JP5275888B2 - 植物由来組成物とその製造方法ならびに成形品 - Google Patents

植物由来組成物とその製造方法ならびに成形品 Download PDF

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Description

本発明は、植物由来組成物とその製造方法ならびに成形品に関するものである。
プラスチック材料は軽くて丈夫であること、成型が容易であること、酸素による腐食が起こりにくいこと等から各種の分野に応用されている。しかし、これらのプラスチックの原料は石油であるため、焼却廃棄による地球温暖化ガスの増加問題や枯渇問題といったことが懸念される。
近年、これらの問題点を解決する方法の一つとして、バイオマス由来プラスチックが研究されている。中でも、とうもろこし等の植物を原料としたポリ乳酸は他のバイオマスプラスチックに比べて高い耐熱性と剛性を有しており、大量生産が行われるようになってきている。
しかし、このポリ乳酸でも石油由来のプラスチックであるPE、PP、ABSに比べると耐熱性、機械的物性といった面で劣るため、利用される分野が限られているのが現状である。
一方、ポリフェノール類は多くの芳香族環を有することから高い耐熱性、物理特性を示すことが知られている。そこで、植物由来の原料の骨格にポリフェノール骨格を取り込むことが検討されている。例えば、植物由来原料のリノール酸やリノレン酸に石油由来フェノール類を付加させた後、エポキシ樹脂等と反応させて架橋・高分子化して物性の高い樹脂を作成する試みがなされている(特許文献1参照)。
しかし、植物由来樹脂を石油由来のフェノールで変性するといったことを行う必要があり、生産性が悪くなる等の問題点がある。
これに対して、元々ポリフェノール骨格を持つ植物由来の材料を用いれば、変性させる必要も無く高い耐熱性、物理特性を持つ樹脂を成形できることが期待される。例えば、ポリフェノール骨格を持つ植物由来の材料の一つであるタンニンの有効活用である。タンニンはフェノール樹脂と同じような骨格を持つことから、フェノール樹脂と一緒にタンニンをホルムアルデヒドと反応させフェノール樹脂とタンニンのベンゼン環にメチロール基を導入し、そのメチロール基を介して架橋・高分子化させ接着剤として用いることが検討されてきた(非特許文献1、2参照)。
他には、ポリフェノールの一つであるリグニンのフェノール性水酸基を有効活用して樹脂を作成する方法が検討されている。
しかし、ポリフェノールの持つフェノール性水酸基は従来のフェノール樹脂よりも反応させにくいとされている。これは植物由来ポリフェノールは分子同士が水素結合によって強く結合していることに原因があると考えられる。
この問題点を解決するために、まずフェノール性水酸基と反応性の高い化合物、例えばエピクロロヒドリンを反応させ、エポキシ化した後、架橋・高分子化させるという方法(非特許文献3参照)や、リグニンをフェノール誘導体でグラフト化した化合物とエポキシ樹脂とを反応させ架橋・高分子化させる方法(特許文献2参照)が提案されている。このように、植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基を反応させるためには何らかの特別な手段を適用する必要がある。
また、特許文献3には、リグニンやタンニンを硬化促進剤の存在下にエポキシ樹脂等で架橋させ、硬化させることが提案されている。
特開平6−297627号公報 特開2008−213370号公報 特開平9−143305号公報
「木質新素材ハンドブック」 技報堂出版 p. 361 「ウッドケミカルスの新展開」 シーエムシー出版 p. 225 (2007) 「植物由来プラスチックの高性能化とリサイクル技術」 サイエンス&テクノロジー株式会社 p. 129 (2007)
しかしながら、特許文献3には、植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させるための方法については全く記載されていない。特許文献3のように何の方策も採らないまま硬化を行ってしまうとエポキシ樹脂の自重合が優先的に起こり、植物由来ポリフェノールが硬化物の結合内に取り込まれない可能性がある。
実際、特許文献3ではプリプレグ状態の物性を判断する基準としてエポキシ基の減少量しか観測しておらず、植物由来ポリフェノールとエポキシ樹脂とが反応したプリプレグであるか否かは判断できない。さらに、特許文献3には硬化促進剤が必要である旨が記載されているが、タンニンのようなポリフェノールを用いた場合、タンニンは溶解することでH +を生成する。そのH+が触媒となる為、触媒としての硬化促進剤を添加する必要が無いのである。
以上のように、特許文献3では植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させるための手段については何ら開示されていない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高い耐熱性を有する成形品を得ることができ、しかも植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基との高い反応性を有する植物由来組成物とその製造方法ならびに成形品を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
