JP5256921B2 - 絶縁層形成用材料および電子部品。 - Google Patents

絶縁層形成用材料および電子部品。 Download PDF

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Description

本発明は、無機粒子が有機物質中に分散した絶縁層形成用のペーストおよび未硬化シートおよびこれを用いた電子部品に関する。
電子部品の小型化、高性能化に伴い、ハイアスペクト比でのパターン加工が可能であり、かつ絶縁信頼性に優れた材料が要求されている。このような要求に対し、例えば、無機粒子を樹脂などの有機物質中へ分散させて感光性樹脂組成物を作製し、パターン加工された硬化物を作製し、永久レジストして用いる技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、このような材料では、フォトリソグラフィーによるハイアスペクト比でのパターン加工が困難であるという問題があった。また、絶縁材料は金属からなる配線と接触するため、金属と絶縁材料の線膨張率の違いにより絶縁材料に剥がれやクラックが生じ、電子部品の信頼性が損なわれるという問題があった。
一方、40nm径以下の硫酸バリウム粒子を分散させて感光性樹脂組成物を作製し、パターン加工して、アサーマル性を発現する光配線材料を得るという技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2007−11321号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2008−39863号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2007−156404号公報(特許請求の範囲、実施例) 国際公開第08/056639号パンフレット
本発明では、フォトリソグラフィーによりアスペクト比が大きいパターン加工が可能で、かつ絶縁性に優れている絶縁層形成用材料を提供することを目的としている。
本発明は、(A)平均粒子径1nm以上40nm以下の硫酸バリウム粒子、および(B)重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、または重合性基を有するリン酸エステル化合物を含む絶縁層形成用材料である。
本発明の絶縁層形成用材料を用いると、ハイアスペクト比で微細加工された、硬化後の線膨張率が金属の線膨張率に近い小さく絶縁性に優れる絶縁層が得られる。この特徴はインダクタ形成時に大きなQ値を得るのに有利である。また、絶縁層の線膨張率が金属のものと近いために、温度変化による絶縁層と金属配線間に発生する応力を小さくすることができ、これらから形成される部品の信頼性を高くすることができる。
本発明の絶縁層形成用材料は、(A)平均粒子径1nm以上40nm以下の硫酸バリウム粒子、および(B)重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、または重合性基を有するリン酸エステル化合物を含む材料である。この材料はこれらの成分が含まれていればその形状に制限はなく、例えばペースト状であっても未硬化シート状であってもよい。以下、特に断らないかぎり、ペースト状材料を「ペーストA」、未硬化シート状材料を「未硬化シートA」、重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、または重合性基を有するリン酸エステル化合物を「化合物A」とし、本発明の材料がペースト状および未硬化シート状である場合について説明する。
本発明の材料は、ハイアスペクト比で微細加工が可能であり、硬化後の線膨張係数が金属の線膨張係数に近いものである。そのため、電子部品の絶縁層を形成するのに非常に適した材料である。本発明でいうハイアスペクト比の微細加工とは、加工されたパターンの高さが幅に比べて大きい形状のもの(アスペクト比が1より大きいもの)のことを言う。
ハイアスペクト比の絶縁層を形成できると、配線幅が狭くても配線厚さを厚くし断面積を大きくできるため、導体配線を3次元的に形成でき、立体的な電子部品を形成することができる。このため、このような電子部品を基板に実装する際に、実装面積を小さくすることができるというメリットがある。また、構造が3次元的になることで、2次元性が強いものにくらべ、中心から端までの距離が短くなるため、電子部品端部での温度変化による膨張の絶対値が小さくなり、熱変動による体積変化による応力発生が小さくなり、電子部品としての信頼性が高くなるというメリットがある。
例えば、電子部品としてインダクタを例に挙げると、インダクタは、基板上に形成した絶縁層をパターン加工によりスパイラル状にとり除き、取り除いた部分を銅などの金属などの導電材料で埋めることで作製できる。このようなインダクタ形成を行う場合に、あらかじめ基板上に導電層を形成しておき、その上に本発明の材料を用いて未硬化膜を形成し、パターン加工を行うことで絶縁層を形成するようにすると、電解めっきで絶縁層を取り除いた部分に容易に金属材料からなるスパイラル回路を形成することができる。そして、本発明の材料を用いれば、絶縁層のパターン加工のアスペクト比を大きくすることができるのであるから、絶縁層の厚さ方向に深く導電材料形成領域を形成することにより、スパイラルの面内方向の広がりを大きくすることなくスパイラル回路の断面積を大きくすることができる。その結果、スパイラル回路の配線抵抗を小さくでき、インダクタのQ値を大きくでき好ましい。
さらに、本発明の絶縁層形成用材料から製造した絶縁層やその他の絶縁層と配線層を多層に組み合わせて、より複雑な回路を形成することもできる。
本発明のペーストAおよび未硬化シートAにおいて、化合物Aは硫酸バリウム粒子を分散させる働きを有する。化合物A中のカルボキシル基またはリン酸エステル結合部位が硫酸バリウム粒子と相互作用することにより、化合物Aが硫酸バリウム粒子の表面を覆う。そして、硫酸バリウム粒子の表面を覆う化合物Aの重合性基は硫酸バリウム粒子の外側に向き、ペーストAおよび未硬化シートA中にある他の化合物などと親和して、硫酸バリウム粒子を安定に分散させると考えられる。
化合物A中の重合性基は、光または熱により、重付加反応やラジカル反応等によって重合を進めることができる有機基である。本発明のペーストAおよび未硬化シートAは、化合物Aが重合に関与するため、硬化が速やかにかつ確実に進行する。
本発明においては、化合物A自身が光や熱によって重合し、硬化物中のマトリックス樹脂となる。したがって、本発明で用いる化合物Aは硫酸バリウム粒子の分散剤としての機能と、マトリックス樹脂としての機能を併せ持つものである。重合性基を持たない分散剤により硫酸バリウムを、マトリックスを形成するための重合性基を有する樹脂中に分散させた場合は、マトリックス樹脂が重合する際に、硫酸バリウム粒子が移動して集まり、分散性が低下することが考えられる。これに対し、本発明のペーストAおよび未硬化シートAにおいては、化合物Aが硫酸バリウム粒子を捕捉した状態で重合するため、硬化物中においても硫酸バリウム粒子の分散性を良好に保つことができる。このため、硬化物の機械強度が均一となり、かつ表面平坦性が良好となる。
さらに、ペーストAおよび未硬化シートAの化合物Aを光により硬化させることで、フォトリソグラフィー法によるパターン加工を行うことができる。この場合、露光部では化合物Aが硫酸バリウム粒子を捕捉した状態で重合するため、硫酸バリウム粒子を起点とした強固なネットワークが形成され、現像時の露光部の膨潤や溶解が抑えられるので、明瞭なパターン形状を実現できる。
化合物Aの重合性基は、硫酸バリウム粒子を良好に分散させる目的から、未硬化シートAに含まれる他の化合物との親和性が良好なものが好ましい。これらのものとしては、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、エポキシメタクリレート基、エポキシ基などが挙げられる。
