JP5260148B2 - ストロンチウム含有薄膜の形成方法 - Google Patents

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本発明は、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;以下、CVD法と表す)や原子層堆積法(Atomic Layer Deposition法;以下、ALD法と表す)により、酸化ストロンチウムや硫化ストロンチウム含有膜を形成するのに好適な原料化合物を用いたストロンチウム含有薄膜の形成方法に関する。
CVD法やALD法による高誘電率のSrTiO3、SrBi2Ta29、SrBi4Ti415等の膜は、高集積半導体装置の誘電体として期待されている。また、強誘電体膜の電極として、SrRuO3膜が検討されている。
従来、これらのストロンチウムを含有する膜をCVD法やALD法で形成する際の原料としては、ビス(ジピバロイルメタナト)ストロンチウム(Sr(C111922;以下、Sr(dpm)2と表す)が主に検討されてきた。
しかしながら、Sr(dpm)2は、三量体に会合しているため、蒸気圧が0.1Torr/231℃と非常に低く、供給上の課題を有している。
また、230℃以上になると熱分解が始まるため、ALD法で成膜する場合、望ましい自己律速成長のみならず、制御困難な熱分解が同時に起きるという問題を有していた。
したがって、より蒸気圧が高く、また、酸化剤との反応性が高く、かつ、熱安定性の高い有機ストロンチウム化合物が求められている。
その候補としては、例えば、公知化合物であるビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(Sr[C5(CH352;以下、SrCp* 2と表す)が挙げられる。ここで、SrCp* 2は、ジエチルエーテル((C252O;以下、Et2Oと表す。)やテトラヒドロフラン(C48O;以下、THFと表す)等が配位した付加体ではない。
前記付加体は、熱安定性が低く、加熱とともに付加物を放出し、かつ、熱変質するため、安定した蒸気圧とならない。また、酸素原子を付加体に含んでいるため、自己分解により酸素が供給される可能性があり、ALD法の原料としては好ましくない。
これに対して、付加体でないSrCp* 2は、単量体であるため、有機ストロンチウム化合物の中では、蒸気圧が最も高いものの1つであり、また、酸化剤の水とも瞬時に反応するというALD法の原料として好ましい性質を有している。また、5個のメチル基の影響により、有機溶媒に溶解しやすいという長所も有している。
そこで、本発明者らは、特願2006−330359において、SrCp* 2の製造方法を提案した。
しかしながら、SrCp* 2は、融点207℃であり、室温で固体であることから、上記製造方法においては、昇華操作により最終精製を行う必要があった。また、極微量の酸素、水分で変質する固体であることから、取り扱いにおいては、高価な設備と細心の操作が必要であった。
したがって、精製効率が高い蒸留精製を行うことができ、また、不活性雰囲気での取扱いを容易にするためには、室温〜50℃の温度で液体状態である化合物が求められる。
すなわち、酸素および水分に活性なシクロペンタジエニル基を有するストロンチウム化合物であって、エーテル類が付加しておらず、単量体で蒸気圧が高く、量産しやすい基を有する液体化合物が求められている。
ところで、上述したSr(dpm)2等のβ−ジケトン系ストロンチウム錯体は、原料に金属Srを用いて合成されるが、金属Sr中には数ppmのNaやKが含まれており、粗製合成物中にも数ppmのNaおよびKが含まれる。
また、SrCp* 2等のシクロペンタジエニル系ストロンチウム化合物は、NaC5(CH35(以下、NaCp*と表す)やKC5(CH35(以下、KCp*と表す)等のアルカリ金属化合物を原料に用いて合成されるため、粗製合成物中には多量のNaまたはKが含まれる。
これらのβ−ジケトン系ストロンチウム錯体およびSrCp* 2は、室温付近での性状が固体であるため、蒸留による精製が難しく、原料由来のNaやKを効率よく除去することが難しい。
したがって、従来は、ストロンチウム含有薄膜形成用原料において、NaおよびKの各含量を50ppb以下で得ることは困難であり、CVDやALDに適用可能なNaおよびKの各含量が50ppb以下のストロンチウム含有薄膜形成用原料はなかった。
そこで、本発明者らは、市販のシクロペンタジエン化合物のうち、ペンタメチルシクロペンタジエンに類似した構造であるテトラメチル(n−プロピル)シクロペンタジエン(C5(CH34(C37)H)を用いて合成することができる化合物であるビス(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(Sr[C5(CH34(C37)]2Sr[C5(CH34(C37)]2;以下、Sr(PrMe4Cp)2と表す)が好ましいと考えた。
Sr(PrMe4Cp)2は、特許文献1に開示されており、CAS No.882296−98−2で登録されている化合物である。
また、非特許文献1には、Sr(PrMe4Cp)2に、1,2−ジメトキシエタン(CH3OC24OCH3;以下、DMEと表す)が付加した化合物が記載されている。
欧州特許第1645656号明細書 "MOCVD & CVD Precursors",Strem社,1999年,CVD11/99,p.22
