JP5248941B2 - セラミック部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック部品及びその製造方法に係り、特には導体の組成に特徴を有するセラミック部品及びその製造方法に関するものである。
コンピュータのマイクロ・プロセッサ・ユニット(MPU)等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板には各種の絶縁体材料が使用可能であり、その例としてセラミックを使用したものが従来よく知られている。セラミックパッケージと呼ばれるこの種のパッケージでは、絶縁体部分にアルミナを主成分としたセラミック材料を使用し、導体部分にアルミナと同時焼成可能な高融点金属であるタングステンを使用したものが主流となっている。そして、上記材料からなるセラミックパッケージは、高強度なため機械的特性に優れる、封止性が高い等といった利点を有する反面、銅配線等と比べて導体部分の配線抵抗が高いといった欠点を有している。
ここで、導体部分の配線抵抗が低いにもかかわらず機械的特性に優れたセラミック部品が得られる可能性のある材料の組み合わせとしては、例えば、絶縁体部分にアルミナを主成分としたセラミック材料を使用し、導体部分にタングステンと銅との混合物を使用したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記従来技術のような銅−タングステンからなる導体を有するセラミックパッケージを製造する場合、仮に低融点な銅(1083℃)に合わせて焼成温度を低めに設定して同時焼成を行ったとすると、アルミナの焼結が不十分になり、所望とする強度を達成できなくなる。
このように導体部分に低抵抗な金属材料を用いたセラミック部品の場合、銅の融点よりも高い温度で焼成を行うことが困難である。そこで近年では、絶縁体部分にガラスセラミックなどの低温焼成材料を用い、導体部分に銅と無機成分(アルミナやジルコニア等の金属酸化物)との混合物を使用したセラミック部品が提案されている(例えば、特許文献2参照)。そして、このような材料の組み合わせによれば、反りやうねりなどといった絶縁体部分の変形を効果的に防止でき、導体部分と絶縁体部分との界面の接着強度を向上させ、安定した接着強度を得ることができると考えられている。
特開平05−144316号公報 特開平10−95686号公報
ところが、上記従来技術のセラミック部品の場合、絶縁体部分と導体部分との焼成収縮曲線が全く異なることから、導体部分中に占める無機成分の割合が少ないと、絶縁体部分の変形や、導体部分と絶縁体部分との剥離といった問題が発生する。よって、このような問題を回避するためには、導体部分に無機成分を多量に添加する必要があった。しかしながら、アルミナやジルコニア等といった金属酸化物は基本的に銅との濡れ性が悪い。それゆえ、材料中に金属酸化物単体を多量に添加して焼成を行うと、導体部分中にて金属酸化物が偏析する結果、導体部分の抵抗が高くなる。よって、導体部分中に低抵抗な銅を含有させた優位性が損なわれてしまう。
さらに、銅の融点よりも焼結温度の高いセラミック部分に合わせて焼成温度を設定して同時焼成をした場合、低融点な銅が熔融し、その熔融に伴って銅の流動や揮発が起こる。その結果、導体部分の形状が保持できなくなったり、導体部分の表面にて銅が凝集したりするといった問題が発生してしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械的強度に優れていて変形も少ないセラミック基体を有するとともに、セラミック基体との接着強度及び同時焼結性に優れた低抵抗かつ好適形状の導体を有するセラミック部品及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本願発明者らが鋭意研究を行い、同時焼成によって熔融した銅の流動及び揮発を阻止するための手段を模索したところ、熔融した銅の流動等を阻止して所定位置に保持するためには、特定の無機化合物を主体とするフィラーを含有させればよいという新規な知見を得た。また、かかる特定の無機化合物を主体とするフィラーを含有させることで、導体の接着強度や同時焼結性を向上できることも新規に知見した。そして、本願発明者らはこれらの新規な知見をさらに発展させて下記の解決手段を想到したのである。
即ち、上記課題を解決するための手段(手段1)としては、銅の融点よりも高い温度で焼結するセラミックを主体とするセラミック基体に導体が形成されたセラミック部品において、前記導体は、チタンアルミナイド、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなることを特徴とするセラミック部品がある。
従って、上記手段1によると、銅を含んで形成された導体としているため、従来のタングステンを主成分として形成された導体に比べて低抵抗となる。また、チタンアルミナイド、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなる導体としているため、同時焼成時に熔融した銅の流動及び揮発が阻止される。その結果、導体における銅がその位置に保持され、導体中におけるボイドの発生やセラミック部分からの導体の突出が防止される結果、比較的好適な形状の導体を得ることができる。
