JP5269222B1 - リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正極活物質と集電体の高い分離回収効率を低コストで達成できる従来技術とは異なる方法を提供する。
【解決手段】(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、(B)当該リチウムイオン電池用正極材を粉砕媒体を用いて集電体と正極活物質に分離させる工程と、分離された正極材を篩別して、篩下に正極活物質を回収する工程を同時に行うこと、を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用正極材から正極活物質を分離回収する方法に関する。
集電体と正極活物質を分離する技術の一つとして、正極材を湿式処理する方法が知られている特開平10−255862号公報(特許文献1)には、リチウムイオン二次電池の電極を酸性溶液、アルカリ金属の水酸化物溶液、アルカリ金属のアルコール溶液若しくは有機溶媒のうちのいずれかに浸漬し、前記電極を電極材と集電体とに分離する方法が記載されている。特開2005−327482号公報(特許文献2)には、正極基板と正極活物質とからなる正極板を切断し、pH0〜3の硫酸水溶液中で浸漬撹拌することより、正極基板と正活物質を固体のまま分離回収する方法が記載されている。また、正極材を燃焼処理する方法が知られている。特開平10−8150号公報(特許文献3)では、金属箔塗着廃材をシュレッダー等で適当な大きさ、例えば数mmから数十mm角の大きさに裁断処理した後、酸素含有ガス気流中で300〜600℃で燃焼処理することにより、金属箔塗着廃材の電極材料中に配合されているアセチレンブラックやカーボン等の導電剤とフッ素樹脂、フッ素ゴム等の結着剤とを選択的に分解させて除去する方法が開示されている。
特開平10−255862号公報 特開2005−327482号公報 特開平10−8150号公報
このように、集電体と正極活物質を分離する技術が知られているが、酸を利用する湿式処理では、回収物であるCo、Ni等の溶出によるロスや不純物であるAlの溶解、混入といった欠点がある。有機溶媒による分離方法では回収率は高いが、回収された正極材からの溶媒の除去や溶媒を取り扱う上での安全性の問題がある他、処理コストが高いという欠点がある。燃焼処理する方法では、結着剤(バインダー)である有機材料を焼却処理することにより正極材を回収する。しかし、正極材の剥離不良やAlの溶融による巻き込みなどにより回収率が低く、さらに、スクラップの状態によって処理条件が異なるなどの課題が残っている。
そこで、本発明は、正極活物質と集電体の高い分離回収効率を低コストで達成できる従来技術とは異なる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、粉砕媒体を用いた粉砕処理を篩上で行うことで、剪断処理や裁断処理などに比べて、正極材からの正極活物質の剥離・分離性が格段に向上し、集電体が篩上に、正極活物質が篩下に高い分離効率で回収できることを見出した。また、粉砕媒体を用いた粉砕処理を篩上で行うことで、作業効率が格段に上昇し、工業的な操業を行う上でコストメリットが非常に大きいことを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、
(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
(B)当該リチウムイオン電池用正極材を粉砕媒体を用いて集電体と正極活物質に分離させる工程B−1と、分離された正極材を篩別して、篩下に正極活物質を回収する工程B−2を同時に行うこと、
を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法である。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の一実施形態においては、工程B−2に使用する篩の目開きが0.1〜10mmである。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の別の一実施形態においては、工程B−2に使用する篩が振動篩である。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の更に別の一実施形態においては、振動篩が面内振動篩、三次元振動篩、超音波振動篩、又は強制撹拌篩である。