しかしながら、上記特許文献1においては、実施例7の表において、トリメチルインジウムとモノエチルアルシンを原料にしたMOCVDでInAs膜を600℃で成長させる際に、Sr(PrMe4Cp)2を触媒量(<0.25mol%)共存させることが記載されているにすぎず、Sr(PrMe4Cp)2は微量の触媒として添加されており、膜中にSrは実質的に含まれていない。しかも、Sr(PrMe4Cp)2の製法や物性については、全く記載されていない。
また、上記非特許文献1にも、エーテル類の付加していないSr(PrMe4Cp)2の記載はなかった。
シクロペンタジエニル系ストロンチウム化合物は、エーテル類が付加した化合物として合成された後、エーテル類を外して得られる化合物であり、付加体を経由せずに合成することは困難である。しかも、付加したエーテル類を外すことは容易ではない。
したがって、これまでに、Sr(PrMe4Cp)2は、製造方法や物性は明らかとされておらず、これを原料として、Srを主成分として含有する薄膜は形成されたことがなかった。また、Sr(PrMe4Cp)2の製造方法においては、使用するエーテル化合物種とエーテル類を外す方法が重要となる。
また、半導体薄膜形成材料中には、Naがわずかでも混入すると、半導体界面の電界の不均一や導体薄膜の腐食等、半導体特性を大きく損なうことから、有機ストロンチウム錯体中のNa濃度を0に近づけることが求められている。Kについても同様のことが求められている。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、室温〜50℃で液体であり、蒸留精製が可能で、単量体で蒸気圧が高く、量産しやすいシクロペンタジエニル系ストロンチウム化合物によるストロンチウム含有薄膜形成用原料を用いたストロンチウム含有薄膜を形成する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、NaおよびKの含量を低減させたストロンチウム含有薄膜を提供することをも目的とする
本発明に係るストロンチウム含有薄膜の形成方法は、CVD法またはALD法による薄膜形成方法において、Sr(PrMe4Cp)2を用いることを特徴とする。
前記薄膜の形成方法によれば、Sr源としてSr(PrMe4Cp)2を用いて、SrTiO3または(Ba,Sr)TiO3膜を好適に形成することができる。
また、前記薄膜の形成方法によれば、Sr源としてSr(PrMe4Cp)2を用いて、SrRuO3膜も好適に形成することができる。
前記薄膜の形成方法においては、Sr(PrMe4Cp)2を130〜350℃で、不活性ガスをキャリアガスとしたバブリング法により供給することが好ましい。
このとき用いられる不活性ガスは、Ar、N2およびHeのうちのいずれかであることが好ましく、また、その流量は、30〜500sccmであることが好ましい。
あるいはまた、前記薄膜の形成方法においては、Sr(PrMe4Cp)2を溶媒に溶解し、粘度50cP以下の溶液として、気化器に搬送し、150〜350℃で気化して供給してもよい。
このとき用いられる溶媒は、トルエン、ヘキサンおよびオクタンのうちのいずれかであることが好ましい。
本発明に係るストロンチウム含有薄膜形成用原料であるSr(PrMe4Cp)2は、量産に適した液体化合物であり、また、蒸気圧が高く、室温下での性状が液体であるため、蒸留精製が可能であり、半導体特性に大きな影響を与えるNaおよびKの含量が公知のストロンチウム含有薄膜形成材料に比べて大幅に低減される。
したがって、Sr(PrMe4Cp)2を用いれば、CVD法やALD法により、ストロンチウム含有膜を量産することができ、また、NaおよびKの含量が低減されたストロンチウム含有薄膜を形成することができる。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
本発明に係るストロンチウム含有薄膜の形成方法は、CVD法またはALD法による薄膜形成方法において、Sr(PrMe 4 Cp) 2 を用いることを特徴とする。
この原料化合物であるSr(PrMe4Cp)2は、以下の製造方法により、好適に得ることができる。
具体的には、Na(PrMe4Cp)もしくはK(PrMe4Cp)とSrI2をTHF中で反応させ、Sr(PrMe4Cp)2のTHF付加体を生成させる工程と、THFを留去し、トルエンで抽出してトルエン溶液とする工程と、トルエンを留去し、減圧乾燥する工程と、真空下で100〜160℃に加熱し、THFを解離除去した後、蒸留する工程とを経ることにより、Sr(PrMe4Cp)2が得られる。
以下、この製造工程を順次、説明する。
まず、Na(PrMe4Cp)は、市販のプロピルテトラメチルシクロペンタジエン(C5(CH34(C37)H;別名:テトラメチル(n−プロピル)シクロペンタジエン)(Strem社製、Alfa Aesar社製等)と、液体NH3中でNaNH2と反応させる方法や、THFやDME中でNaHと反応させる方法等の公知の方法により得ることができる。
K(PrMe4Cp)も、同様な方法で得られる。
次に、Sr(PrMe4Cp)2の合成反応溶媒であるTHFに、上記により得られたNa(PrMe4Cp)もしくはK(PrMe4Cp)および無水SrI2を溶解する。合成反応は容易に進行し、Sr(PrMe4Cp)2(THF)付加体が生成する。
なお、合成反応溶媒としてDMEを用いた場合は、Sr(PrMe4Cp)2(DME)付加体が容易に生成するが、下記の比較例1に示すように、後でDMEを容易に外すことができないため、DMEは適さない。
