JP5251214B2 - 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途 - Google Patents

積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP5251214B2
JP5251214B2 JP2008094866A JP2008094866A JP5251214B2 JP 5251214 B2 JP5251214 B2 JP 5251214B2 JP 2008094866 A JP2008094866 A JP 2008094866A JP 2008094866 A JP2008094866 A JP 2008094866A JP 5251214 B2 JP5251214 B2 JP 5251214B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin
group
optical film
laminated optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008094866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009251011A (ja
Inventor
圭 田中
力 磯部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2008094866A priority Critical patent/JP5251214B2/ja
Publication of JP2009251011A publication Critical patent/JP2009251011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5251214B2 publication Critical patent/JP5251214B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Description

本発明は、積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、環状オレフィン系樹脂層とビニル芳香族系樹脂層とを有する積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途に関する。
位相差フィルムは、液晶表示装置の視野角補償を目的として一般的に用いられており、斜め視野角での光漏れを防ぎ、コントラスト比の低下を防ぐ働きをする。位相差フィルムとして用いられる光学フィルムには、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、セルロースアセテートフィルム、環状オレフィンフィルム等が挙げられる。
なかでも、環状オレフィンフィルムは、透明性、耐熱性、寸法安定性、低光弾性等に優れることから、位相差フィルムを始め各種光学部品の材料として注目されている。
近年、従来のTNモード、STNモードに加え、VAモードやIPSモードの高視野角液晶モードが実用化され、高画質が要求されるテレビ用途においても、液晶表示装置(液晶テレビ)が広く普及してきている。
例えばIPS(イン・プレーン・スイッチング)モードの液晶表示装置は、視野角が広く正面および上下左右方向では高コントラストが得られるものの、方位角45度の方向から画面を斜めに見ると、一対の偏光板の吸収軸のなす角度が直角でなくなり光が漏れるため、黒表示時に光漏れが生じ、コントラストが低下するという問題があった。位相差フィルムを用いてこの問題を解消するための視野角補償の方式として、特許文献1では熱収縮フィルムを使用して延伸時に厚み方向の屈折率を大きくしたフィルムを用いる補償方式が、特許文献2ではホメオトロピック配向の重合性液晶による位相差層を用いる補償方式が開示されており、視野角改善に特に効果が高いと知られている。
しかし特許文献1の方式では、熱収縮フィルムの使用による工程数の増加・コスト増加の問題や、光軸方向が限られるため偏光子とロールtoロール法による貼り合わせができないという問題がある。また、特許文献2の方式では、重合性液晶による位相差層は数ミクロン程度の厚みの層を数%の厚みバラツキでコントロールする必要があり均一な層を作製する難度が高く、加えて基材フィルムと十分な密着性を確保する必要がある等の問題がある。
他の視野角補償の方式として、特許文献3では、固有複屈折値が負である樹脂(ビニル芳香族系重合体など)を含有してなる層の少なくとも片面に透明な樹脂(単環の環状オレフィン系重合体など)を含有してなる層を積層した後に、これを延伸した積層体と、透明な樹脂を含有してなる延伸フィルムとを、それらの配向方向が直交になるように積層させてなる光学積層体が開示されている。また特許文献4には、固有複屈折値が負である樹脂(ビニル芳香族系重合体など)を含有してなる層の少なくとも片面に透明な樹脂(単環の環状オレフィン系重合体など)を含有してなる層を積層してなる積層体を一軸延伸してなる光学積層体のロール巻状体と、透明な樹脂を含有してなる一軸延伸フィルムのロール巻状体とを、特定の方向で積層させてなる光学積層体が開示されている。特許文献3と4は、特許文献2における重合性液晶層の代わりに、固有複屈折値が負である樹脂の層を用いたものである。
しかしながら特許文献3および4では、固有複屈折値が負である樹脂を含有してなる層と透明な樹脂を含有してなる層との密着性が悪く、層間に接着層を必要とする問題がある。以上のように、斜め方向からのコントラスト比を高くし、均一な画面表示を可能にするための手法は十分に確立されておらず、改良が要望されていた。
特開平5−157911号公報 特開2007−206605号公報 特開2005−077450号公報 特開2005−241965号公報
本発明は、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置において画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、均一な画面表示を可能にする積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルム、およびそれを用いた偏光板ならびに液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記のような背景に鑑みて鋭意検討した結果、特定の方法で製造した積層光学フィルムが、従来技術で達成し得なかった、斜め方向から見たときの所定位相差の確保、および積層フィルム各層の密着性の確保を実現できることを見出し、本発明を完結するに至った。
すなわち、本発明の積層光学フィルムの製造方法は、環状オレフィン系樹脂(A)またはビニル芳香族系樹脂(B)のいずれかからなる基材フィルムの少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち、基材フィルムを構成しない樹脂をコーティング法により積層製膜して、環状オレフィン系樹脂(A)層とビニル芳香族系樹脂(B)層とを有する原反フィルムを製造する工程(α)、該原反フィルムを延伸し、積層延伸フィルム(C)を得る工程(β)、および該積層延伸フィルム(C)を、透明樹脂フィルム(D)に積層し、積層光学フィルム(E)を得る工程(γ)を有する、積層光学フィルムの製造方法であって、該積層光学フィルム(E)が、下記式(i)および式(ii)を満たすことを特徴とするものである。
70(nm)≦R550≦350(nm) …(i)
(式中、R550は、波長550nmにおける面内位相差を表す。)
0<NZ<1 …(ii)
(式中、NZは、波長550nmにおいて、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で示される係数を表す。ここで、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。)
環状オレフィン系樹脂(A)は、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体からなることが好ましい。
Figure 0005251214
(式中、mは、1以上の整数を表し、pは、0以上の整数で表し、Xは、独立に、式:−CH=CH−で表される基、または式:−CH2CH2−で表される基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1とR2と、および/またはR3とR4とは、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。ただし、R1〜R4の少なくとも1つの基には、炭素原子および水素原子以外の原子が含まれる。)
Figure 0005251214
(式中、Yは、独立に、式:−CH=CH−で表される基、または式:−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R5とR6と、および/またはR7とR8とは、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R5またはR6と、R7またはR8とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。)
ビニル芳香族系樹脂(B)は、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはスチレン−無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。
工程(α)は、環状オレフィン系樹脂(A)からなる基材フィルムの少なくとも片面に、ビニル芳香族系樹脂(B)をコーティング法により積層製膜する工程であることが好ましい。
環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)と、ビニル芳香族系樹脂(B)のガラス転移温度(TgB)とは、下記式(iii)で表される関係を満たし、上記工程(β)での延伸温度は、TgA以上かつTgB以上であることが好ましい。
−10(℃)≦TgB−TgA …(iii)
透明樹脂フィルム(D)は、環状オレフィン系樹脂からなり、フィルム幅方向または長手方向に一軸延伸されていることが好ましい。
積層延伸フィルム(C)と透明樹脂フィルム(D)とは、ロールtoロール法で連続的に積層されることが好ましい。
また、本発明の積層光学フィルムは、上記製造方法により得られることを特徴とするものである。
さらに、本発明の偏光板は、本発明の積層光学フィルムを、偏光子の少なくとも片面に、接着剤または粘着剤を介して積層されてなることを特徴とするものであり、本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、製造効率に優れ、斜め方向から見たときの所定位相差が確保され、しかも積層フィルム各層の密着性に優れた積層光学フィルムの製造方法および積層光学フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、本発明の積層光学フィルムまたはそれを具備した偏光板を用いたことにより、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置において画面を斜め方向から見たときの輝度コントラスト比が高く、また均一な画面表示を可能にする液晶表示装置を提供することができる。
本発明の積層光学フィルムの製造方法は、環状オレフィン系樹脂(A)またはビニル芳香族系樹脂(B)のいずれかからなる基材フィルムの少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち、基材フィルムを構成しない樹脂をコーティング法により積層製膜して、環状オレフィン系樹脂(A)層とビニル芳香族系樹脂(B)層とを有する原反フィルムを製造する工程(α)、該フィルムを延伸し、積層延伸フィルム(C)を得る工程(β)、および該積層延伸フィルム(C)を、透明樹脂フィルム(D)に積層し、積層光学フィルム(E)を得る工程(γ)を有する、積層光学フィルムの製造方法であって、該積層光学フィルム(E)が、下記式(i)および(ii)で表される特性をいずれも満たすことを特徴とするものである。
70(nm)≦R550≦350(nm) …(i)
(式中、R550は、波長550nmにおける面内位相差を表す。)
0<NZ<1 …(ii)
(式中、NZは、波長550nmにおいて、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で示される係数を表す。ここで、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。)
以下、本発明について具体的に説明する。
≪工程(α)≫
工程(α)は、環状オレフィン系樹脂(A)またはビニル芳香族系樹脂(B)のいずれかからなる基材フィルムの少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち、基材フィルムを構成しない樹脂をコーティング法により積層製膜して、環状オレフィン系樹脂(A)層とビニル芳香族系樹脂(B)層とを有する原反フィルムを製造する工程である。
<環状オレフィン系樹脂(A)>
環状オレフィン系樹脂(A)としては、ノルボルネン骨格を有する化合物である環状オレフィン系単量体を重合または共重合し、必要に応じて水素添加して得られる樹脂をいずれも用いることができる。ここで、環状オレフィン系単量体の重合または共重合は、付加重合であっても開環重合であってもよい。
環状オレフィン系樹脂(A)は、好ましくは上記式(1)または上記式(2)で表される構造単位(以下「繰り返し単位」ともいう。)の少なくとも1つを有する重合体または共重合体であり、より好ましくは、上記式(1)で表される構造単位および上記式(2)で表される構造単位を有する共重合体である。さらに、必要に応じて他の繰り返し単位を含むことは任意である。