化合物Aは、前記重合性基とともにカルボキシル基を有する。化合物Aのカルボキシル基が硫酸バリウム粒子と相互作用することにより、化合物Aが硫酸バリウム粒子の表面を覆い、硫酸バリウム粒子を分散させることができる。また、本発明のペーストAおよび未硬化シートA中の化合物Aを光により硬化させてフォトリソグラフィー法によるパターン加工を行う場合、化合物Aが極性の高いカルボキシル基を有するため、現像液への溶出が速やかであり、未露光部における現像時の残渣を低減することができる。
本発明に用いられる化合物Aは、下記一般式(1)で示されるものが好ましい。
Figure 0005256921
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を示す。
Figure 0005256921
一般式(2)〜(4)において、nおよびmはそれぞれ1〜3の整数である。
一般式(1)における重合性基は、Rが水素原子の場合はアクリレート基であり、Rがメチル基の場合はメタクリレート基である。アクリレート基またはメタクリレート基は不飽和結合を有し、光照射や加熱によりラジカル重合をさせることが可能である。光によりラジカル重合をさせる際に、フォトマスクを介して光を照射するフォトリソグラフィー法を適用して、配線パターンなどを形成することができる。Rが水素原子であるアクリレート基の方が、重合性がより良好となり好ましい。
一般式(2)〜(4)におけるnおよびmは、その数が小さいと単位重量当たりの重合性基およびカルボキシル基の数が多くなるため、重合性がより良好となり、かつ、硫酸バリウム粒子の分散性が向上する。一方、nおよびmの数が大きいと化合物Aが硫酸バリウム粒子に配位したときの立体障害となる効果が大きくなるため、分散性が向上する。よって、nおよびmは炭素数が2のエチレン基であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中でも、Rが水素原子でありRが一般式(4)で表される2価の基である化合物が好ましく、その場合、上記の理由からnは2であることがより好ましい。この化合物を用いると、重合性および現像性がより良好となる。また、硫酸バリウム粒子の分散性がより良好となり、分散した硫酸バリウムの平均粒子径をより小さくすることができる。このため、ペースト組成物を塗布乾燥した膜や未硬化シートに対し、露光時に照射された光が、殆ど乱反射や散乱されずに膜厚方向の深いところまで届き、ハイアスペクト比のパターン加工が可能となる。
本発明に用いられる一般式(1)で表される化合物Aの具体例としては、共栄社化学(株)製の“HOA−MS”(商品名、一般式(1)におけるRが水素原子であり、Rが一般式(2)で表されるものであり、n、mは共に2である。)、“HOA−HH”(商品名、一般式(1)におけるRが水素原子であり、Rが一般式(3)で表されるものであり、nは2である。)、“HOA−MPL”(商品名、一般式(1)におけるRが水素原子であり、Rが一般式(4)で表されるものであり、nは2である。)が挙げられる。
一方、下記一般式(5)で示される化合物Aも好ましく用いられる。
Figure 0005256921
一般式(5)において、R〜Rは下記一般式(6)〜(10)のいずれかで表される1価の基または水素原子を示し、R〜Rは同じでも異なっていてもよい。ただし、R〜Rの全部が水素原子になることはない。
Figure 0005256921
一般式(6)〜(10)において、R〜Rは水素原子またはメチル基を示す。R10〜R11は炭素数1〜10の2価の基であり、好ましくは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数2個のアルキル基である。R12は水酸基を有する炭素数1〜10の2価の基であり、好ましくは下記一般式(13)〜(15)で示される有機基である。
Figure 0005256921
一般式(5)で表される化合物Aにおいて、R〜Rのいずれか2つが水素原子であるリン酸モノエステルが、R〜Rのいずれか1つが水素原子であるリン酸ジエステルよりも、硫酸バリウム粒子の分散性を向上させるので好ましい。また、リン酸ジエステルが、R〜Rのいずれも水素原子を含まないリン酸トリエステルよりも、硫酸バリウム粒子の分散性を向上させるので好ましい。
一般式(6)〜(9)で表される1価の基はアクリレート基またはメタクリレート基を持っており、光照射や加熱によりラジカル重合を行うことが可能である。また、一般式(10)で表される1価の基は光照射や加熱によりイオン重合をさせることが可能である。R〜Rが水素原子であるアクリレート基の方が、重合性がより良好となり好ましい。
一般式(8)〜(10)のR10〜R12における炭素数は、その数が少ないと単位重量当たりの重合性基およびリン酸エステル結合部位の数が多くなるため、重合性がより良好となり、かつ、硫酸バリウム粒子の分散性が向上する。また、R10〜R12における炭素数が多いと化合物Aが硫酸バリウム粒子に配位したときの立体障害となる効果が大きくなるため、分散性が向上する。よって、R10〜R12における炭素数は1〜4であることが好ましい。
特に、一般式(5)で表される化合物の中でも、R〜Rの少なくとも1つが一般式(8)で表される1価の基であることが好ましく、その場合、R10が炭素数が1〜3である2価の炭化水素基であることがより好ましい。また、一般式(5)のR〜Rの少なくとも1つが一般式(9)で表される1価の基であり、一般式(9)のR12が水酸基を有する炭素数が2〜3である2価の炭化水素基であることが好ましい。
本発明で用いる一般式(5)で表される化合物Aの具体例としては、共栄社化学(株)製の“ライトアクリレートP−1A”(商品名、アクリレート基を有するリン酸モノエステル)、共栄社化学(株)製の“ライトエステルP−1M”(商品名、メタクリレート基を有するリン酸モノエステル)、“ライトエステルP−2M”(商品名、メタクリレート基を有するリン酸ジエステル)、ダイセル・サイテック(株)製のRDX63182(エポキシアクリレート基を有するリン酸ジエステル)が挙げられる。本発明で用いる化合物Aは1種類でもよく、また複数種用いてもよい。
硬化物中の分散剤は硬化物の線膨張率を大きくさせることがある。このため、分散剤含有量はできる限り少量にすることが好ましいとされていた。本発明においては、硫酸バリウム粒子の分散性にも寄与する化合物A自身が重合し、硬化するか、後述する樹脂との重合に関与するため、線膨張率を増大させることを抑えることができる。
上述したように、本発明のペーストAおよび未硬化シートAは、化合物Aが重合して硬化物中のマトリックスを形成するが、その他にもマトリックスを形成する樹脂を含有してもよい。このとき用いられる樹脂として、ポリアミック酸、ビニル樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シロキサン樹脂などの、重合性基を有する熱硬化型あるいはUV硬化型の樹脂が挙げられる。また、アラミド樹脂、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミドなどの、熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数種を適当な比にて用いてもよい。
プロセス中で耐熱性などが要求される用途では、上記樹脂の中でも、熱硬化型樹脂やUV硬化型樹脂など重合性基を有する樹脂が好ましい。また、ペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物を光透過性が要求される用途に用いる場合は、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂、シロキサン樹脂などが好適に用いられる。