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の更に別の一実施形態においては、工程Bは、バインダーを熱分解するためにリチウムイオン電池用正極材を加熱処理した後に実施する。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の更に別の一実施形態においては、工程Bによって得られた篩上に対してバインダーを熱分解するための加熱処理を行い、その後に、工程Bを繰り返す。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の更に別の一実施形態においては、加熱処理は、300〜650℃で10〜240分間行われる。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の更に別の一実施形態においては、加熱処理は、正極材の重量減少率が1〜12%となる範囲で実施する。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の更に別の一実施形態においては、粉砕媒体は正極活物質に使用される金属を材料とする。
本発明によれば、リチウムイオン電池用正極材から正極活物質及び集電体を高い分離効率で回収できるようになる。また、本発明に係る方法は、粉砕と篩別が同時に進行するため処理システムを簡単に構成することができることから低コスト化が可能であると共に、酸性やアルカリ性の水溶液や有機溶媒を使用することなく乾式で行えるので安全性の高い操業が可能となる。そのため、本発明は、リチウムイオン電池正極材から正極活物質を分離回収する工業的利用価値の極めて高い方法を提供することとなる。
例2における加熱時間と重量減少率の関係を示すグラフである。 例2における加熱時間と回収物Al混入率の関係を示すグラフである。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の一実施形態においては、
(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
(B)当該リチウムイオン電池用正極材を粉砕媒体を用いて集電体と正極活物質に分離させる工程B−1と、分離された正極材を篩別して、篩下に正極活物質を回収する工程B−2を同時に行うこと、
を含む。
<工程(A)>
工程Aでは集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する。限定的ではないが、一般的な正極材では、正極活物質、バインダー並びに必要に応じて導電剤及び電解質等を含む電極材料を溶媒に分散して正極活物質スラリーを調製し、この正極活物質スラリーを集電体上に塗布して乾燥させた後にプレスすることにより、集電体の片面又は両面に正極活物質が接着されている。本発明に係る方法はとりわけ、使用済みのリチウムイオン電池から回収した正極材、製造過程等で発生した規格外(オフスペック)の正極材、品質管理上の抜取検査処理用の正極材、及び製造過程で発生した端材等を特に処理対象とすることができる。
集電体としては、限定的ではないが、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、金、クロム、鉄、スズ、鉛、タングステン、モリブデン、亜鉛又はこれらを含む合金等の金属が使用されるのが通常であり、アルミニウムが多用されている。集電体は金属箔の形態で提供されるのが一般的である。本発明に係る方法は集電体としてアルミニウム又はアルミニウム合金を使用した正極材に特に好適に使用可能である。
正極活物質としてはリチウムイオン電池用の正極活物質として公知のものであれば特に制限はないが、一般的にはリチウムの他、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、バナジウム、鉄及び銅の何れか1種又は2種以上を含有する複合酸化物又は塩の形態として提供される。
バインダーとしては一般に樹脂が使用されており、限定的ではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びユリア樹脂等が挙げられる。典型的にはPVDFが使用される。
<工程B>
工程Bでは、リチウムイオン電池用正極材を粉砕媒体を用いて集電体と正極活物質に分離させる工程(B−1)と、分離された正極材を篩別して、篩下に正極活物質を回収する工程(B−2)が同時に実施される。