しかも、チタンアルミナイド、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーを用いているため同時焼結性が向上し、セラミックと金属との焼成収縮率もマッチングすることから、反りや剥がれを起こすことなく同時焼成を行うことが可能となる。
以上のことから、上記手段1によれば、機械的強度に優れていて変形も少ないセラミック基体を有するとともに、セラミック基体との接着強度及び同時焼結性に優れた低抵抗かつ好適形状の導体を有するセラミック部品を提供することができる。
ここで、セラミック部品としては、セラミック基体に導体が形成されたものであれば特に限定されず、例えば、セラミック配線基板、セラミックコンデンサ、セラミックインダクタ、セラミックセンサ等がある。
上記セラミック配線基板としては、例えば、前記セラミック基体の内部に形成された内層導体パターン及びビア導体と、前記セラミック基体の表面上に形成された実装パッドとを備えるものを挙げることができる。また、上記セラミックコンデンサとしては、主面及び裏面を有する板状をなし、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体を介して複数の内層電極が積層配置されてなるセラミック基体と、前記セラミック基体の厚さ方向に沿って延びる複数のビア孔内に形成され、前記複数の内層電極に対して接続する複数のビア導体と、前記複数のビア導体における少なくとも前記主面側の端部に接続するように配置された複数の外部電極とを備え、前記複数のビア導体が全体としてアレイ状に配置されているビアアレイ型積層セラミックコンデンサを挙げることができる。
上記セラミック部品を構成するセラミック基体は、銅の融点(1083℃)よりも高い温度で焼結するセラミックを主体とするものである
絶縁体材料としてのセラミックは特に限定されず、その具体例としてはアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体が挙げられる。なお、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体は、強度的に弱いためここでは使用されない。通常、セラミック基体は板状であり、平面視で例えば矩形状を呈している。
セラミック部品を構成する導体は、チタンアルミナイド、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなる。
導体の形成材料の1つとして銅を選択した理由は、銅は低い電気抵抗率(1.69×10−8Ω・m)を持つ金属であるにもかかわらず、銀や金などに比べて安価だからである。
導体中には、銅のほか上記無機化合物を主体とするフィラーが含有されている。ここで、導体は銅と上記無機化合物との合金相ではなく、混合相である必要がある。その理由は、合金相であると銅と上記無機化合物とが渾然一体となっているため、熔融した金属の流動、揮発を有効に阻止できないからである。
上記無機化合物は、チタン−アルミニウム系金属化合物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種である必要がある。チタン−アルミニウム系金属化合物(チタンアルミナイド)とは、例えば、TiAl、TiAl、TiAl等のことであり、なかでもTiAlが最も好ましい。チタン酸化物とは、例えば、TiO、TiO、Ti等のことを指す。アルミニウム酸化物とは、例えば、Al等のことを指す。この場合、上記無機化合物は、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物の2種を主体とするものであることがよい。
なお、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物は、導体形成材料中にあらかじめ含有されていたものでもよいが、焼成を経てチタンアルミナイドが熱分解して酸化することにより事後的に生じたものであることが好ましい。その理由を以下に示す。即ち、焼成時において、チタンアルミナイドは、その一部または全部が熱分解して銅に熔融した後、周囲に存在する酸素と反応して、銅中にて酸化物微粒子として再析出する。よって、かかる酸化物微粒子を均一に分散させることができ、銅の偏析が防止されるため、導体の低抵抗化に確実に寄与するからである。また、チタンアルミナイドは銅中の酸素と反応してその濃度を低下させるため、このことも導体の低抵抗化に寄与している。
上記のような無機化合物を主体とするフィラーのうち、特にチタンアルミナイドを主体とするフィラーは、銅と馴染みやすくて濡れやすい性質を有するため、再析出した状態で混在していても銅をはじかず、銅中にて均一に分散することができる。このことにより、同時焼成時に熔融した液状の銅に対する増粘効果が発揮され、熔融した銅の流動及び揮発が確実に阻止される。ちなみに、無機酸化物を金属中に均一に分散させることは一般的に難しく、たとえ分散できたとしても銅との濡れ性が悪い場合が少なくない。
なお、前記フィラーは、上記チタンアルミナイド、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種を主体とするものであればよいため、少量であればそれ以外の金属あるいは無機化合物を含んでいてもよい。
前記導体の電気抵抗率(比抵抗)は、例えば20×10−8Ω・mよりも低いことがよく、さらには15×10−8Ω・m以下、特には10×10−8Ω・m以下であることが好ましい。
