JP5273664B2 - 通信特性解析システム、通信特性解析方法、及び通信特性解析プログラム - Google Patents

通信特性解析システム、通信特性解析方法、及び通信特性解析プログラム Download PDF

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Description

本発明は、移動無線通信システムにおける基地局設置設計(置局設計)に利用される無線通信特性の解析システム、通信特性解析方法、及びこの解析方法をコンピュータシステムに実行させる通信特性解析プログラムに関する。
従来、置局設計においては、電測車やエリアテスタと実験局とによって収集した屋内外の通信環境の実測値と、コンピュータによる電波伝搬特性のシミュレーション結果(推定値)とを併用して、基地局の種類や設置場所候補などを決定する場合が多い(非特許文献1)。このコンピュータシミュレーションにおいては、一般に、地形や建物などの地理情報と基地局の諸元データとに基づいて電波伝搬経路や伝搬損失などの無線通信特性を算出している。
上記シミュレーションに際しては、解析精度を向上させるために、演算対象エリアの地域特性を考慮して複数の解析方法を使い分けることも行われている。例えば、以下の特許文献1では、都市部については坂上モデル、郊外部については奥村−秦式を利用することが開示されている(段落[0029])。また、以下の非特許文献2、3では、都市、郊外、屋内などの複数の電波伝搬環境について、レイトレース(レイラウンチング法)、奥村−秦式、坂上モデル、自由空間式などの複数の電波伝搬推定モデルから最適なモデルを選択して電波伝搬シミュレーションを行なうことが開示されている。
すなわち、奥村−秦式や自由空間式などの統計論的解析方法は、遮蔽物が少なく基地局の見通しエリアが広い郊外部については、高い精度で高速シミュレーションが可能であるが、電波伝搬に影響を与える構造物やオブジェクトが多い都市部では、所望の精度が得られない問題がある。そのため、都市部については、坂上モデルなどの準経験式や、レイトレーシング法(レイラウンチング法やイメージング法)などの決定論的解析方法によって解析することが有効である。
また、特許文献2には、イメージング法を用いてサービスエリア内の電波の受信特性を推定する場合に、演算処理量を低減できる発明が開示されている。この発明は、送信点(基地局)からの見通し内に存在する構造物(建物等)及び受信点(移動局)からの見通し内に存在する構造物のみを考慮することで、送信点から受信点に至る電波(レイ)の経路をトレースする対象を最小限に抑えて、大幅な演算処理の高速化を図るようにしている(請求項1、段落[0022]等)。
さらに、特許文献3には、基地局のカバーエリア内の見通し率を算出する際に、エリア内の見通し可能建物について見通し可能側面を認識し、この側面を構成する直線上に見通し判定点を設定する発明が開示されている。これにより、この発明では、建物の屋上平面内に存在する複数の格子点や建物中央点を判定点に設定する場合に比べて、計算量を大幅に削減している。また、ベランダやビル壁面などに無線局アンテナを設置する形態にあわせて、より現実的で高精度の判定を可能にしている。
「置局設計総合支援システム」NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol.4 No.1 pp.28−31 1996−04 http://www.remcom.com/wireless-insite/optional-modules/wireless-insite-rt.html http://www.kke.co.jp/news/2008/pdf/NewsRelease_wireless.pdf
特開2004−304302号公報(段落[0029]) 特開2005−72667号公報(請求項1、段落[0022]) 特開2006−352551号公報(請求項1、段落[0018])
ところで、上記した置局設計における解析方法においては、メッシュ内に高層建築物や土地の起伏などの遮蔽物が存在する割合(占有面積比)や高さ、標高等によって、都市部や郊外などのメッシュのエリア属性を決定している。そして、そのエリア属性にマッチした解析方法によってメッシュ単位で通信特性を演算している。そのため、メッシュ内の一部の極所的な通信特性を把握することができない。
具体的には、上記した奥村−秦式や自由空間式などの統計論的解析方法では、メッシュの中心点と基地局との距離が所帯範囲内で、メッシュに含まれる建造物の高さや階数が所定値以下で、伝搬経路上に高層ビルがないなどの条件を満たせば、統計的処理によって当該メッシュ全体が「通信特性良好」と評価される。そのため、例えば、数階程度の中層建築物に四方が囲まれた低層の建築物の周囲が極所的に不感エリアとなっていても、ユーザからのクレーム対応時等に実測値による検証作業が行なわれない限り顕在化しない。
逆に、大都市中心部の高層ビルに隣接した低層の建築物であっても、最寄りの基地局の方向が道路や駐車場等で見通しであれば通信特性は良好である。それにも拘らず、上記した決定論的解析方法をそのまま適用すると、この低層建築物を含むメッシュ全体が「要対策エリア」と評価されるおそれがある。その結果、不感エリアの解消対策(現場での実測、基地局やレピータ等の新設、基地局間の干渉調整、セクター方向や出力調整など)が必要になる。
ここで、不感エリアを特定するために、メッシュ分割の単位を小さくしたり(数m程度)、通信特性の解析単位をメッシュではなく建造物単位としたり、実測データを参照してメッシュの通信特性の推定値を検証することも考えられる。
しかし、メッシュ分割の単位を小さくしても、エリア属性の判定方法や解析方法の選択基準が同じである限り解析精度の向上には限界があり、解析対象が増えて計算量が膨大になるデメリットを考慮すると、有効な対策とは言えない。
また、建造物単位で通信特性を詳細に解析することは、日本国内で数千万棟も存在する全ての物件を解析することになり、膨大なコストと時間がかかるため現実的でない。なお、上記した特許文献2、3に開示された解析対象の絞り込みは、基地局等の設置候補エリア、すなわち不感エリアが特定されていて、その中から解析対象の建物を絞り込む方法であるため、数千万棟から解析対象を絞り込む場合には適用できない。
さらに、実測データを参照して推定値を検証する場合には、50〜500m四方でメッシュ分割するとメッシュの総数は日本国内だけでも150万以上になるため、その全てについて実測データを収集して通信特性の推定値を検証することも現実的ではない。また、計算量やコストを抑えるために、検証対象となるメッシュをランダムに若しくは特定の基準に従って絞り込んでも、不感エリアの特定精度とトレードオフになるに過ぎず、根本的な対策とは言えない。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたもので、計算量を最小限に抑えながら通信特性の解析精度を向上させて極所的な不感エリアを特定し、置局設計に有益な情報を提供することができる通信特性解析システム、通信特性解析方法及びこの方法をコンピュータに実行させる通信特性解析プログラムの提供を目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の一の形態における通信特性解析システムは、エリア属性判別基準格納部と、解析方法格納部と、基準推定値格納部と、エリア属性判別手段と、ターゲット建物特定手段と、極所解析手段とを具備する。
エリア属性判別基準格納部は、地図上の一定エリアのエリア属性を判別するための判別基準を記憶する。このエリア属性は、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて2以上に分類される。
解析方法格納部は、通信特性の複数の極所解析方法を上記エリア属性に関連付けて記憶する。
基準推定値格納部は、上記解析方法格納部に格納された複数の極所解析方法とは異なる方法によって演算された通信特性の推定値(以下、「基準推定値」)を格納する。この基準推定値は、上記地図上の一定エリアごとに演算され、当該エリアに関連付けて基準推定値格納部に格納される。
エリア属性判別手段は、上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別する。このエリア属性は、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて判別される。
ターゲット建物特定手段は、上記解析対象エリア内に存在する建物の中から極所解析の対象とする建物(以下、「ターゲット建物」)の指定を受け付ける。
極所解析手段は、判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記解析方法格納部から検索する。この極所解析手段は、ターゲット建物の通信特性を極所解析する。また極所解析手段は、極所解析の結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
ここで、本明細書における「極所解析」とは、解析手法の如何を問わず、メッシュなどの所定面積のエリアではなく、特定の建物の通信特性を個別に解析若しくは補正する処理を指す。
本発明の別の形態における通信特性解析システムは、エリア属性判別基準格納部と、解析方法格納部と、エリア属性判別手段と、極所解析手段とを具備する。
エリア属性判別基準格納部は、地図上の一定エリアのエリア属性を判別するための判別基準を記憶する。このエリア属性は、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて2以上に分類される。
解析方法格納部は、トポロジー解析、クオータ解析若しくは地形解析を含む通信特性の複数の極所解析方法を上記エリア属性に関連付けて記憶する。
エリア属性判別手段は、上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別する。このエリア属性は、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて判別される。
極所解析手段は、判別されたエリア属性に関連付けられた解析方法を上記解析方法格納部から検索する。この解析手段は、特定した解析方法によって解析対象エリアの通信特性を解析する。
