JP5267287B2 - 操作支援装置 - Google Patents

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Description

この発明は、操作部材に操作力が与えられて、その動作部材が動作して発生する力を操作力を摩擦係合装置に伝達して、その摩擦係合装置のトルク容量を調整するにあたり、その摩擦係合装置に伝達する力を補助することのできる操作支援装置に関するものである。
従来、車両のエンジンと変速機との間の動力伝達経路を接続および遮断するためにクラッチが設けられている。そのクラッチとしては摩擦クラッチおよび電磁クラッチが知られており、摩擦クラッチに用いる操作力助勢装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された操作力助勢装置は、クラッチペダルにリンケージを介してウィズドロアルレバーが接続されている。また、パワーステアリング系からの高圧の戻り油が通る配管が、切替弁および油圧アクチュエータのピストン室に接続されている。このピストン室の油圧により動作するピストンが設けられており、このピストンがウィズドロアルレバーに接続されている。
そして、クラッチペダルが踏み込まれていないときは、切替弁がニュートラル位置にあり、配管内の戻り油が切替弁を経由してリザーバに戻され、ピストン室内には油圧が作用しない。これに対して、クラッチペダルが踏み込まれた場合は、切替弁がクローズ位置に制御されて、高圧の戻り油がピストン室に供給されて圧力が高まる。すると、ピストンが変位してウィズドロアルレバーにパワーアシスト力が与えられる。これによりクラッチの操作フィーリングが改善されると記載されている。なお、摩擦クラッチや摩擦ブレーキに用いることができる保圧機構の一例が、特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載された保圧機構は、シリンダ内に充填した磁性流体の粘度を制御して、摩擦板などの押圧対象物に加える押し付け荷重を保持するものである。
特開平2−171335号公報 特開2008−157348号公報
しかしながら、特許文献1に記載された操作力助勢機構においては、パワーステアリング系からの高圧の戻り油圧制御装置を用いて、ウィズドロアルレバーにパワーアシスト力を与える構成であるため、そのパワーアシスト力は一定であり、パワーアシスト力を調整することが困難であった。その結果、クラッチの係合が急激におこなわれ、ショックが発生する虞があった。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、操作部材を操作して摩擦係合装置のトルク容量を調整する際にショックを回避でき、かつ、操作部材の操作性を向上することのできる操作支援装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、操作力が与えられて動作する操作部材と、この操作部材の動作により発生する力が伝達されて動作し、かつ、伝達される力の大きさによりトルク容量が変化する摩擦係合装置と、前記操作部材から前記摩擦係合装置に伝達される力を調整するアシスト装置とを備えた操作支援装置において、前記アシスト装置は、前記操作部材の動作により発生した力を流体圧に変換して前記摩擦係合装置に伝達する流体室と、この流体室に収容され、かつ、基油に磁性粉が混入された磁気粘性流体と、前記流体室を通る磁界を形成する磁界発生機構とを有し、前記磁界の強さを制御することにより前記流体室における前記磁気粘性流体の流動を制御することが可能に構成されており、前記摩擦係合装置は、前記操作部材に与えられる操作力が相対的に大きくなり、かつ、伝達される力が相対的に大きくなると、そのトルク容量が相対的に小さくなる一方、前記操作部材に与えられる操作力が相対的に小さくなり、かつ、前記伝達される力が相対的に小さくなると、そのトルク容量が相対的に大きくなるトルク伝達特性を有するクラッチであり、前記操作部材の動作による力が前記摩擦係合装置に伝達されてその摩擦係合装置のトルク容量が相対的に小さくなっているか否かを判断する判断手段と、前記操作部材の動作による力が前記摩擦係合装置に伝達されてその摩擦係合装置のトルク容量が相対的に小さくなっている際に、前記操作部材に与えられる操作力が低下すると、前記磁界の強さを制御して前記流体室における前記磁気粘性流体の流動を抑制することにより、前記摩擦係合装置のトルク容量の変化が相対的に緩やかになるように制御するトルク容量制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、車両の駆動力源と駆動輪との間に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機が設けられており、前記摩擦係合装置は前記駆動力源と変速機との間に配置されており、前記摩擦係合装置のトルク容量を相対的に小さくしてから前記変速機で変速比を変更し、その後に、前記摩擦係合装置のトルク容量を大きくする構成を有することを特徴とする操作支援装置である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記トルク容量制御手段は、前記駆動力源の回転数と前記変速機の出力回転数との偏差に基づいて、前記磁気粘性流体の流動を抑制する手段を含むことを特徴とする操作支援装置である。
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記トルク容量制御手段は、前記変速機で変速比を変更する制御がおこなわれて前記駆動力源の回転数が変化を開始した時点からの経過時間に基づいて、前記磁気粘性流体の流動を抑制する手段を含むことを特徴とする操作支援装置である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記流体室は、通路により接続された第1流体室および第2流体室を有しており、前記第1流体室と第2流体室とを接続し、かつ、前記通路と並列に配置されたバイパス通路が設けられており、このバイパス通路に、一方の流体室の流体圧が他方の流体室に伝達されることを許容し、かつ、他方の流体室から一方の流体室に流体圧が伝達されることを防止する逆止弁が設けられていることを特徴とする操作支援装置である。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記操作部材に与えられる操作力が増加した際に前記第1流体室の流体圧が上昇し、その第1流体室の流体圧が前記バイパス通路および前記逆止弁を経由して前記第2流体室に伝達されて前記摩擦係合装置が動作することにより、その摩擦係合装置のトルク容量が低下する構成であり、前記逆止弁はポートを開閉する弁体と、このポートを閉じる向きの力を前記弁体に与える弾性部材とを有し、前記第2流体室の流体圧は前記ポートを閉じる向きで前記弁体には作用しないように構成されていることを特徴とする操作支援装置である。
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記トルク容量が低下するように前記摩擦係合装置が動作すると前記第2流体室の流体圧が上昇し、その第2流体室の流体圧が前記バイパス通路および前記逆止弁を経由して前記第1流体室に伝達される構成であり、前記逆止弁はポートを開閉する弁体と、このポートを閉じる向きの力を前記弁体に与える弾性部材とを有し、前記第1流体室の流体圧は前記ポートを閉じる向きで前記弁体に作用するように構成されていることを特徴とする操作支援装置である。
請求項1の発明によれば、操作部材に操作力が与えられて動作すると、その動作により発生する力で流体室の磁気粘性流体が流動し、摩擦係合装置のトルク容量が変化する。そして、操作部材に与えられる操作力が低下した場合は、流体室を通る磁界の強さを制御して、流体室における磁気粘性流体の流動を抑制することにより、摩擦係合装置のトルク容量の変化を相対的に緩やかに制御する。したがって、摩擦係合装置のトルク容量を調整する場合に、操作部材の操作性が向上するとともに、摩擦係合装置のトルク容量の変化によるショックを回避できる。
