JP5255453B2 - Par−2に結合する抗体 - Google Patents

Par−2に結合する抗体 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、35U.S.C.119(e)に基づいて、米国仮出願第60/772,456号、2006年2月10日出願の優先権を請求し;該出願はすべて、本明細書に援用される。
発明の分野
本出願は、抗PAR−2抗体に関する組成物および方法を提供する。
発明の背景
プロテイナーゼ活性化受容体(PAR)ファミリーは、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体スーパーファミリーの一部である。現在、4つの既知のPARがあり、このうち3つ(PAR−1、−3、および−4)はトロンビンによって活性化され;4番目(PAR−2)はトリプシンまたはマスト細胞トリプターゼによって活性化されるが、トロンビンによっては活性化されない。PARは、多様な組織に広く分布し、そして血小板凝集、炎症および心臓血管機能、消化機能または呼吸機能などの、いくつかの生理学的現象または病態生理学的現象に関与する。
PARは、活性化がPARのN末端のタンパク質分解的切断によって開始され、これが次に、係留されたリガンドを形成して、同じ受容体ポリペプチドの細胞外領域(ループ2)と相互作用する点で、他の受容体と異なる。PAR−2の切断は、ヒト、ネズミおよびラットのPAR−2間で保存されるプロテアーゼ切断ドメイン、SKGRSLIG(配列番号2のアミノ酸33〜40)のRおよびS残基間で生じる。係留されたリガンドを模倣するペプチドは、PAR−2に対して、アゴニスト性効果を有することが示されてきている(Saifeddineら, Br J Pharmacol 118(3):521−30[1996]; McGuireら, J Pharmacol Exp Ther 309(3):1124−31[2004])。
PAR−2は、Gタンパク質共役型受容体が仲介する一般的なシグナル伝達経路である、イノシトール1,4,5−三リン酸産生およびCa(2+)可動化、ならびにERK、p38MAPK、JNK、およびIKKを含む多数のキナーゼ経路を活性化する。PAR−2は、腎臓、膵臓、胃、腸、気道、皮膚、膀胱および脳において、上皮細胞および内皮細胞、筋細胞、線維芽細胞、免疫細胞、ニューロンおよびグリア細胞上に存在する。PAR−2を活性化するプロテアーゼは、炎症中に存在し、そしてPAR−2は、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン1アルファおよびリポ多糖などの炎症性因子によって上方制御される。さらに、PAR−2不全マウスまたは過剰発現マウスを利用した研究は、炎症におけるこの受容体の役割を確認する(Schmidlinら, J. Immunol. 169, 5315−5321[2002]; Ferrellら, J. Clin. Invest. 111, 35−41[2003])。したがって、当該技術分野には、炎症状態を治療するかまたは改善するのに有用であろう、PAR−2活性化のアンタゴニストを発展させる必要性がある。
発明の概要
1つの側面において、本発明は、プロテイナーゼ活性化受容体−2(PAR−2)に結合する、単離抗原結合性タンパク質を提供する。別の態様において、単離抗原結合性タンパク質は、ヒトPAR−2に結合した際、タンパク質分解的切断、および/または前記ヒトPAR−2を通じた、それに続くシグナル伝達を阻害する。別の態様において、単離抗原結合性タンパク質は、約80%より多く、PAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する。別の態様において、単離抗原結合性タンパク質は、全長PAR−2に結合し、そしてより少ない度合いで、切断された(cleaved)PAR−2に結合する。
本発明の別の側面において、単離抗原結合性タンパク質は、非ヒト霊長類、カニクイザル(cynomolgous monkey)、チンパンジー(chimpanzee)、非霊長類哺乳動物、げっ歯類、マウス、ラット、ハムスター(hamster)、モルモット(guinea pig)、ネコ、またはイヌのPAR−2に特異的に結合する。別の態様において、単離抗原結合性タンパク質は:a. ヒト抗体; b. ヒト化抗体; c. キメラ抗体; d. モノクローナル抗体; e. 単一特異性抗体; f. 組換え抗体; g. 抗原結合性抗体断片; h. 一本鎖抗体; i. ディアボディ; j. トリアボディ; k. テトラボディ; l. Fab断片; m. F(ab’)断片; n. ドメイン抗体; o. IgD抗体; p. IgE抗体; q. IgM抗体; r. IgG1抗体; s. IgG2抗体; t. IgG3抗体; u. IgG4抗体;またはv. H鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減する、ヒンジ領域中の少なくとも1つの突然変異を有するIgG4抗体を含む。
別の側面において、本発明は、PAR−2に結合する抗原結合性タンパク質を分泌する単離細胞を提供する。別の態様において、細胞はハイブリドーマである。別の態様において、本発明は、ヒトPAR−2に結合する抗原結合性タンパク質を作製する方法であって、前記抗原結合性タンパク質を発現することを可能にする条件下で、前記単離細胞をインキュベーションする工程を含む、前記方法を提供する。
別の側面において、本発明は、該抗原結合性タンパク質を含む、薬学的組成物を提供する。1つの態様において、本発明は、被験体における状態を治療する方法であって、前記被験体に前記薬学的組成物を投与する工程を含み、前記状態が、前記被験体において、PAR−2活性を減少させることによって治療可能である、前記方法を提供する。別の態様において、前記被験体はヒトである。別の態様において、前記状態は、皮膚、関節、胃腸系および/または気道の炎症状態である。別の態様において、該方法は、前記被験体に第二の治療を投与する工程をさらに含む。別の態様において、前記の薬学的組成物を前記被験体に投与する前に、および/またはそれと同時に、および/またはその後に、前記の第二の治療を前記被験体に投与する。別の態様において、前記の第二の治療は、抗炎症剤を含む。別の態様において、前記の第二の薬学的組成物は、非ステロイド抗炎症性薬剤、ステロイド、および免疫調節剤からなる群より選択される剤を含む。別の態様において、前記方法は、前記被験体に第三の治療を投与する工程を含む。
別の側面において、本発明は、被験体の寿命を増加させる方法であって、前記薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
別の側面において、本発明は、PAR−2活性を減少させる必要がある被験体において、PAR−2活性を減少させる方法であって、前記薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
別の側面において、本発明は、PAR−2シグナル伝達を減少させる必要がある被験体において、PAR−2シグナル伝達を減少させる方法であって、前記薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
別の側面において、本発明は、PAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する必要がある被験体において、PAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する方法であって、前記薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、プロテイナーゼ活性化受容体2(「PAR−2」)に結合する分子であって、PAR−2をアゴナイズするかまたはアンタゴナイズする分子、例えば抗PAR−2抗体、抗体断片、および抗体誘導体、例えばアンタゴニスト性抗PAR−2抗体、抗体断片、または抗体誘導体を含む分子に関連する、組成物、キット、および方法を提供する。やはり提供されるのは、PAR−2に結合するポリペプチドのすべてまたは一部をコードするヌクレオチドの配列を含む、核酸、ならびにその誘導体および断片、例えば抗PAR−2抗体、抗体断片、または抗体誘導体のすべてまたは一部をコードする核酸、こうした核酸を含むプラスミドおよびベクター、ならびにこうした核酸および/またはベクターおよびプラスミドを含む細胞または細胞株である。提供される方法には、例えば、PAR−2に結合する分子、例えば抗PAR−2抗体を作製するか、同定するか、または単離する方法、分子がPAR−2に結合するかどうかを決定する方法、分子がPAR−2をアゴナイズするかまたはアンタゴナイズするかどうかを決定する方法、PAR−2に結合する分子を含む、薬学的組成物などの組成物を作製する方法、ならびにPAR−2に結合する分子を被験体に投与するための方法、例えばPAR−2によって仲介される状態を治療するための方法、およびPAR−2の生物学的活性をin vivoまたはin vitroでアゴナイズするかまたはアンタゴナイズするための方法が含まれる。
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、標準的な1文字または3文字略記を用いて示される。別に示さない限り、各ポリペプチド配列は、アミノ末端を左側に、そしてカルボキシ末端を右側に有し;各一本鎖核酸配列、および各二本鎖核酸配列の上部鎖は、5’端を左に、そして3’端を右に有する。特定のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列はまた、参照配列とどのように異なるかを説明することによって記載されうる。
本明細書において、別に定義しない限り、本発明と関連して用いられる科学的および技術的用語は、一般の当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって必要とされない限り、単数形の用語は複数のものを含み、そして複数形の用語は単数形を含むものとする。一般的に、本明細書に記載する、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションと関連して用いられる術語、ならびにそれらの技術は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に用いられるものである。本発明の方法および技術は、別に示さない限り、一般的に、当該技術分野に周知の慣用法にしたがって、そして本明細書全体で引用され、そして論じられる、多様な一般的な参考文献およびより特異的な参考文献に記載されるように、行われる。例えば、本明細書に援用される、Sambrookら Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)、ならびにAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates(1992)、ならびにHarlowおよびLane Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1990)を参照されたい。酵素反応および精製技術は、当該技術分野に一般的に達成されるように、または本明細書に記載するように、製造者の指定にしたがって行われる。本明細書記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医学的および薬学的化学と関連して用いられる専門用語、ならびにこうした化学の実験法および技術は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に知られるものである。化学合成、化学分析、薬学的調製、配合、および送達、ならびに患者の治療には、標準的技術を用いてもよい。
以下の用語は、別に示さない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
用語「単離分子」は(分子が、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体である場合)、その起源または派生供給源によって、(1)天然状態で該分子に付随する、天然に関連する構成要素と関連していないか、(2)同じ種由来の他の分子を実質的に含まないか、(3)異なる種由来の細胞によって発現されるか、あるいは(4)天然には存在しない分子である。したがって、化学的に合成されたか、または天然に由来する細胞とは異なる細胞系において合成される分子は、天然に関連する構成要素から「単離されている」であろう。分子はまた、当該技術分野に周知の精製技術を用いた単離によって、天然に関連する構成要素を実質的に含まないようにされうる。当該技術分野に周知のいくつかの手段によって、分子純度または均一性をアッセイしてもよい。例えば、当該技術分野に周知の技術を用いて、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用い、そしてゲルを染色してポリペプチドを視覚化して、ポリペプチド試料の純度をアッセイしてもよい。特定の目的のため、HPLCまたは当該技術分野に周知の精製のための他の手段を用いることによって、より高い解像度を提供してもよい。
用語「PAR−2阻害剤」および「PAR−2アンタゴニスト」は交換可能に用いられる。各々は、PAR−2の少なくとも1つの機能を検出可能に阻害する分子である。逆に、「PAR−2アゴニスト」は、PAR−2の少なくとも1つの機能を検出可能に増加させる分子である。PAR−2阻害剤によって引き起こされる阻害は、アッセイを用いて検出可能である限り、完全である必要はない。PAR−2の機能のいかなるアッセイを用いてもよく、それらの例を本明細書に提供する。PAR−2阻害剤によって阻害可能なPAR−2の機能、またはPAR−2アゴニストによって増加可能なPAR−2の機能の例には、プロテアーゼが活性化するリガンド結合、下流シグナル伝達などが含まれる。PAR−2阻害剤およびPAR−2アゴニストの種類の例には、限定されるわけではないが、抗原結合性タンパク質(例えばPAR−2阻害性抗原結合性タンパク質)、抗体、抗体断片、および抗体誘導体などの、PAR−2結合性ポリペプチドが含まれる。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、各々、ペプチド結合によって互いに連結された2以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。これらの用語は、例えば天然および人工的タンパク質、タンパク質断片、およびタンパク質配列のポリペプチド類似体(突然変異タンパク質(mutein)、変異体、および融合タンパク質など)、ならびに翻訳後、あるいは別の共有的または非共有的修飾タンパク質を含む。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、モノマー性またはポリマー性であってもよい。
用語「ポリペプチド断片」は、本明細書において、対応する全長タンパク質に比較した際、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するポリペプチドを指す。断片は、例えば、少なくとも長さ5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、70、80、90、100、150または200アミノ酸であってもよい。断片はまた、例えば、最大で、長さ1,000、750、500、250、200、175、150、125、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、または10アミノ酸であってもよい。断片は、さらに、どちらかまたは両方の端に、1以上のさらなるアミノ酸、例えば異なる天然存在タンパク質(例えばFcまたはロイシンジッパードメイン)または人工的アミノ酸配列(例えば人工的リンカー配列またはタグタンパク質)由来のアミノ酸配列を含んでもよい。
本発明のポリペプチドには:(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させ、(2)酸化に対する感受性を減少させ、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を改変し、(4)結合親和性を改変し、そして(4)他の物理化学特性または機能特性を与えるかまたはこうした特性を修正するように、いずれかの方式で、そしていずれかの理由のために修飾されているポリペプチドが含まれる。類似体には、ポリペプチドの突然変異タンパク質が含まれる。例えば、単数または多数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)を天然存在配列において(例えば、分子間接触を形成するドメイン(単数または複数)外のポリペプチドの部分において)行うことも可能である。「保存的アミノ酸置換」は、親配列の構造特徴を実質的に変化させないものである(例えば置換アミノ酸は、親配列に存在するらせんを中断させるか、あるいは親配列を特徴付けるかまたはその機能に必要な他の種類の二次構造を破壊する傾向があってはならない)。当該技術分野に認識されるポリペプチド二次構造および三次構造の例が、Proteins, Structures and Molecular Principles(Creighton監修, W.H. Freeman and Company, ニューヨーク(1984)); Introduction to Protein Structure(C. BrandenおよびJ. Tooze監修, Garland Publishing, ニューヨーク州ニューヨーク(1991));およびThorntonら Nature 354:105(1991)に記載され、これらは各々、本明細書に援用される。