本発明の別の形態に係る通信特性解析方法は、記憶装置に、エリア属性の判別基準と、通信特性の解析方法と、通信特性の推定値(基準推定値)とを記憶したコンピュータによって実現される。
この通信特性解析方法は、エリア属性判別ステップと、ターゲット建物特定ステップと、極所解析ステップとを具備する。
エリア属性の判別基準は、地図上の一定エリアのエリア属性を判別するための判別基準である。このエリア属性は、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて2以上に分類される。
通信特性の解析方法は、通信特性の複数の極所解析方法である。この解析方法は、上記エリア属性に関連付けられる。
基準推定値は、上記通信特性の極所解析方法とは異なる方法によって演算される。この基準推定値は、上記地図上の一定エリアごとに演算される。
エリア属性判別ステップは、上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別する。このエリア属性判別ステップは、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいてエリア属性を判別する。
ターゲット建物特定ステップは、上記解析対象エリア内に存在する建物の中から極所解析の対象とする建物(以下、「ターゲット建物」)の指定を受け付ける。
極所解析ステップは、判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記記憶装置から検索する。この極所解析ステップは、ターゲット建物の通信特性を極所解析する。この極所解析ステップは、極所解析の結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正する。そして、極所解析ステップは、補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
本発明の別の形態に係る通信特性解析プログラムは、記憶装置に、エリア属性の判別基準と、通信特性の解析方法と、通信特性の推定値(基準推定値)とを記憶したコンピュータに、エリア属性判別ステップと、ターゲット建物特定ステップと、極所解析ステップとを実行させる。
エリア属性の判別基準は、地図上の一定エリアのエリア属性を判別するための判別基準である。このエリア属性は、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて2以上に分類される。
通信特性の解析方法は、通信特性の複数の極所解析方法である。この解析方法は、上記エリア属性に関連付けられる。
基準推定値は、上記通信特性の極所解析方法とは異なる方法によって演算される。この基準推定値は、上記地図上の一定エリアごとに演算される。
エリア属性判別ステップは、上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別する。このエリア属性判別ステップは、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいてエリア属性を判別する。
ターゲット建物特定ステップは、上記解析対象エリア内に存在する建物の中から極所解析の対象とする建物(以下、「ターゲット建物」)の指定を受け付ける。
極所解析ステップは、判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記記憶装置から検索する。この極所解析ステップは、ターゲット建物の通信特性を極所解析する。この極所解析ステップは、極所解析の結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正する。そして、極所解析ステップは、補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信特性解析システムの地図データの階層構造を示す模式図である。 図2は、同じく地図データのメッシュ構造を示す図である。 図3は、同じく全体処理工程を示すフローチャートである。 図4は、クオータ解析を説明するための模式図である。 図5は、クオータ解析におけるセクタータイプの例を示す図である。 図6は、クオータ解析におけるセクタータイプ毎の条件及び補正値の例を示す図である。 図7は、トポロジー解析におけるトポロジー形状の例を示す図である。 図8は、トポロジー解析における遮蔽建物の条件と遮蔽率を説明するための模式図である。 図9は、トポロジー解析におけるトポロジー形状毎の条件及び補正値の例を示す図である。 図10は、トポロジー解析における照射部分遮蔽率を説明するための図である。 図11は、地形解析における地形オブジェクトの例を示す図である。 図12は、本発明の一実施形態に係る通信特性解析システムのハードウェア構成を示す図である。 図13は、同じくソフトウェア構成及びデータ構成を模式的に示すブロック図である。 図14は、本発明の第2の実施形態に係る解析システムの構成を模式的に示すブロック図である。 図15は、従来のRFシミュレータによる解析結果(A値)および本実施形態に係る解析システムによる極所解析補正値と、実測値とを比較した検証結果を示すグラフである。 図16は、同、大都市における極所解析の結果と実測値とを比較した検証結果を示すグラフである。 図17は、オープン型及びI型のトポロジー解析の補正結果を示す図である。 図18は、L型、平行型、三方型及び四方型のトポロジー解析の補正結果を示す表である。 図19は、クオータ解析における複数のセクタパターンごとの補正結果を示すグラフである。 図20は、地形解析における複数の地形パターンごとの補正結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本発明は、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を利用して、精度の高い置局設計を効率的に実行可能にするためのものである。このGISは、デジタル化された地図(地形)データと、統計データや位置の持つ属性情報などの位置に関連したデータとを統合的に管理・加工し、高度な分析・解析を行なったり、視覚的に表示させるシステムである。GISは、地図データと他のデータとを相互に関連づけたデータベースと、それらの情報の検索や解析、表示などを行なうコンピュータプログラムとから構成される。
ここで、本実施形態における地図データは、図1に示すように、基本地図データ層に以下の複数のデータ層(レイヤ)を関連付けて重ねた階層構造を備えている。
1)メッシュごとの昼間人口及び夜間人口と世帯数などの人口・世帯データ層
2)通信特性の実測値が基準値以下のエリアを示すNGエリアデータ層
3)既存のRFシミュレータによってメッシュごとに算出された通信特性のシミュレーションデータ層
4)シミュレーションデータに基づいてメッシュごとに算出されたRSCP(希望波受信電力:Received Signal Code Power)データ層
5)建物の高さや床面積などの建物データ層
6)基地局の設置位置、高さ、出力レベル及び機器種別などの基地局データ層
7)契約者の住所・建物名などの顧客データ層
8)「つながりにくい」「すぐ切れる」等の通信特性に関するクレームが記録された顧客の住所及び対応記録などのクレームデータや、通信環境を極所的に改善するための通信機器を設置した地点を識別する改善機器データなどのクレームデータ層
9)解約者の住所、解約日などの解約データ層
上記した基本地図データ層は、図2に示すように、人口密度や建物密集度などに応じて面積が異なる多数のメッシュに分割されている。一例として、メッシュ単位を500mとした場合、日本全国では約150万のメッシュに分割される。このうち、定常・非定常の居住地域である約50万メッシュが通信特性の解析対象エリアとなり得る。図1は、図2の一部のメッシュを拡大して示している。また、図2に太線で示したNGエリアが、後述する極所解析の候補となるメッシュ群である。
(本発明の好ましい実施形態の概要)
本発明の好ましい実施形態では、解析方法格納部は、極所解析方法として、トポロジー解析、クオータ解析若しくは地形解析を上記エリア属性に関連付けて記憶する。何れの極所解析方法によっても、統計的な解析方法による基準推定値をエリア属性に応じて精度良く補正することができる。
本発明の好ましい実施形態では、地図データ格納部を具備する。この地図データ格納部は、基本地図データ、人口・世帯データ、及び建物データを含む地図データを記憶する。
エリア属性判別基準格納部は、エリア内の人口、世帯若しくは建物の何れかの事物データ若しくは統計データに基づいて分類される2以上のエリア属性を判別するための判別基準を記憶する。
エリア属性判別手段は、上記地図データ格納部の人口・世帯データ及び建物データに基づいて解析対象エリアのエリア属性を判別する。
このような構成によれば、例えば人口や建物の数などの統計データに基いて複数のエリア属性を瞬時に判別できる。
本発明の好ましい実施形態では、地図データ格納部は、基本地図データを所定範囲で区分したエリアごとに建物データ及び/若しくは人口・世帯データを格納する。
エリア属性判別基準格納部は、「大都市」、「地方都市」及び「田舎」のエリア属性を判別するための、昼間人口、夜間人口、昼間と夜間との最大人口、人口密度、建物の密集度・平均高さ・最高高さの何れかの事物データ若しくは統計データに基づく判別基準を格納する。
このような構成によれば、通信特性に影響がありそうなパラメータに応じてエリア属性を判定し、その属性に応じた最適な極所解析を実行することができる。これにより、解析対象エリアの絞り込みと極所解析による解析精度の向上とを同時に実現できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、解析方法格納部は、「大都市」のエリア属性に関連付けてクオータ解析及びトポロジー解析を格納し、「田舎」のエリア属性に関連付けて地形解析を格納し、「地方都市」のエリア属性には何れの解析方法も格納しない。
極所解析手段は、解析対象エリアのエリア属性が「地方都市」と判定された場合に、この解析対象エリアの基準推定値を当該ターゲット建物の通信特性値として出力する。
このような構成により、極所解析が必要なエリアに限って基準推定値を補正することがきる。これにより、計算量を最小限に減らして演算速度を高めることができる。
