JP5255163B1 - 使い捨ておむつ - Google Patents

Abstract

使い捨ておむつ10は、製品幅方向に沿って延び、使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部として、前胴回り域20、後胴回り域30及びファスニングテープ90を備える。また、使い捨ておむつ10は、股下域25に形成され、製品長手方向Lに伸縮可能なクロッチ伸縮部200aと、レッグギャザー75とを備え、レッグギャザー75は、製品長手方向Lにおいてクロッチ伸縮部200aよりも長いとともに、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも外側に備えられ、レッグギャザー75とクロッチ伸縮部200aとの間には、クロッチ伸縮部200aよりも伸縮率が低い低伸縮領域300が形成される。

Description

本発明は、一対の脚回り開口部が形成されるとともに、股下域を跨ぎ前胴回り域及び後胴回り域に伸びる吸収体を備える使い捨ておむつに関する。

従来、使い捨ておむつでは、***物の漏れを防ぎつつ、良好な履き心地を実現するため、様々な工夫がなされている。例えば、股下域を跨ぎ前胴回り域及び後胴回り域に伸びる吸収体を備える使い捨ておむつにおいて、吸収体を製品長手方向において三分割にするとともに、吸収体の製品幅方向外側に吸収体に沿って伸張状態の弾性部材を配置した構造が知られている（例えば、特許文献１）。

三分割された吸収体は、着用時には、隣接する吸収体との間隔が狭まって密接することによって着用者に使い捨ておむつがフィットするため、使い捨ておむつの着用時のだぶつきが防止される。

特開２００４−１４１２７０号公報（第１図及び第２図）

上述した従来の使い捨ておむつでは、吸収体に沿って伸張状態で配置された弾性部材の収縮力によって、常に吸収体を着用者の身体に強く密着させようとする力が働く。

このため、弾性部材の収縮力は、使い捨ておむつの前胴回り域及び後胴回り域を股下方向へ引き下げる力として作用し続けることなる。特に、使い捨ておむつが***物を吸収した後では、使い捨ておむつの前胴回り域及び後胴回り域の股下方向へのズレが生じ、着用者の脚回りと使い捨ておむつとの間に不必要な隙間ができ易くなる。

そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、股下域が密着しすぎることなく着用者の身体に沿い、脚回りに隙間が発生することをより確実に防止できる使い捨ておむつの提供を目的とする。

本発明の特徴は、前胴回り域（前胴回り域20）と、後胴回り域（後胴回り域30）と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域（股下域25）と有し、一対の脚回り開口部（脚回り開口部35）が形成されるとともに、前記股下域を跨ぎ前記前胴回り域及び前記後胴回り域に伸びる吸収体（吸収体40）を備え、前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向（製品長手方向L）と、製品長手方向と直交する製品幅方向（製品幅方向W）とを有する使い捨ておむつ（使い捨ておむつ10）であって、前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、製品幅方向に沿って延び、前記使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部（前胴回り域20、後胴回り域30及びファスニングテープ90）と、前記股下域に形成され、少なくとも製品長手方向に伸縮可能なクロッチ部（クロッチ伸縮部200a）と、前記脚回り開口部に沿って形成され、少なくとも製品長手方向に伸縮可能な一対のレッグ弾性部（レッグギャザー75）とを備え、前記レッグ弾性部は、製品長手方向において、前記クロッチ部よりも長いとともに、製品幅方向において、前記クロッチ部よりも外側に備えられ、前記レッグ弾性部と前記クロッチ部との間には、前記クロッチ部よりも伸縮率が低い低伸縮領域（低伸縮領域300）が形成されることを要旨とする。

本発明の特徴によれば、股下域が密着しすぎることなく着用者の身体に沿い、脚回りに隙間が発生することをより確実に防止できる使い捨ておむつを提供することができる。

図１は、本発明の実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。 図２は、図１に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。 図３は、本発明の実施形態に係るクロッチ部200をバックシート60側から視た拡大平面図である。 図４は、本発明の実施形態に係る使い捨ておむつ10の着用者への装着状態を模式的に示す図である。 図５は、本発明の実施形態に係る使い捨ておむつ10と従来の使い捨ておむつとの着用者への装着状態におけるCTスキャンの結果を模式的に示す図である。