本発明はまた、PAR−2結合性ポリペプチドの非ペプチド類似体も提供する。非ペプチド類似体は、テンプレート・ペプチドのものに類似の特性を持つ薬剤として、薬剤産業において一般的に用いられる。これらの種類の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣体」(「peptide mimetics」または「peptidomimetics」)と称され、例えば、本明細書に援用される、Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15:29(1986); VeberおよびFreidinger TINS p.392(1985);ならびにEvansら J. Med. Chem. 30:1229(1987)を参照されたい。療法的に有用なペプチドに構造的に類似のペプチド模倣体を用いて、同等の療法効果または予防効果を生じることも可能である。一般的に、ペプチド模倣体は、ヒト抗体などの模範(paradigm)ポリペプチド(すなわち所望の生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似であるが、当該技術分野に周知の方法によって:−−CHNH−−、−−CHS−−、−−CH−−CH−−、−−CH=CH−(シスおよびトランス)、−−COCH−−、−−CH(OH)CH−−、および−−CHSO−−からなる群より選択される連結により、場合によって置換された1以上のペプチド連結を有する。コンセンサス配列の1以上のアミノ酸を、同じ種類のD−アミノ酸(例えばL−リジンの代わりにD−リジン)で体系的に置換して、より安定なペプチドを生成することも可能である。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一なコンセンサス配列変動を含む、制約された(constrained)ペプチドを、当該技術分野に知られる方法(本明細書に援用される、RizoおよびGierasch Ann. Rev. Biochem. 61:387(1992))によって生成することも可能であり、これは例えば、ペプチドを環状化する、分子内ジスルフィド架橋を形成可能な内部システイン残基を付加することによる。
ポリペプチド(例えば抗体)の「変異体」は、別のポリペプチド配列に比較して、1以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列内で挿入され、欠失され、そして/または置換された、アミノ酸配列を含む。本発明の変異体には融合タンパク質が含まれる。
ポリペプチドの「誘導体」は、例えば別の化学部分(例えばポリエチレングリコール、またはアルブミン、例えばヒト血清アルブミンなど)へのコンジュゲート化、リン酸化、およびグリコシル化を介して、化学的に修飾されているポリペプチド(例えば抗体)である。別に示さない限り、用語「抗体」には、2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異体、断片、および突然変異タンパク質が含まれ、それらの例を以下に記載する。
「抗原結合性タンパク質」は、抗原に結合する部分、および場合によって、抗原結合性部分が、抗原結合性タンパク質の抗原への結合を促進するコンホメーションを採用するのを可能にする足場またはフレームワーク部分を含む、タンパク質である。抗原結合性タンパク質の例には、抗体、抗体断片(例えば抗体の抗原結合性部分)、抗体誘導体、および抗体類似体が含まれる。抗原結合性タンパク質は、例えば移植されたCDRまたはCDR誘導体を含む別のタンパク質足場または人工的足場を含むことも可能である。こうした足場には、限定されるわけではないが、例えば抗原結合性タンパク質の三次元構造を安定化させるために導入された突然変異を含む抗体由来足場、ならびに例えば生体適合性ポリマーを含む完全に合成の足場が含まれる。例えば、Korndorferら, 2003, Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics, 第53巻, 第1号:121−129; Roqueら, 2004, Biotechnol. Prog. 20:639−654を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)、ならびにフィブロネクチン構成要素を足場として利用する抗体模倣体に基づく足場を使用してもよい。
抗原結合性タンパク質は、例えば、天然存在免疫グロブリンの構造を有することも可能である。「免疫グロブリン」は、四量体分子である。天然存在免疫グロブリンにおいて、各四量体は、2つの同一対のポリペプチド鎖で構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分には、主に抗原認識に関与する、約100〜110以上のアミノ酸の可変領域が含まれる。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能に関与する、定常領域を明示する。ヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖と分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンと分類され、そしてそれぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして、抗体のアイソタイプを定義する。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域で連結され、重鎖はまた、約10以上のアミノ酸の「D」領域も含む。一般的に、Fundamental Immunology 第7章(Paul, W.監修, 第2版 Raven Press, ニューヨーク(1989))(あらゆる目的のため、その全体が本明細書に援用される)を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、損なわれていない(intact)免疫グロブリンが2つの結合性部位を有するように、抗体結合性部位を形成する。
天然存在免疫グロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、3つの超可変領域によって連結される、比較的保存されるフレームワーク領域(FR)の、同じ一般構造を示す。軽鎖および重鎖はどちらも、N末端からC末端に、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、KabatらのSequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健社会福祉省, PHS, NIH, NIH刊行物第91−3242号, 1991の定義にしたがう。
多様な抗原特異性を有する免疫グロブリンを含有する血清または血漿などの供給源から、天然存在抗体を得てもよい。こうした抗体をアフィニティー精製に供すると、特定の抗原特異性に関して濃縮可能である。抗体のこうした濃縮調製物は、通常、特定の抗原に関する特異的結合活性を有する、約10%未満の抗体で構成される。こうした方式で調製される抗体は、しばしば、「単一特異性」と称される。
「抗体」は、別に明記しない限り、損なわれていない免疫グロブリン、または特異的結合に関して、損なわれていない抗体と競合する、その抗原結合性部分を指す。抗原結合性部分は、組換えDNA技術によって、あるいは損なわれていない抗体の酵素的切断または化学的切断によって、産生可能である。抗原結合性部分には、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体(dAb)、および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ならびに少なくとも、ポリペプチドへの特異的抗原結合性を与えるのに十分な免疫グロブリン部分を含有するポリペプチドが含まれる。
Fab断片は、V、V、CおよびC1ドメインを有する一価断片であり;F(ab’)断片は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を有する二価断片であり;Fd断片は、VおよびC1ドメインを有し;Fv断片は、抗体の単一アームのVおよびVドメインを有し;そしてdAb断片は、Vドメイン、Vドメイン、あるいはVまたはVドメインの抗原結合性断片を有する(米国特許第6,846,634号、第6,696,245号、米国特許出願公報第05/0202512号、第04/0202995号、第04/0038291号、第04/0009507号、第03/0039958号、Wardら, Nature 341:544−546, 1989)。
一本鎖抗体(scFv)は、VおよびV領域がリンカー(例えばアミノ酸残基の合成配列)を介して連結されて、連続タンパク質鎖を形成する抗体であり、ここでリンカーは、タンパク質鎖が、それ自体、折り畳まれ、そして一価抗原結合性部位を形成するのを可能にするのに十分に長い(例えば、Birdら, 1988, Science 242:423−26およびHustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879−83を参照されたい)。ディアボディは、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であって、各ポリペプチド鎖は、同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成するのを可能にするにはあまりにも短く、したがって各ドメインが別のポリペプチド鎖上の相補ドメインと対形成するのを可能にするリンカーによって連結されたVおよびVドメインを含む(例えば、Holligerら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444−48、およびPoljakら, 1994, Structure 2:1121−23を参照されたい)。ディアボディの2つのポリペプチド鎖が同一であるならば、その対形成から生じるディアボディは、2つの同一の抗原結合性部位を有するであろう。異なる配列を有するポリペプチド鎖を用いて、2つの異なる抗原結合性部位を持つディアボディを作製することも可能である。同様に、トリボディおよびテトラボディは、それぞれ、3つおよび4つのポリペプチド鎖を含み、そして、同じであってもまた異なってもよい、それぞれ、3つおよび4つの抗原結合性部位を形成する抗体である。
KabatらのSequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健社会福祉省, PHS, NIH, NIH刊行物第91−3242号, 1991に記載される系を用いて、所定の抗体の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)を同定してもよい。1以上のCDRを共有的または非共有的のいずれかで分子に取り込んで、抗原結合性タンパク質にすることも可能である。抗原結合性タンパク質は、より長いポリペプチド鎖の一部としてCDR(単数または複数)を取り込むことも可能であるし、別のポリペプチド鎖にCDR(単数または複数)を共有結合させることも可能であるし、または非共有的にCDR(単数または複数)を取り込むことも可能である。CDRは、抗原結合性タンパク質が、関心対象の特定の抗原に特異的に結合するのを可能にする。
抗原結合性タンパク質は、1以上の結合性部位を有してもよい。1より多い結合性部位がある場合、結合性部位は、互いに同一であっても、また異なってもよい。例えば、天然存在ヒト免疫グロブリンは、典型的には2つの同一の結合性部位を有し、一方、「二重特異性」または「二官能性」抗体は、2つの異なる結合性部位を有する。
用語「ヒト抗体」には、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1以上の可変領域および定常領域を有する抗体すべてが含まれる。1つの態様において、可変ドメインおよび定常ドメインのすべてがヒト免疫グロブリン配列に由来する(完全ヒト抗体)。これらの抗体は、多様な方法で調製可能であり、その例を以下に記載し、これらには、ヒト重鎖および/または軽鎖をコードする遺伝子に由来する抗体を発現するように遺伝子修飾されたマウスの、関心対象の抗原での免疫が含まれる。
ヒト化抗体は、ヒト被験体に投与された際、非ヒト種抗体に比較すると、免疫応答を誘導する可能性がより低く、そして/またはより重度でない免疫応答を誘導するように、1以上のアミノ酸置換、欠失、および/または付加によって、非ヒト種に由来する抗体の配列と異なる配列を有する。1つの態様において、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメイン中の特定のアミノ酸を突然変異させて、ヒト化抗体を産生する。別の態様において、ヒト抗体由来の定常ドメイン(単数または複数)を、非ヒト種の可変ドメイン(単数または複数)に融合させる。別の態様において、非ヒト抗体の1以上のCDR配列中の1以上のアミノ酸残基を変化させて、ヒト被験体に投与された際、非ヒト抗体のありうる免疫原性を減少させ、ここで抗原へのヒト化抗体の結合が、抗原への非ヒト抗体の結合より有意に劣らないように、変化させるアミノ酸残基は、抗原への抗体の免疫特異的結合に必須でないか、または作製されるアミノ酸配列への変化が保存的変化であるか、いずれかである。ヒト化抗体をどのように作製するかの例は、米国特許第6,054,297号、第5,886,152号、および第5,877,293号に見出すことも可能である。
用語「キメラ抗体」は、1つの抗体由来の1以上の領域および1以上の他の抗体由来の1以上の他の領域を含有する抗体を指す。1つの態様において、1以上のCDRが、ヒト抗PAR−2抗体に由来する。別の態様において、すべてのCDRが、ヒト抗PAR−2抗体に由来する。別の態様において、1より多いヒト抗PAR−2抗体由来のCDRを混合し、そしてキメラ抗体中でマッチングさせる。例えば、キメラ抗体は、第一のヒト抗PAR−2抗体の軽鎖由来のCDR1、第二のヒト抗PAR−2抗体の軽鎖由来のCDR2およびCDR3、ならびに第三の抗PAR−2抗体由来の重鎖由来のCDRを含んでもよい。さらに、フレームワーク領域は、同じ抗PAR−2抗体の1つに、ヒト抗体などの1以上の異なる抗体に、またはヒト化抗体に由来してもよい。キメラ抗体の1つの例において、重鎖および/または軽鎖の部分は、特定の種由来であるか、あるいは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体と、同一であるか、該抗体に相同であるか、または該抗体に由来する一方、鎖(単数または複数)の残りは、別の種由来であるか、あるいは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体(単数または複数)と、同一であるか、該抗体に相同であるか、または該抗体に由来する。やはり含まれるのは、所望の生物学的活性(すなわちPAR−2に特異的に結合する能力)を示す、こうした抗体の断片である。例えば米国特許第4,816,567号およびMorrison, 1985, Science 229:1202−07を参照されたい。
「中和抗体」または「阻害性抗体」は、本明細書において実施例に記載するものなどのアッセイを用いて、過剰な抗PAR−2抗体が、活性化の量を、少なくとも約20%減少させる場合の、PAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する抗体である。多様な態様において、抗原結合性タンパク質は、PAR−2のタンパク質分解的活性化の量を、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、および99.9%減少させる。
抗体の断片または類似体は、本明細書の解説にしたがって、そして当該技術分野に周知の技術を用いて、一般の当業者によって、容易に調製可能である。断片または類似体の好ましいアミノ末端およびカルボキシ末端は、機能ドメインの境界近傍に存在する。公共のまたは私有の(proprietary)配列データベースに、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを比較することによって、構造ドメインおよび機能ドメインを同定することも可能である。コンピュータ比較法を用いて、既知の構造および/または機能を持つ他のタンパク質に存在する配列モチーフまたは予測されるタンパク質コンホメーションドメインを同定してもよい。既知の三次元構造にフォールディングするタンパク質配列を同定する方法が知られる。例えばBowieら, 1991, Science 253:164を参照されたい。