工程B−1では、リチウムイオン電池用正極材を粉砕媒体を用いて集電体と正極活物質に分離する。シュレッダー、一軸破砕機、二軸破砕機等による剪断的な粉砕だと集電体まで粉々になり、後の篩分工程において篩下に集電体が移行しやすいところ、粉砕媒体を使用することにより、集電体があまり小さくならずに正極活物質が分離するので、集電体と正極活物質の分離効率が高いという理由による。粉砕媒体は一般に塊状であり、その中でもハンドリングや粉砕効率の理由によりボール状であることが好ましい。
粉砕媒体の材料としては、正極材を粉砕できる限り特に制限はないが、正極材を粉砕するのに適した硬度を有する材料であることが好ましく、例えば、セラミック、アルミナ製の磁性ボール、正極活物質に使用される金属等が挙げられるが、粉砕媒体の成分が摩耗や破損などにより、次工程の篩分において篩下に移行しても、回収された正極活物質の純度に悪影響を与えないようにするために、正極活物質に使用される金属を材料とするのが好ましい。例えば、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、バナジウム、鉄及び銅の何れか1種の金属又はこれらの2種以上を組み合わせた合金を使用したり、或いは、これら1種又は2種以上の金属成分から構成されるセラミックとしたりすることが好ましい。
粉砕媒体の大きさは、特に制限はないが、大きくなりすぎると使用できる媒体の数が少量となり、リチウムイオン電池用正極材と接触する部分が少なくなるため分離効率が下がる一方で、小さくなりすぎてもリチウムイオン電池用正極材より下部でボールが振動することが多くなるため分離効率が下がる。そこで、例えばボール状の粉砕媒体を使用する場合は、直径5〜50mmとするのが好ましく、直径10〜30mmとするのがより好ましい。また、異なる直径のボールを併用しても良い。例えば、ボールの大きさを2グループに分け、第一グループのボールの直径を15〜30mmとして、第二グループのボールの直径を10〜15mmとすることができる。これにより第一グループのボールが大きいリチウムイオン電池用正極材を細かくし、第二グループのボールが効率的に剥離する効果が得られる。3つ以上のグループにボールの大きさを区分けすることも可能であるが、効果には限りがあるので過度に分ける必要はない。
効率的な分離操作のためには、粉砕装置の大きさに応じて粉砕媒体は複数使用することが一般的である。例示的には、処理する正極材の重量(g)に対する粉砕媒体の数(個)は、0.001〜100とすることができ、典型的には0.01〜10とすることができる。
粉砕手段としては、粉砕媒体の運動エネルギーを正極材に伝達し、正極材を粉砕することができる限り、特に制限はないが、例えば振動篩が好ましい。振動篩としては、面内振動篩(例:ジャイロシフター、レシプロスクリーン、水平式又は傾斜式のバイブレーティングスクリーン)、三次元振動篩(例:円形スクリーン、ローテックススクリーン)、超音波振動篩、強制撹拌篩等が挙げられ、縦方向の振動が大きい理由により、三次元振動篩、超音波振動篩が好ましい。振動篩機の振動数としては、1〜100Hzの振動数であることが好ましく、20〜80Hzの振動数であることがより好ましい。また、排出口に篩の設置されたボールミルを使用することもできる。
工程B−1の実施時間は、振動数や媒体の数にもよるが、短すぎると分離効率が悪くなる一方で、長すぎると処理コストが高くなると共に、集電体までが小さく粉砕されてしまうので、集電体と正極活物質の分離効率、集電体の混入率を考慮すると、10〜120分が好ましく、30〜60分がより好ましい。
工程B−2では、集電体と正極活物質に分離された正極材を篩別して、篩下に正極活物質を回収する。通常、集電体から剥離した正極活物質は軟質であるために粉状になる一方で、集電体は比較的硬質であるために正極活物質ほどは小さくなりにくい。そのため、所定の目開きをもつ篩を使用することにより、集電体の混入を防ぎながら、高い回収率で正極活物質を回収することが可能となる。本発明者の知見によれば、工程B−2に使用する篩の目開きは0.1〜10mmとするのが好ましく、0.3〜3mmとするのがより好ましい。
本発明においては、目開き寸法は一つ一つの篩目が形成する正方形の一辺の長さを指すことが原則である。しかしながら、本発明では篩目の形状は正方形に限られるものではなく、例えば長方形、菱形又は円形でもよい。従って、本発明においては目開き寸法をxmmと定義したときには、その篩がJIS Z8801−1:2006に従う目開き寸法xmmの篩と実質的に同等の篩分け特性を有する篩目を有することを指すものとする。