また、この発明によれば、操作部材に与えられる操作力が相対的に大きくなり、かつ、摩擦係合装置に伝達される力が相対的に大きくなると、摩擦係合装置のトルク容量が相対的に小さくなる。つまり、摩擦係合装置が解放される。一方、操作部材に与えられる操作力が相対的に小さくなり、かつ、摩擦係合装置に伝達される力が相対的に小さくなると、摩擦係合装置のトルク容量が相対的に大きくなる。つまり、摩擦係合装置が係合される。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、摩擦係合装置のトルク容量を低下して変速機で変速比を変更し、その後に、摩擦係合装置のトルク容量を増加する際に、ショックが発生することを防止できる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる他に、駆動力源の回転数と変速機の出力回転数との偏差に基づいて、磁気粘性流体の流動を抑制する。したがって、摩擦係合装置のトルク容量を高めるにあたり、駆動力源の回転数が急激に低下することを回避できる。
請求項4の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる他に、変速機で変速比を変更する制御がおこなわれて駆動力源の回転数が変化を開始した時点からの経過時間に基づいて、磁気粘性流体の流動を抑制することができる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4の発明と同様の効果を得られる他に、第1流体室と第2流体室との間で流体圧が伝達されるとともに、通路で磁気粘性流体の流動が抑制された場合は、逆止弁が開放されて、第1流体室の流体圧が第2流体室に伝達される。したがって、通路における磁気粘性流体の流動性が低下した場合でも、摩擦係合装置の動作性を確保できる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明と同様の効果を得られる他に、操作部材に与えられる操作力が増加して第1流体室の流体圧が上昇すると、第1流体室の流体圧がバイパス通路および逆止弁を経由して第2流体室に伝達されて、摩擦係合装置のトルク容量が低下する。また、第2流体室の流体圧はポートを閉じる向きで弁体には作用しない。したがって、摩擦係合装置のトルク容量を低下するときに、操作部材を操作するために必要な力が増加することを回避できる。
請求項7の発明によれば、請求項5の発明と同様の効果を得られる他に、操作部材に加えられる操作力が低下すると第2流体室の流体圧が上昇し、第2流体室の流体圧がバイパス通路および逆止弁を経由して第1流体室に伝達されて、摩擦係合装置のトルク容量が低下する。また、第1流体室の流体圧はポートを閉じる向きで弁体に作用するため、摩擦係合装置のトルク容量を高めるときに、磁界を形成する時期を相対的に遅らせることができる。
この発明の操作支援装置の第1制御例を示すフローチャートである。 この発明の操作支援装置を、車両のエンジンと変速機との間のクラッチの制御に用いた模式図である。 図2に示されたアシスト装置の例を示す断面図である。 図2に示された車両の制御系を示すブロック図である。 図1の第1制御例に対応するタイムチャート例である。 この発明の操作支援装置の第2制御例を示すフローチャートである。 図6の第2制御例に対応するタイムチャート例である。 この発明の操作支援装置の第3制御例を示すフローチャートである。 図7の第3制御例に対応するタイムチャート例である。 図2に示されたアシスト装置の他の例を示す断面図である。 図10に示されたアシスト装置の特性を示す線図である。 図2に示されたアシスト装置のさらに他の例を示す断面図である。 図12に示されたアシスト装置の特性を示す線図である。 図2に示されたアシスト装置のさらに他の例を示す断面図である。 図12に示されたアシスト装置の特性を示す線図である。 図14に示された一方の逆止弁の構成例を示す断面である。 図14に示された他方の逆止弁の構成例を示す断面である。 図16および図17の逆止弁の動作を示す図表である。 図16および図17の逆止弁の動作による油圧変化を示すタイムチャートである。
この発明において、車両の駆動力源としては、エンジンまたは電動モータのうちの少なくとも一方が用いられている。また、この発明における変速機は、変速比を段階的(不連続)に変更可能な有段変速機、または変速比を無段階に(不連続に)変更可能な無段変速機のいずれでもよい。この発明における操作部材は、車両の運転者が手により操作する部材、または足により操作する部材の何れでもよい。さらに、この発明の伝達部材は、所定角度範囲内での回転運動または往復運動をおこなうことにより、動力を伝達する要素であり、伝達部材には、レバー、ピストン、プランジャ、ギヤ、アームなどが含まれる。
この発明における摩擦係合装置には、動力伝達経路のトルク容量を制御するクラッチ、または回転部材の回転を防止するブレーキが含まれる。例えば、摩擦係合装置がクラッチである場合、操作部材に与えられる操作力が相対的に大きくなった際に摩擦係合装置のトルク容量が低下する一方、操作部材に与えられる操作力が相対的に小さくなった際に摩擦係合装置のトルク容量が増加する。これに対して、摩擦係合装置がブレーキである場合、操作部材に与えられる操作力が相対的に大きくなった際に摩擦係合装置のトルク容量が増加する一方、操作部材に与えられる操作力が相対的に小さくなった際に摩擦係合装置のトルク容量が低下する。
つぎに、この発明を図面に基づいて説明する。図2は車両51の駆動力源であるエンジン1から変速機2に至る動力伝達経路を示す模式図である。前記エンジン1は燃料を燃焼させて動力を発生する動力装置であり、そのエンジン1の出力軸3にはフライホイール4が取り付けられている。なお、駆動力源としてエンジン1に代えて、電動モータが搭載されている車両、またはエンジンおよび電動モータの両方が搭載されている車両でもよい。一方、変速機2は、入力軸5と出力軸(図示せず)との間の変速比を変更可能な動力伝達装置であり、この実施例では、変速比を段階的に変更可能な有段変速機が用いられている。このような有段変速機としては、例えば、常時噛み合い式変速機構または選択歯車式変速機構または遊星歯車式変速機構のいずれかを有する変速機を用いることができる。そして、シフトレバーを手動操作すると、変速機2で変速段が変更されるように構成されている。つまり、変速機2はマニュアル変速機であり、この変速機2が、駆動輪50と動力伝達可能に接続されている。なお、シフトレバーは、変速機2の変速段を変更するために運転者により操作される操作部材であればよく、その操作部材は、レバーに代えて、スイッチ、ボタン、ノブなどが用いられていてもよい。
さらに、フライホイール4と入力軸5との間の動力伝達経路を形成するクラッチ6が設けられている。このクラッチ6は乾式の単板クラッチであり、クラッチ6は、入力軸5の軸線方向に動作可能なクラッチディスク7と、クラッチディスク7に取り付けられ、かつ、前記フライホイール4と接触・離間可能な摩擦材(図示せず)と、クラッチディスク7をフライホイール4に向けて押圧するバネ8とを有する。このように構成されたクラッチ6は、バネ8の押圧力によりクラッチディスク7の摩擦板がフライホイール4に接触されている。つまり、クラッチ6が係合されており、エンジン1と変速機2との間で動力伝達をおこなうことが可能である。
