JP5272262B2 - 魚醤油の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、魚醤油の製造方法に関するものである。
従来より、魚を塩とともに漬け込み、発酵・熟成させて液体成分を取り出した魚醤油が知られている。魚醤油は特有の香りや臭気をもつが、アミノ酸と核酸を豊富に含むため濃厚な旨味を有しており、料理に塩味と旨味を加える調味料として消費量が増加している。そこで、さらに消費者に広く浸透させるため、品質を改善した種々の魚醤油が開発されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「内臓以外の魚介肉と、魚介肉に対し20〜40重量%の骨質と、醤油麹と、10〜飽和濃度の食塩水とを混合し熟成させる魚醤油の製造方法」が開示されている。
(特許文献2)には「淡水魚を主原料とし、淡水魚をすり潰して塩を加えて分解反応させ、全窒素分に対するアンモニア態窒素量の割合が0.12以下であり、臭み成分である有機酸を本質的に含まない魚醤油」が開示されている。
特許第2588111号公報 特許第3598093号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)や(特許文献2)に開示の技術は、いずれも、魚醤油の生臭さや発酵臭等の特有の臭気や、刺激的なエグ味を低減させることを目的としたものであり、これまでは、魚醤油の味や渋味に着目した開発は行われてこなかった。
そこで、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが良く、広く消費者に好まれるような魚醤油が要望されていた。
本発明は上記要望に応えるもので、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが良く呈味に優れ、広く消費者に好まれる魚醤油を安定して製造できる魚醤油の製造方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の魚醤油の製造方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の魚醤油の製造方法は、(a)魚介肉と麹と塩とを混合し熟成させて魚醤油を得る熟成工程と、(b)前記魚醤油の全窒素分N(g/100mL)を測定する全窒素分測定工程と、(c)前記魚醤油のクエン酸の含有量C(mg/100mL)を測定するクエン酸量測定工程と、(d)前記魚醤油の乳酸の含有量L(mg/100mL)を測定する乳酸量測定工程と、(e)全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/Nとしてクエン酸スコアYを求め、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/Nとして乳酸スコアXを求め、前記クエン酸スコアY及び前記乳酸スコアXが所定の範囲に存在するか否かを判定するスコア判定工程と、を備え、前記スコア判定工程において、前記クエン酸スコアY及び前記乳酸スコアXが(数1)を満足する範囲に存在するか否かを判定する構成を有している。
Figure 0005272262
この構成により、以下の作用が得られる。
(1)まず初めに、本発明者らは種々の魚醤油の成分分析と官能検査を行った結果、魚醤油にクエン酸と乳酸が含まれていると呈味が向上することを見出した。さらに、全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/Nとしてのクエン酸スコアYと、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/Nとしての乳酸スコアXと、を求め、乳酸スコアが高いときにクエン酸スコアが低いと、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが良く呈味に優れることを見出した。また、クエン酸スコアが高いときに乳酸スコアが低いと、同様に呈味が向上することを見出した。そこで、種々検討した結果、クエン酸スコアと乳酸スコアを求め、クエン酸スコア及び乳酸スコアが所定の範囲に存在するか否かを判定するスコア判定工程を付加することにより、魚醤油が呈味に優れているかどうかを成分分析の結果から客観的に判定することができ、広く消費者に好まれる呈味に優れた魚醤油を安定して製造できることを見出した。
(2)成分分析と官能検査の結果から、クエン酸スコアY及び乳酸スコアXが(数1)の式(a)〜(d)を満足する範囲に存在すると、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが良く、美味しさが増すことがわかった。美味しさが増す理由は、クエン酸と乳酸により酸味のバランスが良く、さらにクエン酸の緩衝効果によりエグ味等が抑えられる可能性が考えられた。
