JP5252374B2 - 車載通信ネットワークシステム - Google Patents

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この発明は車載通信ネットワークシステムに関する。
特開2007−28632号公報 特開2004−320423号公報 特開2003−124950号公報 特開2002−325085号公報 特開平8−191485号公報
近年、自動車には多くの安全・快適機能が搭載され、こうした個々の機能の制御を司るECU(electronic control unit)を車載ネットワークで接続して連携動作させることが行なわれている。こうした車載ネットワークとして代表的なものにCAN(Controller Area Network)があり、パワートレイン系、シャーシ系、ボデー系及び情報系の標準型シリアル通信ネットワークとして広く採用されている。CANはデータ転送速度が最大1Mbpsに規定された高速通信プロトコルであり、物理層は2線式(グランドを含めると3線)で、通信距離は最大1kmである。すべてのノードは平等の立場であり、どのノードもマスターノードとなることができる。非同期式(調歩同期型)であるが、エッジ検出による再同期処理やビットスタッフィングなど、高精度のノード間同期を実現している。また、ノイズマージンを高めるためにツイストペア線を用いた差動伝送方式を採用し、バスアービトレーションや、エラーカウンタを用いたバス状態遷移など、信頼性の高いマルチマスタ方式通信を実現するため、プロトコル上種々の工夫がなされている。
しかし、上記のようなCANの特徴は、ネットワークコストの高騰化を招きやすい側面も有しており、例えばボデー系に分類される車体装備の中でも、電動ドアミラーやパワーウィンドウなど、高速できめ細かい制御がそれほど求められない機器制御用のネットワークとしては過剰スペックになりやすい欠点がる。そこで、この欠点を補うべく、簡易型のシリアル通信ネットワークとしてLIN(Local Interconnect Network)が提唱され、実搭載が進んでいる(特許文献1〜5)。LINのデータ転送速度は最大19.2kbpsであり、半二重式UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信をもとにしたシンプルなプロトコルが採用され、一つの決まったマスターノードが複数のスレーブノードを管理する。LINはCANと同様、非同期式(調歩同期型)であるが、シングマスタ方式であり、これを受けてUARTによるノード構成やバスのシングルワイヤ化といった簡略なハードウェア構成に加え、マスタータスクをなすヘッダに同期フレームを組み込み、その時間補正用基準波形を参照してスレーブボーレートを補正する簡易型同期プロトコルを採用することにより、伝送レートは低いもののCANと比較して大幅なコスト削減が実現できる。
ところで、車載通信ネットワークを構築する際には、CANとLINはそれぞれ独立に存在するのではなく、一つの車両上で共存させるケースが圧倒的に多い。具体的には、CANクラスタを構成するノードのひとつをゲートウェイとして、これにLINクラスタを接続する形で複合ネットワークが構築される。LINでは1マスター+複数スレーブのプロトコルになっているので、ゲートウェイをなすCANノードをLINのマスターノードとして動作させる方式が一般的に多く採用されている。図22は、ボデー系CANクラスタにおける実例を示すもので、ボデー系主幹バス103(A)により接続されたCANノード、具体的にはボデーECU106(A)とA/C(エアコン)ECU106(B)とをそれぞれゲートウェイとして、P/W(パワーウィンドウ)ECU104(A)〜104(D)(「D」「P」「RR」「RL」は、それぞれ「運転席」「助手席」「後部右席」「後部左席」を示す)をスレーブノードとする2つのLINクラスタが形成されている。
図22においては、同じP/WECU104(A)〜104(D)からなるスレーブノード群が、マスターノードをなすボデーECU106(A)とA/CECU106(B)とに対応して冗長化して設けられており、それぞれ独立したLINクラスタを構成していたが、機能的には全く同一のスレーブノード群が重複して設けられているため高コスト化が避けがたい。この場合、ボデーECU106(A)とA/CECU106(B)との間で1つのLINクラスタを共用化できれば無駄を省くことができるが、LINはシングルマスタ方式であり、1本のLIN通信バス上に2つのマスターノードが存在することはプロトコル上許されない。
一方、プロトコル上の矛盾を生ずることなく、2つのマスターノードにより1つのスレーブノード群を共有化する接続方法としては、図21に示すような方式が可能である。ここでは、ボデー系主幹バス103(A)に接続されたボデー系ECU106(A)が一方のゲートウェイを、走行系専用バス103(A)に接続された走行系ECU106(B)が他方のゲートウェイを構成しており、これら2つのゲートウェイに4つのスレーブノード104(A)〜104(D)からなるLINクラスタが共有化されている。4つのスレーブノード104(A)〜104(D)は、具体的には、シート位置調整機構を制御するシートECU104(A)、ハンドルの上下位置ないし前後位置を調整するチルト・テレスコ機構を制御するチルテレECU104(B)、アクセルやブレーキのペダル位置調整機構を制御するペダル調整ECU104(C)、シートベルト位置調整機構を制御するシートベルトECU104(D)からなる。
各スレーブノード104(A)〜104(D)は、いずれもLINトランシーバを2個ずつ内蔵しており、それぞれ異なるゲートウェイにつながる2系統のLIN通信バス105(A),105(B)により重複して接続されている。つまり、各スレーブノード104(A)〜104(D)は、ボデー系ECU106(A)をマスターノードとする第一のLINクラスタ(105(A))と、走行系ECU106(B)をマスターノードとする第二のLINクラスタ(105(B))とに重複して所属する形となっている。
例えば、ユーザの利便や快適が優先されるシーンでは、上記LINクラスタに、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置を、ユーザの運転しやすさや乗り込みやすさを考慮した適性位置に自動調整させる制御を行なうのが好適である。一方、衝突安全が重視されるシーンでは、上記各位置を、車がぶつかりそうなときの衝撃吸収を考慮した適性位置に自動調整させる制御を行なうのが好適である。しかし、各シーンの到来検知に必要なセンシングインフラ構成やシーン到来判定条件、及び目標となる適正位置はいずれも全く異なるので、前者においてはボデー系ECU106(A)をマスターノードとして、後者においては走行系ECU106(B)をマスターノードとして、同じスレーブノード104(A)〜104(D)を、敢えて異なるLIN通信バスを介して別系統制御する必要がある。
スレーブノード104(A)〜104(D)を、どちらのCANノードをマスターノードとして制御するかは、上記のごとく到来しているシーン内容に応じて決定される。しかし、ゲートウェイをなす各CANノード(106(A),106(B))は、いずれも独立したLINマスターノードであり、シーン内容によってはそれら複数のCANノードが、同じスレーブノード104(A)〜104(D)を同時に(つまり、競合して)制御しようとすることがありえる。この場合、いずれのCANノードがマスターノードの権限を獲得するかを、シーン内容に応じて調停する必要がある。これに対応して、次のような問題が発生する。
(1)上記調停を行なうための専用の通信線を上記CANノード間に設ける必要がある。それらCANノードが同一のCANクラスタ上にある場合でも、CANプロトコルに規定された調停方式は、CSMA/CA方式による、いわば早い者勝ちのバスアービトレーション方式が採用されているに過ぎず、特有のシーン到来に基づいて調停がなされるわけではないから、結局専用の通信線を設けるか、あるいは、設けない場合でも、LINマスターノード調停を行なうためのCAN通信ソフトウェアを別途搭載する必要が生じる。
(2)LINクラスタの物理層(通信線及びノード内のLINトランシーバ)を全て冗長化して設けなければならず、シングルワイヤ方式のLINのコストメリットが著しく阻害される。
本発明の課題は、シングルワイヤ方式のLINのコストメリットを損ねることなく、そのマスターノードを随時切替可能なLINクラスタを含む車載通信ネットワークシステムを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の車載通信ネットワークシステムは、複数のLINノードが単一のLIN通信バスにより接続されたLINクラスタを含むもので、上記の課題を解決するために、LINクラスタをなすLINノードの2以上のものが、マスターノードとスレーブノードとの切り替えが可能な属性切替可能型ノードとされ、それら属性切替可能型ノードのいずれか1つをLINクラスタのマスターノードに、残余のものを該LINクラスタのスレーブノードに、それぞれ切り替え可能に設定するマスター/スレーブ設定切替手段が設けられ、LIN通信におけるデータ伝送に際してのメッセージフレーム構造が、マスタータスクとして送信されるヘッダと、スレーブタスクとして送信されるレスポンスとからなり、ヘッダ送受信とレスポンス送受信とを交互に繰り返す形で通信メッセージのやり取りがなされるとともに、前記属性切替可能型ノードには、前記マスターノードとして作動する際に前記ヘッダを前記LIN通信バスに送出するヘッダ送出手段と、同じく前記レスポンスを受信するレスポンス受信手段と、前記スレーブノードとして作動する際に前記ヘッダを受信するヘッダ受信手段と、同じく前記レスポンスを前記通信バスに送出するレスポンス送出手段とが設けられていることを特徴とする。
この発明では、複数のLINノードが単一のLIN通信バスにより接続されたLINクラスタにおいて、含まれるLINノードの2以上のものを、マスターノードとスレーブノードとの切り替えが可能な属性切替可能型ノードとして構成し、それら属性切替可能型ノードのいずれか1つをLINクラスタのマスターノードに、残余のものを該LINクラスタのスレーブノードに、それぞれ切り替え可能に設定するマスター/スレーブ設定切替手段を設けた。複数の属性切替可能型ノード間では、マスターノードの権限が随時受け渡し可能になるので、ある瞬間にマスターノードであるLINノードは常に1つに維持でき、LINのプロトコルに反しない。従って、マスターノードとなりえるLINノードが同一スレーブノード群に対して複数設けられているにもかかわらず、LIN通信バスは単一であり、物理層の無駄な冗長化を防止できる。また、属性切替可能型ノード間でどちらがマスターノードになるかの調停も、そのLIN通信バスを介して行なえばよいので、属性切替可能型ノード間に新たな通信線を設ける必要がない。
なお、属性切替可能型ノードは、マスターノードとスレーブノードとのいずれに設定されている場合でも、同じLIN通信バスによりLINクラスタ内の通信を行なうから、該属性切替可能型ノードを含めた各LINノードは、LIN通信バスに対応してLINトランシーバを1つのみ有したものとして構成すればよい。これにより、LIN物理層の無駄な冗長化を防止する効果が一層高められる。