本発明の好ましい他の実施形態では、上記解析方法格納部は、極所解析方法として、トポロジー解析を含む複数の解析方法を記憶する。また、トポロジー解析について、遮蔽建物判定基準と複数のトポロジー形状の判定基準と通信特性補正値とを格納するトポロジー形状格納部を具備する。
極所解析手段は、地図データ格納部及びトポロジー形状格納部を参照してターゲット建物の周囲のトポロジー形状を判定する。また、極所解析手段は、トポロジー形状の通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
上記遮蔽建物判定基準は、任意の対象建物の周辺に位置する建物(周辺建物)が、対象建物との距離及び/若しくは高低差の関係で、基地局からの電波を遮る遮蔽建物となり得るかの基準である。
上記トポロジー形状判定基準は、1以上の遮蔽建物の輪郭を単純化したトポロジー形状の基準(成立条件)である。
上記通信特性補正値は、トポロジー形状ごとに設定される。
このような構成により、ターゲット建物の周辺の通信環境を数パターンに単純化でき、計算量を最小限に抑えながら解析精度の向上が図られる。
本発明の好ましい他の実施形態では、上記極所解析手段は、トポロジー解析について、建物データ抽出手段と、遮蔽建物判定手段と、トポロジー解析実行手段とを具備する。
建物データ抽出手段は、地図データ格納部の建物データから、ターゲット建物の位置及び高さのデータと、ターゲット建物の周辺に存在する建物の位置及び高さデータとを抽出する。
遮蔽建物判定手段は、抽出した周辺の建物について、ターゲット建物からの距離及び/若しくは高低差を算出して上記遮蔽建物判定基準を満たすかを判定する。
トポロジー解析実行手段は、ターゲット建物の周囲に遮蔽建物が存在するかに基づいてターゲット建物の周囲のトポロジー形状を判定し、判定されたトポロジー形状の通信特性補正値に基づいて解析対象エリアの基準推定値を補正しターゲット建物の通信特性値として出力する。
このような構成により、トポロジー解析による極所解析を容易に実行できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、上記トポロジー形状格納部は、対象建物の四方向のうちN個の方向(0≦N≦4)に遮蔽建物が存在するかによって分類される複数のトポロジー形状の判定基準を格納する。
トポロジー解析実行手段は、遮蔽建物と判定された建物とターゲット建物との位置データを参照して遮蔽建物が存在するN個の方向を特定してトポロジー形状を判定する。
このような構成により、トポロジー形状を一層単純化して極所解析を容易に実行できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、上記トポロジー形状格納部は、遮蔽建物判定基準として、対象建物の任意の方向の輪郭線のうち、周辺建物の輪郭線が対向する線分の長さの比率(遮蔽率)の基準値を格納する。
建物データ抽出手段は、地図データ格納部の建物データから、ターゲット建物及び周囲の建物の平面形状(輪郭線)を夫々抽出する。
トポロジー解析実行手段は、抽出されたターゲット建物及び周囲の建物の輪郭線に基づいてターゲット建物の各方向における遮蔽率を夫々算出する。またトポロジー解析実行手段は、遮蔽率が上記基準値を超える方向に遮蔽建物が存在すると判断してトポロジー形状を判定する。
このような構成により、ターゲット建物と周辺建物との様々な遮蔽パターンを単純化して極所解析を容易に実行できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、地図データ格納部は、トポロジー解析に関して、基地局の位置を含む基地局データを格納する。
上記トポロジー形状格納部は、少なくとも平面視の一方向が開放されたトポロジー形状について、基地局の方向が遮蔽建物によって遮蔽されている場合と、開放されている場合とで異なる通信特性補正値を格納する。
トポロジー解析実行手段は、基地局データを参照して、判定したトポロジー形状の基地局の方向が遮蔽/開放されているかを判断して上記トポロジー形状格納部から通信特性補正値を抽出する。
このような構成により、基地局との位置関係に応じて同一のトポロジー形状について異なる補正値を出力でき、極所解析の精度を一層向上させることができる。
本発明の好ましい他の実施形態では、上記解析方法格納部は、極所解析方法として、クオータ解析を含む複数の解析方法を記憶する。また、クオータ解析について、セクター通信特性補正値格納部を具備する。
地図データ格納部は、基地局の位置を含む基地局データを格納する。
セクター通信特性補正値格納部は、任意の建物を中心にした所定半径の仮想円を4等分したセクター内の建物の数、セクターの面積に対する建物の数(密集度)、若しくはセクターの面積に対する建物の総床面積の割合(建物比率)と、当該任意の建物を通信エリアに含む基地局の方向と、に基づいて設定される通信特性補正値を格納する。
極所解析手段は、地図データ格納部及びセクター通信特性補正値格納部を参照してセクターの通信特性補正値を抽出する。また極所解析手段は、このセクター通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
このような構成により、クオータ解析による極所解析を容易に実現できる。また、このクオータ解析を上記したトポロジー解析と組み合わせて実行することで、極所的な通信特性のばら付きが生じ易い大都市について、解析精度を一層向上させることができる。
本発明の好ましい他の実施形態では、極所解析手段は、クオータ解析について、建物データ抽出手段と、基地局データ特定手段と、セクター通信特性補正値抽出手段とを具備する。
建物データ抽出手段は、ターゲット建物を中心にした仮想円を4つのセクターに等分し、上記地図データ格納部の基本地図データ及び建物データを参照して各セクター内の建物データを抽出する。
セクター内建物データ算出手段は、抽出した建物データに基づいてセクター内の建物の数、建物密集度若しくは建物比率(以下、「セクター内建物データ」と総称する)を算出する。
基地局データ特定手段は、上記地図データ格納部の基地局データを参照して、ターゲット建物を通信エリアに含む基地局の位置を特定する。
セクター通信特性補正値抽出手段は、上記セクター内建物データ及び基地局の位置と上記セクター通信特性補正値格納部とを参照して当該セクターの通信特性補正値を抽出する。
このような構成により、セクター内建物データに基づいてクオータ解析を効率的に実行することができる。
本発明の好ましい他の実施形態では、解析方法格納部は、極所解析方法として、地形解析を含む複数の解析方法を記憶する。また、地形解析について、遮蔽地形オブジェクト判定基準及び通信特性補正値とを格納する遮蔽地形オブジェクト格納部を具備する。
上記遮蔽地形オブジェクト判定基準は、任意の対象建物の周辺に存在する地形オブジェクトが対象建物を通信エリアに含む基地局からの電波を遮る遮蔽地形オブジェクトとなり得るかの判定基準である。この判定基準は、地形オブジェクトと対象建物との距離、高低差、若しくは仰角、地形オブジェクトと基地局との距離、高低差、若しくは仰角、の少なくとも何れかをパラメータ(以下、「地形オブジェクトパラメータ」)とする。
上記通信特性補正値は、遮蔽地形オブジェクトの形状、大きさ、高さなどの地形データに従って分類される複数の地形パターンごとに設定される。
地図データ格納部は、基地局の位置を含む基地局データを格納する。
極所解析手段は、地図データ格納部及び遮蔽地形オブジェクト格納部を参照してターゲット建物の周囲の地形オブジェクトの地形パターンを判定する。極所解析手段は、この地形パターンの通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
このような構成により、地形解析による極所解析を容易に実行できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、地形解析に関して、データ抽出手段と、遮蔽地形オブジェクト判定手段と、地形パターン判定手段と、通信特性値出力手段とを具備する
データ抽出手段は、地図データ格納部の基本地図データ、建物データ及び基地局データを参照して、ターゲット建物の建物データと、ターゲット建物を通信エリアに含む基地局の基地局データと、ターゲット建物の周囲の地形データとを夫々抽出する。
遮蔽地形オブジェクト判定手段は、抽出されたデータに基づいて地形オブジェクトパラメータの値を算出し、遮蔽地形オブジェクト判定基準に適用して遮蔽地形オブジェクトが存在するかを判定する。
地形パターン判定手段は、遮蔽地形オブジェクトの地形データに従って地形パターンを判定する。
通信特性値出力手段は、判定された地形パターンの通信特性補正値を上記遮蔽地形オブジェクト格納部から検索し、この通信特性補正値をターゲット建物の通信特性値として出力する。
このような構成により、様々な遮蔽地形パターンに応じた地形解析を容易に実行できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、地図データ格納部は、改善機器データを格納する。この改善機器データは、無線通信サービスの利用者から取得した通信環境に対する苦情について当該苦情に係る地点を識別するデータ(以下、「クレームデータ」)、若しくは通信環境を極所的に改善するための通信機器を設置した地点を識別するデータである。
このシステムは、さらに、解析対象エリア特定手段を具備する。この解析対象エリア特定手段は、上記地図データ格納部のクレームデータ若しくは改善機器データによって基本地図データ上で特定地点を特定し、この特定地点を含むエリアを解析対象エリアとして抽出する。
エリア属性判別手段は、抽出された解析対象エリアについて、エリア属性を判別する。
このような構成により、改善機器データに基づいて不感エリアを推定し、解析対象エリアを効率的に特定でき、極所解析を一層効率的に実行できる。
本発明の好ましい他の実施形態では、屋内通信特性補正値格納部と、建物別通信特性推定値格納部と、屋内通信特性補正手段と、解析対象エリア選択手段とを具備する。
屋内通信特性補正値格納部は、建物の規模若しくは種別(以下、「建物種別」と総称する)に応じて設定される屋内通信特性の補正値を格納する。
建物別通信特性推定値格納部は、上記解析方法格納部に格納された解析方法とは異なる方法によって演算された、地図データ上の建物の通信特性の推定値(以下、「建物別通信特性推定値」)を、各建物に関連付けて格納する。