「CDR移植抗体」は、特定の種またはアイソタイプの抗体由来の1以上のCDR、および同じまたは異なる種またはアイソタイプの別の抗体のフレームワークを含む抗体である。
「多重特異性抗体」は、1以上の抗原上の1より多いエピトープを認識する抗体である。この種の抗体のサブクラスは、同じまたは異なる抗原上の2つの別個のエピトープを認識する「二重特異性抗体」である。
抗原結合性タンパク質は、1ナノモル以下の解離定数で、抗原に結合する場合、抗原(例えばヒトPAR−2)に「特異的に結合する」。
「抗原結合性ドメイン」、「抗原結合性領域」、または「抗原結合性部位」は、抗原と相互作用して、そして抗原に対する抗原結合性タンパク質の特異性および親和性に寄与するアミノ酸残基(または他の部分)を含有する抗原結合性タンパク質の部分である。抗原に特異的に結合する抗体に関しては、CDRドメインの少なくとも1つの少なくとも部分を含むであろう。
「エピトープ」は、抗原結合性タンパク質によって(例えば抗体によって)結合される分子の部分である。エピトープは、分子の非隣接部分を含んでもよい(例えばポリペプチドでは、ポリペプチドの一次配列においては隣接しないが、ポリペプチドの三次構造および四次構造の関連においては、互いに、抗原結合性タンパク質によって結合されるのに十分に近い、アミノ酸残基)。
2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の「同一性パーセント」は、デフォルト・パラメータを用い、GAPコンピュータ・プログラム(GCGウィスコンシン・パッケージ、バージョン10.3(Accelrys、カリフォルニア州サンディエゴ)の一部)を用いて、配列を比較することによって決定される。
用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書全体を通じて交換可能に用いられ、そしてDNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えばmRNA)、ヌクレオチド類似体(例えばペプチド核酸および非天然存在ヌクレオチド類似体)を用いて生成されるDNAまたはRNAの類似体、およびそれらのハイブリッドを含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であることも可能である。1つの態様において、本発明の核酸分子は、本発明の抗体、あるいはその断片、誘導体、突然変異タンパク質、または変異体をコードする、隣接オープンリーディングフレームを含む。
2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、ギャップを導入することなく、そしていずれの配列の5’端または3’端にも、対形成しないヌクレオチドを伴わずに、一方のポリヌクレオチド中のすべてのヌクレオチドが、他方のポリヌクレオチド中の相補的ヌクレオチドと反対であるように、逆平行配向で並列可能であるならば、互いに「相補体」である。ポリヌクレオチドは、中程度にストリンジェントな条件下で、2つのポリヌクレオチドが互いにハイブリダイズ可能であるならば、別のポリヌクレオチドに「相補的」である。したがって、ポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドの相補体であることなく、該ポリヌクレオチドに相補的であることも可能である。
「ベクター」は、連結された別の核酸を、細胞内に導入するために使用可能な核酸である。ベクターの1種類は「プラスミド」であり、その内部にさらなる核酸セグメントを連結可能な、直鎖または環状二重鎖DNA分子を指す。別の種類のベクターはウイルスベクター(例えば複製不全レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)であり、ここで、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノム内に導入可能である。ある特定のベクターは、導入された宿主細胞において、自律的に複製可能である(例えば細菌複製起点を含む細菌ベクター、およびエピソーム哺乳動物ベクター)。宿主細胞内への導入に際して、宿主細胞のゲノム内に他のベクター(例えば非エピソーム哺乳動物ベクター)を組み込んで、そしてそれによって宿主ゲノムと一緒に複製させる。「発現ベクター」は、選択したポリヌクレオチドの発現を指示することも可能なベクターの種類である。
ヌクレオチド配列は、制御配列が該ヌクレオチド配列の発現(例えば発現のレベル、時期、または位置)に影響を及ぼすならば、該制御配列に「機能可能であるように連結されて」いる。「制御配列」は、機能可能であるように連結されている核酸の発現(例えば発現のレベル、時期、または位置)に影響を及ぼす核酸である。制御配列は、例えば、制御される核酸に対して直接、または1以上の他の分子(例えば制御配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用を通じて、その効果を発揮する。制御配列の例には、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節要素(例えばポリアデニル化シグナル)が含まれる。制御配列のさらなる例は、例えば、Goeddel, 1990, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, カリフォルニア州サンディエゴ、およびBaronら, 1995, Nucleic Acids Res. 23:3605−06に記載される。
「宿主細胞」は、核酸、例えば本発明の核酸を発現するために使用可能な細胞である。宿主細胞は、原核生物、例えば大腸菌(E.coli)であってもよいし、または真核生物、例えば単細胞真核生物(例えば酵母(yeast)または他の真菌)、植物細胞(例えばタバコ(tobacco)またはトマト(tomato)植物細胞)、動物細胞(例えばヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)またはハイブリドーマであってもよい。宿主細胞の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら, 1981, Cell 23:175を参照されたい)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはVeggie CHOなどのその誘導体および血清不含培地中で増殖する関連細胞株(Rasmussenら, 1998, Cytotechnology 28:31を参照されたい)またはDHFRが欠損しているCHO株DX−B11(Urlaubら, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−20を参照されたい)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、アフリカミドリザル(African green monkey)腎臓細胞株CV1(ATCC CCL 70)由来のCV1/EBNA細胞株(McMahanら, 1991, EMBO J. 10:2821を参照されたい)、ヒト胚性腎細胞、例えば293、293 EBNAまたはMSR 293、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換霊長類細胞株、正常二倍体細胞、初代組織のin vitro培養由来の細胞株、初代外植片、HL−60、U937、HaKまたはJurkat細胞であってもよい。典型的には、宿主細胞は、その後、宿主細胞で発現可能なポリペプチドをコードする核酸で形質転換またはトランスフェクションされることが可能な、培養細胞である。句「組換え宿主細胞」を用いて、発現しようとする核酸で形質転換されているかまたはトランスフェクションされている宿主細胞を示すためにも使用されうる。宿主細胞はまた、核酸を含むが、機能可能であるように核酸と連結されるように、制御配列が宿主細胞に導入されない限り、所望のレベルで該核酸を発現しない、細胞であってもよい。用語、宿主細胞は、特定の対象の細胞だけでなく、こうした細胞の子孫または潜在的な子孫も指す。例えば、突然変異または環境的影響によって、続く世代で特定の修飾が起こりうるため、こうした子孫は、実際、親細胞と同一でない可能性もあるが、なお、本明細書において、この用語の範囲内に含まれる。
PAR−2
先に論じたように、PAR−2は、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体スーパーファミリーのメンバーであり;係留されたリガンドを形成するN末端のタンパク質分解的切断によって活性化が開始される。ヒトPAR−2のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を配列番号1および2に示し;マウスPAR−2のアミノ酸配列を配列番号3に示し、そしてラットPAR−2のアミノ酸配列を配列番号4に示す。タンパク質分解的切断は、この受容体の活性化型を生じ、この型は、本明細書において、交換可能に「切断」または「切り取り」PAR−2と称される。
抗原結合性タンパク質
1つの側面において、本発明は、PAR−2、例えばヒトPAR−2に結合する、抗原結合性タンパク質(例えば抗体、抗体断片、抗体誘導体、抗体突然変異タンパク質、および抗体変異体)を提供する。
本発明にしたがった抗原結合性タンパク質には、PAR−2の生物学的活性を阻害する抗原結合性タンパク質が含まれる。こうした生物学的活性の例には、Gタンパク質共役型受容体が仲介する一般的なシグナル伝達経路、例えばイノシトール1,4,5−三リン酸産生およびCa(2+)可動化、の活性化、ならびにERK、p38MAPK、JNK、およびIKKを含む多数のキナーゼ経路の活性化が含まれる。他の生物学的活性には、外傷および炎症に対する反応など、PAR−2がin vivoで仲介するものが含まれ;特に、PAR−2は、心臓血管系、肺系および胃腸系に関与し、こうした系において、炎症および痛覚(痛みの知覚)を制御する。PAR−2活性化はまた、炎症性反応においても役割を果たし、こうした反応の慢性的活性化は、疾患状態を導きうる。
異なる抗原結合性タンパク質は、PAR−2の異なるドメインまたはエピトープに結合するか、あるいは異なる作用機構によって作用することも可能である。例には、限定されるわけではないが、PAR−2のタンパク質分解的活性化に干渉するか、またはシグナル伝達を阻害する抗原結合性タンパク質が含まれる。作用部位は、例えば、細胞内(例えば細胞内シグナル伝達カスケードに干渉することによる)または細胞外であることも可能である。抗原結合性タンパク質は、本発明における使用を見出すために、PAR−2が誘導する活性を完全に阻害する必要はなく;むしろ、PAR−2の特定の活性を減少させる抗原結合性タンパク質もまた、使用のために意図される(特定の疾患を治療する際のPAR−2結合性抗原結合性タンパク質の特定の作用機構の本明細書の考察は、例示のみであり、そして本明細書に提示する方法は、それに束縛されない)。
本発明の範囲内の抗PAR−2抗体の他の誘導体には、抗PAR−2抗体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合した異種ポリペプチドを含む組換え融合タンパク質の発現によるなどの、他のタンパク質またはポリペプチドとの抗PAR−2抗体またはその断片の共有または凝集コンジュゲート(covalent and aggregative conjugates)が含まれる。例えば、コンジュゲート化されるペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば酵母アルファ因子リーダー、またはエピトープタグなどのペプチドであってもよい。抗原結合性タンパク質を含有する融合タンパク質は、抗原結合性タンパク質の精製または同定を促進するために付加されるペプチド(例えばポリHis)を含んでもよい。また、抗原結合性タンパク質を、Hoppら, Bio/Technology 6:1204, 1988、および米国特許第5,011,912号に記載されるような、FLAGペプチド、Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys(DYKDDDDK)(配列番号7)に連結してもよい。FLAGペプチドは、非常に抗原性であり、そして特異的モノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現された組換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所定のポリペプチドに融合される融合タンパク質を調製するのに有用な試薬が、商業的に入手可能である(Sigma、ミズーリ州セントルイス)。
1以上の抗原結合性タンパク質を含有するオリゴマーをPAR−2アンタゴニストとして使用してもよい。オリゴマーは、共有結合したまたは非共有結合した、二量体、三量体、またはより高次のオリゴマーの形であることも可能である。2以上の抗原結合性タンパク質を含むオリゴマーが使用のために意図され、一例がホモ二量体である。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体等が含まれる。
1つの態様は、抗原結合性タンパク質に融合したペプチド部分間の共有相互作用または非共有相互作用を介して連結された、多数の抗原結合性タンパク質を含むオリゴマーに向けられる。こうしたペプチドは、ペプチド・リンカー(スペーサー)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。以下により詳細に記載するように、ロイシンジッパー、および抗体由来の特定のポリペプチドが、それに付着した抗原結合性タンパク質のオリゴマー化を促進可能なペプチドの中にある。
特定の態様において、オリゴマーは、2〜4の抗原結合性タンパク質を含む。オリゴマーの抗原結合性タンパク質は、上述の型のいずれか、例えば変異体または断片などの、いかなる型であってもよい。好ましくは、オリゴマーは、PAR−2結合活性を有する、抗原結合性タンパク質を含む。
1つの態様において、免疫グロブリン由来のポリペプチドを用いて、オリゴマーを調製する。抗体由来ポリペプチドの多様な部分(Fcドメインを含む)に融合した特定の異種ポリペプチドを含む、融合タンパク質の調製は、例えばAshkenaziら, 1991, PNAS USA 88:10535; Byrnら, 1990, Nature 344:677;およびHollenbaughら, 1992 “Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins”, Current Protocols in Immunology中, 補遺4, 10.19.1−10.19.11ページによって記載されてきている。
本発明の1つの態様は、抗PAR−2抗体のPAR−2結合性断片を、抗体のFc領域に融合させることによって生成される2つの融合タンパク質を含む二量体に向けられる。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を、適切な発現ベクター内に挿入し、組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞において、遺伝子融合体を発現させ、そして抗体分子とそっくりに集合させて、その際、Fc部分間に鎖間ジスルフィド結合が形成されるのを可能にして、二量体を生じることによって、作製可能である。
用語「Fcポリペプチド」には、本明細書において、抗体のFc領域由来のポリペプチドの天然型および突然変異タンパク質型が含まれる。二量体化を促進するヒンジ領域を含有する、こうしたポリペプチドの一部切除(truncated)型もまた含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(およびそこから形成されるオリゴマー)は、プロテインAまたはプロテインGカラム上のアフィニティークロマトグラフィーによって精製が容易であるという利点を提供する。
1つの適切なFcポリペプチドは、PCT出願WO 93/10151(本明細書に援用される)に記載される、ヒトIgG1抗体のFc領域のN末端ヒンジ領域から天然C末端に渡る一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号およびBaumら, 1994, EMBO J. 13:3992−4001に記載されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変化し、アミノ酸20がLeuからGluに変化し、そしてアミノ酸22がGlyからAlaに変化していることを除けば、WO 93/10151に示される天然Fc配列のものと同一である。該突然変異タンパク質は、Fc受容体に対し、減少した親和性を示す。
他の態様において、抗PAR−2抗体の重鎖および/または軽鎖の可変部分を、抗体重鎖および/または軽鎖の可変部分に対して置換してもよい。
あるいは、オリゴマーは、ペプチド・リンカー(スペーサー・ペプチド)を含むかまたは含まない、多数の抗原結合性タンパク質を含む融合タンパク質である。適切なペプチド・リンカーの中には、米国特許第4,751,180号および第4,935,233号に記載されるものがある。