つぎに、クラッチ6を解放させる力を発生するアシスト装置9の構成を図3に基づいて説明する。アシスト装置9は、変速機2の外殻を形成するケーシング(図示せず)に固定されたクラッチレリーズシリンダ10と、クラッチレリーズシリンダ10の内部に往復動可能に配置された2個のピストン11,12とを有する。一方のピストン12のピストンロッド12Aには、レリーズフォーク13が動力伝達可能に接続されている。このレリーズフォーク13は支持軸14を支点として動作可能であり、そのレリーズフォーク13とクラッチディスク7とが動力伝達可能に接続されている。また、他方のピストン11のピストンロッド11Aには、レバー15を介在させてクラッチペダル16が動力伝達可能に接続されている。このレバー15は、支持軸17を支点として動作可能である。また、クラッチペダル16に与えられる踏力が解除された場合に、クラッチペダル16を元の位置に戻すリターンスプリング(図示せず)が設けられている。
また、図2においては便宜上、ピストンロッド11Aとレバー15とが機械的に直接接続された状態が示されているが、変速機2は車体に対して振動可能に取り付けられているため、実用上は、その振動が車体に伝達されないように、レバー17とピストンロッド11Aとを動力伝達可能に接続している。具体的には、レバー17とピストンロッド11Aとの間で油圧を介在させて動作力を行き来させる構成となっており、車体側には、レバー17の動作により油圧が変化する油圧室が形成され、クラッチレリーズシリンダ10にはピストン11Aに作用する油圧を生じる油圧室(図示せず)が形成されており、その油圧室同士が可撓性のホース(図示せず)により接続されている。
さらに、前記クラッチレリーズシリンダ10の内部の構成を具体的に説明する。クラッチレリーズシリンダ10の内部におけるピストン11,12同士の間には、ボビン(マウント部)18が固定して設けられており、ボビン18には電磁コイル19が巻き付けられている。このボビン18およびクラッチレリーズシリンダ10は強磁性の金属材料、例えば鉄により構成されている。そして、ボビン18とクラッチレリーズシリンダ10との間に、クラッチレリーズシリンダ10の半径方向の隙間が形成されている。この隙間が油路20を構成している。また、ボビン18とピストン11との間には第1油圧室21が形成され、ボビン18とピストン12との間には第2油圧室22が形成されている。そして、第1油圧室21と第2油圧室22とが油路20を介在させて連通している。ここで、クラッチレリーズシリンダ10の半径方向で、油路20の隙間量は、油圧室21,22の内径よりも狭く、いわゆる絞り部(オリフィス)を構成している。
さらに、クラッチレリーズシリンダ10の内部、より具体的には、第1油圧室21および第2油圧室22および油路20に亘り、磁気粘性流体(MRF:Maguneto-Rheological Fluids )23が封入されている。この磁気粘性流体23は、基油(ベース液)および強磁性微粒子(以下、「磁性粉」と記す)および界面活性剤の3つから構成される磁性コロイド溶液である。磁性粉としては、マグネタイト(鉄粉)またはマンガン亜鉛フェライトを用いることができる。ベース液としては、水、イソパラフィン、アルキルナフタレン、パーフルオロポリエーテルなどを用いることができる。この磁気粘性流体23中の磁性粉は、界面活性剤とベース液の親和力と、界面活性剤同士の反発力により、ベース液中で凝集したり沈降したりすることなく安定した分散状態が保たれる。上記の構成を有するアシスト装置9は、アッセンブリとして変速機2の外殻を構成するケーシングに取り付けられている。
一方、車両51には電力供給装置(図示せず)が設けられており、その電力供給装置の電力が電磁コイル19に供給される。この電力供給装置は、バッテリ、キャパシタ、燃料電池のいずれでもよい。さらに、車両51には図4に示す電子制御装置(ECU)24が設けられており、その電子制御装置24には、クラッチペダル16の踏み込み量、変速機2の変速段を切り替えるシフトレバーの操作位置(シフトポジション)、エンジン回転数、車速、変速機2の出力軸の回転数などの信号が入力される。この電子制御装置24からは、エンジン出力を制御する信号、電磁コイル19に通電する指示電流信号などが出力される。
つぎに、クラッチ6における動力伝達作用を説明する。前記クラッチペダル16が踏み込まれていない場合は、バネ8によりクラッチディスク7がフライホイール4に向けて押圧されており、クラッチ6が係合されている。このため、エンジントルクがクラッチ6を経由して変速機2の入力軸5に伝達される。これに対して、変速機2の変速段を変更するために、運転者がクラッチペダル16が踏み込むと、そのクラッチペダル16の動作により発生する力がレバー15を経由してピストン11に伝達され、ピストン11が図3で右方向に動作する。このピストン11の動作により第1油圧室21の容積が狭められて第1油圧室21の油圧が上昇し、第1油圧室21の磁気粘性流体23の一部が、油路20を経由して第2油圧室22に流動し、第2油圧室22の油圧が上昇する。
このように、第2油圧室22の油圧が上昇すると、ピストン12が図3で右方向に動作し、そのピストン12の力がレリーズフォーク13を経由してクラッチディスク7に伝達される。すると、クラッチディスク7がバネ8の押圧力に抗してフライホイール4から離れる方向に動作し、摩擦材がフライホイール4から離間する。このようにして、クラッチ6が解放されてエンジン1と変速機2との間の動力伝達経路が遮断されている間に、運転者はシフトレバーを操作して変速機2の変速段を変更する。この変速段の変更は、アップシフトまたはダウンシフトのいずれでもよい。
このようにして、変速機2で変速段を変更した後、運転者がクラッチペダル16を踏み込む力を解除すると、リターンスプリングの力でクラッチペダル16が元の位置に復帰するとともに、ピストン11が図3で左側に向けて動作する。また、バネ8の押圧力でクラッチディスク7がフライホイール4に向けて押し付けられ、摩擦材がフライホイール4に接触して、クラッチ6が係合される。クラッチ6が係合されると、エンジントルクがクラッチ6を経由して変速機2に伝達される。クラッチディスク7がフライホイール4に向けて押圧される動作に連動して、レリーズフォーク13が支持軸14を支点として回動し、レリーズフォーク13の動作力がピストン12に伝達される。すると、ピストン12が図3に左側に向けて動作し、第2油圧室22の油圧が上昇し、その第2油圧室22内の磁気粘性流体23の一部が油路20を経由して第1油圧室21に戻る。
(第1制御例)
つぎに、アシスト装置9の第1制御例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。この図1の制御例は、エンジン1に燃料が供給されて燃焼し、エンジン1が自律回転しているとともに、クラッチペダル16が踏み込まれている状態から、クラッチペダル16を戻して車両51が発進する場合の例である。まず、クラッチペダル16の踏み込み量が、予め定めた閾値L1を超えているか否かが判断される(ステップS1)。この閾値L1はクラッチ6が完全に解放される(動力の伝達経路が遮断される)こととなる踏み込み量を判断する値である。このステップS1で肯定的に判断されるということは、現在、クラッチ6が解放されていることを意味する。すなわち、エンジン1と変速機2との間の動力伝達経路が遮断されていることになる。
このステップS1で肯定的に判断された場合は、車両51が停止しているか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2で否定的に判断された場合、または前記ステップS1で否定的に判断された場合は、図1の制御開始に戻る。これに対して、ステップS2で肯定的に判断されるということは、停止している車両51を運転者が発進させる可能性がある。そこで、ステップS2で肯定的に判断された場合は、電磁コイル19に通電をおこなう(ステップS3)。このステップS3では電磁コイル19に電流Iが付与される。