ここで、熟成工程において、魚介肉としては、フグ,アジ,イワシ,サバ,サケ,アユ等の種々の海水魚や淡水魚、ホタテ等の貝類等の魚介類の身を用いることができる。特にフグ、なかでもフグの未成魚を好適に用いることができる。フグ養殖では、飼育密度調整のために未成魚が生じ、未成魚は小型のため低価格で取引され利用価値が低いという問題があったが、このフグの未成魚を魚醤油の原料とすることで、フグの未成魚の高度利用を図ることができるからである。
自己消化を促進するため、魚介類の内臓や頭等も加えることができるが、特有の臭気を低減させるためには、内臓や頭等は加えずに、魚介肉(身)だけを用いるのが好ましい。トラフグ、サバフグ、マフグ等のフグを用いる場合は、卵巣や肝臓等の有毒部位を除去した可食部が用いられる。
魚介肉は、内臓や頭等を除いたものをそのまま用いることができる。また、チョッパー等で粗砕やペースト状等にしたものを用いることもできる。魚介肉を細かくすることで、熟成工程における分解反応速度を上げることができる。
熟成工程においては、常法に従い、魚介肉に塩と麹とを混合して仕込み、約30℃で約6ヶ月間、分解・発酵・熟成させる。原料仕込み時に、必要に応じて、醤油酵母等の耐塩性酵母を加えることもできる。耐塩性酵母を加えることで、魚臭を低減させることができる。
麹としては、醤油麹,焼酎麹,米麹,味噌麹等の種々の麹を用いることができる。また、魚介肉に、別に蒸煮した米や米糠等の穀類を加え麹菌を散布し、製麹した魚麹を用いることもできる。
熟成後、圧搾等により、分解しなかった骨やヒレ等の固体と液体とを分離した後、液体成分を加熱(火入れ)し、生じた沈殿を濾過等により分離して得られた魚醤油(上澄み)を得ることができる。魚介肉が原料の場合は、ほぼ全てが分解されるため、圧搾等によって固液分離する必要はなく、濾過によって上澄みを得た後、これに火入れを行うことにより魚醤油を得ることができる。
このようにして得られた魚醤油について、全窒素分、クエン酸量、乳酸量の測定を行う。
全窒素分測定工程における全窒素分Nは、日本農林規格(JAS)分析法(ケルダール分析)により測定したものを用いる。
クエン酸量測定工程におけるクエン酸の含有量C、及び、乳酸量測定工程における乳酸の含有量Lは、(株)j.K. インターナショナル製Fキット(クエン酸)及びキャピラリー電気泳動分析装置により測定したものを用いる。なお、高速液体クロマトグラフにより測定したものを用いることもできる。
(a)において、クエン酸スコアYは1≦Y≦280とする。クエン酸スコアYが280を超えると酸味が増し、旨味,甘味,苦味,渋味とのバランスが悪くなる。クエン酸スコアYが1未満になると、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが悪くなる。
式(b)において、乳酸スコアXは10≦X≦900とする。乳酸スコアXが900を超えると酸味が増し、旨味,甘味,苦味,渋味とのバランスが悪くなる。乳酸スコアXが10未満になると、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが悪くなる。
式(c)において、乳酸スコアXとクエン酸スコアYとの関係は、Y≦−0.258X+337.5とする。Y>−0.258X+337.5となると、クエン酸と乳酸の含有量が共に多いため、酸味のバランスが悪くなり美味しくなくなる。
式(d)において、乳酸スコアXとクエン酸スコアYとの関係は、Y≧−0.105X+71.8とする。Y<−0.105X+71.8となると、酸味と甘味等のバランスが悪くなり旨味も乏しくなる。
本発明の請求項に記載の発明は、請求項1に記載の魚醤油の製造方法であって、前記スコア判定工程において前記クエン酸スコアY及び前記乳酸スコアXを求めた後、前記魚醤油にクエン酸及び/又は乳酸を添加するスコア調整工程を備えた構成を備えている。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)クエン酸スコア及び乳酸スコアを求めた後、魚醤油にクエン酸や乳酸を添加するスコア調整工程を備えているので、クエン酸スコアと乳酸スコアを指標として、6ヶ月間以上もの長期間、発酵・熟成させた魚醤油の旨味等をさらに向上させることができるとともに、微生物による腐敗を抑制でき品質安定性に優れる。
ここで、スコア調整工程においては、クエン酸や乳酸を添加した後のクエン酸スコアと乳酸スコアが、(数1)の式(a)〜(d)の範囲を満足するように、適量のクエン酸や乳酸を魚醤油に添加し、容器に詰めて製品とする。
