JP5250382B2 - 皮なめしの前処理方法及び皮なめし方法 - Google Patents
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Description
まず、水漬けによって、皮組織に水分を補給して生皮に近い状態に戻すとともに、吸水軟化させて保存に用いた塩や薬品類及び原料皮に付着した汚れを除去する。原料皮の肉面には剥皮のときに残った皮下組織や脂肪などが付着しており、これらの付着物は肉面からの薬品類の浸透を悪くしたり、不均一にする。そこで、フレッシングマシンや三日月状をした刃物(「せん」という)で原料皮の内面の皮肌を削いで、皮下脂肪などの付着物を取り除く作業(「フレッシング(せん打ち)」という)を行い、付着物を取り除く。次いで、この原皮を石灰漬け・脱脂を行う。石灰漬けは吸水軟化した原料皮を水酸化カルシウムの液に浸漬して、アルカリにより表皮組織をゆるめて脱毛を容易にして、皮の表面の毛、脂肪、表皮層を除去する工程である。この脱毛と脱脂を促進するために、水酸化カルシウムの液に種々の浸透剤や界面活性剤が添加されることがある。
(1)原料皮が生皮からの原皮の場合には、水漬け、フレッシング処理及び/又は脱毛・石灰漬けを含む処理を行った原料皮に対して、(a)予備処理として、原料皮の床面に、酵素製剤、界面活性剤及び浸透剤を含む溶液を塗布又は散布し、一定時間放置した後温水で洗浄し、(b) 次に、脱脂処理として、この予備処理済みの原料皮を、界面活性剤、浸透剤とともに油剤成分を含む溶解液を用いて撹拌処理し、(c) 次に、排液後、この原料皮を温水を用いてすすぎ洗いを行ない;原料皮が前なめし皮の場合には、これらの皮及び/又は革を、(b) 脱脂処理として、界面活性剤、浸透剤とともに油剤成分を含む溶解液を塗布若しくは散布して処理し、及び/又はこの溶解液とともに撹拌して処理し、(c) 次に、排液後、この原料皮を温水を用いてすすぎ洗いを行なう、という工程を必須の工程として含む処理を行なうことを特徴とする、皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
次いで、この原皮を、既に従来の技術の説明の部分で記載したフレッシング処理と同様の方法でフレッシング処理する。更に、必要に応じて、水酸化カルシウム溶液に浸漬させてアルカリにより皮を膨潤させる所謂石灰漬けを行い、コラーゲン繊維をほぐすとともに脱毛処理を行う。このような予備的な前処理を行なった後、この原皮を本発明の方法に使用する。
動物から採取した生皮から得られた原皮を、その生産地において、水漬け、フレッシング処理、石灰漬け等の前処理を行うだけでなく、さらにこの皮をなめし処理の前に酸性溶液に浸漬して皮を酸性状態としてなめし薬剤が吸収されやすくする、所謂ピックリング処理を行ったり、このピックリング処理を行った皮を クロム、アルミニウムやホルマリンなどを用いて簡易ななめし処理を行うことがあり、このような処理を行ったものが原料皮として取引されている。本明細書においては、このような皮を「前なめし皮」又は「ウエットブルー」という。特に、原皮の生産地が海外である場合には、このような処理を行った前なめし皮又はウエットブルーとして輸入されることが多い。
これらの中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルジグリコール、BDG)が皮類の内部への浸透作用が強く、より好ましい。
界面活性剤 ・・・ 1〜100g、好ましくは10〜40g、
浸透剤 ・・・ 100g〜5kg、好ましくは500g〜2kg、
酵素製剤 ・・・ 1〜50g、好ましくは20〜40g、
原料皮が前なめし皮及び/又は再利用革の場合には、より高い温度での脱脂処理が可能であり、撹拌処理時の温度は30〜60℃であり、好ましくは40〜50℃である。また、タイコの回転数は5〜20rpm、好ましくは10〜20rpmであり、処理時間は10〜20時間、好ましくは12〜16時間である。
この溶解液に使用する界面活性剤と浸透剤は、上記予備処理にて使用する界面活性剤及びと浸透剤と同様のものを使用すればよい。
これらの液体合成油、液体植物油、液体動物油は、それぞれを単独で1種又は2種以上の混合物で用いてもよく、また、液体合成油、液体植物油、液体動物油の混合物として用いてもよい。