屋内通信特性補正手段は、上記地図データ格納部の建物データを参照して建物の建物種別を判定し、この建物種別に応じた屋内通信特性補正値によって当該建物の建物別通信特性推定値を補正する。
解析対象エリア選択手段は、補正後の建物別通信特性推定値が所定の基準値以下の建物が所定数以上含まれるエリアを上記解析対象エリアとして選択する。
このような構成により、補正後の建物別通信特性推定値に基づいて解析対象エリアを効率的かつ高精度で絞り込むことができる。
(全体フロー)
次に、図3を参照して本実施形態の全体フローを説明する。
S1:まず、従来周知のRFシミュレータなどの解析ソフトを使用して、解析対象エリア(全国、都道府県や州、郡、市町村、特別区など)内の全てのメッシュについて、通信特性を演算(シミュレーション)する(S1)。この場合の演算は、デジタルマップデータに含まれる建物データ(階数、高さ、床面積)、地形データ(海抜等)、基地局データ(位置、高さ等)などを参照して行なう。
上記解析ソフトとしては、例えば、仏国FORSK社の「Atoll」や上記した非特許文献2、3に開示されたソフトウェアを使用できる。この解析ソフトの演算結果は、最寄りの基地局から送信された電波の何%を受信できたかや、伝搬経路上で損失した値(dBm)という形式で出力される。本明細書においては、この出力値を「通信特性値」と称する。また、上記した既存の解析ソフトによる出力値と、本システムによる極所解析の補正処理後の出力値とを区別するため、前者を「A値」や「推定値」、後者を「極所解析値」や「補正値」と称する。なお、既存の解析ソフトによる解析方法は周知であるため、詳細説明は省略する。
S2:次いで、上記メッシュの地図データに含まれる人口・世帯データ(統計データ)を参照して、各メッシュのエリア属性を判定する(S2)。本実施形態では、昼間人口と夜間人口との最大値(最大人口)によって、以下の3つの属性に分類している。
最大人口がN人未満:田舎
最大人口がN人以上N人未満:地方都市
最大人口がN人以上:大都市
ここで言う「田舎」「地方都市」「大都市」は、行政区画単位の市町村など(住所データ等)とは無関係に、メッシュ内の最大人口だけを基準とする。そのため、例えば、行政区画上の大都市(横浜市、ロンドン市など)に属するメッシュであっても、公園、湖沼、河川などの非居住地が大部分を占めるメッシュは「田舎」に分類されることがある。
また、田舎や地方都市に分類されるメッシュについては、さらに地図データに含まれる建物データも参照して、建物の密集度(床面積の総和/メッシュ面積)や平均階数、最高階数、所定階数以上の中高層ビルの数などの事物データを算出若しくは抽出し、その事物データが基準値以上のメッシュを、それぞれ地方都市や大都市に修正するのが好ましい。
S3、S4、S5:次いで、判別されたエリア属性に従って、上記したA値を極所的に補正する。具体的には、大都市のメッシュについては、クオータ解析とトポロジー解析とを実行し(S3、S4)、田舎のメッシュについては地形解析を実行する(S5)。大都市や田舎では電波伝搬特性に大きな影響を与える多種多様なオブジェクト(建造物、土地の部分的な起伏、山林、谷など)が多く存在し、メッシュ内で通信特性の極所的なバラ付きが生じ易いからである。これらの極所解析においては、対象メッシュ内の任意のターゲット建物の指定をユーザから受け付けたり、メッシュ中央付近の低層建物等の中からランダムにターゲット建物を特定する。
一方、地方都市については、極所解析は行なわない。地方都市では、メッシュ内で建物の数や大きさなどのバラ付きが少ないため、統計的手法等による画一的な処理でも十分な精度が得られるからである。なお、地方都市におけるA値が実測データに基づく検証によって誤差が大きいと判別された場合などには、極所的に大都市や田舎と同様に補正処理を行っても良い。また、エリア属性を「地方都市中心部」と「地方都市郊外」のようにさらに細分化し、上記した大都市や田舎と同様の、若しくは異なる補正処理を実行してもよい。この場合の「異なる補正処理」には、大都市や田舎と同じ解析方法で補正値や実行条件を異ならせる場合も含む。
S6:上記した補正処理が完了したら、補正後の通信特性値をターゲット建物の極所的な通信特性として住所等に関連付けて地図データ上に記録する(S6)。必要に応じて、このような補正処理をメッシュ内の全ての建物やNGエリア内の全てのメッシュについて実行する。
S7、S8、S9:また、ターゲット建物の通信特性値と閾値とを比較し(S7)、閾値以下である場合に(S7のYes)、ユーザからの指示により、若しくはプログラムに従って、そのメッシュや隣接する他のメッシュの他の建物について上記の極所解析を実行する(S8)。そして、閾値以下の建物が複数のメッシュに跨って存在するかを判定する(S9)。
S10、S11:複数のメッシュに跨って閾値以下の建物が複数存在する場合は(S9のYes)、新たに基地局(マクロ局)やレピータ(ピコセル)を設置したり、既存の基地局の出力調整等の屋外対策ソリューションを所定フォーマット(対策リスト、定型メッセージ等)で出力する(S10)。一方、閾値以下の建物が極所的にしか存在しない場合は(S9のNo)、ホームアンテナ、パブリックリピータ、屋内基地局等の当該ターゲット建物に対する屋内対策ソリューションを所定フォーマットで出力する(S11)。
このように、広いエリアについての膨大な計算は統計的手法などによる従来のシミュレータで高速処理し、その解析結果(A値)について、メッシュのエリア属性を考慮して補正対象メッシュを絞り込んでから、そのエリア属性に適する解析方法で極所的な補正処理を実行することにした。これにより、計算量を抑えつつ解析精度を向上させることができる。また、建物単位で極所解析を行なうことで、建物周辺の建物や地形の状況や基地局との位置関係などに応じた極所的な不感エリアを現地調査等によらずに抽出でき、必要なソリューションを迅速に提案することができる。
次に、上記した極所解析による補正処理の手法を詳細に説明する。
(クオータ解析)
まず、エリア属性が「大都市」のメッシュについて実行するクオータ解析を説明する。このクオータ解析は、ターゲット建物を中心にした所定半径の仮想円を4つのセクターに等分し、セクター内の建物の数等に基づいて予め設定された通信特性補正値を出力する解析手法である。このクオータ解析は、基地局とターゲット建物Tとの間に存在する他の建物による減衰の影響を補正することを目的とする。
クオータ解析は、具体的には、図4に示すように、「大都市」のメッシュについて、地図データの建物データを参照してターゲットとなる低層(例えば、3階以下や10m以下)の建物Tを特定する。なお、ターゲット建物Tの特定は、ユーザから住所や顧客の識別番号(顧客番号、電話番号等)等の入力を受け付けたり、地図データ上で選択を受け付けてもよい。このターゲット建物Tを中心にして地図上に所定半径の円を描く。「所定半径」は、ターゲット建物Tの規模に応じて決定する。一例として、建物の床面積がSm以下の小・中規模の場合はLm、Sm超の場合はLmとする。
次いで、その仮想円を4つのセクターに等分し、何れかのセクターに一部でも含まれる建物を全て抽出する。複数のセクターに跨がる建物は、占有面積等に応じて何れか1のセクターに振り分ける。また、地図データの基地局データを参照して、このターゲット建物Tから所定距離内に設置されている基地局BSの位置及び高さ(アンテナの高さ)を特定する。
抽出した各セクター内の建物の建物データ及び基地局データに基づいて、図5(a)〜(d)に示した各セクターの種別を判定する。セクターの種別は、建物の高さとターゲットからの距離や基地局BSの方向等に基づいて、ビル超え(極所ビル密集)、ビル超え(極所ビル影)、オープン及び道路沿いの4つに分類される。通信特性やA値の信頼性は、ビル超え(極所ビル密集)、ビル超え(極所ビル影)、道路沿い、オープンの順に向上する傾向があるため、これらの属性に応じて後述するA値の補正値を設定しておく。
ここで、「ビル超え」は、さらに「極所ビル密集」(図5(a))と「極所ビル影」(図5(b))とに細分化できる。「極所ビル密集」は、クオータ内の建物の床面積の占有率や数などを参照して算出する。また、「極所ビル影」は、ビル密集には該当しないが、ターゲット建物Tと基地局BSとの電波伝搬経路上に所定高さ以上の建物(図5(b)のaa2)が存在する場合である。なお、複数の属性に該当する場合は、通信特性が低い方の属性と判定するのが好ましい。例えば、ビル超え(極所ビル影)で、かつ道路沿いの場合は、ビル超え(極所ビル影)と判定する。
このようにして判定したセクターの属性と、ターゲット建物Tの床面積と、基地局の高さ(アンテナの高さ)とを、図6に示す補正値判定テーブルに適用して、ターゲット建物Tの補正値(r)を特定する。
(トポロジー解析)
次に、エリア属性が「大都市」のメッシュについて実行するトポロジー解析を説明する。このトポロジー解析は、複雑な形状をシンプルな形状に置換して形状の同一性を導き出し、精度を維持しながら計算量を低減できる解析方法である。トポロジー解析は、主として細胞や分子などの複雑な形状(構造)や時系列変化などを単純化し、共通の特徴や傾向などを発見するために利用されている。本実施形態では、このトポロジー解析を通信特性の演算(補正)に応用し、解析精度の向上と高効率化とを実現する。すなわち、本実施形態におけるトポロジー解析においては、ターゲット建物Tの周囲の建物aが最寄りの基地局BSとの関係で電波を遮蔽する建物となるかを判定し、遮蔽建物が存在する方面に従ってターゲット建物Tの周囲のトポロジー形状を判定し、このトポロジー形状の通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物Tの通信特性値として出力する。
図7に示すように、本実施形態のトポロジー解析においては、ターゲットとなる建物Tと周囲の建物と基地局BSとの位置関係に応じて、四方型、三方型、L型、平行型、I型及びオープン型の6つの形状を設定している。これらの形状を判定する方法を、図8を参照して説明する。
まず、上記したクオータ解析と同様に、ターゲットとなる低層建物を特定する。次いで、このターゲット建物Tに隣接する建物a〜aと、ターゲット建物Tから所定距離内に設置されている基地局BSを抽出する。抽出した隣接建物a〜aについて、図8(a)に示すターゲット建物Tとの距離(Lm以内)及び高さ(N階建て以上)の条件を満たすかを判定する。ここでは、建物a〜aの何れもが条件を満たしていることにする。次いで、ターゲット建物Tの四方(四面)のうち上記の条件を満たす建物a〜aが存在する方向について遮蔽率を計算する。