次に、本発明に係る使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。

したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。

（１）使い捨ておむつの全体概略構成
図１は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。なお、図１に示す展開平面図は、使い捨ておむつ10を構成するトップシート50やサイドシート70等の皺が形成されない状態まで、レッグギャザー75及びレッグサイドギャザー80を伸長させた状態の図であるが、説明の便宜上、レッグサイドギャザー80を伸縮した状態で図示する。

図２は、図１に示したF2-F2線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。

図１または図２に示すように、使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。前胴回り域20は、着用者の前胴回り部と接する部分である。また、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部と接する部分である。股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する。また、使い捨ておむつ10には、一対の脚回り開口部35（図４参照）が形成される。

なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶ。

使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ、かつ股下域25から前胴回り域20及び後胴回り域30のうち少なくともいずれか一方に向かって延びる吸収体40を備える。吸収体40は、吸収性コア40aとコアラップ40bとによって構成される。

吸収性コア40aは、従来の使い捨ておむつと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマーなど、公知の部材や材料を用いて適宜構成することができる。吸収性コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。コアラップ40bは、吸収性コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌面側の一部は、透液性を有する各種の繊維不織布もしくはティッシュシートによって構成される。例えば、質量約10〜30g/m²のエアスルー繊維不織布、スパンボンド不織布、SMS（スパンボンド−メルトブロン−スパンボンド）不織布、または質量約10〜30g/m²のティッシュシートを用いることができる。

吸収体40の表面側（肌当接面側）には、液透過性のトップシート50が備えられる。また、吸収体40の裏面側（非肌当接面側）には、液不透過性のバックシート60が備えられる。

吸収体40の製品幅方向Wにおける側縁部には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられる。サイドフラップ70は、１枚または２枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。また、一対のサイドフラップ70には、ファスニングテープ90がそれぞれ備えられる。

ファスニングテープ90は、前胴回り域20及び後胴回り域30において、製品幅方向Wに沿って延び、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持する。本実施形態において、前胴回り域20、後胴回り域30及びファスニングテープ90によって胴回り保持部が構成される。

吸収体40の表面側（トップシート50側）は、脚回り開口部35に沿って形成され、製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグギャザー75（レッグ弾性部）が備えられる。レッグギャザー75は、伸縮性の不織布シートで形成される。

具体的には、不織布シートは、少なくとも股下域25において、幅5mm（使い捨ておむつ10の自然状態における製品幅方向Wにおける幅）以上、35mm以下であることが好ましい。5mm未満では、実質的に面で着用者の脚回りに沿うという効果が発現せず、35mmを超えると、脚回りに沿う領域が広くなり、不織布シートが着用者の身体側に巻き込んだり、めくれたりし易くなってしまう。

レッグギャザー75の伸縮率は、1.6〜2.4倍であることが好ましい。本実施形態では、レッグギャザー75の伸縮率は、2.0倍に設定される。

レッグギャザー75の伸縮率は、レッグギャザー75の伸縮方向（製品長手方向L）における伸縮の程度を意味し、以下のように規定される。

レッグギャザー75の伸縮率＝（レッグギャザー75の最大伸張時長さ）／（レッグギャザー75の自然状態時長さ）
なお、レッグギャザー75の伸縮率は、次のように測定される。

使い捨ておむつ10がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60％±5％RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。

次いで、シンワ測定株式会社製のスプリングメジャー（テープ：ガラス繊維入塩ビ被覆）を用いて、測定対象部位に沿わせるようにして、使い捨ておむつ10のこの状態の長さ、つまり、使い捨ておむつ10の自然状態のレッグギャザー75の長さと、使い捨ておむつ10を自然状態から弾性部材によるしわが目視にて確認できない状態まで延伸した時のレッグギャザー75の長さとを測定する。ここで、１０サンプルに対して、上述の測定を行い、その平均値を、上述の長さとした。