更に、これらの油剤成分とともに、種々のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、種々の溶剤類との混合物として用いてもよい。
界面活性剤 ・・・ 1〜4質量%、より好ましくは2〜3質量%、
浸透剤 ・・・ 1〜4質量%、より好ましくは2〜3質量%、
油剤成分 ・・・ 1〜4質量%、より好ましくは2〜3質量%、
(i) せん打ち(フレッシング)
原料皮として、乾皮ムートン原皮7枚(11kg)を使用した。これらの原料皮に付着しているごみや汚物を水漬け、水洗で除去し、その肉面に付着している脂身や肉片をフレッシングマシンや銓刀を用いてできる限り削ぎ取った。
このフレッシングした原料皮に、50℃の温水に次の各成分を加えて調製した下記の組成の予備処理液10リットルを、7枚の乾皮ムートン原皮の表裏両面にブラシを用いて十分に塗抹し、その後約10時間放置した。
予備処理液組成(温水10Lに対する添加量)
浸透剤*(ブチルジグリコール) ・・・・・・ 1kg
界面活性剤(ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド)・・・ 30g
酵素製剤(パパイヤ酵素) ・・・・・・ 30g
(*:浸透剤の主成分はジエチレングリコールモノブチルエーテルである。)
タイコ中に、40℃の温水80リットルを注入し、予備処理に使用のものと同じ浸透剤のブチルジグリコール(BDG、日本乳化剤株式会社製)300gと、水戻し剤としてスプラランON(商品名、川村通商製)300gを加えた。ここに予備処理を行った原料皮7枚を投入し、一夜放置した。次いで、原料皮が浸る程度の低水位で、この原料皮と処理薬剤の入ったタイコを毎分15回転で3時間回転した。
次に、油剤成分として、塩素化パラフィン油からなる液体合成油とアニオン性界面活性剤とを含む混合物(油剤成分1)300g、アルカンスルホン酸塩からなる液体合成油とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルとを含む混合物(油剤成分2)300g、及び浸透剤としてブチルジグリコール300gを順次加えて、その都度タイコを毎分15回転で30分間回転した。その後、更にタイコを毎分15回転で7時間連続して回転した後、タイコ内の液を排液した。
(iii)で処理したムートンをタイコから取り出し、脱水機で遠心脱水した。このムートンを、再びタイコに入れ、40℃の温水300リットルを注入して、毎分15回転で60分間回転攪拌してすすぎ洗いした後、脱水した。このすすぎ洗いをもう1回行なった。
第1回脱脂処理と同様に、タイコ中に40℃の温水80リットルを注入し、油剤成分1を600g、油剤成分2を600g、上記浸透剤を600g加えて溶解液を調製し、この溶解液に上記の脱水処理ムートンを入れ、タイコを毎分15回転で7時間回転した。次いで、水戻し剤のスプラランON(商品名、川村通商製)150gを加え、毎分15回転で2時間回転した後、排液した。
(v)で処理したムートンをタイコから取り出し、脱水機で遠心脱水した。このムートンを、再びタイコに入れ、40℃の温水300リットルを注入して、毎分15回転で60分間回転攪拌してすすぎ洗いした後、脱水した。この排液は、真っ黒(スス水)であった。このすすぎ洗いをもう1回行なった。
上記の(v)の脱脂処理と(vi)のすすぎ洗いと同じ操作をもう1回繰り返した。
この段階になると、洗浄水が皮の表面から裏面へ、裏面から表面へと浸透できるようになり、内部の油分、その分解物や不要な蛋白質なかんずく、皮脂腺中の汚物を洗い出すことができるようになった。排液に着色がなくなったことを確認して、脱脂処理とすすぎ洗いを終了し次の工程へ移った。
なめし液として、植物タンニン(ミモサ)600gとアルミ明礬60gを水10リットルに溶解したものを用いた。
まず、上記の第3回の脱脂処理とすすぎ洗いを終えたムートン7枚が入っているタイコに水300リットルを注入し、上記のなめし液1リットルを加えて、毎分5回転のゆっくりした回転で7時間回転した後、排液した(第1回)。ムートンを遠心脱水後、再びタイコに入れ、水300リットルを注入し、毎分15回転で60分間回転した後、排液して、ムートンを遠心脱水した。この洗浄操作をもう1回繰り返した。