また、クラッチペダル16の踏み込み量が減少して、その踏み込み量が閾値L2未満になったか否かが判断される(ステップS4)。この閾値L2は閾値L1よりも少ない値であり、かつ、閾値L2は、クラッチ6を半クラッチ状態に制御するか否かを判断するために、予め電子制御装置24に記憶されている値である。クラッチ6の半クラッチ状態とは、クラッチ6は動力で伝達できるが、その摩擦材同士がスリップする程度のトルク容量である。ここで、電磁コイル19に通電されていない場合の作用および通電した場合の作用を説明する。電磁コイル19に電力が供給されていない場合は、磁性粉が基油中に分散されて、油路20に存在する磁気粘性流体23の見かけ上の粘度もしくはせん断力が相対的に低下している。これに対して、電磁コイル19に通電されると、クラッチレリーズシリンダ10およびボビン18および油路20を通る磁界が形成される。このように、電磁コイル19に電力が供給されて磁界が形成される励磁状態では、第1油圧室21および第2油圧室22に存在する磁性粉が磁力で油路20内に吸引されて、その磁性粉同士が鎖状のクラスタを形成する。
このようにして、油路20内では磁気粘性流体23の見かけ上の粘度もしくはせん断力が相対的に高まる。このため、クラッチペダル16の踏み込み量が減少し、かつ、レリーズフォーク13が動作して、ピストン12が図3で左側に向けて動作しようとしても、磁気粘性流体23の流動が抑制されて、第2油圧室22の油圧の低下が抑制される。この作用により、クラッチ6のトルク容量の低下が抑制され、クラッチ6はいわゆる半クラッチ状態に維持される。このクラッチ6が半クラッチ状態に制御された場合、そのトルク容量ではエンジントルクが変速機2を経由して駆動輪に伝達されるが、クラッチ6の係合によるショックは生じない。
そして、ステップS4で否定的に判断された場合は、ステップS3に戻る。これに対して、ステップS4で肯定的に判断された場合は、エンジン回転数Neから変速機2の出力回転数Ntを除算した値が、偏差dN未満であるか否かが判断される(ステップS5)。前記のように、クラッチ6が半クラッチ状態に制御されているため、走行抵抗がエンジン1に伝達されてエンジン回転数が低下しており、そのエンジン回転数がどの程度まで低下したか否かを判断しているのである。この偏差dNは、クラッチ6のトルク容量を半クラッチ状態に相当する値よりも高めた場合に、クラッチ6の係合ショックが運転者に体感されるか否かを間接的に判断するための値である。この偏差dNは、実験またはシミュレーションによって求めた値であり、予め電子制御装置24に記憶されている。なお、ステップS5の判断に用いるエンジン回転数Neは、エンジンストールが発生する回転数を超えていることが前提である。
このステップS5で否定的に判断された場合は、クラッチ6のトルク容量を増加させると、クラッチ6の係合によるショックが運転者に体感される可能性があるため、ステップS3に戻る。これに対して、ステップS5で肯定的に判断された場合は、クラッチ6のトルク容量を増加させても、クラッチ6の係合によるショックが運転者に体感される可能性がないため、電磁コイル19に供給する電流を低下させる制御をおこなう(ステップS6)。ステップS6の処理は、数式(1)で表される。
I(t+1)=I(t)−dI ・・・(1)
ここで、「I(t+1)」は次回の制御ルーチンで電磁コイル19に供給する電流であり、「I(t)」は今回の制御ルーチンで電磁コイル19に供給する電流であり、「dI」は、今回の電流から減算するために予め定めた低減値である。そして、電磁コイル19に供給する電流Iが、零アンペアになったか否かが判断され(ステップS7)、ステップS7で否定的に判断された場合はステップS6に戻る。このステップS7で肯定的に判断された場合は、図1の制御開始に戻る。
つぎに、図1の制御例に対応するタイムチャートの一例を、図5に基づいて説明する。まず、時刻t1以前において、クラッチペダル16の踏み込み量が閾値L1を超えて一定に保持され、かつ、電磁コイル19に供給される電流が一定に維持され、かつ、第2油圧室22の油圧が一定の油圧Pcに維持され、かつ、エンジン回転数が零超える値で一定に維持されている。ここで、クラッチ6を半クラッチ状態に維持するには、第2油圧室22の油圧を油圧Pbないし油圧Paの範囲に制御する必要がある。なお、油圧Pbは油圧Paよりも高圧である。そして、時刻t1以前においては、油圧Pcは油圧Pbよりも高圧である。また、時刻t1においては、クラッチ6が解放されているため、変速機2の出力回転数は零(停止)である。
その後、時刻t1でクラッチペダル16の踏み込み量が減少し、ついで、クラッチペダル16の踏み込み量が閾値L1以下になっている。すると、第2油圧室22の油圧が低下し始めるとともに、クラッチペダル16の踏み込み量が時刻t2で閾値L2未満になっている。また、クラッチ6のトルク容量が増加して半クラッチ状態になると、エンジン回転数Neが低下を開始するとともに、変速機2の出力回転数Ntが回転を開始する。その後、クラッチペダル16の踏み込み量が零まで低下している。そして、エンジン回転数Neと変速機2の出力回転数Ntとの偏差がdN以上である間は、第2油圧室22の油圧が、実線で示すように、油圧Paないし油圧Pbの範囲内で一定に制御される。つまり、クラッチペダル16は踏み込まれていないが、クラッチ6は半クラッチ状態に制御される。このため、変速機2の出力回転数Ntは破線で示すように上昇するが、エンジン回転数Neは実線で示すように、エンジンストールが発生する回転数(エンスト回転数)よりも高い値で一定に維持される。
その後、時刻t3で、エンジン回転数Neと変速機2の出力回転数Ntとの偏差がdN未満になると、電磁コイル19に供給される電流が低下されて、第2油圧室22の油圧が低下する。すると、クラッチ6のトルク容量が増加してエンジン回転数が低下し、時刻t4でクラッチ6が完全に係合されて、エンジン回転数Neと変速機2の出力回転数Ntとが一致し、エンジン回転数Neおよび変速機2の出力回転数Ntが上昇を開始している。また、電磁コイル19への電流は零アンペアに低下され、かつ、第2油圧室22の油圧が最低圧に低下している。
このように、図1の制御例を実行すると、エンジン1が運転され、かつ車両51が停止しているときに、クラッチペダル16が戻されて、エンジントルクがクラッチ6を経由して変速機2に伝達される際に、クラッチペダル16の踏み込み量の減少割合、つまり、クラッチペダル16の戻し量の変化割合に関わりなく、クラッチ6のトルク容量を、半クラッチ状態を経由させて相対的に緩やかに増加させ、車両51を発進させることができる。すなわち、アシスト装置9は、クラッチ6のトルク容量を低下させる際のアシスト機構としての機能を有する。したがって、車両51の発進時におけるエンジンストールを防止でき、かつ、エンジントルクが急激に変速機2に伝達されることを防止でき、変速機2に過大な負荷が与えられることを防止できるとともに、運転者によるクラッチペダル16の操作の煩わしさを軽減することができる。
ここで、クラッチペダルが戻されたときに、クラッチのトルク容量を半クラッチ状態に維持する機構が、クラッチレリーズシリンダ内に設けられていない比較例について、その作用を図5のタイムチャートで説明する。この比較例では、時刻t1以降にクラッチペダルの踏み込み量が減少すると、クラッチレリーズシリンダ内の油圧が一定の割合で低下し、時刻t3よりも前に、その油圧が破線で示すように最低圧まで低下する。この油圧の低下に同期して、クラッチのトルク容量が急激に増加するため、エンジン回転数も時刻t2以降は一定の割合で破線に示すように低下し、時刻t3よりも前にエンジン回転数が、エンジンストール発生回転数よりも低くなり、エンジンストール(エンスト)が発生する。
(第2制御例)
つぎに、車両51の走行中にアシスト装置9を制御する例を、図6のフローチャートにより説明する。この図6のフローチャートは、変速機2でダウンシフトをおこなう際の例である。図6のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ処理をおこなうステップについては、図1のステップと同じ番号を付してある。まず、ステップS1で肯定的に判断された場合は、変速機2でダウンシフトをおこなう条件が成立したか否かが判断される(ステップS11)。このステップS11では、シフトポジションおよび車速により判断する。このステップS11で否定的に判断された場合は、制御の開始に戻る。