本発明において、熱硬化型樹脂あるいはUV硬化型樹脂が有する重合性基同士を重合させてもよいし、あるいはこれらの樹脂が有する重合性基と化合物Aの重合性基とを重合させてもよい。本発明の硬化物中に形成される重合体は、(a)化合物Aからなる重合体、(b)化合物Aと樹脂との重合体、あるいは(c)樹脂のみからなる重合体といった様々な形態の重合体があり、これらの重合体に分散した状態で存在する硫酸バリウム粒子を有する。なお、特に断らないかぎり、ペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物に存在する上記の(a)〜(c)の各重合体を単に「重合体」という。
ペーストAおよび未硬化シートA中に含有する化合物A、樹脂、重合促進剤などの組成によって、ペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物中での重合体は、上記(a)〜(c)のいずれか1つの態様であったり、これらが混在した態様であったりする。
例えば、化合物Aの重合性基がアクリレート基であり、樹脂の重合性基もアクリレート基である場合、硫酸バリウム粒子の近傍には化合物Aが多く存在するため、(a)の重合体が多く、硫酸バリウム粒子から離れた領域では(c)の重合体が多く、これらの中間の領域で(b)の重合体が存在する。また、他の一例として、重合性基がアクリレート基である化合物Aと重合性基がエポキシ基である樹脂を含有するペーストAおよび未硬化シートAから、(a)の重合体と、(c)の重合体からなる硬化物を製造することができる。また、樹脂を複数種用いた場合は、例えば、重合性基がアクリレート基である化合物Aと、重合性基がエポキシアクリレート基である樹脂と、重合性基がエポキシ基である樹脂を用いて、これら3成分を共重合させ、(b)の重合体を得ることもできる。
先に例示した化合物Aの屈折率は“HOA−MS”が1.46、“HOA−HH”が1.48、“HOA−MPL”が1.52である。また、“ライトアクリレートP−1A”が1.47、“ライトエステルP−1M”が1.47、“ライトエステルP−2M”が1.47、RDX63182が1.54である。硫酸バリウムとの屈折率が近い“HOA−MPL” やRDX63182を使用するとペーストAおよび未硬化シートAの光透過性が良好となりやすくハイアスペクト比でのフォトリソグラフィー加工が行いやすく好ましい。
本発明のペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物を耐熱性と光透過性が要求される用途に用いる場合、上記の熱硬化型樹脂あるいはUV硬化型樹脂が有する重合性基としてはエポキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシアクリレート基、エポキシメタクリレート基、などが好ましい。ただし、エポキシ樹脂などをカチオン重合させる場合、カチオン活性種が硫酸バリウム粒子に吸着し、重合反応が遅くなることがある。したがって、ラジカル重合に適したアクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシメタクリレート樹脂が好ましい。光学材料として用いる場合は、上記のように硫酸バリウム粒子との屈折率が近いものが好ましく、例えば、下記式(11)で表されるアクリレート樹脂(屈折率:1.55)、または、下記式(12)で表されるエポキシアクリレート樹脂(屈折率:1.56)などが挙げられる。ペーストAおよび未硬化シートAを用いてフォトリソグラフィー法によるパターン加工を行う場合は、樹脂として下記式(11)で表される樹脂を選択すると、現像時の未露光部の残渣を低減することができ好ましい。一方、樹脂として下記式(12)で表される樹脂を選択すると、ペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物の屈折率の温度依存性や線膨張率を小さくすることができ好ましい。
Figure 0005256921
本発明のペーストAおよび未硬化シートAにおいて、化合物Aの含有量は、硫酸バリウム粒子100重量部に対して5重量部以上20重量部以下であることが好ましい。化合物Aの硫酸バリウム粒子に対する含有量が5重量部以上であると、硫酸バリウム粒子の分散性を高め、硫酸バリウム粒子の分散粒子径を小さくすることができ、露光時に光が膜厚方向に奥深くまで入り、ハイアスペクト比のパターン加工が容易になる。一方、化合物Aと硫酸バリウムの屈折率差を考慮すると、化合物Aの硫酸バリウム粒子に対する含有量が20重量部以下であると、露光時に光が膜厚方向に奥深くまで入り、ハイアスペクト比のパターン加工が容易になる。
また、本発明のペーストAおよび未硬化シートAにおいて、化合物AのペーストAおよび未硬化シートA全体に対する好ましい含有量は、硬化させて得られる重合体が化合物Aのみからなる場合と、化合物Aと樹脂からなる場合によって異なる。例えば、硬化物中の重合体が、化合物Aが単独で重合し硬化する(a)の態様のみの場合、化合物Aの含有量は特に限定されないが、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して20重量%以上70重量%以下であることが好ましい。化合物Aの含有量が、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して20重量%以上であると、得られる硬化物の耐クラック性や基板との接着性が向上し、凝集破壊に対する耐性も高くなる。化合物Aの含有量が、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して30重量%以上であると、これら効果がより高まりさらに好ましい。化合物Aの含有量が、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して70重量%以下であると、得られる硬化物の温度による屈折率変化率や線膨張率をより小さくすることができる。化合物Aの含有量が、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して50重量%以下であると、これら効果がより高まりさらに好ましい。
他方、硬化物中の重合体が(b)や(c)の態様を含む場合、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して、化合物Aと樹脂の含有量の和は20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。また、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対して、化合物Aと樹脂の含有量の和は70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。この範囲であると好ましい理由は上記(a)の態様における理由と同様である。化合物Aと樹脂の混合比は、製造すべき化合物Aと樹脂との重合体の組成比に合わせて任意に設定することができるが、化合物Aの含有量が、硫酸バリウム粒子に対して1重量%以上であると、硫酸バリウム粒子の分散性を高めることができ好ましい。
また、重合性基を有する樹脂を用いる場合は、化合物Aと樹脂との重合特性を考慮して、これらの混合比を設定することが好ましい。すなわち、(b1)化合物Aと重合性基を有する樹脂がそれぞれ単独で重合する場合と、(b2)1つの化合物Aを起点に重合性基を有する樹脂が鎖状に重合する場合、(b3)化合物Aと重合性基を有する樹脂が交互に重合する場合では、化合物Aと重合性基を有する樹脂との混合比は異なる。例えば、上記(b3)の態様の一例である、重合性基がエポキシアクリレート基である化合物Aとエポキシ樹脂とを交互に重合させる場合は、両者の重合性基を同数にすることが好ましい。