上記式(1)で表される構造単位および上記式(2)で表される構造単位を有する共重合体は、下記式(1m)で表される1種以上の単量体(以下「単量体(1)」ともいう。)と、下記式(2m)で表される1種以上の単量体(以下「単量体(2)」ともいう。)と、必要に応じてその他の共重合性単量体とを共重合して得られる。
Figure 0005251214
(式(1m)中、m、p、R1、R2、R3およびR4の定義は、式(1)の定義のとおりである。)
Figure 0005251214
(式(2m)中、R5、R6、R7およびR8の定義は、式(2)の定義のとおりである。)
上記式(1)、(2)、(1m)および(2m)中において、R1〜R8は、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。これらの原子および基について以下に説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は、直接環構造に結合していてもよいし、または連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基))等が挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル含有基、カルボキシル基等が挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基等が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられ;アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、(メタ)アクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂(A)の好ましい態様としては、下記〔1〕〜〔3〕に示す共重合体を挙げることができる。これらのうち、優れた熱安定性を有し、光学特性に優れることから、〔3〕に示す共重合体が特に好ましい。
〔1〕 単量体(1)と単量体(2)との開環共重合体。
〔2〕 単量体(1)と単量体(2)およびその他の共重合性単量体との開環共重合体。
〔3〕 〔1〕および〔2〕の開環共重合体の水素添加物。
(単量体(1))
構造単位(1)は単量体(1)に由来する。以下に単量体(1)の具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体(1)は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等を挙げることができる。
これらのうち、分子内に少なくとも1つの極性基を有する単量体(1)を用いることが好ましい。すなわち、上記式(1m)中、R1およびR3が水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2およびR4が水素原子または一価の有機基であって、R2およびR4の少なくとも1つが水素原子および炭化水素基以外の極性基であるものが、他素材との密着性・接着性を高めるので好ましい。
共重合体中の極性基の含有量は、所望の機能等により決定されるものであり特に限定はされないが、他素材との密着性・接着性を高めるためには、全繰り返し単位(1)中に極性基を有する繰り返し単位(1)が通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上含まれる。全繰り返し単位(1)が極性基を有するものであってもよい。極性基の存在により、コーティングでの積層製膜におけるビニル芳香族系樹脂層との密着性を向上させることができる。
さらに、R2およびR4の少なくとも1つが式:
−(CH2nCOOR9 …(3)
(ここで、nは、通常0〜5の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0を表す。R9は、1価の有機基である。)
で表される極性基である単量体(1)は、得られる共重合体のガラス転移温度と吸水性とを制御しやすい点で好ましい。式(3)においてR9で表される1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環やフラン環、イミド環等の複素環を有する1価の基などが挙げられる。
また、上記式(3)において、nは上述のように通常0〜5の整数であるが、nの値が小さいものほど得られる共重合体のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特に、nが0である単量体(1)は、その合成が容易である点で好ましい。
さらに、上記式(1m)において、上記式(3)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合していることが、得られる共重合体の耐熱性と吸水性とのバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、式(1m)において、mが1であり、pが0である単量体(1)は、ガラス転移温度の高い共重合体が得られる点で好ましい。
上記単量体(1)の具体例の中から挙げるならば、特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンが、得られる共重合体のガラス転移温度を高め、吸水による変形等の悪影響をほとんど受けず、かつ他材料との密着性や接着性が良好となる程度の吸水性を維持できるので好ましい。
(単量体(2))
繰り返し単位(2)は単量体(2)に由来する。以下に単量体(2)の具体例を挙げるが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。また、単量体(2)は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α,βの両タイプとも可)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン等を挙げることができる。
これらのうち、式(2m)のR5〜R8がすべて水素原子、または何れか1つが炭素原子数1〜30の炭化水素基であり他が水素原子である単量体(2)は、得られる光学用フィルムの靭性を向上させる効果が大きい点で好ましく、特に、R5〜R8がすべて水素原子、または何れか1つがメチル基、エチル基またはフェニル基であり他がすべて水素原子である単量体は、耐熱性の観点からも好ましい。さらに、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンは、その合成が容易である点と、樹脂の靭性向上、ガラス転移温度の調整、位相差発現性を向上できる点で好ましい。
本発明において、好ましく用いられる環状オレフィン系樹脂(A)における構造単位(1)と構造単位(2)の含有割合は、通常、重量比では(1):(2)=95:5〜5:95、好ましくは95:5〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30、さらに好ましくは95:5〜75:25である。構造単位(1)の割合が上記範囲より大きいと靱性改良の効果が期待できない場合があり、逆に、構造単位(1)の割合が上記範囲より小さいとガラス転移温度が低くなり、耐熱性に問題が生じる場合がある。
また他素材との密着性・接着性を高めるためには、構造単位(1)および構造単位(2)の全量中に極性基を有する繰り返し単位が、通常50〜95モル%、好ましくは70〜95モル%、さらに好ましくは80〜95モル%以上含まれる。極性基の存在により、コーティング法による積層製膜におけるビニル芳香族系樹脂層との密着性を向上させることができる。
(他の共重合性単量体)
単量体(1)および単量体(2)と共重合させることができる他の共重合性単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。これら共重合性単量体は位相差発現性改良、Tg調整、塗工性改良等、樹脂の改質に有用である。
さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に単量体(1)および単量体(2)を重合させてもよい。そして、この場合に得られる共重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
単量体(1)および(2)と共重合性環状単量体または不飽和二重結合含有化合物との使用割合は、単量体(1)+(2):共重合性環状単量体または不飽和二重結合含有化合物が、重量比で100:0〜50:50であることが好ましく、より好ましくは100:0〜60:40、さらに好ましくは100:0〜70:30である。
(開環重合触媒)
特定単量体の開環重合反応はメタセシス触媒の存在下に行われることが好ましい。このメタセシス触媒は、タングステン化合物、モリブデン化合物およびレニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の金属化合物(以下「(a)成分」という。)と、周期表第1族元素(例えば、Li、Na、K等)、第2族元素(例えば、Mg、Ca等)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg等)、第13族元素(例えば、B、Al等)、第4族元素(例えば、Ti、Zr等)あるいは第14族元素(例えば、Si、Sn、Pb等)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種の化合物(以下「(b)成分」という。)との組み合わせからなるものであり、触媒活性を高めるために添加剤(以下「(c)成分」という。)が含有されていてもよい。
上記(a)成分を構成する好適な金属化合物の具体例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3等の特開平1−240517号公報に記載の金属化合物を挙げることができる。
上記(b)成分を構成する化合物の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルミノキサン、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(c)成分としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等が好適であるが、その他に特開平1−240517号公報に示される化合物を用いることができる。
また、上記(a)〜(c)成分以外のメタセシス触媒として、グラブス触媒として公知のルテニウム化合物を用いることもできる。
(水素添加)
上記〔3〕に示す水素添加(共)重合体における水素添加率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
環状オレフィン系樹脂(A)は、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度(ηinh)が0.2〜5.0dl/gであることが好ましい。
また、環状オレフィン系樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜10
0,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲のものが好適である。
さらに、環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)は、熱安定性および延伸加工性を確保するため好ましくは100〜250℃、より好ましくは110〜180℃、さらに好ましくは120〜170℃である。また、環状オレフィン系樹脂(A)層は、上述のような環状オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物から形成されていてもよい。樹脂組成物には、環状オレフィン系樹脂の他、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
<ビニル芳香族系樹脂(B)>
ビニル芳香族系樹脂(B)は、好ましくは下記式(4)で表される構造単位(以下「構造単位(4)」ともいう。)を有する。
Figure 0005251214
(式(4)中、R10は、水素原子またはメチル基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。)
構造単位(4)を誘導する単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−tertブトキシスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−イソプロペニルフェノール等が挙げられる。これら単量体はいずれか1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールを単独でまたは併用して用いるのが好ましい。
さらに、ビニル芳香族系樹脂(B)は、環状オレフィン系樹脂(A)との密着性が特に優れ、ガラス転移温度が高く、目的とする光学特性を発現しやすいという観点から、構造単位(4)とともに、下記式(5)で表される構造単位(以下「構造単位(5)」ともいう。)および/または下記式(6)で表される構造単位(以下「構造単位(6)」ともいう。)を有することが好ましい。構造単位(5)を有すると、得られる積層光学フィルムの表面平滑性が優れたものとなり、構造単位(6)を有すると、加工時の熱による樹脂の劣化が非常に少ないという利点もある。
Figure 0005251214
(式(5)中、Xは、酸素原子または置換基を有する窒素原子を表す。式(6)中、R14は、水素原子またはメチル基を表し、R15は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。)
ビニル芳香族系樹脂(B)は、構造単位(5)と構造単位(6)との両方を構造単位(4)とともに含む構造であってもよく、構造単位(5)および構造単位(6)のいずれか一方のみが含まれる構造であってもよい。また、繰り返し単位(5)の酸無水物構造またはイミド構造は、加水分解してジカルボン酸構造やアミド酸構造になっていてもよい。