焼成前における前記フィラーの平均粒径は特に限定されないが、強いて言えば10μm以下であることが好ましい。その理由は、フィラーが細かくて揃っていたほうが、溶融銅中に均一に分散しやすく、熔融した銅の流動、揮発を有効に阻止できるようになるからである。これと同様の理由で、銅についても平均粒径が10μm以下であることが好ましい。平均粒径が10μm超であると、特に実装パッドなどの大面積パターンについては銅が玉状になって浮き出してくるのを抑制する効果が薄れてしまい、また、配線の滲みや細りを抑制する効果も薄れてしまう。なお、フィラー及び銅の平均粒径は2μm以下であることがより望ましく、1μm以下がさらに望ましく、0.5μm以下が特に望ましい。
前記導体における無機化合物の含有量は特に限定されないが、例えば、前記無機化合物がチタン酸化物及びアルミニウム酸化物を主体とするような場合、その含有量が15体積%以上75体積%以下であることが好ましい。
15体積%未満であると、無機化合物の分量が少なくなる結果、熔融した銅の流動、揮発を有効に阻止できなくなるおそれがある。逆に、75体積%超であると、セラミックとの同時焼結性が悪化してしまうので、好ましくない。また、銅の含有量が低くなりすぎてしまい、導体内にて銅粒子同士が連結した状態で存在できず、導電性が悪くなってしまう。以上のことを考慮すると、前記導体における無機化合物の含有量は、上記のごとく15体積%以上75体積%以下が好適であり、さらには15体積%以上60体積%以下がより好適であり、15体積%以上50体積%以下が最も好適である。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、上記手段1のセラミック部品の製造方法であって、銅粉末を含有し、少なくともチタンアルミナイドの粉末を含有する導体ペーストを準備する導体ペースト準備工程と、銅の融点よりも高い温度で焼結するセラミックを主成分として含有するセラミックグリーンシート上に、前記導体ペーストを印刷塗布して導体形成層を形成する導体形成層形成工程と、前記導体形成層が形成された前記セラミックグリーンシートを積層一体化して、未焼結積層体を作製する積層工程と、前記セラミックが焼結しうる温度に前記未焼結積層体を加熱して、前記セラミックグリーンシート及び前記導体形成層を焼成する同時焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック部品の製造方法がある。
上記手段2の製造方法の作用効果について以下に述べる。手段2の導体ペースト準備工程では、銅粉末を含有し、少なくともチタンアルミナイドの粉末を含有する導体ペーストを準備し、その後の同時焼成過程において当該金属化合物の一部または全部を熱分解、酸化させることでチタン酸化物やアルミニウム酸化物を生じさせている。つまり、上記金属化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなる導体を得るにあたり、導体ペースト中において酸化物ではなく非酸化物の状態でチタンまたはアルミニウムを含有させておくようにする。その理由は、導体ペーストの段階ですでに酸化物であると、銅中にて凝集してしまい分散性が悪くなるからである。その点、非酸化物であると銅中にて凝集せず、安定した分散性を得ることができるからである。従って、手段2の製造方法によると、セラミック基体との接着強度及び同時焼結性に優れた低抵抗かつ好適形状の導体を有する手段1のセラミック部品を簡単にかつ確実に得ることができる。
この場合、前記銅粉末の含有量が40体積%以上90体積%以下であり、前記チタンアルミナイドの粉末の含有量が10体積%以上60体積%以下であることが好ましい。銅粉末の含有量が40体積%未満あるいはチタンアルミナイドの粉末の含有量が60体積%超であると、セラミックとの同時焼結性が悪化することに加え、導体内にて銅粒子同士が連結した状態で存在できず導電性が悪くなるおそれがある。逆に、銅粉末の含有量が90体積%超あるいはチタンアルミナイドの粉末の含有量が10体積%未満であると、当該金属化合物の分量が少なくなる結果、熔融した銅の流動、揮発を有効に阻止できなくなるおそれがある。なお、両粉末の含有量を上記好適範囲に設定しておけば、仮にチタンアルミナイドが全て酸化した場合に、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物の含有量が15体積%以上75体積%以下の導体を得やすくなる。
ここで、上記導体ペーストは、銅粉末を主成分として含有し、チタンアルミナイドの粉末をそれよりも量的に少ない副成分として含有していることが好ましい。この場合、得られる導体の導電性が高くなり、確実に低抵抗化を図ることができる。
導体ペースト中のチタンアルミナイドの粉末の平均粒径は特に限定されないが、強いて言えば10μm以下であることが好ましい。その理由は、細かくて大きさの揃った粉末のほうが、溶融銅中に均一に分散しやすく、熔融した銅の流動、揮発を有効に阻止できるようになるからである。これと同様の理由で、銅粉末についても平均粒径が10μm以下であることが好ましい。これら粉末の平均粒径は2μm以下がより望ましく、1μm以下がさらに望ましく、0.5μm以下が特に望ましい。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態のセラミックパッケージ10及びその製造方法を図1〜図9に基づき説明する。
