第1の発明は、ガス通路内を通過するガス流量に対応して所定の計測周期で流量信号を出力する流量検出部と、前記流量検出部の流量信号に基づいて流量を算出する流量算出部と、前記流量算出部の流量値と予め定めた脈動判定値とを比較し第1の脈動信号を出力する脈動判定部と、前記脈動判定部の判定結果に応じて前記流量検出部の計測周期の変更指示を行う流量計測指示部と、所定期間内の第1の脈動信号の発生回数をカウントし記憶する脈動信号記憶部と、前記脈動信号記憶部の記憶値が予め定めた比較値を超えたとき電池容量変更指示信号を出力する電池容量変更指示部と、隣接するガスメータと通信可能な無線モジュールと、駆動用電池とを備え、前記電池容量変更指示部から電池容量変更指示信号が出力されたとき、電池容量の変更が必要な旨を報知し、脈動を検出したら第2の脈動信号を無線で送信すように構成された隣接するガスメータから前記第2の脈動信号を前記無線モジュールで受信した場合、前記脈動判定部は前記比較結果に応じて第1の脈動信号
を出力し、前記隣接するガスメータから前記第2の脈動信号を受信しなかった場合、前記脈動判定部は前記比較結果に関係なく第1の脈動信号を出力しないことを特徴とするものである。
そして、脈動信号の発生状況に応じて継続的な脈動現象か、一過性の脈動現象かを判断するようにしているため、電池容量の変更が必要か否かを的確に判断することができ、継続的な脈動と判定した場合に電池容量の変更の必要性を報知することで、保証期間内の安定した動作を確保することができると共に、簡単に電池容量の変更が可能な電池収納形態を提供するものである。
第2の発明は、流量計測指示部は、脈動判定部で第1の脈動信号が出力されたとき流量検出部の計測周期を短くした高精度流量計測モードとし、流量算出部の流量値が所定期間安定状態を継続すると計測周期を長くした通常流量計測モードに復帰するようにしたことを特徴とするものである。
そして、脈動に起因する流量変動を計測周期を短くして精度よく計測することができると共に、流量変動が解消されたとき通常流量計測モードに復帰することで、電池消耗を抑制することができる。
第3の発明は、脈動判定部に複数段の脈動判定値を設定すると共に、計測モードとして高精度流量計測モードと通常流量計測モード以外に計測周期を高精度流量計測モードと通常流量計測モードの略中間とした中精度流量計測モードを設け、前記複数段の脈動判定値との比較結果に応じて計測モードを選択するようにしたことを特徴とするものである。
そして、脈動の影響度合いを複数段の脈動判定値で判別し、影響度合いに応じて計測周期を変更することで、流量精度と電池消耗の関係をバランスよく確保することができる。
第4の発明は、電池容量変更指示部は、高精度流量計測モードと中精度流量計測モードで電池容量変更指示信号を出力する条件を変更するようにしたことを特徴とするものである。
そして、高精度流量計測モードに移行する場合と中精度流量計測モードに移行する場合とでは、その移行回数を異ならせて電池容量変更指示信号を出力することで、脈動の影響度合いに応じ電池容量の変更指示を行うことができるため、実際の使用状況に適した電池容量を確保することができる。
第5の発明は、駆動用電池として、通常流量計測モードで所定の保証期間を満足する電池容量を確保するための電池モジュールを収納する第1の収納部と、電池容量の変更が必要な旨の報知がなされたときに電池容量を増大するために追加する電池モジュールを収納する第2の収納部とを備え、前記第2の収納部は着脱自在な構成としたことを特徴とするものである。
そして、脈動による流量変動が継続すると判断し電池容量の変更が必要であると報知された場合に第2の収納部に所定の電池モジュールを追加収納するだけで、現在使用している電池モジュールの容量を増大させることができ、別途設定等をやり直す必要がなく、環境条件の変化に伴う電池容量への影響を簡単に回避することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置と基地局及び需要家宅との通信形態の全体構成図、図2は同ガス遮断装置における隣接するガスメータとの通信形態を示す図、図3は同ガス遮断装置の外観及び構成部品を示す図、図4は同ガス遮断装置の内部構成図、図5は同ガス遮断装置の制御回路基板の構成ブロック図、図6は同ガス遮断装置と表示端末装置の通信形態を示す図である。
各家庭13のガス供給管1の入口部分にガスメータ2が設置され、このガスメータ2を経由した後のガス配管3から分岐して家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管されガスが供給される。例えば、屋外にはガス給湯器4が設置され、このガス給湯器4で生成される湯が水配管を介して台所の給湯栓5、浴槽やシャワー装置が設置された風呂6、リビング等に設置された床暖房7に供給され、種々の使用形態を形成している。