構造単位(5)を誘導する単量体の具体例としては、無水マレイン酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類;マレイン酸およびその誘導体;フマル酸およびその誘導体などが挙げられる。これら単量体はいずれか1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミドが耐熱性と環状オレフィン系樹脂(A)との密着性の面から好ましく用いられる。
構造単位(6)を誘導する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸アミド等が挙げられる。これら単量体はいずれか1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルが耐熱性と環状オレフィン系樹脂(A)との密着性の面から好ましく用いられる。
以上から、ビニル芳香族系樹脂(B)として、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびスチレン−無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
本発明において、ビニル芳香族系樹脂(B)中の構造単位(4)と、構造単位(5)および/または構造単位(6)との使用割合は、通常、重量比では(4):((5)+(6))=100:0〜50:50、好ましくは98:2〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30である。使用割合が上記範囲にあることでガラス転移温度の調整、位相差発現性の調整、延伸加工性の確保、環状オレフィン系樹脂層との密着性の確保が可能となる。
ビニル芳香族系樹脂(B)には、構造単位(5)、(6)の他にも、必要に応じて、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、無水イタコン酸等のその他の単量体も共重合成分として含まれていてもよい。
ビニル芳香族系樹脂(B)は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/dL)中で測定した対数粘度(ηinh)が、0.1〜3.0dL/gであることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが通常30,000〜1,000,000、好ましくは40,000〜800,000、より好ましくは50,000〜500,000である。分子量が小さすぎると、得られるフィルム等の成形品の強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に用いる樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、ビニル芳香族系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10、好ましくは1.2〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0である。
ビニル芳香族系樹脂(B)は、構造単位(4)、必要に応じて構造単位(5)および/または構造単位(6)を誘導する上記各単量体を、適当な重合開始剤の存在下で重合反応させる方法により製造するのが好ましい。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合触媒、配位重合触媒、カチオン重合触媒等を用いるのが好ましく、ラジカル重合開始剤を用いるのが特に好ましい。
重合反応に用いられるラジカル開始剤としては、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。なお、多官能開始剤または水素引き抜き反応を起こし易い開始剤は、得られるスチレン系共重合体の線状性が低下するおそれがあるので、好ましくない。
有機過酸化物としては、ジアセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス{4−(m−トルオイル)ベンゾイル}パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシモノカーボネート類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド等が挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
アゾビス系ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェート・ジハイドレート、2,2'−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−{1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2'−アゾビスブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられるが、本発明に用いられるアゾビス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
これらラジカル開始剤の使用量は、ビニル芳香族系樹脂(B)を誘導する単量体全量100mol%中、通常0.01〜5mol%、好ましくは0.03〜3mol%、より好ましくは0.05〜2mol%である。
さらに、上記ビニル芳香族系樹脂を誘導する単量体の重合反応には、触媒が用いられてもよい。この触媒は、特に限定されず、例えば、公知のアニオン重合触媒、配位重合触媒、カチオン重合触媒などが挙げられる。
上記ビニル芳香族系樹脂を誘導する単量体の重合反応は、上記重合開始剤や触媒の存在下で、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で共重合させることにより行なわれる。
溶液重合を実施する際に使用する溶剤としては、上記単量体および重合体を溶解するものであれば特に限定されないが、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤が好ましい。溶剤の使用量は、上記単量体全量に対し、0〜3倍(重量比)の量であるのが望ましい。
重合反応時間は、通常1〜30時間、好ましくは3〜20時間であり、重合反応温度は、使用するラジカル開始剤の種類に依存するため、特に限定されないが、通常40〜180℃、好ましくは50〜120℃である。
ビニル芳香族系樹脂(B)のガラス転移温度(TgB)は、熱安定性および延伸加工性を確保するため好ましくは110〜200℃、さらに好ましくは120〜170℃である。本発明では、環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)とTgBとが,下記式(iii)で表される関係を満たすことが好ましい。
−10(℃)≦TgB−TgA …(iii)
すなわち、環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)と、ビニル芳香族系樹脂(B)のガラス転移温度(TgB)との差(Tg(B)−Tg(A))が、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、さらに好ましくは0℃以上(つまりTg(B)≧Tg(A))である。ガラス転移温度を上記範囲とすることにより、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)それぞれの位相差を延伸工程(β)によって同時に制御することができ、積層光学フィルムの目的とする特性(上記式(i)および式(ii)で表される特性等)を容易に得ることができる。
本発明において、ビニル芳香族系樹脂(B)層は、上述のようなビニル芳香族系樹脂を含む樹脂組成物から形成されていてもよい。樹脂組成物には、ビニル芳香族系樹脂の他、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマー等の公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
また、ノバケミカルズ製ダイラークD332、ダイラークD232、大日本インキ化学工業製リューレックスA14、リューレックスA15、CHI MEI製PN−177等の市販樹脂も本発明のビニル芳香族系樹脂として好ましく用いることができる。
<コーティング法>
工程(α)においては、環状オレフィン系樹脂(A)またはビニル芳香族系化合物(B)のいずれかからなる基材フィルムの少なくとも片面に、他方の樹脂、すなわち環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち基材フィルムを構成しない樹脂を、コーティング法により積層製膜して、環状オレフィン系樹脂(A)層(以下、A層ともいう)とビニル芳香族系樹脂(B)層(以下、B層ともいう)とを有する原反フィルムを製造する工程を有する。
基材フィルムは、特に限定されることなく、公知の方法により製造することができる。すなわち、環状オレフィン系樹脂(A)からなる基材フィルムは、環状オレフィン系樹脂(A)または環状オレフィン系樹脂(A)を含む樹脂組成物を、溶融押出成形、溶液キャスト成形などの公知の方法により製膜して製造することができる。また、ビニル芳香族系樹脂(B)からなる基材フィルムは、ビニル芳香族系樹脂(B)またはビニル芳香族系樹脂(B)を含む樹脂組成物を、溶融押出成形、溶液キャスト成形などの公知の方法により製膜して製造することができる。
原反フィルムの製造においては、基材フィルムの少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち基材フィルムを構成しない樹脂を、コーティング法により積層製膜する。コーティング法としては、積層製膜する樹脂を樹脂溶液として基材フィルム上に塗工してコーティングする方法を制限なく採用することができる。塗工方法としては、たとえば、スピンコート法、リップコート法、コンマコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、グラビアコート法、プリント法等が挙げられる。
本発明に係る原反フィルムおよび積層光学フィルムは、少なくともA層、B層を有していればよいが、A層/B層の二層からなる積層フィルム、A層/B層/A層の三層からなる積層フィルム、および、B層/A層/B層の三層からなる積層フィルムが、製造効率、強度の確保、光学特性、位相差制御の観点で好適に用いられる。A層/B層の二層からなる積層光学フィルムは光学特性(透明性)、位相差制御および1回の塗工で済む生産性の良さでより好ましく、三層からなる積層光学フィルムは断面が対称となるためフィルムの反りを防ぐことができ、また力学強度を得る上でより好ましい。
本発明では、A層を基材としてその表面にビニル芳香族系樹脂溶液をコーティングしてもよく、B層を基材としてその表面に環状オレフィン系樹脂溶液をコーティングしてもよい。また、基材の両面に樹脂溶液をコーティングしてもよく、コーティングして形成された樹脂層の上にさらにコーティングを行ってもよい。本発明においては、光学基材上に塗工層を設けているので、支持体が不要であり、また支持体から剥離する工程や、支持体から剥離した塗工層を別の光学基材に貼合する工程なども不要であるため製造効率に優れる。
塗工に使用する溶剤としては、塗工する樹脂を溶解し、さらに基材フィルムを適度に膨潤させるものであることが、良好な塗工性や基材フィルムと塗工層との密着性を得る上で望ましい。基材フィルムを容易に溶解させる溶剤では外観不良や光学特性の不良を招き、基材を全く膨潤させない溶剤でははじき等の塗工不良や密着不良を招く可能性がある。
ビニル芳香族系樹脂(B)からなる基材フィルム上に、環状オレフィン系樹脂(A)を塗工する場合、使用する溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ類、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン含有溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶剤、などが挙げられる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が、通常10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好なフィルムを得ることができる。これらの溶剤は一種類のみで用いても良いし、二種類以上を併用してもよい。
環状オレフィン系樹脂(A)からなる基材フィルム上に、ビニル芳香族系樹脂(B)を塗工する場合、使用する溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン含有溶剤、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶剤、アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶剤、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル系溶剤、二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、などが挙げられる。これらの溶剤は一種類のみで用いても良いし、二種類以上を併用してもよい。
本発明では、ビニル芳香族系樹脂(B)の方が環状オレフィン系樹脂(A)よりも多種の溶剤に溶解する。また、塗工する樹脂を溶解させ、さらに基材を適度に膨潤させるような溶剤種を選択することが、良好な塗工性や基材と塗工層との密着性を得る上で好ましい。このため本発明では、ビニル芳香族系樹脂(B)の溶液を環状オレフィン系樹脂(A)からなる基材フィルムに塗工することがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤を選択することで、塗工する樹脂を溶解させ、さらに基材を適度に膨潤させることができ、より好ましい。
