JP5256865B2 - ブラシレスモータのセンサレス制御装置 - Google Patents

ブラシレスモータのセンサレス制御装置 Download PDF

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Description

この発明は、ブラシレスモータのセンサレス制御装置に関する。
従来、ブラシレスモータの駆動を制御する制御装置として、固定座標系(互いに120°の角度をなして1点で交わるu軸、v軸およびw軸からなる座標系)における3相の電流値を回転座標系(界磁極の磁束方向を示すd軸およびこれと直交するq軸からなる座標系)における2相の電流(d軸電流およびq軸電流)に変換して、この2相の電流を用いて制御するベクトル制御を行うものが知られている。
ベクトル制御を行うに際し、ブラシレスモータのロータの角度を直接検出するためのセンサを使用せずに、ロータの角度および速度を推定するセンサレス制御装置も知られており、このようなブラシレスモータ(1)のセンサレス制御装置(40)として、図7に示すように、2軸座標系における電流指令値を算出する速度制御部(41)と、2軸座標系における電流指令値に基づいて2軸座標系における電圧指令値を算出する電流制御部(42)と、2軸座標系における電圧指令値に基づいて3相の電圧指令値を算出する座標変換部(43)と、3相の電圧指令値に基づいてモータのステータコイルに直流駆動電流を供給するPWMインバータ(44)と、モータのステータコイルに流れる相電流を検出する電流検出部(45)と、電流検出部(45)で検出された相電流に基づいて2軸座標系における電流値を算出する座標変換部(46)と、ロータ角度およびロータ速度を求める位置・速度推定部(47)とを備えているものが知られている。
なお、このような位置・速度推定部(47)を備えたセンサレス制御装置(40)では、電流制御部(42)に入力するq軸電流指令値を0にして、d軸電流指令で制御しながら起動する方法が用いられている。
特開2007−53829号公報
上記従来のブラシレスモータのセンサレス制御装置では、ブラシレスモータのロータの角度および速度を推定するために、モータモデルを用いて、ブラシレスモータを構成するステータコイルのインダクタンスや抵抗からロータの角度を推定するため、ループ処理を行って頻繁に角度を推定することが必要であり、この際の演算負荷が大きく、高性能な演算処理能力を有する高コストのCPUを使用する必要があるという問題があった。
また、ブラシレスモータを構成するコイルのインダクタンスや抵抗等のモータモデルは、ブラシレスモータごとに異なっているため、制御するブラシレスモータによって、角度を推定するための演算処理プログラムを変更する必要があるという問題もあった。
この発明の目的は、高コストのCPUを使用しなくても、演算処理を行うことが可能で、しかも、制御対象のブラシレスモータが変わっても、演算処理プログラムを変更する必要がないブラシレスモータのセンサレス制御装置を提供することにある。
請求項1の発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置は、複数相のステータコイルを有するステータと、永久磁石を有するロータとを備えているブラシレスモータに対して、d軸およびq軸からなる2軸の回転座標系を利用したセンサレスベクトル制御を行うセンサレス制御装置において、d軸電流の電流値に基づいてロータの補正角度を算出することによってロータの角度を制御する角度制御部と、所定時間経過する間の角度変化量から現在のロータの速度を算出する速度算出部と、前回サンプリング時に得られたロータの角度、角度制御部で得られた補正角度および速度算出部で得られた速度を使用して所定時間毎に現在のロータの角度を算出する角度算出部と、起動時における角度制御部への指令値として位相が遅れる方向の初期値を与える起動指令部とを備えており、角度制御部は、ロータの補正角度(Δθ)を、Cp:PI制御の比例ゲイン、E:d軸電流値idと所定の指令値d*との偏差、Ci:PI制御の積分ゲイン、F:Eの累積値として、Δθ=Cp×E+Ci×Fにより求めるものであり、角度算出部は、所定時刻において角度算出部が算出したロータの角度と、速度算出部により算出されたロータの速度と所定時間との積と、角度制御部により算出された補正角度と、を加算することにより、ロータの角度を算出するものであり、モータの突極比が1であり、起動時における角度制御部への指令値は、初期値がdnで所定時間経過後に0となるように設定されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置は、複数相のステータコイルを有するステータと、永久磁石を有するロータとを備えているブラシレスモータに対して、d軸およびq軸からなる2軸の回転座標系を利用したセンサレスベクトル制御を行うセンサレス制御装置において、d軸電流の電流値に基づいてロータの補正角度を算出することによってロータの角度を制御する角度制御部と、所定時間経過する間の角度変化量から現在のロータの速度を算出する速度算出部と、前回サンプリング時に得られたロータの角度、角度制御部で得られた補正角度および速度算出部で得られた速度を使用して所定時間毎に現在のロータの角度を算出する角度算出部と、起動時における角度制御部への指令値として位相が遅れる方向の初期値を与える起動指令部とを備えており、角度制御部は、ロータの補正角度(Δθ)を、Cp:PI制御の比例ゲイン、E:d軸電流値idと所定の指令値d*との偏差、Ci:PI制御の積分ゲイン、F:Eの累積値として、Δθ=Cp×E+Ci×Fにより求めるものであり、角度算出部は、所定時刻において角度算出部が算出したロータの角度と、速度算出部により算出されたロータの速度と所定時間との積と、角度制御部により算出された補正角度と、を加算することにより、ロータの角度を算出するものであり、モータの突極比が1より大きく、起動時における角度制御部への指令値は、初期値がdn+n0で所定時間経過後またはロータが所定回転数に到達した後にn0(≠0)となるように設定されていることを特徴とするものである。
d軸電流値は、所定間隔(サンプリング間隔)Tsで検出(サンプリング)され、これに応じて、ロータの補正角度Δθおよび現在(今回サンプリング時)のロータの角度θが算出される。現在のロータの速度ωは、好ましくは、サンプリング間隔ごとではなく、例えばロータの1回転ごとにを算出される。
角度制御部は、d軸電流値idを指令値id*(具体的には例えば0)に収束させるように、ロータの角度θを補正するための補正角度Δθを算出し、これにより、ロータの角度のずれが補正される。
角度算出部では、サンプリング間隔Tsごとに、前回サンプリング時に得られたロータの角度θ’および速度ωを使用してθ=θ’+ω×Ts+Δθによって現在(今回サンプリング時)のロータの角度θが求められる。
速度算出部では、例えば、ロータが1回転するのに要する時間Tを求め、ω=2π/Tとして現在のロータの速度ωを求めることができる。また、Ts×K時間経過後にその間の角度算出部における角度変化量をδとして、ω=δ/(K×Ts)によってωを求めることもできる。
角度制御部で得られた補正角度Δθ、速度算出部で得られた速度ωおよび角度算出部で得られたロータの角度θ’に基づいて、現在のロータの角度θが算出されることにより、ロータの角度θをロータの真の角度に収束させることができ、モータモデルを用いずに演算負荷の小さい簡単な演算でセンサレスベクトル制御を行うことができる。また、演算負荷が減少して、高性能なコストの高いCPUを使用する必要がないので、コストを低減することができる。さらに、モータモデルを用いずにロータの角度をロータの真の角度に収束することができるため、制御するブラシレスモータに対応させて、演算処理プログラムを変更する必要がなく、汎用性の高いセンサレス制御装置を得ることができる。
センサレス制御では、起動方法が課題であり、例えば、速度算出部から角度算出部に低回転で任意な速度初期値を入力することにより、各座標変換に初期位相角度θoが入力されてモータを起動することができる。この回転により、d軸電流が発生し、θをロータ位置に収束させるセンサレス制御が可能となる。しかしながら、上記起動方法には、起動の成功率が100%でないこと、負荷が印加された状態での成功率が低くなること、センサレス駆動に移行するまでに多くの電流が流れることなどの問題がある。そこで、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置では、d軸電流値を使用してロータの補正角度Δθを算出している角度制御部に着目し、起動時には、この角度制御部の指令値を起動指令部によって制御するものとされている。位相が遅れる方向の初期値dnが与えられると、角度算出部は、これに基づいて、初期位相θoを算出し、これが各座標変換に入力されることで、ブラシレスモータが起動する。この起動は、定常運転時の動作と同様のd軸電流値に基づく制御となるので、より少ない電流でかつより短い起動時間でスムーズに行うことができ、モータ性能が許容できる負荷までの成功率100%の起動を達成することができる。