また、屋内にあっては、台所に設置されたガステーブル8、リビングや寝室等に設置されたガスファンヒータ9にガスが供給され、必要に応じて適宜使用される。
そして、設置されたガス器具が使用されガスの消費が発生するとガスメータ2でその使用量が計測され、そのデータが所定期間毎に累積記憶されている。このガスメータ2に記憶されたデータはガス事業者15からの定期的なデータ要求指令に基づいて所定の情報処理を行った後、ガス料金やガス使用量あるいはガス事業者15が提供する割引サービス等の情報として需要家13及びガス事業者15に送信される。
この送信手段としては、例えば図3に示すようにガスメータ2に内蔵された流量計測手段を構成する制御回路基板10に一体的に組み込まれた無線モジュール11を用いて行うようにしている。
そして、図2、図5、図6に示すように無線モジュール11は、基地局14と通信するために電話回線とは異なる、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、需要家宅13内に情報を伝達するためにテレビ12aやパソコンあるいは携帯電話12b等の表示端末装置12と通信するため、あるいは隣接するガスメータ2A〜2Dと各種情報の授受を行うために直接通信をするための、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bで構成し、流量信号やセンサ信号に基づいてガス使用量の算出あるいは地震、ガス漏れ等の異常検知を行う制御回路10aからデータを受信すると、そのデータに応じて、例えばガス料金、ガス使用量あるいは地震、ガス漏れ等の異常発生に伴うガス遮断弁の作動等、需要家に報知すべき内容の場合はエリア通信無線モジュール11bを用いて需要家宅13内のテレビ12aあるいは携帯電話12b等の表示端末装置12に表示データを送信し、必要に応じて隣接するガスメータ2A〜2Dに対して地震情報やガス漏れ情報を送信する。
また、この広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bを用いた通信機能により本発明のガス事業者15あるいは需要家13への電池容量の変更が必要な旨を報知する報知手段を構成することができる。
そして、図6に示すように表示端末装置12にもガスメータ2に内蔵してあるエリア通信無線モジュール11bと同一の通信周波数帯を有する無線モジュール11cを内蔵あるいは一体的に取り付けることで、ガスメータ2から送信される表示データを受信することができ、この表示データをテレビ12aあるいは携帯電話12bの画面を通じて表示することで、本発明の電池容量の変更が必要な旨を報知する報知手段や、ガスメータから直接需要家に対して情報の伝達を行うことができ、従来のようにガスメータ2からガス事業者15にデータを送信し、ガス事業者15でデータ処理を行った情報、例えば料金通知等の
葉書を郵送等で需要家に送付するという情報伝達方法を採用する必要がなくなるため、通知作業に要する工数を削減でき、かつ通知用葉書等の郵送費用の発生もなくなり、通知業務の合理化を実現することでガス料金の低減に寄与するものである。
また、ガスメータ2から表示端末装置12に各種情報を送信した場合は、エリア通信無線モジュール11bから広域通信無線モジュール11aに報知完了信号を送り、広域通信無線モジュール11aはこの報知完了信号を基地局14に送信し、ガス事業者15に需要家への情報伝達が完了したことを通知する。なお、この場合、表示端末装置12からの応答信号を受信して報知完了信号を送信することが好ましく、より確実に需要家への情報伝達を行うことができる。
ここで、情報伝達の一例を説明すると、まずガス事業者15からの検針指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その検針指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aには流量計測手段で計測された流量データが所定期間毎に累積され、その累積データ、あるいは料金データに変換した情報が情報記憶手段10bに記憶されており、ガス事業者15からの検針指示情報が入力されると制御回路10aは情報記憶手段10bの流量累積データ、あるいは料金データに変換した情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11b及び広域通信無線モジュール11aに送り、広域通信無線モジュール11aは広域通信周波数帯(200MHz)で基地局14に送信し、基地局14から専用回線を用いてガス事業者15に検針情報が伝達される。また、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の表示端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図11(a)に示すような料金情報や使用量を表示する。そして、表示端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