また、溶媒としてジエチルエーテルを用いた場合は、反応原料の溶解度が小さく、反応速度が低く、容積効率が悪いため、ジエチルエーテルも適さない。
合成反応終了後、THF溶媒を留去し、トルエンでSr(PrMe4Cp)2(THF)付加体を抽出する。トルエンは、該付加体をよく溶かすが、副生成物であるヨウ化ナトリウムやヨウ化カリウムは全く溶けないため、抽出が容易である。
抽出後のトルエン溶液から、トルエンを留去し、減圧乾燥することにより、Sr(PrMe4Cp)2(THF)付加体が得られる。このTHF付加体の融点は約130℃である。
この付加体を、0.001〜0.1Torrの真空下、100〜160℃に加熱すると、釜内は融液状態となり、解離したTHFが深冷のトラップに溜まる。トラップ内の溜まりの増加が停止したら、160〜180℃/0.01〜0.1Torrでの蒸留操作により、Sr(PrMe4Cp)2を留出させる。
このようにして得られたSr(PrMe4Cp)2は、室温にて固化することがない粘性液体である。
上記のような方法により得られたSr(PrMe4Cp)2を原料として用いることにより、CVD法やALD法により、ストロンチウム含有の酸化物膜、硫化物膜等を安定的に形成することができる。
また、上記のような製造方法によれば、KおよびNaの各含量が50ppb以下であるSr(PrMe4Cp)2を得ることができる。
したがって、上記のような製造方法により得られるKおよびNaの含量が少ないSr(PrMe4Cp)2を原料として用いて、SrTiO3膜、(Ba,Sr)TiO3膜、SrRuO3膜等のストロンチウム含有薄膜を形成すれば、薄膜中のKおよびNaの各含量を従来よりも低減することができる。
膜形成の際のSr(PrMe4Cp)2の供給方法としては、Sr(PrMe4Cp)2を130〜350℃に加熱して流動性のある液体とし、キャリアガスをバブリングすることにより気化させる方法や、Sr(PrMe4Cp)2を不活性な炭化水素溶媒に溶解して、液体マスフローメータで供給し、150〜350℃の気化器で全量気化させる方法等を用いることができる。
Sr(PrMe4Cp)2をバブリング法で供給する場合、そのシリンダ温度は、下記実施例の温度に限ることなく、130〜350℃の間で設定することができる。そのときのキャリアガスは、不活性ガスであればよく、Arの他に、N2、Heを用いることができる。また、その流量は、少なすぎても蒸気を搬送することができないが、多すぎるとシリンダ内圧を上昇させて、原料の蒸発を妨げるため、30〜500sccmであることが好ましい。
また、Sr(PrMe4Cp)2を溶媒に溶解して、粘度を下げ、気化器に液体搬送して気化する場合、その粘度は、下記実施例の温度に限ることなく、50cP以下であればよく、このような範囲の粘度であれば、配管および気化器内で閉塞する危険性を低くすることができる。
また、溶媒としては、溶解度が最も高いトルエンを用いることが好ましいが、低濃度溶液でよい場合には、トルエンに限らず、比較的溶解性に優れたヘキサンまたはオクタンを用いることもできる。
上記のような方法で気化させたSr(PrMe4Cp)2の蒸気と、Ti(OiPr)4,Ti(OtBu)4,Ti(NMe24,Ti(NEtMe)4,Ti(NEt24等のチタン化合物の蒸気と、酸素、オゾン、水等を酸化剤として用いれば、CVD法やALD法により、SrTiO3膜を製造することができる。
また、Sr(PrMe4Cp)2蒸気にBa(PrMe4Cp)2蒸気を加え、Ti(OiPr)4,Ti(OtBu)4,Ti(NMe24,Ti(NEtMe)4,Ti(NEt24等のチタン化合物の蒸気と、酸素、オゾン、水等を酸化剤として用いれば、CVD法やALD法により、(Ba,Sr)TiO3膜を製造することができる。
さらにまた、Sr(PrMe4Cp)2蒸気と、Ru(EtCp)2等のルテニウム化合物の蒸気と、酸素、オゾン、水等を酸化剤として用いれば、CVD法やALD法により、SrRuO3膜を製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]Sr(PrMe4Cp)2の製造
温度計、撹拌子、投入口、還流器を備えた1L三口フラスコに、真空アルゴン置換後、脱水脱酸素したTHF600mlと、Na(PrMe4Cp)75g(0.40mol)を仕込み、溶解し、フラスコを水冷しながら、SrI2粉末72g(0.21mol)を加え、40℃で8時間撹拌した。
次いで、減圧で脱溶媒し、乾燥後、脱水脱酸素したトルエン600mlを加え、加熱撹拌による抽出操作を行い、静置後、ろ過し、透明なろ液を得た。ろ液からトルエンを減圧留去し、100℃で減圧乾燥し、融点約130℃の淡黄色の固体(減圧乾燥品)89gを得た。
この固体を高真空蒸留装置に仕込み、110〜160℃/0.1〜0.01Torrで1時間保持したところ、THF付加体のTHFが徐々に外れ、深冷トラップに8.1g溜まった。徐々に昇温し、微量の初留結晶を除去した後、170〜180℃/0.1〜0.01Torrで、主留として淡黄色の粘性液体61gを得た。
この粘性液体を、再度、高真空蒸留装置に仕込み、100〜160℃/0.1〜0.01Torrで約1時間保持し、微量の残留THFを外し、170〜180℃/0.01〜0.1Torrで、主留として淡黄色の粘性液体(2回蒸留品)56gを得た。
この2回蒸留品は、以下に述べる分析の結果、Sr(PrMe4Cp)2(0.136mol)と同定され、その収率はNa(PrMe4Cp)に対して68%であった。