塗工溶液の濃度は、特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な濃度に調整することができる。例えば、塗工が容易な粘度となることから、溶剤100重量部に対して、ビニル芳香族系樹脂(B)などの塗工樹脂が、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部である。樹脂の割合をこの範囲とすることで、塗工が容易な粘度にすることができ、同時に所望の塗工厚みを得ることができる。
積層光学フィルム中の残存溶剤量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。残存溶剤量を減らすことで延伸によって所望の位相差を発現させることが可能になり、また長期の保存安定性を得ることができる。残存溶剤量が10重量%を超えると、延伸する際に積層光学フィルムにしわが生じ、外観が悪化するほか、ガラス転移温度の低下により、延伸によって所望の位相差を発現できないおそれがある。
積層製膜して得られた積層フィルム(原反フィルム)中の残存溶剤量を調整する方法としては、特に限定されず、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、積層フィルムに熱風を送風する方法や、所定の温度にした乾燥室に積層体を一定時間通過させる方法等が挙げられる。積層フィルム中の残存溶媒量を調整する具体的条件は、積層フィルムの厚み、溶剤の種類等により適宜設定されるが、乾燥温度は通常積層フィルム各層のガラス転移温度以下にするのが望ましく、また発泡やしわ等外観の悪化を防ぐため温度を徐々に上昇させて乾燥させることが望ましい。通常は塗工ライン中、塗工後に設けられた乾燥ゾーンにおいて、搬送される積層光学フィルムを熱風乾燥し、さらに所望の残存溶剤量となるよう必要に応じて乾燥を繰り返すのが好ましい。
本発明で用いる環状オレフィン系樹脂(A)とビニル芳香族系樹脂(B)は、互いの密着性に優れているため、フィルム層間に接着層、粘着層を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の易接着処理を施したりする必要が無い。各樹脂の繰り返し単位中に含まれる極性基の相互作用と、塗工時の基材膨潤による界面の接着により、A層とB層が直接接した状態において十分な密着強度を得ることができる。また乾燥して残存溶剤量が下がっても、延伸処理をした後であっても、A層とB層の密着性は良好に保持される。
得られる原反フィルムは、幅方向、長さ方向ともに厚みが均一であることが望ましい。厚みバラツキは、得られる積層光学フィルムの位相差バラツキの原因となり、液晶表示装置に組み込んだ際の表示の均一性を損なうことになる。従って、厚みバラツキを生じさせる原因となる縦スジや風紋(塗工不良や乾燥ムラに起因する主に長さ方向のスジ)、クロスマーク(ロールの偏心やモーターの脈動等による長さ方向での周期的な厚み変動)等は少ないことが望ましい。また点状の欠点として輝点や光漏れ等の表示不良を招くゲル、異物等も少ないことが望ましい。これらは、例えば、塗工溶液のろ過、乾燥条件の最適化、ギヤポンプの脈動の低減、塗工ダイリップ等の研磨や表面処理等により抑制することができる。原反フィルムにおける各層の厚み分布は、好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、特に好ましくは±2%以内である。
積層光学フィルムの位相差バラツキを低減するためには、原反フィルムのA層とB層の厚み比率のバラツキも少ないことが望ましく、平均厚み比±10%以内、より好ましくは±5%以内、特に好ましくは±2%以内である。
≪工程(β)≫
工程(β)は、工程(α)により製造された原反フィルムを延伸し、積層延伸フィルム(C)を得る工程である。
<積層延伸フィルム(C)>
積層延伸フィルム(C)は、工程(α)により製造された原反フィルムを延伸して得られるものである。延伸する方法は、従来公知の方法が適用され得るが、フィルム長手方向に延伸する縦一軸延伸、フィルム長手方向に対して垂直方向すなわち幅方向に延伸する横一軸延伸、縦一軸延伸した後に横一軸延伸する逐次二軸延伸が好適である。具体的には、縦一軸延伸はロールの周速差を利用して一軸延伸する方法が好ましく、横一軸延伸はテンターを用いて一軸延伸する方法が好ましい。
延伸温度としては、上記いずれの延伸方法においても通常、環状オレフィン系樹脂(A)のTgAとビニル芳香族系樹脂(B)のTgBに基づいて決定するが、TgA以上かつTgB以上であることが、位相差を調整するうえで好ましい。より好ましくはTgA〜TgA+50℃かつTgB〜TgB+50℃の両方を満たす範囲、さらに好ましくはTgA〜TgA+30℃かつTgB〜TgB+30℃の両方を満たす範囲である。
延伸温度を上記範囲とすることにより、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)それぞれの位相差を延伸によって同時に制御することができ、積層光学フィルムの目的とする特性(上記式(i)および式(ii)で表される特性等)を容易に得ることができる。それにより、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高い液晶表示装置を実現できる。
延伸倍率としては、縦一軸延伸も横一軸延伸も、通常、1.1〜10倍、好ましくは1.2〜7倍、さらに好ましくは1.3倍〜5倍である。逐次二軸延伸では縦一軸延伸の延伸温度、延伸倍率と、横一軸延伸の延伸温度、延伸倍率はそれぞれ上記範囲内で別々に設定するのが好ましい。延伸倍率を上記範囲にすることで、位相差フィルムの光軸、位相差値、NZ係数、およびそれらのフィルム面内での分布を好適にコントロールすることができる。
上記各延伸方法によって得られる積層延伸フィルム(C)は、透明樹脂フィルム(D)の光学特性を適宜選択すること、および工程(γ)を経て積層光学フィルム(E)となった状態でどちらの面を偏光子と貼合するかを適宜選択することで、積層光学フィルム(E)と偏光子をロールtoロール法で接着することが可能になり生産性が向上する。
≪工程(γ)≫
工程(γ)は、上記積層延伸フィルム(C)を、透明樹脂フィルム(D)に積層し、積層光学フィルム(E)を得る工程である。
積層延伸フィルム(C)と透明樹脂フィルム(D)とは、ロールtoロール法により連続的に積層されることが好ましい。
ロールtoロール法とは、積層延伸フィルム(C)のロールと、透明樹脂フィルム(D)のロールとを、同一ライン上で巻き出して搬送させつつ両フィルムを貼合し、再びロールに巻き取る方法をいう。従来方式では、フィルムを液晶表示装置の形、例えば長方形に打ち抜き、打ち抜いた個々の枚葉フィルム同士あるいは偏光子と貼合するという方法をとっていたため、手間が掛かり生産性が悪かった。ロールtoロール法を採ると、フィルムは装置の間を連続的に流すことで貼合が行われ、生産性を大幅に上げる利点を有する。
<透明樹脂フィルム(D)>
透明樹脂フィルム(D)は、好ましくは環状オレフィン系樹脂からなり、フィルム幅方向または長手方向に一軸延伸されていることが望ましい。
環状オレフィン系樹脂としては、透明性、耐熱性、寸法安定性、低光弾性等に優れるとともに、靭性、位相差制御性、他材との密着性に優れることから、上記環状オレフィン系樹脂(A)が好適である。
一軸延伸の具体的方法は、上記工程(β)での延伸と同様の方法を用いることができる。透明樹脂フィルム(D)の位相差値は、工程(γ)を経て積層光学フィルム(E)となった状態で後述の式(i)および式(ii)を満たすよう適宜調整される。
<積層光学フィルム(E)>
積層光学フィルム(E)は、工程(γ)において、積層延伸フィルム(C)を透明樹脂フィルム(D)に積層し、得られるものである。
また、本発明の積層光学フィルムは、上記工程(α)〜(γ)を有する製造方法により得られることを特徴とするものである。
積層光学フィルム(E)の長手方向の長さは、好ましくは50m以上であり、100m以上であることがより好ましい。このような長尺フィルムは、通常フィルムロールとして取り扱われる。またフィルムの幅は好ましくは1000mm以上、さらに好ましくは1500mm以上、特に好ましくは2000mm以上である。
積層光学フィルム(E)の厚さは、特に限定されるものではないが、フィルム厚さが通常10〜400μm、好ましくは20〜300μm、特に好ましくは20〜200μmであるのがハンドリング性や光軸と位相差値の調整上望ましい。
また、厚さのバラツキが少ない方が位相差値のバラツキが少なくなり、表示品位の均一性が得られるため望ましい。積層光学フィルム(E)の厚さバラツキの範囲は平均値±10%以内、好ましくは平均値±5%以内、より好ましくは平均値±2%以内である。
(積層光学フィルムの光学特性)
積層光学フィルムは、下記式(i)および式(ii)を満たす。
70(nm)≦R550≦350(nm) …(i)
(式中、R550は、波長550nmにおける面内位相差を表す。)
0<NZ<1 …(ii)
(式中、NZは、波長550nmにおいて、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で示される係数を表す。ここで、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。ただし、積層光学フィルムの平均屈折率をNaveとすると、Nave=(nx+ny+nz)/3で表され、Naveは、積層光学フィルム中で環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)の、それぞれの平均屈折率を厚さ比によって加重平均した値である。)
上記式(i)は、フィルム面内位相差の量を示す。IPSモードの液晶表示装置用の位相差フィルムとしては、AプレートとポジティブCプレートとを組み合わせた補償方式が有効と知られており、このときAプレートとして有効に機能する面内位相差は、式(i)に示した範囲であって、好ましくは70〜250nm、より好ましくは80〜200nmである。式(i)を満たすことによって、斜め方向から観察した時のコントラスト比のさらなる向上に寄与する。
また、式(i)のR550のバラツキの範囲は、好ましくは±7nm以内、より好ましくは±5nm以内、特に好ましくは±3nm以内である。
同様に表示品位の均一性を得るためには、場所による光軸のバラツキも少ない方が望ましく、フィルム長手方向あるいはフィルム長手方向に直交するフィルム幅方向で遅相軸がある方向を基準とすると、好ましくは±2°以内、より好ましくは±1°以内、さらに好ましくは±0.7°以内、特に好ましくは±0.5°以内である。
上記式(ii)は、NZ係数と呼ばれる数値であり、積層光学フィルムの面内位相差と厚さ方向位相差のバランスを表した数値である。NZ係数を算出するには、積層光学フィルムの面内位相差と斜め方向位相差(通常、遅相軸傾斜で極角40°から入射した時の値)を測定し、フィルム合計厚さおよびフィルム平均屈折率を用いて数値計算することにより、nx、nyおよびnzが求められ、そこからNZ=(nx−nz)/(nx−ny)として決定される。しかし、本発明の積層光学フィルムの場合、環状オレフィン系樹脂(A)とビニル芳香族系樹脂(B)との平均屈折率が異なるため、Naveを直接測定して求めることはできない。
そこで、積層光学フィルムの平均屈折率Naveを便宜的に、環状オレフィン系樹脂(A)とビニル芳香族系樹脂(B)とのそれぞれの平均屈折率を厚さ比によって加重平均した値としている。すなわち、環状オレフィン系樹脂(A)の平均屈折率をNaveA、厚さをdA(μm)、ビニル芳香族系樹脂(B)の平均屈折率をNaveB、厚さをdB(μm)としたとき、Nave=(dA×NaveA+dB×NaveB)/(dA+dB)としてnx、ny、nzを数値計算しNZを決定する。
各層の厚さdA、dBは、各層を剥がしてそれぞれの層の厚さを接触式マイクロメーターで測定するか、積層光学フィルムの断面を顕微鏡観察するか、公知の非接触式測定法、例えば、光干渉式膜厚測定装置を用いて計測される。なかでも測定精度が良いこと、非破壊であること、オンライン、オフラインいずれにおいても測定できることから光干渉式膜厚測定が好ましい。
NZ係数は0.5に近い方がどの方向から観測しても位相差値の変化が少なく、IPS液晶の補償方式であるAプレートとポジティブCプレートとを組み合わせた補償方式に合致し、コントラスト比が良くなるため望ましい。好ましくは0.1〜0.9であり、さらに好ましくは0.2〜0.8である。
環状オレフィン系樹脂(A)とビニル芳香族系樹脂(B)との厚さ比率は、各層および積層光学フィルム全体の光学特性が望ましい範囲にあれば特に制限は無いが、位相差を制御する上で、具体的には1回の延伸処理で所定位相差を発現させるためには、好ましくは環状オレフィン系樹脂(A)の厚さ比率は積層光学フィルム全体の10〜90%、より好ましくは20〜80%、さらに好ましくは20〜70%である。表示品位の均一性を得るうえでは積層光学フィルム(E)のA層とB層の厚み比率のバラツキが少ないことが望ましく、平均厚み比±10%以内、より好ましくは±5%以内、特に好ましくは±2%以内である。(環状オレフィン系樹脂(A)および/またはビニル芳香族系樹脂(B)がそれぞれ2層以上存在する場合は、各層の厚さを合計し、全環状オレフィン系樹脂(A)の積層光学フィルム全体に対する厚さ比率で表す。)
同様に表示品位の均一性を得るうえでは場所によるNZのバラツキは少ない方が望ましい。NZのバラツキ範囲は平均値±0.3以内、好ましくは平均値±0.2以内、さらに好ましくは平均値±0.1以内である。