図1に示されるように、本実施形態のセラミックパッケージ10は、例えばICチップ21のような半導体集積回路素子あるいはVICSEL等の光素子を実装するための配線基板である。このセラミックパッケージ10を構成するセラミック基体11は、上面12(基体表面)及び下面13を有する矩形平板状をなす部材である。このセラミック基体11は、3つのセラミック焼結層14,15,16を積層してなる3層構造を有している。本実施形態において、上側セラミック焼結層14、中間セラミック焼結層15及び下側セラミック焼結層16は、いずれもアルミナ焼結体からなる。なお、本実施形態では3層構造としたが、2層構造を採用しても構わないし、4層以上の多層構造を採用しても構わない。
このセラミック基体11は、上面12において開口するキャビティ22を備えている。本実施形態のキャビティ22は平面視で略矩形状を呈しているが、略矩形状以外の形状を採用することも可能である。キャビティ22の外形寸法は、セラミック基体11の外形寸法の50%〜90%程度に設定されており、本実施形態ではセラミック基体11の外形寸法の65%程度に設定されている。キャビティ22の深さは上側セラミック焼結層14の厚さ分に相当している。キャビティ22の底面における離間した2箇所には、セラミックとの同時焼成により得られたメタライズ層からなる上面側実装パッド23が形成されている。ICチップ21は、これらの上面側実装パッド23上にAgエポキシ樹脂やAg−Si樹脂を用いて接着される。なお、ICチップ21は、上面側実装パッド23上にAu−Au接合によって接合されていてもよい。前記上面側実装パッド23上には、必要に応じてニッケル層や金層(いずれも図示略)が形成されていてもよい。
また、中間セラミック焼結層15において上面側実装パッド23に対応した箇所には、ビア導体18が形成されている。中間セラミック焼結層15と下側セラミック焼結層16との界面には、セラミックとの同時焼成により得られたメタライズ層からなる内層導体パターン28が形成されていて、それら内層導体パターン28はビア導体18の下端に対してそれぞれ電気的に接続されている。
図1に示されるように、下側セラミック焼結層16において内層導体パターン28に対応した箇所にも、セラミックとの同時焼成により得られたビア導体19が形成されている。セラミック基体11における下面13の外周部には、同じくセラミックとの同時焼成により得られたメタライズ層からなる下面側実装パッド27が複数個設けられている。それら下面側実装パッド27は、下側セラミック焼結層16のビア導体19の下端に対して、それぞれ電気的に接続されている。これらの下面側実装パッド27は、セラミックパッケージ10を図示しない他の基板上(マザーボード上)に実装する際に、複数の基板側端子に対して接合される。なお、パッケージ形態は特に限定されず任意であり、例えば、BGA(ボールグリッドアレイ)、PGA(ピングリッドアレイ)、LGA(ランドグリッドアレイ)のいずれでもよい。
そして、本実施形態のセラミックパッケージ10では、各部分の導体(即ちビア導体18,19、上面側実装パッド23、下面側実装パッド27、内層導体パターン28)が、チタン−アルミニウム系金属化合物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなるものとされている。特に本実施形態における各部分の導体は、チタン−アルミニウム系金属化合物が熱分解して酸化することにより生じたチタン酸化物及びアルミニウム酸化物を主体とするフィラーを含んでいる。また、導体中におけるこれら酸化物の含有量は15体積%以上75体積%以下となるように設定されている。
次に、上記構造のセラミックパッケージ10を製造する方法について図2〜図6に基づいて説明する。
まず、セラミック基体11となるべきセラミック未焼結体を準備するセラミック基体準備工程を実施する。具体的には、アルミナ粉末等のセラミック粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を混合してスラリーを作製する。そしてこのスラリーを従来周知の手法(例えばドクターブレード法やカレンダーロール法)により厚さ100μm〜300μmのシート状に成形して、図2に示すようなセラミックグリーンシート64,65,66を3枚作製する。なお、上側セラミックグリーンシート64の略中央部には、平面視略矩形状のキャビティ22を貫通形成しておく。このキャビティ22は、従来周知のパンチング(打ち抜き)加工によって形成されてもよく、あるいはレーザ加工やドリル加工などの手法によって形成されてもよい。
本実施形態においてより具体的には、平均粒径0.8μmのアルミナ粉末を用いるとともにこれを90重量%とし、その残部としてSiO,MgO,BaO,MnO,Nbなどの粉末を混合した。このような混合粉末に対し、ブチラール系バインダ、可塑剤、溶剤等を混合してスラリーとした。
続く穴あけ工程では、セラミック未焼結体であるセラミックグリーンシート64,65,66の複数箇所に、後にビア導体18となるべき穴部76をそれぞれ貫通形成する(図3参照)。穴部76は、従来周知のパンチング(打ち抜き)加工によって形成されてもよく、あるいはレーザ加工やドリル加工などの手法によって形成されてもよい。
一方、導体ペースト準備工程を行い、各部の導体を形成するための導体ペースト77をあらかじめ作製しておく。ここでは、銅粉末を主成分として含有し、チタン−アルミニウム系金属化合物の粉末を含有する導体ペースト77とする。なお、この導体ペースト77には、バインダ、分散剤、溶剤等が含まれている。