以下、本明細書における「長さ」の測定は、上述の測定方法によって行われるものとする。

また、左右一対のレッグギャザー75の製品幅方向Wにおける内側端の間隔は、股下域25から前胴回り域20に向かうに連れて広くなるとともに、股下域25から後胴回り域30に向かうに連れて広くなる。さらに、左右一対のレッグギャザー75の前胴回り域20の端部における当該間隔（図中のD1）は、左右一対のレッグギャザー75の後胴回り域30の端部における間隔（図中のD2）よりも狭い。なお、当該間隔は、使い捨ておむつ10を自然状態からしわがない状態に製品長手方向L及び製品幅方向Wに拡幅して保持した後、左右一対のレッグギャザー75の製品幅方向Wにおける内側端間の距離を測定したものである。

着用者の身体の皮膚表面の伸びは、臀部において特に大きく、その幅方向外側寄りの位置にて顕著である。また、レッグギャザー75は、着用者の身体に密着している。そこで、D2＞D1とすることで、着用者の動きが使い捨ておむつ10に加わった場合でも、臀部側でのレッグギャザー75が密着したまま伸びることができ、伸びの変化量が大きくてもレッグギャザー75が突っ張ることがない。従って、レッグギャザー75による使い捨ておむつ10のズレを抑制し得る。

また、一対のレッグギャザー75の内側（製品幅方向Wにおける中央寄り）には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80（サイド弾性部）が備えられる。レッグサイドギャザー80は、吸収体40（具体的には吸収体40の肌当接面側に位置するトップシート50）接合される接合部分81と、接合部分81と反対側に位置し、弾性部材（不図示）が配置された自由端部分82とを有する。レッグサイドギャザー80は、着用時には接合部分81を基端部として立ち上がり、自由端部分82が頂点部として着用者の肌と接触する。なお、使い捨ておむつ10は、前胴回り域20及び後胴回り域30において製品幅方向Wに沿って配置されるウェストギャザーを備えてもよい。

吸収体40には、第１変曲部110及び第２変曲部120が形成される。第１変曲部110及び第２変曲部120は、製品幅方向Wに沿って延びる。第２変曲部120は、第１変曲部110よりも後胴回り域30寄りに位置する。第１変曲部110及び第２変曲部120は、使い捨ておむつ10の曲げ基点となる。

本実施形態では、第１変曲部110（第２変曲部120）の製品長手方向L外側の領域には、切欠き115（切欠き125）が形成される。切欠き115は、第１変曲部110と対応する領域に形成される。同様に、切欠き125は、第２変曲部120と対応する領域に形成される。切欠き115及び切欠き125は、吸収体40を構成する吸収性コア40aが存在しない領域である。本実施形態において、切欠き115及び切欠き125は、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低い低剛性部に該当する。

なお、切欠き115及び切欠き125を形成することに代えて、切欠き115及び切欠き125の領域を、吸収性コア40aの目付けが吸収性コア40aの他の部分よりも低くするようにしてもよい。

ここで、吸収性コア40aの目付は、以下のように測定する。第１に、電子天秤を用いて、対象領域における吸収性コア40aの質量を測定する。第２に、測定した質量を、表面シート側の対象領域の側面の面積で割り、１ｍ^２当たりの質量に換算した結果を、吸収性コア40aの目付けとする。切欠き115及び切欠き125は、第１変曲部110及び第２変曲部120をより良い状態にするために形成されている。本実施形態では、切欠き115及び切欠き125は、クロッチ部200の製品長手方向Lにおける縁部に沿って存在する。なお、切欠き115及び切欠き125が形成されていても、前胴回り域20及び後胴回り域30に位置する吸収性コア40aと、股下域25に位置する吸収性コア40aとは、完全に切り離されることなく連続していることが好ましい。

切欠き115及び切欠き125は、製品幅方向W外側に行くに連れて製品長手方向Lにおける長さ（使い捨ておむつ10の自然状態）が広くなっている。このような形状により、吸収性コア40aの製品幅方向W外側がより縮み易くなるため、後述するように使い捨ておむつ10に平坦な「底部」が形成される。また、切欠き115よりも前胴回り域20寄りに位置する吸収性コア40a、及び切欠き125よりも後胴回り域30寄りに位置する吸収性コア40aは、「底部」から立ち上がり、着用者の体（腹部および臀部）の丸みに沿うように湾曲し易くなる。