また、地震や衝撃等で遮断弁が作動した場合において原因究明がなされ、ガス事業者15からの復帰指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その復帰指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aは復帰指示情報が入力されると、情報記憶手段10bに記憶されている復帰作業に関する情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11bに送り、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の表示端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図11(b)に示すような復帰作業の手順を表示する。そして、表示端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
さらに、流量計測手段を構成する制御回路10aが脈動に起因する流量変動を検出した場合は、通常流量計測モードから計測周期を短くした高精度流量計測モードに切り替えて流量計測を行い、この通常流量計測モードから高精度流量計測モードへの移行回数が所定期間内に予め定めた比較値を超えたとき、脈動が継続的に発生する環境にあると判断して電池容量の変更が必要であることを報知する。この報知手段として、ガスメータに内蔵した広域通信無線モジュール11aを用いて基地局14を介してガス事業者15に直接報知するか、あるいはエリア通信無線モジュール11bを用いてテレビ12a等の表示端末装置12の画面上に、例えば図11(c)に示すようなメッセージを表示し、需要家からガス事業者に電池容量の変更を依頼するようにしてもよい。
以上のように、制御回路10aには伝達する情報に応じて通信する相手先に対応して通
信周波数帯の異なる無線モジュールを選択すべく通信切替手段10cを有しており、例えば、ガス事業者15からの検針指示の場合は、ガス事業者15と表示端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達する必要があり、この場合は、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択し、ガス事業者15からの復帰指示の場合は、表示端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達するだけでよく、この場合は、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択すればよい。さらに、電池容量の変更を報知する場合は、広域通信無線モジュール11aまたはエリア通信無線モジュール11bを選択して、基地局14を経由してガス事業者15、あるいは需要家宅内のテレビ12a等の表示端末装置12との間で情報のやり取りを直接行うことができ、周囲の環境の変化を反映させたガスメータの管理を行うことができる。
なお、広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bはそれぞれ別々に設けてもよく、共通の無線モジュールとし通信周波数帯を広域通信周波数帯と特定小電力無線通信周波数帯で切替えるようにしてもよいもので、前者の場合、通信切替手段10cは広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bを選択する必要があり、同時通信が可能というメリットがある反面、設置スペース大やコスト高というデメリットを有している。後者の場合、通信切替手段10cは通信相手先に応じて通信周波数帯を切替える必要があり、設置スペース小やコスト安というメリットがある反面、同時通信ができず交互通信になるというデメリットを有している。