以下、2回蒸留品の同定分析および物性評価の方法および結果について述べる。
(1)組成分析
湿式分解して得られた液のICP発光分光分析の結果、Sr含量は20.7%(理論値21.15%)であった。
また、不純物については、Ca=1900,Mg<50,Ba=10000,Na<50,K<50,Cr<50,Fe<50,Cu<50,Ni<50(単位:ppb)であり、高純度であることが認められた。
(2)1H−NMR
測定条件(装置:JNM−ECA400(400MHz)、溶媒:C66、方法:1D)
図1に、2回蒸留品の測定結果を示す。比較のため、図2に、減圧乾燥品の結果を示す。
図1,2の測定スペクトルにおける各シグナルの位置とHの個数、Sr(PrMe4Cp)2とTHFのHの個数の比率を考慮して、δH(ppm)について、以下のように帰属を行った。
2.01(s),1.97(s) 12H
:C5(C 34の−C37から離れたCH32個と近いCH32個
2.39(t) 2H:C 2CH2CH3
1.36(m) 2H:CH2 2CH3
0.92(t) 3H:CH2CH2 3
3.14(t),1.21(m):THFの−OC 2 2 2 2
図1に示した測定スペクトルから、2回蒸留品について、Sr1molに付加しているTHFのmol数は、(0.348+0.437)/(23.562+4.131+4.136+6)×38/8=0.09であり、平均的化学式はSr(PrMe4Cp)2(THF)0.09となった。わずかにTHFが配位しているが、実質的に、Sr(PrMe4Cp)2とみなすことができる。
なお、図2に示した測定スペクトルから、減圧乾燥品については、Sr1molに付加しているTHFmol数は、(2.076+2.046)/(11.296+1.981+1.890+3)×38/8=1.08であり、平均的化学式はSr(PrMe4Cp)2(THF)1.08となった。
また、Sr(PrMe4Cp)2(THF)1のSr含量理論値が18.02%であるのに対して、減圧乾燥品のSr含量分析値は18.1%であった。
よって、減圧乾燥品は、約1個のTHFが付加しているSr(PrMe4Cp)2であると推定される。
(3)性状と融点
2回蒸留品は、微淡黄色で、室温で非常に粘性の強い液体であり、粘度は約1000Pであった。
(4)TG−DTA
測定条件(試料重量:14.40mg、雰囲気:Ar1気圧、昇温速度:10.0deg/min)
図3に、2回蒸留品の測定結果を示す。比較のため、図4に、減圧乾燥品の結果を示す。
図3,4に示すTG−DTA曲線から、2回蒸留品は、160℃付近まで減量はなく、除去されるTHFは存在していないと推定される。
また、300℃までに97%蒸発していることから、分オーダーの短時間では、300℃以下においては熱劣化することなく、ALD法やCVD法の原料に求められる熱安定性を有していることが認められる。
(5)蒸気圧
気体飽和法測定の結果、0.1Torr/170℃であった。
(6)密度
密度は1.2g/cm3(30℃)であった。
(7)溶解度
1Lの各溶媒に対する室温での溶解度は、トルエンに対しては350g、THFに対しては280g、ヘキサンに対しては70g、オクタンに対しては70gであった。
よって、トルエンに非常によく溶け、また、オクタン等にも比較的よく溶けることが認められた。
[比較例1]溶媒としてDMEを用いたSr(PrMe4Cp)2の製造
温度計、撹拌子、投入口、還流器を備えた300ml三口フラスコに、真空アルゴン置換後、脱水脱酸素したTHF160mlと、Na(PrMe4Cp)16g(0.086mol)を仕込み、溶解し、フラスコを水冷しながら、SrI2粉末15.5g(0.045mol)を加え、リフラックス下、8時間撹拌した。
次いで、減圧で脱溶媒し、乾燥後、脱水脱酸素したトルエン200mlを加え、加熱撹拌による抽出操作を行い、静置後、ろ過し、透明なろ液を得た。ろ液からトルエンを減圧留去し、100℃で減圧乾燥したところ、初めは、淡黄色の粘い液であったが、1日後、融点約100℃の固体18.5gが得られた。
この固体を高真空蒸留装置に仕込み、110〜160℃/0.1〜0.01Torrで1時間保持したところ、DME付加体のDMEが徐々に外れ、深冷トラップに1.2g溜まった。徐々に昇温し、極微量の初留を除去した後、170〜175℃/0.1〜0.01Torrで、主留として、液体で留出し、室温で固化する淡黄色の固体(融点約50〜80℃)(1回蒸留品)14.7gを得た。
この固体を、再度、高真空蒸留装置に仕込み、100〜160℃/0.1〜0.01Torrで1時間保持した後、昇温し、170〜175℃/0.01〜0.1Torrで、主留として、液体で留出し、室温で固化する淡黄色の固体(融点約50〜80℃)(2回蒸留品)12.8gを得た。
この2回蒸留品について、実施例1と同様にして、1H−NMRおよびTG−DTAの測定を行った。
(1)1H−NMR
図5に、2回蒸留品の測定結果を示す。
図5の測定スペクトルにおける各シグナルの位置とHの個数、Sr(PrMe4Cp)2とDMEのHの個数の比率を考慮して、δH(ppm)について、以下のように帰属を行った。
2.15(s),2.12(s) 12H
:C5(C 34の−C37から離れたCH32個と近いCH32個
2.47(t) 2H:C 2CH2CH3
1.63(m) 2H:CH2 2CH3
1.08(t) 3H:CH2CH2 3
2.69(t),2.59(m):DMEのC 3OC 2 2OC 3