発明の植物由来組成物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂と、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールと溶媒とを混合して加熱し、エポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて半硬化状態としたものであり、沸点180℃以下の化合物の含有量が10質量%以下、かつ、植物由来ポリフェノールの含有量が1〜75質量%とされていることを特徴としている。
本発明の成形品は、前記植物由来組成物を成形して得られたものであることを特徴としている。
本発明の植物由来組成物の製造方法は、1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂と、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールとを溶媒に溶解してエポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとを溶媒中で相溶させてワニスを作製し、次いでこのワニスを加熱することにより溶媒を除去しながらエポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて、沸点180℃以下の化合物の含有量が10質量%以下、かつ、植物由来ポリフェノールの含有量が1〜75質量%の半硬化状態とすることを特徴としている。
この植物由来組成物の製造方法では、加熱温度が80〜180℃であることが好ましい。
発明によれば、バイオマスとしての植物由来ポリフェノールを硬化剤として用いているため、環境配慮型の成形品を得ることができ、さらに、植物由来ポリフェノールは芳香族環を有しているので高い耐熱性を有する成形品を得ることができる。
また、加熱により半硬化状態とすることで、溶媒等の低沸点化合物の含有量を低減することができ、低沸点化合物の気化による成形時の発泡を抑制することができる。
さらに、半硬化状態の組成物としているので、ハンドリング性が良好である。
点180℃以下の化合物の含有量を10質量%以下としているので、上記効果に加え、低沸点化合物の気化による成形時の発泡を特に抑制することができる。
植物由来ポリフェノールの含有量を1〜75質量%としているのでガラス転移温度の低下、および機械的特性や透明性の低下を抑制することができる。
前記植物由来組成物を反応硬化させることで成形品としており、当該組成物は、従来の硬化性樹脂と同様に加熱、光照射、硬化促進剤の添加等により反応して3次元網状構造の硬化物となるため、熱可塑性樹脂等と比較してより高い耐熱性が得られる。
物由来ポリフェノールとエポキシ樹脂とを溶媒に溶解させてこれらを相溶させている。一般に植物由来ポリフェノールに含まれる水酸基は反応性が低く、単純にエポキシ樹脂と混合しても反応しないか、その反応は非常に遅い。そのためエポキシ樹脂同士の自重合が優先的に起こり、エポキシ樹脂のネットワーク中に植物由来ポリフェノールが分離して存在することとなる。
しかし植物由来ポリフェノールとエポキシ樹脂とをこれらを共に溶解させる溶媒中に存在させることで、簡便な方法によって、植物由来ポリフェノールの水酸基の反応性が向上してエポキシ樹脂のエポキシ基と反応させることができる。
また、植物由来ポリフェノールは2つ以上の芳香族環を有し、それぞれに水酸基を有しているので、一分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋した高い耐熱性を有する硬化物となる。
熱温度を80〜180℃としているので、成形品の性能を損なうことのない植物由来組成物を効率良く製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールとしては、例えば、木本植物(マツ科、スギ科、ヒノキ科等の針葉樹、広葉樹)および草本植物の樹皮、幹、茎、枝、葉等のタンニン、お茶等に含まれるフラボノイドの一種であるエピガロカテキンガレートと呼ばれるポリフェノール類等が挙げられる。
植物の種類、部位等によって、含まれる植物由来ポリフェノールの構造は異なる。例えばタンニンの場合、フラバノール骨格を持つ化合物が重合した縮合型タンニンと、没食子酸やエラグ酸等の芳香族化合物とグルコース等の糖とがエステル結合を形成した加水分解型タンニンの2つに分類される。
縮合型タンニンは針葉樹、広葉樹のどちらにも分布している。幹の部分よりも樹皮に多く分布しており、アカシア属の樹木の樹皮タンニン含有率は20〜30質量%にのぼる。縮合型タンニンは世界で生産される総タンニン量のうち、90%を占めると言われている。
加水分解型タンニンは双子葉離弁花植物に局在して分布し、ウコギ科ヌルデの葉にヌルデノミミフシアブラムシが寄生してできる虫こぶ(五倍子と称する)に含まれるガロタンニンや、フウロソウ科ゲンノショウコに含まれるエラジタンニン等が挙げられる。