次に、制御回路10aに内蔵されたガス流量を計測する流量計測手段について簡単に説明すると、ガスメータ2には、図3、図4に示すように、ガス入口2aとガス出口2bを有し、その間のガス流路内に異常時にガスを遮断する遮断弁2cとガス流量を計測する一対の超音波センサ17A、17Bが設けられ、その下流側にガス圧を検出する圧力センサ2dが配置されている。また、超音波センサ17A、17Bからの信号でガス流量を算出する制御回路10aを搭載した制御回路基板10がガスメータ2の表示部2eに液晶表示器10eを臨ますように配置され、さらに、制御回路10aを駆動させるための電池2fが収納されている。また、遮断弁2cが作動した後の復帰動作を手動で行う手段として復帰ボタン2gが配置されている。
そして、ガス流量を計測する流量計測部17と制御回路10aは、例えば図12に示すように、ガス流路に一対の超音波センサを配置し流路を流れる流量に応じて変化する伝播時間を計測することで流量を測定するものがある。以下、その構成を説明すると、超音波を送信または受信する第1送受信器17Aと受信または送信する第2送受信器17Bが流れ方向に配置され、制御回路10aを構成する切換手段を有する計測制御部18によって送受信の切り換えが可能になっており、ガス等の流体の流れ状態を検出している。この第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの信号を処理して流量を計測するもので、具体的には、まず計測制御部18により第1送受信器17Aを駆動し、第2送受信器17Bに向け、すなわち上流から下流に超音波を送信する。そして第2送受信器17Bで受信した信号を計測制御部18に設けた増幅手段により増幅し、この増幅された信号は基準信号と比較され、基準信号以上の信号が検出された後、計測制御部18に設けた繰り返し手段により上記の送受信を所定の回数を繰り返し、それぞれの時間値を計測制御部18に設けたタイマカウンタのような計時手段で計測する。
次に、切換手段を有する計測制御部18で第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの送受信を切り換えて、第2送受信器17Bから第1送受信器17A、すなわち下流から上流に向かって超音波信号を送信し、この送信を前述のように繰り返し、それぞれの時間値を計測する。そして、第1送受信器17Aと第2送受信器17Bとの超音波の伝搬時間差
から流路16の大きさや流体の流れ状態を考慮して信号処理手段19で流量値を求める。求められた流量データは情報記憶手段10bで累積され、所定期間毎の累積データとして記憶される。
また、流量計測部17が配置された流路16内には異常時等にガスの流れを遮断する遮断弁2cが設けられ、信号処理手段19で求められる流量値が異常に多い場合や通常考えられる使用時間を超えて流量値が検出されるような場合に異常と判断して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断する。また、振動センサや圧力センサ2dから地震や衝撃、あるいは異常なガス圧の信号が入力されると、情報記憶手段10bを介して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断する。
次に、電池消耗に大きな影響を与える脈動現象に起因する流量変動について説明する。
同じガス配管1に接続された需要家にGHP(ガスヒートポンプ)等が設置されている場合、このGHPが使用されると供給ガス圧に圧力変動が発生し、この圧力変動がガス配管1を介して他の需要家の供給ガス圧にも影響を及ぼし、脈動現象としてガス流速、すなわちガス流量が変動する。この場合、所定の計測周期でガス流量を計測しているため、計測周期よりも短い周期で脈動が発生すると計測周期の間で変動する流量は計測値に反映されないこととなり、流量バラツキが大きくなる。このため、一般的には計測周期を短くして対応するようにしているが、計測周期を短くすると電池消耗が激しくなり電池保証期間を満足できなくなるという別の問題が発生する。
そこで、脈動が発生したときだけ計測周期を短くするように切り替えればよいが、脈動の発生と終結のタイミングが正確に検出することが困難なため、一度脈動が発生し計測周期を短くした高精度流量計測モードに入ると所定期間その計測モードを継続して流量変動が安定したことが確認できてからでないと通常流量計測モードに復帰することができないものであった。そのため、不必要な高精度計測モードでの流量計測を強いられるものであった。また、流量変動の原因としては上記した如くGHP(ガスヒートポンプ)等の使用による脈動に起因するもの以外に、自分の家の器具使用に連動して一時的に流量が変動する場合や、供給ガス圧の一時的な変動による場合があり、全ての流量変動に対して高精度流量計測モードで対応すると電池消耗が激しく保証期間内における動作保証ができないことになる。