さらに、本発明の積層光学フィルムのNZ係数が上記式(i)を満たすためには、積層光学フィルムを構成する環状オレフィン系樹脂(A)とビニル芳香族系樹脂(B)にはそれぞれ望ましいNZ係数の範囲がある。ただし積層した状態では環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)それぞれ単独のNZ係数を求めることはできないため、積層光学フィルムから環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)を剥がし別々に位相差を測定しNZ係数を求めるか、環状オレフィン系樹脂(A)のみのフィルムとビニル芳香族系樹脂(B)のみのフィルムとを積層光学フィルムと同じ条件で延伸し、別々に位相差を測定して各層のおおよそのNZ係数を求めるという方法をとる。環状オレフィン系樹脂(A)のNZ係数をNZA、ビニル芳香族系樹脂(B)のNZ係数をNZBとすると、下記条件(iv)〜(v)を満たすように調整される。
1.0≦NZA≦50 …(iv)
NZB≦0 …(v)
(上記式(iv)中、NZAは、NZA=(nxA−nzA)/(nxA−nyA)で表される係数であり、波長550nmにおける値である。ここで、nxAは、環状オレフィン系樹脂(A)の面内での最大屈折率、nyAは、環状オレフィン系樹脂(A)の面内でnxAに直交する方向の屈折率、nzAは、nxAおよびnyAに対して直交する環状オレフィン系樹脂(A)の厚さ方向の屈折率を表し、NaveA=(nxA+nyA+nzA)/3である。
上記式(v)中、NZBは、NZB=(nxB−nzB)/(nxB−nyB)で表される係数であり、波長550nmにおける値である。ここで、nxBは、ビニル芳香族系樹脂(B)の面内での最大屈折率、nyBは、ビニル芳香族系樹脂(B)の面内でnyBに直交する方向の屈折率、nzBは、nxBおよびnyBに対して直交するビニル芳香族系樹脂(B)の厚さ方向の屈折率を表し、NaveB=(nxB+nyB+nzB)/3である。)
上記式(iv)は、環状オレフィン系樹脂層を延伸したときに発現する位相差に相当し、縦一軸延伸では1.0≦NZA≦1.1、横一軸延伸では1.1≦NZA≦2、逐次二軸延伸では1.5≦NZAに相当する。nxAは、延伸方向(逐次二軸延伸の場合は横一軸延伸の方向)、nyAは、延伸方向と直交方向(逐次二軸延伸の場合は横一軸延伸の方向と直交するフィルム長手方向)である。屈折率楕円体においては、nxA>nyA≧nzAで表される。上記式(v)は、ビニル芳香族系樹脂層を延伸したときに発現する位相差に相当し、縦一軸延伸では−0.1≦NZB≦0、横一軸延伸では−1≦NZB≦−0.1、逐次二軸延伸ではNZB≦−0.5に相当する。nxBは、延伸方向と直交(逐次二軸延伸の場合は横一軸延伸の方向と直交するフィルム長手方向)、nyBは、延伸方向(逐次二軸延伸の場合は横一軸延伸の方向)である。屈折率楕円体においては、nzB≧nxB>nyBで表される。積層光学フィルムのNZは、NZAおよびNZBから単純計算で求めることはできず、ポアンカレ球表示による環状オレフィン系樹脂(A)での偏光状態の変化とビニル芳香族系樹脂(B)での偏光状態の変化の結果として関連付けられる。
また、表示品位の均一性を得るうえでは、NZA、NZBともに場所によるバラツキが少ない方が望ましい。NZA、NZBのバラツキ範囲は、好ましくはそれぞれ平均値±0.2以内、さらに好ましくは平均値±0.1以内である。
<偏光板>
本発明の偏光板は、本発明の積層光学フィルムを、偏光子(偏光膜)の少なくとも片面に、接着剤または粘着剤を介して積層されてなることを特徴とするものである。
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やPVAの一部をホルマル化したポリマーなどからなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料などからなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理などを適当な順序や方法で施して得られるフィルムであって、自然光を入射させると直線偏光となって透過するものである。特に、光の透過率が高く、偏光度の優れたものが好適である。
偏光子の厚さは、一般に5〜80μmのものが好適に使用されるが、本発明はこれに限定されない。また、偏光子としては、上記PVA系フィルムの他に、同様の特性を発現するものであれば他のものを使用してもよい。例えば、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムに、染色処理、延伸処理、架橋処理などを適当な順序や方法で施したものでもよいし、基材フィルム上に二色性染料等を塗工し配向させた塗布型の偏光子であってもよいし、ワイヤグリッド型の偏光子であってもよい。
通常、偏光板は、偏光子と、位相差フィルムと、保護フィルムとから構成されるが、本発明では、偏光板を構成する位相差フィルムとして、積層光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に接着剤または粘着剤を介して貼合して用いる。積層光学フィルムは環状オレフィン系樹脂(A)側で偏光子と貼合されていてもよいし、ビニル芳香族系樹脂(B)側で偏光子と貼合されていてもよいし、透明樹脂フィルム(D)側で偏光子と貼合されていてもよい。偏光子と貼合する面は積層光学フィルム(E)の層構成および延伸条件等により適宜選択される。このような偏光板は、位相差フィルムが耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの性状に優れ、保護フィルムとしても充分な機能を有するため、偏光子上に位相差フィルムとしての機能を有する本発明の積層光学フィルムが積層された面には、別途保護フィルムが積層されていなくてもよい。本発明の偏光板が、偏光子の片面のみに位相差フィルムとしての機能を有する本発明の積層光学フィルムが積層された構成である場合には、偏光子のもう片方の面は、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)などの公知の保護フィルムが積層されていてもよい。
本発明の積層光学フィルムと偏光子の貼合、保護フィルムと偏光子の貼合は、各層を感圧粘着剤、熱硬化接着剤、光硬化性接着剤などの公知の接着剤や粘着剤を介して接着することにより、好適に製造することができる。粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものが好ましく、具体的には、天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等の粘着剤;水酸基、アミノ基等の官能基を有する上記樹脂等にイソシアナート基含有化合物などの硬化剤を添加した硬化型粘着剤;ポリウレタン系のドライラミネート用接着剤;合成ゴム系接着剤;エポキシ系接着剤などが挙げられる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上記本発明の偏光板の有することを特徴とするものである。
本発明の液晶表示装置は、画面を斜め方向から見たときのコントラスト比が高く、また、光学ムラが小さい積層光学フィルムあるいは偏光板を有するため、均一な表示が可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。また、室温とは25℃である。
各種測定および評価は以下のようにして行った。
[重合反応率]
アルミニウム製容器中に秤量した重合反応溶液を入れ、300℃に熱したホットプレートで恒温となるまで加熱し、残留モノマーおよび溶媒を除去した後、残留した重合体重量を計測し、理論上の重合体生成量との比から重合反応率(%)を求めた。
[水素添加率]
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率(%)を算出した。
[ガラス転移温度(Tg)]
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、JIS K7121に従って昇温速度:20℃/minの条件で、ガラス転移温度(Tg)(℃)を測定した。
[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8重量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、「Mn」は、数平均分子量である。
[対数粘度]
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロベンゼン中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃とし、対数粘度(dL/g)を測定した。
[フィルム厚さ]
積層光学フィルムの断面を光学顕微鏡で観察して測定した。断面が顕微鏡観察に適さない場合、断面部分をエポキシ樹脂に包埋し、大和光機(株)製ミクロトームRV−240を用いてスライスし、断面を明確にした上で光学顕微鏡により観察してフィルム厚さ(μm)を測定した。
[残存溶剤量]
得られた積層光学フィルムを5cm角に切り取り、加熱する前の積層光学フィルムの重
量Xと200℃で30分間加熱した後の積層光学フィルムの重量Yとを測定して、次式に
より残存溶剤量を算出した。
残存溶媒量(重量%)=[(X−Y)/X]×100
[フィルム面内位相差(R550)、NZ係数]
自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて測定した。波長546.0nm、747.3nmでの実測値をコーシーの式で回帰計算することにより波長550nmでのフィルム面内位相差R550を求めた。フィルム面内位相差、遅相軸傾斜で極角40度からの斜め方向位相差、フィルム厚さおよびフィルム平均屈折率からNZ係数を求めた。
[密着性]
積層光学フィルムを両面テープでガラス板に貼り付け、層間にカッター刃を入れて剥離させるという方法で密着性を確認した。カッター刃が層間に入らず、剥離もしないものを「◎」、カッター刃が層間に入り、剥離箇所を作製することはできるが、そこから連続的に剥離させることはできないものを「○」、カッター刃が層間に入り、その剥離箇所から連続的に剥離するものを「×」とした。
[単体透過率、偏光度]
日本分光(株)製V−7300を用い、偏光板の単体透過率(%)および偏光度(%)を測定した。
[輝度コントラスト比]
ELDIM(株)製の「EZ contrast−XL88」を用い、液晶表示装置の輝度コントラスト比を照度1lx以下の暗室にて測定した。
[合成例1]環状オレフィン系樹脂(A1)の合成
下記式(7)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン215部と、下記式(8)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン35部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5mol/L)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35mol:0.3mol:1mol)のトルエン溶液(濃度0.05mol/L)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合反応率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は0.75dL/gであった。
Figure 0005251214
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体である環状オレフィン系樹脂(A1)を得た。
このようにして得られた樹脂A1について、水素添加率は99.9%、ガラス転移温度(Tg)は125℃、数平均分子量(Mn)は32,000、重量平均分子量(Mw)は137,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.29、対数粘度は0.69dl/gであった。上記樹脂(A1)の各物性値を表1に示す。
[合成例2]環状オレフィン系樹脂(A2)の合成
上記式(7)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン200部と、上記式(8)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン50部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部とを使用したこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体である環状オレフィン系樹脂(A2)を得た。
得られた樹脂A2について、水素添加率は99.9%、ガラス転移温度(Tg)は105℃、Mnは33,000、Mwは131,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.97、対数粘度は0.60dL/gであった。上記樹脂(A2)の各物性値を表1に示す。
[合成例3]環状オレフィン系樹脂(A3)の合成
下記式(9)で表されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン53部と、下記式(10)で表される8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン46部と、下記式(11)で表されるトリシクロ[4.3.0.12,5]−デカ−3,7−ジエン66部とを使用し、1−ヘキセン(分子量調節剤)の添加量を22部とし、開環重合反応用溶媒としてトルエンの代わりにシクロヘキサンを使用したこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体である環状オレフィン系樹脂(A3)を得た。
Figure 0005251214
得られた樹脂A3について、水素添加率は99.9%、ガラス転移温度(Tg)は125℃、Mnは30,000、Mwは122,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.07、対数粘度は0.63dL/gであった。上記樹脂(A3)の各物性値を表1に示す。