工程B−2で使用可能な篩としては例えば、振動篩、撹拌篩等が挙げられるが、振動篩の構造を有する篩が好ましい。工程Bを篩上で実施することにより、工程B及び工程Bを同時に実施できるようになる。具体的には、上述したような、篩振とう機、振動篩機、ジャイロシフターや、排出口に篩分機の設置されたボールミルを使用することで工程B−1と工程B−2を同時に且つ連続的に実施することができる。この場合、工程B−1によって集電体から分離され、篩目を通過できる程度の大きさにまで粉砕された正極活物質は、すぐさま篩下に移行する。これにより、過度に小さくなる前に正極活物質が篩下に移行することができるので、正極活物質が過度に粉砕されて、微粉になるのを防ぐ。微粉になると、非常に舞いやすく環境面に対して悪影響を及ぼす。
工程Bを実施する前段において、装置の大きさの制約等に合わせて、正極材を処理しやすい大きさに切断しておくこともできる。例えば、0.5〜50cm、典型的には1〜20cmの正方形の篩目を通る程度の大きさにすることができる。これは、ハサミで行うこともできるが、裁断機、破砕機を使用してもよい。但し、上述したように、過度に小さくすると集電体の混入率が高くなるおそれがあるので、注意する必要がある。
<加熱処理>
正極材に使用されているバインダーはメーカ毎に微妙に異なり、種々のメーカの正極材が混合した状態で処理しなければならないことが多いため、実操業においては、特定のメーカの正極材にしか対応できないといった適応範囲の狭い分離回収方法よりも、汎用性のある分離回収方法が要求されることとなる。
上述した分離回収方法は多くの種類の正極材に対応可能であるが、中にはバインダー量が違うものや塗布方法の違うものや特殊なバインダーが使われているものもあり、正極活物質と集電体の分離が困難な正極材もある。そのような場合には、工程Bの前に、リチウムイオン電池用正極材を加熱処理してバインダーを熱分解するのが有効である。これにより、難剥離性の正極材であっても、高い分離効率で正極活物質と集電体を分離することができるようになる。
加熱処理は、加熱温度が低すぎると十分にバインダーが分解しない一方で、加熱温度が高すぎると集電体が酸化したり、溶融が起こったりして脆くなり、篩下への集電体の混入率が上昇しやすくなるため、300〜650℃に正極材を加熱することが好ましく、400〜600℃に正極材を加熱することがより好ましい。加熱時間は長い方がバインダーの分解が進行するが、長すぎるとやはり集電体が脆くなる傾向になるので、10〜240分が好ましく、20〜120分が好ましい。また、適切な加熱温度で加熱処理を行っていれば加熱時間はそれほど長くなくても十分な効果が得られる。よって、エネルギーの節約や時間短縮の観点も加味すれば、加熱時間は20〜80分が好ましく、20〜60分がより好ましい。
加熱処理の程度は、正極材の重量減少率を目安にすることができる。バインダーの熱分解が進むにつれて正極材の重量減少量は大きくなる。重量減少量が適切な範囲となるように加熱処理を実施すれば、集電体の篩下への混入を防ぎながら正極活物質の高い回収率を達成することができる。これが過度になると集電体の篩下への混入が多くなる傾向にある。具体的には、リチウムイオン電池用正極材製造元のバインダー使用状況によるが加熱処理による正極材の重量減少量は1〜12%とするのが好ましく、3〜10%とするのがより好ましい。
前述したように、上述した分離回収方法は多くの種類の正極材に対応可能であるので、加熱処理を実施する必要のない正極材も多く存在する。加熱処理を実施するためには、そのためのコストがかかるので、加熱処理を行う正極材はできるだけ少ないことが好ましい。そこで、上述した分離回収方法では正極活物質と集電体を分離できなかった正極材に対してだけ加熱処理を行えば、不必要に加熱処理を実施することもなくなる。具体的には、工程Bによって得られた篩上に対してバインダーを熱分解するための加熱処理を行い、その後に、工程Bを繰り返すことで、必要最小限の正極材にのみ加熱処理を行うことができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は例示目的であって発明が限定されることを意図しない。
(例1)
種々のメーカの正極材をサンプル(A〜E)として準備した。これらの正極材において、集電体はアルミニウム箔であり、正極活物質の金属成分は、主にLi、Mn、Co及びNiである。表1に記載の重量の各サンプルをハサミで一辺が10〜20mmの正方形にカットした。次いで、正極材を磁性ボールと共に篩振とう機内に投入し、正極活物質及び集電体の分離及び篩別を連続的に行った。
<電磁式篩振とう機>
メーカ:Retsch社
型式:AS200
振幅:2.0mm