LIN通信では、データ伝送に際してのメッセージフレーム構造がプロトコルにより規定されている。LIN通信におけるデータ伝送に際してのメッセージフレーム構造は、マスタータスクとして送信されるヘッダと、スレーブタスクとして送信されるレスポンスとからなり、LINプロトコルでは、ヘッダ送受信とレスポンス送受信とを交互に繰り返す形で通信メッセージのやり取りがなされる。本発明において各属性切替可能型ノードには、マスターノードとして作動する際にヘッダをLIN通信バスに送出するヘッダ送出手段と、同じくレスポンスを受信するレスポンス受信手段と、スレーブノードとして作動する際にヘッダを受信するヘッダ受信手段と、同じくレスポンスを通信バスに送出するレスポンス送出手段とが設けられる。つまり、従来のLINノードは、マスターノードかスレーブノードのどちらかに固定的に設定されていたので、マスターノードについてはヘッダ送信手段とレスポンス受信手段のみが、スレーブノードについてはヘッダ受信手段とレスポンス送信手段のみが設けられていた。しかし、本発明の属性切替可能型ノードは、ヘッダ及びレスポンスの送受信に係る上記4つの手段を全て具備することで、同一LINノードでありながら、マスターノードとスレーブノードとのいずれかに随時切替が可能となる。
マスターノード権限の移転、すなわちノード属性切り替えの態様には、現在マスターノードとなっている属性切替可能型ノードが現在スレーブノードとなっている他の属性切替可能型ノードに対し、自分からマスターノード権限の委譲を申し出る委譲型移転パターンと、現在スレーブノードとなっている属性切替可能型ノードが、現在マスターノードとなっている他の属性切替可能型ノードにマスターノード権限の明け渡しを要求する要求型移転パターンとの2種類がある。いずれの場合も、委譲ないし要求を行なう相手のノードの了解を得た後、実際のマスターノード権限の移転が行なわれる形となる。しかし、マスターノードからのヘッダに対しスレーブノードがレスポンスにより応答するという、ヘッダ/レスポンスを単位としたメッセージ構造をプロトコルの基本とするLINにおいては、LIN通信に基づく一連のノード属性切り替え処理が、スレーブノードからマスターノードへのレスポンス送信で終了しなければならない要請がある。この点を考慮すれば、ノード属性切り替え処理の開始側がマスターノードとなる委譲型移転パターンのほうが通信シーケンスは簡略となり、要求型移転パターンの通信シーケンスは、委譲型移転パターンの通信シーケンスを発展させる形で構築できる。以下、具体的に説明する。
まず、委譲型移転パターンを実現するには、各属性切替可能型ノードに次のような手段を設ける必要がある。
・マスター権限委譲申出通知手段:マスターノードに設定されている状態にて切替条件が成立した場合に、スレーブノードに設定されている他の属性切替可能型ノードのうち、当該切替条件と対応付けて予め指定されているものにマスター権限委譲を申し出るためのマスター権限委譲申出通知を、LIN通信バスを介して行なう。この通知は、LINプロトコルに従い、該マスターノードからのヘッダ送信にてなされる。
・マスター切替制御手段:スレーブノードに設定されている状態にてマスター権限委譲申出通知を受けた場合に、当該マスター権限を受諾するか否かを判定し、その判定結果を返信する。この返信は、LINプロトコルに従い、該マスレーブノードからのレスポンス送信にてなされる。そして、権限を受諾する判定を行った場合に自身のノード設定をスレーブノードからマスターノードへ切り替える(スレーブノードでの内部処理である)。
・スレーブ切替制御手段:マスターノードに設定されている状態にて上記判定結果を受け、かつ、当該判定結果が権限受諾に関して肯定的であった場合に、自身のノード設定をマスターノードからスレーブノードに切り替える(マスターノードでの内部処理である)。
さて、LINのメッセージ構造では、ヘッダにおいて、次の3つのフィールドを必須フィールドとして組み込むことがプロトコル上の要請となっている。
・ブレークフィールド(Synch Break):メッセージの開始を示す。すなわち、LINメッセージフレームの開始の通知を目的として、マスタータスクが送信する領域である。
・同期フィールド(Synch Field):時間補正用基準波形が組み込まれる。すなわち、クロック精度を必要とするスレーブノードが、クロック補正を行なうための領域である。
・識別子フィールド(Ident Field):通信先となるスレーブノードを特定する。すなわち、マスタータスクがレスポンス送信を行なうスレーブタスクを指定するための領域である。
また、レスポンスにおいては、次の2つのフィールドを必須フィールドとして組み込むことがプロトコル上の要請となっている。
・データフィールド(Data Field):ヘッダの識別子フィールドにより通信先として指定されるに伴ない、送信対象となるデータを組み込まれる。つまり、スレーブタスクが、マスタータスクに対してデータを通知するための領域である。
・エラーチェックフィールド(Check Sum):スレーブタスクのレスポンスの正常/異常を判定するための領域である。異常判定はチェックサムにより行なわれる。
他方、LINプロトコルは、ヘッダないしレスポンスから上記各フィールドが欠けることは禁じているが、上記以外のフィールドが含まれることについては特に禁じていない。委譲型移転パターンでは、マスターノード権限の委譲をマスターノード側から申し出る形となり、ヘッダ送信により該マスターノード権限の委譲申出通知を行なうので、この委譲申出通知を行なうための新たなフィールドをヘッダに設けることで、LINプロトコルに整合しつつマスター権限委譲申出通知が可能となる。具体的には、ヘッダに次の追加フィールドを組み込む。
・委譲フィールド:マスターノードとなる属性切替可能型ノードがマスター権限委譲を行なうか否かを特定する。つまり、マスターノードがマスターの権限をスレーブノードに委任する領域である(以下、「Delegation_1 Field」とも称する)。
また、マスター権限委譲申出の対象となるスレーブノードでは、上記委譲フィールドによるマスターノードからの申出を受諾するか否かの判定結果をマスターノードに通知するための新たなフィールドをレスポンスに設けることで、LINプロトコルに整合しつつマスター権限の委譲申出を受諾するか否かを通知することが可能となる。具体的には、レスポンスに次の追加フィールドを組み込む。
・委譲承認フィールド:スレーブノードとなる属性切替可能型ノードが、ヘッダの委譲フィールドが示すマスター権限委譲を承認するか否かを特定する。例えば、マスターノードからのマスター権限委任に対するエラー応答内容を返す領域(Slave Error Field)として構成可能である。
LINクラスタ内に複数のスレーブノードが含まれる場合、マスターノードは、いわゆるポーリング方式により、各スレーブノードに対し指定された順序にてヘッダ/レスポンスによるメッセージのやり取りを行なうことが可能である。ポーリング方式を採用する場合は、まず、属性切替可能型ノードを含む複数のLINノードに、予め定められたポーリングサイクルを規定するための通信順位が一義的に付与しておく。そして、各属性切替可能型ノードは、マスターノードに設定されている場合は、ヘッダ送出手段とレスポンス受信手段とに対し、LIN通信バス上へのヘッダの送信を、対応するスレーブノードからのレスポンスの受信と交替しつつ、通信先となるスレーブノードをポーリングサイクルに従い順次変更しつつ繰り返し行なうようにする。
本発明において上記ポーリング方式を採用する場合、LINクラスタ内の属性切替可能型ノードを含む全てのノードに上記通信順位が付与される。他方、本発明では、同じLINクラスタ内の複数の属性切替可能型ノード間でマスターノードが交代可能になっている点に特徴がある。こうしたマスターノードの交代を生じた場合も、上記ポーリングサイクルに従った通信シーケンスがなるべく維持されるように動作することが、該通信シーケンスへの各スレーブノードの参加公平性を保つ上で望ましいといえる。
例えば、マスター権限の委譲元となるマスターノードを委譲元ノード、マスター権限の委譲先となるスレーブノードを委譲先ノードとして、委譲型移転パターンでは、委譲元ノードは、ポーリングサイクルにおいて委譲先ノードの通信順位が到来するに伴ない、委譲フィールドに当該委譲先ノードをマスター権限委譲先として指定する内容を記述したヘッダを委譲先指定ヘッダとして送出することになる。委譲先ノードは該委譲先指定ヘッダを受信してマスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は該委譲先指定ヘッダに続くレスポンスを、委譲承認フィールドにマスター権限委譲を承認する内容を記述した委譲承認レスポンスとして送信するとともに自ノードをマスターノードに切り替え設定する。また、委譲元ノードは委譲承認レスポンスを受信して自ノードをスレーブノードに切り替え設定する。この場合、切り替え後のマスターノードは、自ノードの次に通信順位が定められたスレーブノードからポーリングサイクルを更新する形でヘッダの送信を開始するように定めておけば、切り替え前のマスターノードからのポーリングサイクルを円滑に引き継ぐことができる。
他方、マスターノードの切替が行なわれない場合、すなわち、委譲先ノードが委譲先指定ヘッダを受信した後、マスター権限の委譲を承認しない場合は、該委譲先ノードは、委譲先指定ヘッダに続くレスポンスを、委譲承認フィールドにマスター権限委譲を承認しない内容を記述して委譲非承認レスポンスとして送信するとともに自ノードをスレーブノードに設定維持するように構成する。他方、委譲元ノードは委譲非承認レスポンスを受信して自ノードをマスターノードに設定維持しつつ、委譲先ノードの次順位のスレーブノードを指定するヘッダを送出する。これにより、ポーリングサイクルに何ら乱れを生ずることなく継続することができる。
次に、要求型移転パターンを実現するには、各属性切替可能型ノードに次のような手段を設ける必要がある。
・マスター委譲要求通知手段:スレーブノードに設定されている状態にて切替条件が成立した場合に、マスターノードに設定されている他の属性切替可能型ノードに、マスター権限委譲を要求するマスター権限委譲要求通知を、LIN通信バスを介して行なう。この通知は、LINプロトコルに従い、該スレーブノードからのレスポンス送信にてなされる。
・スレーブ切替制御手段:マスターノードに設定されている状態にてマスター委譲要求通知を受けた場合に、要求されたマスター権限の委譲を受諾するか否かを判断し、その判断結果を返信する。この返信は、該マスターノードからのヘッダ送信にてなされる。そして、委譲受諾する場合に自身のノード設定をマスターノードからスレーブノードへ切り替える(マスターノードでの内部処理である)。
・マスター切替制御手段:スレーブノードに設定されている状態にて上記の判断結果を受け、かつ、当該判断結果がマスター権限の委譲に関して肯定的であった場合に、自身のノード設定をスレーブノードからマスターノードに切り替える(スレーブノードでの内部処理である)。