定常運転での指令値は、通常、0とされているので、起動時における角度制御部への指令値の初期値は、d=dn≠0とされ、回転方向によって、正の場合と負の場合とがある。定常運転の指令値は、0に限定されるものではないので、これが所定の値doとされる場合には、起動時における角度制御部への指令値の初期値は、d=dn≠doとされる。電流制御部における動作は、起動時と定常運転時とで同様のものとなる。この初期値dnを時間とともに(例えば100μsec程度の時間をかけて)定常運転の指令値に近づけることで、別途の切り替え操作を伴わずに、定常運転に移行する。
起動時における角度制御部への指令値は、種々の式で与えることができ、モータの負荷のイナーシャが大きい場合には、指令値の変化時間を遅らすことにより対応することができ、また、これに加えて、速度算出部が出力する初期速度から指令速度への変化時間を遅らすことにより対応することもできる。
起動時における角度制御部への指令値は、具体的には、例えば、初期値をd=dnとして、これを時間とともに定常状態での指令値d=0に近づければよい。SPMモータ(表面着磁型モータ)の場合には、このような指令値が好適なものとなる。
起動の成功率は、モータの種類によって異なり、IPMモータ(埋込磁石型モータ)の場合、指令値をd=dn→0とすると、起動の成功率が低くなる。この理由としては、IPMモータとSPMモータとの突極比の相違が考えられる。突極比は、軸インダクタンスL軸インダクタンスLとの比:L/Lであり、SPMモータでは、突極比が1(Ld=Lq)であり、IPMモータでは、突極比が1より(Ld<Lq)である。
IPMモータとSPMモータとでは、d軸(ロータ)と電流ベクトルとがなす角度(位相)βが異なり、SPMモータの場合、β=0に制御し、IPMモータの場合には、突極比に応じて、0<β<π/4間で制御することが好ましい。これに応じて、SPMモータの場合には、起動時に位相θが遅れる方向の任意の値(初期値)dnに設定した後に、d=0に変化させて定常運転に移行することが好ましく、IPMモータの場合(SPMモータであっても突極比が1ではない場合を含む)、さらに角度β分位相が遅れる方向に設定した後(dn+n0)に、d=n0≠0に変化させて定常運転に移行することが好ましい。このようにすることで、IPMモータの起動特性を向上することができ、IPMモータの起動時に必要であった簡単な位置センサを不要とすることができ、省スペース化・低コスト化が可能となる。
この発明のブラシレスモータのセンサレス制御装置によると、モータモデルを用いて角度および速度を推定する従来のものに比べて、演算負荷の小さい簡単な演算でセンサレスベクトル制御を行うことができ、また、制御するブラシレスモータに対応させて、演算処理プログラムを変更する必要がなく、コストを低減しかつ汎用性の高いセンサレス制御装置を得ることができる。そして、起動時における角度制御部への指令値として位相が遅れる方向の初期値dnを与える起動指令部を付加することで、少ない電流でかつ短い起動時間でスムーズな起動を行うことができ、モータ性能が許容できる負荷までの成功率100%の起動を達成することができる。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
図1は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置を示している。
ブラシレスモータは、永久磁石界磁同期モータ(1)とセンサレス制御装置(2)とから構成されている。同期モータ(1)は、複数相(この例では3相)のステータコイル(3)を有するステータ(4)と、永久磁石を有するロータ(5)とを備えている。