本発明の請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の魚醤油の製造方法であって、前記麹が、醤油麹、焼酎麹の内の1種以上である構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)醤油麹を用いることにより、分解力の強いタンパク質分解酵素が生産され、魚介肉のタンパク質を短期間で分解し低分子化することができる。
(2)焼酎麹を用いることにより、タンパク質分解酵素が生産されるのに加え、クエン酸が生産されるため、スコア調整工程においてクエン酸を加えることなく、クエン酸と乳酸が共存した魚醤油を製造することが可能となる。
ここで、醤油麹としては、例えば、蒸煮大豆や割砕小麦等に、麹菌としてAspergillus oryzaeやAspergillus sojaeを加え培養したものが用いられる。
焼酎麹としては、例えば、米や大麦等に、Aspergillus属の麹菌を加え培養したものが用いられる。
以上のように、本発明の魚醤油の製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)クエン酸スコアと乳酸スコアを求め、クエン酸スコア及び乳酸スコアが所定の範囲に存在するか否かを判定するスコア判定工程を有しているので、魚醤油が呈味に優れているかどうかを成分分析の結果から客観的に判定することができ、広く消費者に好まれる呈味に優れた魚醤油を安定して製造できる魚醤油の製造方法を提供できる。
(2)旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが良く呈味の良い魚醤油を製造できる魚醤油の製造方法を提供できる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)クエン酸スコア及び乳酸スコアを求めた後、魚醤油にクエン酸や乳酸を添加するスコア調整工程を備えているので、クエン酸スコアと乳酸スコアを指標として、6ヶ月間以上もの長期間、発酵・熟成させた魚醤油の旨味等をさらに向上させることができるとともに、微生物による腐敗を抑制でき、品質安定性に優れた魚醤油の製造方法を提供できる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)醤油麹を用いることにより、分解力の強いタンパク質分解酵素が生産され、魚介肉のタンパク質を短期間で分解し低分子化することができるため、生産性に優れた魚醤油の製造方法を提供できる。
(2)焼酎麹を用いることにより、タンパク質分解酵素が生産されるのに加え、クエン酸が生産されるため、スコア調整工程においてクエン酸を加えることなく、クエン酸と乳酸が共存した魚醤油を製造することが可能となる魚醤油の製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
トラフグの皮、内臓、頭部、骨を除去したフグの身(可食部)100重量部に、醤油麹(可能な限り乳酸菌を分離し除去したもの)83重量部、食塩51重量部、耐塩性酵母を混合した。なお、醤油麹は、蒸煮及び煎炒した大豆又は小麦でAspergillus sojae及びAspergillus orizaeを麹菌とする種麹を育種したものである。耐塩性酵母は、醤油酵母Zygosaccharomyces soja及びZygosaccharomyces majorを用いた。
混合物を容器に入れ、28〜30℃で6ヶ月間保持し、発酵・熟成させた。次いで、濾過を行い、得られた上澄みを85℃に加熱(火入れ)し、生じた沈殿を分離して、実験例1の魚醤油を得た。
魚醤油の全窒素分Nをケルダール分析にて測定したところ、1.71(g/100mL)であった。また、乳酸の含有量LをFキットにて測定したところ、90(mg/100ml)であり、クエン酸の含有量CをFキットにて測定したところ、3.9(mg/100ml)であった。この結果、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/N(乳酸スコアX)は52.6であり、全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/N(クエン酸スコアY)は2.3であった。
(実験例2〜8)
実験例1の魚醤油に、含有量Cが100、150、200、300、400、500、600(mg/100mL)になるようにクエン酸を添加して、実験例2〜8の魚醤油を得た。
(実験例9)
トラフグの皮、内臓、頭部、骨を除去したフグの身(可食部)100重量部に、実験例1で用いたものと同種の醤油麹(乳酸菌を分離していないもの)83重量部、食塩51重量部、実験例1と同種の耐塩性酵母を混合した。