このように、要求型移転パターンでは、マスターノード権限の移転に直接関与する通信シーケンスが、委譲先ノードをなすスレーブノード(属性切替可能型ノード)のレスポンス送信から開始される。しかし、その後は、その要求を承認した委譲元ノードからのマスターノード権限の移転申出を行なうヘッダ(委譲フィールド)が続き、その申出を委譲先ノードが受諾するレスポンス(委譲承認フィールド)で通信シーケンスが完了する。つまり、要求型移転パターンでの通信シーケンスは、委譲型移転パターンの通信シーケンスの要部をなすヘッダ/レスポンスに先立って、権限要求のためのレスポンスが追加された構造をとることになる。
すなわち、要求型移転パターンでは、マスターノード権限の委譲をスレーブノード側から要求する形となり、レスポンス送信により該マスターノード権限の委譲要求を行なうので、この委譲要求を行なうための新たなフィールドをレスポンスに設けることで、LINプロトコルに整合しつつマスター権限委譲要求が可能となる。具体的には、レスポンスに次の追加フィールドを組み込む。
・委譲要求フィールド:マスターノードとなる属性切替可能型ノードに対しマスター権限委譲を要求するか否かを特定する。つまり、スレーブノードからマスターノードになるという要求を出す領域である(以下、「Delegation_2 Field」ともいう)。
また、マスター権限委譲要求の対象となるマスターノードでは、上記委譲要求フィールドによるスレーブノードからの要求を受諾するか否かの判定結果をマスターノードに通知するための新たなフィールドをヘッダに設けることで、LINプロトコルに整合しつつマスター権限の委譲要求を受諾するか否かを通知することが可能となる。具体的には、ヘッダに次の追加フィールドを組み込む。
・委譲要求承認フィールド:スレーブノードとなる属性切替可能型ノードがマスター権限委譲要求を承認するか否かを特定する。例えば、スレーブノードからのマスター権限委任要求に対するエラー応答内容を返す領域(Master Error Field)として構成可能である。
要求型移転パターンにおいては、委譲先ノードは、委譲要求フィールドに当該委譲先ノードをマスター権限委譲先とする要求を記述したレスポンスを委譲先指定レスポンスとして送出し、委譲元ノードは該委譲先指定レスポンスを受信してマスター権限の委譲を承認するか否かを判断する。そして、委譲元ノードが該委譲を承認する場合であるが、委譲型移転パターンと同様のシーケンスを採用すると、マスターノードの交代タイミングは、次にマスターノードとなるべき委譲先ノードの通信順位がすでに過ぎてしまっているので、委譲先ノードの通信順位が次に到来するまで、約1ポーリングサイクル分だけ待ち時間が生ずることとなる。もちろん、当該方式も本発明においては採用可能であるが、マスターノードの交代をより迅速に行なうには、次のような方式が好適である。
すなわち、委譲元ノードが該委譲を承認する場合は、現在マスターノードとなっている委譲元ノードがポーリングサイクルを、委譲先ノードから委譲先指定レスポンスを受けた段階で一旦打ち切る。そして、該委譲先指定レスポンスに続くヘッダを、委譲要求承認フィールドにマスター権限委譲要求を承認する内容を記述し、委譲フィールドに当該委譲先ノードをマスター権限委譲先として指定する内容を記述したヘッダを委譲先指定ヘッダとして、当該委譲先ノードからポーリングサイクルを再開する形で送出する。つまり、この場合に限っては、すでに過ぎたはずの委譲先ノードの通信順位を1回反復する形でポーリングサイクルを継続するのである。これにより、上記の待ち時間の短縮を図ることができる。その後、委譲先ノードは該委譲先指定ヘッダを受信してマスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は該委譲先指定ヘッダに続くレスポンスを、委譲承認フィールドにマスター権限委譲を承認する内容を記述した委譲承認レスポンスとして送信するとともに自ノードをマスターノードに切り替え設定し、自ノードの次に通信順位が定められたスレーブノードからポーリングサイクルを引き継ぐ形でヘッダの送信を新たに開始する。また、委譲元ノードは委譲承認レスポンスを受信して自ノードをスレーブノードに切り替え設定する。
なお、委譲元ノードが委譲先指定レスポンスを受信した後、マスター権限の委譲要求を拒否する場合は、委譲先指定レスポンスに続くヘッダを、委譲要求承認フィールドにマスター権限委譲要求を拒否する内容を記述した委譲要求拒否ヘッダとして送信するとともに自ノードをマスターノードに設定維持し、委譲先ノードの次順位のスレーブノードを指定するヘッダを送出する形でポーリングサイクルを継続する。これにより、ポーリングサイクルに何ら乱れを生ずることなく継続することができる。
メッセージフレームを、委譲型移転パターンと要求型移転パターンとの双方に対応可能に構築したい場合、ヘッダには委譲フィールドと委譲要求承認フィールドとの双方を、レスポンスには、委譲承認フィールドと委譲要求フィールドとの双方を設けることになる。ヘッダ及びレスポンスの各フィールドは、ヘッダないしレスポンスの先頭からの配置位置とフィールド長とを固定化することにより、それぞれスタートビットとストップビットとによりフィールドの切れ目さえ識別できれば、個々のフィールドを特定するための領域を設けずとも、受信側にて現在どのフィールドを受信中であるかを問題なく識別することができる。
次に、本発明の車載通信ネットワークシステムは、複数のCANノードがCAN通信バスにより接続されたCANクラスタと、複数のLINノードが単一のLIN通信バスにより接続され、前記CANノードをゲートウェイノードとしてCANクラスタに接続されたLINクラスタとからなる複合車載通信ネットワークシステムとして構成できる。そして、複数のCANノードをゲートウェイノードとしてとして、LINクラスタを構成する1つのLIN通信バスがそれら複数のゲートウェイノードに分配接続されるとともに、各ゲートウェイノードを属性切替可能型ノードとして構成することができる。
CANノードをゲートウェイとして、これをLINマスターノードとして動作させる構成は、設計が簡単で安価であり、使用するマイコンに必要な数の通信チャネルとCPU性能があれば、一つのゲートウェイに複数のLIN通信バスを接続する設計も容易なので、車載通信ネットワークシステムの代表的なインフラ形態として幅広く実用化されている。しかし、この方式は、ゲートウェイとなるCANノードが故障すると、それにつながるLINクラスタ全体がダウンする恐れがあり、大きな欠点の一つとなっている。例えば、LINノードのすべての機能が、接続先となるCANクラスタからの指令でのみ従属的に動作するような場合、特に、対象のLINクラスタがそれだけで機能的に閉じているような場合(例えば、スレーブノードにスイッチとランプが接続され、スイッチを入れればランプが点灯するといった機能)は、ゲートウェイが故障すれば、他のスレーブノードが全て正常であっても機能的には全く意味を成さず、そのLINクラスタが担う車載機能が一括して失われる可能性もある。
他方、上記のようなゲートウェイのトラブルからLINクラスタを守ることができる一つの方法として、ゲートウェイとなるCANノードをLINスレーブノードとして動作させる方式も実用化されている。例えば、LIN2.0では、故障ノードの切り離しがプロトコルで規定されており、ゲートウェイの故障に対してはCANとほぼ同等の信頼性を確保することができる。しかしながら、ゲートウェイはLINスレーブノードとして働くので、LINクラスタ内の(ゲートウェイをなさない)マスターノードには、ゲートウェイをなすLINスレーブノードに対し、CANクラスタ側からのメッセージを定期的に確認するためのポーリング機能を追加しなければならない問題がある。
また、LINでは、マスタータスクをなすヘッダに同期フレームを組み込み、その時間補正用基準波形を参照してスレーブボーレートを補正する簡易型同期プロトコルが採用されている。つまり、データ送信を行なう毎にマスターノードからの時間補正用基準波形に合わせてスレーブノードがボーレートを補正し、同期をとるようにしているのである。他方、CANは比較的高伝送レートに対応できるマルチマスタ方式のシリアル通信プロトコルであり、エッジ検出による再同期処理やビットスタッフィングなど、より高精度のノード間同期機構を有する。従って、同期精度の高いCANノードを、LINクラスタ内のマスターノードとして採用すれば、LINクラスタ内の同期精度も高めることができる。しかし、CANノードがスレーブノードとして使用される場合は、CAN通信バスから切り離されたLINマスターノードが採用される限り、同等の同期精度を実現するのは困難になるか、たとえ実現できたとしても、LINマスターノードの発振回路の高性能化や同期方式の複雑化など、コストアップが避けられなくなる。
しかしながら、本発明のごとく、LINクラスタを構成する1つのLIN通信バスを、CANノードをなす複数のゲートウェイノードに分配接続し、各ゲートウェイノードを属性切替可能型ノードとしてマスター/スレーブの切替を可能に構成しておくことで、現在マスターノードになっている属性切替可能型ノードが仮にダウンしても、他の生きている属性切替可能型ノードをマスターノードに切り替えることができる。これにより、当該LINクラスタのフェールセーフ機能は格段に向上し、信頼性を飛躍的に高めることができる。また、マスターノードとなりうる属性切替可能型ノードはいずれもCANノードであるから、LINクラスタ内の同期精度の確保も容易である。
マスター/スレーブ設定切替手段は、CANクラスタ又はLINクラスタの通信状態を監視する通信状態監視手段を有し、監視中の通信状態において予め定められた切替条件が成立した場合に、複数の属性切替可能型ノードにおけるマスターノード及びスレーブノードの設定切替を行なうように構成できる。監視中の通信状態、つまり、複数の属性切替可能型ノードのうちシーンに応じてふさわしいものをマスターノードに随時切り替えることができ、よりきめ細かい制御が可能となる。この場合、通信状態(シーン)の予め定められた種別毎に、複数の属性切替可能型ノードについてマスターノードに設定するための優先順位を定めておくことができ、マスター/スレーブ設定切替手段は成立した通信状態(シーン)に対応する該優先順位に基づいて、マスターノード及びスレーブノードの設定切替を行なうように構成することができる。シーン別にマスターノードとするための優先順位を定めておくことで、マスターノード切り替えの判定アルゴリズムを大幅に簡略化することができる。
LIN通信バスが分配接続される複数のゲートウェイノードは、互いに異なる制御系をなす複数のCANクラスタに振り分けて設けることができる。通信状態監視手段は、各CANクラスタがCAN通信バスを介して取得する通信情報に基づき対応する制御系の制御状態を監視するものとして構成でき、マスター/スレーブ設定切替手段は、監視中の制御状態が予め定められた切替条件を成立した場合に、当該制御状態と対応付ける形で予め指定されたCANクラスタに属するゲートウェイノードをマスターノードに設定するように構成できる。制御目的の異なるCANクラスタ間で1つのLINクラスタを共有化することで、当該LINクラスタが担う車載機能の適用対象シーンを顕著に拡大でき、LINクラスタのさらなる有効活用を図ることができる。
一方、LIN通信バスが分配接続される複数の上記ゲートウェイノードの一つを、LINクラスタの正規マスターノードとして定める一方、残余のゲートウェイノードをなすスレーブノードを、正規マスターノードの機能の少なくとも一部を引継ぎ可能な代替マスターノード候補として定めておくこともできる。通信状態監視手段は、各CANクラスタがCAN通信バスを介して取得する通信情報に基づき正規マスターノードの動作状態を監視するものであり、マスター/スレーブ設定切替手段は、監視中の正規マスターノードの動作状態に予め定められた内容の異常が検出された場合に、代替マスターノード候補をなすスレーブノードをマスターノードに設定切り替えするものとして構成できる。これにより、当該LINクラスタの正規マスターノードがダウンしても、代替マスターノードによる引継ぎを迅速に行なうことができ、フェールセーフ機能を格段に向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の車載通信ネットワークシステムの一構成例を示すブロック図である。この車載通信ネットワークシステム1は、複数のLINノード4(A)〜4(D),6(A),6(B)が単一のLIN通信バス5により接続されたLINクラスタ50を含む。LINクラスタ50をなすLINノード4(A)〜4(D)、6(A),6(B)の2以上のもの、すなわち、本実施形態においては、ノード6(A),6(B)の2つが、マスターノードとスレーブノードとの切り替えが可能な属性切替可能型ノード6(A),6(B)とされている。これら属性切替可能型ノード6(A),6(B)のいずれか1つがLINクラスタ50のマスターノードに、残余のものが該LINクラスタ50のスレーブノードに、それぞれ切り替え可能に設定される。
図1の構成においては、複数のCANノード(2(A),6(A)‥、及び2(B),6(B)‥)が、それぞれCAN通信バス3(A),3(B)により接続されてCANクラスタ100(A),100(B)を形成している。そして、そのうちのCANノード6(A),6(B)をゲートウェイノード(以下、ゲートウェイノード6(A),6(B)ともいう)として、上記のLINクラスタ50がCANクラスタ100(A),100(B)に接続され、複合車載通信ネットワークシステムが構成されている。LINクラスタ50を構成する単一のLIN通信バス5は、それら複数のゲートウェイノード6(A),6(B)に分配接続されるとともに、各ゲートウェイノード6(A),6(B)が属性切替可能型ノードとして構成されている。
LINノード4(A)〜4(D),6(A),6(B)のうち、属性切替可能型ノード6(A),6(B)を除いた残りのもの4(A)〜4(D)は、LINのスレーブノードとしてのみ機能することが可能であり、図2に示すように、それぞれ、例えば8ビットマイコン(16ビットマイコンでもよい)を主体とするUARTコントローラ41を有し、LINトランシーバ42を介してシングルメタルワイヤからなるLIN通信バス5に接続される。
一方、CANノード(2(A),6(A)‥、及び2(B),6(B)‥)のうち、属性切替可能型ノード6(A),6(B)を除いた残りのもの2(A),2(B)は、図2に示すように、それぞれ例えば32ビットマイコン(16ビットマイコンあるいは8ビットマイコンでもよい)を主体とするCANコントローラ41を有し、CANトランシーバ42を介してツイストペア線からなるCAN通信バス3に接続される。
そして、ゲートウェイノード6(A),6(B)は、それぞれ例えば32ビットマイコンを主体とするCAN/LINゲートウェイプロセッサ61を有し、CANトランシーバ22を介してCAN通信バス3に、さらに、LINトランシーバ42を介してLIN通信バス5に、それぞれ接続される。
本発明においてCAN/LINゲートウェイプロセッサ61の動作には、LINマスターノード、LINスレーブノード及びCANノードとして動作することに加えて、データのバッファリング、タイミング制御、LINとCANのプロトコル変換などのソフトウェアが必要となる。図3に、必要となる主なソフトウェアモジュールを、その相互関係ととともに図示する。
・LINドライバ609:LIN通信を実現するためのソフトウェアである。LINマスターノードとして動作させるためのマスタードライバ622と、LINスレーブノードとして動作させるためのスレーブドライバ623と、属性切替部621とを有し、属性切替部621は、メッセージ・スケジューラ607を経由して送られてくる、後述のLINメッセージフレーム(ヘッダないしレスポンス)の記述内容に従い、マスタードライバ622とスレーブドライバ623とのどちらかを動作させる。これにより、LINマスターノード及びLINスレーブノードのいずれかとして、マイコン内のUARTやタイマなどを制御しつつ通信を行なう。
・CANドライバ610:CAN通信を実現するためのソフトウェア。マイコン内のCANコントローラを制御して通信を行なう。
・IDマッピング・テーブル606/メッセージ・フィルタ603:プロトコル変換を司る。IDマッピング・テーブル606には、LINとCANのID(識別子)変換情報を格納している。ゲートウェイ通信が必要なIDの場合、メッセージ・フィルタ603はIDマッピング・テーブル606に従って、CANプロトコルのIDとLINプロトコルのIDを変換する。また、LINメッセージ・バッファ604及びCANメッセージ・バッファ605へのメッセージ送受信要求の格納処理も行なう。
・エラー・ハンドラ608:エラー制御を司る。LINドライバ609、CANドライバ610、又は、ゲートウェイ自身からのエラーを含むエラー処理を行なう。
・LINメッセージ・バッファ604/CANメッセージ・バッファ605:データ・バッファリングを司る。FIFO(first-in first-out)リング・バッファで構成されており、LIN又はCANへのメッセージ送受信要求を格納する。LIN用及びCAN用の各独立のバッファで構成される。
・メッセージ・スケジューラ607:タイミング制御を司り、各メッセージ・バッファ604,605に問い合わせるためのタイミング機能を提供する。また、LINメッセージ・バッファ604又はCANメッセージ・バッファ605から送受信要求を取得し、送受信データをLINドライバ609やCANドライバ610に引き渡す。
・ゲートウェイAPI(Application Programming Interface)602:各ノードからのデータ・フォワーディングのほか、ゲートウェイ自身の送受信機能を備える。基本APIは、例えば、CANネットワークへの送信要求、CANネットワークへの受信要求(以上、マスター/スレーブ共通)、LINマスターノードへの受信要求(ヘッダ受信+レスポンス送信:スレーブノードとして機能時)、LINスレーブノードへの送信要求(ヘッダ送信のみ)、LINスレーブノードからの受信要求(ヘッダ送信+レスポンス受信)、LINスリープ・コマンド送信、LINウェイクアップ送信(以上、マスターノードとして機能時)などからなる。
・ユーザ・アプリケーション601:後述のごとく、シーンに応じたマスター/スレーブの切替指令ならびに各スレーブノードでの上位制御指令とを司る。
図1のシステム構成においては、LINクラスタ50が接続されるゲートウェイノードはボデー系ECU6(A)と走行系ECU6(B)であり、これらゲートウェイノードがそれぞれ属性切替可能型ノードとして、それぞれ異なるCANクラスタ100A,100B上に設けられている。LINクラスタ50を構成する単一のLIN通信バス5は、これら2つのゲートウェイノード6(A),6(B)に分配接続され、4つのスレーブノード4(A)〜4(D)が上記CANクラスタ100A,100Bに共有化されている。
4つのスレーブノード4(A)〜4(D)は、具体的には、シート位置調整機構を制御するシートECU4(A)、ハンドルの上下位置ないし前後位置を調整するチルト・テレスコ機構を制御するチルテレECU4(B)、アクセルやブレーキのペダル位置調整機構を制御するペダル調整ECU4(C)、シートベルト位置調整機構を制御するシートベルトECU4(D)からなる。
ユーザの利便や快適が優先されるシーンでは、上記LINクラスタ50に、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置を、ユーザの運転しやすさや乗り込みやすさを考慮した適性位置に自動調整させる制御を行なう。一方、衝突安全が重視されるシーンでは、上記各位置を、車がぶつかりそうなときの衝撃吸収を考慮した適性位置に自動調整させる制御を行なう。前者においては、図4に示すようにボデー系ECU6(A)をマスターノード、走行系ECU6(B)をスレーブノードとする形で、後者においては図6に示すように、走行系ECU6(B)をマスターノード、ボデー系ECU6(A)をスレーブノードとする形で、ノード属性を切り替えつつ制御がなされる。以下、ノード属性設定状態を区別して表示する必要がある場合には、スレーブノードに設定されているゲートウェイードの符号には「’(ダッシュ)」を付与し、マスターノードに設定されているゲートウェイードの符号には「’(ダッシュ)」を付与しないことにより、両者を区別して表示するものとする。
属性切替可能型ノードとして構成される各ゲートウェイノード6(A),6(B)は、図2に示すごとく、マスタードライバ622とスレーブドライバ623との双方を備えており(例えば、図1のスレーブノード4(A)〜4(D)にはスレーブドライバ623のみが設けられる)、マスターノードとして作動する際にはLINメッセージフレームのヘッダを送出し(ヘッダ送出手段)、レスポンスを受信する(レスポンス受信手段)。他方、スレーブノード4として作動する際にはヘッダを受信し(ヘッダ受信手段)、レスポンスを送出する(レスポンス送出手段)。
ゲートウェイノード6(A),6(B)の間でのノード属性切り替えパターン、すなわち、マスターノード権限の移転パターンには、次の2種類がある。
・委譲型移転パターン:現在マスターノードとなっているゲートウェイノード(図4では走行系ECU6(B))が現在スレーブノードとなっているゲートウェイノード(図4ではボデー系ECU6(A)’)に対し、自分からマスターノード権限の委譲を申し出る。
・要求型移転パターン:現在スレーブノードとなっているゲートウェイノード(図4ではボデー系ECU6(A)’)が、現在マスターノードとなっているゲートウェイノード(図4では走行系ECU6(B))にマスターノード権限の明け渡しを要求する。いずれの場合も、委譲ないし要求を行なう相手のノードの了解を得た後、実際のマスターノード権限の移転が行なわれる形となる。
LINプロトコルでは、マスターノードからのヘッダに対しスレーブノードがレスポンス返すメッセージフレーム構造が基本となる。従って上記ノード属性の切替処理に係るシーケンスも、スレーブノードからマスターノードへのレスポンス送信で終了しなければならない要請がある。