篩の目開き:0.5mm
振動方式:三次元運動
振動数:3,600回/min
<磁性ボール>
材質:アルミナ
投入個数:直径20mmが10個、直径14mmが10個
結果を表1に示す。表1より、サンプルA以外のサンプルは加熱処理せずとも、集電体の混入を防止しながら正極活物質の高い回収率が得られていることが分かる。表1中、正極活物質の回収率(%)は、篩上及び篩下のMn,Co,Ni,Liの合計金属重量を100%として以下の式により算出した。
正極活物質回収率=(篩下Mn,Co,Ni,Li量)/(篩上Mn,Co,Ni,Li量+篩下Mn,Co,Ni,Li量)
また、回収物Al混入率は、篩上及び篩下の合計Al重量を100%として以下の式により算出した。
回収物Al混入率=(篩下Al量)/(篩上Al量+篩下Al量)
なお、各金属の重量はサンプルを酸溶解してICPにて分析した結果より算定した。
(例2)
例1において分離回収率の低かったサンプルAについて、加熱処理による効果を試験した。サンプルAの正極材をハサミで一辺が10〜20mmの正方形にカットした。次いで、この正極材を電気炉内で表2に記載の種々の加熱温度及び加熱時間で加熱処理した。その後、例1と同様の条件で、正極材を磁性ボールと共に篩振とう機内に投入し、正極活物質及び集電体の分離及び篩別を連続的に行った。振とう時間は30分とした。
結果を表2に示す。表2より、加熱処理によってサンプルAの正極材においても、集電体の混入を防止しながら正極活物質の高い回収率が得られていることが分かる。また、図1に、加熱時間と重量減少率の関係を示し、図2に、加熱時間と回収物Al混入率の関係を示した。
(例3:比較)
サンプルCの正極材を準備し、この正極材25.0gをハサミで一辺が10〜20mmの正方形にカットした。次いで、正極材を以下の条件としてボールミルで粉砕して集電体と正極活物質の分離を行った後、正極材をボールミルから取り出して例1で使用した篩振とう機内に投入し、集電体と正極活物質の篩別を30分間行った。ボールミルに使用したボールの大きさ(直径;mm)と数は表3に記載の通りである。
<ボールミル>
メーカ:アサヒ理化製作所
型式:AV-1型
回転数:130rpm
回転時間:120分
ボール材質:アルミナ
(例4:比較)
サンプルCの正極材を準備し、この正極材25.0gをハサミで一辺が10〜20mmの正方形にカットした。次いで、この正極材を例1で使用した篩振とう機内に直接投入し、正極活物質及び集電体の分離及び篩別を30分間行った。しかしながら、篩下重量は0.1質量%未満であった。

Claims (9)

  1. (A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
    (B)当該リチウムイオン電池用正極材を塊状の粉砕媒体を用いて集電体と正極活物質に分離させる工程B−1と、分離された正極材を篩別して、篩下に正極活物質を回収する工程B−2を同時に行うこと、
    を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  2. 工程B−2に使用する篩の目開きが0.1〜10mmである請求項1に記載の方法。
  3. 工程B−2に使用する篩が振動篩である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 振動篩が面内振動篩、三次元振動篩、超音波振動篩、又は強制撹拌篩である請求項3に記載の方法。
  5. 工程Bは、バインダーを熱分解するためにリチウムイオン電池用正極材を加熱処理した後に実施する請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 工程Bによって得られた篩上に対してバインダーを熱分解するための加熱処理を行い、その後に、工程Bを繰り返す請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 加熱処理は、300〜650℃で10〜240分間行われる請求項5又は6に記載の方法。
  8. 加熱処理は、正極材の重量減少率が1〜12%となる範囲で実施する請求項5〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 粉砕媒体は正極活物質に使用される金属を材料とする請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
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