続くビア充填工程では、従来周知のペースト印刷装置によるビアメタライズ充填を行って、穴部76内に上記の導体ペースト77を充填する(図4参照)。次に、導体形成層形成工程を行って、セラミックグリーンシート65,66の上に上記の導体ペースト77を所定パターン状にスクリーン印刷装置により印刷塗布し、導体形成層78とする。ちなみに、印刷塗布により形成された導体形成層78は、後に上面側実装パッド23、下面側実装パッド27、内層導体パターン28となるべき部分である。
続く積層工程では、下側セラミックグリーンシート66の上に中間セラミックグリーンシート65及び上側セラミックグリーンシート64を順次積層し、従来周知のラミネート装置を用いて厚さ方向に所定の荷重を加えることにより、これらを圧着、一体化して未焼結積層体10Aを形成する(図5参照)。
そして、この積層体を窒素中で脱脂した後、加湿した窒素水素混合ガス中、所望の酸素分圧下においてアルミナが焼結しうる所定の温度(1200℃〜1400℃)で焼成する。このような同時焼成工程を経ると、上側セラミックグリーンシート64、中間セラミックグリーンシート65及び下側セラミックグリーンシート66が焼結して、キャビティ22を有するセラミック基体11が得られる。また、その際に導体ペースト77が同時に焼結することによって、上面側実装パッド23、下面側実装パッド27、内層導体パターン28、ビア導体18が形成される。なお、この状態のものは、セラミックパッケージ10となるべき製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した構造の多数個取り用セラミックパッケージであると把握することができる。
さらに、多数個取り用セラミックパッケージを図示しないブレーク溝に沿って分割し、個片化する(図6参照)。その後、キャビティ22内にICチップ21を収容し、はんだ付けを行う。その結果、図1に示す素子付きセラミックパッケージ10が完成する。
次に、本実施形態において行った評価試験について説明する。
この評価試験では、導体を構成する材料を変更して複数種類の試料を作製し(表1のNo.1〜13参照)、それぞれについて比抵抗(μΩ・cm)と導体層形状(滲み、銅玉状浮出し、反り)とを調査した。その結果を表1に示す(図7参照)。ここでは、上述した手順により、幅200μm、長さ30mmのライン状導体層と、12.5mm×12.5mmの正方形状導体層とを有する試験用サンプルを作製した。
比抵抗については、四端子抵抗計にて上記ライン状導体層の抵抗値を測定した後、当該ライン状導体層の断面積及び配線長に基づいてその値を算出した。そして、比抵抗の値が20μΩ・cm以下であれば「良好」と判定した。導体層形状については、導体層を拡大鏡で目視観察し、銅が導体層表面やパッド部に押し出されていなければ「○(良好)」とした。また、セラミックと正方形状導体層との焼成収縮率がマッチングせず、正方形状導体層が200μm以上反った場合には「×(不良)」と判定した。
ここで、試料No.1では、粒径0.5μmの銅(Cu)100体積部を含む導体ペーストを使用し、銅のみからなる導体層を得た。試料No.2では、粒径1.8μmのタングステン(W)のフィラー65体積部と、粒径0.5μmの銅35体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.3では、粒径1.5μmのアルミナ(Al)のフィラー30体積部と、粒径0.5μmの銅70体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.4では、粒径2μmの酸化チタン(TiO)のフィラー30体積部と、粒径0.5μmの銅70体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.5では、粒径7μmのアルミニウム−ニッケル系金属化合物(NiAl)のフィラー30体積部と、粒径0.5μmの銅70体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.6では、粒径6μmのアルミニウム−コバルト系金属化合物(CoAl)のフィラー30体積部と、粒径0.5μmの銅70体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.7では、粒径9μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー20体積部と、粒径0.5μmの銅80体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.8では、粒径7μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー10体積部と、粒径0.5μmの銅90体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.9では、粒径7μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー20体積部と、粒径0.5μmの銅80体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.10では、粒径7μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー30体積部と、粒径0.5μmの銅70体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.11では、粒径7μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー40体積部と、粒径0.5μmの銅60体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.12では、粒径7μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー50体積部と、粒径0.5μmの銅50体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。試料No.13では、粒径7μmのチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)のフィラー60体積部と、粒径0.5μmの銅40体積部とを含む導体ペーストを使用し、当該フィラーと銅との混合相からなる導体層を得た。
なお、表1には、焼成を経て焼結体中に析出した金属酸化物を示すとともに、特にその金属酸化物がチタン酸化物及びアルミニウム酸化物である場合には焼結体中におけるその量も記した。
図7における表1に示すように、各試料の作製を行ったところ、試料No.1(Cu100)及び試料No.2(Cu35:W65)については、滲み、銅玉状浮出し、反りが著しく、比抵抗の測定が可能な好適な試料を得ることができなかった。
試料No.3,4については、比抵抗の測定が可能な試料を得ることができたが、滲み、銅玉状浮出し、反りの発生が認められたため導体層形状は悪かった。また、焼結体中には1種類の酸化物しか析出していなかった。
試料No.5,6については、比抵抗の測定が可能な試料を得ることができたが、その測定値は非常に高かった。焼結体中には2種類の酸化物が析出していたが、それらは凝集していたため、これが比抵抗値の増大をもたらしている原因であると推測された。なお、滲み、銅玉状浮出し、反りの発生が認められたため導体層形状は悪かった。つまり、試料No.5,6では、金属化合物の添加による効果が得られなかった。
一方、試料No.7〜13については、いずれも比抵抗の測定が可能な試料を得ることができ、その測定値も低くなることがわかった。特に、試料No.7〜11では、その値が10×10−8Ω・mよりもかなり低くなり、現行品と比べて確実に低抵抗化が達成されていた。また、焼結体中にはチタン酸化物及びアルミニウム酸化物という2種類の酸化物が析出していたが、それらは凝集しておらず銅中にて均一に分散した状態で存在していた。よって、このことが比抵抗値の低減に寄与していると推測された。なお、滲み、銅玉状浮出し、反りの発生は全く認められず、導体層形状は良好であった。以上のように、試料No.7〜13では、金属化合物の添加による効果を得ることができた。なお、表中の試料No.に*を付した試料は、本発明の好適範囲内に属する。
図8は先の評価試験で好結果を示した試料(例えばNo.8)の導体層の顕微鏡写真(SEM写真)である。写真において黒色部はアルミニウム酸化物(Al)、薄灰色部はチタン酸化物(TiO)、白色部は銅(Cu)である。それによると、Cu中にてAlやTiOが凝集部(直径10μm以上の塊)を形成することなく均一に分散しているのがわかる。また、焼結体中には空隙が存在していないこともわかる。なお、以上の傾向は試料No.7,9〜13においても同様であった。
図9は、同じく試料No.8の導体層を対象とし、エネルギー分散型X線分析によってその元素分布を調査した結果を示したデータである。これによると、Cuのところに最も大きなピークが認められるほか、AlやTiOのところに小さなピークが認められる。よって、焼成を経てチタン−アルミニウム系金属化合物(TiAl)の殆どが熱分解、酸化して、Al及びTiOとなったことがわかった。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のセラミックパッケージ10では、各部の導体が銅を含んで形成されたものとなっているため、従来のタングステンを主成分として形成された導体に比べて低抵抗となる。また、各部の導体が、チタン−アルミニウム系金属化合物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなるため、同時焼成時に熔融した銅の流動及び揮発が阻止される。その結果、導体における銅がその位置に保持され、導体中におけるボイドの発生やセラミック部分からの導体の突出が防止される結果、比較的好適な形状の導体を得ることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、機械的強度に優れていて変形も少ないセラミック基体11を有するとともに、セラミック基体11との接着強度及び同時焼結性に優れた低抵抗かつ好適形状の導体を有するセラミックパッケージ10を得ることができる。