本発明においては、図7に示すごとく、LINのメッセージ構造に、プロトコル上必須のフィールドを維持しつつ、マスター権限の移転シーケンスを実現するための新たなフィールドを組み込むことにより、同一ノードのマスター/スレーブ属性切り替えを実現している。ヘッダには次のようなフィールドが設けられる。いずれのフィールドもスタートビットとストップビットとを除いて、
・ブレークフィールド(Synch Break):LINメッセージフレームの開始の通知を目的として、マスタータスクが送信する領域である。
・同期フィールド(Synch Field):クロック精度を必要とするスレーブノードが、クロック補正を行なうための領域である。
・識別子フィールド(Ident Field):マスタータスクが、レスポンス送信を行なうスレーブタスクを指定するための領域である。
・委譲フィールド(Delegation_1 Field):マスターノードとなるゲートウェイノードがマスター権限委譲を行なうか否かを特定する。つまり、マスターノードがマスターの権限をスレーブノードに委任する領域である。
・委譲要求承認フィールド(Master Error Field):スレーブノードとなる属性切替可能型ノードがマスター権限委譲要求を承認するか否かを特定する。スレーブノードからのマスター権限委任要求に対するエラー応答内容を返す領域として構成される。
また、レスポンスにおいては、次の2つのフィールドを必須フィールドとして組み込むことがプロトコル上の要請となっている。
・データフィールド(Data Field):ヘッダの識別子フィールドにより通信先として指定されるに伴ない、送信対象となるデータを組み込まれる。つまり、スレーブタスクが、マスタータスクに対してデータを通知するための領域である。
・エラーチェックフィールド(Check Sum):スレーブタスクのレスポンスの正常/異常を判定するための領域である。異常判定はチェックサムにより行なわれる。
・委譲承認フィールド(Slave Error Field):スレーブノードとなるゲートウェイノードが、ヘッダの委譲フィールドが示すマスター権限委譲を承認するか否かを特定する。マスターノードからのマスター権限委任に対するエラー応答内容を返す領域として構成される。
・委譲要求フィールド(Delegation_2 Field):マスターノードとなるゲートウェイノードに対しマスター権限委譲を要求するか否かを特定する。つまり、スレーブノードからマスターノードになるという要求を出す領域である。
すなわち、図7の上に示す従来のLINメッセージフレーム構造に対し、本実施形態においては、委譲フィールド(Delegation_1 Field)と委譲要求承認フィールド(Master Error Field)とがヘッダに、委譲承認フィールド(Slave Error Field)と委譲要求フィールド(Delegation_2 Field)とがレスポンスにそれぞれ追加された特有のメッセージフレーム構造が採用され、これによって委譲型移転パターンと要求型移転パターンとのいずれにも対応可能となっている。
ブレークフィールド、同期フィールド、識別子フィールド、データフィールド及びエラーチェックフィールドの構造については周知であるので、詳細な説明は略する。他方、本発明に特有の新たな4つのフィールドの構成例を図8〜図11に示す。いずれのフィールドも、先頭にスタートビット、末尾にストップビットが付与される点については、上記周知のフィールドと同様である。
図8は、委譲フィールド(Delegation_1 Field)の構成例を示すもので、委譲元ノード(マスター)のIDと委譲先ノード(スレーブ)のIDとを特定するそれぞれ所定数ビット(この実施形態では各4ビット)のコード領域が形成されている。
図9は、委譲要求承認フィールド(Master Error Field)の構成例を示すもので、スレーブノードからのマスター権限委任要求に対するエラー応答内容として、エラー種別を特定する所定数ビット(この実施形態では8ビット)のコード領域が形成されている。該領域に記述されるエラー種別特定コードは、「マスター権限委譲要求」の承認及び非承認が互いに識別可能に記述される(例えば、特定ビット(例えば先頭ビット(ID0))が「1」のとき「承認」、「0」のとき非承認とするなど。このとき、残余ビットは、エラー詳細内容などの記述等に自由に使用可能である)。
図10は、委譲承認フィールド(Slave Error Field)の構成例を示すもので、マスターノードからのマスター権限委譲申出に対するエラー応答内容として、エラー種別を特定する所定数ビット(この実施形態では8ビット)のコード領域が形成されている。該領域に記述されるエラー種別特定コードは、「マスター権限委譲申出」の承認及び非承認が互いに識別可能に記述される(例えば、特定ビット(例えば先頭ビット(ID0))が「1」のとき「承認」、「0」のとき非承認とするなど。このとき、残余ビットは、エラー詳細内容などの記述等に自由に使用可能である)。
図11は、委譲要求フィールド(Delegation_2 Field)の構成例を示すもので、委譲元ノード(マスター)のIDと委譲先ノード(スレーブ)のIDとを特定するそれぞれ所定数ビット(この実施形態では各4ビット)のコード領域が形成されている。
以下、図1の車載通信ネットワークシステム1の具体的な作動形態について説明する。図6を参照して説明すれば、ボデー系ECU6(A)がマスターノードとして設定されている場合、該マスターノード6(A)は、LINクラスタ50内の複数のスレーブノード4(A)〜4(D)及び6(B)’に対し、ポーリング方式により指定された順序にてヘッダ/レスポンスによるメッセージのやり取りを順次行なう。具体的には、ゲートウェイノード(属性切替可能型ノード)を含む複数のLINノード6(A),6(B),4(A)〜4(D)に、ポーリングサイクルを規定するための通信順位を一義的に付与しておく(例えば、6(A)→6(B)→4(A)→4(B)→4(C)→4(D)(→6(A)):これを、以下ベースサイクルという)。そして、各ゲートウェイノード6(A),6(B)は、自分がマスターノードに設定されている場合は(例えば、6(A)とする)、上記ベースサイクルから自分自身を除いたものをポーリングサイクル(6(B)→4(A)→4(B)→4(C)→4(D)(→6(B))として、LIN通信バス5上へのヘッダの送信を、対応するスレーブノードからのレスポンスの受信と交替しつつ、通信先となるスレーブノードを該ポーリングサイクルに従い順次変更しつつ繰り返し行なう。
LINクラスタ50において、ゲートウェイノード6(A),6(B)以外のLINノード4(A)〜4(D)は、前述のごとく、ゲートウェイノード6(A),6(B)に共有化されている形となっているが、この場合、2つのゲートウェイノード6(A),6(B)のうち、LINノード4(A)〜4(D)に対して通常時にマスターノードとなる主ゲートウェイノード6(A)と、予め定められたマスター権限移転条件が成立した場合にのみマスターノードとなる副ゲートウェイノード6(B)とを定めておくことができる。そして、マスター権限移転条件が成立したか否かを副ゲートウェイノード6(B)側で判定し、成立した場合は、副ゲートウェイノード6(B)から主ゲートウェイノード6(A)にマスター権限委譲要求を行なう要求型移転パターンにより、マスター権限を副ゲートウェイノード6(B)に移転させ、その後、マスター権限移転条件の成立状態が解消された場合は、副ゲートウェイノード6(B)から主ゲートウェイノード6(A)にマスター権限委譲申出を行なう委譲型移転パターンにより、副ゲートウェイノード6(B)から主ゲートウェイノード6(A)にマスター権限を返還するように構成すると、より円滑な制御が可能となる。
例えば、図4に示す例では、4つのスレーブノード4(A)〜4(D)が、シート位置調整機構、ハンドルの上下位置ないし前後位置を調整するチルト・テレスコ機構、アクセルやブレーキのペダル位置調整機構及びシートベルト位置調整機構の各制御ECUを構成している。これら機構は、いずれもユーザの運転しやすさや乗り込みやすさを考慮して、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置を適性位置に調整させるのが通常時に求められる機能である(つまり、ユーザの利便や快適が優先されるシーンに該当する)。従って、ボデー系ECU6(A)が主ゲートウェイノードとして定められ、通常時は上記4つのスレーブノード4(A)〜4(D)に対するマスターノードとなって各機構の上位制御を司る。ボデー系ECU6(A)は、図1のCANクラスタ100(A)を構成する他のCANノード2(A)‥から、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置に係る適正値を取得するか、あるいは、ユーザの身体サイズを計測するセンサ群の出力情報(これも、CANクラスタ100(A)から取得する)に基づき、上記各位置の適正地を自律的に作成して、LIN通信によりスレーブノード4(A)〜4(D)に送信する。
一方、通常時にスレーブノードとなっている走行系ECU6(B)は副ゲートウェイノードとして定められ、CANクラスタ100(B)を構成する他のCANノード2(B)‥から、衝突情報(例えば、衝突検出用加速度センサの出力値)を取得して、衝突の有無を判定する。そして、衝突ありと判定した場合は、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置を、車がぶつかりそうなときの衝撃吸収を考慮した適性位置に調整させるための制御を、スレーブノード4(A)〜4(D)を介して緊急対応的に実施する。この場合、走行系ECU6(B)は、マスター権限を走行系ECU6(B)から一時的に譲り受けることで、スレーブノード4(A)〜4(D)に対するマスターノードとして機能することが可能となる。
図12は、この場合のポーリングシーケンスを示すものであり、走行系ECU6(B)が委譲先ノード、ボデー系ECU6(A)が委譲元ノードとなる。まず、走行系ECU6(B)は、ボデー系ECU6(A)からの先行するヘッダHPへ応答する形で、自身をマスター権限委譲先とする要求を委譲要求フィールド(Delegation_2 Field:図11)に記述したレスポンスを委譲先指定レスポンスRBとして送出する。委譲元ノードであるボデー系ECU6(A)は、該委譲先指定レスポンスRBを受信してマスター権限の委譲を承認するか否かを判断する(衝突対応の場合は緊急性を有するので、走行系ECU6(B)からのマスター権限委譲要求は最優先させる形で受諾するように構成しておくことが望ましい)。