混合物を容器に入れ、28〜30℃で6ヶ月間保持し、発酵・熟成させた。濾過を行い、得られた上澄みを85℃に加熱(火入れ)し、生じた沈殿を分離して、実験例9の魚醤油を得た。
魚醤油の全窒素分Nをケルダール分析にて測定したところ、1.71(g/100mL)であった。また、乳酸の含有量LをFキットにて測定したところ、1249(mg/100ml)であり、クエン酸の含有量CをFキットにて測定したところ、3.9(mg/100ml)であった。この結果、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/N(乳酸スコアX)は730.4であり、全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/N(クエン酸スコアY)は2.3であった。
(実験例10〜12)
実験例9の魚醤油に、含有量Cが100、200、300(mg/100mL)になるようにクエン酸を添加して、実験例10〜12の魚醤油を得た。
(実験例13)
サバフグの皮、内臓、頭部、骨を除去したフグの身(可食部)100重量部に、実験例1で用いたものと同種の醤油麹(乳酸菌を分離していないもの)56重量部、焼酎麹(乾燥米麹)20重量部、食塩51重量部、実験例1と同じ耐塩性酵母を混合した。なお、焼酎麹は、Aspergillus awamori を麹菌とする種麹を育種したものである。
混合物を容器に入れ、28〜30℃で6ヶ月間保持し、発酵・熟成させた。濾過を行い、得られた上澄みを85℃に加熱(火入れ)し、生じた沈殿を分離して、実験例13の魚醤油を得た。
魚醤油の全窒素分Nをケルダール分析にて測定したところ、1.37(g/100mL)であった。また、乳酸の含有量LをFキットにて測定したところ、100(mg/100ml)であり、クエン酸の含有量CをFキットにて測定したところ、356(mg/100ml)であった。この結果、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/N(乳酸スコアX)は73.0であり、全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/N(クエン酸スコアY)は259.9であった。
(実験例14〜16)
実験例13の魚醤油に、含有量Lが400、800、1200(mg/100mL)になるように乳酸を添加して、実験例14〜16の魚醤油を得た。
(実験例17〜19)
実験例1の魚醤油に、含有量Lが500、1000、1500(mg/100mL)になるように乳酸を添加して、実験例17〜19の魚醤油を得た。
(実験例20〜23)
実験例2の魚醤油に、含有量Lが500、1000、1500、1600(mg/100mL)になるように乳酸を添加して、実験例20〜23の魚醤油を得た。
(実験例24〜27)
実験例4の魚醤油に、含有量Lが500、1000、1500、1600(mg/100mL)になるように乳酸を添加して、実験例24〜27の魚醤油を得た。
(実験例28〜30)
実験例5の魚醤油に、含有量Lが500、1000、1500(mg/100mL)になるように乳酸を添加して、実験例28〜30の魚醤油を得た。
(官能検査)
実験例1乃至実験例30の魚醤油と市販の魚醤油について官能検査を行った。官能検査は、旨味、甘味、酸味、苦味、渋味を総合的に評価し、市販の魚醤油と比較して、好きなものを5点、嫌いなものを1点とする5点法で表示して行った。なお、検査はパネラー28人により行い、それらの平均点を評価点とした。市販の魚醤油の評価点は3点とした。
市販の魚醤油の全窒素分Nをケルダール分析にて測定したところ、1.42(g/100mL)であった。また、乳酸の含有量LをFキットにて測定したところ、95(mg/100ml)であり、クエン酸の含有量CをFキットにて測定したところ、101(mg/100ml)であった。この結果、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/N(乳酸スコアX)は66.9であり、全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/N(クエン酸スコアY)は71.1であった。
表1に、実験例1〜30の魚醤油、市販の魚醤油(市販品と表記した。)の全窒素分N、乳酸の含有量L、クエン酸の含有量C、乳酸スコアX(L/N)、クエン酸スコアY(C/N)及び評価点(平均点)を示す。
Figure 0005272262
図1は、実験例1〜30及び市販の魚醤油の乳酸スコアXとクエン酸スコアYと評価点(平均点)との関係を示す図である。
