び連結器は、装置の両端にこの特性を付与するために複製することができる。別の実施例（不図示）では、この特性の選択が同じ足踏みペダル１８０を用いて行われ、第４のペダル位置を有し、適当な当業者に明白な連結器を用いることにより、他の操舵モードを備える。

更に別の操舵モードでは、車輪１５４の前方の一つが下方位置で固定（直進）方向であり、車輪１５４の後方の一つが床から上げられている。この態様では、装置前端の車輪１５４は前端の誘導を行い、全脚輪は回転可能である。

このように本発明では操作者が三つの異なる輸送モードを利用することができ、それは、狭い空間での操縦が容易な全方向脚輪モード、ハンドルバーを用いて装置を左又は右へ回転する操舵モード、及び後方脚輪（操作者側）が自由に回転し前方脚輪を固定するプッシュモードである。

ここで図１２及び１３を参照すると、移送テーブル１３８は、患者持ち上げ移送装置１３０に付加的な多様性を与えるテーブル組立体１８に見られない幾つかの特徴を含む。テーブル組立体１８のように、移送テーブル１３８は、上部テーブル及び下部テーブル２０２を含む。上部テーブル２００はまた上部ベルトに囲まれ、下部テーブル２０２は下部ベルト２０６に囲まれている。移送テーブル１３８は、患者を受け取るときには上部ベルト２０４と下部ベルト２０６の逆回転で効果的に摩擦係合をなくして患者と支持面との間に潜り込み、患者を引き渡すときには逆の動作を行うことにより、同様の通常の態様で動作して患者の受け取り及び引き渡しを行う。しかしながら、装置１３０の実施例では上部テーブル２００の１つ又は双方の組の端部ローラが上部ベルト２０４にたるみを導入するために伸張及び収縮をすることが可能であり、それは、以下に更に説明するように、患者が装置１３０上に長期間いなければならない場合に支持面を更に快適にするために用いられる。

上部テーブル２００の片側の伸張／収縮機構は、内部部品の視認を可能とするためにベルトと頂部支持板を外した状態で、図１２に示されている。上部テーブル２００は、片側に沿い、収縮腕２１０で回転可能に支持される数個の端部ローラ２０８を有する。また、収縮腕２１０は、上部ベルト２０４の端部を支持する１又はそれ以上の板２１２、２１４を有する。上部テーブル２００の各端の収縮腕２１０は、この腕に形成されたスロット２２０内に収まるカム従動子２１８によって上部テーブル２００の中央部２１６に結合されている。カム従動子２１８は、中央部２１６の板構造の一つに取り付けられる支柱の端部に位置する。したがって、端部ローラ２０８の並進運動は、スロット２２０の形状と長さによって支配される。他の収縮腕２１０は、上から見ると通常三角形の形状であり、レバーとして動作する数個のプッシュブロック２２２によって駆動される。所与のプッシュブロック２２２の一つの隅は、中央部２１６の板構造の一つに付けられる支持柱２２４を囲む回転袖部に取り付けられる。プッシュブロック２２２の反対側の隅は、収縮腕２１０の一端に取り付けられる。各腕にプッシュブロックを備える必要はなく、例示した実施例では上部プレート２００の片側に沿って３個のプッシュブロックが存在する。プッシュブロックに結合されない収縮腕は、好ましくは一端にベルトローラ２２６を有する。

プッシュブロックは、例えば一端が中央部２１６の板構造の一端に付けられ他端がプッシュブロックの側部を押し込む１又はそれ以上の圧縮ばね２２８を用いることにより、中央部２１６の方へ付勢することが好ましい。したがって、プッシュブロックの非駆動位置では、ばね２２８は、プッシュブロックの自由端を上部テーブル２００の中央へ押し、端部ローラ２０８を収縮状態に置く。プッシュブロック２２２の第３の隅又は先端は、中央部２１６に摺動可能に取り付けられた圧力板２３０を押すローラを有する。圧力板２３０は、摺動を可能とするために中央部２１６の板構造に形成された杭を受けるスロットを端部に有する。圧力板２３０は、ばね２２８の力に抗してプッシュブロック２２２の自由端を装置の端部へ動かすために、任意の便利な手段で作動される。プッシュブロック２２２の目的は、アクチュエータの運動を拡大することである。作動手段は、圧力板２３０に隣接し、中央部２１６に取り付けられた他の固定板２３４により閉じこめられる膨張チューブ２３２（図１３参照）を使用する空気システムで構成してもよい。チューブ２３２は、蓄電池により電力供給される装置１３０上の空気圧縮機に結合された供給路を有する。チューブ２３２が膨張すると、圧力板２３０の裏面を押し、そしてプッシュブロック２２２先端のローラに押しつけ、プッシュブロック２２２の自由端が収縮腕２１０を外方へ駆動し、上部ベルト２０４を緊張させる。それ故、端部ローラ２０８は、スロット２２０で決まる通路に沿い、装置１３０の長さ方向中央線に関して内方と外方に移動（並進）する。