各方向(面)の遮蔽率(%)は、以下の式1によって夫々算出する。
((ターゲット建物Tの外形線Otに対向する隣接建物の外形線Oanの長さ)×100)/(Tの外形線Otの長さ)・・・式1
図8の例では、ターゲット建物Tの外形線Ot1、Ot2については、隣接建物a1、a2によって全面が遮蔽されているため、遮蔽率は100%である。また、外形線Ot3については、隣接建物a3、a4が部分的に重なっているため、図8(b)に示すように、隣接建物a3の外形線と重なる長さl1と隣接建物a2の外形線と重なる長さl2とを合算して、この外形線Ot3の遮蔽率を算出する。
上記の式で計算した遮蔽率が基準値(50%以上)を超えている方向(面)を特定して、上記した6つのトポロジー形状の何れに該当するかを判定する。図8の例では、ターゲット建物Tの下方向が道路であり隣接する建物が存在しないため、図8(a)に太線で示すように、下方が開放した三方型のトポロジーと判定される。
このように判定されたトポロジー形状について、図9の補正値判定テーブルを参照して補正値(r)を特定する。特定された補正値rで、上記したクオータ解析による補正後の値を再度補正する。
一般に、開放面(方向)が多いほどターゲット建物の通信特性への影響は相対的に小さくなり、シミュレーション精度は高いため、この補正値rは、四方型や三方型については大きく、オープン型やI型については小さく設定される。また、一以上の開放面を有するトポロジー形状(「Open型」及び「四方型」以外)については、同じ形状であっても最寄りの基地局が開放面側にあるかどうか(OpenかCloseか)によって、異なる補正値を設定している。さらに、一部又は全部のトポロジー形状について、ターゲット建物Tの規模(床面積等)や隣接建物とターゲット建物Tとの高低差などを考慮して補正値rを複数設定したり、調整するのが好ましい(図9の三方型、四方型)。
ここで、図10を参照して、基地局が複数ある場合に、照射部分遮蔽率を算出してターゲット建物Tの開放面側がOpenかCloseかを判定する手法について説明する。図10の例は、紙面右側が開放された三方型のトポロジー形状である。この例では、ターゲット建物Tの最寄りの基地局BS1の方向は隣接建物aaによって遮蔽されている。一方、他の基地局BS2の方向には隣接建物は存在せず見通しとなっている。
そのため、このような例では、「三方型−Open」と判定して、補正値を-(h)dBと特定する。
(地形解析)
最後に、エリア属性が「田舎」のメッシュについて実行する地形解析を説明する。
この地形解析は、ターゲット建物Tと基地局BSとの間に、通信特性(電界強度)に影響を与える地形的な特性がある場合に、その特性による影響を考慮してターゲット建物のA値を極所的に補正するものである。この地形解析は、基地局やターゲット建物Tの標高、経路上の凹凸などの地形原因による電界強度の影響を補正することを目的とする。
本実施形態では、ターゲット建物Tと基地局BSとの間の地形パターン(特性)として、図11(a)〜(e)に示す「平見通し」「高見通し」「くぼ地」「山おろし」及び「2位局」の5種類を設定している。これらの地形パターンは、図11の図中に示すように、ターゲット建物Tと基地局Bとの距離・標高差・仰角、ターゲット建物Tから地形的な障害物までの距離、などの条件を満たすかによって判定される。そして、判定された地形パターンに応じて設定された補正値(「平見通し」は+(a)dBなど)によってA値を補正する。この補正値が、ターゲット建物Tの通信特性値として記録(される。これにより、地形パターンに応じた補正処理を実行でき、解析精度を向上させることができる。
上記地形パターンの判定は、各地形パターンの成立条件を図11(a)〜(e)に挙げた順序で順次判定していくのが好ましい。すなわち、まず「平見通し」の成立条件を判定し、条件を満たさない場合に「高見通し」の成立条件を判定していく。何れの地形パターンにも当て嵌まらない場合は、地形解析による補正を行なわず、A値をそのままターゲット建物Tの通信特性値として記録する。
(解析システムの構成)
次に、上記した極所解析を実行する本実施形態の解析システムの構成を、図12を参照して説明する。
この解析システム1は、ホストコンピュータ、ワークステーション、PCなどのコンピュータで構成され、制御装置2、記憶装置3、入出力インタフェース(I/F)4、入出力装置5、通信装置6などの従来周知のハードウェアを具備する。このハードウェアは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、NIC(Network Interface Card)、WNIC(Wireless NIC)、モデム、光ディスク、磁気ディスク、フラッシュメモリ、LEDディスプレイ、キーボード、マウスなどから選択される。
記憶装置3は、上記した地図データ(図1参照)等を格納するデータ格納領域3Aと、極所解析を始めとする後述の処理を実行するコンピュータプログラムを格納するプログラム格納領域3Bとを備える。
データ格納領域3Aは、地図データを格納する地図データ格納部10と、上記したエリア属性の判別基準を格納するエリア属性判別基準格納部11と、上記した複数の極所解析方法のアルゴリズムや補正値などを格納する解析方法格納部12と、上記したRFシミュレータ等によって演算されたメッシュごとの推定値(A値)を格納する基準推定値格納部13とを具備する。何れの格納部も、記憶装置3に確保された一定の領域である。
上記解析方法格納部12は、トポロジー解析、クオータ解析及び地形解析の種別をエリア属性に関連付けて格納すると共に、各解析方法に必要な詳細データ等も格納する。本実施形態では、「大都市」についてはクオータ解析及びトポロジー解析、「田舎」については地形解析、を夫々関連付けて格納し、「地方都市」については何れの極所解析方法も格納していない。
まず、トポロジー解析に関連する情報としては、図7〜図9に示した遮蔽建物の判定基準や、複数のトポロジー形状の判断基準、及び通信特性補正値などを格納する(トポロジー形状格納部)。この通信特性補正値は、多数の地点で計測した実測値に従って設定・調整するのが好ましい。
トポロジー形状は、極力単純化してハードウェア資源を有効利用するため、ターゲット建物や周辺建物の平面形状(輪郭線)に拘らず、ターゲット建物の4つの方向のうちN個の方向(0≦N≦4)に遮蔽建物が存在するかによって分類される。具体的には、遮蔽建物が存在する方向及びその数に従って、図7に示した6種類に分類する。
遮蔽建物であるかの判定基準は、例えば図8に示すように、ターゲット建物との最短距離と、高低差(階数の差、高さの差)と、対向する輪郭線の比率(図8で説明した遮蔽率)とが設定される。なお、隣接建物同士の距離や隣接建物と基地局との距離、隣接建物床面積などをパラメータに含めてもよい。
次に、解析方法格納部12に格納されるクオータ解析関連情報としては、ターゲット建物Tを中心にした4つのセクター内の建物関連の指標と、この指標及びターゲット建物Tを通信エリアに含む基地局の方向とに基づいて設定される通信特性補正値と、が含まれる(セクター通信特性補正値格納部)。ここで、建物関連の指標としては、上記したように、セクター内の建物の数や密集度等が挙げられる。何れの指標も、上記した地図データ格納部10の建物データを参照して特定する。
次に、地形解析については、図11に示した複数の遮蔽地形オブジェクトの判定基準と地形パターンごとの通信特性補正値とが格納される(遮蔽地形オブジェクト格納部)。遮蔽地形オブジェクト判定基準は、地形オブジェクトとターゲット建物との距離、高低差などをパラメータとして設定される。
(解析プログラムの構成)
次に、図13を参照して、記憶装置3のプログラム格納領域3Bに格納される解析プログラムについて説明する。
この解析プログラムは、解析対象エリア特定手段15、エリア属性判別手段16、ターゲット建物特定手段17及び極所解析実行手段18を備える。これらの各手段は、夫々が独立したプログラム、ルーチン若しくはモジュール等であり、制御装置2によって記憶装置3からRAMのワークエリアにロードされて実行されることで各機能を発揮する。
まず、解析対象エリア特定手段15は、上記地図データ格納部10のクレームデータ若しくは改善機器データによって基本地図データ上で不感エリアと思われる地点(メッシュ)を特定し、このメッシュを含むエリアを解析対象エリアとして抽出する。この解析対象エリア特定手段15が抽出した解析対象エリアが図2に示した「NGエリア」である。なお、クレームデータ以外に、高層ビルや大型マンションが新築されて最大人口が急激に増加した地点、交換対象の基地局がカバーする通信エリア、などを特定地点や解析対象エリアとして抽出してもよい。また、ユーザが入力した住所やビル名などの検索情報に従って解析対象エリアを抽出してもよい。
エリア属性判別手段16は、解析対象エリア特定手段15によって抽出された解析対象エリアについて、上記地図データ格納部10の建物データや人口・世帯データに基づいて、上記エリア属性判別基準に従って大都市、地方都市、田舎の何れかのエリア属性を判別する。
ターゲット建物特定手段17は、従来周知の住所検索エンジン(ソフトウェア)等と同様に、ユーザが入力した住所やビル名などの検索条件に従って基本地図データから上記解析対象エリア内に存在する建物の中からターゲット建物を検索したり、地図データ上で直接ターゲット建物の指定を受け付けたり、ユーザが指定した建物の高さ、床面積、基地局からの距離等の検索条件に従って建物データからターゲット建物を特定する。
極所解析実行手段18は、判別されたエリア属性に関連付けられた解析方法を上記解析方法格納部12から検索してターゲット建物の通信特性を極所解析し、この解析結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する。また、解析対象エリアのエリア属性が「地方都市」と判定された場合には、極所解析を行なわず、当該解析対象エリアの基準推定値を当該ターゲット建物の通信特性値として出力する。
この極所解析実行手段18は、上記した3つの極所解析手法に共通の機能と、解析手法ごとの具体的な機能とを備えている。
まず、共通の機能としては、建物データ抽出機能(手段)および基地局データ特定機能(手段)を備えている。