センサレス制御装置(2)は、センサレスベクトル制御を行うもので、2軸座標系におけるd軸・q軸電流指令値id*,iq*を算出する速度制御部(11)と、2軸座標系におけるd軸・q軸電流指令値id*,iq*に基づいて2軸座標系におけるd軸・q軸電圧指令値Vd*,Vq*を算出する電流制御部(12)と、2軸座標系におけるd軸・q軸電圧指令値Vd*,Vq*に基づいて3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を算出する3相への座標変換部(13)と、3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいてモータ(1)のステータコイル(3)に直流駆動電流を供給するPWMインバータ(14)と、ステータコイル(3)に流れる相電流Iu,Ivに基づいて各相の電流値iu,iv,iwを求める電流検出部(15)と、相電流値iu,iv,iwに基づいて2軸座標系におけるd軸・q軸電流値id,iqを算出する2相への座標変換部(16)と、補正角度Δθを算出する角度制御部(17)と、速度ωを算出する速度算出部(18)と、角度θを算出する角度算出部(19)と、起動時における角度制御部(17)への指令値として位相が遅れる方向の初期値dnを与える起動指令部(20)とを備えている。
角度制御部(17)、速度算出部(18)、角度算出部(19)および起動指令部(20)は、本発明の特徴部分で、これらの構成によって、従来使用されていた位置・速度推定部(図7参照)が省略されている。
上記各部(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)(18)(19)(20)は、作業用記憶領域を有するRAMを用いて、ROMに記憶された演算処理プログラムおよび制御処理プログラムを実行するCPU(図示略)により動作する。
速度制御部(11)は、外部から入力された指令速度ω*から速度算出部(18)によって算出されたωを減算し、その減算結果(ω*−ω)に基づいて、d軸電流指令値id*とq軸電流指令値iq*を算出して電流制御部(12)へ出力する。なお、一般的には、d軸電流指令値id*は0である。
電流制御部(12)は、d軸電流指令値id*から2相への座標変換部(16)によって算出されたd軸電流値idを減算し、その減算結果(id*−id)に基づいて、d軸電圧指令値Vd*を算出して3相への座標変換部(13)へ出力するとともに、q軸電流指令値iq*から2相への座標変換部(16)によって算出されたq軸電流値iqを減算し、その減算結果(iq*−iq)に基づいて、q軸電圧指令値Vq*を算出して3相への座標変換部(13)へ出力する。
3相への座標変換部(13)は、角度算出部(19)によって算出された角度θを用いて、d軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値vq*に対して座標変換を施して、3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を作成し、これらの電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をPWMインバータ(14)に出力する。
PWMインバータ(14)は、各電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応した電圧が3相のステータコイル(3)に印加されるように、U相電流Iu,V相電流IvおよびW相電流Iwを供給してモータ(1)を駆動する。
電流検出部(15)は、PWMインバータ(14)によってモータ(1)へ供給される電流をサンプリング時間Tsの間隔でサンプリングすることにより、3相(U相、V相およびW相)の相電流の電流値iu,ivおよびiwを求め、これを2相への座標変換部(16)へ出力する。なお、電流検出部(15)は、例えば、2相の電流Iu,Ivを検出して、3相目の電流値ivについては、これらの2相の電流値iu,ivに基づいて算出するものとされるが、これに限定されるものではない。また、サンプリング時間Tsは、ロータ(5)が1回転するための時間よりも短い時間とされる。
2相への座標変換部(16)は、角度算出部(19)によって算出された角度θを用いて、相電流の電流値iu,ivおよびiwに対して座標変換を施すことにより、d軸電流値idおよびq軸電流値iqを算出し、これらを電流制御部(12)へ出力する。ここで、d軸電流値idは、角度制御部(17)へも出力される。