オリゴマー性抗原結合性タンパク質を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインは、これらが見られるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元来、いくつかのDNA結合性タンパク質で同定され(Landschulzら, 1988, Science 240:1759)、そして以来、多様な異なるタンパク質で発見されてきた。既知のロイシンジッパーの中には、二量体化または三量体化する天然存在ペプチドおよびその誘導体がある。可溶性オリゴマー性タンパク質を産生するのに適したロイシンジッパードメインの例が、本明細書に援用される、PCT出願WO 94/10308に記載され、そして肺界面活性タンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーが、Hoppeら, 1994, FEBS Letters 344:191に記載される。融合された異種タンパク質の安定な三量体化を可能にする、修飾ロイシンジッパーの使用が、Fanslowら, 1994, Semin. Immunol. 6:267−78に記載される。1つのアプローチにおいて、ロイシンジッパーペプチドに融合した抗PAR−2抗体断片または誘導体を含む組換え融合タンパク質を、適切な宿主細胞において発現させて、そして形成される可溶性オリゴマー性抗PAR−2抗体断片または誘導体を、培養上清から回収する。
1つの側面において、本発明は、PAR−2のタンパク質分解的活性化に干渉する抗原結合性タンパク質を提供する。PAR−2、あるいはその断片、変異体または誘導体に対して、こうした抗原結合性タンパク質を作製し、そしてPAR−2のタンパク質分解的活性化に干渉する能力に関して、慣用的なアッセイでスクリーニングしてもよい。適切なアッセイの例は、PAR−2を発現している細胞のタンパク質分解的活性化を阻害する能力に関して、抗原結合性タンパク質を試験するアッセイ、あるいは細胞表面PAR−2受容体のタンパク質分解的活性化から生じる生物学的反応または細胞性反応を減少させる能力に関して、抗原結合性タンパク質を試験するアッセイである。抗原結合性タンパク質を試験する、さらなるアッセイには、タンパク質分解的に切断されたPAR−2ポリペプチドの結合に対して、全長成熟PAR−2ポリペプチドへの抗原結合性タンパク質の結合を定性的にまたは定量的に比較するものが含まれ、そのいくつかの例を本明細書に開示する。
別の側面において、本発明は、種選択性を示す抗原結合性タンパク質を提供する。1つの態様において、抗原結合性タンパク質は、1以上の哺乳動物PAR−2に、例えばヒトPAR−2に、そしてマウス、ラット、モルモット、ハムスター、スナネズミ(gerbil)、ネコ、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダ、および非ヒト霊長類PAR−2の1以上に結合する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、1以上の霊長類PAR−2に、例えば、ヒトPAR−2に、そしてカニクイザル、マーモセット(marmoset)、アカゲザル(rhesus)およびチンパンジーPAR−2の1以上に結合する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、ヒト、カニクイザル、マーモセット、アカゲザル、またはチンパンジーPAR−2に特異的に結合する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、スナネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダ、および非ヒト霊長類PAR−2の1以上に結合しない。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、マーモセットなどの新世界ザル種には結合しない。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、PAR−2以外の天然存在タンパク質のいずれにも特異的結合を示さない。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、哺乳動物PAR−2以外の天然存在タンパク質のいずれにも特異的結合を示さない。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、霊長類PAR−2以外の天然存在タンパク質のいずれにも特異的結合を示さない。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、ヒトPAR−2以外の天然存在タンパク質のいずれにも特異的結合を示さない。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトPAR−2に特異的に結合する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトPAR−2に、類似の結合親和性で、特異的に結合する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトPAR−2のタンパク質分解的活性化の結合を遮断する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、Ca2+可動化アッセイにおいて、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトのPAR−2に対して、類似のIC50を有する。
当該技術分野に周知の方法を用いて、そして本明細書の解説にしたがって、PAR−2に対する抗原結合性タンパク質の選択性を測定してもよい。例えば、ウェスタンブロット、FACS、ELISAまたはRIAを用いて、選択性を測定してもよい。
別の側面において、本発明は、以下の特性:ヒトおよびネズミPAR−2の両方に結合する特性、ヒトPAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する特性、ネズミPAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する特性、PAR−2のタンパク質分解的切断部位に、またはその近傍に結合する特性、細胞表面に発現されたPAR−2の下方制御を比較的少ししか引き起こさない特性の1以上を有する、PAR−2結合性抗原結合性タンパク質(例えば、抗PAR−2抗体)を提供する。
慣用的技術によって、本発明の抗原結合性タンパク質の抗原結合性断片を産生してもよい。こうした断片の例には、限定されるわけではないが、FabおよびF(ab’)断片が含まれる。遺伝子操作技術によって産生される抗体断片および誘導体もまた意図される。
さらなる態様には、キメラ抗体、例えば非ヒト(例えばネズミ)モノクローナル抗体のヒト化型が含まれる。既知の技術によって、こうしたヒト化抗体を調製してもよく、そしてこうした抗体は、ヒトに投与された際、免疫原性が減少しているという利点を提供する。1つの態様において、ヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ抗体の可変ドメイン(あるいはその抗原結合性部位のすべてまたは一部)およびヒト抗体由来の定常ドメインを含む。あるいは、ヒト化抗体断片は、ネズミモノクローナル抗体の抗原結合性部位およびヒト抗体由来の可変ドメイン断片(抗原結合性部位を欠く)を含んでもよい。キメラ抗体およびさらに操作されたモノクローナル抗体の産生法には、Riechmannら, 1988, Nature 332:323, Liuら, 1987, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 84:3439, Larrickら, 1989, Bio/Technology 7:934, およびWinterら, 1993, TIPS 14:139に記載されるものが含まれる。1つの態様において、キメラ抗体はCDR移植抗体である。抗体をヒト化するための技術は、例えば米国特許出願第10/194,975号(2003年2月27日公表)、米国特許第5,869,619号、第5,225,539号、第5,821,337号、第5,859,205号、Padlanら, 1995, FASEB J. 9:133−39, およびTamuraら, 2000, J. Immunol. 164:1432−41に論じられる。
非ヒト動物において、ヒト抗体または部分的ヒト抗体を生成するための方法が開発されてきている。例えば、1以上の内因性免疫グロブリン遺伝子が、多様な手段によって不活性化されたマウスが用意されてきている。ヒト免疫グロブリン遺伝子が該マウスに導入され、不活性化されたマウス遺伝子が置換されている。該動物において産生される抗体は、動物に導入されたヒト遺伝物質にコードされるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を取り込む。1つの態様において、トランスジェニックマウスなどの非ヒト動物を、PAR−2ポリペプチドに対して向けられる抗体が該動物において生成されるように、PAR−2ポリペプチドで免疫する。適切な免疫原の一例は、PAR−2のタンパク質分解的切断部位を含むポリペプチドなどの可溶性ヒトPAR−2、または他の免疫原性断片PAR−2である。適切な免疫原の別の例は、高レベルのPAR−2を発現している細胞、または該細胞に由来する細胞膜調製物である。ヒト抗体または部分的ヒト抗体の産生用のトランスジェニック動物の産生および使用のための技術の例が、米国特許第5,814,318号、第5,569,825号、および第5,545,806号、Davisら, 2003, “Production of human antibodies from transgenic mice,” Lo監修 Antibody Engineering: Methods and Protocols中, Humana Press, NJ:191−200, Kellermannら, 2002, Curr Opin Biotechnol. 13:593−97, Russelら, 2000, Infect Immun. 68:1820−26, Galloら, 2000, Eur J Immun. 30:534−40, Davisら, 1999, Cancer Metastasis Rev. 18:421−25, Green, 1999, J Immunol Methods. 231:11−23, Jakobovits, 1998, Advanced Drug Delivery Reviews 31:33−42, Greenら, 1998, J Exp Med. 188:483−95, Jakobovits A, 1998, Exp. Opin. Invest. Drugs. 7:607−14, Tsudaら, 1997, Genomics. 42:413−21, Mendezら, 1997, Nat Genet. 15:146−56, Jakobovits, 1994, Curr Biol. 4:761−63, Arbonesら, 1994, Immunity. 1:247−60, Greenら, 1994, Nat Genet. 7:13−21, Jakobovitsら, 1993, Nature. 362:255−58, Jakobovitsら, 1993, Proc Natl Acad Sci U S A. 90:2551−55. Chen, J., M. Trounstine, F. W. Alt, F. Young, C. Kurahara, J. Loring, D. Huszar. “Immunoglobulin gene rearrangement in B cell deficient mice generated by targeted deletion of the JH locus.” lnternational Immunology 5(1993): 647−656, Choiら, 1993, Nature Genetics 4: 117−23, Fishwildら, 1996, Nature Biotechnology 14: 845−51, Hardingら, 1995, Annals of the New York Academy of Sciences, Lonbergら, 1994, Nature 368: 856−59, Lonberg, 1994, “Transgenic Approaches to Human Monoclonal Antibodies” Handbook of Experimental Pharmacology中 113: 49−101, Lonbergら, 1995, Internal Review of Immunology 13: 65−93, Neuberger, 1996, Nature Biotechnology 14: 826, Taylorら, 1992, Nucleic Acids Research 20: 6287−95, Taylorら, 1994, International Immunology 6: 579−91, Tomizukaら, 1997, Nature Genetics 16: 133−43, Tomizukaら, 2000, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 97: 722−27, Tuaillonら, 1993, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 90: 3720−24, およびTuaillonら, 1994, Journal of Immunology 152:2912−20に記載される。
別の側面において、本発明は、PAR−2に結合するモノクローナル抗体を提供する。当該技術分野に知られる技術いずれかを用いて、例えば、免疫スケジュールの完了後に、トランスジェニック動物から採取した脾臓細胞を不死化することによって、モノクローナル抗体を産生してもよい。当該技術分野に知られる技術いずれかを用いて、例えば、骨髄腫細胞(myeloma)と融合させてハイブリドーマを産生することによって、脾臓細胞を不死化してもよい。ハイブリドーマを産生する融合法で使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体産生性であり、高い融合効率を有し、そして所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択培地中で増殖することが不可能であるようにする酵素不全を有する。マウス融合体で使用するのに適した細胞株の例には、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG 1.7およびS194/5XX0 Bulが含まれ;ラット融合体で使用する細胞株の例には、R210.RCY3、Y3−Ag 1.2.3、IR983Fおよび4B210が含まれる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2およびUC729−6である。
1つの態様において、動物(例えばヒト免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物)をPAR−2免疫原で免疫し;免疫動物から脾臓細胞を採取し;採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株と融合させ、それによってハイブリドーマ細胞を生成し;ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を樹立し、そしてPAR−2ポリペプチドに結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することによって、ハイブリドーマ細胞株を産生する。こうしたハイブリドーマ細胞株、およびこれらに産生される抗PAR−2モノクローナル抗体が、本発明に含まれる。
当該技術分野に知られるいかなる技術を用いて、ハイブリドーマ細胞株に分泌されるモノクローナル抗体を精製してもよい。ハイブリドーマまたはmAbをさらにスクリーニングして、PAR−2が誘導する活性を遮断する能力などの、特定の特性を持つmAbを同定してもよい。こうしたスクリーニングの例を以下の実施例に提供する。
また、遺伝子免疫と称されるプロセスを用いて、モノクローナル抗体を産生してもよい。例えば、ウイルスベクター(アデノウイルスベクターなど)内に、関心対象の抗原をコードする核酸を取り込んでもよい。次いで、生じたベクターを用いて、適切な宿主動物(例えば、非肥満糖尿病またはNODマウス)において、関心対象の抗原に対する免疫応答を発展させる。この技術は、Ritterら, Biodrugs16(1):3−10(2002)に実質的に記載され、該文献の開示は本明細書に援用される。
抗体結合性部位の中央の相補性決定領域(CDR)の分子進化もまた、増加した親和性を持つ抗体、例えばSchierら, 1996, J. Mol. Biol. 263:551に記載されるように、c−erbB−2に対して増加した親和性を有する抗体を単離するのに用いられてきている。したがって、こうした技術は、PAR−2に対する抗体を調製する際に有用である。