本発明のペーストAおよび未硬化シートAは、化合物Aや樹脂の重合を促進するために、ラジカルやカチオン、アニオンなどの活性種を発生する重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤としては、光照射や加熱処理により活性化するものがあり、用途に応じて使い分けることが可能である。ペーストAおよび未硬化シートAをフォトリソグラフィー法によりパターニングをする場合は、光照射により活性化する重合促進剤を用いる。UV光照射によりラジカルを発生する重合促進剤としては、オキシム系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系などが挙げられる。また、UV光照射によりカチオンを発生する重合促進剤としては、ホスフォニウム系、スルフォニウム系、ヨードニウム系などが挙げられる。
本発明のペーストAおよび未硬化シートAは、平均粒子径1nm以上40nm以下の硫酸バリウムを含有する。なお、本発明における平均粒子径とは、数平均粒子径を指す。ペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子は、凝集が完全にほぐれた1次粒子の状態にあるものと、複数個の1次粒子が凝集した状態にあるものが存在する。ここで、ペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の粒子径とは、凝集していない1次粒子はその粒子の粒子径であり、1次粒子が凝集したものはその凝集体の粒子径である。分散した硫酸バリウム粒子の平均粒子径が40nm以下であるペーストAおよび未硬化シートAを製造するためには、使用する硫酸バリウム粒子の1次粒子の平均粒子径は40nm以下である必要がある。これを満たすものとして例えば堺化学工業(株)製のBF−40(平均1次粒子径10nm)が挙げられる。ペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の平均粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、粒子径の数平均を計算する方法が挙げられる。このとき、ペーストAおよび未硬化シートAを熱処理または光照射することにより硬化物を作製してから観察を行うことが好ましい。なお、この硬化過程においてペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の数平均粒子径は変化しないため、硬化物中の硫酸バリウム粒子の数平均粒子径は、ペーストAおよび未硬化シートA中での硫酸バリウム粒子の数平均粒子径と等しい。
ペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の平均粒子径が40nm以下であると、ペーストAおよび未硬化シートAおよび硬化物の各形態において、均質性が向上し、誘電率などの電気物性の斑が無くなる。ペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の平均粒子径が40nm以上であると、露光時に露光に用いる光が膜中で散乱されやすくなり、ハイアスペクト比の加工が困難になったり、露光条件やそれと連動する現像条件の加工マージンが非常に狭くなるということが起きる。さらに、ペーストAおよび未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の平均粒子径が30nm以下であると、露光時に照射された光が、殆ど散乱されずに膜厚方向のより深いところまで届き、よりアスペクト比の大きなパターン加工が可能となる。
一方、硫酸バリウム粒子の粒子径が1nm以上であると、粒子の体積に対する比表面積が小さくなるため、粒子の分散性は良好となる。硫酸バリウム粒子の数平均粒子径が5nm以上であると、この効果はさらに大きくなる。
本発明では、ペーストAおよび未硬化シートAの硫酸バリウム粒子の含有量は、固形成分に対して、30重量%以上80重量%以下であることが好ましい。ペーストAおよび未硬化シートAの固形成分に対する硫酸バリウム粒子の含有量が30重量%以上であると、ペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物の線膨張率が低減する。ペーストAおよび未硬化シートAの固形成分に対する硫酸バリウム粒子の含有量は、より好ましくは50重量%以上である。ペーストAおよび未硬化シートAの固形成分に対する硫酸バリウム粒子の含有量が80重量%以下であると、耐クラック性や基板との接着性が向上し、凝集破壊に対する耐性も高くなる。また、フォトリソグラフィー法によるパターン加工を行った場合に、現像時の未露光部の残渣が低減するため、より好ましくはペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対する硫酸バリウム粒子の含有量は70重量%以下である。
本発明のペーストAおよび未硬化シートAはシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤を含有することにより、フォトリソグラフィー法によるパターン加工において露光部のパターンの細りや剥がれを低減し、クラックの発生を抑制できるため、明瞭なパターン形状を実現できる。また、未露光部の残渣をより低減することもできる。一般に、シランカップリング剤には無機材料と有機材料との接着性を向上させる効果があることが知られている。本発明においても、組成物中の樹脂成分と無機成分との接着性や、組成物中の樹脂成分とシリコンウェハなどの無機基板との接着性を向上させ、フォトリソグラフィー法によるパターン加工において露光部のパターンの細りや剥がれを低減し、クラックの発生を抑制するという効果が期待できる。一方、フォトリソグラフィー法によるパターン加工における未露光部の残渣を低減する効果に関しては、以下のような理由が考えられる。未露光部に現像液が接触すると、樹脂や化合物Aなどが溶出し、また、化合物Aに捕捉された硫酸バリウム粒子も溶出する。現像時に化合物Aが硫酸バリウム粒子から脱離すると、表面がむき出しになった硫酸バリウム粒子が互いに凝集し、その近傍の樹脂なども凝着し、現像残渣となる。しかし、シランカップリング剤が存在すると、シランカップリング剤が無機成分である硫酸バリウム粒子と有機成分である化合物Aの結合力をより強固にするため、現像時の硫酸バリウム粒子の分散性が保たれ、組成物が速やかに溶出し、残渣が生じにくくなる。
シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが好ましい。また、ペーストAおよび未硬化シートAのシランカップリング剤の含有量は、固形成分に対して、0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。ペーストAおよび未硬化シートAの固形成分に対するシランカップリング剤の含有量が0.1重量%以上であると、上記シランカップリング剤による十分な効果が得られる。また、上記列挙したものを始め一般のシランカップリング剤は屈折率が1.45以下であり、硫酸バリウム粒子との屈折率差が大きい。したがって、ペーストAおよび未硬化シートA中の固形成分に対するシランカップリング剤の含有量が10重量%以下であると、レイリー散乱が低減し光透過性を向上させることができ好ましい。
また、本発明のペーストAおよび未硬化シートAは、化合物A以外の分散剤を含有してもよい。化合物A以外の分散剤の含有量は、硫酸バリウム粒子100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下であることが好ましい。化合物A以外の分散剤の含有量が、5重量部以上であれば、硫酸バリウム粒子の分散性を向上させる効果が顕著であり、20重量部以下であれば、ペーストAおよび未硬化シートAから得られる硬化物の温度による屈折率変化率や線膨張率が小さくなる。