また、切欠き115（切欠き125）の前胴回り域20（後胴回り域30）寄りの縁部は、円弧状である。切欠き115（切欠き125）の縁部は、円弧の中心が当該縁部よりも後胴回り域30（前胴回り域20）に位置するような形状である。このような形状により、着用者の体の丸みに沿った変形がより容易かつ顕著に起き易い。

股下域25、具体的には第１変曲部110と第２変曲部120との間には、クロッチ部200が形成される。クロッチ部200は、吸収体40の他の部分よりも平坦な形状の維持が容易なように構成される。クロッチ部200は、少なくとも製品長手方向Lまたは製品幅方向Wに伸縮可能なクロッチ伸縮部200aを有する。つまり、第１変曲部110及び第２変曲部120は、クロッチ伸縮部200aの収縮によって縮められた部位と、縮められた部位以外の部位との剛性差によって形成される。

クロッチ部200は、胴回り保持部を構成する前胴回り域20、後胴回り域30及びファスニングテープ90と交差することなく前胴回り域20、後胴回り域30及びファスニングテープ90から独立して備えられる。

（２）クロッチ部の形状
次に、クロッチ部200の形状について説明する。図３は、クロッチ部200をバックシート60側から視た拡大平面図である。

上述したように、クロッチ部200はクロッチ伸縮部200aを有する。本実施形態では、クロッチ伸縮部200aとして、伸縮性シートが用いられている。伸縮性シートとしては、例えばウレタン、スチレンのような熱可塑性エラストマ樹脂を溶融し、フィルム状とした伸縮性フィルムや、それらの伸縮繊維からなる不織布、また伸縮性フィルムや伸縮性不織布に部分的に切断され、または脆弱化された非伸張性シートを張り合わせた複合シートなどを用い得る。

また、伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の伸縮性弾性部材を、互いに並列に並べることによってクロッチ伸縮部200aを構成してもよい。この場合、吸収性コア40aの剛性及びその他使い捨ておむつ10を構成する部材の剛性を考慮して、用いる弾性部材の太さや配置するピッチを適宜選択できるが、使い捨ておむつ10本体を自然状態（非伸張状態）とした際に吸収性コア40aの製品幅方向Wにおける側縁部全域が収縮した状態となるようにすることが好ましい。

本実施形態では、クロッチ部200は、製品長手方向Lに沿って伸縮可能である。このため、前胴回り域20及び後胴回り域30がクロッチ部200の収縮によって立ち上がり易くなり、使い捨ておむつ10の着用者へのフィット性が向上する。具体的には、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.2倍以上、1.8倍以下であることが好ましい。本実施形態では、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.4倍に設定される。

クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、クロッチ伸縮部200aの伸縮方向（製品長手方向L）における伸縮の程度を意味し、以下のように規定される。

クロッチ伸縮部200aの伸縮率＝（クロッチ部の最大伸張時長さ）／（クロッチ部の自然状態時長さ）
なお、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、次のように測定される。

使い捨ておむつ10がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60％±5％RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。

次いで、シンワ測定株式会社製のスプリングメジャー（テープ：ガラス繊維入塩ビ被覆）を用いて、測定対象部位に沿わせるようにして、使い捨ておむつ10のこの状態の長さ、つまり、使い捨ておむつ10の自然状態のクロッチ部200aの長さと、使い捨ておむつ10を自然状態から弾性部材によるしわが目視にて確認できない状態まで延伸した時のクロッチ部200aの長さとを測定する。

ここで、１０サンプルに対して、上述の測定を行い、その平均値を、上述の長さとした。

このような伸縮率によって着用者の皮膚の伸縮に好適に追従できる。着用者の皮膚は伸び縮みされ、例えば着用者の臀部においては身体前側が縮むような前屈みの姿勢をとると、臀部側の皮膚は身体を伸ばした状態に対して30%程度伸びるためである。

