JP5249658B2 - 防虫器 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された防虫器は、掛け軸の様に、薬剤保持部材を巻き込むことができ、輸送の際には、薬剤保持部材がシート状部材の内部に包まれて露出しない。
特許文献1に開示された防虫器を使用する際には、シート状部材を開き、薬剤保持部材を露出させる。
また特許文献2には、立体的構成を有する防虫器が開示されている。
しかしながら、従来技術の防虫器は、薬剤保持部材が常時外部の空気と接しているので使用者に薬剤の消耗が早いのではないかという不信感を与える。また不必要に薬剤を消費しているのではないかという不信感を与える。
そこで本発明者らは、有効成分による防虫が必要でない場合に、有効成分の揮散量を簡便に抑制できる様な常温揮散性防虫薬剤を含む防虫器について検討し、本発明に至った。
即ち本発明は、必要なときだけ薬剤を揮散させることができる防虫器を提供することを課題とするものである。
また使用を止める際には外側部材又は内側部材を移動させて開口を閉塞する。その結果、筐体の内部が密閉されるから、薬剤は消費されない。
また使用を止める際には外側部材又は内側部材を回転させて開口を閉塞する。その結果、筐体の内部が密閉されるから、薬剤は消費されない。
また本発明では、開口が、外側部材の側面及び内側部材の側面に設けられているので、大きな開口面積を確保することができる。
即ち内側部材を摺動させて、両者の開口を一致させ、筐体の内外を連通させて使用する。その結果、筐体内部に空気が流通し、内部の防虫剤が空気と接触して気化し、さらに気化した薬剤が開口を通過して外部に流れ出して薬効を発揮する。
また使用を止める際には外内側部材を摺動させて開口を閉塞する。その結果、筐体の内部が密閉されるから、薬剤は消費されない。
そして防虫器を使用する際に開口同士を連通させて筐体の内外を連通させると、内部に溜まっていた高濃度の薬剤ガスが、防虫器を使用せんとする室内に放出される。そのため本発明の防虫器は、使用せんとする室内の薬剤濃度を早期に上昇させることができ、防虫効果の現れが早い。
また本発明の防虫器は、簡便な操作で有効成分の揮散量を抑制することができ、当該操作において防虫剤保持部材が直接手指に触れることがない。
本実施形態の防虫器1は、円筒形の筐体2の内部に、防虫剤3が内蔵されたものである。また筐体2は、図4の様に外側部材5と内側部材6及び蓋部材7によって構成されている。
より詳細には、円形の底部10(図3参照)と、側面部11を持つ。外側部材5の天面は開放されている。外側部材5の内部は溝部材12を除いて空洞である。
即ち底部10には、一対の溝部材12が立設されている。溝部材12は、断面形状が「凹」状をした長尺状物であり、底部10に対して垂直に立てられた状態で形成されている。
二つの溝部材12は、底部10の中心に対して対称の位置にあり、「凹」部が向き合った姿勢で対向している。
二つの溝部材12はいずれも底部10の周端近傍に設けられているが、側面部11との間には隙間がある。
また外側部材5の側面部11であって、天部近傍には、4個の突起17が設けられている。
ただし前記した外側部材5が底部10が有していて天面が無かったのに対し、内側部材6は、底部が開放されていて天面が閉塞している。
即ち内側部材6には、円形の天部20(図4参照)と、側面部21が有る。内側部材6の底面は開放されている。内側部材6の内部は空洞である。
内側部材6には、摘まみ部22が形成されている。摘まみ部22の位置は、円形の天部20であって、中心を外れた部位であり、摘まみ部22は、小柱状の突起である。
内側部材6の側面部21にも、スリット状の開口23が等間隔に複数設けられている。開口23は、側面部21の高さ方向の略全域に渡る長さを持つ。開口23の幅と、開口23同士の間隔は略同一である。また内側部材6の開口23の幅と、間隔及び長さ(高さ方向)は、いずれも前記した外側部材5の開口15と実質的に同一である。
内側部材6の側面部21の外径は、前記した外側部材5の側面部11の内径よりも小さい。また内側部材6の側面部21の内径は、外側部材5の溝部材12の外接円直径よりも大きい。
薬剤保持部材41は、薬剤含浸網46とこれを保持する枠体50によって構成されている。
本実施形態では、枠体50は長方形であり、その内側に薬剤含浸網46が設けられている。
薬剤含浸網46には、防虫薬剤(防虫剤3)が含浸されている。ここで防虫薬剤とは、殺虫剤と忌避剤の両方を含む概念である。防虫薬剤の有効成分は、Donovan法による25℃における蒸気圧が1・10-6〜5・10-3mmHgの範囲であることが望ましい。ここで、Donovan法とは、New method for estimating vapor pressure by the use of gas chromatography : Journal of Chromatography A. 749 (1996) 123-129 にてStephen F.Donovan 氏によって報告された方法である。
前記した薬剤保持部材41は、外側部材5の溝部材12に嵌合された状態で、外側部材5に保持されている。即ち一対の溝部材12に薬剤保持部材41の枠体50の両辺が保持されている。
従って蓋部材7と外側部材5で天面、側面、底面が覆われた空間が形成され、前記した内側部材6はこの空間の中に保持されている。
また内側部材6の天部20に設けられた摘まみ部22は、蓋部材7の長孔28に挿通され、先端部が蓋部材7から突出している。