図5に示した測定スペクトルから、2回蒸留品について、Sr1molに付加しているDMEのmol数は、(2.921+1.961)/(11.726+1.945+1.901+3)×38/10=1.00であり、平均的化学式はSr(PrMe4Cp)2(DME)1.00となった。
また、多くの不純物によるシグナルが見られ、加熱蒸留中に、付加体の熱分解等が生じたと推測される。
また、Sr(PrMe4Cp)2(DME)1のSr含量理論値が17.37%であるのに対して、2回蒸留品のSr含量分析値は18.2%であった。
よって、真空加熱蒸留操作では、DME付加体からDMEは外れにくいことが認められた。
(2)TG−DTA
図6に、2回蒸留品の測定結果を示す。
図6に示すTG−DTA曲線から、DMEが外れる挙動は見られず、大半は、DME付加体のまま蒸発していると推定される。
上記1H−NMRおよびTG−DTAの測定結果から、2回蒸留品は、加熱しても、DMEは外れず、大半はDME付加体として気化していると認められる。
すなわち、溶媒としてDMEを用い、DME付加体を経由する方法では、純Sr(PrMe4Cp)2は得られなかった。
よって、市販のSr(PrMe4Cp)2(DME)から、純Sr(PrMe4Cp)2を製造することは困難である。
[比較例2]原料としてNaCp*を用いたSrCp* 2の製造
温度計、撹拌子、投入口、ガス出口を備えた1L三口フラスコに、真空アルゴン置換後、脱水脱酸素したTHF750mlと、NaCp*79g(0.50mol)を仕込み、溶解し、フラスコを水冷しながら、SrI2粉末90g(0.246mol)を加え、25〜40℃で24時間撹拌した。
次いで、減圧で脱溶媒し、乾燥後、脱水脱酸素したトルエン900mlを加え、加熱撹拌する抽出操作を行い、静置後、ろ過し、透明なろ液を得た。ろ液からトルエンを減圧留去し、100℃で減圧乾燥した。固形分をグローブボックス中で取り出し、軽く粉砕すると、淡黄色のさらさらとした粉末98gが得られた。
この粉末を昇華器に仕込み、140〜180℃/0.1Torrで第1回目の昇華を行い、1回昇華品65gを得た。
次いで、この1回昇華品を昇華器に仕込み、140〜180℃/0.1Torrで第2回目の昇華を行い、純白な2回昇華品62gを得た。
この2回昇華品の結晶は、以下に述べる分析の結果、SrCp* 2(0.162mol)と同定され、その収率はNaCp*に対して69%であった。
各工程で得られた固体について、実施例1と同様にして、ICP発光分光分析による組成分析および1H−NMRの測定を行った。
その結果、Sr含量分析値(理論値24.47%)と、1H−NMRの全SrCp* 2シグナルのHの個数およびTHFシグナルのHの個数の比率から、平均的化学式は、以下のように推定された。
減圧乾燥品: Sr含量19.7% SrCp* 2(THF)1.5
1回昇華品: Sr含量22.1% SrCp* 2(THF)0.5
2回昇華品: Sr含量25.3% SrCp* 2
また、2回昇華品について、ICP発光分光分析の結果から、不純物は、Ca=2800,Mg<50,Ba=29000,Na=940,K<50,Cr<50,Fe<50,Cu<50,Ni<50(単位:ppb)であり、実施例1に比べて、Na含量が大幅に多かった。
[比較例3]原料としてKCp*を用いたSrCp* 2の製造
NaCp*に代えてKCp*を用い、それ以外は、比較例2と同様の方法で、同じモル量の原料を用いて合成を行った。
SrCp* 2の収率はKCp*に対して65%であった。
実施例1と同様にして、2回昇華品について、ICP発光分光分析による組成および不純物分析を行った。
その結果、Sr含量分析値は25.0%(理論値24.47%)であり、不純物は、Ca=3000,Mg<50,Ba=31000,Na<50,K=1100,Cr<50,Fe<50,Cu<50,Ni<50(単位:ppb)であり、実施例1に比べて、K含量が大幅に多かった。
[比較例4]Sr(dpm)2の製造
温度計、撹拌羽根、還流器を備えた500ml四口フラスコに、真空アルゴン置換後、トルエン350mlを仕込み、次いで、ジピバロイルメタン(dpmH)65.6g(356mmol)、金属Sr7.8g(89mmol)を仕込み、加熱撹拌した。還流下で24時間反応させたところ、金属片は消失した。
次いで、減圧下、溶媒および未反応のdpmH類を留去した。さらに、130℃、0.05Torrで、溶存していた微量のdpmHを留去した。
残留物のうち34gを高真空蒸留装置に仕込み、230℃/0.02Torrで蒸留し、Sr(dpm)230gを得た。
これについて、実施例1と同様にして、ICP発光分光分析による不純物分析を行った結果、Na=920,K=890(単位:ppb)であり、実施例1に比べて、NaおよびK含量が大幅に多かった。
[実施例2]Sr(PrMe4Cp)2を用いたALD法によるSrTiO3膜の形成(1)
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2が充填されたシリンダ(A)を170℃で、Arガス100sccmでバブリングし、また、Ti(OiPr)4が充填されたシリンダ(B)を40℃で、Arガス100sccmでバブリングし、また、水が充填されたシリンダ(C)を20℃で、Arガス50sccmでバブリングし、パージガスとしてAr200sccmを流し、各パルス1秒、パージ3秒で、ALD操作を行った。