また、本実施形態の製造方法では、所定組成の導体を得るにあたり、導体ペースト77中において酸化物ではなく非酸化物の状態でチタンまたはアルミニウムを含有させておき、この状態でセラミックとの同時焼成を行うようにしている。このため、セラミック基体11との接着強度及び同時焼結性に優れた低抵抗かつ好適形状の導体を得ることができる。ゆえに、この製造方法によれば、上記のように優れた特性を有するセラミックパッケージ10を簡単にかつ確実に得ることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明を具体化した第2の実施形態のセラミックコンデンサ内蔵配線基板110を図10,図11に基づき説明する。
図10に示されるように、本実施形態のセラミックコンデンサ内蔵配線基板110(セラミック部品)は、MPU用のICチップを搭載するための配線基板である。この配線基板110は、ガラスエポキシからなる平板状のコア基板111と、セラミックコンデンサ201と、ビルドアップ層131,132とを備えている。コア基板111における複数箇所にはスルーホール導体116が形成されている。かかるスルーホール導体116は、コア基板111のコア第1主面112側とコア第2主面113側とを接続導通している。スルーホール導体116の内部は、例えばエポキシ樹脂などの閉塞体117で埋められている。また、コア基板111のコア第1主面112及びコア第2主面113には、銅からなる導体層141がパターン形成されており、各導体層141は、スルーホール導体116に対して電気的に接続されている。
コア基板111のコア第1主面112側に形成されたビルドアップ層131は、銅からなるコア第1主面側導体層142とエポキシ樹脂からなる樹脂絶縁層133,135(いわゆる層間絶縁層)とを積層した構造を有している。樹脂絶縁層135の表面上における複数箇所には、端子パッド144がアレイ状に形成されている。また、樹脂絶縁層135の表面は、ソルダーレジスト137によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト137の所定箇所には、端子パッド144を露出させる開口部146が形成されている。端子パッド144の表面上には、複数のはんだバンプ145が配設されている。各はんだバンプ145は、ICチップ121(半導体集積回路素子)の電力供給用電極122及び信号線用電極125に電気的に接続されている。なお、各端子パッド144及び各はんだバンプ145は、ビルドアップ層131においてセラミックコンデンサ201の真上の領域内に位置しており、この領域が半導体素子搭載部123となる。また、樹脂絶縁層133内にはビア導体150が設けられ、樹脂絶縁層135内にはビア導体143が設けられている。これらのビア導体143,150のほとんどは同軸上に配置されるとともに、それらを介して導体層141,142及び端子パッド144が相互に電気的に接続されている。
コア基板111のコア第2主面113側に形成されたビルドアップ層132は、上述したビルドアップ層131とほぼ同じ構造を有している。即ち、ビルドアップ層132は、銅からなるコア第2主面側導体層142とエポキシ樹脂からなる樹脂絶縁層134,136とを積層した構造を有している。樹脂絶縁層136の下面上における複数箇所にはBGA用パッド148が格子状に形成されている。また、樹脂絶縁層136の下面は、ソルダーレジスト138によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト138の所定箇所には、BGA用パッド148を露出させる開口部140が形成されている。BGA用パッド148の表面上には、図示しないマザーボードとの電気的な接続を図るための複数のはんだバンプ149が配設されている。そして、各はんだバンプ149により、図10に示される配線基板110は図示しないマザーボード上に実装される。また、樹脂絶縁層134内にはビア導体147が設けられ、樹脂絶縁層136内にはビア導体151が設けられている。本実施形態では、これらビア導体147,151のほとんどが同軸上に配置され、それらビア導体147,151を介して導体層141,142及びBGA用パッド148が相互に電気的に接続されている。
前記コア基板111は、コア第1主面112の中央部及びコア第2主面113の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部190を有している。即ち、収容穴部190は貫通穴部である。収容穴部190内には、図11に示すセラミックコンデンサ201が、埋め込まれた状態で収容されている。なお、セラミックコンデンサ201は、主面202(図11では上面)をコア基板111のコア第1主面112と同じ側に向け、かつ裏面203(図11では下面)をコア基板111のコア第2主面113と同じ側に向けた状態で収容されている。なお、本実施形態のセラミックコンデンサ201は、縦12.0mm×横12.0mm×厚さ0.75mmの矩形平板状である。
また、収容穴部191の内面とセラミックコンデンサ201の側面との隙間192には、高分子材料(本実施形態では熱硬化性樹脂)からなる樹脂充填剤195が充填されている。この樹脂充填剤195は、セラミックコンデンサ201をコア基板111に固定するとともに、セラミックコンデンサ201及びコア基板111の面方向や厚さ方向への変形を自身の弾性変形により吸収する機能を有している。