角度制御部(17)は、2相への座標変換部(16)からd軸電流値idが入力されるごとに、このd軸電流値idに基づいて補正角度Δθを算出する。算出された補正角度Δθは、角度算出部(19)に出力されて、ロータ(5)の角度θの制御に使用される。Δθの算出には、PI制御、PID制御またはP制御が使用される。
PI制御(比例・積分)を行う場合、補正角度Δθは、E:d軸電流値idと所定の指令値d*(例えば0)との偏差、Cp:PI制御の比例ゲイン、F:d軸電流値idと所定の指令値d*との偏差であるEの累積値、Ci:PI制御の積分ゲインとして、次の式で算出される。
Δθ=Cp×E+Ci×F
CpおよびCiは、制御装置(2)にモータ(1)を実際に制御させた結果により最適な値が定められる。このため、制御装置(2)は、制御されるモータ(1)を構成するステータコイル(3)のインダクタンスや抵抗に依存せずに、モータ(1)を制御することができ、汎用性の高いものとなる。
速度算出部(18)は、角度算出部(19)で算出されたロータの角度θを用いて、ロータの速度ωを求める。ロータの角度θは、サンプリング間隔Tsごとに角度算出部(19)において算出されているので、サンプリング間隔Tsの間のロータの角度変化をTsで割ることで、ロータの速度ωを求めることができる。この速度算出部(18)では、サンプリング間隔Tsごとにロータの速度を求めるのではなく、ロータ(5)が360°回転したか否かを判断し、360°回転した場合に、これに要した時間Tを求めて、2π(=360°)/Tにより、ロータの速度を求めている。ロータの速度を求めるタイミングは、ロータが360°回転したときに限られるものではなく、より一般的な式として、(θ(k+m)−θk)/(m×Ts)、m:任意の自然数、を使用してサンプリング間隔Tsごとまたはその2倍以上の間隔で求めることもできる。ただし、速度変化は、比較的緩やかであるので、サンプリング間隔Tsで常に求める必要はなく、ω=2π/Tの式を使うことにより、演算処理を簡単なものとすることができる。
角度算出部(19)は、相電流の電流値iu,ivおよびiwがサンプリングされるごとに(サンプリング時間Ts間隔で)、角度制御部(17)で算出された補正角度Δθ、速度算出部(18)で算出された速度ωおよびサンプリング時間Tsを用いて、ロータの角度θを算出する。具体的には、前回のサンプリング時に算出されたロータの角度θkを用いて、今回のサンプリング時(現在)のロータの角度θ(k+1)は、次の式により算出される。
θ(k+1)=θk+ω×Ts+Δθ
ここで、θ(k+1)は、電気角2π分のカウンタ値とされ、θ(k+1)が2π以上の場合には、2πを減算し、0≦θ(k+1)<2πの関係が満たされる。
上記の算出により、図2に示すように、ロータ(5)が図中の矢印Rの方向へ回転する場合、所定時刻nにおけるロータ(5)の角度θnと、これからサンプリング間隔Tsが経過する間にロータ(5)が回転する角度ω×Tsと、角度制御部(17)で算出された補正角度Δθとの和として、現在のロータ(5)の角度θn+1が求められる。この現在のロータ(5)の角度θn+1に補正角度Δθが含まれていることにより、現在のロータ(5)の角度θn+1をロータ(5)の実際の角度へ収束させることができる。算出されたロータ(5)の角度θnは、各座標変換部(13)(16)に出力される。
起動指令部(20)は、起動をスムーズに行わせるために、適切な初期値を角度制御部(17)に出力する。従来の起動方式を参考にすると、例えば、電流制御部において、q軸電流指令値=0を与えて、d軸電流指令値を電流が90°遅れる方向に制御しながら同期運転して起動する方法、速度算出部から角度算出部に低回転で任意な速度初期値を入力することにより、各座標変換に初期位相角度が入力されてモータを起動する方法などが考えられるが、本発明においては、電流制御部(12)は、起動時にも定常運転時と同様の動作とし、角度制御部(17)の指令値dを起動指令部(20)で制御することにより起動するものとされている。
角度制御部(17)に与えられる指令値dは、例えば、図3に示すように、初期値がdnで、時間tとともに0になるように設定される。すなわち、指令値が、式d=dn(1−t/To)で与えられる。d=dn(位相遅れ有り)が角度制御部(17)に入力されると、これを0とするべく各部(17)(18)(19)での演算が行われ、この結果、位相遅れをなくすようにロータ(5)が回転を始め、モータ(1)が起動する。