これに対してステップS11で肯定的に判断された場合は、ステップS3およびステップS4の処理をおこなう。そして、クラッチペダル16が踏み込まれてクラッチ6が解放されてから、運転者がシフトレバーを操作して変速機2でダウンシフトをおこなう。さらに、変速機2のダウンシフト操作を終えると、運転者がクラッチペダル16の踏み込み量を減少させる操作をおこなう。そして、ステップS4で肯定的に判断された場合は、電磁コイル19に供給する電流を低下させる制御をおこなう(ステップS12)。このステップS12において、電磁コイル19の電流を低下させる処理は、数式(1)を用いておこなう。このステップS12で数式(1)を用いるとき、低減値dIは数式(2)により求められる。
dI=f{(Ne_i−Ne_i+1)/T} ・・・(2)
ここで、「Ne_i」は今回の処理ルーチンにおけるエンジン回転数、「Ne_i+1」は次回の処理ルーチンにおけるエンジン回転数であり、「f」は関数であること意味する。また、「T」は、クラッチ6の解放により低下したエンジン回転数が上昇を開始する時点から、ダウンシフト後のエンジン回転数に到達する時点までの経過時間である。この経過時間Tは、実験またはシミュレーションをおこなって予め求めた値であり、電子制御装置24に記憶されている。また、ステップS12では、電磁コイル19の電流を低下させる時間tを1回のルーチン分増加する処理をおこなう。この処理は、
tt=tt+1
で表される。
このステップS12についで、電磁コイル19の電流を低下させる時間ttが、経過時間Tに到達したか否かが判断される(ステップS13)。このステップS13で否定的に判断された場合はステップS12に戻る。つまり、エンジン回転数がダウンシフト後のエンジン回転数に同期するまで(つまり、ダウンシフトが完了するまで)の間、クラッチ6のトルク容量が、半クラッチに相当する値に維持される。これに対して、ステップS13で肯定的に判断された場合は、第2油圧室22の油圧を閾値P1以上に維持する制御を終了し、かつ、電磁コイル19の電流を低下させる時間ttを零とする(リセットする)処理をおこない(ステップS14)、図6の制御開始に戻る。
この図6の制御例に対応するタイムチャートを図7に基づいて説明する。時刻t1以前においては、クラッチペダル16が戻され、かつ、電磁コイル19には電流が供給されておらず、かつ、第2油圧室22の油圧は最低圧である。また、時刻t1以前ではエンジン回転数が一定に維持されている。時刻t1以前のエンジン回転数は、Ne_i+1(i+1速)である。ここで、「i+1速」とは、ダウンシフト後の変速段よりも1速上の変速段という意味である。そして、時刻t1でクラッチペダル16の踏み込み量が増加すると、第2油圧室22の油圧が上昇を開始する。なお、この時点では、電磁コイル19に電流は供給されていない。また、時刻t1以降は、ダウンシフト操作に伴いアクセルペダルが戻されて、エンジン回転数が低下している。
そして、時刻t2でクラッチペダル16の踏み込み量が閾値L1を超えると、電磁コイル19へ電流が供給されるとともに、クラッチペダル16の踏み込み量が一定に保持され、かつ、第2油圧室22の油圧が一定に維持されている。さらに、変速機2でダウンシフトをおこなうためのシフトレバーの操作が終了し、時刻t3でクラッチペダル16の踏み込み量が減少する。
すると、第2油圧室22の油圧が低下し始めるが、電磁コイル19に電流が供給されており、クラッチペダル16の踏み込み量が閾値L2未満になる時刻t4以降では、クラッチ6が半クラッチ状態となるように、第2油圧室22の油圧が相対的に緩やかに低下される。つまり、クラッチペダル16の踏み込み量の減少勾配よりも、第2油圧室22の油圧の低下勾配の方が緩やかになるように制御される。時刻t4の直後にクラッチペダル16の踏み込み量は最低値となっているが、これ以後も第2油圧室22の油圧は緩やかに低下している。この時刻t4以降における電磁コイル19の電流の減少割合が、ステップS12で求められている。
また、時刻t4以降はクラッチ6のトルク容量が増加され、かつ、アクセルペダルが踏み込まれるため、エンジン回転数が実線で示すように上昇を開始する。そして、時刻t4から経過時間Tが経過して時刻t5になると、エンジン回転数が、変速機2のダウンシフト後の変速段に対応するエンジン回転数になるとともに、電磁コイル19電流値が急激に低下させられて、第2油圧室22の油圧が急激に低下する。この時刻t5以降のエンジン回転数は、Ne_i(i速)である。こで、「i速」とはダウンシフト後の変速段である。
この第2制御例において、第1制御例と同じ部分については、第1制御例と同じ効果を得られる。また、第2制御例では、クラッチペダル16が踏み込まれてクラッチ6のトルク容量を低下させ、かつ、変速機2でダウンシフトをおこない、その後に、クラッチペダル16が戻されてクラッチ6のトルク容量を増加させるときに、クラッチペダル16の戻し速度が急激であっても、クラッチ6のトルク容量が相対的に緩やかに低下するように、第2油圧室22の油圧を制御している。したがって、クラッチペダル16を踏んで変速機2でダウンシフトを実行し、クラッチペダル16を戻すときに、クラッチペダル16の操作の煩わしさを軽減でき、かつ、ダウンシフトに伴うショックを軽減でき、かつ、変速機2に過大な負荷が加えられることを回避できる。
ここで、クラッチレリーズシリンダ内の油圧を調整できない比較例の作用を、図7のタイムチャートで説明する。この比較例では、クラッチペダルの踏み込み量の減少勾配と同じ勾配で、油圧が破線で示すように急激に低下するため、クラッチのトルク容量が急激に増加する。このため、エンジン回転数が破線で示すように急激に上昇し、ショックを発生する。
(第3制御例)
つぎに、車両51の走行中にアシスト装置9を制御する例を、図8のフローチャートにより説明する。この図8のフローチャートは、変速機2でアップシフトをおこなう際の例である。図8のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ処理をおこなうステップについては、図1のステップと同じ番号を付してある。まず、ステップS1で肯定的に判断された場合は、変速機2でアップシフトをおこなう条件が成立したか否かが判断される(ステップS21)。このステップS21では、シフトポジションおよび車速により判断する。このステップS21で否定的に判断された場合は、制御の開始に戻る。
これに対してステップS21で肯定的に判断された場合は、ステップS3およびステップS4の処理をおこなう。そして、クラッチペダル16が踏み込まれてクラッチ6が解放されてから、運転者がシフトレバーを操作して変速機2でアップシフトをおこなう。さらに、変速機2のアップシフト操作を終えると、運転者がクラッチペダル16の踏み込み量を減少させる。そして、ステップS4で肯定的に判断された場合は、電磁コイル19に供給する電流を低下させる(ステップS22)。このステップS22において、電磁コイル19の電流を低下させる処理は、数式(3)および前記数式(1)を用いておこなう。
dI=f(Ne) ・・・(3)
このステップS22の処理により、クラッチペダル16の踏み込み量の減少程度に比べて、第2油圧室22の油圧が相対的に緩やかに低下される。つまり、クラッチ6が半クラッチの状態でトルク容量が徐々に低下する。このステップS22についで、第2油圧室22の油圧Pが閾値P1未満になったか否かが判断される(ステップS23)。このステップS23で否定的に判断された場合はステップS22に戻る。このステップS23で肯定的に判断されるということは、クラッチ6の係合が完了したことになる。そこで、電磁コイル19に供給する電流を急激に低下させるとともに、次回の制御ルーチンにおける電流I(t+1)を零アンペアとする処理をおこない(ステップS24)、制御の開始に戻る。