つまり、1.2倍以下では、使い捨ておむつ10の自然状態での収縮が十分でなく非収縮と比較して使い捨ておむつ10の曲げ易さの差が小さく変曲部が狙いとする位置に形成されない。一方、1.8倍よりも大きくするとクロッチ伸縮部200aの収縮方向における収縮寸法が大きくなり過ぎるため、クロッチ伸縮部200aが存在する領域であるクロッチ伸縮部200aが身体に沿うよりも密着する状態となり易く、使い捨ておむつ10が着用者の下方にズレ易くなってしまう。また、上述したように、レッグギャザー75の伸縮率は、1.6〜2.4倍であることが好ましく、レッグギャザー75の伸縮率は、クロッチ伸縮部200aの伸縮率よりも高いことが好ましい。レッグギャザー75の伸縮率も上述したクロッチ部200と同様に規定される。

クロッチ伸縮部200aは、製品長手方向Lに伸縮可能であり、クロッチ部200に形成される。

レッグギャザー75とクロッチ伸縮部200aとの間には、使い捨ておむつ10の自然状態においてクロッチ伸縮部200aよりも伸縮率が低い低伸縮領域300が形成される。低伸縮領域300の伸縮率も上述したクロッチ部200と同様に規定される。本実施形態では、低伸縮領域300には、殆ど伸縮性を有していない。

レッグギャザー75は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも長いとともに、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも外側に備えられる。

また、レッグサイドギャザー80の自由端部分82の製品長手方向Lにおける端部は、トップシート50に接合される。接合部分81は、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aとレッグギャザー75との間に配置される。

クロッチ部200の製品長手方向Lに沿ったサイズは、使い捨ておむつ10の自然状態において、30mm以上、150mm以下である。なお、当該サイズは、着用者を水平な台上に仰向けに寝かせ、着用者の真横から観察をした場合に、腹部側については着用者のへそを通過するとともに台上と平行な仮想線に接することなく、背中側については台に接することなく着用者の股部領域に収まっているものであることが好ましい。

当該サイズが30mm未満だと、クロッチ部200が着用者の股部領域を十分にカバーできず着用者の身体にクロッチ部200が近付き難い。一方、当該サイズが150mmを超えると、クロッチ部200が着用者の股部領域に収まり難くなる。使い捨ておむつ10は、着用者の腹部側及び背中側の胴回り周辺の領域によって保持されているため、当該領域にクロッチ部200（クロッチ伸縮部200a）が延在すると、クロッチ伸縮部200aの収縮力によってクロッチ伸縮部200aが身体に密着する状態となる。クロッチ伸縮部200aが密着すると、身体と使い捨ておむつ10との間に***物の保持空間が形成され難い。また、着用者の動きによって使い捨ておむつ10が下方へズレ易くなるため好ましくない。

また、クロッチ部200は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心を含む位置に形成される。また、使い捨ておむつ10の自然状態の製品長手方向Lにおける後胴回り域30の長さは、使い捨ておむつ10の自然状態の製品長手方向Lにおける前胴回り域20の長さよりも長い。

具体的には、前記製品長手方向における前記後胴回り部の長さと、製品長手方向における前記前胴回り部の長さとの比率は、1.1以上、1.6以下、好ましくは1.5以下である。1.6を超えると、使い捨ておむつ10の腹部側と背中側のバランスが崩れ、股下域25におむつのクロッチ部200を沿わせた場合に、前胴回り域20が過度に密着してしまったり、後胴回り域30が必要以上に覆われたりしてしまう。具体的には、着用者の身体は、一般的に、下腹部よりも臀部がより出っ張った状態となっているため、「底部」が形成されたクロッチ部と、着用者の股部とを合わせた上で、比率を上述の範囲とすることによって、複雑な身体の形状に対して使い捨ておむつ10がより適した形状となる。つまり、寸法が足りない部分が生じることによる使い捨ておむつ10の部分的な突っ張りや、寸法が余る部分が生じることによる使い捨ておむつ10と身体との間の不要の隙間を防止できる。

また、特に歩行開始前、或いは歩行を開始した頃に用いる乳幼児の場合、身体が腹側に向かって丸まった姿勢をとることが好ましいとされており、そのような姿勢では臀部側の皮膚が伸びた状態になり易く、比率を上述の範囲とすることによって、このような姿勢を取りやすい乳幼児の身体に適した状態となる。