[合成例4]ビニル芳香族系樹脂(B1)の合成
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン127.87g(1.23mol)、無水マレイン酸13.33g(0.136mol)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7mmol)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ87%であった。また、分子量を測定したところMw=129,900、Mw/Mn=2.00であった。
得られた重合反応溶液をテトラヒドロフランで希釈し、大量のメタノール中に凝固させることにより重合体を回収・精製し、80℃の真空乾燥機で2日間乾燥させた。得られたビニル芳香族系樹脂(B1)の分子量、対数粘度をそれぞれ測定したところ、Mwは135,000(Mw/Mn=1.85)、対数粘度は0.46dL/g、収率は80%であった。NMRにより求めた共重合組成比は仕込み値通りであった。得られた重合体はスチレン−無水マレイン酸共重合体であり、ガラス転移温度は128℃であった。上記樹脂(B1)の各物性値を表1に示す。
[合成例5]ビニル芳香族系樹脂(B2)の合成
攪拌機、コンデンサー、温度計を備え窒素置換したガラス製フラスコにスチレン126.88g(1.22mol)、メタクリル酸15.65g(0.182mol)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7mmol)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ90%であった。
得られた重合反応溶液をテトラヒドロフランで希釈し、大量のメタノール中に凝固させることにより重合体を回収・精製し、80℃の真空乾燥機で2日間乾燥させた。得られたビニル芳香族系樹脂(B2)の分子量、対数粘度をそれぞれ測定したところ、Mwは223,000(Mw/Mn=2.35)、対数粘度は0.54dL/g、収率は85%であった。得られた重合体はスチレン−メタクリル酸共重合体でありガラス転移温度は128℃であった。上記樹脂(B2)の各物性値を表1に示す。
[合成例6]ビニル芳香族系樹脂(B3)の合成
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたガラス製フラスコにスチレン145.6g(1.40mol)、溶媒としてトルエン75g、およびラジカル開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.67g(2.7mmol)を加え、90℃に加熱し、15時間反応させた。この重合液の一部を取り出し、反応率を測定したところ93%であった。
得られた重合反応溶液をテトラヒドロフランで希釈し、大量のメタノール中に凝固させることにより重合体を回収・精製し、80℃の真空乾燥機で2日間乾燥させた。得られたビニル芳香族系樹脂(B3)の分子量、対数粘度をそれぞれ測定したところ、Mwは168,300(Mw/Mn=1.68)、対数粘度は0.42dL/g、収率は87%であった。得られた重合体はポリスチレンでありガラス転移温度は102℃であった。上記樹脂(B3)の各物性値を表1に示す。
Figure 0005251214
(B1):スチレン−無水マレイン酸共重合体
(B2):スチレン−メタクリル酸共重合体
(B3):ポリスチレン
[調製例]水系接着剤の調製
反応容器に蒸留水250部を仕込み、当該反応容器にアクリル酸ブチル90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加し、これをテフロン(登録商標)製の撹拌羽根により撹拌して分散処理した。当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部をさらに添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。
次いで、エバポレータを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系接着剤(極性基を有する接着剤)を得た。
このようにして得られた水系接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法によるMnは69,000、Mwは135,000であり、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は1.2dL/gであった。
[製造例1]基材フィルム(FA1)の製造
合成例1で得た環状オレフィン系樹脂A1をジクロロメタンに30%濃度になるように溶解させ、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を樹脂100重量部に対して0.3重量部添加した。
その後、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)を用いて、3段ベントにより、溶剤を脱気しながら、ギアポンプを用いて下流に押出を行い、ストランドダイより流出させた樹脂を冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、ペレットを得た。
このペレットを窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(90mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながらギアポンプで定量押出を実施し、コートハンガー型のダイ(1700mm幅)を用いて260℃で膜状に押出し、125℃に設定した鏡面ロールにキャストした。続いて鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムは、鏡面ロールの下流側に設けた2本の冷却ロールに圧着させ冷却した。冷却ロールの後でフィルムを剥離し、片面にマスキングフィルムを貼合して巻き取り機で巻き取り、幅1500mm、厚み50μmの樹脂フィルムロール(FA1)を得た。
[製造例2]基材フィルム(FA2)の製造
環状オレフィン系樹脂(A1)の代わりに合成例2で得た環状オレフィン系樹脂A2を用い、製造例1と同様にして樹脂をペレット化し、押出し製膜して幅1500mm、厚み100μmの樹脂フィルムロール(FA2)を得た。
[製造例3]基材フィルム(FA3)の製造
環状オレフィン系樹脂(A1)の代わりに合成例3で得た環状オレフィン系樹脂A3を用い、溶剤にシクロヘキサンを用いた他は製造例1と同様にして樹脂をペレット化し、押出し製膜して幅1500mm、厚み50μmの樹脂フィルムロール(FA3)を得た。
[製造例4]偏光子の製造
膜厚120μmの、ロール状のポリビニルアルコール製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である30℃水溶液の染色浴にて、連続的に延伸倍率3倍で長手方向に一軸延伸(前延伸)した後、ほう酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で長手方向に一軸延伸(後延伸)し、乾燥処理して巻き取りロール状の偏光子を得た。
[製造例5]環状オレフィン系樹脂フィルム(A0)、リア側偏光板(P0)の製造
合成例1で得られた得られた環状オレフィン系樹脂(A1)を用い、製造例1と同様にして厚さ68μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(A0)ロールを得た。得られたフィルムの面内位相差R550=0〜2nmであり、Rth=5〜10nmであった。なお、「Rth」とは、厚さ方向位相差を表す指標の1つであり、波長550nmでの値である。Rthは、{(nx+ny)/2−nz}×dで表され、nxは光学フィルム測定点での面内の最大屈折率であり、フィルム長手方向に略平行であった。nyは面内でnxに直交する方向の屈折率、nzはnxおよびnyに対して直交する延伸フィルム厚さ方向の屈折率を表し、dは測定点におけるフィルム厚さ(nm)である。
このフィルムロールを製造例4で得た偏光子の片面にロール状のフィルムを揃えるようにして、調製例で得られた水系接着剤を用いて両者を連続的に貼付し、偏光子のもう一方の面に80μm厚さのトリアセチルセルロース(TAC)製フィルムを濃度5%のPVA水溶液からなる接着剤を用いて貼付、乾燥させ、リア側偏光板(P0)を得た。得られた偏光板の単体透過率は42.2%、偏光度は99.9%であった。
[製造例6]透明樹脂フィルム(D1)の製造
合成例1で得られた環状オレフィン系樹脂(A1)を用い、製造例1と同様にして、厚さ100μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(FA4)を得た。このフィルムを延伸温度145℃、延伸倍率1.5倍で縦延伸し、厚さ80μmの透明樹脂フィルム(D1)ロールを得た。得られたフィルムD1の面内位相差R550=90nm、NZ=1.02であった。
[製造例7]透明樹脂フィルム(D2)の製造
合成例1で得られた環状オレフィン系樹脂(A1)を用い、製造例1と同様にして、厚さ130μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(FA5)を得た。このフィルムを延伸温度145℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ45μmの透明樹脂フィルム(D2)ロールを得た。得られたフィルムD2の面内位相差R550=90nm、NZ=1.28であった。
[製造例8]透明樹脂フィルム(D3)の製造
製造例7で得られた環状オレフィン系樹脂フィルム(FA5)を用い、延伸温度145℃、延伸倍率3.3倍でテンター横延伸し、厚さ40μmの透明樹脂フィルム(D3)ロールを得た。得られたフィルムD3の面内位相差R550=120nm、NZ=1.25であった。
[実施例1]
(積層光学フィルム(E1)の製造)
合成例4で得られたビニル芳香族系樹脂(B1)をメチルエチルケトンに溶解させて樹脂濃度35%の塗工溶液を調製した。この溶液をコンマコーターを用いて製造例1で得られた基材フィルム(FA1)上に塗工し、50℃で10分間、80℃で10分間、110℃で300分間乾燥し、A1層(50μm)/B1層(130μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールの残存溶剤量は1.5%であった。
この原反フィルムロールを、延伸温度137℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ61μmの延伸フィルム(C1)ロールを得た。延伸フィルムC1の面内位相差R550=95nm、NZ=−0.30であり、フィルム間の密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
得られた延伸フィルム(C1)ロールの長手方向と、製造例6で得た透明樹脂フィルム(D1)ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂(B1)が透明樹脂フィルム(D1)に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E1)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=185nm、NZ=0.72、厚さ163μmであった。
(偏光板(P1)の製造および液晶表示装置の評価)
得られた積層光学フィルム(E1)ロールの長手方向と、製造例4で得た偏光子ロールの長手方向とを揃え(偏光子の吸収軸=延伸方向=フィルム長手方向が積層光学フィルムの光軸と平行になる)、環状オレフィン系樹脂(A1)が偏光子側に面するようにし、調製例で得られた水系接着剤を用いて両者を連続的に貼付し、偏光子のもう一方の面に厚さ80μmのTACフィルムを濃度5%のPVA水溶液からなる接着剤を用いて貼付し、偏光板(P1)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ41.9%および99.9%であった。
この偏光板(P1)の特性を評価するため、IPSモードである(株)日立製作所製液晶テレビ(型番L37−XR01−1)の液晶パネルの観察者側の前面および背面に貼付している偏光板および位相差フィルムを剥がし、この剥がした箇所に、製造例5で得られたリア側偏光板(P0)を光源側(背面)に、偏光板(P1)を視認側(前面)に、それぞれ元々貼合されていた偏光板の透過軸と同一にして、アクリル系透明粘着フィルムを用いて貼合した。このとき背面、前面ともに偏光板中のTACフィルムがパネル両側の最外面となるようにアクリル系透明粘着フィルムを用いて貼合した。この偏光板を有する液晶表示装置の輝度コントラスト比を測定したところ、全方位、極角0〜80度の範囲で最小値:80と高い数値であり、目視でムラは観察されなかった。
なお、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図1に示す。図中の液晶セルは上記液晶パネルの前面および背面にあらかじめ貼付されている偏光板および位相差フィルムを剥がした状態のものであり、透明粘着フィルム層は省略している。
[実施例2]
(積層光学フィルム(E2)の製造)
実施例1で得た、A1層(50μm)/B1層(130μm)の構成の原反フィルムロールを、延伸温度145℃、延伸倍率1.8倍で縦延伸し、厚さ128μmの延伸フィルム(C2)ロールを得た。延伸フィルムC2の面内位相差R550=95nm、NZ=−0.02であり、フィルム間の密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