この図8の制御例に対応するタイムチャートを図9に基づいて説明する。時刻t1以前においては、クラッチペダル16が踏み込まれておらず、かつ、電磁コイル19には電流が供給されておらず、かつ、第2油圧室22の油圧は最低圧である。また、時刻t1以前ではエンジン回転数が一定に維持されている。時刻t1以前のエンジン回転数は、Ne_i(i速)である。そして、時刻t1でクラッチペダル16の踏み込み量が増加されると、第2油圧室22の油圧が上昇を開始する。なお、この時点では、電磁コイル19に電流は供給されていない。また、時刻t1からアクセルペダルが戻されてエンジン回転数が低下し始める。
そして、時刻t2でクラッチペダル16の踏み込み量が閾値L1を超えると、電磁コイル19へ電流が供給されるとともに、クラッチペダル16の踏み込み量が一定に保持され、かつ、第2油圧室22の油圧が一定に維持されている。さらに、変速機2でアップシフトをおこなうためのシフトレバーの操作が終了し、時刻t3でクラッチペダル16の踏み込み量が減少する。
すると、第2油圧室22の油圧が低下し始めるが、電磁コイル19に電流が供給されており、クラッチペダル16の踏み込み量が閾値L2未満になる時刻t4以降では、クラッチ6が半クラッチ状態となるように、第2油圧室22の油圧が相対的に緩やかに低下される。つまり、クラッチペダル16の踏み込み量の減少勾配よりも、第2油圧室22の油圧の低下勾配の方が緩やかになるように制御される。時刻t4の直後にクラッチペダル16の踏み込み量は最低値となっているが、これ以後も第2油圧室22の油圧は緩やかに低下している。この時刻t4以降における電磁コイル19の電流の減少割合が、ステップS12で求められている。
一方、時刻t1以降はエンジン回転数が低下しており、パターン1に示すように、時刻t4の時点でアップシフト後のエンジン回転数まで低下していなければ、クラッチ6のトルク容量が半クラッチ状態である間に、そのエンジン回転数がアップシフト後のエンジン回転数に同期する。つまり、エンジン回転数がアップシフト後の回転数未満にはならない。これに対して、パターン2に示すように、時刻t4以前にアップシフト後のエンジン回転数まで低下していると、クラッチ6のトルク容量が半クラッチ状態である間に、そのエンジン回転数が一旦上昇されて、アップシフト後のエンジン回転数に同期する。そして、時刻t5になり第2油圧室22の油圧Pが閾値P1未満になると、電磁コイル19の電流が急激に低下されて、第2油圧室22の油圧が急激に低下する。
この第3制御例において、第1制御例と同じ部分については、第1制御例と同じ効果を得られる。また、第3制御例では、クラッチペダル16が踏み込まれてクラッチ6のトルク容量を低下させ、かつ、変速機2でアップシフトをおこない、その後に、クラッチペダル16が戻されてクラッチ6のトルク容量を増加させるときに、クラッチペダル16の戻し速度が急激であっても、クラッチ6のトルク容量を相対的に緩やかに低下するように、第2油圧室22の油圧を制御する。したがって、クラッチペダル16を踏んで変速機2でアップシフトを実行し、クラッチペダル16を戻すときに、クラッチペダル16の操作の煩わしさを軽減でき、かつ、アップシフトに伴うショックを軽減でき、かつ、変速機2に過大な負荷が加わることを回避できる。
ここで、クラッチレリーズシリンダ内の油圧を調整できない比較例の作用を、図9のタイムチャートで説明する。この比較例では、クラッチペダルの踏み込み量の減少勾配と同じ勾配で、油圧が破線で示すように急激に低下するため、クラッチのトルク容量が急激に増加する。このため、パターン1であれば、エンジン回転数が破線で示すように急激に低下する。これに対して、パターン2であれば、エンジン回転数が破線で示すように急激に上昇する。
つぎに、アシスト装置9の他の構成例を、図10に基づいて説明する。図10に示されたアシスト装置9の構成のうち、図3に示されたアシスト装置9と同じ構成部分については、図3と同じ符号を付してある。図3のアシスト装置9と図10のアシスト装置9との相違を説明すると、図10のアシスト装置9は、第1油圧室21と第2油圧室22とを接続するバイパス通路25を有している点で異なる。このバイパス通路25は、金属製のチューブまたは可撓性のホースにより形成してもよいし、ケーシング10を切削加工して形成してもよい。
また、バイパス通路25には逆止弁26が設けられている。この逆止弁26は、ポート(図示せず)を開閉する弁体27と、その弁体27を弁座(図示せず)に押し付ける力を発生するリターンスプリング28とを有している。この逆止弁26は、第1油圧室21の油圧が所定圧未満では閉じられており、第1油圧室21の油圧が所定圧以上に上昇すると開放されて、第1油圧室21の油圧がバイパス通路25を経由して第2油圧室22に伝達されることを許容する構成である。
この図10に示されたアシスト装置9においても、図3に示されたアシスト装置9を同じ作用効果を得られる。また、図10のアシスト装置9を用いて、図1および図6および図8の制御例をおこなうこともできる。この図10に示されたアシスト装置9における特有の効果を説明する。第2油圧室22の油圧低下を抑制する際に、第2油圧室22の基油のみが油路20を通過して第1油圧室21に流れ込み、第2油圧室22と油路20との接続部分、または油路20にて、鉄粉の凝集(プラキング)が起こり得る。また、鉄粉のプランキングが起きなくても残留磁気により、油路20における磁気粘性流体23の粘度が相対的に高くなることがある。このような場合は、第1油圧室21の油圧を第2油圧室22に伝達するときに、磁気粘性流体23の流動性が低下してクラッチ6の解放が円滑におこなわれなくなる可能性がある。
この図10のアシスト装置9によれば、このような不具合を回避できる。この作用を図11により説明する。まず、通常時、つまり、プランキングがなく、かつ、残留磁気もない状態において、時刻t1でクラッチペダル16の操作量が増加すると、実線で示すように第1油圧室21の油圧および第2油圧室22の油圧が同期して上昇し、時刻t3で最大油圧Pmaxになる。これに対して、異常時、つまり、プランキングあり、または残留磁気ありの状態では、クラッチペダル16の操作量が増加することに伴い、第1油圧室21の油圧は実線で示すように上昇する。一方、第1油圧室21の油圧が上昇しても、その油圧は油路20からは第2油圧室22に伝達されない。また、リターンスプリング設定圧未満では逆止弁25が閉じられているため、第2油圧室22の油圧は上昇しない。
そして、第1油圧室21の油圧がさらに上昇して、時刻t2でリターンスプリング設定圧以上になると、逆止弁25が開放される。すると、第1油圧室21の油圧が、バイパス通路25を経由して第2油圧室22に伝達されて、第2油圧室22の油圧が破線で示すように上昇する。このように、図10のアシスト装置9を用いると、残留磁気がある時、またはプランキングが発生した場合でも、クラッチ6を解放させる時の応答性を向上することができる。したがって、フェールセーフ機能を持たせることができる。なお、第1油圧室21の油圧のみが上昇すると、プランキングしている鉄粉が押し出されて正常な状態となる。さらにリターンスプリング28のバネ荷重を調整することにより、逆止弁26が開放される油圧を調整できる。
つぎに、アシスト装置9のさらに他の例を図12に基づいて説明する。図12に示されたアシスト装置9の構成のうち、図3に示されたアシスト装置9と同じ構成部分については、図3と同じ符号を付してある。図3のアシスト装置9と図12のアシスト装置9との相違を説明すると、図12のアシスト装置9は、第1油圧室21と第2油圧室22とを接続するバイパス通路29を有している点で異なる。このバイパス通路29は、金属製のチューブまたは可撓性のホースにより形成してもよいし、ケーシング10を切削加工して形成してもよい。
また、バイパス通路29には逆止弁30が設けられている。この逆止弁30は、ポート(図示せず)を開閉する弁体31と、その弁体31を弁座に押し付ける力を発生するリターンスプリング32とを有している。この逆止弁30は、第2油圧室22の油圧が所定圧未満では閉じられており、第2油圧室22の油圧が所定圧以上に上昇すると開放されて、第2油圧室22の油圧がバイパス通路29を経由して第1油圧室21に伝達されることを許容する構成である。