ボデー系ECU6(A)(委譲元ノード)が該委譲を承認する場合は、現在のマスターノードであるボデー系ECU6(A)がポーリングサイクルを、走行系ECU6(B)(委譲先ノード)からの委譲先指定レスポンスRBを受けた段階で一旦打ち切る。そして、該委譲先指定レスポンスRBに続くヘッダにおいて、委譲要求承認フィールド(Master Error Field:図9)にマスター権限委譲要求を承認する内容(すなわち、エラー種別特定コードの内容=「正常」)を記述し、かつ、委譲フィールド(Delegation_1 Field:図8)に、走行系ECU6(B)をマスター権限委譲先として(また、ボデー系ECU6(A)をマスター権限委譲元として)指定する内容を記述し、これを委譲先指定ヘッダHAとして送出する。委譲先ノードである走行系ECU6(B)は、該委譲先指定ヘッダHAを受信してマスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は該委譲先指定ヘッダHAに続くレスポンスに、委譲承認フィールド(Slave Error Field:図10)にマスター権限委譲を承認する内容(エラー種別特定コードの内容=「正常」)を記述して、これを委譲承認レスポンスRAとして送信するとともに自ノードをマスターノードに切り替え設定する。そして、自ノードの次に通信順位が定められたスレーブノード(図12ではシートECU2(A))からポーリングサイクルを引き継ぐ形でヘッダの送信を新たに開始する。他方、委譲元ノードであるボデー系ECU6(A)は、該委譲承認レスポンスRAを受信して自ノードをスレーブノードに切り替え設定する。
なお、ボデー系ECU6(A)(委譲元ノード)が委譲先指定レスポンスRBを受信した後、マスター権限の委譲要求を拒否する場合は、図13に示すように、委譲先指定レスポンスRBに続くヘッダを、委譲要求承認フィールドにマスター権限委譲要求を拒否する内容(エラー種別特定コードの内容=「異常」)を記述した委譲要求拒否ヘッダHA’として送信する。そして、自ノードをマスターノードに設定維持し、走行系ECU6(B)(要求としては「委譲先ノード」であるが、実際には権限委譲はなされない)の次順位のスレーブノード(図13ではシートECU2(A))を指定するヘッダを送出する形でポーリングサイクルを継続する。結局、ポーリングサイクルは、通信順位の飛びや重複を生ずることなく継続されていることがわかる。
この状態で、衝突検出状態が解消され、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置及びシートベルト位置の衝突対応制御が不要となった場合は、スレーブノード4(A)〜4(D)に係る上位制御主体、すなわちマスターノードを、通常通り主ゲートウェイノードであるボデー系ECU6(A)に速やかに復帰させる必要がある。衝突検出は引き続き走行系ECU6(B)が行なうので、衝突検出状態が解消された場合は、走行系ECU6(B)が委譲元ノード、ボデー系ECU6(A)が委譲先ノードとなる形で、委譲型移転パターンでによりマスター権限がボデー系ECU6(A)に移転・返還される。
図12は、この場合のポーリングシーケンスを示すものである。委譲元ノードである走行系ECU6(B)は、ポーリングサイクルにおいて委譲先ノードであるボデー系ECU6(A)の通信順位が到来するに伴ない、委譲フィールド(Delegation_1 Field:図8))に、ボデー系ECU6(A)をマスター権限委譲先として(また走行系ECU6(B)をマスター権限委譲元として)指定する内容を記述し、これを委譲先指定ヘッダHAとして送出する。ボデー系ECU6(A)は該委譲先指定ヘッダHAを受信してマスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は該委譲先指定ヘッダHAに続くレスポンスにおいて、委譲承認フィールド(Slave Error Field:図10)にマスター権限委譲を承認する内容(エラー種別特定コードの内容=「正常」)を記述し、これを委譲承認レスポンスRAとして送信するとともに自ノードをマスターノードに切り替え設定する。また、走行系ECU6(B)は委譲承認レスポンスRAを受信して自ノードをスレーブノードに切り替え設定する。切り替え後のマスターノードであるボデー系ECU6(A)は、自ノードの次に通信順位が定められたスレーブノード(図14では、走行系ECU6(B))からポーリングサイクルを更新する形でヘッダの送信を開始する。
他方、マスターノードの切替が行なわれない場合、すなわち、ボデー系ECU6(A)が委譲先指定ヘッダHAを受信した後、マスター権限の委譲を承認しない場合は、図15に示すように、該ボデー系ECU6(A)は、委譲先指定ヘッダHAに続くレスポンスにおいて、委譲承認フィールド(Slave Error Field:図10)にマスター権限委譲を承認しない内容(エラー種別特定コードの内容=「異常」)を記述し、委譲非承認レスポンスRA’として送信するとともに自ノードをスレーブノードに設定維持する。他方、走行系ECU6(B)は委譲非承認レスポンスRA’を受信して自ノードをマスターノードに設定維持しつつ、委譲先ノードの次順位のスレーブノード(図15ではシートECU2(A))を指定するヘッダを送出する。
なお、上記実施形態では、LINのメッセージフレームを、図7に示すように、委譲型移転パターンと要求型移転パターンとの双方に対応可能とするため、ヘッダには委譲フィールド(Delegation_1 Field)と委譲要求承認フィールド(Master Error Field)との双方を、レスポンスには、委譲承認フィールド(Slave Error Field)と委譲要求フィールド(Delegation_2 Field)との双方を設けている。マスター権限の移転を行なうか否かは、委譲型移転パターンにおいてはヘッダに含まれる委譲フィールドの記述内容と、レスポンスに含まれる委譲承認フィールドの記述内容とを特定できれば十分であり、要求型移転パターンにおいてはレスポンスに含まれる委譲要求フィールドの記述内容と、ヘッダに含まれる委譲要求承認フィールドの記述内容とを特定できれば十分である(これらのフィールドを、以下、「有効フィールド」と称する)。従って、委譲型移転パターンにおいては委譲要求承認フィールドと委譲要求フィールドとが、要求型移転パターンにおいては委譲フィールドと委譲承認フィールドとが、それぞれ一見不要に見える(これらのフィールドを、以下、「冗長フィールド」と称する)。しかし、委譲型移転パターンと要求型移転パターンとのいずれを実施中であるかを判断して、個々の移転パターンでの冗長フィールドをその都度削除したりすると、ヘッダないしレスポンス中の追加フィールドが何を目的とした追加フィールドであるかを特定するのに、移転パターン種別の判別を含めた煩雑な内部処理が必要となる。従って、どちらの移転パターンが実施中であっても、ヘッダないしレスポンス内のフィールド構成は常に一定とされ、個々の移転パターンで冗長フィールドとなる追加フィールドも特に削除等は行なわれないようになっている。
上記実施形態の車載通信ネットワークシステム1の構成によると、LINクラスタ50において、複数のLINノード(ゲートウェイノード)6(A),6(B)がマスターノードとスレーブノードとの切り替えが可能な属性切替可能型ノードとして構成され、それら属性切替可能型ノードのいずれか1つがLINクラスタ50のマスターノードに、残余のものが該LINクラスタ50のスレーブノードに、シーンに応じて随時切り替え設定される(マスター/スレーブ設定切替手段)。それら属性切替可能型ノード6(A),6(B)間では、マスターノードの権限が随時受け渡し可能になるので、ある瞬間にマスターノードであるLINノード4は常に1つに維持でき、LINのプロトコルに反しない。従って、マスターノードとなりえるLINノード6(A),6(B)が同一スレーブノード群に対して複数設けられているにもかかわらず、LIN通信バス5は単一であり、物理層の無駄な冗長化を防止できる。また、属性切替可能型ノード(A),6(B)間でどちらがマスターノードになるかの調停も、そのLIN通信バス5を介して行なえばよいので、両ノード(A),6(B)間に図21のような新たな通信線107を設ける必要もない。
そして、属性切替可能型ノード(ゲートウェイノード)6(A),6(B)は、マスターノードとスレーブノードとのいずれに設定されている場合でも、同じLIN通信バス5によりLINクラスタ50内の通信を行なう。従って、図2に示すように、各LINノード(図2では、6(A),6(B),4(A)のみを図示)は、LIN通信バス5に対応してLINトランシーバを1つのみ有したものとして構成できる。これにより、LIN物理層の無駄な冗長化を防止する効果が一層高められている。
次に、LINクラスタ50を構成する1つのLIN通信バス5を、CANノードをなす複数のゲートウェイノード6(A),6(B)に分配接続し、各ゲートウェイノード6(A),6(B)を属性切替可能型ノードとしてマスター/スレーブの切替を可能に構成しているので、現在マスターノードになっている属性切替可能型ノード(例えばボデー系ECU6(A))が仮にダウンしても、他の生きている属性切替可能型ノード(例えば走行系ECU6(B))をマスターノードに切り替えることができる。これにより、当該LINクラスタ50のフェールセーフ機能は格段に向上し、信頼性を飛躍的に高めることができる。また、マスターノードとなりうるゲートウェイノード(属性切替可能型ノード)6(A),6(B)はいずれもCANノードでもあるから、LINクラスタ50内の同期精度の確保も容易である。
この場合、ボデー系ECU6(A)をLINクラスタ50の正規マスターノードとして定め、走行系ECU6(B)を、その正規マスターノードの機能の少なくとも一部、例えばシート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置の、設定値(快適優先時)に自動調整する機能を引継ぎ可能な代替マスターノード候補として定めておけばよい。
図4を用いて説明したごとく、属性切替可能型ノードをなすボデー系ECU6(A)と走行系ECU6(B)とは、それぞれ各ノードが監視中の通信状態に応じ、ユーザの利便や快適が優先されるシーン(つまり、通常時)と、安全性が優先されるシーン(つまり、衝突検出時)とを判別・検出し、各シーンふさわしいノード、すなわち前者においてはボデー系ECU6(A)を、後者においては走行系ECU6(B)を、それぞれマスターノードに随時切り替えるので、シーンに応じたきめ細かい制御が可能となっている。なお、ユーザの利便や快適が優先されるシーン(通信状態)ではボデー系ECU6(A)に、安全性が優先されるシーン(通信状態)では走行系ECU6(B)に、マスターノードに設定するための優先順位がそれぞれ高く設定され、各シーンに対応する該優先順位に基づいて、マスターノード及びスレーブノードの設定切替が行なわれていることも明らかである。
また、図1に示すごとく、LIN通信バス5が分配接続される複数のゲートウェイノード6(A),6(B)は、互いに異なる制御系(つまり、ボデー系と走行系)をなす複数のCANクラスタ100(A)と100(B)とに振り分けて設けされている。制御目的の異なるCANクラスタ100(A),100(B)間で1つのLINクラスタ50を共有化することで、当該LINクラスタ50が担う車載機能(図1では、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置の自動調整機能)の適用対象シーンを、例えばボデー系が担う快適・利便性優先シーンだけでなく、走行系が担う安全優先シーンにも拡大でき、LINクラスタ50のさらなる有効活用が図られている。