図１２は端部ローラ２０８の伸張（動作）状態を描いているが、図１３はその収縮（不動作）状態を示している。収縮状態は、下部ベルト２０６からの部分的離脱で上部ベルト２０４のたるみを生じるが、より重要なことは、長い滞留（患者が長期間装置上にいなければならない場合）に対する空気持ち上げ患者支持システムを可能とするために使われることである。支持システムは、膨張可能な空気マットレスを上部ベルト２０４の上部の下の位置に有する。空気マットレス２４０は、チューブ２３２を充填するのと同じ空気圧縮機を用いて膨張される。好ましくは、滑りシート２４９を空気マットレス２４０と上部ベルト２０４との間に挿入する。空気マットレス２４０は、空気マットレス２４０が活用されない場合に緩衝作用を与える気泡パッド２４２の上にある。そして、気泡パッド２４２は、上部テーブル２００の頂部支持板２４４の上にある。

好ましくは、空気マットレス２４０は、患者の高圧領域の下で種々の支持レベルを生じるために成形した室２４６を含み、また、患者が移送テーブル１３８の端から転落することを防止するために各端に沿った縦方向の室２４８を含む。空気マットレス２４０は、快適さ又は特定の体温の維持を助けるために、加熱又は冷却した空気で膨張させることができる。加えて、独立した膨張可能な楔又は枕を患者の頭と肩の支持のために使うことができる。

上部テーブル２００は、単一の縦方向端に沿って水平摺動組立体１３６に回転可能に取り付けられており、清掃用に９０度上方に回転可能である。上部テーブル２００を作動中の下方位置に保持するために外れ止め又は他の一時的な締め具が用いられる。ガススプリングが上部ベルト組立体と釣り合わせるために用いられ、閉位置から開位置への回転を容易化する。

患者持ち上げ移送装置１０の設計では、上部及び下部のテーブルが垂直に分離され、上部ベルトを下部ベルトによる駆動から切り離す。しかしながら、患者持ち上げ移送装置１３０の設計では、ベルト間の駆動は、主として、上部及び下部のテーブル枠にある対向するピンチローラの組の作動及び非作動によって結合及び切断がされる。これが起こると、これらのピンチローラの間を通過する上部ベルトの下部と下部ベルトの上部とは高摩擦の相互係合状態となる。ベルトが共にピンチローラの組で挟まれると、下部の従動ベルト２０６の運動は上部ベルト２０４に伝えられる。図１３は、下降又は伸張位置で空気圧により一組の可動ニップ又はピンチローラ２５２を作動させて上部及び下部のベルト２０４、２０６を強制的に接触させるために使用される空気袋２５０を示している。ピンチローラ２５２は、上部テーブル２００の枠に搭載され、その非作動状態では上昇又は収縮位置のばね２５４によって保持される。一組の対向する固定ピンチローラ２５６は、下部テーブル２０２の枠に搭載されている。上部ベルト２０４の下部及び下部ベルト２０６の上部は、これらのピンチローラ２５２、２５６の組の間を通過する。空気袋２５０は、チューブ２３２と空気マットレス２４０を充填するのと同じ空気圧縮機で膨張させてもよい。他の作動手段を備えることもできるが、患者を拾い上げるときの厳しい受け入れ角度を克服する必要をなくすために、比較的厚みの小さい機構を使用することが好ましい。

下部ベルト２０６は、下部テーブル枠の縦方向端の一つに沿って延びる弾性材被覆の駆動ローラ２５８により駆動される。また、下部ベルト２０６は、下部テーブル枠の縦方向他端に沿って延びる遊動ローラを通過する。更に、上部ベルト２０４は、上部テーブル枠の縦方向端に沿って軸受で搭載されている２つの遊動ローラにより支持されている。好ましくは、上部ピンチローラの組２５２は、ピンチローラが離れたとき下部ピンチローラの組２５６から垂直に１ｃｍ（0.40"）の隙間を有する。上部ピンチローラ２５２を待避すると、下部ベルト２０６は駆動されるが、上部ベルト２０４は駆動されずに下部ベルト２０６に対してゆるやかに摺動する。このように、ベルトは上部及び下部のテーブルの相対運動なく解放される。好適には下部ベルト駆動部は下部ベルト２０６の内側で移送テーブル１３８端部の機構を縮小ないし最小化し、さもなければテーブルの長さが増加し、患者が利用できる実効的長さを短縮する。テーブル上昇手段は、移送テーブルで利用可能な垂直行程を増加するために、基部の下でなく、基部１３２の端部に置いてもよい。