PAR−2に対して向けられる抗原結合性タンパク質は、例えばin vitroまたはin vivoのいずれかで、PAR−2ポリペプチドの存在を検出するアッセイにおいて使用可能である。抗原結合性タンパク質はまた、免疫親和性クロマトグラフィーによってPAR−2タンパク質を精製する際にも使用可能である。さらにPAR−2のタンパク質分解的活性化を遮断可能な抗原結合性タンパク質を用いて、こうした結合から生じる生物学的活性を阻害してもよい。遮断性抗原結合性タンパク質は、本発明の方法において使用可能である。PAR−2アンタゴニストとして機能するこうした抗原結合性タンパク質は、限定されるわけではないが、炎症状態を含む、PAR−2が誘導する状態のいずれかを治療する際に使用可能である。1つの態様において、こうした状態を治療する際に、トランスジェニックマウスの免疫を伴う方法によって生成されるヒト抗PAR−2モノクローナル抗体を使用する。
抗原結合性タンパク質を、in vitro法で使用するか、またはin vivoで投与して、PAR−2が誘導する生物学的活性を阻害してもよい。このようにして、その例が本明細書に提供される、PAR−2のタンパク質分解的活性化によって引き起こされるかまたは悪化させられる(直接または間接的に)障害を、治療してもよい。1つの態様において、本発明は、PAR−2が誘導する生物学的活性を減少させるのに有効な量で、その必要がある哺乳動物に、PAR−2遮断性抗原結合性タンパク質をin vivo投与することを含む療法を提供する。
本発明の抗原結合性タンパク質には、PAR−2の生物学的活性を阻害する、部分的ヒトおよび完全ヒト・モノクローナル抗体が含まれる。1つの態様は、ヒトPAR−2のタンパク質分解的活性化を少なくとも部分的に遮断する、ヒト・モノクローナル抗体に向けられる。1つの態様において、PAR−2免疫原でトランスジェニックマウスを免疫することによって、抗体を生成する。別の態様において、免疫原は、ヒトPAR−2ポリペプチド(例えばPAR−2切断部位のすべてまたは一部を含む可溶性断片)である。こうした免疫マウスから得られるハイブリドーマ細胞株であって、PAR−2に結合するモノクローナル抗体を分泌する、前記ハイブリドーマ細胞株もまた、本明細書に提供する。
ヒト抗体、部分的ヒト抗体、またはヒト化抗体は、多くの適用、特にヒト被験体への抗体の投与を伴うものに適切であろうが、特定の適用には、他の種類の抗原結合性タンパク質が適切であろう。本発明の非ヒト抗体は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、または非ヒト霊長類(サル(例えばカニクイザルまたはアカゲザル)または類人猿(例えばチンパンジー)など)などの抗体産生動物いずれに由来してもよい。本発明の非ヒト抗体を、例えばin vitroおよび細胞培養に基づく適用、あるいは本発明の抗体に対する免疫応答が起こらないか、重要でないか、防止可能であるか、それに関する懸念がないか、またはそれが望ましい、他の適用いずれかにおいて、使用してもよい。1つの態様において、本発明の非ヒト抗体を、非ヒト被験体に投与する。別の態様において、非ヒト抗体は、非ヒト被験体において、免疫応答を誘発しない。別の態様において、非ヒト抗体は、非ヒト被験体と同じ種由来であり、例えば本発明のマウス抗体をマウスに投与する。特定の種由来の抗体を、例えば、その種の動物を所望の免疫原(例えば可溶性PAR−2ポリペプチド)で免疫するか、またはその種の抗体を生成するための人工的系(例えば特定の種の抗体を生成するための細菌またはファージ・ディスプレイに基づく系)を用いることによって、あるいは例えば抗体の定常領域を他の種由来の定常領域で置換することにより、1つの種由来の抗体を別の種由来の抗体に変換することによって、あるいは他の種由来の抗体の配列により緊密に似るように、抗体の1以上のアミノ酸残基を置換することによって、作製してもよい。1つの態様において、抗体は、2以上の異なる種由来の抗体に由来するアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。
いくつかの慣用的技術のいずれによって、抗原結合性タンパク質を調製してもよい。例えば、当該技術分野に知られる技術いずれかを用いて、天然に該タンパク質を発現する細胞から精製してもよいし(例えば抗体を産生するハイブリドーマから抗体を精製してもよい)、または組換え発現系で産生してもよい。例えば、Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Kennetら(監修), Plenum Press, ニューヨーク(1980);ならびにAntibodies: A Laboratory Manual, HarlowおよびLand(監修), Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1988)を参照されたい。
当該技術分野に知られるいかなる発現系を用いて、本発明の組換えポリペプチドを作製してもよい。一般的に、所望のポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターで、宿主細胞を形質転換する。使用可能な宿主細胞の中には、原核生物、酵母またはより高次の真核細胞がある。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば大腸菌またはバチルス(bacilli)が含まれる。より高次の真核細胞には、昆虫細胞および哺乳動物起源の樹立細胞株が含まれる。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら, 1981, Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcMahanら, 1991, EMBO J. 10:2821に記載されるような、アフリカミドリザル腎臓細胞株CV1(ATCC CCL 70)由来のCV1/EBNA細胞株が含まれる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主で使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターが、Pouwelsら(Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, ニューヨーク, 1985)に記載される。
ポリペプチドの発現を促進する条件下で形質転換細胞を培養し、そして慣用的なタンパク質精製法によってポリペプチドを回収してもよい。1つのこうした精製法には、例えば結合したPAR−2のすべてまたは一部(例えば細胞外ドメイン)を有するマトリックス上での、アフィニティークロマトグラフィーの使用が含まれる。本明細書において使用が意図されるポリペプチドには、混入する内因性物質を実質的に含まない、実質的に均質な組換え哺乳動物抗PAR−2抗体ポリペプチドが含まれる。
いくつかの既知の技術のいずれによって、抗原結合性タンパク質を調製し、そして所望の特性に関してスクリーニングしてもよい。特定の技術は、関心対象の抗原結合性タンパク質(例えば抗PAR−2抗体)のポリペプチド鎖(またはその一部)をコードする核酸を単離し、そして組換えDNA技術を通じて核酸を操作することを伴う。核酸を、関心対象の別の核酸に融合させるか、または改変して(例えば突然変異誘発または他の慣用的技術によって)、例えば、1以上のアミノ酸残基を付加するか、欠失させるか、または置換してもよい。
1つの側面において、本発明は、本発明の抗PAR−2抗体の抗原結合性断片を提供する。こうした断片は、完全に抗体由来配列からなってもよいし、またはさらなる配列を含んでもよい。抗原結合性断片の例には、Fab、F(ab’)2、一本鎖抗体、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、およびドメイン抗体が含まれる。他の例が、Lundeら, 2002, Biochem. Soc. Trans. 30:500−06に提供される。
アミノ酸架橋(短いペプチド・リンカー)を介して、重鎖および軽鎖可変ドメイン(Fv領域)断片を連結して、単一ポリペプチド鎖を生じることによって、一本鎖抗体を形成してもよい。こうした一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメイン・ポリペプチド(VおよびV)をコードするDNA間に、ペプチド・リンカーをコードするDNAを融合させることによって、調製されてきている。2つの可変ドメイン間の柔軟なリンカーの長さに応じて、生じるポリペプチドは、それ自体、折り畳まれて、抗原結合性単量体を形成することも可能であるし、または多量体(例えば二量体、三量体、または四量体)を形成することも可能である(Korttら, 1997, Prot. Eng. 10:423; Korttら, 2001, Biomol. Eng. 18:95−108)。異なるVおよびVを含むポリペプチドを組み合わせることによって、異なるエピトープに結合する多量体scFvを形成することも可能である(Kriangkumら, 2001, Biomol. Eng. 18:31−40)。一本鎖抗体産生のために開発された技術には、米国特許第4,946,778号; Bird, 1988, Science 242:423; Hustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879; Wardら, 1989, Nature 334:544, de Graafら, 2002, Methods Mol Biol. 178:379−87に記載されるものが含まれる。
本発明の抗原結合性タンパク質(例えば抗体、抗体断片、および抗体誘導体)は、当該技術分野に知られる定常領域いずれを含んでもよい。軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ型軽鎖定常領域、例えばヒト・カッパまたはラムダ型軽鎖定常領域であってもよい。重鎖定常領域は、例えば、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー型重鎖定常領域、例えばヒト・アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー型重鎖定常領域であってもよい。1つの態様において、軽鎖または重鎖定常領域は、天然存在定常領域の断片、誘導体、変異体、または突然変異タンパク質である。
関心対象の抗体から、異なるサブクラスまたはアイソタイプの抗体を得るための技術、すなわちサブクラス・スイッチングが知られる。したがって、例えば、IgM抗体からIgG抗体を得ることも可能であり、そして逆も可能である。こうした技術は、所定の抗体(親抗体)の抗原結合特性を所持するが、親抗体のものと異なる抗体アイソタイプまたはサブクラスと関連する生物学的特性もまた示す、新規抗体の調製を可能にする。組換えDNA技術を使用してもよい。特定の抗体ポリペプチドをコードする、クローニングされたDNA、例えば所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAを、こうした方法において使用してもよい。Lanttoら, 2002, Methods Mol. Biol.178:303−16もまた参照されたい。さらに、IgG4が望ましい場合、本明細書に援用される、Bloomら, 1997, Protein Science 6:407に記載されるようなヒンジ領域中の点突然変異(CPSCP→CPPCP)を導入して、IgG4抗体における不均一性を導きうる、H鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減することが望ましい可能性もまたある。
さらに、異なる特性(すなわち結合する抗原に対する多様な親和性)を有する抗原結合性タンパク質を得るための技術もまた知られる。鎖シャッフリングと呼ばれる1つのこうした技術は、糸状バクテリオファージの表面上に免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーをディスプレイすることを伴い、しばしばファージ・ディスプレイと呼ばれる。鎖シャッフリングは、Marksら, 1992, BioTechnology, 10:779に記載されるように、ハプテン2−フェニルオキサゾール−5−オンに対する高親和性抗体を調製するのに用いられてきている。
特定の態様において、本発明の抗原結合性タンパク質は、PAR−2に対して、少なくとも10の結合親和性(K)を有する。他の態様において、抗原結合性タンパク質は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、または少なくとも1010のKを示す。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、本明細書において実施例に記載する抗体のものと実質的に同じKを示す。
別の態様において、本発明は、PAR−2からの低い解離速度を有する抗原結合性タンパク質を提供する。1つの態様において、抗原結合性タンパク質は、1x10−4−1以下のKoffを有する。別の態様において、Koffは5x10−5−1以下である。別の態様において、Koffは、本明細書において実施例に記載する抗体と実質的に同じである。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、本明細書において実施例に記載する抗体と実質的に同じKoffで、PAR−2に結合する。
別の側面において、本発明は、PAR−2の活性、例えばCa2+可動化を阻害する抗原結合性タンパク質を提供する。1つの態様において、抗原結合性タンパク質は、1000nM以下のIC50を有する。別の態様において、IC50は100nM以下であり;別の態様において、IC50は10nM以下である。別の態様において、IC50は、本明細書において実施例に記載する抗体のものと実質的に同じである。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、本明細書において実施例に記載する抗体と実質的に同じIC50で、PAR−2の活性を阻害する。
別の態様において、本発明は、全長PAR−2に結合し、そしてより少ない度合いで、切断されたPAR−2に結合する、抗原結合性タンパク質を提供する。多様な態様において、抗原結合性タンパク質は、切断されたPAR−2に結合するよりも、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、および99.9%少なく、全長PAR−2に結合する。
別の側面において、本発明は、ヒトPAR−2のプロテアーゼ切断部位に、またはその近傍に結合する抗原結合性タンパク質を提供する。当該技術分野に知られるいかなる技術を用いて、プロテアーゼ切断部位に結合する抗原結合性タンパク質を作製してもよい。例えば、全長PAR−2ポリペプチド(例えば膜に結合した調製物中)、PAR−2の可溶性細胞外ドメイン断片、またはプロテアーゼ切断部位を含むかまたはプロテアーゼ切断部位からなるPAR−2細胞外ドメインのより小さい断片(本明細書に提供する例)を用いて、こうした抗原結合性タンパク質を単離してもよい。当該技術分野に知られるいかなる方法を用いて、こうして単離された抗原結合性タンパク質をスクリーニングして、その結合特異性を決定してもよい(本明細書に提供する例)。
別の態様において、本発明は、PAR−2への結合に関して、本明細書に開示する抗体と競合する抗原結合性タンパク質を提供する。当該技術分野に周知の方法によって、例えばウェスタンブロット(またはペプチドに基づく別のアッセイ)中のPAR−2/Fcへの結合における競合によって、または本明細書に記載するようなCa2+流動アッセイにおける競合によって、こうした競合能を決定してもよい。1つの側面において、PAR−2への結合に関して、本明細書に開示する抗体と競合する抗原結合性タンパク質は、該抗体と同じエピトープに結合する。別の側面において、PAR−2への結合に関して、本明細書に開示する抗体と競合する抗原結合性タンパク質は、PAR−2のタンパク質分解的活性化を阻害する。
別の側面において、本発明は、細胞表面上に発現されたヒトPAR−2に結合し、そしてこうして結合した際、細胞表面上のPAR−2の量の有意な減少を引き起こすことなく、細胞におけるPAR−2シグナル伝達活性を阻害する、抗原結合性タンパク質を提供する。細胞表面上および/または細胞内部のPAR−2の量を測定するかまたは概算するためのいかなる方法を用いてもよい。1つの態様において、本発明は、細胞表面上に発現されたヒトPAR−2のプロテアーゼ切断部位に、またはその近傍に結合し、そしてこうして結合した際、細胞表面からのPAR−2の内在化速度を有意に増加させることなく、細胞におけるPAR−2シグナル伝達活性を阻害する、抗原結合性タンパク質を提供する。他の態様において、PAR−2発現細胞への抗原結合性タンパク質の結合は、細胞表面PAR−2の約75%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、5%、1%、または0.1%未満の内在化を引き起こす。