本発明に用いられる1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂としては、例えば、石油由来のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、植物油脂のエポキシ樹脂を用いることもできる。植物油脂のエポキシ樹脂を用いることで、植物由来組成物とその成形品における植物由来成分の比率を高めることができ、カーボンニュートラルな特性をさらに高めることができる。このような植物油脂のエポキシ樹脂としては、例えば、市販されている大豆、亜麻、桐、ごま、やしの種子等の植物油脂のエポキシ樹脂を用いることができる。
本発明の植物由来組成物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂と、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールとを混合し、エポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて半硬化状態とすることにより得ることができる。
本発明では、特に、1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂と1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールとを反応させるために、両者が相溶している状態を作ることが好ましい。すなわち、エポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとが相分離したままでは、エポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとの反応よりもエポキシ樹脂同士の自重合が優先的に起こり易くなり、エポキシ樹脂のネットワーク中に植物由来ポリフェノールが分離して存在してしまう。これに対して、エポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとが相溶状態にあることで、植物由来ポリフェノールの水酸基の反応性が向上し、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応するようになる。
エポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとを相溶状態にする方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、相溶化剤や界面活性剤等を添加する方法、エポキシ樹脂を加熱溶融し、その中に植物由来ポリフェノールを撹拌により分散させる方法、エポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとの両方を溶解させる溶媒を用いる方法等が挙げられる。
例えば、植物由来ポリフェノールとして極性が高いタンニンを用いた場合、このタンニンは水溶性である。これに対して、一般に市販されているエポキシ樹脂の大半は極性が低く非水溶性であり、タンニンとエポキシ樹脂との相溶性は良好ではない。
しかし、タンニンとエポキシ樹脂とをこれらを共に溶解させる溶媒中に存在させることで、簡便な方法によって、タンニンのフェノール性水酸基のエポキシ樹脂のエポキシ基に対する反応性が向上する。
このようにタンニン等の植物由来ポリフェノールとエポキシ樹脂とを溶媒に溶解してこれらを相溶させる場合、溶媒は、植物由来ポリフェノールおよびエポキシ樹脂の分子量や極性により適宜のものが選択され、特に限定されるものでははないが、SP値が9〜15の溶媒、例えば、メタノール、エタノール、DMF、ピリジン、アセトン、メチルエチルケトン等の溶媒は、極性の高いタンニン酸等の植物由来ポリフェノールと極性の低いエポキシ樹脂とを共に溶解させる可能性が高いので、ここで選ばれる溶媒となり得る。また、水溶性のエポキシ樹脂の場合は溶媒として水を用いることができる。
溶媒の添加量は、エポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとの双方の溶解性を考慮して適宜に設定される。
本発明の植物由来組成物を製造するに際し、エポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて半硬化状態とするために、これらを含む混合物の加熱を行う。例えばエポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとを溶媒に溶解した場合には、加熱することにより溶媒を除去しながらエポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて半硬化状態とする。
加熱乾燥により反応を進行させる際の加熱温度は、好ましくは80〜180℃である。加熱温度が低過ぎると、エポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基との反応が遅いため、半硬化状態の植物由来組成物の生産性が悪くなる。一方、加熱温度が高過ぎると、植物由来ポリフェノールの多くは融点を持たず200℃付近で分解が起こるものが多いため、成型した成形品の性能が低下するおそれがある。