したがって、患者を寝台又は他の面から受け取るとき、下部と上部のベルトは対向するピンチローラの係合により相互に結合され、両ベルトは、移送テーブルが患者の下に移動するように駆動される。移送テーブルを中央位置へ戻す前に、対向するピンチローラが離れることにより上部ベルトの結合が解かれ、下部ベルトだけが駆動される。また、上部テーブル端部のローラは、既述のように待避され、上部ベルトにたるみを付与し、下部ベルトとの張力による接触力を更に減少する。この手順は、患者の引き渡しの場合は逆となる。

好適には、移送テーブル１３８は、患者の受け取り／引き渡しを容易化し患者を更に快適にするために種々の傾斜を与えられる。図１４は、テーブルが患者受け取りの側へ移動するときの移送テーブル１３８の横方向の傾きを図式的に示す。テーブルが患者の下に挿入されるとき、テーブルは底部が先端となるように傾けられる。この方向性は、患者の引き渡しの後に移送テーブル１３８を待避させるときにも用いられる。図１５は、移送の間に患者を支持するための移送テーブルの縦方向の傾きを図式的に示す。図示の実施例では、移送テーブル１３８は、横方向又は縦方向に水平から±１０度の角度で傾けられている。移送テーブル１３８は、搭載機構の一部として一方の側に沿っている又は一端にあるねじジャッキを用いて、傾けられる。移送テーブルを傾けるために、カム、歯車、駆動ベルト又はチェーン、電子的サーボ等の他の手段を採用することもできる。

移送テーブル１３８の傾き及び装置１３０の他の動作機能は、ボタン又はダイヤルを持ち、適当な制御用論理回路類に接続され、電子的モータ／サーボをも制御するユーザーインターフェイスパネル２６０で電子的に制御することができる。これらの機能には、移送テーブルの高さ調整、患者の受け取りと引き渡し、移送テーブルの定位置（中央）への移動、移送テーブルの横方向の位置決め、順方向と逆方向の駆動、上部テーブルの垂直位置への上方回転状態での清掃モード、又は手動操作を可能とするための動作機構の解除がある。また、電力節約のために機械の電子機器を睡眠（待機）モードと覚醒モードとの間で切り替えるボタンのような他の（非運動）機能を備えてもよい。ユーザーインターフェイスパネル２６０は、機械又はその部品の状態を示すために、発光ダイオード（ＬＥＤ）又はバーディスプレイのような視覚表示器をも有し、これは、電源投入表示器、再充電表示器、待機表示器、側部レール感知器に反応する側部レール衝撃表示器、鎖錠表示器、操舵モード表示器、脚輪モード表示器、制動モード表示器、垂直テーブル移動表示器、患者搭載表示器、電池の力の表示器、誤り表示器及び他の状態又はヘルプ情報を操作者に提供する文字数字表示装置を含む。電子制御論理回路は、再使用の前に装置が清掃されたことの確認（装置を清掃モードとし機械をリセットすることに基づく）又は患者の受け取りの前に鎖錠により上部テーブルを適切に固定していることの確認のような、安全上の又は他の運転上の手順を実行する。

上部と下部の運搬ベルト２０４、２０６に付加的な特性を吹き込み、患者持ち上げ移送装置１３０の衛生的で安全な操作を更に増進してもよい。図１６に示されるように、上部ベルト２０４の外面２０４ａは比較的荒い組織（高摩擦材料）を有し、下部ベルト２０６の外面２０６ａは比較的滑らかな組織（低摩擦材料）を有する。両ベルトは、所望の摩擦係数を達成するために、下層のポリエステル繊維と接着剤型の添加剤とを有するポリウレタンから成る。例えば、上部ベルト２０４の清浄鋼板に対する摩擦係数は約０．４であり、下部ベルト２０６の清浄鋼板に対する摩擦係数は約０．１である。上部と下部のベルトの外面に異なる摩擦係数を付与することは、患者の受け取り時に緩んだひも、チューブ、衣服等が下部ベルトの下に捕らえられるという蓋然性を減少すること、また患者との高摩擦係合を保って滑りを防止することにより、装置の能力を強化する。下部ベルトは、移送テーブルが水平摺動組立体１３６により寝台マットレスを横断して駆動され、下部ベルトとマットレスとの間に高摩擦力を必要としないため、患者支持面（例えば寝台）との係合を気にせずに外面を滑らかにすることができる。