次いで、タイコに水300リットルを注入し、上記のなめし液を3リットル、油剤成分2を100g、浸透剤を100g加えて、毎分5回転のゆっくりした回転で7時間回転した後、排液した(第2回)。ムートンを遠心脱水後、再びタイコに入れ、水300リットルを注入し、毎分15回転で60分間回転洗浄した後、排液して、ムートンを遠心脱水した。
最後に、タイコに水300リットルを注入し、上記なめし液の残量全部(6リットル)、油剤成分2を100g、浸透剤を100g加えて、同様に毎分5回転で15時間回転した後、排液した(第3回)。
以上のように3回に分けて植物タンニンによるなめし処理を行った。
タンニンなめしを終えたムートン7枚入っているタイコへ水300リットルを加えた。更に、加脂剤として、油剤成分2を500gおよび浸透剤100g を加えて、毎分15回転で60分間回転した。次いで、ギ酸200gを加えて、毎分15回転で60分間回転し、排液した。更に、毛根を引き締めるため、アルミ明礬200gを加えて、毎分15回転で60分間回転した。次いで、ギ酸200gを加えて、毎分15回転で20分間回転した後、排液した。この処理の後ではムートンの毛は真っ白になった。
上記(ix)で加脂処理を行ったタイコ中のムートンへ、水300リットルを加えて、毎分15回転で10分間回転した後、排水した。このムートンを脱水後乾燥し、ムートン毛皮を得た。
このようにして得られたムートンは、毛の絡みも全く見られず、毛皮の皮部分の中間層の割れも見られず、柔らかで手触りのよい満足できる品質のものであった。
(i) 脱脂前処理
40℃の温水に次の各成分を加えて調製した前処理液10リットルを、7枚の前なめし処理したムートンの表裏両面にブラシを用いて十分に塗り込み、40℃に保温して2日間インキュベーションした。
前処理液組成(温水10Lに対する添加量)
浸透剤*(ブチルジグリコール) ・・・・・・ 1kg
界面活性剤(ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド) ・・・ 30g
酵素製剤**(リパーゼ) ・・・・・・ 30g
(* ・・・ 浸透剤の主成分はジエチレングリコールモノブチルエーテルである。)
(**・・・商品名:リパーゼAY、アマノエンザイム株式会社製)
タイコに、40℃の温水80リットルを注入し、ここに上記の前処理に使用のものと同じ浸透剤のブチルジグリコール(BDG、日本乳化剤株式会社製)300gと、実施例1と同じ水戻し剤(商品名:スプラランON、川村通商製)300gを加え溶解液を調製し、この中に前処理を行った原料皮7枚を投入した。この原料皮ムートンと処理薬剤の溶解液の入ったタイコを毎分15回転で30分間回転した。
次に、実施例1と同様に、以下の3種類の薬剤を順次添加した。即ち、実施例1と同じ液体合成油とアニオン性界面活性剤の混合物(油剤成分1)300g、実施例1と同じ陰イオン性合成油と非イオン性界面活性剤であるとの混合物(油剤成分2)300g、及び浸透剤であるブチルジグリコール300gを順次加えて、その都度毎分15回転で30分間回転攪拌した。更に、その後、毎分15回転で7時間連続して回転攪拌した後、タイコ内の処理液を排液した。
(ii)で処理したムートンをタイコから取り出し、脱水機で遠心脱水した。このムートンを、再びタイコに入れ、40℃の温水300リットルを注入して、毎分15回転で60分間回転攪拌してすすぎ洗いした後、脱水した。このすすぎ洗いをもう1回行なった。
第1回脱脂処理と同様に、タイコ中に40℃の温水80リットルを注入し、油剤成分1を600g、油剤成分2を600g、上記浸透剤を600gを加えて溶解液を調製し、この溶解液に上記の脱水処理ムートンを入れ、タイコを毎分15回転で7時間回転した。次いで、水戻し剤のスプラランON(商品名、川村通商製)150gを加え、毎分15回転で2時間回転した後、排液した。
(iv)で処理したムートンをタイコから取り出し、脱水機で遠心脱水した。このムートンを、再びタイコに入れ、40℃の温水300リットルを注入して、毎分15回転で60分間回転攪拌してすすぎ洗いした後、脱水した。この排液は、真っ黒(スス水)であった。このすすぎ洗いをもう1回行なった。