建物データ抽出機能は、地図データ格納部10の建物データから、ターゲット建物の地図上の位置及び高さ(階数、標高等)のデータと、ターゲット建物の周辺建物の位置及び高さデータと、ターゲット建物及び周辺建物の平面形状(輪郭線)と、を夫々抽出する機能である。
基地局データ特定機能は、上記地図データ格納部10の基地局データを参照して、ターゲット建物を通信エリアに含む1又は2以上の基地局の地図上の位置を特定する機能である。
次に、解析手法ごとの具体的な機能について説明する。
まず、クオータ解析については、上記極所解析実行手段18は、セクター分割機能と、セクター内建物データ算出機能と、セクター通信特性補正値抽出機能とを具備する。
セクター分割機能は、ターゲット建物を中心にした所定半径の仮想円を4つのセクター(扇形)に等分し、上記建物データ抽出機能が抽出した建物データを各セクターに振り分ける機能である。
セクター内建物データ算出機能は、セクター分割機能によって各セクターに振り分けられた建物データに基づいて各セクター内の建物の数、建物密集度若しくは建物比率などのセクター内建物データを算出する機能である。
セクター通信特性補正値抽出機能は、上記セクター内建物データ及び基地局の位置と、上記解析方法格納部12に格納されたセクター通信特性補正値(図6参照)とを参照して当該セクターの通信特性補正値を抽出する機能である。
次に、トポロジー解析については、遮蔽建物判定機能及びトポロジー解析実行機能を具備する。
遮蔽建物判定機能は、抽出した周辺の建物について、ターゲット建物からの距離や高低差を算出して上記遮蔽建物判定基準を満たすかを判定する機能である。
トポロジー解析実行機能は、ターゲット建物の周囲に遮蔽建物が存在するかに基づいてターゲット建物の周囲のトポロジー形状を判定し、判定されたトポロジー形状の通信特性補正値に基づいて解析対象エリアの基準推定値を補正しターゲット建物の通信特性値として出力する機能である。
次に、地形解析については、データ抽出機能、遮蔽地形オブジェクト判定機能、地形パターン判定機能、及び通信特性値出力機能を具備する。
データ抽出機能は、上記地図データ格納部10の基本地図データ、建物データ及び基地局データを参照して、ターゲット建物の建物データと、ターゲット建物を通信エリアに含む基地局の基地局データと、ターゲット建物の周囲の地形データとを夫々抽出する機能である。
遮蔽地形オブジェクト判定機能は、抽出されたデータに基づいて上記地形オブジェクトパラメータの値を算出し、遮蔽地形オブジェクト判定基準に適用して遮蔽地形オブジェクトが存在するかを判定する機能である。
地形パターン判定機能は、遮蔽地形オブジェクトの地形データに従って図11に示した地形パターンを判定する機能である。
通信特性値出力機能は、判定された地形パターンの通信特性補正値を上記記憶装置3から検索し、この通信特性補正値をターゲット建物の通信特性値として出力する機能である。
(本実施形態の効果)
以上、説明したように、本実施形態の解析システム(解析方法、解析プログラム)によれば、エリア属性に応じて異なる解析方法を利用することで、計算量を最小限に抑えながら通信特性の解析精度を向上させて極所的な不感エリアを特定することができる。特に、本発明を他のシミュレータ(解析ソフト)と併用した場合には、他のシミュレータによる解析結果の精度が低いエリアやメッシュを特定した上で必要な補正処理を実行できるので、計算量を増大させることなく、より高精度の解析を実現できる。
ここで、建物の中や地下街のような屋内(インドア)の置局設計においては、建物の周囲の遮蔽物等に加えて、その建物自身の外壁や間仕切りなどの影響によって、解析精度が一層低下する傾向がある。そのため、従来は、対象メッシュについて算出したRSCPから画一的な内部浸透ロス(減衰量)の値を差し引いてインドアRSCP値を算出している。そして、当該メッシュ内の全てのインドア地点について同一のインドアRSCP値を使用して、不感エリアの改善等のアプリケーションに役立てている。
しかし、屋内での通信特性の解析(インドアRSCP値の算出)も、少数の実測値と地図データ、屋内間取りデータ等とを統計的に処理しているに過ぎず、極所的な不感エリアを精度良く抽出することができない。
このような屋内での通信特性の解析においても、上記した実施形態の解析システムを利用することで、解析の効率化と精度の向上が期待できる。特に、高速通信を実現するため無線通信網の周波数帯が高くなるにつれて、電波の回りこみが起きにくくなり屋内での通信環境が一層悪化する傾向がある。そこで、通信事業者は、本実施形態の解析システムを利用して、学校や高層ビル、ユーザの自宅や小規模店舗などの様々な種類の建物の屋内通信特性を極所解析することで、最適なソリューションを即時かつ効率的に得ることができる。
<第2の実施形態>
次に、図14を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
この実施形態は、建物ごとの屋内通信特性値を算出し、この屋内通信特性値が基準値に満たない建物が所定数以上含まれるメッシュを解析対象エリアとして選択する点に特徴を有する。なお、上記した第1の実施形態と共通する構成要件及び相当する構成要件は図示及び説明を省略する。
具体的には、この実施形態の解析システム20は、図14に示すように、屋内通信特性補正値格納部21と、建物別通信特性推定値格納部22と、屋内通信特性補正手段23と、解析対象エリア選択手段24とを備える。
屋内通信特性補正値格納部21は、建物の規模若しくは種別(以下、「建物種別」と総称する)に応じて設定される屋内通信特性の補正値を格納する。この屋内通信特性補正値は、外壁や内壁の材質、厚み、躯体の構造、高さなどに基づく電波の屋内浸透ロスを考慮して、例えば以下のように設定される。
床面積がS1m2以上の大規模建物:-A1dB
床面積がS2m2以上S1m2未満の中規模建物:-A2dB
床面積がS3m2以上S2m2未満の小規模建物:-A3dB
床面積に拘らず、戸建住宅:-A4dB
建物別通信特性推定値格納部22は、既存のRFシミュレータ等の、上記解析方法格納部12に格納された解析方法とは異なる方法によって演算された、地図データ上の建物の通信特性の推定値(以下、「建物別通信特性推定値」)を、各建物に関連付けて格納する。この建物別通信特性推定値格納部22は、図1に示した地図データのレイヤとして組み込んでもよい。
屋内通信特性補正手段23は、上記地図データ格納部10の建物データを参照して各建物について上記した建物種別を判定し、この建物種別に応じた屋内通信特性補正値によって当該建物の建物別通信特性推定値を補正する。例えば、ある大規模建物について、RFシミュレータによる屋内通信特性値が-AdBmである場合は、屋内通信特性補正値が-BdBであるため、この建物の屋内通信特性値は-(A+B)dBmとなる。
解析対象エリア選択手段24は、補正後の建物別通信特性推定値が所定の基準値以下(例えば、-AdBm以下)の建物が所定数以上(例えば、N棟以上)含まれるエリアを解析対象エリアとして選択する。このエリア選択処理は、メッシュ単位や行政区画単位で行なってもよいし、特定地点を中心とした、若しくは特定地点を含む任意のエリアの単位で行なってもよい。このように選択されたエリアについて、上記したエリア属性の判定及びトポロジー解析等を実行する。
(実測値に基づく検証)
次に、図15〜図20を参照して、上記した実施形態に係る解析システムによる極所解析の結果を、実測値に基づいて検証した結果を説明する。
まず、図15(A)は、既存のRFシミュレータによる解析値(A値)と現場での実測値との一致率を比較したグラフ、図15(B)は、本システムの極所解析によってA値を補正した結果と実測値との一致率を比較したグラフである。このグラフは、実測値と解析値との電波受信強度の差分(-35dB〜+45dB)を横軸に、該当する地点の数を縦軸にプロットした差分分布グラフであり、各地点の通信環境(特性)のレベル(受信強度、つながり易さ等)を示すものではない。例えば、実測値との差分が同一の地点の中には、「つながりにくい地点」と「つながり易い地点」とが混在する。
ここで「一致率」とは、全ての測定地点のうち、通信特性の解析値(A値及び極所解析補正後の値)と実測値との差が測定誤差を考慮した±Xdb以内である測定地点の比率を意味する。また、実測値は原則として屋外の測定値とし、屋外で測定できなかった場合は屋内の測定値のうち最も良好な値を屋外電界強度の代用とした。その他の実測値及びA値の基本データは以下の通りである。
測定日時:2007年12月
測定単位:100mメッシュ
測定地点:18,855地点
A値で通信特性が良好と判定された地点:15,887地点
上記のうち、実測値では通信特性が良好でなかった地点:200地点(一致率98.7%)
A値で通信特性が良好でない(NG)と判定された地点:2,968地点
図15は、A値によってNGと判定された2,968地点について検証した結果である。
図15(A)に示すように、補正処理前のA値では、実測値との一致率は61.91%(約1,840地点)であった。このA値について極所解析による補正処理を行なうことで、一致率が72.92%(約2,160地点)に向上した。
また、実測値との不一致地点のうち、図15(A)では、実測値よりA値が良好な地点の割合(グラフ左側)は3.48%(約100地点)、A値より実測値が良好な地点の割合(グラフ右側)は34.62%(約1,030地点)であり、かつ分布のピークが+4dBにあることから、実際より厳しく評価されていると言える。また、一致率の範囲と不一致範囲とで明確な境界が見出せない。従って、一致率を向上させるには、不一致点を抽出して個別に原因を検証して補正値を設定したり、定数・係数等を修正する必要がある。
これに対して、図15(B)では、極所補正処理後の解析値の方が良好な地点の割合(グラフ左側)は11.17%(約330地点)、解析値より実測値の方が良好な地点の割合(グラフ右側)は15.90%(約470地点)である。また、分布のピークは±3dB付近にあり、一致率の範囲と不一致範囲との境界も明確である。従って、解析のパラメータや極所解析の補正値などを調整することで、一致率をさらに高めることが容易となる。
次に、図16〜図20を参照して、上記した極所解析の複数のパターンごとに、補正前のA値及び極所補正後の補正値を、実測値と比較した例を説明する。グラフの縦軸及び横軸は何れも上記した図15と同様である。