また、ベルト２０４、２０６は、共に、ベルト材料に抗菌剤２７０を含むことが好ましい。抗菌剤２７０は、例えば、ベルトを形成する高分子材料に混入することができる。抗菌剤は、バクテリアのような微生物の繁殖と伝染を防止ないし減少するために、亜鉛又はセレンのような殺菌剤が好ましい。適当なベルトは、スイス国ライナハのハバシット株式会社（Habasit AG）が販売するハバガード（HabaGUARD）抗菌ベルトから作られる。

特定の実施例を参照して本発明について説明したが、この説明は、限定的な意味に解されることを意図するものではない。本発明の代替的な実施例と同様に、開示した実施例の種々の変形は、本発明の説明を参照した当業者には明らかである。したがって、付属の請求項で定義されるとおりの本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、そのような変形をすることが可能である。

図１は、本発明に従って構成された患者持ち上げ移送装置の一実施形態の側面図である。 図２は、図１の患者持ち上げ移送装置の正面図である。 図３は、図１の患者持ち上げ移送装置の平面図である。 図４は、図１の患者持ち上げ移送装置のための調節可能な支持部材の一つと持ち上げ機構の側面図である。 図５は、図１の患者持ち上げ移送装置の正面図で、上部と下部の支持プレート及びベルト駆動機構の内部の詳細を描いている。 図６は、図１の患者持ち上げ移送装置の正面図で、移送される患者の下にある支持プレートの初期位置を示す。 図７は、図１の患者持ち上げ移送装置の正面図で、患者の持ち上げ及び上部と下部の支持プレートの分離を示す。 図８は、図１の患者持ち上げ移送装置の正面図で、患者を移送するための支持プレートの定位置を示す。 図９は、図１の患者持ち上げ移送装置の正面図で、装置の反対側への患者の移送を示す。 図１０は、本発明に従って構成された患者持ち上げ移送装置の他の実施形態の斜視図である。 図１１は、図１０の患者持ち上げ移送装置のための車輪緩衝装置組立体及び舵取りリンク機構の平面図である。 図１２は、上部ベルトが外された図１０の患者持ち上げ移送装置の上部プレートの片面の斜視図で、上部ベルトにたるみを導入するために上部プレートエッジの線状の伸張及び収縮を描いている。 図１３は、図１０の患者持ち上げ移送装置の上部と下部のプレートの片面の正面図で、上部と下部のベルトの強制接触用のピンチローラの作動に使用する気胞を示す。 図１４は、図１０の患者持ち上げ移送装置におけるテーブル組立体の横方向の傾きを示す概略図である。 図１５は、図１０の患者持ち上げ移送装置におけるテーブル組立体の縦方向の傾きを示す概略図である。 図１６は、上部と下部のベルトの一部の詳細図であり、上部ベルトの高摩擦面、下部ベルトの低摩擦面及びベルト中に含まれる抗菌剤を示す。

符号の説明

異なる図面における同一の参照符号の使用は、類似又は同一の事項を示す。

Claims (17)