一例を挙げると、使い捨ておむつ10の製品長400mm（製品長手方向L）に対して、前胴回り域20が130mm、クロッチ部200が80mm、後胴回り域30が190mmに設定される。この場合、前胴回り域20と後胴回り域30との長さの比率は、約1.46である。このような比率とすることによって、クロッチ部200のみならず、使い捨ておむつ10の製品長手方向L全体をさらに着用者の身体に沿わせることができる。

本実施形態では、使い捨ておむつ10の自然状態のクロッチ伸縮部200aの製品幅方向Wにおける幅と、使い捨ておむつ10の自然状態のクロッチ伸縮部200aにおける吸収性コア40aの幅とは、少なくとも一部においてほぼ同一である。ここで、「ほぼ同一」とは、吸収性コア40aの幅に対する、吸収性コア40aとクロッチ伸縮部200aの幅の差が20%以内であることを意味する。

具体的には、使い捨ておむつ10の自然状態の製品幅方向Wにおけるクロッチ伸縮部200aの幅は、50〜110mmであることが好ましく、90mm以下がより好ましい。

なお、本実施形態では、使い捨ておむつ10の自然状態の吸収性コア40aの製品幅方向Wに沿った幅は、クロッチ部200が形成されている領域において最も狭い。

クロッチ伸縮部200aの幅が吸収性コア40aと比較して狭すぎると、クロッチ伸縮部200aを平坦に維持する効果が発現し難いためである。一方、クロッチ伸縮部200aの幅が広すぎると、吸収性コア40aが配置されていない領域が収縮してしまい、クロッチ伸縮部200a周辺の剛性が高くなる。このため、着用者の大腿部にクロッチ伸縮部200aが引っ掛かり易くなってしまう。また、クロッチ伸縮部200aは、吸収性コア40aが存在しない領域ではより収縮された状態にて装着されるため、部材同士の重なりが発生し易くなり、クロッチ伸縮部200aが硬くなり、履き心地を損ねてしまう。

また、使い捨ておむつ10の自然状態において、クロッチ伸縮部200aにおける吸収性コア40aと、レッグギャザー75の製品幅方向Wにおける内側端部との距離は、30〜60mmであることが好ましい。これにより、クロッチ伸縮部200aは、レッグギャザー75によって着用者の身体に近付けられ易く、クロッチ伸縮部200aが、着用者の身体に、適当な間隔を保ちつつ近付くことができる。

さらに、使い捨ておむつ10の自然状態において、クロッチ部200、具体的にはクロッチ伸縮部200aの製品幅方向Wに沿った幅は、クロッチ部200と重なっている領域における吸収性コア40aの製品幅方向Wに沿った幅よりも狭い。

ただし、使い捨ておむつ10の自然状態において、クロッチ部200の製品幅方向Wに沿った幅と、クロッチ部200と重なっている領域における吸収性コア40aの製品幅方向Wとの差は、20%以下である。

また、使い捨ておむつ10の自然状態において、クロッチ部200の幅が最も狭い部分は、製品幅方向Wに沿った使い捨ておむつ10の中心線よりも15〜45mm前胴回り域20寄りの位置、好ましくは25〜35mm前胴回り域20寄りの位置を跨いで配置されることが好ましい。

左右の大腿部が互いに最も接近する位置は、着用者の身体の前後方向における中心よりも前胴回り寄りである。このため、上述のような配置とすることによって、身体の形状により合致した位置に変曲部を設けることが可能となり、履き心地を向上させつつ、クロッチ部200を着用者の股部に沿わせることができる。

（３）作用・効果
使い捨ておむつ10によれば、前後の変曲部（第１変曲部110及び第２変曲部120）と、クロッチ伸縮部200aが「底部」を形成するため、着用者の身体に近い位置に使い捨ておむつ10のクロッチ部200が配置される。このため、クロッチ部200は、外部からの重みや負荷が掛かった場合でも身体に近い位置に沿うことができる。

また、脚回り開口部35に沿ってレッグギャザー75が存在するため、脚回り開口部35が着用者の脚回りに位置し、脚回り開口部35周辺において使い捨ておむつ10と身体の隙間が発生することが防止される。このため、***物のモレや、使い捨ておむつ10の位置ズレを抑制できる。