また、このようにして半硬化状態として得られる本発明の植物由来組成物は、好ましくは、沸点180℃以下の化合物の含有量が10質量%以下である。沸点180℃以下の化合物の含有量が多くなると、加熱硬化による成形時の熱により当該化合物が気化して樹脂中で発泡し、成形品の機械的特性を低下させる場合がある。
本発明の植物由来組成物における植物由来ポリフェノールの含有量は、好ましくは1〜75質量%である。すなわち、植物由来組成物は植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基、またはエポキシ樹脂のエポキシ基同士が1対1で反応して形成されるが、植物由来ポリフェノールの含有量を当該範囲内とすることで、過剰な植物由来ポリフェノールの存在により樹脂の結合の架橋が粗くなったり、結合内に取り込まれない植物由来ポリフェノールが現れたりすることによる、ガラス転移温度の低下や機械的特性の低下を抑制することができる。従って、植物由来ポリフェノールの配合に際しては、エポキシ樹脂のエポキシ基の当量と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基の当量とを等しくすることが考慮される。
本発明の植物由来組成物には、上記した各成分に加えて、他の添加成分を配合してもよい。このような添加成分としては、例えば、パラトルエンスルホン酸水和物、トリフェニルホスフィン、イミダゾール、ジアザビシクロウンデセン等の硬化性樹脂に一般に用いられている硬化促進剤、および充填材、増量材等が挙げられる。また、植物由来ポリフェノールとエポキシ樹脂の相溶性をさらに向上させて反応性を高め、あるいは溶媒の使用量を抑制する目的で、オキサゾリン系、エポキシ−アクリル系、エポキシ−酸無水物系等の相溶化剤を植物由来組成物に配合することができる。
本発明の植物由来組成物は、適宜の条件にて反応させることによって硬化物とされる。硬化反応の反応機構としては、植物由来ポリフェノールの水酸基と、エポキシ樹脂のエポキシ基との反応が主反応として進行し、副反応としてエポキシ樹脂のエポキシ基同士の反応が進行する。これにより3次元網状構造の硬化物が形成される。タンニン等の植物由来ポリフェノールは2つ以上の芳香族環を有し、それぞれに水酸基を有しているので、1分子中の複数の水酸基が複数のエポキシ基と反応することにより、反応物は3次元架橋した高い耐熱性と機械的特性を有する硬化物となる。
硬化反応の条件は、特に制限はなく、従来の硬化性樹脂と同様の条件が適用できる。例えば、加熱、光照射、硬化促進剤の添加などにより硬化反応を進行させることができる。
本発明の植物由来組成物は、高い耐熱性を有する成形品を得ることができる。従って、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の代替としてバスユニットや水廻り製品等に、そしてフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の代替として電子材料の基板等に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1、2、4、5>
エポキシ樹脂としてエピクロン850S(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量 185g/eq、DIC(株)製)、植物由来ポリフェノールとしてタンニンを含有する植物の抽出成分であるタンニン酸AL(加水分解型、タンニン含有率96%以上、富士化学工業(株)製)を用い、これらをアセトンに溶解させ、ワニスを調製した。ワニスの組成比はエポキシ樹脂:植物由来ポリフェノール:溶媒=100:100:100とした。
このワニスを表1に記載の加熱条件に従い乾燥機で加熱乾燥した。加熱乾燥によって、フェノール性水酸基とエポキシ基とを反応させながら同時に溶媒を取り除き、半硬化状態の植物由来組成物を得た。なお、調製した半硬化状態の植物由来組成物を熱分析装置で測定し、180℃以下の化合物の質量比率を見積もった。その結果を表1に示す。
また、半硬化状態の植物由来組成物を170℃の熱盤で加熱しゲル化までの時間を測定した。その結果を表1に示す。
また、この条件で作製した半硬化状態の植物由来組成物について、フェノール性水酸基とエポキシ基とが反応していることを赤外吸収スペクトルの1222cm-1付近のピーク(アリールアルキルエーテル)の増加、915cm-1付近のピーク(エポキシ基)の減少で確認した。
次に、上記で得られた植物由来組成物を厚さ1.4mm、縦15mm、横70mmの型に入れ、両面にステンレス板を配置して、温度180℃、圧力1.96MPa(20kg/cm2)、120分間の成形条件で加熱加圧を行い、硬化物の成形品を得た。そして成形体に目視で観察できる気泡が20個以上見られたものを「発泡」、5個以上20個未満のものを「やや発泡」、4個以下のものを「発泡なし」とみなして評価した。その結果を表1に示す。