1. 患者を第１のテーブルから第２のテーブルに移す方法であって、
   車輪と支持柱を有する基部と、前記支持柱の上部に取り付けられた摺動枠と、前記摺動枠によってスライド自在に支持されたキャリッジと、上部ベルトと下部ベルトによってそれぞれ囲まれた分離可能な上部テーブルと下部テーブルを含むキャリッジによって搬送されるテーブル組立体を備えた移送装置の第１側部を前記第１のテーブルの近くに配置する工程と、
   前記ベースを静止させた状態で、前記上部テーブルと前記下部テーブルを押し付けて接触させるとともに前記上部ベルトと前記下部ベルトをそれらが向かい合って移動する方向に回転して前記患者と前記第１のテーブルとの間に前記テーブル組立体を位置させるとともに、前記ベース上の中央のホームポジションから前記移送装置の前記第１の側部にある第１の拡張ポジションに前記テーブル組立体を移動する工程と、
   前記下部テーブルを前記第１のテーブル上に置き、前記テーブル組立体が前記第１の拡張ポジションにある状態で前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離して、前記上部テーブル上の前記第１のテーブル上で前記患者を持ち上げる工程と、
   前記下部テーブルで前記移送装置を支持するとともに前記第１のテーブルの下に前記ベースのあらゆる部分を進出させることなく、前記上部テーブル上に前記患者を支持し且つ前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離させた状態で、前記第１の拡張ポジションから前記ホームポジションに前記テーブル組立体を移動させる工程と、
   前記患者を前記上部テーブル上に支持するとともに前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離させた状態で、第１の位置にある第１のテーブルから第２の位置にある前記第２のテーブルへと前記車輪上で前記移送装置を移動する工程と、
   前記移送装置の前記第１の側部を前記第２のテーブルの近くに配置する工程と、
   前記下部テーブルで前記移送装置を支持するとともに前記第２のテーブルの下に前記ベースのあらゆる部分を進出させることなく、前記上部テーブル上に前記患者を支持し且つ前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離させた状態で、前記ホームポジションから前記移送装置の前記第１の側部にある前記第１の拡張ポジションに前記テーブル組立体を移動させる工程と、
   前記上部テーブルを下降させて前記下部テーブルに押し付けて接触させるとともに前記ベースを静止状態に維持する工程と、
   前記ベースを静止状態に維持しながら、前記上部テーブルと前記下部テーブルに押し付けて接触させるとともに前記上部ベルトと前記下部ベルトをそれらが向かい合って移動する方向に回転して前記テーブル組立体を前記第１の拡張ポジションから前記ホームポジションに移動し前記患者を前記第２のテーブルに降ろす工程を備えた患者を第１のテーブルから第２のテーブルに移す方法。
2. 前記互いに向かい合って移動するベルトの速度に一致する速度で、前記テーブル組立体が前記ホームポジションに向かって又は前記ホームポジションから移動する、請求項１の方法。
3. 前記下部テーブルと前記上部テーブルが押し付けられて接触した状態で且つ前記下部テーブルと前記上部テーブルが分離した状態で、前記下部テーブルと前記上部テーブルが共通の長さ方向の軸を有し、
   前記下部テーブルと前記上部テーブルが左側の側部と右側の側部を有し、
   前記下部テーブルと前記上部テーブルのそれぞれの左側の側部と右側の側部の先端縁が、前記下部テーブルと前記上部テーブルの前記長さ方向の軸に沿って対称である、請求項１の方法。
4. 前記上部ベルトは、前記テーブル組立体の全幅に亘って伸びる幅を有する、請求項１の方法。
5. 前記テーブル組立体が前記ホームポジションから前記第１の拡張ポジションに移動する間、また、前記テーブル組立体が前記第１の拡張ポジションから前記ホームポジションに移動する間、前記上部テーブルと前記下部テーブルが押し付けられて接触した状態で、前記下部ベルトが前記上部ベルトを駆動する、請求項１の方法。
6. 前記テーブル組立体の外側に駆動機構を位置させた状態で、前記下部ベルトを駆動する工程を更に有する、請求項１の方法。
7. 前記摺動枠の高さを前記第１のテーブルの高さに調整する工程を更に有する、請求項１の方法。
8. 前記ベースを静止させた状態で、前記上部テーブルと前記下部テーブルを押し付けて接触させるとともに前記上部ベルトと前記下部ベルトをそれらが向かい合って移動する方向に回転して前記患者と前記第２のテーブルとの間に前記テーブル組立体を位置させるとともに、前記ホームポジションから前記第１の拡張ポジションに前記テーブル組立体を移動する工程と、
   前記下部テーブルを前記第２のテーブル上に置き、前記テーブル組立体が前記第１の拡張ポジションにある状態で前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離して、前記上部テーブル上の前記第２のテーブル上で前記患者を持ち上げる工程と、