図4に、起動時および定常運転時の制御装置の動作を示すフローチャートを示す。
起動指令が出されると(ステップS11)、まず、d=dn≠0が初期の指令値として角度制御部(17)に与えられる(ステップS12)。これにより、速度算出部(18)において初期速度ωoが求められ、角度算出部(19)において初期位相θoが求められる(ステップS13)。この結果、ロータの速度がこの初期速度に対応する値に増加し、確実に起動が行われる(ステップS14)。角度制御部(17)に与えられる指令値は、時間とともに減少して、d=0すなわち定常時の指令値となり(ステップS15)、この後は、定常運転(d軸電流値idを使用したセンサレスベクトル制御)に移行する(ステップS16)。
センサレスベクトル制御では、電流検出部(15)によって、各相の電流値iu,ivおよびiwが求められ(ステップS17)、これに基づいて、2相への座標変換部(16)によって、d軸電流値およびq軸電流値が算出される(ステップS18)。次いで、d軸電流値を用いて、角度制御部(17)によって補正角度Δθが算出される(ステップS19)。次いで、角度算出部(19)によって、サンプリング間隔Ts後のロータの角度θが算出される(ステップS20)。ステップ17からステップ20までは、サンプリング間隔Tsごとに繰り返され、この繰り返し途中に、ロータが360°回転したか否かを判定して(ステップS21)、ロータが360°回転した場合には、速度算出部(18)によって、ロータの速度ωが算出されて、角度算出部(19)で使用されるロータの速度ωの値が更新される(ステップS22)。定常運転時には、ステップ17からステップ22までが繰り返され、この途中にモータの電源がオフとされた場合(ステップS22)、運転が終了する。
こうして、制御装置(2)は、演算処理プログラムおよび制御処理プログラムを実行して、モータモデルを用いずにロータの角度θを算出し、d軸電流を0に収束させるように、ロータの角度のずれが補正される。この制御装置(2)では、ロータの角度および速度を求めるに際してモータモデルを用いないことから、制御するブラシレスモータに対応させて、演算処理プログラムを変更する必要がなく、しかも、演算負荷の小さい簡単な演算でセンサレスベクトル制御を行うことができる。そして、起動時における角度制御部(17)への指令値として位相が遅れる方向の初期値dnを与える起動指令部(20)を付加することで、少ない電流でかつ短い起動時間でスムーズな起動を行うことができる。
上記実施形態において、角度制御部(17)に与えられる指令値を初期値がdnで時間tとともに0とするのは、モータ(1)がSPMモータであるときに好ましい。
モータ(1)がIPMモータであるときは、角度制御部(17)に与えられる指令値は、図6に示すように、初期値がdn+n0で時間tとともにn0(≠0)とされることが好ましい。
SPMモータとIPMモータとを比べると、SPMモータでは、Ld=Lq(突極比が1)であるのに対し、IPMモータでは、Ld<Lq(突極比が1より大)であり、IPMモータでは、図5に示すように、d軸と電流ベクトルiとのなす角度β(位相)が0ではなく、SPMモータでは、このβが0となっている。したがって、SPMモータの場合、β=0に制御し、IPMモータの場合、突極比によって0<β<π/4間で制御することが好ましい。
したがって、IPMモータの起動に際しては、SPMモータの指令値に比べて、角度β分遅れる方向に初期値を設定した後、d=n0(≠0)に変化させ定常運転に移行することが好ましい。ここで、n0は、β分に相当する値で、突極比に応じて決定される。
こうして、SPMモータとIPMモータとで位相が異なることに対応させて、角度制御部(17)の指令値を変更するだけで、SPMモータに適した制御とIPMモータに適した制御とに容易に切り替えることができ、モータ(1)の起動特性を向上することができる。
なお、dは、図6(a)に示すように、時間とともに変化させて、所定時間後に定常運転に移行するようにしてももちろんよいが、図6(b)に示すように、ロータ(5)の回転速度とともに変化させて、ロータ(5)の回転速度が所定値に達した後に定常運転に移行するるようにしてもよい。
また、図3に示す初期値を使用する場合には、回転の方向によって極性が変わることになるが、図6に示す初期値を使用する場合には、極性が逆の場合でも同じ指令値とすることができる。