本発明の未硬化シートAを製造するための基材にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをキャリアとして用いることができる。PETフィルムとしてはその表面を離型処理したもので、その離型材がシリコーン樹脂であるものが好ましい。また、PETフィルムの厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、30〜80μmの範囲であることが好ましい。
また、本発明の未硬化シートAは、未硬化膜を保護するために、膜上にカバーフィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から未硬化膜表面を保護することができる。
本発明の未硬化シートAは、PETフィルムと粘着テープの剥離強度が74N/m以上114N/m以下が好ましい。剥離強度が74N/m以上であれば、未硬化シートAをPETフィルム上に形成する際に、均一な膜厚が得られやすく、ピンホールを防止することができる。また、剥離強度が114N/m以下であれば、ペーストAおよび未硬化シートAの表面状態を損なうことなく、PETフィルムを容易に剥離することができる。ここで、剥離強度は、テンシロンを用いて測定することができる。PETフィルムと粘着テープとの接合面の面幅中央部、端部から約20mm部にそれぞれ粘着テープ(日東電工製 31Bテープ 25mm幅)をゴムローラーを用いて貼り付ける。貼り合わせ後、10〜15分間放置(温度20±2℃、湿度65±5%RH)した後、テンシロンを用いて剥離速度200mm/分で粘着テープの剥離強度を測定し、PETフィルムと粘着テープとの剥離強度とする。PETフィルムへの塗布方法としては、バーコーターを用いる。有機溶媒を除去する方法としては、オーブンやホットプレートによる加熱の他、真空乾燥、赤外線やマイクロ波などの電磁波による加熱などが挙げられる。ここで、有機溶媒の除去が不十分である場合、次の硬化処理により得られる組成物が未硬化状態となったり、熱機械特性が不良となったりすることがある。
次に、本発明のペーストAおよび未硬化シートAの製造方法について詳細に説明する。未硬化シートAは、ペーストAを用いて製造することができるため、まずペーストAの製造方法について説明する。
まず、硫酸バリウム粒子を有機溶媒中で分散した分散液の製造方法を示す。平均1次粒子径が40nm以下の硫酸バリウム粒子(2次粒子、凝集状態のものを含む)、化合物A、有機溶媒、および必要に応じて他の樹脂やpH調整剤、重合禁止剤などを所定の分量で混合し、攪拌する。混合直後は、硫酸バリウム粒子の表面を空気の層が覆っているため、硫酸バリウム粒子と有機溶媒との濡れが十分でなく、粘度が増加する場合がある。その場合は、硫酸バリウム粒子と有機溶媒が完全に濡れるまで、回転羽根などで時間をかけて攪拌することが好ましい。
硫酸バリウム粒子を混合する際に、目的の硬化物製造のために必要な樹脂の全量を、あるいはその一部を加えてもよい。分散処理後に樹脂を加える場合と比較して、分散処理前に樹脂を加える場合では、樹脂と硫酸バリウム粒子とを均一に混合することができる。一方で、分散液の粘度が上がり分散処理の効率が悪くなる、あるいは分散処理後の分散液の保存安定性が悪くなるなどのことが生じる場合がある。化合物Aに関しても分散処理前に必要量を全量入れてもよいし、分散処理前には必要量の一部を入れておき、分散処理後に残りの量を加えてもよい。また、分散処理中の分散液の粘度などの性状を測定しながら、徐々に化合物Aやその他の物質を加えることもできる。
また、目的の硬化物を製造するために必要な重合促進剤、消泡剤、酸化防止剤、重合禁止剤、可塑剤、シランカップリング剤などを添加してもよい。ただし、重合促進剤などは、分散液の保存安定性の観点から、ペーストAを製造する直前に添加することが好ましい。
硫酸バリウム粒子(2次粒子、凝集状態のものを含む)、化合物A、有機溶媒、および他の必要な物質を混合、攪拌した後、分散装置にて硫酸バリウム粒子の分散処理を行う。
分散装置としては、例えば、寿工業(株)製の“ウルトラアペックスミル”(商品名)やアシザワ・ファインテック(株)製の“スターミル”(商品名)などのビーズミルが挙げられる。ビーズミルで使用するビーズの平均粒子径は0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましい。ビーズの平均粒子径が0.5mm以下である場合、ビーズミル内で硫酸バリウム粒子とビーズとが接触する頻度が高いため、十分な分散効果が得られる。一方、ビーズの平均粒子径が0.01mm以上である場合、個々のビーズの持つ運動量が大きいため、凝集した硫酸バリウム粒子を分散するのに十分なせん断応力が得られる。
ビーズとしては、セラミックやガラス、金属製のものなどが使用できる。ビーズの材質としては、例えば、ソーダガラス、石英、チタニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、スチール、ステンレスなどが挙げられる。これらの中でも特に硬度が高いジルコニアビーズが好適に使用できる。
ビーズミルによる分散は小さいビーズを用いた一度の処理で実施してもよく、段階的にビーズの大きさを変えて実施してもよい。例えば、まず粒子径が0.5mmのビーズを用いて硫酸バリウム粒子の分散粒子径が100nm程度になるまで分散処理を行ってから、次に、より微小なビーズを用いて分散処理を施してもよい。
分散処理に費やす時間は硫酸バリウム粒子や、化合物A、有機溶媒などの分散液を構成する物質の種類や組成比により適宜設定する。また、一定時間ごとに分散液をサンプリングし、分散液中での硫酸バリウム粒子の平均粒子径を測定することは、分散状態の経時変化を把握でき、分散処理の終了を判断することができるので好ましい。分散液中の硫酸バリウム粒子の粒子径の測定装置としては、動的光散乱方式であるシスメックス(株)製の“ゼータサイザーナノZS”(商品名)が挙げられる。 次に、上記方法で得られた分散液と、樹脂などを混合し、ペーストAを製造する方法について説明する。ただし、分散液製造時に目的の硬化物を製造するために必要な物質を全て混合している場合は、上記方法で得られた分散液がペーストAとなる。
硫酸バリウム粒子の分散液に樹脂を混合する場合は、分散液中の化合物Aなどの組成に応じて混合する樹脂の種類や混合量を選定する。本発明で得られる硫酸バリウム粒子を分散したペースト組成物を用いて電子部品を製造する場合は、化合物Aや樹脂の屈折率が硫酸バリウム粒子の屈折率(1.6)と近い値であると、ハイアスペクト比のフォトリソグラフィー加工ができ好ましい。前記分散液と樹脂を混合する際は、樹脂中に分散液を所定量となるまで注入してもよいし、分散液中に樹脂を所定量となるまで注入してもよい。ペーストA製造時に化合物Aをさらに加え組成調整することもできる。
所定量の分散液と樹脂などを混合して得られたペースト組成物に対し、さらに均質になるようにするために、ボールミルやロールミルを用いた処理を行うことができる。また、混合処理によりペースト組成物中に気泡が混入した場合は、静置する、減圧下に置く、あるいは攪拌脱泡機を用いるなどして気泡を除去すると、ペースト組成物を用いて製造する硬化物中への気泡の混入を避けることができる。
ペーストAの粘度を調整するために、さらに有機溶媒を添加したり、加熱や減圧により有機溶媒を適量除去してもよい。また、加熱処理や光照射により化合物Aや樹脂の重合反応を適度に進行させてもよい。