圧力約5TorrのALD室に、基板温度300℃のSi基板を置き、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるSrサイクルと、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるTiサイクルとを交互に、各100サイクル行い、厚さ10nmのSrTiO3膜を得た。
[実施例3]Sr(PrMe4Cp)2を用いたALD法によるSrTiO3膜の形成(2)
ガス導入口を含むチャンバ壁、ウエハ加熱用抵抗加熱ステージヒータ、ウエハ設置用リフタ機構を備えた成膜チャンバにて成膜した。この成膜チャンバは、圧力調整弁を介して、排気ポンプに接続し、チャンバ壁に埋め込まれたカートリッジヒータにより、チャンバ内を160℃に保持し、また、ステージヒータは、約0.3Torrでウエハ温度が290℃となるように、320℃に設定しておく。
搬送アームを用いて、直径300mmのSiウエハを搬送系から成膜チャンバに導入し、ステージヒータに移載した。その後、Arガス500sccmを流通し、圧力調整弁によりチャンバ内圧力を1Torrに保持して、ウエハ温度を昇温させた。
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2100gを、バブリング用シリンダ(A)に充填して、165℃に保持し、キャリアガスとしてArガス50sccmを流通してバブリングし、Sr(PrMe4Cp)2蒸気を得た。また、Ti(OiPr)4が充填されたシリンダ(B)を45℃に保持し、Arガス200sccmを流通してバブリングし、Ti(OiPr)4蒸気を得た。また、酸化剤として水が充填されたシリンダを80℃に保持し、出口側に高温マスフローメータを設置して、H2Oガスが200sccm流れるようにした(C)。さらに、パージガスとしてはAr200sccmを用いた。
これらの原料または酸化剤の供給(以下、パルスという)およびパージを、各パルス5秒、パージ10秒として、以下のようなALD操作を行った。パルスまたはパージ時、チャンバの圧力制御弁は開いているため、チャンバ内の圧力は、チャンバ内のガス流量に応じて、パルスA:0.3Torr、パルスB:0.4Torr、パルスC:0.5Torr、パージ:0.2Torrとなる。これらのALD操作の間、ウエハは約290℃に保持される。
(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるSrO形成サイクルと、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるTiO2形成サイクルとを、合わせて77サイクル、SrO/TiO2サイクル比=1.3となるように行った。具体的には、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を1サイクルの一連の工程を1回とし、これを11回繰り返し、厚さ5nmのSrTiO3膜を形成した。
XRF(蛍光X線分析)法により、形成した膜の組成を調べたところ、Sr/Ti=1.4であった。
また、Sr(PrMe4Cp)2の使い始めと90g使用時点で、25枚のランニング成膜を行ったところ、その平均膜厚は53.5Åと50.3Å、面内膜厚分布の標準偏差は1.6%と1.3%、25枚の面間膜厚分布の標準偏差は2.8%と3.3%であり、Sr(PrMe4Cp)2の使い始めとほぼ使い終わりである90g使用時点とで、成膜特性の差異はほとんどなかった。
[比較例5]SrCp* 2を用いたALD法によるSrTiO3膜の形成(1)
Sr(PrMe4Cp)2に代えてSrCp* 2を用い、それ以外は実施例3と同様にして成膜した。
SrCp* 2100gの使い始めと90g使用時点で、25枚のランニング成膜を行ったところ、その平均膜厚は55.2Åと43.2Åであり、膜のSr/Ti比も、使い始めが1.4であるのに対して、90g使用時点では0.8であり、明らかに、SrCp* 2の供給量が低下していた。
実施例3と比較例5から、Sr(PrMe4Cp)2は、バブリングの温度で液体であるため、充填量100gの使用開始から終了まで、安定して蒸気を供給することができる。
一方、SrCp* 2はバブリングを行う温度で固体であるため、充填量100gの使用開始から終了にかけて、粉体の凝集による蒸発表面積の減少、シリンダや配管のコールドスポットへの原料の凝集による伝熱不足等により、成膜原料の供給量が低下していく傾向があり、これにより、同じ成膜条件での膜厚の減少やSr/Ti比の低下がもたらされていると考えられる。
[実施例4]Sr(PrMe4Cp)2を用いたALD法によるSrTiO3膜の形成(3)
成膜チャンバは、実施例3と同様の条件設定とした。
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2を、バブリング用シリンダ(A)に充填して、155℃に保持し、キャリアガスとしてArガス50sccmを流通してバブリングし、Sr(PrMe4Cp)2蒸気を得た。また、Ti(OiPr)4が充填されたシリンダ(B)を55℃に保持し、Arガス200sccmを流通してバブリングし、Ti(OiPr)4蒸気を得た。また、酸化剤としてO2/N2=500/0.5sccm混合ガスを、オゾナイザに通じて180g/m3濃度のO3ガスを得た(C)。さらに、パージガスとしてはAr200sccmを用いた。
これらのパルスおよびパージを、A,Bパルス10秒、Cパルス2秒、パージ10秒として、以下のようなALD操作を行った。