また筐体2を構成する外側部材5と内側部材6は、別個の部材であり、且つ両者はいずれも円筒形であるから、両者は相対回転を許す。即ち摘まみ部22を操作することにより、外側部材5内で、内側部材6を回動することができる。
一方、他の一定の回転姿勢においては、開口15,23同士が完全にずれ、筐体2の内外が密閉される。即ち一方の開口が他方の開口同士の間に位置し、一方の開口が他方の壁で封鎖される状態となる。そのため外側部材5と内側部材6の側面部11,21の開口15,23は、互いに封鎖され、筐体2内が密閉状態となる。
本実施形態の防虫器1を輸送したり、保管する場合、即ち使用しない場合には、内側部材6のスリット状の開口23を外側部材5のスリット状の開口15に対してずらし、筐体2を密閉された状態とする。
ここで本実施形態では、筐体2の内部に薬剤の拡散空間35があるから、揮発した薬剤のガスがこの内部空間35に溜まる。拡散空間35内の薬剤濃度は、時間の経過と共に上昇し、ついては飽和状態となる。
その結果、拡散空間35に溜まった高濃度の薬剤ガスが外部に放出される。さらに筐体2の内部が通風可能な状態となり、新たに導入された空気が薬剤保持部材41と接し、薬剤保持部材41に含浸された防虫薬剤(防虫剤3)が気化して共通開口53から設置室内等に流れる。
この様に、共通開口53を開いた際に、高濃度の薬剤ガスが流れ、さらに新たに防虫薬剤(防虫剤3)が気化して設置室内等に流れるので、室内は短時間の内に薬剤の有効濃度に達する。
また本実施形態では、防虫器1の全体形状が円柱形であり、共通開口53は周面に均衡に配されているから、室内の風向きに関係なく筐体2内に空気が導入され、防虫薬剤(防虫剤3)の気化が円滑に進む。
防虫器1を使用しない場合は、共通開口53を閉じた状態のままで置くこととなるが、共通開口53を開くには、摘まみ部材22を円弧状に動かして内側部材6を回転させなければならないから、犬や猫等のペットでは不可能であり、幼児であっても困難である。そのため共通開口53を開くことは困難であり、安全性が高い。
また上記した各実施形態例は、使用の際の外形形状と、不使用時の外形形状がほとんど変化しないという特徴もある。
図7、図8に示す防虫器75は、薄型直方体の筐体76の内部に、薬剤保持部材78が内蔵されたものである。また筐体76は、樹脂で作られたものであり、図8の様に外側部材77と内側部材80によって構成されている。
内側部材80の天面にフック90が設けられている。
即ち図7の様に、内側部材80の本体部89が外側部材77内に完全に収納された状態にすることができ、この状態から図8の様に内側部材80を摺動させて外側部材77に対して相対移動させ、内側部材80の一部が外側部材77から突出する状態に変化させることができる。
防虫器75を使用する際には、図8の様に内側部材80の一部を外側部材77から引出し、筐体76の内外を連通させて内部の薬剤保持部材78を露出させる。
図7は、防虫器75を使用しない場合の形態であり、筐体76の内外が密閉されるので薬剤保持部材78は外気に触れず、薬剤の消費が阻止される。
防虫器92の構造は、図7及び図8の防虫器75と同一であるから、同一の部材に同一の番号を付して詳細な説明を省略する
2,76 筐体
3 防虫剤
5,77 外側部材
6 80 内側部材
7 蓋部材
12 溝部材
15 開口
22 摘まみ部
23 開口
41,78 薬剤保持部材
53,91 共通開口
66 摘まみ部
72 摘まみ部
85 開口
87 開口
Claims (5)
- 筐体と、防虫剤が含浸又は塗布された状態で筐体内部に配される防虫剤保持部材によって構成される防虫器において、
防虫剤保持部材は、網、ハニカム構造、格子状構造のいずれかであって、薄いものであり、且つ筐体の断面の全域に相当する面積を有し、
前記筐体は、外側部材と内側部材を有し、前記外側部材と内側部材の正面部及び裏面部の全域又は周面の全域には開口が設けられ、外側部材と内側部材は相対移動可能であり、外側部材と内側部材とが特定の位置関係にあるときは前記開口同士が離れて筐体の内部が密閉され、外側部材と内側部材とが前記と異なる特定の位置関係にあるときは前記開口同士が合致して筐体の内外が連通し、
筐体の内部が通風可能な状態となることを特徴とする防虫器。 - 外側部材と内側部材は相対回転可能であり、外側部材と内側部材とが一定の回転姿勢にあるときは前記開口同士が離れて筐体の内部が密閉され、外側部材と内側部材とが一定の回転姿勢にあるときは前記開口同士が合致して筐体の内外が連通することを特徴とする請求項1に記載の防虫器。
- 外側部材と内側部材は共に円筒形であり、外側部材の側面及び内側部材の側面に開口が設けられ、内側部材には摘まみ部材が設けられ、当該摘まみ部材は外側部材の外側に突出していて外部から触れることができることを特徴とする請求項2に記載の防虫器。
- 内側部材は外側部材の中にあって直線的に摺動可能であり、内側部材が外側部材の特定の位置にあるときは開口同士が離れて筐体の内部が密閉され、外側部材と内側部材とが他の特定の位置にあるときは前記開口同士が合致して筐体の内外が連通することを特徴とする請求項1に記載の防虫器。
- 防虫剤保持部材は、薬剤含浸網を有し、筺体の内部であってその中央に、防虫剤保持部材が帆の様に立てられた状態となっており、筺体の内部に存在する防虫剤保持部材が占める体積割合は、極めて小さく、筺体の内部には、大きな空間があり、当該空間が薬剤の拡散空間となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防虫器。
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