そこで、脈動現象の発生状況、つまり通常流量計測モードから高精度流量計測モードへの移行回数に応じて継続的な脈動現象か、一過性の脈動現象かを判断し、一過性の場合は電池容量の変更を行わず、継続的な脈動が発生していると判断した場合に電池容量の変更を行う旨を指示するようにしているため、電池容量の変更が必要か否かを的確に判断することができ、継続的な脈動と判定した場合に電池容量の変更の必要性を報知することで、保証期間内の安定した動作を確保することができると共に、簡単に電池容量の変更が可能な電池収納形態を提供するものである。
そして、ガスメータにおける脈動現象の検出手段としては、計測周期を長く設定した通常計測モードにおいて上記方法で計測された流量値と予め設定した脈動判定値を脈動判定部25で比較し、脈動判定値を超えるような流量変動がある場合に脈動に起因する異常流量であると判断して脈動信号を出力する。脈動判定部25から脈動信号が出力されると所定時間を計時するタイマ手段29が作動し、そのタイマ手段29が作動中の脈動信号の発生回数を脈動信号記憶部30がカウントし記憶する。そして、電池容量変更指示部31はタイマ手段29が計時終了した時点で脈動信号記憶部30のカウント数と予め定めた比較値を比較し、カウント数が比較値を超えている場合は頻繁に脈動に起因する流量変動が発生しており、継続的に脈動現象が発生していると判断して電池容量変更指示信号を出力し
、カウント数が比較値を下回る場合は一過性の脈動現象であると判断して電池容量変更指示信号を出力しない。
そして、電池容量変更指示部31から電池容量変更指示信号が出力されると、上記した如くガスメータ2に内蔵の無線モジュール11を用いて所定の場所に報知する。報知ルートとしてガス事業者15に直接報知する場合は、広域通信無線モジュール11aにより広域通信周波数帯(例えば、200MHz)を用いて基地局14に送信し、専用回線を介してガス事業者15に電池モジュールを追加して電池容量を増大させる必要がある旨のメッセージを伝達する。また、報知ルートとして需要家に報知する場合は、エリア通信無線モジュール11bにより特定小電力無線通信周波数帯(例えば、429MHz)を用いて需要家宅内のテレビ12aまたは携帯電話12b等の表示端末装置12に送信し、画面上に例えば図11(c)に示すように、電池容量の変更が必要になった旨を表示し、需要家からガス事業者に対して電池モジュールの追加を要請する。
また、脈動判定部25に設定する脈動判定値を複数段とし、この複数段の脈動判定値と脈動信号記憶部30のカウント数を比較し、各段数毎の比較結果に基づいて計測モードを選択するようにしてもよく、その場合は、計測モードとして高精度流量計測モードと通常流量計測モード以外に計測周期を高精度流量計測モードと通常流量計測モードの略中間値とした中精度流量計測モードを設ける必要がある。そして、脈動に起因する流量変動が比較的軽微な場合は中精度流量計測モードを選択し、流量変動が激しい場合は高精度流量計測モードを選択することで、流量バラツキと電池消耗のバランスを考慮した流量計測を実現することができる。
さらに、高精度流量計測モードと中精度流量計測モードとでは、電池容量変更指示信号を出力する条件を変更し、例えば中精度流量計測モードの場合は所定時間内に発生する脈動信号が多い回数を設定した第1の比較値を超えたときに電池容量の変更が必要であると判断して電池容量変更指示信号を出力し、高精度流量計測モードの場合は所定時間内に発生する脈動信号が少ない回数を設定した第2の比較値を超えたときに電池容量の変更が必要であると判断して電池容量変更指示信号を出力する。この計測モードに応じて電池容量変更指示信号を出力するタイミングを変更することで、脈動の影響度合いに応じ電池容量の変更指示を行うことができるため、実際の使用状況に適した電池容量を確保することができる。つまり、高精度流量計測モードが選択される場合は脈動の影響が大きい状態であり、この場合は電池消耗も激しく少ない回数で電池容量変更指示信号を出力しないと電池寿命に影響を与えることになるため、電池容量変更指示部31の比較値として少ない回数を設定した第2の比較値を設定し、中精度流量計測モードが選択される場合は脈動の影響が比較的軽微であり、この場合は電池消耗が多少増大する程度であるため、電池容量変更指示部31の比較値として多い回数を設定した第1の比較値を設定し、この第1の比較値を超えたとき電池容量変更指示信号を出力することで、むやみに電池容量を増大させることを抑えるようにしている。
また、脈動現象が継続的なものであるか、一過性のものであるかを特定する別の実施形態として図13に示すような方法もある。