(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるSrO形成サイクルと、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるTiO2形成サイクルとを、合わせて77サイクル、SrO/TiO2サイクル比=1.2となるように行った。具体的には、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を1サイクルの一連の工程を1回とし、これを7回繰り返し、厚さ5nmのSrTiO3膜を形成した。
XRF法により、形成した膜の組成を調べたところ、Sr/Ti=1.25であった。
[実施例5]Sr(PrMe4Cp)2を用いたALD法によるSrTiO3膜の形成(4)
成膜チャンバは、実施例3と同様の条件設定とした。
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2をトルエンに溶解し、0.4mol/l溶液とした。その粘度は40cPであった。
この溶液を、液体供給系を用いて200℃に加熱した気化器に誘導し、Arガス200sccmをキャリアガスとして、0.3g/minの流量で、液体流量計で制御しながら気化させ、Sr(PrMe4Cp)2ガスを得た(A)。また、Ti(OiPr)4を、液体供給系を用いて100℃に加熱した気化器に誘導し、Arガス200sccmをキャリアガスとして、0.1g/minの流量で、液体流量計で制御しながら気化させ、Ti(OiPr)4蒸気を得た。また、酸化剤としてO2/N2=500/0.5sccm混合ガスを、オゾナイザに通じて180g/m3濃度のO3ガスを得た(C)。さらに、パージガスとしてはAr200sccmを用いた。
これらのパルスおよびパージを、A,Bパルス2秒、Cパルス2秒、パージ5秒として、以下のようなALD操作を行った。
(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるSrO形成サイクルと、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるTiO2形成サイクルとを、合わせて99サイクル、SrO/TiO2サイクル比=1.2となるように行った。具体的には、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を1サイクルの一連の工程を1回とし、これを9回繰り返し、厚さ6.4nmのSrTiO3膜を形成した。
このSrTiO3膜を用いて、上・下部電極をともにRuとして、MIM(metal Insulator Metal)構造を作製し、600℃の熱処理でSrTiO3を結晶化させたところ、酸化膜換算膜厚は0.7nmであり、電圧1V印加時のリーク電流は3.5×10-7A/cm2であった。
[比較例6]SrCp* 2を用いたALD法によるSrTiO3膜の形成(2)
Sr(PrMe4Cp)20.4mol/lトルエン溶液に代えてSrCp* 20.2mol/lトルエン溶液を用い、それ以外は、実施例5と同様にして成膜した。
(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるSrO形成サイクルと、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるTiO2形成サイクルとを、合わせて99サイクル、SrO/TiO2サイクル比=1.2となるように行った。具体的には、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を1サイクルの一連の工程を1回とし、これを9回繰り返し、厚さ8.2nmのSrTiO3膜を形成した。
このSrTiO3膜を用いて、上・下部電極をともにRuとして、MIM構造を作製し、600℃の熱処理でSrTiO3を結晶化させたところ、酸化膜換算膜厚は0.9nmであり、電圧1V印加時のリーク電流は2.4×10-3A/cm2であった。
このSrTiO3膜は、実施例5のSrTiO3膜に比べて、物理膜厚、酸化膜換算膜厚とも厚いにもかかわらず、リーク電流が大きかった。
実施例5および比較例6のSrTiO3膜を、それぞれ膜厚5nmでSi基板上に成膜し、TXRF(全反射蛍光X線)分析によりNa含量を比較したところ、比較例6は実施例5の2倍であった。
このことから、SrCp* 2の方がSr(PrMe4Cp)2に比べてNa等の不純物が多いため、電気的特性を悪化させていると考えられる。
[実施例6]Sr(PrMe4Cp)2を用いたALD法によるSrRuO3膜の形成
成膜チャンバは、ステージヒータの設定を0.3Torrでウエハ温度が330℃となるように350℃とし、それ以外は実施例3と同様の条件設定とした。
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2をトルエンに溶解し、0.4mol/l溶液とした。この溶液を、液体供給系を用いて200℃に加熱した気化器に誘導し、Arガス200sccmをキャリアガスとして、0.3g/minの流量で、液体流量計で制御しながら気化させ、Sr(PrMe4Cp)2ガスを得た(A)。また、Ru(EtCp)2を、液体供給系を用いて120℃に加熱した気化器に誘導し、Arガス200sccmをキャリアガスとして、0.1g/minの流量で、液体流量計で制御しながら気化させ、Ru(EtCp)2蒸気を得た。また、酸化剤としてO2/N2=500/0.5sccm混合ガスを、オゾナイザに通じて100g/m3濃度のO3ガスを得た(C)。さらに、パージガスとしてはAr200sccmを用いた。