得られた延伸フィルムC2ロールの長手方向と、製造例7で得た透明樹脂フィルムD2ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂B1層が透明樹脂フィルムD2に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E2)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=185nm、NZ=0.64、厚さ195μmであった。
(偏光板(P2)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(E1)の代わりに積層光学フィルム(E2)を用い、透明樹脂フィルムD2が偏光子側に面するようにした他は実施例1と同様にして偏光板(P2)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ41.9%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P2)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶表示装置の輝度コントラスト比を測定したところ、全方位、極角0〜80度の範囲で最小値:85と高い数値であり、目視でムラは観察されなかった。
なお、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図2に示す。
[実施例3]
(積層光学フィルム(E3)の製造)
実施例1と同様にして、A1(50μm)/B1(160μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールの残存溶剤量は1.7%であった。この原反フィルムロールを、延伸温度140℃、延伸倍率1.7倍で縦延伸し、次いで延伸温度135℃、延伸倍率2.5倍でテンター横延伸し、厚さ63μmの延伸フィルム(C3)ロールを得た。延伸フィルムC3の面内位相差R550≦2nm、NZ≦−50(Rth=−100nm)であり、フィルム間の密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
得られた延伸フィルムC3ロールの長手方向と、製造例8で得た透明樹脂フィルムD3ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂B1層が透明樹脂フィルムD3に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E3)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=120nm、NZ=0.45、厚さ126μmであった。
(偏光板(P3)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(E1)の代わりに積層光学フィルム(E3)を用い、透明樹脂フィルムD3が偏光子側に面するようにした他は実施例1と同様にして偏光板(P3)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ41.9%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P3)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶表示装置の輝度コントラスト比を測定したところ、全方位、極角0〜80度の範囲で最小値:88と高い数値であり、目視でムラは観察されなかった。
なお、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図2に示す。
[実施例4]
(積層光学フィルム(E4)の製造)
基材フィルム(FA1)の代わりに(FA2)を用いた他は実施例1と同様にして、A2(100μm)/B1(100μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールの残存溶剤量は1.3%であった。この原反フィルムロールを、延伸温度140℃、延伸倍率2.0倍でテンター横延伸し、厚さ98μmの延伸フィルム(C4)ロールを得た。延伸フィルム(C4)の面内位相差R550=96nm、NZ=−0.32であり、フィルム間の密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
得られた延伸フィルム(C4)ロールの長手方向と、製造例6で得た透明樹脂フィルム(D1)ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂(B1)が透明樹脂フィルム(D1)に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E4)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=186nm、NZ=0.61、厚さ200μmであった。
(偏光板(P4)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(E1)の代わりに積層光学フィルム(E4)を用いた他は実施例1と同様にして偏光板(P4)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.1%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P4)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶表示装置の輝度コントラスト比を測定したところ、全方位、極角0〜80度の範囲で最小値:93と高い数値であり、目視でムラは観察されなかった。
なお、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図1に示す。
[実施例5]
(積層光学フィルム(E5)の製造)
ビニル芳香族系樹脂(B1)の代わりに(B2)を用いた他は実施例1と同様にして、A1(50μm)/B2(120μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールの残存溶剤量は1.5%であった。この原反フィルムロールを、延伸温度145℃、延伸倍率1.8倍で縦延伸し、厚さ120μmの延伸フィルム(C5)ロールを得た。延伸フィルムC5の面内位相差R550=95nm、NZ=−0.02であり、フィルム間の密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
得られた延伸フィルムC5ロールの長手方向と、製造例7で得た透明樹脂フィルムD2ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂B2層が透明樹脂フィルムD2に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E5)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=185nm、NZ=0.57、厚さ187μmであった。
(偏光板(P5)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(E1)の代わりに積層光学フィルム(E5)を用い、透明樹脂フィルムD2が偏光子側に面するようにした他は実施例1と同様にして偏光板(P5)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ42.0%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P5)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶表示装置の輝度コントラスト比を測定したところ、全方位、極角0〜80度の範囲で最小値:90と高い数値であり、目視でムラは観察されなかった。
なお、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図2に示す。
[比較例1]
(積層光学フィルム(E6)の製造)
基材フィルム(FA1)の代わりに(FA3)を用いた他は実施例1と同様にして、A3(50μm)/B1(130μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールの残存溶剤量は1.7%であった。この原反フィルムロールを、延伸温度137℃、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸し、厚さ60μmの延伸フィルム(C6)ロールを得た。延伸フィルム(C6)の面内位相差R550=95nm、NZ=−0.27であり、フィルム間の密着性を確認したところ、層間にカッター刃が入り、そこから連続的に剥離させることができた。
得られた延伸フィルム(C6)ロールの長手方向と、製造例6で得た透明樹脂フィルム(D1)ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂(B1)が透明樹脂フィルム(D1)に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E6)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=185nm、NZ=0.65、厚さ162μmであった。しかし、搬送途中にロールのA3/B1層間が剥離してしまった。
[比較例2]
(積層光学フィルム(E7)の製造)
ビニル芳香族系樹脂(B1)の代わりに(B3)を用いた他は実施例1と同様にして、A1(50μm)/B3(150μm)の構成の原反フィルムロールを得た。この原反フィルムロールの残存溶剤量は1.8%であった。この原反フィルムロールを、延伸温度130℃、延伸倍率2.5倍でテンター横延伸し、厚さ80μmの延伸フィルム(C7)ロールを得た。延伸フィルム(C7)の面内位相差R550=135nm、NZ=1.35であり、フィルム間の密着性を確認したところ、剥離せず密着性良好であった。
得られた延伸フィルム(C7)ロールの長手方向と、製造例6で得た透明樹脂フィルム(D1)ロールの長手方向とを揃え、ビニル芳香族系樹脂(B3)が透明樹脂フィルム(D1)に面するようにし、アクリル系透明粘着フィルムを用いて両者を連続的に貼付し、積層光学フィルム(E7)ロールを得た。得られた積層光学フィルムの面内位相差R550=45nm、NZ=3.7、厚さ183μmであった。
(偏光板(P7)の製造および液晶表示装置の評価)
積層光学フィルム(E1)の代わりに積層光学フィルム(E7)を用いた他は実施例1と同様にして偏光板(P7)を得た。得られた偏光板の単体透過率および偏光度を調べたところ、それぞれ41.8%および99.9%であった。偏光板(P1)の代わりに偏光板(P7)を用いた他は実施例1と同様にして、液晶表示装置の輝度コントラスト比を測定したところ、全方位、極角0〜80度の範囲で最小値:7となった。積層光学フィルム(E7)に用いたビニル芳香族系樹脂(B3)のガラス転移温度が、環状オレフィン系樹脂(A1)対比で低いため、延伸した際にB3が所定の位相差が発現しない。そのため積層光学フィルム(E7)が望ましい位相差でなく、斜め方向のコントラスト比が悪い。
なお、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を図1に示す。
以上、実施例1〜5および比較例1、2の結果を表2に示す。表中の「光軸方向」(=遅相軸方向)は、積層延伸フィルム(C)の遅相軸方向(=面内の最大屈折率方向)と、透明樹脂フィルム(D)の遅相軸方向との組合せにより決定され、積層光学フィルム長手方向と平行になるときは「MD」と表し、積層光学フィルム長手方向と直交するときは「TD」と表した。
Figure 0005251214
図1および図2では前面側TACフィルムおよび透明粘着フィルム層は省略してある。
図1は、実施例1、実施例4および比較例2の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。 図2は、実施例2、実施例3および実施例5の、フィルム等の積層順序を示した液晶表示装置の垂直断面図を示す。
符号の説明
1・・・・・・・偏光子
2・・・・・・・環状オレフィン系樹脂(A)
3・・・・・・・ビニル芳香族系樹脂(B)
4・・・・・・・透明樹脂フィルム(D)
5・・・・・・・液晶セル
6・・・・・・・リア側偏光板(P0)
7・・・・・・・積層延伸フィルム

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体である環状オレフィン系樹脂(A)またはスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体であるビニル芳香族系樹脂(B)のいずれかからなる基材フィルムの少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち、基材フィルムを構成しない樹脂をコーティング法により積層製膜して、環状オレフィン系樹脂(A)層とビニル芳香族系樹脂(B)層とを有する原反フィルムを製造する工程(α)、
    該原反フィルムを延伸し、積層延伸フィルム(C)を得る工程(β)、および
    該積層延伸フィルム(C)を、透明樹脂フィルム(D)に積層し、積層光学フィルム(E)を得る工程(γ)
    を有する、積層光学フィルムの製造方法であって、
    該積層光学フィルム(E)が、下記式(i)および式(ii)を満たすことを特徴とする積層光学フィルムの製造方法。
    Figure 0005251214
    (式中、mは、1以上の整数を表し、pは、0以上の整数で表し、Xは、独立に、式:−CH=CH−で表される基、または式:−CH2CH2−で表される基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1とR2と、および/またはR3とR4とは、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。