さらに、レッグギャザー75とクロッチ伸縮部200aとの間には低伸縮領域300が存在する。これにより、特に着用者の股下部においては、クロッチ部200が身体に近い位置に配され、脚回り開口部35は、クロッチ部200を基準位置として着用者の身体に向かって立ち上がることが可能となり、より好適に着用者の脚回りに沿い続けることができる。

また、クロッチ伸縮部200aとレッグギャザー75とが同一領域内に存在しており、クロッチ伸縮部200aとレッグギャザー75とが製品長手方向Lに収縮している。このため、クロッチ伸縮部200aにより、使い捨ておむつ10の股下域25（クロッチ部）の吸収性コア40aが収縮し、レッグギャザー75の収縮が吸収性コア40aによる影響を受け難くなり、レッグギャザー75が収縮し易くなる。特に、クロッチ伸縮部200aをクロッチ部に設けたため、クロッチ部のレッグギャザー75がより収縮し易くなっている。

これにより、レッグギャザー75が着用者の脚回りに密着し易くなり、特に吸収体40の重みなどにより隙間の出来易い股下部におけるレッグギャザー75の密着性をさらに高めることができる。また、クロッチ伸縮部200aを設けることによって、レッグギャザー75の伸縮率を下げる、若しくはレッグギャザー75による応力を下げることも可能となり、よりやさしくレッグギャザー75を脚回りに密着させることができる。

さらに、使い捨ておむつ10の自然状態において、レッグギャザー75（レッグ弾性部）は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ部200よりも長い。

また、レッグギャザー75とクロッチ部200との間には、使い捨ておむつ10の自然状態においてクロッチ部200よりも伸縮率が低い低伸縮領域300が形成される。

このため、レッグギャザー75を含む周辺と、クロッチ部200とが収縮する一方で、低伸縮領域300は、レッグギャザー75を含む周辺及びクロッチ部200よりも収縮し難いため、使い捨ておむつ10の着用時に低伸縮領域300が膨らみ易く、使い捨ておむつ10の股下域25を、いわゆるパフスリーブのような形状とすることができる。使い捨ておむつ10の股下域25がパフスリーブのような形状となると、着用者のそけい部の通気性が確保し易い。また、足の動きを妨げないため、着用者に違和感を与えない。

本実施形態では、使い捨ておむつ10の自然状態において、レッグギャザー75の製品幅方向Wにおける間隔は、股下域25か前胴回り域20に向かうに連れて広くなるとともに、股下域25から後胴回り域30に向かうに連れて広くなる。

このため、使い捨ておむつ10の装着状態においてレッグギャザー75の前後端部の離間距離をより小さくする、もしくは交差して配置することが可能となる。これにより、より好適に着用者の脚回りにレッグギャザー75が隙間なく沿い続けることができる。

本実施形態では、使い捨ておむつ10の自然状態において、レッグギャザー75の製品幅方向Wに沿った幅は、使い捨ておむつ10の自然状態において、5mm以上である。

このため、レッグギャザー75が面で着用者の脚回りに沿うことができるため、脚回り開口部35周辺において使い捨ておむつ10と身体の隙間が発生することがさらに確実に防止される。

（４）その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。

例えば、上述した使い捨ておむつ10において、クロッチ部200が伸縮することを視覚的に容易に認識させるため、クロッチ部200のトップシート50側またはバックシート60側に周囲と異なる色に着色された部分や図柄など表示するようにしてもよい。例えば、図３において一点鎖線で示した領域を周囲と異なる色に着色するようにしてもよい。

また、本変更例に係る使い捨ておむつでは、伸縮性の不織布シートで形成されたレッグギャザーに代えて、紐状の弾性部材で形成されたレッグギャザーが設けられていてもよい。

上述した実施形態では、オープンタイプの使い捨ておむつを例として説明したが、本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに適用することもできる。前胴回り域と後胴回り域を形成する外層シートの左右両側縁部が接合されることで胴回り開口部と一対の脚回り開口部を有するパンツ形状おむつについては、前胴回り域及び後胴回り域の外層シートは製品幅方向Wに収縮及び伸長可能となる弾性要素を有しており、それらを収縮することで着用者の胴回りに使いおむつが保持される。つまり、製品長手方向Lに伸びる左右両側縁部が接合されている範囲が胴回り保持部となる。

このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

10…使い捨ておむつ
20……前胴回り域
25…股下域
30…後胴回り域
35…足回り開口部
40…吸収体
40a…吸収性コア
40b…コアラップ
50…トップシート
60…バックシート
70…サイドフラップ
75…レッグギャザー
80…レッグサイドギャザー
81…接合部分
82…自由端部分
90…ファスニングテープ
110…第１変曲部
115…切欠き
120…第２変曲部
125…切欠き
200…クロッチ部
200a…クロッチ伸縮部
300…低伸縮領域

Claims (7)

1. 前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と有し、
   一対の脚回り開口部が形成されるとともに、前記股下域を跨ぎ前記前胴回り域及び前記後胴回り域に伸びる吸収体を備え、
   前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向と、製品長手方向と直交する製品幅方向とを有する使い捨ておむつであって、
   前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、製品幅方向に沿って延び、前記使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部と、
   前記股下域に形成され、少なくとも製品長手方向に伸縮可能なクロッチ部と、
   前記脚回り開口部に沿って形成され、少なくとも製品長手方向に伸縮可能な一対のレッグ弾性部と
   を備え、
   前記レッグ弾性部は、製品長手方向において、前記クロッチ部よりも長いとともに、製品幅方向において、前記クロッチ部よりも外側に備えられ、
   前記レッグ弾性部と前記クロッチ部との間には、前記クロッチ部よりも伸縮率が低い低伸縮領域が形成され、
   製品長手方向に沿って延びるサイド弾性部と、
   前記吸収体の肌当接面側に設けられるトップシートと
   を備え、
   前記サイド弾性部は、前記吸収体と接合される接合部分と、前記接合部分と反対側に位置し、弾性部材が配置された自由端部分とを有し、
   前記自由端部分の製品長手方向における端部は、前記トップシートに接合され、
   前記接合部分は、製品幅方向において、前記クロッチ部と前記レッグ弾性部との間に配置される使い捨ておむつ。
2. 前胴回り域と、後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域と有し、
   一対の脚回り開口部が形成されるとともに、前記股下域を跨ぎ前記前胴回り域及び前記後胴回り域に伸びる吸収体を備え、
   前記前胴回り域から前記後胴回り域に向かう製品長手方向と、製品長手方向と直交する製品幅方向とを有する使い捨ておむつであって、
   前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、製品幅方向に沿って延び、前記使い捨ておむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部と、
   前記股下域に形成され、少なくとも製品長手方向に伸縮可能なクロッチ部と、
   前記脚回り開口部に沿って形成され、少なくとも製品長手方向に伸縮可能な一対のレッグ弾性部と
   を備え、
   前記レッグ弾性部は、製品長手方向において、前記クロッチ部よりも長いとともに、製品幅方向において、前記クロッチ部よりも外側に備えられ、
   前記レッグ弾性部と前記クロッチ部との間には、前記クロッチ部よりも伸縮率が低い低伸縮領域が形成され、
   前記レッグ弾性部の伸縮率は、前記クロッチ部の伸縮率よりも高い使い捨ておむつ。
3. 前記レッグ弾性部の伸縮率は、1.6〜2.4倍である請求項２に記載の使い捨ておむつ。
4. 前記クロッチ部の伸縮率は、1.2〜1.8倍である請求項２に記載の使い捨ておむつ。
5. 前記レッグ弾性部の製品幅方向における間隔は、前記股下域から前記前胴回り域に向かうに連れて広くなるとともに、前記股下域から前記後胴回り域に向かうに連れて広くなる請求項１乃至４の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
6. 前記レッグ弾性部は、伸縮性を有するシートによって形成され、
   前記レッグ弾性部の製品幅方向に沿った幅は、前記使い捨ておむつの自然状態において、5mm以上である請求項１乃至５の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
7. 前記低伸縮領域は、前記使い捨ておむつの着用時において、前記クロッチ部よりも膨らむことによって、前記使い捨ておむつ着用者との身体との間に所定の空隙を形成する請求項１乃至６の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。

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