まず、図16は、大都市のメッシュについて、クオータ解析及びトポロジー解析による極所解析を実行する前後の比較結果を示している。図16(A)に示す極所補正前のA値では、一致率が65.65%であったが、クオータ解析によって補正することで、68.70%まで向上させることができた(図16(B))。さらに、トポロジー解析によって補正することで、一致率を80.36%まで高めることができた。
次に、図17は、トポロジー解析のうち、「オープン型」及び「I型」について補正前後を比較した結果を示している。何れのタイプにおいても、一致率が10%以上向上している。また、図18に、トポロジー解析の他のタイプにおける比較結果を示す。この表においても、極所解析による補正で一致率が3%〜19%向上している。
図19は、クオータ解析における4つのセクタータイプ別の補正前後の比較結果を示している。何れのタイプにおいても、約30%〜60%と一致率が大幅に向上している。
最後に、図20に、地形解析における5つの地形タイプ別の補正前後の比較結果を示す。何れのタイプにおいても、約30%〜65%と一致率が大幅に向上している。
<変形例>
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、既存のRFシミュレータが演算した通信特性値(A値)を本発明に係る解析システムによって極所補正する場合を説明したが、既存のRFシミュレータのように、独立した解析ソフトとして使用したり、既存のRFシミュレータのアドインとして実装することもできる。独立した解析ソフトとして使用する場合は、解析対象エリア(1又は複数のメッシュ)内で複数のターゲットについて上記した解析処理を実行し、複数の解析結果を統計処理することでそのエリアの通信特性を算出できる。または、シミュレータによらず、メッシュごとに複数のエリア属性に応じた通信特性値を予め設定しておき、この通信特性値を本発明に係るシステムによって補正するようにしてもよい。この場合は、エリア属性を細分化して上記した3種類よりも多く設定しておくのが好ましい。
また、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせて、若しくは選択的に実行するようにしてもよい。すなわち、解析対象エリアを選択(特定)する際に、クレームデータと建物別通信特性推定値の両方を参照し、何れかの条件で抽出されたエリアについて極所解析を実行する。または、両方の条件を満たすエリアについては最優先で極所解析を実行し、何れか一方の条件だけを満たすエリアについては必要に応じて極所解析を実行したり、極所解析を実行しない。さらに、何れの条件で選択されたかによって、エリア属性の判定基準や極所解析の補正値、トポロジー形状の種類や判定基準などを変えてもよい。
さらに、極所解析方法の種類、エリア属性の区分、エリア属性ごとの解析方法、トポロジー形状の種類や条件、地形解析の地形パターンの種類や条件、各補正値なども上記したものに限られない。
また、上記した実施形態では、極所解析システムが地図データ格納部を具備しているが、例えば、ネットワーク上の地図データ提供サーバにアクセスして、必要な場合に地図データを取得するようにしてもよい。この場合の地図データ提供サーバは、ユーザが設置若しくはレンタルしたものでもよいし、外部の商用サービスを利用してもよい。
1、20…解析システム
2…制御装置
3…記憶装置
4…入出力インタフェース
5…入出力装置置
6…通信装置
10…地図データ格納部
11…エリア属性判別基準格納部
12…解析方法格納部
13…基準推定値格納部
15…解析対象エリア特定手段
16…エリア属性判別手段
17…ターゲット建物特定手段
18…極所解析実行手段
21…屋内通信特性補正値格納部
22…建物別通信特性推定値格納部
23…屋内通信特性補正手段
24…解析対象エリア選択手段

Claims (18)

  1. 地図上の一定エリアのエリア属性であって、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて分類される2以上のエリア属性、を判別するための判別基準を記憶するエリア属性判別基準格納部と、
    トポロジー解析、クオータ解析若しくは地形解析を含む通信特性の複数の極所解析方法を上記エリア属性に関連付けて記憶する解析方法格納部と、
    この解析方法格納部に格納された複数の極所解析方法とは異なる方法によって、上記地図上の一定エリアごとに演算された通信特性の推定値(以下、「基準推定値」)を当該エリアに関連付けて格納する基準推定値格納部と、
    上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別するエリア属性判別手段と、
    上記解析対象エリア内に存在する建物の中から極所解析の対象とする建物(以下、「ターゲット建物」)の指定を受け付けるターゲット建物特定手段と、
    判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記解析方法格納部から検索してターゲット建物の通信特性を極所解析し、この解析結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する極所解析手段と
    を具備する通信特性解析システム。
  2. 請求項1記載の通信特性解析システムであって、
    さらに、基本地図データ、人口・世帯データ、及び建物データを含む地図データを記憶する地図データ格納部を具備し、
    上記エリア属性判別基準格納部は、エリア内の人口、世帯若しくは建物の何れかの事物データ若しくは統計データに基づいて分類される2以上のエリア属性を判別するための判別基準を記憶し、
    上記エリア属性判別手段は、解析対象エリアについて、上記地図データ格納部の人口・世帯データ及び建物データに基づいて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別する
    通信特性解析システム。
  3. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記地図データ格納部は、基本地図データを所定範囲で区分したエリアごとに建物データ及び/若しくは人口・世帯データを格納し、
    上記エリア属性判別基準格納部は、「大都市」、「地方都市」及び「田舎」のエリア属性を判別するための、昼間人口、夜間人口、昼間と夜間との最大人口、人口密度、建物の密集度・平均高さ・最高高さの何れかの事物データ若しくは統計データに基づく判別基準を格納する
    通信特性解析システム。
  4. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記解析方法格納部は、「大都市」のエリア属性に関連付けてクオータ解析及びトポロジー解析を格納し、「田舎」のエリア属性に関連付けて地形解析を格納し、「地方都市」のエリア属性には何れの解析方法も格納せず、
    上記極所解析手段は、解析対象エリアのエリア属性が「地方都市」と判定された場合に、この解析対象エリアの基準推定値を当該ターゲット建物の通信特性値として出力する
    通信特性解析システム。
  5. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記解析方法格納部は、極所解析方法として、トポロジー解析を含む複数の解析方法を記憶し、
    この解析方法格納部は、任意の対象建物の周辺に位置する建物(周辺建物)が、対象建物との距離及び/若しくは高低差の関係で、基地局からの電波を遮る遮蔽建物となり得るかの遮蔽建物判定基準と、1以上の遮蔽建物の輪郭を単純化した複数のトポロジー形状の判定基準と、トポロジー形状ごとに設定される通信特性補正値とを格納するトポロジー形状格納部を具備し、
    上記極所解析手段は、地図データ格納部及びトポロジー形状格納部を参照してターゲット建物の周囲のトポロジー形状を判定し、このトポロジー形状の通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する
    通信特性解析システム。
  6. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記極所解析手段は、
    地図データ格納部の建物データから、ターゲット建物の位置及び高さのデータと、ターゲット建物の周辺に存在する建物の位置及び高さデータとを抽出する建物データ抽出手段と、
    抽出した周辺の建物について、ターゲット建物からの距離及び/若しくは高低差を算出して上記遮蔽建物判定基準を満たすかを判定する遮蔽建物判定手段と、
    ターゲット建物の周囲に遮蔽建物が存在するかに基づいてターゲット建物の周囲のトポロジー形状を判定し、判定されたトポロジー形状の通信特性補正値に基づいて解析対象エリアの基準推定値を補正しターゲット建物の通信特性値として出力するトポロジー解析実行手段と、を具備する
    通信特性解析システム。
  7. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記トポロジー形状格納部は、対象建物の四方向のうちN個の方向(0≦N≦4)に遮蔽建物が存在するかによって分類される複数のトポロジー形状の判定基準を格納し、
    上記トポロジー解析実行手段は、遮蔽建物と判定された建物とターゲット建物との位置データを参照して遮蔽建物が存在するN個の方向を特定してトポロジー形状を判定する
    通信特性解析システム。
  8. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記トポロジー形状格納部は、遮蔽建物判定基準として、対象建物の任意の方向の輪郭線のうち、周辺建物の輪郭線が対向する線分の長さの比率(遮蔽率)の基準値を格納し、
    上記建物データ抽出手段は、地図データ格納部の建物データから、ターゲット建物及び周囲の建物の平面形状(輪郭線)を夫々抽出し、
    上記トポロジー解析実行手段は、抽出されたターゲット建物及び周囲の建物の輪郭線に基づいてターゲット建物の各方向における遮蔽率を夫々算出し、この遮蔽率が上記基準値を超える方向に遮蔽建物が存在すると判断してトポロジー形状を判定する
    通信特性解析システム。