別の側面において、本発明は、in vitroまたはin vivoで(例えばヒト被験体に投与した際)、少なくとも1日の半減期を有する抗原結合性タンパク質を提供する。1つの態様において、抗原結合性タンパク質は、少なくとも3日の半減期を有する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、4日以上の半減期を有する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、8日以上の半減期を有する。別の態様において、非誘導体化または非修飾抗原結合性タンパク質に比較した際、抗原結合性タンパク質が、より長い半減期を有するように、抗原結合性タンパク質を誘導体化するかまたは修飾する。別の態様において、抗原結合性タンパク質は、本明細書に援用される、2000年2月24日公表のWO 00/09560に記載されるような、血清半減期を増加させる1以上の点突然変異を含有する。
本発明は、多重特異性抗原結合性タンパク質、例えば二重特異性抗原結合性タンパク質、例えば、2つの異なる抗原結合性部位または領域を介して、PAR−2の2つの異なるエピトープに、またはPAR−2のエピトープおよび別の分子のエピトープに結合する、抗原結合性タンパク質をさらに提供する。さらに、本明細書に開示するような二重特異性抗原結合性タンパク質は、他の刊行物に言及して、本明細書に記載するものを含めて、本明細書に記載する抗体の1つ由来のPAR−2結合性部位および本明細書に記載する別の抗体由来の第二のPAR−2結合領域を含むことも可能である。あるいは、二重特異性抗原結合性タンパク質は、本明細書に記載する抗体の1つに由来する抗原結合性部位、および当該技術分野に知られる別のPAR−2抗体由来、あるいは既知の方法または本明細書に記載する方法によって調製される抗体由来の第二の抗原結合性部位を含んでもよい。
二重特異性抗体を調製する多くの方法が当該技術分野に知られ、そして2001年4月20日出願の米国特許出願09/839,632(本明細書に援用される)に論じられる。こうした方法には、Milsteinら, 1983, Nature 305:537、および他のもの(米国特許第4,474,893号、米国特許第6,106,833号)に記載されるようなハイブリッド−ハイブリドーマの使用、ならびに抗体断片の化学的カップリングの使用(Brennanら,1985, Science 229:81; Glennieら,1987, J. Immunol. 139:2367;米国特許第6,010,902号)が含まれる。さらに、例えばロイシンジッパー部分(すなわち、優先的にヘテロ二量体を形成する、FosおよびJunタンパク質由来のもの; Kostelnyら, 1992, J. Immnol. 148:1547)または米国特許第5,582,996号に記載されるような、他の錠前および鍵の相互作用ドメイン構造を用いることによって、組換え手段を介して、二重特異性抗体を産生可能である。さらなる有用な技術には、Korttら、1997、上記;米国特許第5,959,083号;および米国特許第5,807,706号に記載されるものが含まれる。
別の側面において、本発明の抗原結合性タンパク質は、抗体の誘導体を含む。誘導体化抗体は、特定の使用における半減期増加など、抗体に望ましい特性を与える分子または物質いずれかを含んでもよい。誘導体化抗体は、例えば、検出可能(または標識)部分(例えば放射性、比色、抗原性または酵素性分子、検出可能ビーズ(磁気ビーズまたは電子密度が高い(electrodense)(例えば金)ビーズ)、または別の分子に結合する分子(例えばビオチンまたはストレプトアビジン))、療法または診断部分(例えば放射性、細胞傷害性、または薬学的活性部分)、あるいは特定の使用(例えばヒト被験体などの被験体への投与、あるいは他のin vivoまたはin vitro使用)のための抗体の適合性を増加させる分子を含むことも可能である。抗体を誘導体化するのに使用可能な分子の例には、アルブミン(例えばヒト血清アルブミン)およびポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。当該技術分野に周知の技術を用いて、抗体のアルブミン連結およびPEG化誘導体を調製することも可能である。1つの態様において、抗体をトランスサイレチン(TTR)またはTTR変異体にコンジュゲート化するかまたは別の方式で連結させる。TTRまたはTTR変異体を、例えば、デキストラン、ポリ(n−ビニルピロリドン(pyurrolidone))、ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコール・ホモ二量体、酸化ポリプロピレン/酸化エチレン・コポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される化学薬品で化学的に修飾してもよい。米国特許出願第20030195154号。
別の側面において、本発明は、本発明の抗原結合性タンパク質を用いて、PAR−2に結合する分子に関してスクリーニングする方法を提供する。いかなる適切なスクリーニング技術を用いてもよい。1つの態様において、本発明の抗原結合性タンパク質が結合するPAR−2分子またはその断片を、本発明の抗原結合性タンパク質および別の分子と接触させ、ここで、他の分子が、PAR−2への抗原結合性タンパク質の結合を減少させるならば、該分子はPAR−2に結合する。適切な方法いずれか、例えばELISAを用いて、抗原結合性タンパク質の結合を検出してもよい。PAR−2への抗原結合性タンパク質の結合の検出は、上に論じるように、抗原結合性タンパク質を検出可能に標識することによって、単純化可能である。別の態様において、PAR−2結合性分子をさらに分析して、PAR−2活性化および/またはシグナル伝達を該分子が阻害するかどうかを決定する。
核酸
1つの側面において、本発明は、単離核酸分子を提供する。該核酸は、例えば、抗原結合性タンパク質のすべてまたは一部、例えば本発明の抗体の一方または両方の鎖、あるいはその断片、誘導体、突然変異タンパク質、または変異体をコードするポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定するか、分析するか、突然変異させるかまたは増幅するための、ハイブリダイゼーション・プローブ、PCRプライマーまたは配列決定プライマーとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、および前述のものの相補配列を含む。核酸はいかなる長さであってもよい。これらは、例えば、長さ5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000またはそれより長いヌクレオチドであってもよく、そして/または1以上のさらなる配列、例えば制御配列を含んでもよく、そして/またはより大きい核酸、例えばベクターの一部であってもよい。核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよく、そしてRNAおよび/またはDNAヌクレオチド、ならびに人工的変異体(例えばペプチド核酸)を含んでもよい。
抗体ポリペプチド(例えば重鎖または軽鎖、可変ドメインのみ、または全長)をコードする核酸を、PAR−2で免疫されているマウスのB細胞から単離してもよい。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの慣用法によって、核酸を単離してもよい。
本発明は、特定のハイブリダイゼーション条件下で、他の核酸にハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズさせるための方法は当該技術分野に周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨーク(1989), 6.3.1−6.3.6を参照されたい。本明細書に定義するように、中程度にストリンジェントなハイブリダーゼション条件は、5x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する前洗浄溶液、約50%ホルムアミド、6xSSCのハイブリダイゼーション緩衝液、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または42℃のハイブリダイゼーション温度を伴う、約50%ホルムアミドを含有するものなどの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)、ならびに約60℃、0.5xSSC、0.1%SDS中の洗浄条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6xSSC、45℃でハイブリダイズさせ、その後、0.1xSSC、0.2%SDS中、68℃での1以上の洗浄が続く。さらに、当業者は、少なくとも65、70、75、80、85、90、95、98または99%互いに同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、典型的には互いにハイブリダイズしたままであるように、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増加させるかまたは減少させるように、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作することも可能である。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本的なパラメータおよび適切な条件を考案するための指針が、例えば、Sambrook, Fritsch, およびManiatis(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 第9章および第11章;ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology, 1995, Ausubelら監修, John Wiley & Sons, Inc., セクション2.10および6.3−6.4)に示され、そして例えばDNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて、一般の当業者が容易に決定可能である。
核酸内への突然変異によって変化を導入し、それによってコードされるポリペプチド(例えば抗原結合性タンパク質)のアミノ酸配列の変化を導くことも可能である。当該技術分野に知られるいかなる技術を用いて、突然変異を導入してもよい。1つの態様において、例えば部位特異的突然変異誘発プロトコルを用いて、1以上の特定のアミノ酸残基を変化させる。別の態様において、例えばランダム突然変異誘発プロトコルを用いて、1以上のランダムに選択された残基を変化させる。どのように作製されても、突然変異体ポリペプチドを発現させ、そして所望の特性(例えば、PAR−2への結合、またはPAR−2のタンパク質分解的活性化の遮断)に関してスクリーニングしてもよい。
コードするポリペプチドの生物学的活性を有意に改変することなく、核酸に突然変異を導入することも可能である。例えば、非必須アミノ酸残基でのアミノ酸置換を導くヌクレオチド置換を行ってもよい。1つの態様において、アミノ酸残基の1以上の欠失または置換を含むアミノ酸配列をコードするように、ヌクレオチド配列、あるいはその所望の断片、変異体、または誘導体を突然変異させる。別の態様において、突然変異誘発は、1以上のアミノ酸残基に隣接してアミノ酸を挿入する。あるいは、コードするポリペプチドの生物学的活性(例えば、PAR−2の結合、PAR−2のタンパク質分解的活性化の阻害など)を選択的に変化させる1以上の突然変異を核酸に導入してもよい。例えば、突然変異は、定量的にまたは定性的に、生物学的活性を変化させうる。定量的変化の例には、活性の増加、減少、または排除が含まれる。定性的変化の例には、抗原結合性タンパク質の抗原特異性を変化させることが含まれる。
別の側面において、本発明は、本発明の核酸配列の検出のため、プライマーまたはハイブリダイゼーション・プローブとして使用するのに適した核酸分子を提供する。本発明の核酸分子は、本発明の全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみを含んでもよく、例えば、プローブまたはプライマーとして使用可能な断片、あるいは本発明のポリペプチドの活性部分(例えばPAR−2結合性部分)をコードする断片を含んでもよい。
本発明の核酸の配列に基づくプローブを用いて、核酸または類似の核酸、例えば本発明のポリペプチドをコードする転写物を検出してもよい。プローブは、標識基、例えば放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含んでもよい。こうしたプローブを用いて、ポリペプチドを発現する細胞を同定してもよい。
別の側面において、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸またはその一部を含むベクターを提供する。ベクターの例には、限定されるわけではないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクターおよび発現ベクター、例えば組換え発現ベクターが含まれる。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した型で、本発明の核酸を含むことも可能である。組換え発現ベクターには、発現に用いようとする宿主に基づいて選択される、発現させようとする核酸配列に機能可能であるように連結された、1以上の制御配列が含まれる。制御配列には、宿主細胞の多くの種類において、ヌクレオチド配列の恒常的発現を導くもの(例えばSV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーターおよびサイトメガロウイルスプロモーター)、特定の宿主細胞においてのみ、ヌクレオチド配列の発現を導くもの(例えば組織特異的制御配列、その全体が本明細書に援用される、Vossら, 1986, Trends Biochem. Sci. 11:287, Maniatisら, 1987, Science 236:1237を参照されたい)、および特定の処理または条件に応答して、ヌクレオチド配列の誘導性発現を導くもの(例えば、哺乳動物細胞におけるメタロチオネインプロモーター、ならびに原核系および真核系の両方における、tet応答性および/またはストレプトマイシン応答性プロモーター(同文献を参照されたい))が含まれる。当業者は、発現ベクターの設計は、形質転換しようとする宿主細胞の選択、タンパク質の所望の発現レベル等の要因に応じうることを認識するであろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入して、それによって本明細書に記載するような核酸にコードされる、融合タンパク質またはペプチドを含む、タンパク質またはペプチドを産生してもよい。
別の側面において、本発明は、本発明の組換え発現ベクターが導入されている宿主細胞を提供する。宿主細胞は、いかなる原核細胞(例えば大腸菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳動物細胞(例えばCHO細胞))であってもよい。慣用的な形質転換またはトランスフェクション技術を介して、原核または真核細胞内にベクターDNAを導入してもよい。哺乳動物細胞の安定トランスフェクションのため、用いる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、少ない割合の細胞のみが、ゲノム内に外来(foreign)DNAを組み込みうることが知られる。これらの組込み体を同定し、そして選択するため、選択可能マーカー(例えば抗生物質に対する耐性に関するもの)をコードする遺伝子を、一般的に、関心対象の遺伝子とともに、宿主細胞内に導入する。好ましい選択可能マーカーには、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートなどの薬剤に対する耐性を与えるものが含まれる。導入された核酸で安定にトランスフェクションされた細胞を、他の方法の中でも、薬剤選択によって、同定してもよい(例えば選択可能マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生き残り、一方、他の細胞は死ぬであろう)。
適応症
1つの側面において、本発明は被験体を治療する方法を提供する。該方法は、例えば、被験体に対して、一般的に健康によい効果を有することも可能であり、例えば被験体の予期される寿命を増加させることも可能である。あるいは、該方法は、例えば、疾患、障害、状態、または疾病(「状態」)を治療するか、防止するか、治癒させるか、軽減するか、または改善する(「治療する」)ことも可能である。本発明にしたがって治療すべき状態の中には、PAR−2の不適切な発現または活性によって特徴付けられる状態がある。いくつかのこうした状態においては、発現または活性レベルがあまりにも高く、そして治療は、本明細書に記載するようなPAR−2アンタゴニストを投与することを含む。