また、文字が記載されている紙の上に成形品を置き下の文字が見えるものを「透明」、ところどころ見えない部分が存在するものを「一部不透明」、全く見えないものを「不透明」とみなして評価した。その結果を表1に示す。
また、成形品のガラス転移温度をセイコーインスツルメンツ社製 EXSTAR6000 DMS熱分析装置を用いて損失弾性率の最大値から求めた。測定条件は15〜180℃、昇温速度3℃/min、周波数1Hzとした。その結果を表1に示す。
<実施例3>
エポキシ樹脂としてエピクロン850S(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量 185g/eq、DIC(株)製)、植物由来ポリフェノールとしてタンニンを含有する植物の抽出成分であるタンニン酸AL(加水分解型、タンニン含有率96%以上、富士化学工業(株)製)を用い、これらをアセトンに溶解させ、ワニスを調製した。ワニスの組成比はエポキシ樹脂:植物由来ポリフェノール:溶媒=100:500:400とした。
このワニスを表1に記載の加熱条件に従い乾燥機で加熱乾燥した。加熱乾燥によって、フェノール性水酸基とエポキシ基とを反応させながら同時に溶媒を取り除き、半硬化状態の植物由来組成物を得た。なお、調製した半硬化状態の植物由来組成物を熱分析装置で測定し、180℃以下の化合物の質量比率を見積もった。その結果を表1に示す。
また、半硬化状態の植物由来組成物を170℃の熱盤で加熱しゲル化までの時間を測定した。その結果を表1に示す。
また、この条件で作製した半硬化状態の植物由来組成物について、フェノール性水酸基とエポキシ基とが反応していることを赤外吸収スペクトルの1222cm-1付近のピーク(アリールアルキルエーテル)の増加、915cm-1付近のピーク(エポキシ基)の減少で確認した。
次に、上記で得られた植物由来組成物を厚さ1.4mm、縦15mm、横70mmの型に入れ、両面にステンレス板を配置して、温度180℃、圧力1.96MPa(20kg/cm2)、120分間の成形条件で加熱加圧を行い、硬化物の成形品を得た。そして成形品の発泡性、透明性について実施例1、2、4、5と同じ基準で評価した。その結果を表1に示す。
また、成形品のガラス転移温度を実施例1、2、4、5と同じ条件で測定した。その結果を表1に示す。
<実施例6>
エポキシ樹脂としてエピクロン850S(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量 185g/eq、DIC(株)製)、植物由来ポリフェノールとして(−)−没食子酸エピガロカテキン(没食子酸エステル、純度98%以上、東京化成工業(株)製)を用い、これらをアセトンに溶解させ、ワニスを調製した。ワニスの組成比はエポキシ樹脂:植物由来ポリフェノール:溶媒=100:100:100とした。
このワニスを表1に記載の加熱条件に従い乾燥機で加熱乾燥した。加熱乾燥によって、フェノール性水酸基とエポキシ基とを反応させながら同時に溶媒を取り除き、半硬化状態の植物由来組成物を得た。なお、調製した半硬化状態の植物由来組成物を熱分析装置で測定し、180℃以下の化合物の質量比率を見積もった。その結果を表1に示す。
また、半硬化状態の植物由来組成物を170℃の熱盤で加熱しゲル化までの時間を測定した。その結果を表1に示す。
次に、上記で得られた植物由来組成物を厚さ1.4mm、縦15mm、横70mmの型に入れ、両面にステンレス板を配置して、温度180℃、圧力1.96MPa(20kg/cm2)、120分間の成形条件で加熱加圧を行い、硬化物の成形品を得た。そして成形品の発泡性、透明性について実施例1、2、4、5と同じ基準で評価した。その結果を表1に示す。
また、成形品のガラス転移温度を実施例1、2、4、5と同じ条件で測定した。その結果を表1に示す。
<実施例7>
エポキシ樹脂としてエポキシ化亜麻仁油(ダイセル化学工業(株)製、ダイマックL−500、CAS8016−11−3)、植物由来ポリフェノールとしてタンニンを含有する植物の抽出成分であるタンニン酸AL(加水分解型、タンニン含有率96%以上、富士化学工業(株)製)を用い、これらをアセトンに溶解させ、ワニスを調製した。ワニスの組成比はエポキシ樹脂:植物由来ポリフェノール:溶媒=100:100:100とした。
このワニスを表1に記載の加熱条件に従い乾燥機で加熱乾燥した。加熱乾燥によって、フェノール性水酸基とエポキシ基とを反応させながら同時に溶媒を取り除き、半硬化状態の植物由来組成物を得た。なお、調製した半硬化状態の植物由来組成物を熱分析装置で測定し、180℃以下の化合物の質量比率を見積もった。その結果を表1に示す。
また、半硬化状態の植物由来組成物を170℃の熱盤で加熱しゲル化までの時間を測定した。その結果を表1に示す。
次に、上記で得られた植物由来組成物を厚さ1.4mm、縦15mm、横70mmの型に入れ、両面にステンレス板を配置して、温度180℃、圧力1.96MPa(20kg/cm2)、120分間の成形条件で加熱加圧を行い、硬化物の成形品を得た。そして成形品の発泡性、透明性について実施例1、2、4、5と同じ基準で評価した。その結果を表1に示す。