  9. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記地図データ格納部は、基地局の位置を含む基地局データを格納し、
    上記トポロジー形状格納部は、少なくとも平面視の一方向が開放されたトポロジー形状について、基地局の方向が遮蔽建物によって遮蔽されている場合と、開放されている場合とで異なる通信特性補正値を格納し、
    上記トポロジー解析実行手段は、基地局データを参照して、判定したトポロジー形状の基地局の方向が遮蔽/開放されているかを判断して上記トポロジー形状格納部から通信特性補正値を抽出する
    通信特性解析システム。
  10. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記解析方法格納部は、極所解析方法として、クオータ解析を含む複数の解析方法を記憶し、
    この解析方法格納部は、任意の建物を中心にした所定半径の仮想円を4等分したセクター内の建物の数、セクターの面積に対する建物の数(密集度)、若しくはセクターの面積に対する建物の総床面積の割合(建物比率)と、当該任意の建物を通信エリアに含む基地局の方向と、に基づいて設定される通信特性補正値を格納するセクター通信特性補正値格納部を具備し、
    上記地図データ格納部は、基地局の位置を含む基地局データを格納し、
    上記極所解析手段は、地図データ格納部及びセクター通信特性補正値格納部を参照してセクターの通信特性補正値を抽出し、このセクター通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する
    通信特性解析システム。
  11. 請求項10記載の通信特性解析システムであって、
    上記極所解析手段は、さらに、
    ターゲット建物を中心にした仮想円を4つのセクターに等分し、上記地図データ格納部の基本地図データ及び建物データを参照して各セクター内の建物データを抽出する建物データ抽出手段と、
    抽出した建物データに基づいてセクター内の建物の数、建物密集度若しくは建物比率(以下、「セクター内建物データ」と総称する)を算出するセクター内建物データ算出手段と、
    上記地図データ格納部の基地局データを参照して、ターゲット建物を通信エリアに含む基地局の位置を特定する基地局データ特定手段と、
    上記セクター内建物データ及び基地局の位置と上記セクター通信特性補正値格納部とを参照して当該セクターの通信特性補正値を抽出するセクター通信特性補正値抽出手段と、を具備する
    通信特性解析システム。
  12. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記解析方法格納部は、極所解析方法として、地形解析を含む複数の解析方法を記憶し、
    この解析方法格納部は、任意の対象建物の周辺に存在する地形オブジェクトが対象建物を通信エリアに含む基地局からの電波を遮る遮蔽地形オブジェクトとなり得るかの判定基準であって、地形オブジェクトと対象建物との距離、高低差、若しくは仰角、地形オブジェクトと基地局との距離、高低差、若しくは仰角、の少なくとも何れかをパラメータ(以下、「地形オブジェクトパラメータ」)とする遮蔽地形オブジェクト判定基準と、遮蔽地形オブジェクトの形状、大きさ、高さなどの地形データに従って分類される複数の地形パターンごとに設定された通信特性補正値とを格納する遮蔽地形オブジェクト格納部を具備し、
    上記地図データ格納部は、基地局の位置を含む基地局データを格納し、
    上記極所解析手段は、地図データ格納部及び遮蔽地形オブジェクト格納部を参照してターゲット建物の周囲の地形オブジェクトの地形パターンを判定し、この地形パターンの通信特性補正値によって解析対象エリアの基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する
    通信特性解析システム。
  13. 請求項12記載の通信特性解析システムであって、
    上記極所解析手段は、さらに、
    上記地図データ格納部の基本地図データ、建物データ及び基地局データを参照して、ターゲット建物の建物データと、ターゲット建物を通信エリアに含む基地局の基地局データと、ターゲット建物の周囲の地形データとを夫々抽出するデータ抽出手段と、
    抽出されたデータに基づいて上記地形オブジェクトパラメータの値を算出し、遮蔽地形オブジェクト判定基準に適用して遮蔽地形オブジェクトが存在するかを判定する遮蔽地形オブジェクト判定手段と、
    遮蔽地形オブジェクトの地形データに従って地形パターンを判定する地形パターン判定手段と、
    判定された地形パターンの通信特性補正値を上記遮蔽地形オブジェクト格納部から検索し、この通信特性補正値をターゲット建物の通信特性値として出力する通信特性値出力手段と、を具備する
    通信特性解析システム。
  14. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    上記地図データ格納部は、無線通信サービスの利用者から取得した通信環境に対する苦情について当該苦情に係る地点を識別するデータ(以下、「クレームデータ」)、若しくは通信環境を極所的に改善するための通信機器を設置した地点を識別するデータ(以下、「改善機器データ」)を格納し、
    このシステムは、さらに、上記地図データ格納部のクレームデータ若しくは改善機器データによって基本地図データ上で特定地点を特定し、この特定地点を含むエリアを解析対象エリアとして抽出する解析対象エリア特定手段を具備し、
    上記エリア属性判別手段は、抽出された解析対象エリアについて、エリア属性を判別する
    通信特性解析システム。
  15. 請求項記載の通信特性解析システムであって、
    さらに、
    建物の規模若しくは種別(以下、「建物種別」と総称する)に応じて設定される屋内通信特性の補正値を格納する屋内通信特性補正値格納部と、
    上記解析方法格納部に格納された解析方法とは異なる方法によって演算された、地図データ上の建物の通信特性の推定値(以下、「建物別通信特性推定値」)を、各建物に関連付けて格納する建物別通信特性推定値格納部と、
    上記地図データ格納部の建物データを参照して建物の建物種別を判定し、この建物種別に応じた屋内通信特性補正値によって当該建物の建物別通信特性推定値を補正する屋内通信特性補正手段と、
    補正後の建物別通信特性推定値が所定の基準値以下の建物が所定数以上含まれるエリアを上記解析対象エリアとして選択する解析対象エリア選択手段と
    を具備するシステム。
  16. 地図上の一定エリアのエリア属性であって、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて分類される2以上のエリア属性、を判別するための判別基準を記憶するエリア属性判別基準格納部と、
    トポロジー解析、クオータ解析若しくは地形解析を含む通信特性の複数の極所解析方法を上記エリア属性に関連付けて記憶する解析方法格納部と、
    選択された解析対象エリアについて、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別するエリア属性判別手段と、
    判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記解析方法格納部から検索し、当該解析方法によって解析対象エリアの通信特性を極所解析する極所解析手段と
    を具備する通信特性解析システム。
  17. 記憶装置に、
    地図上の一定エリアのエリア属性であって、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて分類される2以上のエリア属性、を判別するための判別基準と、
    トポロジー解析、クオータ解析若しくは地形解析を含む通信特性の複数の極所解析方法であって、上記エリア属性に関連付けられた解析方法と、
    この極所解析方法とは異なる方法によって、上記地図上の一定エリアごとに演算された通信特性の推定値(以下、「基準推定値」)と、
    を記憶したコンピュータによって実行され、
    上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別するエリア属性判別ステップと、
    上記解析対象エリア内に存在する建物の中から極所解析の対象とする建物(以下、「ターゲット建物」)の指定を受け付けるターゲット建物特定ステップと、
    判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記コンピュータから検索してターゲット建物の通信特性を極所解析し、この解析結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する極所解析ステップと
    を具備する通信特性解析方法。
  18. 記憶装置に、
    地図上の一定エリアのエリア属性であって、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて分類される2以上のエリア属性、を判別するための判別基準と、
    トポロジー解析、クオータ解析若しくは地形解析を含む通信特性の複数の極所解析方法であって、上記エリア属性に関連付けられた解析方法と、
    この極所解析方法とは異なる方法によって、上記地図上の一定エリアごとに演算された通信特性の推定値(以下、「基準推定値」)と、
    を記憶したコンピュータに、
    上記エリアの中から選択された解析対象エリアについて、当該エリアの事物データ若しくは統計データに基づいて、上記エリア属性判別基準に従ってエリア属性を判別するエリア属性判別ステップと、
    上記解析対象エリア内に存在する建物の中から極所解析の対象とする建物(以下、「ターゲット建物」)の指定を受け付けるターゲット建物特定ステップと、
    判別されたエリア属性に関連付けられた極所解析方法を上記コンピュータから検索してターゲット建物の通信特性を極所解析し、この解析結果に基づいて解析対象エリアの上記基準推定値を補正した値をターゲット建物の通信特性値として出力する極所解析ステップと
    を実行させる通信特性解析プログラム。
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