上記の(iv)の脱脂処理と(v)のすすぎ洗いと同じ操作をもう1回繰り返した。この段階になると、洗浄水が皮の表面から裏面へ、裏面から表面へと浸透できるようになり、内部の油分、その分解物や不要な蛋白質、なかんずく皮脂腺中の汚物を洗い出すことができるようになった。排液に着色がなくなったことを確認して、脱脂処理とすすぎ洗いを終了し次の工程へ移った。
なめし液として、実施例1と同様に、植物タンニン(ミモサ)600gとアルミ明礬60gを水10リットルに溶解したものを用いた。このなめし液を用いて、実施例1と同様の方法で3回に分けてムートンの植物タンニンによるなめし処理を行った。
タンニンなめしを終えたムートンを実施例1と同様の方法で加脂処理を行った。更に、最後に、水300リットル及びシュウ酸200gを加え、毎分15回転で1時間回転した後、排液した。この処理の後ではムートンの毛は真っ白となった。
上記(viii)で加脂処理を行ったタイコ中のムートンへ、水300リットルを加えて、毎分15回転で10分間回転した後、排液した。このムートンを脱水後乾燥し、ムートン毛皮を得た。
このようにして、前処理でリパーゼを使用し、タンニンなめしを行なったムートンは、毛の絡みも全く見られず、毛が一本一本立っている状態であり、毛皮の皮部分の中間層の割れも見られず、柔らかで手触りのよい満足できる品質のものであった。
原料皮として前なめし処理した豚原皮10枚(20kg)を用いた。
(i) 第1回脱脂処理
タイコ中に、40℃の温水50リットルを注入し、浸透剤のブチルジグリコール(BDG、日本乳化剤株式会社製)400gと、実施例1と同じ液体合成油とアニオン性界面活性剤の混合物(油剤成分1)400gを加え溶解液を調製し、この中に上記の原料皮の前なめし処理した豚皮10枚を投入した。この原料皮と処理薬剤の溶解液の入ったタイコを毎分15回転で4時間回転した。ここに実施例1と同じ水戻し剤(商品名:スプラランON、川村通商製)100gを加え、毎分15回転で30分間回転した後、排液した。
(i)で処理した原料皮の入っているタイコ中に水150リットルを注入し、毎分15回転で30分間回転し、排液した。このすすぎ洗いをもう1回繰り返した。
第1回脱脂処理と同様に、(ii)のすすぎ洗い処理した豚皮の入っているタイコ中に40℃の温水50リットルを注入し、第1回脱脂処理と同じ油剤成分1を400g、実施例1と同じ陰イオン性合成油と非イオン性界面活性剤との混合物(油剤成分2)を400g、浸透剤であるブチルジグリコール400gを順次加えて、その都度タイコを毎分15回転で30分間回転した。更に、その後、毎分15回転で4時間連続して回転攪拌した後、タイコ内の処理液を排液した。
このタイコに、水150リットルを注入し、毎分15回転で30分間回転し、排液した。この排液は、真っ黒(スス水)であった。このすすぎ洗いをもう1回繰り返した。
上記の第2回脱脂処理及び第2回すすぎ洗いと同じ操作をもう1回繰り返した。この段階になると、洗浄水が皮の表面から裏面へ、裏面から表面へと浸透できるようになり、内部の油分、その分解物や不要な蛋白質、なかんずく皮脂腺中の汚物を洗い出すことができるようになった。排水に着色がなくなったことを確認して、脱脂処理とすすぎ洗いを終了し次の工程へ移った。
なめし液として、実施例1と同様に、植物タンニン(ミモサ)を水に溶解したものを用い、実施例1と同様にして、脱脂処理の終わった豚皮のタンニンなめし及び加脂処理を行った。
一般的に豚皮は油分を多く含みなめし処理がうまく行われず、感触がよくなく、染色が不良となるなどの問題があるが、ここで得られた豚皮は、柔軟性のある良好な感触をもった製品革であった。
原料皮として前なめし処理したシャムワニの皮10枚(15kg)を用いた。
タイコ中に、40℃の温水30リットルを注入し、浸透剤のブチルジグリコール300gと、実施例1と同じ液体合成油とアニオン性界面活性剤の混合物(油剤成分1)300gを加え溶解液を調製し、この中に上記の原料皮の前なめし処理したワニ皮10枚を投入した。この原料皮と処理薬剤の溶解液の入ったタイコを毎分15回転で4時間回転した。ここに実施例1と同じ水戻し剤100gを加え、毎分15回転で30分間回転した後、排液した。