次に本発明の未硬化シートの作製方法の例について説明する。上記のようにして製造したペーストAをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、有機溶剤を除去し、未硬化シートを作製する。PETフィルムへの塗布方法としては、バーコーターを用いる。有機溶媒を除去する方法としては、オーブンやホットプレートによる加熱の他、真空乾燥、赤外線やマイクロ波などの電磁波による加熱などが挙げられる。ここで、有機溶媒の除去が不十分である場合、次の硬化処理により得られる組成物が未硬化状態となったり、熱機械特性が不良となったりすることがある。また、ペーストAの固形分濃度が低く、所望する膜厚の未硬化シートを作製できない場合は、有機溶媒除去後の未硬化シートを2枚以上貼り合わせても良い。
次に、本発明の未硬化シートの貼り付け方法と硬化方法の例について説明する。まず、未硬化シートを基板にラミネートする。ラミネーターを使用してもホットプレート上で加熱した基板にゴムローラーを用いて手動でラミネートしても良い。ラミネート後、十分に冷却してからPETフィルムを剥離する。
用いたペーストAおよび未硬化シートA中の化合物Aあるいは樹脂の硬化機構に応じて、加熱処理や光照射などによりペーストAおよび未硬化シートAの硬化反応を進行させる。この場合、光照射後に加熱処理をするなど硬化を完全に進めるために複数の処理を組み合わせてもよい。また、加熱処理を100℃以上の環境下で行う場合は、窒素などの不活性雰囲気下での処理とすると、重合体の酸化を抑制するので好ましい。また、酸素により活性が失われるラジカルを発生させる重合促進剤を用いた組成で光照射により硬化を行う場合も、窒素などの不活性雰囲気下での処理とすると、重合を阻害しないので好ましい。
フォトリソグラフィー法によりパターン加工を行う場合は、基板上に作製した未硬化膜をパターンに対応した必要部分のみ光を通すように設計されたマスクを介して、未硬化シートの硬化波長帯に対応した光を照射する。光源としては超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、ヘリウム−ネオンレーザー、YAGレーザーなどが挙げられる。露光装置としては、超高圧水銀灯露光装置PEM−6M(ユニオン光学(株)製)などが挙げられる。ペーストAおよび未硬化シートAの硬化機構がラジカル重合である場合は、ラジカル反応種が酸化により失活することを防ぐために、窒素雰囲気下での露光処理をすることが好ましい。また、パターンの解像度を高めるために、露光装置の照射光の平行度を高くする方が好ましく、さらに、マスクによる回折光の影響を低減するために、マスクと基板を接触させる、またはマスクと基板とのギャップを小さくすることが好ましい。
露光時に照射光がペーストAおよび未硬化シートA内部で散乱することにより、パターンエッジが歪むことがある。この場合は、紫外線吸収剤をペーストAおよび未硬化シートA中に添加しておくと紫外線吸収剤が露光部から漏れ出る微弱光を吸収して散乱を抑えるため、パターンエッジをシャープに保つことができるので好ましい。ペーストAおよび未硬化シートA内部の散乱は硫酸バリウム粒子からのレイリー散乱によるものが大きく、短波長の光ほど、その散乱は大きい。よって、短波長の光を選択的に吸収する紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。また、光源とマスクとの間に短波長光をカットするフィルターを挿入することにより、散乱を抑えることも可能である。
露光後に硬化反応をさらに進行させるため、一定時間、基板を室温で保存したり、熱処理を行うこともできる。露光処理後、基板を現像液に浸し、露光していない部分の未硬化膜を除去し、硬化物のパターンが形成された基板を洗浄し乾燥させる。硬化反応を進めるために、さらに加熱処理をしてもよい。
本発明のペーストAまたは未硬化シートAを用いた電子部品の製造方法の例について説明する。ガラスエポキシ、シリコンウェハ、ガラス、セラミックスなどの基板上に、ペーストAを塗布し乾燥させるか、未硬化シートAをラミネートするかし、基板上に未硬化膜を形成する。未硬化シートAのラミネートにはラミネーターを用いてもホットプレート上でゴムローラーを用いて手動でラミネートしても良い。より高速でボイドの噛み込みのないラミネートを実現するには真空ラミネーターを用いるのが好ましい。続いて、フォトリソグラフィーによりパターン加工を行い、必要に応じてパターン加工後に熱処理を行い絶縁層を形成する。
本発明の電子部品は、基板上に絶縁層と配線などの導体材料を積層して製造することができるが、剥離や溶解などにより基板を取り除いたものを最終製品としても良い。この場合、基板上にあらかじめ剥離層、溶解性の犠牲層などを形成したものや、基板の構造上最表面がそういう機能を有しているもの、基板そのものが溶解性のものを用いることができる。このような剥離性の材料としては、UV硬化や熱硬化により接着力が大きく低下する接着剤、シリコーン樹脂などからなる微粘着性の接着剤が挙げられ、溶解性のものとしては、銅などの金属、ガラス、金属酸化物などが上げられる。
ペーストAを用いて絶縁層を形成する方法は、特に限定されないが、スクリーン印刷、スプレーコートによる方法、ブレードコーター、ダイコーター、スピンコーター、インクジェット装置、でディスペンサーなどの装置を用いた塗布方法と乾燥、硬化の工程よるものを挙げることができる。
未硬化シートAを形成する方法としては特に限定されず、例えば、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーターなどの装置を用いて、ペースト組成物をフィルム上に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また実施例で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて以下に示す。
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
THFA:テトラヒドロフルフリルアルコール
硫酸バリウム粒子の分散液、ペーストA、未硬化シートAから得られる硬化物の各特性の測定方法は以下の通りである。
<分散液製造前の凝集した原料硫酸バリウム粒子の平均粒子径の測定方法>
以下のように光学顕微鏡を用いて測定した。粒子をガラスなどの透明板上に載せ、粒子が載った透明板を光学顕微鏡の観察ステージ上に置いた。透明板の下側から光を当て、その透過光像を光学顕微鏡の接眼レンズ部の代わりに取り付けたCCDカメラADP−240M((株)フローベル製)を介してデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフトFlvFs((株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。
<分散液中の硫酸バリウム粒子の平均粒子径の測定方法>
カーボン蒸着したコロジオン膜上に、分散液を滴下し、有機溶媒を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡H−7100FA(日立製作所(株)製)にて硫酸バリウム粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフトFlvFs((株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
<未硬化シートA中の粒子の平均粒子径の測定方法>
未硬化シートを熱処理または光照射することにより硬化膜を作製した。超薄切片法によってこの硬化膜の試料薄膜(約100nm)を作製した。透過型電子顕微鏡H−7100FA(日立製作所(株)製)にて粒子を観察した。加速電圧は100kVとした。観察像はデジタル画像としてコンピューターに取り込み、画像処理ソフトFlvFs((株)フローベル製)にて、観察された任意の100個の粒子に対し、球形近似したときの粒子径を求め、数平均粒子径を算出した。なお、1次粒子が凝集して存在する場合は、凝集体としての粒子径を測定した。
<硬化物の線膨張率の測定方法>