   前記下部テーブルで前記移送装置を支持するとともに前記第２のテーブルの下に前記ベースのあらゆる部分を進出させることなく、前記上部テーブル上に前記患者を支持し且つ前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離させた状態で、前記第１の拡張ポジションから前記ホームポジションに前記テーブル組立体を移動させる工程と、
   前記患者を前記上部テーブル上に支持するとともに前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離させた状態で、前記第２のテーブルから前記第１のテーブルに向けて前記移送装置を移動する工程と、
   前記移送装置の第２の側部を前記第１のテーブルの第２の側部近くに配置する工程と、
   前記下部テーブルで前記移送装置を支持するとともに前記第１のテーブルの下に前記ベースのあらゆる部分を進出させることなく、前記上部テーブル上に前記患者を支持し且つ前記上部テーブルと前記下部テーブルを分離させた状態で、前記ホームポジションから前記移送装置の前記第２の側部にある前記第２の拡張ポジションに前記テーブル組立体を移動させる工程と、
   前記上部テーブルを下降させて前記下部テーブルに押し付けて接触させるとともに前記ベースを静止状態に維持する工程と、
   前記ベースを静止状態に維持しながら、前記上部テーブルと前記下部テーブルに押し付けて接触させるとともに前記上部ベルトと前記下部ベルトをそれらが向かい合って移動する方向に回転して前記テーブル組立体を前記第２の拡張ポジションから前記ホームポジションに移動し前記患者を前記第１のテーブルに戻す工程を備えた、請求項１の方法。
9. 複数の車輪を有するベースと、
   第１の端部が前記ベースに取り付けられた第１の支持柱と、
   第２の端部が前記ベースに取り付けられた第２の支持柱と、
   前記第１の支持柱に取り付けられた第１の摺動枠と、
   前記第２の支持柱に取り付けられた第２の摺動枠と、
   前記第１の摺動枠にスライド自在に支持されており、前記ベースの第１の側部に対する第１の拡張ポジションと前記ベース上の中央にあるホームポジションとの間を移動可能な第１のキャリッジと、
   前記第２の摺動枠にスライド自在に支持されており、前記ベースの前記第１の側部に対する第１の拡張ポジションと前記ベース上の中央にあるホームポジションとの間を移動可能な第２のキャリッジと、
   第１の端部が前記第１のキャリッジに固定されるとともに第２の端部が前記第２のキャリッジに固定され、下部ベルトによって囲まれた下部プレート部材を含む下部テーブルと、
   前記下部テーブルに連結され、上部ベルトによって囲まれた上部プレート部材を含み且つ前記キャリッジが前記第１の拡張ポジションにあるときに下降位置と上昇位置との間を移動可能な上部テーブルとを有し、
   前記上部テーブルが前記下降位置にあるとき、前記上部ベルトは前記下部ベルトに押し付けられて接触しており、
   前記上部テーブルが前記上昇位置にあるとき、前記上部ベルトは弛みを有する、患者昇降移送装置。
10. 前記上部テーブルが前記下降位置又は前記上昇位置にあるとき、前記上部テーブルと前記下部テーブルは共通の長さ方向の軸を有し、
    前記下部テーブルと前記上部テーブルは左側と右側を有し、前記下部テーブルと前記上部テーブルのそれぞれの側の先端縁は、前記下部テーブルと前記上部テーブルの前記共通の長さ方向の軸に沿って対称である、請求項９の患者昇降移送装置。
11. 前記上部プレート部材の上面に置かれたパッドと、
    前記パッドと前記上部ベルトの上部脚との間に入る繊維補強されたポリテトラフルオロエチレンシートを有する、請求項９の患者昇降移送装置。
12. 前記上部ベルトと前記下部ベルトの外面はエチレンビニルアセテートの被覆を有し、
    前記上部ベルトと前記下部ベルトの内面はポリテトラフロエチレンの被覆を有する、請求項９の患者昇降移送装置。
13. 前記上部ベルトは、前記上部テーブルの全長に伸びる幅を有する、請求項９の患者昇降移送装置。
14. 前記キャリッジが前記ホームポジションから前記第１の拡張ポジションに移動するとき、前記上部ベルトと前記下部ベルトが押し付けられて接触している状態で前記下部ベルトが前記上部ベルトを駆動する、請求項９の患者昇降移送装置。
15. 前記下部テーブルの外側に配置されており、前記下部ベルトを駆動するための駆動機構を有する、請求項１４の患者昇降移送装置。
16. 前記第１の摺動枠は前記第１の支持柱の調節可能な上部に固定されており、前記第２の摺動枠は前記第２の支持柱の調節可能な上部に固定されている、請求項９の患者昇降移送装置。
17. 前記第１のキャリッジは、前記ベースの第２の側部で、第２の拡張ポジションに移動可能であり、
    前記第２のキャリッジは、前記ベースの前記第２の側部で、第２の拡張ポジションに移動可能であり、
    前記上部テーブルは、前記キャリッジが前記第２の拡張ポジションにあるとき、前記下降位置と前記上昇位置との間を移動可能である、請求項９の患者昇降位相装置。

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