脈動の発生と終結のタイミングを隣接するガスメータからの脈動信号の受信によって特定のエリア内で発生する脈動現象を確認し、その確認結果に基づいて計測モードの切り替えを行うようにしたものであり、具体的には、特定のエリア内に高精度計測モードを頻繁に行っても電池寿命が保証期間を十分満足できる電池容量を持ったガスメータを設置し、このガスメータが同じ系統のガス配管1の脈動現象を検出するようにする。そして、脈動現象を検出した場合は、エリア通信無線モジュール11bから隣接するガスメータに対して脈動信号を送信する。
そして、上記特定のガスメータにおける脈動現象の検出手段としては、計測周期を長く設定した通常計測モードにおいて上記方法で計測された流量値と予め設定した脈動判定値を脈動判定部25で比較し、脈動判定値を単数回あるいは複数回超えるような流量変動がある場合に脈動に起因する異常流量であると判断して脈動信号を出力する。脈動判定部25から脈動信号が出力されると無線モジュール11に送って、エリア通信無線モジュール11bを用いて隣接する他のガスメータに対して外部脈動判定信号として送信する。そして、脈動現象を判定すると制御回路10aは計測制御部18に対して計測周期を通常計測モードより短い周期で超音波センサ17A、17Bを駆動して計測する高精度計測モードに切り替えるべく指示信号を出力する。以降、計測周期を短くした高精度計測モードにて流量計測が行われ、計測流量値が所定期間安定した状態が継続すると、通常計測モードに復帰するようにしている。
次に、上記特定のガスメータから送信される脈動信号を受信して脈動現象を判定するガスメータについて説明する。脈動信号をエリア通信無線モジュール11bで受信すると、その情報を制御回路10aに送り、外部脈動信号判定部10fで外部脈動判定信号ありとして登録する。この状態で通常計測モードで計測された流量値が脈動判定値を超えた場合は、脈動判定部25が制御回路10aに脈動信号を出力する。つまり、隣接するガスメータから脈動信号が送信される状態はそのエリアで脈動の原因となる器具、例えばGHPが使用されていることであり、流量変動が発生した場合の原因として脈動を特定することができるため、直ちに高精度計測モードに切り替えて精度よく流量計測を行うことで流量バラツキの低減を図ることができる。
また、エリア通信無線モジュール11bが脈動信号を受信しない状態の場合は、外部脈動判定信号なしとして制御回路10aの外部脈動信号判定部10fに登録する。この状態においては脈動判定部25の判定結果に関係なく、つまり、脈動判定値を超えるような流量変動が発生しても高精度計測モードに切り替えることなく、通常計測モードを継続して流量計測を行う。つまり、隣接するガスメータから脈動信号が送信されない状態は、そのエリアで脈動の原因となる器具、例えばGHPが使用されていないことであり、流量変動が発生した場合の原因は自分の家における器具使用等による一過性のものであると判断できるため、通常計測モードを継続することで、電池消耗の抑制を図ることができる。
また、高精度計測モード中に外部脈動判定信号なしが登録された場合は、所定の安定期間を経過するまでもなく、直ちに通常計測モードに復帰させることで、電池消耗の抑制を図ることができる。
また、外部脈動判定信号により高精度計測モードと通常計測モードの切り替えを行う場合に、外部脈動判定信号の受信回数に応じて高精度計測モードと通常計測モードの切替タイミングを変更するようにしてもよく、この場合、エリア通信無線モジュール11bを介して隣接するガスメータの脈動発生回数よりそのエリアのガス供給系統における脈動の影響度合いを判断し、影響度合いに応じて高精度流量計測モードと通常流量計測モードの切り替えを行うことができるため、精度よく流量変動の原因を特定することが可能となり、実際の使用状況に適した流量計測条件を選択することが可能となり、電池消耗を抑制しつつ、流量バラツキの低減を図ることができる。
また、エリア通信無線モジュール11bを用いた通信の相手として、隣接するガスメータのうち、予め特定したガスメータと脈動信号の送受信を行い、この特定のガスメータからの脈動判定信号と脈動判定部25の判定結果に応じて高精度流量計測モードと通常流量計測モードを切り替えるようにしてもよく、この場合、受信レベルの強さや器具使用頻度の条件等から予め特定したガスメータの脈動情報に基づいて計測モードの切り替えを行う
ようにしているため、正確な流量変動の原因を特定することができ、実使用に適した計測モードの選択で電池消耗を抑制しつつ、流量バラツキの低減を図ることができる。