本発明の抗原結合性タンパク質で治療可能であるかまたは防止可能である特定の医学的状態および疾患には、胃腸系の炎症状態が含まれ、セリアック病、クローン病:潰瘍性結腸炎;特発性胃不全麻痺;慢性膵炎を含む膵炎;胃潰瘍および十二指腸潰瘍を含む炎症性腸疾患および潰瘍が含まれる。本発明の抗原結合性タンパク質はまた、喘息、慢性閉塞性肺疾患等の気道の炎症状態を治療するかまたは改善する際にも有用である。
本発明の抗原結合性タンパク質で治療可能なリウマチ性障害には、成人および若年性関節リウマチ;強皮症;全身性エリテマトーデス;通風;変形性関節症;リウマチ性多発筋痛症;強直性脊椎炎を含む血清陰性脊椎関節症、ならびにライター病、乾癬性関節炎および慢性ライム関節炎が含まれる。これらのポリペプチドでやはり治療可能であるかまたは防止可能であるのは、スティル病、および関節リウマチに関連するブドウ膜炎である。さらに、本発明のポリペプチド療法を、皮膚筋炎、封入体筋炎、多発性筋炎、およびリンパ脈管筋腫症を含む、随意筋および他の筋肉の炎症を生じる障害を治療する際に用いる。
本明細書記載の障害を、他のサイトカイン、サイトカイン阻害剤および試薬(本明細書において、免疫調節剤とも称される)と組み合わせて、本発明の抗原結合性タンパク質で治療してもよい。例えば、免疫調節剤には、可溶性IL−18受容体、IL−18またはIL−18受容体に対する抗体、IL−18結合性タンパク質などの、IL−18アンタゴニスト;ENBREL(登録商標)を含むTNF阻害剤;I型IL−1R、II型IL−1Rの可溶性型、IL−1に対する抗体、I型IL−1Rに対する抗体を含む、IL−1阻害剤;ならびにあるいは開示する医学的状態および疾患を治療する際に有効である他の活性剤が含まれる。
本発明の組成物および/または方法はまた、例えば、美容的治療において、獣医学的治療において、寿命を増加させるため、生殖欠陥を治療するため、そして多様なPAR−2関連障害を治療するためにも使用可能である。さらに、特定のこうした状態において、PAR−2の発現または活性レベルが非常に低く、そして治療は、PAR−2アゴニストを投与する工程を含み;こうした治療もまた、本明細書に含まれる。
抗原結合性タンパク質の療法および投与
本明細書に提供する特定の方法は、被験体にPAR−2結合性抗原結合性タンパク質を投与し、それによって、特定の状態において役割を果たす、PAR−2が誘導する生物学的応答を減少させることを含む。特定の態様において、本発明の方法は、例えば、被験体への投与を介して、またはex vivo法において、PAR−2結合性抗原結合性タンパク質と、内因性PAR−2を接触させることを伴う。
用語「治療」は、障害の少なくとも1つの症状または他の側面の軽減または予防、あるいは疾患重症度の減少等を含む。抗原結合性タンパク質は、発展しうる療法剤を構成するために、完全な治療を達成するか、あるいは疾患のすべての症状または徴候を根絶する必要はない。関連分野で認識されるように、療法剤として使用される薬剤は、所定の疾患状態の重症度を減少させることも可能であるが、有用な療法剤と見なされるために、疾患のすべての徴候を無効にする必要はない。同様に、予防的に投与される治療は、発展しうる予防剤を構成するために、状態の開始を防止する際に完全に有効である必要はない。単に疾患の影響を減少させる(例えば、症状の数または重症度を減少させることによって、あるいは別の治療の有効性を増加させることによって、あるいは別の有益な効果を生じることによって)か、あるいは疾患が被験体で生じるかまたは悪化する可能性を減少させれば十分である。本発明の1つの態様は、特定の障害の重症度を反映する指標のベースラインを超えた、持続する改善を誘導するのに十分な量および時間、患者にPAR−2アンタゴニストを投与することを含む方法に向けられる。
関連分野で理解されるように、本発明の分子を含む薬学的組成物を、適応症に適した方式で、被験体に投与する。限定されるわけではないが、非経口、局所、または吸入によるものを含む、いかなる適切な技術によって、薬学的組成物を投与してもよい。注射する場合、薬学的組成物を、例えば、動脈内、静脈内、筋内、病巣内、腹腔内または皮下経路を介して、ボーラス注射によって、あるいは連続注入によって、投与してもよい。局在化投与、例えば疾患または傷害部位での投与が意図され、経皮送達および移植物からの持続放出も同様である。吸入による送達には、例えば、鼻または経口吸入、ネブライザーの使用、エアロゾル型でのアンタゴニストの吸入等が含まれる。他の代替物には、点眼剤;丸剤、シロップ、ロゼンジまたはチューインガムを含む経口調製物;ならびにローション、ジェル、スプレー、および軟膏などの局所調製物が含まれる。
ex vivo法での抗原結合性タンパク質の使用もまた意図される。例えば、患者の血液または他の体液を、ex vivoで、PAR−2に結合する抗原結合性タンパク質と接触させてもよい。抗原結合性タンパク質を適切な不溶性マトリックスまたは固体支持体材料に結合させてもよい。
好適には、抗原結合性タンパク質を、生理学的に許容しうるキャリアー、賦形剤または希釈剤などの1以上のさらなる構成要素を含む組成物の形で投与する。場合によって、組成物はさらに、1以上の生理学的活性剤、例えば第二の炎症または免疫阻害物質、抗血管形成性物質、鎮痛性物質等を含み、その非排他的な例を本明細書に提供する。多様な特定の態様において、組成物は、PAR−2結合性抗原結合性タンパク質に加えて、1、2、3、4、5、または6つの生理学的活性剤を含む。
1つの態様において、薬学的組成物は、本発明の抗原結合性タンパク質を、緩衝剤、アスコルビン酸などの酸化防止剤、低分子量ポリペプチド(10アミノ酸未満を有するものなど)、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロースまたはデキストリンなどの炭水化物、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、安定化剤、ならびに賦形剤からなる群より選択される1以上の物質とともに、含む。中性緩衝生理食塩水または同種血清アルブミンと混合された生理食塩水が、適切な希釈剤の例である。適切な産業標準にしたがって、ベンジルアルコールなどの保存剤もまた添加してもよい。組成物は、適切な賦形剤溶液(例えばスクロース)を希釈剤として用いた凍結乾燥物として配合されてもよい。適切な構成要素は、使用する投薬量および濃度でレシピエントに非毒性である。薬剤配合物に使用可能な構成要素のさらなる例が、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第16版(1980)および第20版(2000), Mack Publishing Company, ペンシルバニア州イーストンに提示される。
開業医に使用されるためのキットには、本発明のPAR−2阻害物質、および本明細書に論じる状態いずれかを治療する際に使用するためのラベルまたは他の使用説明書が含まれる。1つの態様において、キットには、1以上のPAR−2結合性抗原結合性タンパク質の無菌調製物が含まれ、該調製物は、上に開示するような組成物の形であってもよく、そして1以上のバイアル中にあってもよい。
投薬量および投与頻度は、投与経路、使用する特定の抗原結合性タンパク質、治療しようとする疾患の性質および重症度、状態が急性または慢性であるか、ならびに被験体のサイズおよび全身状態などの要因に応じて、多様でありうる。関連技術において知られる方法によって、例えば用量の段階的増大研究を伴いうる臨床試験において、適切な投薬量を決定してもよい。
本発明のPAR−2阻害物質を、例えば1回または1回より多く、例えばある期間に渡って定期的な間隔で、投与してもよい。特定の態様において、抗原結合性タンパク質を、少なくとも1ヶ月以上、例えば1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、あるいは無期限にさえ、投与する。慢性状態を治療するためには、一般的に、長期治療が最も有効である。しかし、急性状態を治療するため、より短い期間、例えば1〜6週間の投与で十分である可能性もある。一般的に、患者が、選択した単数または複数の指標に関して、ベースラインを超えた、医学的に適切な度合いの改善を示すまで、抗原結合性タンパク質を投与する。
本発明の特定の態様は、1日あたり被験体の体重kgあたり約1ng(「1ng/kg/日」)〜約10mg/kg/日、より好ましくは、約500ng/kg/日〜約5mg/kg/日、そして最も好ましくは、約5μg/kg/日〜約2mg/kg/日の抗原結合性タンパク質の投薬量で、抗原結合性タンパク質を被験体に投与することを伴う。さらなる態様において、抗原結合性タンパク質を、週あたり1回、週あたり2回、または週あたり3回以上、成人に投与して、PAR−2が仲介する疾患、状態または障害、例えば本明細書に開示する医学的障害を治療する。注射した場合、成人用量あたりの抗原結合性タンパク質の有効量は、1〜20mg/mの範囲であり、そして好ましくは約5〜12mg/mである。あるいは、一定の用量を投与してもよく;量は5〜100mg/用量の範囲であってもよい。一定用量の1つの範囲は、用量あたり約20〜30mgである。本発明の1つの態様において、25mg/用量の一定用量を注射によって反復投与する。注射以外の投与経路を用いる場合、標準的医療行為にしたがって、用量を適切に調整する。療法措置の一例は、約20〜30mgの抗原結合性タンパク質の用量を、少なくとも3週間の期間に渡って、週あたり1〜3回注射することを伴うが、望ましい度合いの改善を誘導するには、より長い期間に渡る治療が必要である可能性もある。小児被験体(4〜17歳)に関しては、1つの例示的な適切な措置は、週あたり2または3回投与される、最大用量25mgまでの抗原結合性タンパク質の0.4mg/kgの皮下注射を伴う。
本明細書に提供する方法の特定の態様は、週あたり1回または2回の、0.5mg〜10mg、好ましくは3〜5mgの抗原結合性タンパク質の皮下注射を伴う。別の態様は、週あたり1回の3mg以上の抗原結合性タンパク質の肺投与(例えばネブライザーによる)に向けられる。
本明細書に提供する療法措置の例は、PAR−2シグナル伝達が役割を果たす状態を治療するため、週1回、1.5〜3mgの用量の、抗原結合性タンパク質の皮下注射を含む。こうした状態の例を本明細書に提供し、そしてこうした状態には、例えば、先に記載するようなリウマチ性状態、ならびに過剰な炎症が役割を果たす他の状態(本明細書に記載する;例えば炎症性腸疾患、膵炎など)が含まれる。望ましい結果が達成されるまで、例えば被験体の症状が鎮まるまで、抗原結合性タンパク質の毎週の投与を続ける。必要に応じて治療を再開してもよいし、あるいは維持用量を投与してもよい。
本明細書に提供する療法措置の他の例は、被験体の体重キログラムあたり、本発明のPAR−2阻害剤の1、3、5、6、7、8、9、10、11、12、15、または20ミリグラム(mg/kg)の用量の皮下または静脈内投与を含む。用量を1回、または特定の間隔で1回より多く、例えば1日1回、週3回、週2回、週1回、月3回、月2回、月1回、2ヶ月ごとに1回、3ヶ月ごとに1回、6ヶ月ごとに1回、または年1回、被験体に投与してもよい。治療期間、および治療の用量および/または頻度に対するいかなる変化も、被験体の特定の必要性を満たすため、治療経過中に改変するかまたは変化させてもよい。
別の態様において、治療中の障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標において、改善、好ましくは持続する改善を誘導するのに十分な量および期間、抗原結合性タンパク質を被験体に投与する。治療の量および期間が十分であるかどうかを決定するため、被験体の疾病、疾患または状態の度合いを反映する多様な指標を評価してもよい。こうした指標には、例えば疾患重症度、症状、または問題の障害の徴候の臨床的に認識される指標が含まれる。1つの態様において、被験体が、2〜4週間離れた少なくとも2回の機会に、改善を示すならば、改善は持続していると見なされる。改善の度合いは、一般的に、医師によって決定され、医師は、徴候、症状、生検、または他の試験結果に基づいて、この決定を行うことも可能であり、そしてまた、所定の疾患に関して開発された、生活の質アンケートなど、被験体に行われるアンケートも使用してもよい。
上昇したレベルのPAR−2および/またはPAR−2の活性化は、例えば、皮膚、関節、胃腸系および/または気道の炎症状態を含む、いくつかの障害と関連する。所定の障害を持つ被験体をスクリーニングして、PAR−2活性が上昇している個体を同定し、それによって、PAR−2結合性抗原結合性タンパク質を用いた治療から最も利益を得る可能性がある被験体を同定してもよい。したがって、本明細書に提供する治療法は、場合によって、被験体のPAR−2活性レベルを測定する第一の工程を含む。PAR−2活性化が正常より高く上昇している被験体に、抗原結合性タンパク質を投与してもよい。
抗原結合性タンパク質での治療前、治療中および/または治療後に、PAR−2の被験体のレベルを監視して、あるとすればPAR−2活性の変化を検出してもよい。いくつかの障害に関して、PAR−2活性上昇の発生率は、疾患のステージまたは疾患の特定の型などの要因に応じて、多様でありうる。例えば被験体血清、血液または組織試料における、PAR−2活性を測定するため、既知の技術を使用してもよい。適切な技術いずれかを用いて、PAR−2活性を測定してもよい。
本発明の方法および組成物の特定の態様は、抗原結合性タンパク質および1以上のさらなるPAR−2アンタゴニスト、例えば2以上の本発明の抗原結合性タンパク質、または本発明の抗原結合性タンパク質および1以上の他のPAR−2アンタゴニストの使用を伴う。さらなる態様において、抗原結合性タンパク質を単独で、または患者が罹患している状態を治療するのに有用な他の剤と組み合わせて、投与する。こうした剤の例には、タンパク質性薬剤および非タンパク質性薬剤の両方が含まれる。多数の療法剤を共投与する場合、投薬量は、関連技術分野に認識されるように、適宜、調整可能である。「共投与」および併用療法は、同時投与に限定されず、患者に少なくとも1つの他の療法剤を投与することを伴う治療の経過中、抗原結合性タンパク質を少なくとも1回投与する治療措置もまた含まれる。
抗原結合性タンパク質と共投与してもよい他の剤の例は、治療しようとする特定の状態にしたがって選択される、他の抗原結合性タンパク質または療法ポリペプチドである。あるいは、上に論じる特定の状態の1つを治療する際に有用な非タンパク質性薬剤を、PAR−2アンタゴニストと共投与してもよい。
併用療法
別の側面において、本発明は、PAR−2阻害性抗原結合性タンパク質および1以上の他の治療で、被験体を治療する方法を提供する。1つの態様において、こうした併用療法は、例えば腫瘍の多数の部位または分子ターゲットを攻撃することによって、相乗効果または付加的効果を達成する。本発明と関連して使用可能な併用療法の種類には、単一の疾患関連経路、ターゲット細胞における多数の経路、およびターゲット組織内の多数の細胞種における多数のノードを阻害するかまたは活性化する(適切なように)ことが含まれる。
別の態様において、併用療法は、被験体に、本明細書記載の2、3、4、5、6、またはそれより多いPAR−2アゴニストまたはアンタゴニストを投与することを含む。別の態様において、方法は、PAR−2が仲介するシグナル伝達を、一緒に阻害するかまたは活性化する(直接または間接的に)、2以上の治療を被験体に投与することを含む。こうした方法の例には、2以上のPAR−2阻害性抗原結合性タンパク質の併用、PAR−2阻害性抗原結合性タンパク質および抗炎症特性を有する1以上の他の療法部分(例えば非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド、および/または免疫調節剤)、またはPAR−2阻害性結合性タンパク質および1以上の他の治療(例えば手術、超音波、または炎症を減少させるのに有効な治療)の併用が含まれる。さらに、1以上の抗PAR−2抗体または抗体誘導体を、1以上の分子または他の治療と併用してもよく、ここで、他の分子(単数または複数)および/または治療(単数または複数)は、直接PAR−2に結合せず、また影響を及ぼさないが、治療中の状態を治療するかまたは防止するために、併用が有効である。1つの態様において、1以上の分子(単数または複数)および/または治療(単数または複数)は、療法の経過中に、1以上の他の分子(単数または複数)または治療(単数または複数)によって引き起こされる状態、例えば吐き気、疲労、脱毛症、悪液質、不眠症などを治療するかまたは防止する。分子および/または他の治療を併用するすべての場合で、有効な、いかなる順序で、いかなる長さの期間に渡って、例えば同時に、連続して、または交互に、個々の分子(単数または複数)および/または治療(単数または複数)を投与してもよい。1つの態様において、治療法は、第二の治療経過が始まる前に、1つの分子または他の治療での第一の治療経過を完了することを含む。第一の治療経過終了および第二の治療経過開始の間の時間の長さは、全療法経過が有効であることを可能にするいかなる長さであってもよく、例えば秒、分、時間、日、週、月、または年でさえあってもよい。
別の態様において、方法は、本明細書記載の1以上のPAR−2アンタゴニストおよび1以上の他の治療(例えば療法または苦痛軽減治療)を投与することを含む。方法が1より多い治療を被験体に投与することを含む場合、投与の順序、時期、数、濃度、および体積は、治療の医学的必要性および制限によってのみ限定され、すなわち、2つの治療を、例えば同時に、連続して、交互に、またはいかなる他の措置にしたがって、被験体に投与してもよいことが理解されるべきである。