上記ブラシレスモータのセンサレス制御装置は、例えば、電動ポンプに適用されるほか、その他の全てのブラシレスモータの正弦波センサレス駆動に適用することができる。
図1は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置を示すブロック図である。 図2は、角度算出部が算出する角度を説明する図である。 図3は、起動時における角度制御部への指令値の一例を示す図である。 図4は、この発明によるブラシレスモータのセンサレス制御装置の要部の動作ステップを示すフローチャートである。 図5は、モータがIPMモータである場合の位相βを説明する図である。 図6は、起動時における角度制御部への指令値の一例を示す図である。 図7は、従来のブラシレスモータのセンサレス制御装置を示すブロック図である。
符号の説明
(1) モータ
(2) センサレス制御装置
(3) ステータコイル
(4) ステータ
(5) ロータ
(17) 角度制御部
(18) 速度算出部
(19) 角度算出部
(20) 起動指令部

Claims (2)

  1. 複数相のステータコイルを有するステータと、永久磁石を有するロータとを備えているブラシレスモータに対して、d軸およびq軸からなる2軸の回転座標系を利用したセンサレスベクトル制御を行うセンサレス制御装置において、
    d軸電流の電流値に基づいてロータの補正角度を算出することによってロータの角度を制御する角度制御部と、所定時間経過する間の角度変化量から現在のロータの速度を算出する速度算出部と、前回サンプリング時に得られたロータの角度、角度制御部で得られた補正角度および速度算出部で得られた速度を使用して所定時間毎に現在のロータの角度を算出する角度算出部と、起動時における角度制御部への指令値として位相が遅れる方向の初期値を与える起動指令部とを備えており、
    角度制御部は、ロータの補正角度(Δθ)を、Cp:PI制御の比例ゲイン、E:d軸電流値idと所定の指令値d*との偏差、Ci:PI制御の積分ゲイン、F:Eの累積値として、Δθ=Cp×E+Ci×Fにより求めるものであり、
    角度算出部は、所定時刻において角度算出部が算出したロータの角度と、速度算出部により算出されたロータの速度と所定時間との積と、角度制御部により算出された補正角度と、を加算することにより、ロータの角度を算出するものであり、
    モータの突極比が1であり、起動時における角度制御部への指令値は、初期値がdnで所定時間経過後に0となるように設定されていることを特徴とするブラシレスモータのセンサレス制御装置。
  2. 複数相のステータコイルを有するステータと、永久磁石を有するロータとを備えているブラシレスモータに対して、d軸およびq軸からなる2軸の回転座標系を利用したセンサレスベクトル制御を行うセンサレス制御装置において、
    d軸電流の電流値に基づいてロータの補正角度を算出することによってロータの角度を制御する角度制御部と、所定時間経過する間の角度変化量から現在のロータの速度を算出する速度算出部と、前回サンプリング時に得られたロータの角度、角度制御部で得られた補正角度および速度算出部で得られた速度を使用して所定時間毎に現在のロータの角度を算出する角度算出部と、起動時における角度制御部への指令値として位相が遅れる方向の初期値を与える起動指令部とを備えており、
    角度制御部は、ロータの補正角度(Δθ)を、Cp:PI制御の比例ゲイン、E:d軸電流値idと所定の指令値d*との偏差、Ci:PI制御の積分ゲイン、F:Eの累積値として、Δθ=Cp×E+Ci×Fにより求めるものであり、
    角度算出部は、所定時刻において角度算出部が算出したロータの角度と、速度算出部により算出されたロータの速度と所定時間との積と、角度制御部により算出された補正角度と、を加算することにより、ロータの角度を算出するものであり、
    モータの突極比が1より大きく、起動時における角度制御部への指令値は、初期値がdn+n0で所定時間経過後またはロータが所定回転数に到達した後にn0(≠0)となるように設定されていることを特徴とするブラシレスモータのセンサレス制御装置。
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