(i)で処理した原料ワニ皮の入っているタイコ中に水100リットルを注入し、毎分15回転で30分間回転し、排液した。このすすぎ洗いをもう1回繰り返した。
第1回脱脂処理と同様に、すすぎ洗い処理したワニ皮の入っているタイコ中に40℃の温水30リットルを注入し、第1回脱脂処理と同じ油剤成分1を300g、実施例1と同じ陰イオン性合成油と非イオン性界面活性剤であるとの混合物(油剤成分2)を300g、及び浸透剤であるブチルジグリコール300gを順次加えて、その都度タイコを毎分15回転で30分間回転した。更に、その後、毎分15回転で4時間連続して回転攪拌した後、タイコ内の処理液を排液した。
このタイコに、水100リットルを注入し、毎分15回転で30分間回転し、排液した。この排液は、真っ黒(スス水)であった。このすすぎ洗いをもう1回繰り返した。
上記の第2回脱脂処理及び第2回すすぎ洗いと同じ操作をもう1回繰り返した。この段階になると、洗浄水が皮の表面から裏面へ、裏面から表面へと浸透できるようになり、内部の油分、その分解物や不要な蛋白質、なかんずく皮脂腺中の汚物を洗い出すことができるようになった。排液に着色がなくなったことを確認して、脱脂処理とすすぎ洗いを終了し次の工程へ移った。
なめし液として、実施例1と同様に、植物タンニン(ミモサ)を水に溶解したものを用い、実施例1と同様にして、脱脂処理の終わったワニ皮のタンニンなめし及び加脂処理を行った。
一般的にワニ皮は油分を多く含みなめし処理がうまく行われず、感触がよくなく、染色が不良となるなどの問題があるが、このようにして得られたワニ皮は、柔軟性のある良好な感触をもった製品革であった。
原料皮として、製造不良品の豚革10枚(10kg)を用いた。この製造不良豚革は、クロムなめしを行ったクラスト革(仕上げ前の半製品)であるが、表面に濃淡の着色があり、明らかに地脂の影響がある不良革である。
タイコ中に原料皮の豚皮10枚を投入し、50℃の温水80リットルを注入した。ここに実施例1と同じ液体合成油とアニオン性界面活性剤の混合物(油剤成分1)300g、実施例1と同じ陰イオン性液体合成油と非イオン性界面活性剤を含む混合物(油剤成分2)300g、および浸透剤のブチルジグリコール300gを添加し、その都度、毎分15回転で30分間回転した。更に、毎分20回転で10時間連続回転撹拌した後、タイコ内の処理液を排液した。
このタイコ内の豚皮に50℃の温水300リットルを注入し、実施例1と同一の水戻し剤300g及び浸透剤のブチルジグリコール300gを添加して、その都度、毎分15回転で30分間回転した。更に、毎分15回転で2時間連続回転撹拌した後、タイコ内の処理液を排液した。
(i)で処理した豚革の入っているタイコ中に、40℃の温水300リットルを注入し、毎分15回転で2時間回転撹拌してすすぎ洗いした後、排液した。このすすぎ洗いをもう1回繰り返した。
(ii)のすすぎ洗いの終わった豚革10枚の入っているタイコに、水80リットルを注入し、ここに植物タンニン・ミモサ500gおよびチェスナット200gを加え、更に、浸透剤のブチルジグリコール100gを添加し、毎分15回転で、60分間回転した。次に、黒色染料を加え、毎分15回転で、40分間回転した。次いで、ギ酸200gを加え、毎分15回転で30分間回転した後、排液し、タンニンなめし処理を行った。
上記のタンニンなめしの終わったタイコ中に40℃の温水300リットルを加えて、毎分15回転で10分間回転した後、排液した。次に、40℃の温水80リットルを注入し、タンニン革用の柔軟加脂剤200gおよび浸透剤のブチルジグリコール300gを添加し、毎分15回転で、20分間回転し、排液した。次いで、このタイコへ40℃の温水300リットルを加えて、毎分15回転で10分間回転した後、排液した。得られたなめし処理した豚皮を皮革用セッターで水絞りをした後、45〜50℃の温度で乾燥室で5時間乾燥した。
このようにして得られた豚革は、硬くならず、充実性があり、手触りのよい満足できる品質のものであった。従来のタンニン渋槽で作られるヌメ革と同等の品質のものであった。
Claims (11)