実際の実施例および予言的実施例の両方の以下の実施例を、本発明の特定の態様または特徴を例示する目的のために提供し、そして該実施例は、本発明の範囲を限定しない。
実施例1:モノクローナル抗体の調製
慣用的技術、例えば、本明細書に援用される米国特許5,599,905に記載される技術によって、モノクローナル抗体を生成する際、PAR−2ポリペプチドを免疫原として使用してもよい。さらなる技術、例えばRIMMS(反復免疫多重部位)戦略(Kilpatrickら, Hybridoma 16(4):381−9; 1997)が当該技術分野に知られる。多様な型のポリペプチド、例えば全長タンパク質、その断片、Fc融合体などの融合タンパク質、細胞表面上に組換えタンパク質を発現している細胞などを、免疫原として使用してもよいことが認識される。
こうした方法の例を要約すると、コンジュゲート化を促進するためにさらなるC末端システイン残基を有するPAR−2のループ1ペプチド(TNRSSKGRSLIGKVDGTS;配列番号2のアミノ酸29〜46)を、マレイミド活性化キーホールリンペット(keyhole limpet)・ヘモシアニン(KLH;例えばPierce Biotechnology, Inc.、イリノイ州ロックフォードから入手可能)にコンジュゲート化して、PAR−2免疫原を得る。最初の免疫のため、100マイクログラムの免疫原(50マイクログラムのペプチドを含有する)を、体積比1:1で、完全フロイントアジュバント(CFA)中で乳化し、そして各マウスあたり、200マイクロリットルの最終体積で、皮下注射する。
免疫した動物に、2〜4週の間隔で、さらなる免疫原を3〜4回追加免疫して、抗原特異的応答を増加させる(が、より長い間隔を使用してもよい)。例えば、200μlの最終体積中で、不完全フロイントアジュバントと混合した50マイクログラムの免疫原の第二の注射(25マイクログラムのペプチドを含有する)を、最初の免疫の約4週間後に、各マウスに皮下注射する。第二の注射の約14日〜約28日後、皮下および/または腹腔内経路によって、第三の注射(Ribiアジュバントなどのアジュバントと混合した10マイクログラムのペプチドを含有する20マイクログラムの免疫原)を投与してもよい。望ましい場合、第三の注射の約14日〜約28日後、皮下および/または腹腔内経路によって、第四の注射(不完全フロイントアジュバントと混合した10マイクログラムのペプチドを含有する20マイクログラムの免疫原)を投与してもよい。PBS中の25マイクログラムのペプチドを含有する50マイクログラムの免疫原を利用して、腹腔内注射によって、通常は融合約5日前に、最後の注射を投与する。
ペプチドELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)または別の適切なアッセイによって試験するため、後眼窩出血または尾先端切除によって、血清試料を定期的に採取して、抗体力価を評価してもよい。融合時には、動物を屠殺し、脾臓細胞を採取し、そしてネズミ骨髄腫細胞株SP2/O(ATCC CRL 1581)または当該技術分野にいくつかが知られる別の適切な細胞株に融合させる。HAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)中、生じたハイブリドーマ細胞株を多数のマイクロタイタープレートにプレーティングして、脾臓細胞−骨髄腫ハイブリッド細胞の増殖を促進する。
こうして生成したハイブリドーマクローンを、PAR−2との反応性に関してスクリーニングする。ハイブリドーマ上清の最初のスクリーニングは、ペプチドELISA、全細胞ELISA、および/またはハイスループットスクリーニングに適した、細胞に基づくアッセイ(Fiscellaら, Nature Biotechnology 21:302−307; 2003に実質的に記載されるような、蛍光分析微量アッセイ技術またはFMAT)を利用してもよい。このスクリーニング法で陽性であるハイブリドーマをさらに培養して、より多量の抗体を提供してもよく、次いで、以下に記載するようにこれを精製して、そして細胞に基づくさらなるアッセイ(単数または複数)(例えば、Le Poulら, J. Biomol. Screen.7(l):57−65; 2002に実質的に記載されるような、Ca2+感受性光タンパク質であるアポエクオリン、およびPAR−2を同時発現している細胞を用いた、フラッシュプレートアッセイ)、あるいはS. Pitchford, Genetic Engineering News 第18巻, 第15号(1998)および/またはSullivanら, Methods in Molecular Biology vol. 114, pp125−133(1999)に実質的に記載されるような、細胞内Ca2+レベルの変化を決定するのに用いられる、蛍光分析画像化プレート読取り装置(FLIPR)アッセイによってスクリーニングしてもよく、これらの文献は、本明細書に援用される。
選択したハイブリドーマをさらにクローニングして、そして試験して、モノクローナル抗体の安定な産生を確実にしてもよい。ハイブリドーマをin vitroで培養するか、または適切な宿主哺乳動物中の腹水として継代してもよい。例えば、硫酸アンモニウム沈殿後、ゲル排除クロマトグラフィー、および/またはプロテインGへの抗体の結合に基づくアフィニティークロマトグラフィーによって、生じたモノクローナル抗体を精製してもよい。いくつかのハイブリドーマを生成し、そしてPAR−2を発現している細胞を用いた全細胞ELISAにおいて、そしてフラッシュプレートアッセイにおいて、結合に関して試験した;結果を以下の表1に示す。
表1
Figure 0005255453
実施例2:スクリーニングのための抗PAR−2ハイブリドーマ抗体の精製
ハイブリドーマ細胞を、ある期間、そして約35mlのハイブリドーマ上清液の試料を得る条件下で培養する。各試料に、12mlの4xプロテインA結合緩衝液(1.6Mクエン酸、100mM Tris、pH9.15)およびMabSelectTM培地(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)の67%スラリー約300μlを添加する。生じたスラリーを4℃で一晩、穏やかに回転させる。
一晩インキュベーションした後、試料を、例えば、G3.8遠心分離装置ローター(Beckman Coulter、カリフォルニア州フラートン)中、4℃、2,000RPMで5分間、ブレーキを掛けずに遠心分離して、樹脂およびそれに結合したモノクローナル抗体を沈降させる。約300μlの上清液を除いてすべて取り除き、そして樹脂を再懸濁して、濃縮スラリーを形成する。
濃縮スラリーを微量遠心管に移し、そして十分な1xプロテインA結合緩衝液(400mMクエン酸、25mM Tris、pH8.9)を添加して、最終体積を約1mlにする。スラリーを再懸濁し、次いで、14,000gで5秒間遠心分離する。生じたペレットから上清液を取り除き、同様の方式で(すなわち約1mlの1xプロテインA結合緩衝液に再懸濁し、遠心分離し、上清を取り除き、そして新鮮な緩衝液に再懸濁することによって)、全部で3回洗浄する。
3回洗浄した後、ペレットを400μl溶出緩衝液(200mMギ酸)に再懸濁し、そして室温で10分間攪拌し、次いで14,000gで5秒間遠心分離する。上清を溶出液として注意深く取り除き、そして全部で3回の溶出サイクルのため、上述のものと類似の方式で、ペレットを再び溶出させる。3回の溶出サイクルからの溶出物を合わせて、室温で、14,000gで5分間遠心分離して、そして新鮮な試験管に移す。2Mのtris塩基(235mM)を添加し、そして迅速に混合することによって、pHを7.8〜8.2に調整する。試料を、室温で、14,000gで5分間、再び遠心分離し、そしてpHシフト可溶物と称する。各試料(20μlの試料に700μlの水を添加することによって希釈)のスペクトルスキャンを250〜350nmで行い、そして適切な抗体標準とともに、還元4〜20%SDS−PAGEゲル上に、各0.5μgの抗体含有試料を装填することによって、タンパク質濃度を検証する。
実施例3:PAR−2/Fcポリペプチドの精製およびウェスタンブロット
全長N末端PAR−2/Fcポリペプチド(配列番号5)をCHO細胞で発現させる。血清不含培地中で培養したCHO発現細胞からの発現上清は、活性化Arg−Ser結合でPAR−2/Fcを切断する、CHO細胞トリプシン様セリンプロテアーゼを含有し、PAR−2/Fcポリペプチドの「切り取り」型を生じる。10%ウシ胎児血清(CHO細胞トリプシン様セリンプロテアーゼの濃度よりはるかに過剰な濃度の、正常レベルの血漿プロテイナーゼ阻害剤を含有する)中で培養したCHO発現細胞は、培養上清中、全長N末端PAR−2/Fcを発現する。実質的に先に記載するように(実施例2を参照されたい)、MabSelectTM樹脂を用いて、切り取りおよび全長タンパク質の両方を精製する。アミノ末端配列分析(エドマン分解)、サイズ排除クロマトグラフィー、吸光度スペクトルスキャン、および質量分析によって、生じた精製Fc構築物を分析する。
Tris−グリシン緩衝液系において、8〜16%ポリアクリルアミド勾配ゲル(Novexゲル、Invitrogen Life Technologies)を用いたSDS−PAGEに、多様な量の精製全長および切り取りN末端PAR2−Fcを供する。分子量同定のためのSee Blue標準(Novex、Invitrogen Life Technologies)を含有するゲルレーンもまた含む。電気泳動後、Novex XCell IIブロットモジュール(Invitrogen Life Technologies)を用いて、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜上に移す。振盪しながら、1:1のOdysseyブロッキング緩衝液、OBB(LI−COR Biosciences):TBS(Tris緩衝生理食塩水)で、膜を一晩、4℃でブロッキングする。分析しようとする抗体を、所望の最終濃度で、1:1 OBB:TBS中、室温で1時間希釈する。TBS中の0.1%Tween20で膜を徹底的に洗浄する(〜1時間に渡って、100mlを3〜4回交換する)。次いで、1:1(OBB:TBS)中、1:5000に希釈した適切な二次抗体−Alexa680(Molecular Probes、Invitrogen Life Technologies)コンジュゲート(ヤギ抗ウサギIgG、またはヤギ抗マウスIgG)に膜を室温で1時間曝露する。上述のように膜を洗浄し、そして望ましい場合、LI−COR Odyssey赤外画像化システム(LI−COR Biosciences)を用いて分析する。
実施例4:PAR−2抗体の比較
異なるアッセイ形式において、いくつかのPAR−2抗体を試験した;表2は結果を要約する。
表2
Figure 0005255453
先に記載するCa2+可動化に関して、FLIPRアッセイにおいて、IC50値を決定し;先に記載するウェスタンブロットアッセイを用いて、切断部位の下流領域に対する切断部位の上流領域への結合を決定した。選択した抗体に関する、より詳細な結果を図1に示す。図2は、切断(「切り取り」と示す)PAR−2/Fcおよび全長(「FL」と示す)PAR−2/Fcに対するウェスタンブロットによって多様な抗体を分析した、ウェスタンブロットの結果を示す。図3は、さらなるウェスタンブロット結果を示し、そしてまた、スライド上に詳述するように、PAR−2をアンタゴナイズする能力と対応する、切り取りPAR−2/Fcに対する全長PAR−2/Fcの認識の対比を示す、2つのモノクローナル抗体の特徴も比較する。したがって、クローン10は、フラッシュプレートアッセイにおいて、弱くアンタゴニスト性であり、FACSによって、ヒトPAR−2を発現している細胞(HCT116細胞)およびPAR−2でトランスフェクションしたCHO細胞に結合するが、CHO親細胞には結合せず、そしてウェスタンブロットによって、PAR−2/Fcの切り取り型および全長型の両方に結合した。対照的に、クローン33は、フラッシュプレートアッセイにおいて、強くアンタゴニスト性であり、FACSによって、ヒトPAR−2を発現している細胞(HCT116細胞)およびPAR−2でトランスフェクションしたCHO細胞に結合するが、CHO親細胞には結合せず、そしてウェスタンブロットによって、PAR−2/Fcの全長型のみに結合した。
実施例5:PAR−2抗体サブクローンの比較
いくつかのPAR−2抗体をサブクローニングし、そしてトリプシン誘導性PAR−2活性化を阻害する能力に関して試験した;表2は、結果を要約する。
表3
Figure 0005255453
内因性にヒトPAR−2を発現している細胞(HCT−16)またはPAR−2を発現している安定トランスフェクション・ラットKNRK細胞(KNRK−PAR2)のいずれかを用いて、先に記載するように、Ca2+可動化を監視するFLIPRアッセイにおいて、IC50値を決定した。サブクローン13−8の2つの異なる精製調製物を用いた;先に記載するよりも大規模であるが、実質的に同じ方式で、1つ(調製物1)を培養し、そして精製した。SAM11は、ヒトPAR−2の係留リガンド配列に対して作製されたPAR−2に対する商業的に入手可能なモノクローナル抗体である(Santa Cruz Biotechnology, Inc.、米国カリフォルニア州サンタクルーズ)。PAR−2の切り取り型および全長型(先に記載する)を用いたウェスタンブロットにおいて、SAM11は、PAR−2/Fcの切り取り型および全長型の両方に結合し、SAM11抗体エピトープがプロテアーゼ切断部位の下流であることが確認された。HCT−116細胞を用いた類似の実験の結果を図4に示す。この実験にやはり含まれるのは、実施例1に記載するループ1の16量体ペプチドに対して作製されるポリクローナル単一特異性抗血清である。
本明細書に引用する各参考文献は、解説するすべてに関して、そしてすべての目的で、その全体が本明細書に援用される。
図1は、多様なPAR−2発現細胞を用いた、FLIPRアッセイにおいて、PAR−2抗体がPAR−2活性化をアンタゴナイズする能力を示す。 図2は、切り取りPAR−2/Fcに対して、全長PAR−2/Fcへの多様なPAR−2抗体の結合を比較するウェスタンブロットを提供する。 図3は、アンタゴナイズ性PAR−2抗体、ならびにPAR−2をアンタゴナイズしない抗体に関する、ウェスタンブロット結果を示す。 図4は、FLIPRアッセイにおいて、いくつかのPAR−2抗体がPAR−2活性化をアンタゴナイズする能力を比較する。

Claims (11)

  1. プロテイナーゼ活性化受容体−2(PAR−2)に結合し、そしてそのタンパク質分解的活性化をアンタゴナイズする、単離抗原結合性タンパク質であって、
    全長PAR−2(配列番号2で示される)に結合し、そしてより少ない度合いで、切断されたPAR−2(R36とS37の間で切断された、配列番号2で示される)に結合する、前記単離抗原結合性タンパク質。
  2. 非ヒト霊長類、カニクイザル(cynomolgous monkey)、チンパンジー(chimpanzee)、非霊長類哺乳動物、げっ歯類、マウス、ラット、ハムスター(hamster)、モルモット(guinea pig)、ネコ、またはイヌのPAR−2に特異的に結合する、請求項1の単離抗原結合性タンパク質。
  3. a) ヒト化抗体;
    b) キメラ抗体;
    c) 抗原結合性抗体断片;
    d) Fab断片;又は
    e) F(ab’)断片;
    を含む、請求項1または2の単離抗原結合性タンパク質。
  4. HCT−116細胞を用いた蛍光分析画像化プレート読取り装置(FLIPR)アッセイにおいて、60nM又はそれ未満であって、そして2nM又はそれより高いIC50で、PAR−2のタンパク質分解的活性化をアンタゴナイズする、請求項1−3のいずれか1項の単離抗原結合性タンパク質。
  5. 前記細胞がハイブリドーマであり、そして、抗原結合性タンパク質がモノクローナル抗体である、請求項1−2及び4のいずれか1項の抗原結合性タンパク質を分泌する単離細胞。
  6. PAR−2に結合する抗原結合性タンパク質を作製する方法であって、抗原結合性タンパク質を発現することを可能にする条件下で、請求項5の単離細胞をインキュベーションする工程を含む、前記方法。
  7. 請求項1ないし4のいずれか1項の抗原結合性タンパク質、並びに、生理学的に許容しうるキャリアー、賦形剤または希釈剤を含む、薬学的組成物。
  8. 被験体における状態を治療するための請求項7に記載の薬学的組成物であって、該状態が、該被験体において、PAR−2活性を減少させることによって治療可能である、前記薬学的組成物。
  9. 被験体がヒトである、請求項8の薬学的組成物。
  10. 前記状態が、皮膚、関節、胃腸系および/または気道の炎症状態からなる群より選択される、請求項9の薬学的組成物。
  11. 被験体におけるPAR−2活性の減少が、被験体におけるPAR−2シグナル伝達の減少によるものである、請求項8に記載の薬学的組成物。
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