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製のTMA測定装置TMA/SS6100を用いて、窒素雰囲気中で、室温から120℃まで昇温し、再び室温まで降温したときの未硬化シートから得られる短冊状硬化物の寸法の変位を引っ張り荷重10mNで測定し、50℃から70℃における昇降温の平均の線膨張率を算出した。線膨張率の温度履歴を除去するために、昇降温を連続して2度繰り返し、2度目の測定結果を変位値として用いた。
<絶縁信頼性試験の方法>
ラインアンドスペースが10μm/10μmの銅櫛歯電極(図1)上に本発明の絶縁層形成用材料を形成し硬化させた後、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で電圧20Vを印加しつづけ1000時間の絶縁信頼性試験を行った。1000時間まで抵抗値10Ω以上を保持し続けた場合に評価結果を○とした。銅櫛歯電極には、0.4μm厚の熱酸化膜、さらにその上に0.8μmの窒化珪素膜を形成したシリコンウェハ上に、厚さ0.08μmのCr下地電極とその上に厚さ10μmの銅電極がパターン加工されたものを用いた。
<サーマルサイクル試験の方法>
各実施例および比較例で作成したスパイラルインダクタに対し、低温−45℃、高温100℃の往復で、一方の温度環境に30分間保持行った後に他方の温度に移動させるというサーマルサイクル気相法でサーマルサイクル試験を行い、絶縁層の剥離、割れなどの発生の有無を確認した。絶縁層に剥離や割れなどの異常が見られなかったものを○、剥離や割れなどの異常が見られたものを×とした。
<分散液の製造>
分散液A〜Mを次のように製造した。硫酸バリウム2次粒子BF−40(堺化学工業(株)製、平均2次粒子径15μm、平均1次粒子径10nm)と分散剤、有機溶媒を、表1に示す各混合量で混合し、ホモジナイザー“エクセルオート”(商品名、(株)日本精機製作所製)にて、回転刃先端の周速5m/sで1時間処理し、硫酸バリウム粒子を分散した。
次いで、ホモジナイザーにて処理した上記の分散液を、ビーズミルである“ウルトラアペックスミルUAM−015”(商品名)(寿工業(株)製)を用いて分散処理した。ビーズは材質がジルコニアであり、平均粒子径は0.05mm((株)ニッカトー製、YTZボール)、投入量は400gとした。また、ビーズミルのローターの周速は9.5m/sとし、送液圧力は0.1MPaとした。分散処理時間は分散液A〜Mは10時間とし、分散処理終了後に液を回収し硫酸バリウム粒子の分散液を得た。分散終了時の分散液中の硫酸バリウム粒子の平均粒子径を表1に示す。
表1中、分散剤として使用した“HOA−MPL”(商品名)、“HOA−HH”(商品名)は共栄社化学(株)製であり、重合性基およびカルボキシル基を有する化合物である。また、“ライトエステルP−1M”(商品名、共栄社化学(株)製)および“RDX63182”(商品名、ダイセル・サイテック(株)製)は重合性基を有するリン酸エステル化合物である。また、“Disperbyk−111”(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)は重合性基を有していないリン酸エステル化合物である。
Figure 0005256921
実施例1
分散液Aを9.8gと前記式(11)で表される樹脂5g、オキシム系のUV活性型重合促進剤OXE02(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1g、シランカップリング剤“KBM403”(商品名、信越化学工業(株)製、化学名:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.2gをボールミルを用いて混合し、ペースト組成物を製造した。なお、このペースト組成物において有機溶媒を除いた固形成分中の硫酸バリウム粒子の含有量は40重量%であった。
上記ペースト組成物をバーコーターを用いて、PETフィルム“SR−1”(商品名、大槻工業(株))(厚み38μm)上に塗布し、大気中でオーブンを用いて90℃で15分間乾燥し、乾燥後の膜厚が45μmと10μmの未硬化シートを製造した。いずれも透明なシートであった。
膜厚45μmのシートに対し、ラインアンドスペースが15μm/15μmの石英製ガラスマスクを用いてフォトリソグラフィーによるパターン加工性評価を行った。超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)を用いた40mJ/cmの紫外線露光(硬化)と現像を行った。現像液にはELM−D(三菱ガス化学(株)製)を用いた。ラインアンドスペースが15μm/15μmのパターン加工ができることを確認した。
また、このシートをラインアンドスペースが10μm/10μmの銅櫛歯電極(図1)上にラミネートし、超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)を用いて、50mJ/cmの紫外線で露光して硬化した後、絶縁信頼性試験を行ったところ、1000時間まで抵抗値10Ω以上を保持し続けた。
次にこのシートを用いて図2〜3に示すようなスパイラルインダクタを作製した。80℃のホットプレート上でFR−4ガラスエポキシ基板5上にゴムローラーを用いて厚さ10μmの未硬化シート6をラミネートした。未硬化シートの硬化処理として超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)を用いて、50mJ/cmの紫外線で露光し、硬化膜を得た。この硬化膜の上にスパッタリング法で厚さ0.2μmの銅層を形成し、これの上にさらに銅の総厚さが10μmとなるように銅の電解めっきを施し、銅層7を形成した。
銅層7の上に膜厚10μmの未硬化シート8をラミネートし、続いて石英製フォトマスクを用いて10μm径のビアを2個空けるように超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)を用いた40mJ/cmの紫外線露光(硬化)と現像を行った(図3(A))。現像液にはELM−D(三菱ガス化学(株)製)を用いた。この上全面に厚さ0.1μmの銅層7をスパッタリング法で形成した後、フォトレジストを用いたフォトリソグライーと塩化銅水溶液を用いた銅のエッチングにより6.5ターンのスパイラルを作製した。(図3(B))。この際、スパイラルの内側端と外側の引き出し端のそれぞれが下層のビア上に来るようにフォトレジストの露光時にアライメント調整を行った。
続いてこの上から膜厚45μmの未硬化シート10を上記と同様の方法でラミネートし、上記の6.5ターンのスパイラルの直上と、後の工程の電解銅めっきのための給電部の引き出し部4が未露光部となりパターンが抜けるように石英製フォトマスクを用いて超高圧水銀灯露光装置(ユニオン光学(株)製、PEM−6M)での40mJ/cmの紫外線露光(硬化)と現像を行い絶縁層を形成した(図3(C))。現像液にはELM−D(三菱ガス化学(株)製)を用いた。スパイラル部の除去された未露光部の幅は15μmで、絶縁層として残った部分の幅も15μmであった。
次に電解めっきによりパターン底部から銅を析出させ、絶縁層にスパイラル状に形成された溝部を銅で埋めるように配線11の回路形成を行った(図3(D))。
その後、厚さ15μmの取り出し電極3を設けた。取り出し電極の形成は、フォトレジストを用いて電極形成部のみを開口させた層を設け、その後スパッタリングにより厚さ0.2μmの銅層を形成した。続いてリフトオフによりフォトレジストと電極形成部以外の銅を除去した。その後再びフォトレジストを用いて電極形成部とのみを開口させた層を儲け、電解めっきで厚さ15μmとなるよう銅層を形成した。