これらのパルスおよびパージを、A,Bパルス1秒、Cパルス1秒、パージ2秒として、以下のようなALD操作を行った。
(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるSrO形成サイクルと、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)によるRuO2形成サイクルとを、合わせて240サイクル、SrO/RuO2サイクル比=1となるように行った。具体的には、(Aパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクル、(Bパルス−パージ−Cパルス−パージ)を2サイクルの一連の工程を1回とし、これを60回繰り返し、厚さ18nmのSrRuO3膜を形成した。
[実施例7]Sr(PrMe4Cp)2を用いたCVD法によるSrTiO3膜の製造
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2が充填されたシリンダを160℃、内圧約5Torrで、アルゴンガス50sccmでバブリングし、Sr(PrMe4Cp)2蒸気をCVD室に送った。
同時に、Ti(NMe24が充填されたシリンダを30℃、内圧約5Torrで、アルゴンガス50sccmでバブリングし、Ti(NMe24蒸気をCVD室に送った。
また、酸素ガス100sccmをCVD室に送った。
CVD室入口でこれらのガスを混合し、2Torr、350℃に保持したSi(100)基板上に導入したところ、30分間で、厚さ60nmのSrTiO3膜が生成した。
[実施例8]Sr(PrMe4Cp)2を用いたCVD法によるSrRuO3膜の製造
実施例1で得られたSr(PrMe4Cp)2が充填されたシリンダを160℃、内圧約7Torrで、アルゴンガス50sccmでバブリングし、Sr(PrMe4Cp)2蒸気をCVD室に送った。
同時に、Ru(EtCp)2が充填されたシリンダを30℃、内圧約7Torrで、アルゴンガス50sccmでバブリングし、Ru(EtCp)2蒸気をCVD室に送った。
CVD室入口でこれらのガスを混合し、5Torr、700℃に保持したSrTiO3(100)基板上に導入したところ、30分間で厚さ80nmのSrRuO3膜が生成した。
実施例1に係る2回蒸留品の1H−NMRの測定スペクトルを示す図である。 実施例1に係る減圧乾燥品の1H−NMRの測定スペクトルを示す図である。 実施例1に係る2回蒸留品の1気圧でのTG−DTA測定結果を示す図である。 実施例1に係る減圧乾燥品の1気圧でのTG−DTA測定結果を示す図である。 比較例1に係る2回蒸留品の1H−NMRの測定スペクトルを示す図である。 比較例1に係る2回蒸留品の1気圧でのTG−DTA測定結果を示す図である。

Claims (8)

  1. 化学気相成長法または原子層堆積法による薄膜形成方法において、ビス(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムを用いることを特徴とするストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  2. Sr源としてビス(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムを用いて、SrTiO3膜または(Ba,Sr)TiO3膜を形成することを特徴とする請求項記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  3. Sr源としてビス(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムを用いて、SrRuO3膜を形成することを特徴とする請求項記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  4. ビス(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムを130〜350℃で、不活性ガスをキャリアガスとしたバブリング法により供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  5. 前記不活性ガスは、Ar、N2およびHeのうちのいずれかであることを特徴とする請求項記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  6. 前記不活性ガスの流量は、30〜500sccmであることを特徴とする請求項4またはに記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  7. ビス(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウムを溶媒に溶解し、粘度50cP以下の溶液として、気化器に搬送し、150〜350℃で気化して供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
  8. 前記溶媒は、トルエン、ヘキサンおよびオクタンのうちのいずれかであることを特徴とする請求項記載のストロンチウム含有薄膜の形成方法。
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