また、隣接するガスメータのうち、予め特定したガスメータと脈動信号の送受信を行い、流量計測指示部は、特定のガスメータからの脈動判定信号の回数と脈動判定部25の判定結果に応じて高精度流量計測モードと通常流量計測モードを切り替えるようにしてもよく、この場合、特定のガスメータからの脈動情報の頻度に応じて計測モードの切り替えを行うようにしているため、より正確な流量変動の原因を特定することができ、実使用に適した計測モードの選択で電池消耗を抑制しつつ、流量バラツキの低減を図ることができる。
次に、報知手段から電池容量の変更が必要である旨が報知された場合に電池容量を変更する電池収納形態について説明する。
電池2fの収納形態としては、電池容量変更指示信号の有無に応じて異なる電池容量となるように電池が収納できる構成としている。つまり、電池容量変更指示信号が出力された場合と、出力されない場合とでは消費電力に大きな差が生じることになり、1つの電池電源で電池容量変更指示信号が出力された場合と、そうでない場合の両方を満足させようとすると、電池容量変更指示信号が出力された場合を想定して必要な電池容量を確保しておく必要があり、電池容量変更指示信号が出力されない、つまり脈動の影響を受けず計測モードの変更がないガスメータにおいては余分な電池容量を持つことになる。本発明のように脈動に起因する流量変動が継続的なものか、一過性のものかを判別し、継続的に脈動現象が発生する環境にある場合に、電池容量が変更できる電池収納形態とする構成が好ましく、これにより使用環境にに対応した合理的な電池電源が構成できるものである。
その具体的構成として、図7〜図10に示すようにガスメータ2の前面側に電池収納部26を設け、通常は電池収納蓋26aで覆い、電池容量の変更を行う場合に該蓋26aを開くことで第2の電池モジュール26bの追加等を容易に行うことができるようになっている。そして、電池収納部26はガスメータの基本となる流量計測機能を有した制御回路10aに電源を供給する第1の電池モジュール26cを収納する第1の収納スペース26dと、使用環境等の影響で流量計測モードを計測周期の短い高精度流量計測モードに切り替える必要があり、その状況が頻繁に発生すると判断した場合に追加電源として第2の電池モジュール26bを収納する第2の収納スペース26eで構成し、第1の収納スペース26dに収納された第1の電池モジュール26cは一度装着すると電池寿命が尽きるまで交換の必要がないため、カバー等で覆うことで容易に着脱できない構成とし、計測モード変更等の負荷変動に応じて電池容量を変更するために第2の電池モジュール26cを追加収納する第2の収納スペース26eはスライド方式等で着脱自在な構成とし、第1の収納スペース26dと第2の収納スペース26eを区別して構成している。
また、電池収納スペースの具体的な実施形態として図8に示すように、一つの電池収納ボックス27を上下に区分して下段側に第1の電池モジュール26cを収納する第1の収納スペース26dを形成し、上段側に第2の電池モジュール26bを収納する第2の収納スペース26eを形成することで、電池収納ボックス27を引き出したとき上段側に形成した第2の収納スペース26eが露出する形態となるため、電池モジュールを追加する場合に誤装着がなく、装着作業を容易に行うことができる。
また、別の実施形態として図9、図10に示すように、第1の電池モジュール26c及び第2の電池モジュール26bを収納する電池収納ボックスをそれぞれ別々に設け、第2の電池モジュール26bを収納する第2の電池収納ボックス28aをスライドにより着脱自在に引き出し可能な構成とし、第1の電池モジュール26cを収納する第1の収納ボッ
クス28bはビス等でガスメータ2に固定する構成としたことで、追加の電池モジュールを収納する第2の電池収納ボックス28aのみがスライド可能な構成となるため、電池モジュールを追加する場合に誤装着がなく、装着作業を容易に行うことができる。
なお、電池収納形態は本実施の形態に限定されるものではなく、第2の電池モジュール26bが着脱自在に収納できるものであればどのような形態でもよいものである。
また、第2の電池モジュール26bが装着された第2の電池収納ボックス28aが電池収納部26に確実に収納されたとき、第1の電池モジュール26cと電気的に接続される接続手段を付加することで、電池容量の変更を可能とし、負荷が増大した場合の電池寿命を適正に設定することができる。
また、電池収納部26に確認窓等を設け、第2の電池収納ボックス26bの収納状態をガスメータ本体の外側から確認できる構成とすることで、電池容量の追加状態を、簡単に確認することができるものでもある。
また近年、超音波センサを用いたガスメータにあっては瞬時流量が簡単に測定できるため、ガス漏れ等の保安機能以外に、器具判別機能を利用して各種サービスの提供が検討され、回路負荷が増大し電池消耗が激しくなる傾向にある。