図1において、3.00を上回る評価点(平均点)を獲得したものを黒丸で示し、3.00以下の評価点(平均点)だったものは白丸で示した。市販品は白四角で示した。また、黒丸や白丸に書き添えた1〜30の数字は、実験例の番号である。
図1から、3.00を上回る評価点(平均点)を獲得した魚醤油(黒丸で示したもの)は、(a)〜(d)の直線で囲まれた範囲に分布していることがわかった。
ここで、(a)の破線はY=1及びY=280を示し、(b)の破線はX=10及びX=900の範囲を示し、(c)の破線はY=−0.258X+337.5を示し、(d)の破線はY=−0.105X+71.8を示している。(a)〜(d)の直線で囲まれた範囲は、1≦Y≦280…(a)、10≦X≦900…(b)、Y≦−0.258X+337.5 …(c)、Y≧−0.105X+71.8…(d)を全て満足した領域である。この関係を満足する魚醤油は、酸味と甘味等のバランスが良く、市販品と比較してコクのような旨味が増したというコメントが寄せられ、実験例6、10、13、14の魚醤油は、特に美味しいというコメントが寄せられた。
また、パネラーから、実験例1,2,17,18の魚醤油は、酸味と甘味等のバランスが悪く、旨味も乏しいという評価を得た。また、実験例7,8の魚醤油は、酸味が増し、旨味,甘味,苦味,渋味とのバランスが悪いという評価を得た。また、実験例12,15,16,26,30の魚醤油は、酸味のバランスが悪く美味しくないという評価を得た。また、実験例23,27の魚醤油は、酸味が増し、旨味,甘味,苦味,渋味とのバランスが悪いという評価を得た。
以上の実施例によれば、全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/Nとしてのクエン酸スコアYと、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/Nとしての乳酸スコアXと、を求め、クエン酸スコアY及び乳酸スコアXが、破線で囲まれた範囲に存在するか否かを判定するスコア判定工程を有することにより、魚醤油が呈味に優れているかどうかを成分分析の結果から客観的に判定することができ、広く消費者に好まれる呈味に優れた魚醤油を安定して製造できることが明らかになった。
また、クエン酸スコアY及び乳酸スコアXを求めた後、魚醤油にクエン酸や乳酸を添加するスコア調整工程を備えることにより、クエン酸スコアYと乳酸スコアXを指標として、魚醤油の旨味等をさらに向上させることができ、品質安定性に優れ、美味しい魚醤油を製造できることが明らかになった。
本発明は、魚醤油の製造方法に関し、旨味,甘味,酸味,苦味,渋味のバランスが良く呈味に優れ、広く消費者に好まれる魚醤油を安定して製造できる魚醤油の製造方法を提供することができる。また、フグ養殖では、飼育密度調整のために未成魚が生じ、未成魚は小型のため低価格で取引され利用価値が低いという問題があったが、このフグの未成魚を魚醤油の原料とすることで、フグの未成魚の高度利用を図ることができる。
実験例1〜30及び市販の魚醤油の乳酸スコアXとクエン酸スコアYと評価点(平均点)との関係を示す図

Claims (3)

  1. (a)魚介肉と麹と塩とを混合し熟成させて魚醤油を得る熟成工程と、(b)前記魚醤油の全窒素分N(g/100mL)を測定する全窒素分測定工程と、(c)前記魚醤油のクエン酸の含有量C(mg/100mL)を測定するクエン酸量測定工程と、(d)前記魚醤油の乳酸の含有量L(mg/100mL)を測定する乳酸量測定工程と、(e)全窒素分Nに対するクエン酸の含有量Cの比率C/Nとしてクエン酸スコアYを求め、全窒素分Nに対する乳酸の含有量Lの比率L/Nとして乳酸スコアXを求め、前記クエン酸スコアY及び前記乳酸スコアXが所定の範囲に存在するか否かを判定するスコア判定工程と、を備え
    前記スコア判定工程において、前記クエン酸スコアY及び前記乳酸スコアXが(数1)を満足する範囲に存在するか否かを判定することを特徴とする魚醤油の製造方法。
    Figure 0005272262
  2. 前記スコア判定工程において前記クエン酸スコアY及び前記乳酸スコアXを求めた後、前記魚醤油にクエン酸及び/又は乳酸を添加するスコア調整工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載の魚醤油の製造方法。
  3. 前記麹が、醤油麹、焼酎麹の内の1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚醤油の製造方法。
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