    ただし、R1〜R4の少なくとも1つの基には、炭素原子および水素原子以外の原子が含まれる。)
    Figure 0005251214
    (式中、Yは、独立に、式:−CH=CH−で表される基、または式:−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R5とR6と、および/またはR7とR8とは、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R5またはR6と、R7またはR8とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。)
    70(nm)≦R550≦350(nm) …(i)
    (式中、R550は、波長550nmにおける面内位相差を表す。)
    0<NZ<0.9 …(ii)
    (式中、NZは、波長550nmにおいて、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で示される係数を表す。ここで、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。)
  2. 下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位とを有する共重合体である環状オレフィン系樹脂(A)またはスチレン−無水マレイン酸共重合体であるビニル芳香族系樹脂(B)のいずれかからなる基材フィルムの少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂(A)およびビニル芳香族系樹脂(B)のうち、基材フィルムを構成しない樹脂をコーティング法により積層製膜して、環状オレフィン系樹脂(A)層とビニル芳香族系樹脂(B)層とを有する原反フィルムを製造する工程(α)、
    該原反フィルムを延伸し、積層延伸フィルム(C)を得る工程(β)、および
    該積層延伸フィルム(C)を、透明樹脂フィルム(D)に積層し、積層光学フィルム(E)を得る工程(γ)
    を有する、積層光学フィルムの製造方法であって、
    該積層光学フィルム(E)が、下記式(i)および式(ii)を満たすことを特徴とする積層光学フィルムの製造方法。
    Figure 0005251214
    (式中、mは、1以上の整数を表し、pは、0以上の整数で表し、Xは、独立に、式:−CH=CH−で表される基、または式:−CH2CH2−で表される基を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R1とR2と、および/またはR3とR4とは、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。
    ただし、R1〜R4の少なくとも1つの基には、炭素原子および水素原子以外の原子が含まれる。)
    Figure 0005251214
    (式中、Yは、独立に、式:−CH=CH−で表される基、または式:−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R5とR6と、および/またはR7とR8とは、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R5またはR6と、R7またはR8とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は、単環構造でも多環構造でもよい。)
    70(nm)≦R550≦350(nm) …(i)
    (式中、R550は、波長550nmにおける面内位相差を表す。)
    0<NZ<0.9 …(ii)
    (式中、NZは、波長550nmにおいて、NZ=(nx−nz)/(nx−ny)で示される係数を表す。ここで、nxは、面内での最大屈折率を表し、nyは、面内でnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nxおよびnyに対して直交する厚さ方向の屈折率を表す。)
  3. 工程(α)が、環状オレフィン系樹脂(A)からなる基材フィルムの少なくとも片面に、ビニル芳香族系樹脂(B)をコーティング法により積層製膜する工程であることを特徴とする請求項1またはのいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
  4. 環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)と、ビニル芳香族系樹脂(B)のガラス転移温度(TgB)とが、下記式(iii)で表される関係を満たし、 上記工程(β)での延伸温度が、TgA以上かつTgB以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
    −10(℃)≦TgB−TgA …(iii)
  5. 透明樹脂フィルム(D)が、環状オレフィン系樹脂からなり、フィルム幅方向または長手方向に一軸延伸されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
  6. 積層延伸フィルム(C)と透明樹脂フィルム(D)とが、ロールtoロール法で連続的に積層されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする、積層光学フィルム。
  8. 請求項に記載の積層光学フィルムを、偏光子の少なくとも片面に、接着剤または粘着剤を介して積層されてなることを特徴とする偏光板。
  9. 請求項に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
JP2008094866A 2008-04-01 2008-04-01 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途 Active JP5251214B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008094866A JP5251214B2 (ja) 2008-04-01 2008-04-01 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008094866A JP5251214B2 (ja) 2008-04-01 2008-04-01 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009251011A JP2009251011A (ja) 2009-10-29
JP5251214B2 true JP5251214B2 (ja) 2013-07-31

Family

ID=41311846

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008094866A Active JP5251214B2 (ja) 2008-04-01 2008-04-01 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5251214B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5921154B2 (ja) * 2011-11-09 2016-05-24 日東電工株式会社 光学フィルム、画像表示装置および画像表示装置の製造方法
JP6286843B2 (ja) * 2013-03-19 2018-03-07 日本ゼオン株式会社 複層フィルムの製造方法、位相差フィルム積層体の製造方法、偏光板の製造方法並びにips液晶パネルの製造方法
CN108780186B (zh) * 2016-03-30 2021-07-13 日本瑞翁株式会社 光学各向异性层叠体、圆偏振片以及图像显示装置
KR102043492B1 (ko) * 2016-05-02 2019-11-11 주식회사 엘지화학 광학 필름의 제조 방법, 이를 이용하여 제조되는 광학 부재 및 광학 필름, 이를 포함하는 편광판 및 액정표시장치
KR20220093109A (ko) * 2019-10-29 2022-07-05 니폰 제온 가부시키가이샤 위상차 필름 및 그 제조 방법, 그리고 원 편광판
JPWO2022145171A1 (ja) * 2020-12-28 2022-07-07

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4458636B2 (ja) * 1999-12-16 2010-04-28 富士フイルム株式会社 位相差板の製造方法
JP2004163684A (ja) * 2002-11-13 2004-06-10 Nippon Zeon Co Ltd 積層位相差フィルム及びその製造方法
JP2006058540A (ja) * 2004-08-19 2006-03-02 Jsr Corp 光学フィルム、偏光板および液晶ディスプレイ
JP4774856B2 (ja) * 2005-08-09 2011-09-14 東ソー株式会社 位相差フィルム
JP4807774B2 (ja) * 2005-10-20 2011-11-02 日東電工株式会社 液晶パネルおよび液晶表示装置
JP4565507B2 (ja) * 2006-01-30 2010-10-20 日東電工株式会社 位相差板の製造方法、位相差板、位相差板付偏光板、液晶パネル、および液晶表示装置
JP2008020670A (ja) * 2006-07-13 2008-01-31 Nitto Denko Corp 液晶パネル及び液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009251011A (ja) 2009-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186926B2 (ja) 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムならびにその用途
JP5375043B2 (ja) 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途
JP5135799B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、光学フィルムおよび延伸フィルム
JP5407108B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、光学フィルムおよびフィルム製造方法
JP5251214B2 (ja) 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途
JP5186991B2 (ja) 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2007043573A1 (ja) 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途
JP2010060618A (ja) 積層光学フィルム付き偏光板およびそれを具備する液晶表示装置
JP5374820B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる光学フィルム
JP5169842B2 (ja) 偏光板、及び液晶表示装置
WO2008015919A1 (fr) Composition de résine d'oléfine cyclique, film optique et lame retardatrice utilisant la composition et leurs procédés de production
JP2008102498A (ja) 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途
JP5625751B2 (ja) フラットパネルディスプレイ用耐熱透明プラスチック基板
JP2009244609A (ja) 積層光学フィルムの製造方法、積層光学フィルムおよびその用途
JP2008163287A (ja) 樹脂組成物、光学フィルムおよびその製造方法ならびにその用途
TWI425024B (zh) A retardation film, a method for manufacturing the same, and a polarizing plate
KR20080027203A (ko) 위상차 필름의 제조 방법, 위상차 필름 및 그의 용도
JP5560551B2 (ja) 液晶パネルおよび液晶パネル用光学フィルムセット
JP2007223242A (ja) 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルムおよびその用途
JP4797865B2 (ja) 光学フィルムの製造方法および光学フィルム
JP4080200B2 (ja) 位相差フィルムおよび液晶表示装置
JP2006188555A (ja) 光学フィルムの製造方法および光学フィルム
JP2009128821A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルムおよび液晶表示装置
JP2008239957A (ja) 樹脂組成物およびその用途
KR101477554B1 (ko) 액정 패널 및 액정 패널용 광학 필름 세트

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120531

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5251214

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160426

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250