その一例を示すと、使用器具や用途に応じてガス料金の割引率を設定しようとするもので、超音波センサによる瞬時流量計測機能を用いた器具判別手段で使用ガス器具あるいは用途を特定し、器具別或いは用途別に使用量を求め、予め定めた割引率を適用してガス料金を算出することで、ガス利用の促進と需要家へのサービス提供を行うものである。
その具体的手段の一例として、使用するガス器具の種類を特定する器具信号を設定し登録する器具信号登録手段21と、使用するガス器具の用途別に使用形態を特定する用途別信号登録手段22と、この器具信号登録手段21及び用途別信号登録手段22の登録情報より予め定めた分類毎に家庭内の使用ガス器具を分類する器具分類手段23とを有する器具判別手段24が設けられている。
ここで、器具信号登録手段21は、例えば下表(表1)のように、器具の種類に応じて信号を設定登録する。
また、用途別信号登録手段22は、例えば下表(表2)のように、器具の用途別に使用形態を特定する信号を設定登録する。
また、器具分類手段23は、ガス事業者がガス器具の種類及び使用形態等からガス料金の割引対象分野を予め設定し分類したものに、上記(表1)及び(表2)で得られる情報より家庭内で使用するガス器具を当てはめ分類するもので、例えば下表(表3)のように、給湯器を用いて床暖房を行っている場合は割引Aとし、ガスファンヒータ等で温風暖房を行っている場合は割引Bとし、それ以外は標準として分類し、家庭内で使用しているガス器具を設定登録する。
そして、器具信号登録手段21、用途別信号登録手段22、器具分類手段23で構成される器具判別手段24からの登録信号に基づいてガス器具の使用状況に応じたガス使用量を監視する情報記憶手段10bを有している。この情報記憶手段10bは、流量計測部17の信号処理手段19で求められるガス流量値を入力し、器具分類手段23で分類された分野に該当するガス器具の登録情報と共に管理され、ガス事業者15から定期的に要求される検針指示情報を無線モジュール11、詳細には広域通信無線モジュール11aが受信すると、情報記憶手段10bの所定期間毎の累積流量データや割引率を反映した料金データ等の情報を取り出し、無線モジュール11、詳細には広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bから基地局14と表示端末装置12に送信し、基地局14から専用回線を用いてガス事業者15に通知すると共に、表示端末装置12の画面を用いて需要家に所定期間のガス料金情報を通知する。
また、上記情報記憶手段10bで行う器具判別について概略を説明すると、器具判別手段24に記憶する登録データとして、例えば図9に示すような流量パターンを用いる。実際の登録データとしては、器具スタート時から例えば0.2秒毎の流量値のデータを所定時間分記憶したものである。なお、データの時間間隔としては0.2秒に限定する必要はなく、要求される器具判別能力により任意に設定できるものである。
流量計測部17では一定間隔毎にガス流量を計測し、新たに計測されたガス流量値が直前の値から所定値以上増加すると、新たな器具が使用されたと判断し、その流量変化と器具判別手段24に登録された器具のコードに対応する流量パターンと比較を行い、使用されている器具の判別を行う。
なお、本実施の形態では情報記憶手段10bは、分類された項目毎にガス器具の使用登録が有るか否かの情報と、トータルのガスの使用量を所定期間毎に管理するようにし、例
えば冬場の暖房期間中は表3に示すように、床暖房と温風暖房の使用器具が登録された状態でガス使用量が管理され、夏場は割引対象分野の使用登録器具がない状態でガス使用量が管理されることになるが、これ以外にも、例えば、情報記憶手段10bに器具判別手段24で分類されたガス器具毎にガス使用量を求める機能を付加することで、より細かな分類が可能となり、多様なサービスの提供ができ、保安面においても充実させることができる。
また、本実施の形態では器具判別手段24の分類項目として、料金割引サービスを対象としたが、これに限定されるものではなく、保安サービス等、ガス事業者等が必要と考えるサービスを対象に器具別の監視方法を採用することができるものである。
以上のように、脈動信号の発生状況に応じて継続的な脈動現象か、一過性の脈動現象かを判断するようにしているため、電池容量の変更が必要か否かを的確に判断することができ、継続的な脈動と判定した場合に電池容量の変更の必要性を報知することで、保証期間内の安定した動作を確保することができると共に、簡単に電池容量の変更が可能な電池収納形態を提供するものである。
さらに、脈動による計測モードの変更に伴う負荷の増大以外にも、器具判別等機能付加に伴う負荷の増大時等においても、電池寿命を延長するための有効な手段でもある。