なお、図1の車載通信ネットワークシステム1は、次のように動作させることも可能である。具体的には、駐車時のキースイッチポジションに応じて、ゲートウェイノード(属性切替可能型ノード)6(A),6(B)の属性を切り替える態様である。車両には周知のスマートエントリー機能が実装されているものとする。車両が駐車状態であることは、車速センサの検出値が0で、シフトポジションセンサがパーキング(P)を検出していることで特定できる。図5に示すように、IG信号がOFF状態を示し、かつ、バッテリー電圧+Bを受電している状態では、ボデー系ECU6(A)がマスターノード設定され、走行系ECU6(B)は動作停止(つまり、電源OFF)される。この状態では、ボデー系ECU6(A)は、例えばキー(無線携帯機)の接近を検知して、キーIDを検出・照合し、ドアロック施開錠制御のための制御指令等を行なう。
次に、図6に示すように、IG信号がONとなり、かつ、車室内に乗員が検出されていない場合は、走行系ECU6(B)はノードとしての作動を開始するが、駐車状態であることをボデー系ECU6(A)が検知し、ボデー系ECU6(A)は走行系ECU6(B)にスレーブノード設定(つまり、マスター機能の停止)を要求する。そして、キーのIDから乗員を特定できた場合に、当該乗員が、運転しやすさや乗り込みやすさを考慮して予め設定登録した、シート位置、ハンドル位置、ペダル位置あるいはシートベルト位置を適性位置に自動調整する。
この状態で、車速が一定以上に増加して走行検出状態に移行した場合は、快適性を優先した各位置の調整はすでに終わっているので、走行系ECU6(B)にマスター権限の委譲を申し出ることで、走行系ECU6(B)を上記位置調整機構に係るLINクラスタ50のマスターノードに切り替える。走行系ECU6(B)は、ボデー系ECU6(A)が設定済みの各位置を基本位置として、衝突時(あるいは急加速、急減速等)等の衝撃吸収のために必要な各位置の制御を行なう。
次に、図16は、他の制御系への本発明の適用例を示すものである。該例においては、ボデーECU6(A)とA/C(エアコン)ECU6(B)とが属性切替可能型ノード(それぞれ、図示しないCANクラスタ上に設けられたゲートウェイノードである)とされている。また、LINクラスタ50の残余のスレーブノード4(A)〜4(D)は、それぞれP/W(パワーウィンドウ)ECU104(A)〜104(D)(「D」「P」「RR」「RL」は、それぞれ「運転席」「助手席」「後部右席」「後部左席」を示す)である。
上記の構成は、エアコンをより効率的に動作させるために、パワーウィンドウをエアコンと連係制御することを目的とする。図16の上に示すように、ボデー系ECU6(A)は、ドアロックやIG信号の状態あるいはシフトポジションセンサの検出状態などを参照することにより駐車状態かどうかを判断し、A/C ECU6(B)にその判断結果に係る情報を送信する。この時、ボデー系ECU6(A)はマスターノードに設定され、A/CECU6(B)はスレーブノードに設定される。
この状態でA/CECU6(B)によるエアコン制御が開始された場合、ボデー系ECU6(A)のシーン判断情報、例えば窓に設けられた凍結センサが凍結状態を検出した場合は、ボデー系ECU6(A)からA/CECU6(B)にマスター権限委譲申出がなされ、マスターノードをA/CECU6(B)に切り替える。図17は、この場合のノード属性切替えを含むポーリングシーケンスを示すものであるが、基本的な流れは図14と全く同じなので、詳細な説明は略する(図19は、A/CECU6(B)が該委譲申出を拒否する場合のポーリングシーケンスを示す:基本的な流れは図15と全く同じである)。A/CECU6(B)がマスターノードとなってパワーウィンドウを制御する場合は、パワーウィンドウスイッチがユーザにより手動操作された場合も、例えば凍結状態が解消されるまでは特定座席(例えば運転席以外の全ての座席)のパワーウィンドウ動作を禁止する態様を例示できる。一方、凍結状態が解消されてエアコン制御との連携が不要となった場合は、ボデー系ECU6(A)からA/CECU6(B)にマスター権限委譲要求がなされ、マスターノードをデー系ECU6(A)に復帰させる。図18は、この場合のノード属性切替えを含むポーリングシーケンスを示すものであるが、基本的な流れは図12と全く同じなので、詳細な説明は略する。
なお、凍結時以外にも、例えば炎天下の駐車状態にてエアコンが作動したとき、パワーウィンドウを開方向に作動させ、車室内の熱気の車外放出促進を行なうような制御態様を例示できる。この場合は、車室内温度が閾値異常に上昇している場合、ボデー系ECU6(A)からA/CECU6(B)にマスターノードを切り替える。このとき、A/CECU6(B)は、パワーウィンドウスイッチがユーザにより手動操作されずとも、特定座席(例えば全ての座席)のパワーウィンドウを自動的に開動作させる制御等を行なう。そして、車室内温度が一定レベル以下に下がり、連携制御の必要がなくなった場合は、ボデー系ECU6(A)をマスターノードに復帰させる。
次に、図20は、パワーウィンドウ制御系をなすLINクラスタ50において、ボデー系ECU6(A)をLINクラスタ50の正規マスターノードとし、ボデー系ECU6(A)と同じCANクラスタ上にある管理ECU6(B)(通常時はスレーブノード)を、正規マスターノードの機能の少なくとも一部を引継ぎ可能な代替マスターノード候補として定めている。管理ECU6(B)は、各CANクラスタ100がCAN通信バス3を介して取得する通信情報に基づき正規マスターノードであるボデー系ECU6(A)の動作状態を監視する。そして、監視中のボデー系ECU6(A)(正規マスターノード)の動作状態に予め定められた内容の異常が検出された場合は、代替マスターノード候補をなす管理ECU6(B)をマスターノードに設定切り替えする。これにより、当該LINクラスタ50の正規マスターノードがダウンしても、代替マスターノードによる引継ぎを迅速に行なうことができ、フェールセーフ機能を格段に向上させることができる。
この場合、管理ECU6(B)は、例えばCAN通信にてボデー系ECU6(A)との交信を試み、交信不能になった場合はLINクラスタ50のマスターノードに切り替える。このとき、正規マスターノードであるボデー系ECU6(A)は、LINフレームを経由したマスター権限移転のシーケンスが実行不能になっている可能性が高いので、上位プロトコルをなすCAN通信側からの指令によりボデー系ECU6(A)をLIN通信バス5から切り離し、管理ECU6(B)をマスターノードに切り替える。
なお、以上説明した実施形態においては、1つのLINクラスタに含まれる属性切替可能型ノードの数は2つであったが、これは3つ以上であってもよい。この場合、3つ以上の属性切替可能型ノードの一つをマスターノードに設定し、残余のものはスレーブノードに設定するか、LINクラスタから切り離す。また、属性切替可能型ノードは必ずしもCANノード(すなわち、ゲートウェイノード)である必要はなく、例えば、CANクラスタから独立したLINクラスタにおいても本発明の概念は適用可能である。また、複数の属性切替可能型ノードの一部のみをゲートウェイノードとし、残余のものを、ゲートウェイノードを構成しないLINノードとして構成してもよい。
本発明の車載通信ネットワークシステムの第一構成例を示す概略ブロック図。 図1の車載通信ネットワークシステムの要部を、各ノードの内部ブロックとともに示す図。 ゲートウェイノードのソフトウェアモジュール構造の一例を示すブロック図。 図1の車載通信ネットワークシステムの第一の作用説明図。 図1の車載通信ネットワークシステムの第二の作用説明図。 図1の車載通信ネットワークシステムの第三の作用説明図。 図1の車載通信ネットワークシステムにて使用するLINフレーム構造を、従来のLINフレーム構造と対比して示す説明図。 委譲フィールドの構成例を示す説明図。 委譲要求承認フィールドの構成例を示す説明図。 委譲承認フィールドの構成例を示す説明図。 委譲要求フィールドの構成例を示す説明図。 図1の車載通信ネットワークシステムにおける要求型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(正常時)。 図1の車載通信ネットワークシステムにおける要求型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(異常時)。 同じく委譲型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(正常時)。 同じく委譲型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(異常時)。 本発明の車載通信ネットワークシステムの第二構成例を示す概略ブロック図。 図16の車載通信ネットワークシステムにおける委譲型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(正常時)。 同じく要求型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(正常時)。 同じく委譲型移転パターンでのポーリングシーケンスを示す図(異常時)。 本発明の車載通信ネットワークシステムの第三構成例を示す概略ブロック図。 従来の車載通信ネットワークシステムの構成を示す第一のブロック図。 従来の車載通信ネットワークシステムの構成を示す第二のブロック図。
符号の説明
1 車載通信ネットワークシステム
2 CANノード
3 CAN通信バス
5 LIN通信バス
4 LINノード(スレーブノード)
6 ゲートウェイノード(属性切替可能型ノード)
HA 委譲先指定ヘッダ
RA 委譲承認レスポンス
RB 委譲先指定レスポンス

Claims (14)

  1. 複数のLINノードが単一のLIN通信バスにより接続されたLINクラスタを含む車載通信ネットワークシステムであって、
    前記LINクラスタをなす前記LINノードの2以上のものが、マスターノードとスレーブノードとの切り替えが可能な属性切替可能型ノードとされ、それら属性切替可能型ノードのいずれか1つを前記LINクラスタのマスターノードに、残余のものを該LINクラスタのスレーブノードに、それぞれ切り替え可能に設定するマスター/スレーブ設定切替手段が設けられ
    LIN通信におけるデータ伝送に際してのメッセージフレーム構造が、マスタータスクとして送信されるヘッダと、スレーブタスクとして送信されるレスポンスとからなり、ヘッダ送受信とレスポンス送受信とを交互に繰り返す形で通信メッセージのやり取りがなされるとともに、
    前記属性切替可能型ノードには、前記マスターノードとして作動する際に前記ヘッダを前記LIN通信バスに送出するヘッダ送出手段と、同じく前記レスポンスを受信するレスポンス受信手段と、前記スレーブノードとして作動する際に前記ヘッダを受信するヘッダ受信手段と、同じく前記レスポンスを前記通信バスに送出するレスポンス送出手段とが設けられていることを特徴とする車載通信ネットワークシステム。
  2. 前記属性切替可能型ノードには、