また、成形品のガラス転移温度を実施例1、2、4、5と同じ条件で測定した。その結果を表1に示す。
<比較例1>
エポキシ樹脂としてエピクロン520(アルキルフェノールモノグリジジルエーテル、エポキシ当量 230g/eq、DIC(株)製)、植物由来ポリフェノールとしてタンニンを含有する植物の抽出成分であるタンニン酸AL(加水分解型、タンニン含有率96%以上、富士化学工業(株)製)を用い、これらをアセトンに溶解させ、ワニスを調製した。ワニスの組成比はエポキシ樹脂:植物由来ポリフェノール:溶媒=100:100:100とした。
このワニスを表1に記載の加熱条件に従い乾燥機で加熱乾燥した。加熱乾燥によって、フェノール性水酸基とエポキシ基とを反応させながら同時に溶媒を取り除き、半硬化状態の植物由来組成物を得た。なお、調製した半硬化状態の植物由来組成物を熱分析装置で測定し、180℃以下の化合物の質量比率を見積もった。その結果を表1に示す。
また、半硬化状態の植物由来組成物を170℃の熱盤で加熱しゲル化までの時間を測定した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
エポキシ樹脂としてエピクロン850S(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量 185g/eq、DIC(株)製)、植物由来ポリフェノールとしてタンニンを含有する植物の抽出成分であるタンニン酸AL(加水分解型、タンニン含有率96%以上、富士化学工業(株)製)を用い、これらを溶媒を用いずに混合した。混合物の組成比はエポキシ樹脂:植物由来ポリフェノール=100:100とした。
この混合物を表1に記載の加熱条件に従い乾燥機で加熱乾燥した。なお、調製した半硬化状態の植物由来組成物を熱分析装置で測定し、180℃以下の化合物の質量比率を見積もった。その結果を表1に示す。
また、半硬化状態の植物由来組成物を170℃の熱盤で加熱しゲル化までの時間を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005275888
表1より、実施例1〜7では、半硬化状態の植物由来組成物は加熱加圧により硬化し、得られた硬化物の成形品は、ガラス転移温度が概ね100℃以上であった。これは、バイオマス由来の樹脂組成物の中では非常に耐熱性が高いと言える。
また、実施例7ではエポキシ樹脂として亜麻仁油変性エポキシ樹脂を用い、主剤、硬化剤共にバイオマス由来のものを用いてバイオマス高含有プラスチックを作製することができた。
また、ワニスの加熱乾燥時の温度を80〜180℃として半硬化状態の植物由来組成物を得た場合には、特に高い透明性が得られた。
また、半硬化状態の植物由来組成物における沸点180℃以下の化合物の割合が10質量%以下の場合には、発泡が特に抑制された。
また、植物由来ポリフェノールの含有量が75質量%以下である場合には、ガラス転移温度が高く透明性も良好であった。
一方、比較例1では、エポキシ樹脂として1分子中のエポキシ基が1個のアルキルフェノールモノグリジジルエーテルを用いたが、植物由来組成物は加熱加圧しても硬化せず、硬化物の成形品は得られなかった。
また、比較例2では、溶媒を用いなかったためエポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとが相溶せず、そのため植物由来組成物は加熱加圧しても硬化せず、硬化物の成形品は得られなかった。

Claims (4)

  1. 1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂と、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールと溶媒とを混合して加熱し、エポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて半硬化状態としたものであり、沸点180℃以下の化合物の含有量が10質量%以下、かつ、植物由来ポリフェノールの含有量が1〜75質量%とされていることを特徴とする植物由来組成物。
  2. 請求項1に記載の植物由来組成物を成形して得られたものであることを特徴とする成形品。
  3. 1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂と、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ植物由来ポリフェノールとを溶媒に溶解してエポキシ樹脂と植物由来ポリフェノールとを溶媒中で相溶させてワニスを作製し、次いでこのワニスを加熱することにより溶媒を除去しながらエポキシ樹脂のエポキシ基と植物由来ポリフェノールのフェノール性水酸基とを反応させて、沸点180℃以下の化合物の含有量が10質量%以下、かつ、植物由来ポリフェノールの含有量が1〜75質量%の半硬化状態とすることを特徴とする植物由来組成物の製造方法。
  4. 加熱温度が80〜180℃であることを特徴とする請求項3に記載の植物由来組成物の製造方法。
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