この図12に示されたアシスト装置9においても、図3に示されたアシスト装置9と同じ作用効果を得られる。また、図12のアシスト装置9を用いて、図1および図6および図8の制御例をおこなうこともできる。この図12に示されたアシスト装置9における特有の効果を説明する。クラッチ6を係合するためにクラッチペダル16の踏み込み量が減少して、第2油圧室22の油圧が第1油圧室21に伝達されるときに、油路20で鉄粉の凝集(プラキング)が起きる可能性がある。この図12のアシスト装置9によれば、このような不具合を回避できる。この作用を図13により説明する。まず、時刻t4からクラッチペダル16の操作量が減少することに伴い、実線で示すように、第1油圧室21の油圧が低下し、時刻t5で最低油圧になる。
これに対して、第2油圧室22の油圧が高圧である場合、つまり、リターンスプリング32の設定圧を超えている場合は、逆止弁30が開放されている。リターンスプリング32の設定圧は、クラッチ6が半クラッチ状態となる油圧の範囲内にある。このため、第2油圧室22の油圧は、油路20およびバイパス通路29の両方を経由して第1油圧室21に伝達される。したがって、第2油圧室22の油圧は実線のように低下する。そして、第2油圧室22の油圧がリターンスプリング32の設定圧以下になると、逆止弁32が閉じられる。すると、第2油圧室22の磁気粘性流体23は油路20を経由して第1油圧室21に流れ込み、バイパス通路29を通らない。このため、第2油圧室22における油圧の低下割合は、破線で示すように第1油圧室21の油圧低下割合よりも緩やかになり、時刻t6で第2油圧室22の油圧が最低圧となる。
このように、図12のアシスト装置9を用いると、油路20に係る油圧が半減され、油路20で鉄粉の凝集が起きることを防止できる。また、油路20が鉄粉で塞がれてしまった場合でも、第2油圧室22の磁気粘性流体23がバイパス通路32を経由して第1油圧室21に流れ込むため、クラッチ6を係合することができる。さらに、逆止弁30が開放されているときは、第2油圧室22の油圧が、時刻t1から急激に低下し、逆止弁30が閉じられるまでの間、クラッチ6の係合応答性が向上する。さらに、この図12のアシスト装置9においても、リターンスプリング32のバネ荷重を調整することにより、油路20単独で伝達する油圧の最大値を調整できる。
つぎに、アシスト装置9のさらに他の構成を図14に基づいて説明する。この図14に示すアシスト装置9は、図10のアシスト装置9の構成と、図12のアシスト装置9の構成とを両方有している。つまり、図14のアシスト装置9は、バイパス通路25および逆止弁26を有し、かつ、バイパス通路29および逆止弁30を有している。この図14に示されたアシスト装置9は、図3のアシスト装置9の作用効果、図10のアシスト装置9の作用効果、図12のアシスト装置9の作用効果を全て得られる。
この図14のアシスト装置9の作用を、図15のタイムチャートに示す。この図15のタイムチャートは、図11のタイムチャートと図13のタイムチャートとを包括して示すものであるため、説明を省略する。また、図14のアシスト装置9によれば、油路20が鉄粉によって塞がれた場合でも、バイパス通路25,29を経由して油圧が伝達されるため、第1油圧室21または第2油圧室22のうち、片方の油圧室における鉄粉濃度が相対的に高まる(偏る)ことを抑制できる。
つぎに、図14に示されたアシスト装置9のさらに具体的な構成を、図16および図17に基づいて説明する。図16は逆止弁26の断面図であり、逆止弁26の弁体27が有底円筒形状に構成されている。その弁体27がバネ28により押圧されて接触する弁座33が設けられており、その弁座33にポート34が形成されている。弁体27が弁座33から離れて逆止弁26が開放されると、第1油圧室21と第2油圧室22とが接続される構成である。また、第2油圧室22の油圧P2は、弁体27を弁座33に押し付ける向きには作用しないように構成されている。例えば、弁体27は円筒形状のシリンダ36内に往復動可能に配置され、そのシリンダ36内にバネ28が配置されている。このシリンダ36により、磁気粘性流体23が通る空間と、バネ28が配置された空間とが区画されており、第2油圧室22の油圧は、弁体27を弁座33に押し付ける向きには作用しない。このように構成された逆止弁26の特性は数式(4)で表される。
P1=Wa/Aa ・・・(4)
ここで、「P1」は第1油圧室21の油圧であり、「Wa」はバネ28から弁体27に加わる荷重であり、「Aa」はポート34の開口面積である。一方、図17は逆止弁30の断面図であり、逆止弁30の弁体31がボール形状に構成されている。その弁体31がバネ32により押圧されて接触する弁座35が設けられており、その弁座35にポート36が形成されている。弁体31が弁座35から離れて逆止弁30が開放されると、第1油圧室21と第2油圧室とが接続される構成である。また、弁体31には第1油圧室21の油圧P1が作用するように構成されている。このように構成された逆止弁30の特性は、数式(5)および数式(6)で表される。
P2Ab=P1Ab+Wb ・・・(5)
ΔP=P2−P1=Wb/Ab ・・・(6)
ここで、「P2」は第2油圧室22の油圧であり、「Ab」はポート36の開口面積であり、「Wb」はバネ32から弁体36に加わる荷重である。また、「ΔP」は油圧の変化割合であり、「P」は油圧P1の具体的な値を意味する。そして、数式(7)および数式(8)の関係にあるとき、逆止弁26,30の動作および油圧P1,P2の関係および各種の条件を図18に示す。
Wb/Ab<Wa/Aa ・・・(7)
P1=P ・・・(8)
この図18において、「0(零)」は、油圧Pが零Mp(メガパスカル)であることを示し、「○」は逆止弁が開放されることを示し、「×」は逆止弁が閉じられることを示し、「Pmax」は最大油圧を示す。つぎに、図14に示すアシスト装置9の逆止弁26,30として、図16に示す構成の逆止弁26および図17に示す構成の逆止弁30を用いた際の作用を、図19のタイムチャートに基づいて説明する。
まず、時刻t1以前ではクラッチペダル16が踏み込まれていないので、油圧Pは最低圧である。ついで、時刻t1でクラッチペダル16が踏み込まれると、第1油圧室21の油圧P1が上昇する。この時刻t1から時刻t2までの間は、油圧P1がWa/Aa以下であるため、逆止弁26は閉じられている。したがって、時刻t1から時刻t2までの間、第2油圧室22の油圧は最低圧である。
そして、時刻t2で油圧p1がWa/Aaを超えると、逆止弁26が開放されて油圧P2が破線で示すように高応答で上昇し、時刻t3で油圧P1,P2が共に最大油圧Pmaxに到達する。さらに、時刻t3以降はクラッチペダル16が踏み込まれており、油圧P1,P2が共に最大油圧Pmaxに維持されている。一方、時刻t4でクラッチペダル16が戻されると、その踏み込み量の減少にともなって油圧P1が実線で示すように低下し、時刻t6で油圧P1は最低圧となる。
ところで、逆止弁30では、バネ32の荷重および油圧P1が弁体31に作用するため、時刻t4以降も逆止弁30が閉じられている間は、油圧P2が破線で示すように最大油圧Pmaxに維持される。そして、油圧P1がWa/Aa以下になった時刻t5で逆止弁30が開放され、油圧P2が破線で示すように低下し始める。さらに、時刻t6で油圧P2がWb/Abまで低下すると、逆止弁30が閉じられるため、その時刻t6以降は油圧P2が破線で示すように一定に保持される。
このように、図14に示すアシスト装置9の逆止弁26,30として、図16に示す構成の逆止弁26および図17に示す構成の逆止弁30を用いると、クラッチペダル16を踏み込んだ際に、第2油圧室22の油圧P2は弁体27を弁座33に押し付ける向きには作用しないため、クラッチペダル16を踏み込むために必要な踏力が増加することを回避できる。また、クラッチペダル16が戻されると、油圧P1が低下を開始する時刻t4から、所定時間遅れた時刻t5で油圧P2が低下を開始するため、電磁コイル19に電流を付与する時期を相対的に遅らせることができる。したがって、アシスト装置9での省電力化を図ることができる。さらに、逆止弁30で高応答が求められないため、弁体31に油圧P1が作用しない構成にして高応答とするための部品を設けずに済み、部品点数の増加を抑制できる。