    前記マスターノードに設定されている状態にて前記切替条件が成立した場合に、前記スレーブノードに設定されている他の前記属性切替可能型ノードのうち、当該切替条件と対応付けて予め指定されているものにマスター権限委譲を申し出るためのマスター権限委譲申出通知を、前記LIN通信バスを介して行なうマスター権限委譲申出通知手段と、
    前記スレーブノードに設定されている状態にて前記マスター権限委譲申出通知を受けた場合に、当該マスター権限を受諾するか否かを判定し、その判定結果を返信するとともに、権限を受諾する判定を行った場合に自身のノード設定をスレーブノードから前記マスターノードへ切り替えるマスター切替制御手段と、
    前記マスターノードに設定されている状態にて前記判定結果を受け、かつ、当該判定結果が前記権限受諾に関して肯定的であった場合に、自身のノード設定をマスターノードから前記スレーブノードに切り替えるスレーブ切替制御手段と、
    を有する請求項1記載の車載通信ネットワークシステム。
  3. 前記ヘッダには、メッセージの開始を示すブレークフィールドと、時間補正用基準波形を組み込んだ同期フィールドと、通信先となるスレーブノードを特定する識別子フィールドと、前記マスターノードとなる属性切替可能型ノードが前記マスター権限委譲を行なうか否かを特定するための委譲フィールドとが組み込まれ、
    他方、前記レスポンスには、前記ヘッダの前記識別子フィールドにより通信先として指定されるに伴ない、送信対象となるデータを組み込んだデータフィールドと、エラーチェックフィールドと、前記スレーブノードとなる属性切替可能型ノードが、前記ヘッダの前記委譲フィールドが示す前記マスター権限委譲を承認するか否かを特定する委譲承認フィールドとが組み込まれている請求項記載の車載通信ネットワークシステム。
  4. 前記属性切替可能型ノードを含む複数の前記LINノードには、予め定められたポーリングサイクルを規定するための通信順位が一義的に付与されており、
    各前記属性切替可能型ノードは、前記マスターノードに設定されている場合は、前記ヘッダ送出手段と前記レスポンス受信手段とに対し、前記LIN通信バス上への前記ヘッダの送信を、対応するスレーブノードからの前記レスポンスの受信と交替しつつ、通信先となるスレーブノードを前記ポーリングサイクルに従い順次変更しつつ繰り返し行なうものであり、
    前記マスター権限の委譲元となるマスターノードを委譲元ノード、前記マスター権限の委譲先となるスレーブノードを委譲先ノードとして、
    前記委譲元ノードは、前記ポーリングサイクルにおいて前記委譲先ノードの通信順位が到来するに伴ない、前記委譲フィールドに当該委譲先ノードをマスター権限委譲先として指定する内容を記述したヘッダを委譲先指定ヘッダとして送出し、
    前記委譲先ノードは該委譲先指定ヘッダを受信して前記マスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は該委譲先指定ヘッダに続くレスポンスを、前記委譲承認フィールドに前記マスター権限委譲を承認する内容を記述した委譲承認レスポンスとして送信するとともに自ノードをマスターノードに切替設定し、自ノードの次に通信順位が定められたスレーブノードから前記ポーリングサイクルを更新する形で前記ヘッダの送信を開始する一方、
    前記委譲元ノードは前記委譲承認レスポンスを受信して自ノードをスレーブノードに切替設定する請求項記載の車載通信ネットワークシステム。
  5. 前記委譲先ノードが前記委譲先指定ヘッダを受信した後、前記マスター権限の委譲を承認しない場合は前記委譲先指定ヘッダに続くレスポンスを、前記委譲承認フィールドに前記マスター権限委譲を承認しない内容を記述して委譲非承認レスポンスとして送信するとともに自ノードをスレーブノードに設定維持し、
    前記委譲元ノードは前記委譲非承認レスポンスを受信して自ノードをマスターノードに設定維持しつつ、前記委譲先ノードの次順位のスレーブノードを指定するヘッダを送出する形で前記ポーリングサイクルを継続する請求項記載の車載通信ネットワークシステム。
  6. 前記属性切替可能型ノードには、
    前記スレーブノードに設定されている状態にて前記切替条件が成立した場合に、前記マスターノードに設定されている他の前記属性切替可能型ノードに、マスター権限委譲を要求するマスター権限委譲要求通知を、前記LIN通信バスを介して行なうマスター委譲要求通知手段と、
    前記マスターノードに設定されている状態にて前記マスター委譲要求通知を受けた場合に、要求されたマスター権限の委譲を受諾するか否かを判断し、その判断結果を返信するとともに、委譲受諾する場合に自身のノード設定をマスターノードから前記スレーブノードへ切り替えるスレーブ切替制御手段と、
    前記スレーブノードに設定されている状態にて前記判断結果を受け、かつ、当該判断結果が前記マスター権限の委譲に関して肯定的であった場合に、自身のノード設定をスレーブノードから前記マスターノードに切り替えるマスター切替制御手段と、
    を有する請求項ないし請求項のいずれか1項に記載の車載通信ネットワークシステム。
  7. 請求項に記載の要件を備え、
    前記レスポンスには、前記マスターノードとなる属性切替可能型ノードに対し前記マスター権限委譲を要求するか否かを特定する委譲要求フィールドが組み込まれ、
    前記ヘッダには、前記スレーブノードとなる属性切替可能型ノードが前記マスター権限委譲要求を承認するか否かを特定するための委譲要求承認フィールドが組み込まれている請求項記載の車載通信ネットワークシステム。
  8. 前記属性切替可能型ノードを含む複数の前記LINノードには、予め定められたポーリングサイクルを規定するための通信順位が一義的に付与されており、
    各前記属性切替可能型ノードは、前記マスターノードに設定されている場合は、前記ヘッダ送出手段と前記レスポンス受信手段とに対し、前記LIN通信バス上への前記ヘッダの送信を、対応するスレーブノードからの前記レスポンスの受信と交替しつつ、通信先となるスレーブノードを前記ポーリングサイクルに従い順次変更しつつ繰り返し行なうものであり、
    前記委譲先ノードは、前記委譲要求フィールドに当該委譲先ノードをマスター権限委譲先とする要求を記述したレスポンスを委譲先指定レスポンスとして送出し、
    前記委譲元ノードは該委譲先指定レスポンスを受信して前記マスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は、前記ポーリングサイクルを前記委譲先ノードから前記委譲先指定レスポンスを受けた段階で一旦打ち切るとともに、該委譲先指定レスポンスに続くヘッダを、前記委譲要求承認フィールドに前記マスター権限委譲要求を承認する内容を記述し、前記委譲フィールドに当該委譲先ノードをマスター権限委譲先として指定する内容を記述したヘッダを委譲先指定ヘッダとして、当該委譲先ノードから前記ポーリングサイクルを再開する形で送出し、
    前記委譲先ノードは該委譲先指定ヘッダを受信して前記マスター権限の委譲を承認するか否かを判断し、承認する場合は該委譲先指定ヘッダに続くレスポンスを、前記委譲承認フィールドに前記マスター権限委譲を承認する内容を記述した委譲承認レスポンスとして送信するとともに自ノードをマスターノードに切替設定し、自ノードの次に通信順位が定められたスレーブノードから前記ポーリングサイクルを引き継ぐ形で前記ヘッダの送信を新たに開始する一方、
    前記委譲元ノードは前記委譲承認レスポンスを受信して自ノードをスレーブノードに切替設定する請求項記載の車載通信ネットワークシステム。
  9. 前記委譲元ノードが前記委譲先指定レスポンスを受信した後、前記マスター権限の委譲要求を拒否する場合は、前記委譲先指定レスポンスに続くヘッダを、前記委譲要求承認フィールドに前記マスター権限委譲要求を拒否する内容を記述した委譲要求拒否ヘッダとして送信するとともに自ノードを前記マスターノードに設定維持し、前記委譲先ノードの次順位のスレーブノードを指定するヘッダを送出する形で前記ポーリングサイクルを継続する請求項記載の車載通信ネットワークシステム。
  10. 複数のCANノードがCAN通信バスにより接続されたCANクラスタと、複数の前記LINノードが単一の前記LIN通信バスにより接続され、前記CANノードをゲートウェイノードとして前記CANクラスタに接続された前記LINクラスタとからなる複合車載通信ネットワークシステムとして構成され、
    複数の前記CANノードを前記ゲートウェイノードとして、前記LINクラスタを構成する1つの前記LIN通信バスがそれら複数のゲートウェイノードに分配接続されるとともに、各ゲートウェイノードが前記属性切替可能型ノードとして構成されてなる請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の車載通信ネットワークシステム。
  11. 前記マスター/スレーブ設定切替手段は、前記CANクラスタ又は前記LINクラスタの通信状態を監視する通信状態監視手段を有し、監視中の通信状態において予め定められた切替条件が成立した場合に、複数の前記属性切替可能型ノードにおける前記マスターノード及び前記スレーブノードの設定切替を行なう請求項10記載の車載通信ネットワークシステム。
  12. 前記通信状態の予め定められた種別毎に、複数の前記属性切替可能型ノードについて前記マスターノードに設定するための優先順位が定められており、前記マスター/スレーブ設定切替手段は成立した通信状態に対応する該優先順位に基づいて、前記マスターノード及び前記スレーブノードの設定切替を行なう請求項11記載の車載通信ネットワークシステム。
  13. 前記LIN通信バスが分配接続される複数の前記ゲートウェイノードが、互いに異なる制御系をなす複数のCANクラスタに振り分けて設けられ、
    前記通信状態監視手段は、各前記CANクラスタが前記CAN通信バスを介して取得する通信情報に基づき対応する前記制御系の制御状態を監視するものであり、前記マスター/スレーブ設定切替手段は、監視中の制御状態が予め定められた切替条件を成立した場合に、当該制御状態と対応付ける形で予め指定されたCANクラスタに属するゲートウェイノードを前記マスターノードに設定するものである請求項11又は請求項12に記載の車載通信ネットワークシステム。
  14. 前記LIN通信バスが分配接続される複数の前記ゲートウェイノードの一つが、前記LINクラスタの正規マスターノードとして定められる一方、残余のゲートウェイノードをなすスレーブノードが、前記正規マスターノードの機能の少なくとも一部を引継ぎ可能な代替マスターノード候補として定められ、
    前記通信状態監視手段は、各前記CANクラスタが前記CAN通信バスを介して取得する通信情報に基づき前記正規マスターノードの動作状態を監視するものであり、前記マスター/スレーブ設定切替手段は、監視中の前記正規マスターノードの動作状態に予め定められた内容の異常が検出された場合に、前記代替マスターノード候補をなすスレーブノードを前記マスターノードに設定切り替えするものである請求項13記載の車載通信ネットワークシステム。
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