このようにして形成したスパイラルインダクタの周波数2GHzにおけるインダクタンスとQ値を高周波プローブ(エヌピイエス(株)製、MTF−100−SP)とネットワークアナライザ(アジレントテクノロジーズ社製、E8364A)を用いて評価した。インダクタンスは7.5nH、Q値は20であった。また、前記の方法でサーマルサイクル試験を行ったところ、絶縁層に剥離や割れなどの異常は見られなかった。
実施例2〜46
表2に示す組成の未硬化シートAを実施例1と同様の方法で製造し、ペーストA中、未硬化シートA中の硫酸バリウム粒子の数平均粒子径の測定および現像性の評価を行った。また、これを用いて実施例1と同様の方法で物性値評価用硬化物を製造し、硬化物の線膨張率を測定した。また、実施例1と同様にして絶縁信頼性試験を行った。また、実施例1と同様にして製造したスパイラルインダクタのサーマルサイクル試験を行った。これらの結果を表2〜3に示した。なお、実施例31〜36においては、ペースト組成物を製造する際に、樹脂を加えずに分散液を製造したときに用いた化合物Aを追加して加えた。ここで、樹脂Aは上記式(11)で表されるものであり、樹脂Bは上記式(12)で表されるものである。また、シランカップリング剤“KBM503”(商品名)は信越化学工業(株)製であり、化学名は3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。なお、現像後の未露光部の基板表面に薄膜状の残渣が存在した実施例については、表3の現像性の欄に「未露光部に残渣あり」と記した。残渣は、ビア底部で電気的接続を行う場合は、接続不良の原因となることがある。
作製したスパイラルインダクタのインダクタンスは構造と配線抵抗に大きく依存するため、この点が同様であるため各実施例間で有意な差は無かった。
実施例47
ペースト組成物を実施例1と同様にして作製し、このペースト組成物を塗液として用いて絶縁層形成を行い、実施例1と同様のスパイラルインダクタ作製を行った。各工程での塗液による塗膜の乾燥は大気中でオーブンを用いて90℃で15分間行った。作製したスパイラルインダクタのインダクタンスは7.5nH、Q値は20であった。
比較例1
硫酸バリウム粒子として、平均粒子径0.3μmのもの(商品名:B30、堺化学工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして膜厚10μm、45μmの未硬化シートを作製した。いずれのシートも白濁した半透明なものであった。この膜厚45μmの未硬化シートを用いて、実施例1と同様にしてフォトリソグラフィーによるパターン加工性の評価を行った。適切な露光、現像条件の探索を行ったが、パターン形成ができなかった。
一方、膜厚10μmの未硬化シートではラインアンドスペースが15μm/15μmのパターン加工ができることが確認できたため、このシートをラインアンドスペースが10μm/10μmの銅櫛歯電極(図1)上にラミネートし、実施例1と同様にして絶縁信頼性試験を行ったところ、1000時間まで抵抗値10Ω以上を保持し続けた。また、膜厚10μmの未硬化シートを、実施例1の膜厚10μmと45μmの未硬化シート両方の代わりに用いて、実施例1と同様にして、スパイラルインダクタを作製した。作製したスパイラルインダクタのインダクタンスは5nH、Q値は10であった。また、前記の方法でサーマルサイクル試験を行ったところ、絶縁層に剥離および割れが見られた。
比較例2
6gのTHFAと、前記式(11)で表される樹脂5g、オキシム系のUV活性型重合促進剤OXE02(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1g、シランカップリング剤“KBM403”(商品名、信越化学工業(株)製、化学名:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.2gをボールミルを用いて混合し、樹脂溶液を製造した。この樹脂溶液を用いて膜厚10μm、45μmの未硬化シートを作製した。膜厚45μmの未硬化シートを用いて、実施例1と同様にしてフォトリソグラフィーによるパターン加工性の評価を行ったところ、ラインアンドスペースが15μm/15μmのパターン加工ができたが、シートの一部にクラックが発生した。このシートをラインアンドスペースが10μm/10μmの銅櫛歯電極(図1)上にラミネートし、実施例1と同様にして絶縁信頼性試験を行ったところ、1000時間まで抵抗値10Ω以上を保持することができなかった。
次に、膜厚10μm、45μmの未硬化シートを用いて、実施例1と同様にしてスパイラルインダクタを作製した。作製したスパイラルインダクタのインダクタンスは5nH、Q値は10であった。また、前記の方法でサーマルサイクル試験を行ったところ、絶縁層に剥離および割れが見られた。
Figure 0005256921
Figure 0005256921
絶縁信頼性試験基板の上面図 本発明のスパイラルインダクタの上面図 本発明のスパイラルインダクタの製造方法を示した断面図
符号の説明
1 銅電極
2 シリコン基板
3 取り出し電極
4 電解めっき用引き出し電極
5 基板
6 未硬化シートから形成した絶縁層
7 銅層
8 未硬化シートから形成した絶縁層
9 銅層
10 未硬化シートから形成した絶縁層
11 配線

Claims (9)

  1. (A)平均粒子径1nm以上40nm以下の硫酸バリウム粒子、および(B)重合性基およびカルボキシル基を有する化合物、または重合性基を有するリン酸エステル化合物を含む絶縁層形成用材料。
  2. 前記重合性基およびカルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物を含む請求項1記載の絶縁層形成用材料。
    Figure 0005256921
    (上記一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。Rは下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を示す。)
    Figure 0005256921
    (上記一般式(2)〜(4)中、nおよびmはそれぞれ1〜3の整数である。)
  3. 前記一般式(1)におけるRが水素原子であり、Rが一般式(4)で表される2価の基であり、nが2である請求項2記載の絶縁層形成用材料。
  4. 前記重合性基を有するリン酸エステル化合物が、下記一般式(5)で表される化合物を含む請求項1〜3のいずれか記載の絶縁層形成用材料。
    Figure 0005256921
    (上記一般式(5)中、R〜Rは下記一般式(6)〜(10)のいずれかで表される1価の基または水素原子を示し、R〜Rは同じでも異なっていてもよい。ただし、R〜Rの全部が水素原子になることはない。)
    Figure 0005256921
    (上記一般式(6)〜(10)中、R〜Rは水素原子またはメチル基を示す。R10〜R11は炭素数1〜10の2価の基であり、R12は水酸基を有する炭素数1〜10の2価の基である。)
  5. 前記一般式(5)におけるR〜Rの少なくとも1つが前記一般式(8)で表される1価の基である請求項4記載の絶縁層形成用材料。
  6. さらに、重合性基を有する樹脂を含む請求項1〜5のいずれか記載の絶縁層形成用材料。
  7. 前記重合性基を有する樹脂が、下記式(11)または(12)で表される樹脂を含む請求項6記載の絶縁層形成用材料。
    Figure 0005256921
  8. インダクタの絶縁層形成用材料として用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の絶縁層形成用材料。
  9. 請求項1〜7のいずれか記載の絶縁層形成用材料からなる層を露光、現像して形成された凹部に導体配線を形成した電子部品。
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