- 原料皮が生皮からの原皮の場合には、水漬け、フレッシング処理及び/又は脱毛・石灰漬けを含む処理を行った原料皮に対して、(a)予備処理として、原料皮の床面に、酵素製剤、界面活性剤及び浸透剤を含む溶液を塗布又は散布し、一定時間放置した後温水で洗浄し、(b) 次に、脱脂処理として、この予備処理済みの原料皮を、界面活性剤、グリコールエーテル系水溶性溶剤から選ばれる浸透剤とともに、スルホン化合成油、リン酸化合成油、塩素化パラフィン油、合成エステル油から選ばれる液体合成油、液体植物油又は液体動物油のいずれか1種又は2種以上の混合物である油剤成分を含む溶解液を用いて撹拌処理し、(c) 次に、排液後、この原料皮を温水を用いてすすぎ洗いを行ない;原料皮が前なめし皮の場合には、これらの皮革又は毛皮を、(b) 脱脂処理として、界面活性剤、グリコールエーテル系水溶性溶剤から選ばれる浸透剤とともに、スルホン化合成油、リン酸化合成油、塩素化パラフィン油、合成エステル油から選ばれる液体合成油、液体植物油又は液体動物油のいずれか1種又は2種以上の混合物である油剤成分を含む溶解液を塗布若しくは散布して処理し、及び/又はこの溶解液とともに撹拌処理し、(c) 次に、排液後、この原料皮を温水を用いてすすぎ洗いを行なう、という工程を必須の工程として含む処理を行なうことを特徴とする、皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- (b)の脱脂処理の撹拌処理が、横型回転ドラム式撹拌装置を用いて原料皮を回転撹拌処理するものである、請求項1に記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- (b)の脱脂処理が、原料皮が生皮からの原皮の場合には、30〜40℃の温水中に界面活性剤、浸透剤及び油剤成分を含む溶解液を処理液として、原料皮を3〜10時間回転撹拌処理し;原料皮が前なめし皮の場合には、30〜60℃の温水中に界面活性剤、浸透剤及び油剤成分を含む溶解液を処理液として、原料皮を3〜10時間回転撹拌処理することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- (b)の脱脂処理及び/又は(c)のすすぎ洗いを2回以上繰り返すことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- (a)の予備処理に用いる浸透剤が、グリコールエーテル系水溶性溶剤であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- 液体植物油が、菜種油、オリーブ油、大豆油又はひまし油から選ばれる植物油の1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- 液体動物油が、牛脚油、豚油、羊毛脂、卵黄油、鶏油、鱈の肝油又はサメの肝油から選ばれる動物油の1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- (b)の脱脂処理に用いる界面活性剤が、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸エステル塩から選ばれるアニオン性界面活性剤、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる非イオン性界面活性剤のいずれか1種又は2種以上の混合物あることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の皮革又は毛皮なめしの前処理方法。
- 原料皮が生皮からの原皮の場合には、請求項1ないし請求項8に記載の(a)予備処理、(b)脱脂処理及び、(c)すすぎ洗いの工程を含む原料皮の前処理を行い;原料皮が前なめし皮の場合には、請求項1ないし請求項8に記載の(b)脱脂処理及び(c)すすぎ洗いの工程を含む原料皮の前処理を行い、その後、この前処理済みの原料皮をなめし薬剤を含む溶液に浸して撹拌処理することを特徴とする、皮革又は毛皮のなめし方法。
- なめし薬剤として植物タンニンを用いることを特徴とする、請求項9に記載の皮革又は毛皮のなめし方法。
- なめし薬剤として植物タンニンとともにクロムを用いることを特徴とする、請求項9に記載の皮革又は毛皮のなめし方法。
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