ここで、上記の実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、クラッチペダル16が、この発明の操作部材に相当し、クラッチ6が、この発明の摩擦係合装置に相当し、アシスト装置9が、この発明のアシスト装置に相当し、油路20が、この発明の通路に相当し、第1油圧室21および第2油圧室22が、この発明の流体室に相当する。また、第1油圧室21が、この発明の第1流体室に相当し、第2油圧室22が、この発明の第2流体室に相当し、磁気粘性流体23が、この発明の磁気粘性流体に相当し、駆動輪50が、この発明の駆動輪に相当し、車両51が、この発明の車両に相当し、エンジン1が、この発明の駆動力源に相当し、変速機2が、この発明の変速機に相当する。
また、図1のフローチャートおよび図6のフローチャートおよび図8のフローチャートが請求項1の発明に相当しており、ステップS1の機能的手段が、この発明の判断手段に相当し、ステップS3,S4,S5,S6,S7,S12,S13,S14,S22,S23,S24が、この発明のトルク容量制御手段に相当する。また、図1のフローチャートが請求項3に相当し、図6のフローチャートが請求項4に相当する。さらに、図10および図12および図14の例が、この発明の請求項5に相当しており、図10がこの発明の請求項6に対応し、図12がこの発明の請求項7に対応し、図14が、この発明の請求項5および請求項6および請求項7に対応している。図10のバイパス通路25および図12のバイパス通路29、図14のバイパス通路25,29が、請求項5のバイパス通路に相当する。また、図10および図14が、この発明の請求項6に対応しており、図12および図14が、この発明の請求項7に対応している。また、弁体27,31が、この発明の弁体に相当し、ポート34,36が、この発明のポートに相当し、バネ28,32が、この発明の弾性部材に相当し、コイル19およびボビン18およびクラッチレリーズシリンダ10が、この発明の磁界発生機構に相当する。
なお、エンジンと変速機(自動変速機)との間に摩擦式の発進クラッチが設けられているとともに、運転者によりブレーキペダルが操作された際に、その踏み込み力を油圧に変換し、その油圧により車輪に制動力を与える油圧制御式のブレーキを有する車両において、前記油圧の伝達経路に、発明の操作支援装置を用いることも可能である。そして、車両が坂道発進する際にブレーキペダルが踏み込まれた時に、車輪に与える制動力を油圧により制御すると、車両が後退することを防ぐヒルホールド効果を得ることができる。
1…エンジン、 2…変速機、 6…クラッチ、 9…アシスト装置、 12…ピストン、 13…レリーズフォーク、 16…クラッチペダル、 20…油路、 21…第1油圧室、 22…第2油圧室、 23…磁気粘性流体、 25,29…バイパス通路、 27,31…弁体、 28,32…バネ、 34,36…ポート、 51…車両、 50…駆動輪。

Claims (7)

  1. 操作力が与えられて動作する操作部材と、この操作部材の動作により発生する力が伝達されて動作し、かつ、伝達される力の大きさによりトルク容量が変化する摩擦係合装置と、前記操作部材から前記摩擦係合装置に伝達される力を調整するアシスト装置とを備えた操作支援装置において、
    前記アシスト装置は、前記操作部材の動作により発生した力を流体圧に変換して前記摩擦係合装置に伝達する流体室と、この流体室に収容され、かつ、基油に磁性粉が混入された磁気粘性流体と、前記流体室を通る磁界を形成する磁界発生機構とを有し、前記磁界の強さを制御することにより前記流体室における前記磁気粘性流体の流動を制御することが可能に構成されており、
    前記摩擦係合装置は、前記操作部材に与えられる操作力が相対的に大きくなり、かつ、伝達される力が相対的に大きくなると、そのトルク容量が相対的に小さくなる一方、前記操作部材に与えられる操作力が相対的に小さくなり、かつ、前記伝達される力が相対的に小さくなると、そのトルク容量が相対的に大きくなるトルク伝達特性を有するクラッチであり、
    前記操作部材の動作による力が前記摩擦係合装置に伝達されてその摩擦係合装置のトルク容量が相対的に小さくなっているか否かを判断する判断手段と、
    前記操作部材の動作による力が前記摩擦係合装置に伝達されてその摩擦係合装置のトルク容量が相対的に小さくなっている際に、前記操作部材に与えられる操作力が低下すると、前記磁界の強さを制御して前記流体室における前記磁気粘性流体の流動を抑制することにより、前記摩擦係合装置のトルク容量の変化が相対的に緩やかになるように制御するトルク容量制御手段と
    を備えていることを特徴とする操作支援装置。
  2. 車両の駆動力源と駆動輪との間に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機が設けられており、前記摩擦係合装置は前記駆動力源と変速機との間に配置されており、前記摩擦係合装置のトルク容量を相対的に小さくしてから前記変速機で変速比を変更し、その後に、前記摩擦係合装置のトルク容量を大きくする構成を有することを特徴とする請求項1に記載の操作支援装置。
  3. 前記トルク容量制御手段は、前記駆動力源の回転数と前記変速機の出力回転数との偏差に基づいて、前記磁気粘性流体の流動を抑制する手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の操作支援装置。
  4. 前記トルク容量制御手段は、前記変速機で変速比を変更する制御がおこなわれて前記駆動力源の回転数が変化を開始した時点からの経過時間に基づいて、前記磁気粘性流体の流動を抑制する手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の操作支援装置。
  5. 前記流体室は、通路により接続された第1流体室および第2流体室を有しており、前記第1流体室と第2流体室とを接続し、かつ、前記通路と並列に配置されたバイパス通路が設けられており、このバイパス通路に、一方の流体室の流体圧が他方の流体室に伝達されることを許容し、かつ、他方の流体室から一方の流体室に流体圧が伝達されることを防止する逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の操作支援装置。
  6. 前記操作部材に与えられる操作力が増加した際に前記第1流体室の流体圧が上昇し、その第1流体室の流体圧が前記バイパス通路および前記逆止弁を経由して前記第2流体室に伝達されて前記摩擦係合装置が動作することにより、その摩擦係合装置のトルク容量が低下する構成であり、
    前記逆止弁はポートを開閉する弁体と、このポートを閉じる向きの力を前記弁体に与える弾性部材とを有し、前記第2流体室の流体圧は前記ポートを閉じる向きで前記弁体には作用しないように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の操作支援装置。
  7. 前記トルク容量が低下するように前記摩擦係合装置が動作すると前記第2流体室の流体圧が上昇し、その第2流体室の流体圧が前記バイパス通路および前記逆止弁を経由して前記第1流体室に伝達される構成であり、
    前記逆止弁はポートを開閉する弁体と、このポートを閉じる向きの力を前記弁体に与える弾性部材とを有し、前記第1流体室の流体圧は前記ポートを閉じる向きで前記弁体に作用するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の操作支援装置。
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