図10,図11に示されるように、本実施形態のセラミックコンデンサ201は、いわゆるビアアレイ型の積層セラミックコンデンサである。セラミックコンデンサ201を構成するセラミック焼結体204(コンデンサ本体)は、主面202及び裏面203を有する板状物である。セラミック焼結体204は、セラミックの誘電体205を介して第1内層電極241(内層電極)と第2内層電極242(内層電極)とを交互に積層配置した構造を有している。本実施形態において、誘電体205は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムを主成分とする焼結体からなる。第1内層電極241及び第2内層電極242は、所定パターン状に形成された層であって、セラミック焼結体204の内部において一層おきに配置されている。第1内層電極241及び第2内層電極242は、チタン−アルミニウム系金属化合物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなり、具体的には、チタン−アルミニウム系金属化合物が熱分解して酸化することにより生じたチタン酸化物及びアルミニウム酸化物を主体とするフィラーと銅との混合相からなる。
セラミック焼結体204には多数のビア孔230(直径約100μm)が形成されている。これらのビア孔230は、セラミック焼結体204の厚さ方向に沿って延びてセラミック焼結体204を貫通するとともに、全面にわたって格子状(アレイ状)に配置されている。本実施の形態では、説明の便宜上、ビア孔230を4列×4列で図示したが、実際にはさらに多くの列が存在している。各ビア孔230内には、セラミック焼結体204の主面202及び裏面203間を貫通する複数のビア導体231,232が形成されている。複数のビア導体231,232は、第1内層電極241及び第2内層電極242と同様の金属組成を有しており、チタン−アルミニウム系金属化合物が熱分解して酸化することにより生じたチタン酸化物及びアルミニウム酸化物を主体とするフィラーと銅との混合相からなる。そして、各第1ビア導体231は、各第1内層電極241を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各第2ビア導体232は、各第2内層電極242を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。
セラミック焼結体204の主面202上には、複数の第1外部電極211,212が突設されている。また、セラミック焼結体204の裏面203上には、複数の第2外部電極221,222が突設されている。主面202側にある第1外部電極211,212は、ビルドアップ層131側のビア導体143に対して電気的に接続される。一方、裏面203側にある第2外部電極221,222は、ビルドアップ層132側のビア導体150に対して電気的に接続される。また、第1外部電極211,212の底面略中央部は、ビア導体231,232の主面202側の端面に対して直接接続されており、第2外部電極221,222の底面略中央部は、ビア導体231,232の裏面203側の端面に対して直接接続されている。よって、外部電極211,221はビア導体231及び第1内層電極241に導通しており、外部電極212,222はビア導体232及び第2内層電極242に導通している。
第1外部電極211,212についても、第1内層電極241及び第2内層電極242と同様の金属組成を有しており、チタン−アルミニウム系金属化合物が熱分解して酸化することにより生じたチタン酸化物及びアルミニウム酸化物を主体とするフィラーと銅との混合相からなる。第1外部電極211,212の表面全体には銅めっきが施されている。主面202に垂直な方向(部品厚さ方向)から見たときの第1外部電極211,212の形状は略円形である。第2外部電極221,222も同様の構造、形状を有している。
図示しないマザーボード側からビア導体147,151を介して第2外部電極221,222に通電し、第1内層電極241−第2内層電極242間に電圧を加えると、第1内層電極241に例えばプラスの電荷が蓄積し、第2内層電極242に例えばマイナスの電荷が蓄積する。その結果、セラミックコンデンサ201がキャパシタとして機能する。また、このセラミックコンデンサ201では、第1ビア導体231及び第2ビア導体232がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、第1ビア導体231及び第2ビア導体232を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
第1ビア導体231及び第2ビア導体232は、ビルドアップ層131のビア導体143,150等を介して、配線基板110上に搭載されたICチップ121の電力供給用電極122に電気的に接続されるようになっている。つまり、第1ビア導体231及び第2ビア導体232は当該配線基板110における電源及びグランドの一部を構成している。従って、このような接続関係が設定されていることから、本実施形態のコンデンサ201が、デカップリング用コンデンサとして機能するようになっている。一方、ICチップ121の信号線用電極125は、コンデンサ201内の導体部分を流れることなく、コア基板111のスルーホール導体116等を介してマザーボード側に電気的に接続されている。
そして、以上のような構造を有する本実施形態のセラミックコンデンサ201によれば、機械的強度に優れていて変形も少ないセラミック焼結体204(セラミック基体)を有するとともに、セラミック焼結体204との接着強度及び同時焼結性に優れた低抵抗かつ好適形状の導体を有したものとすることができる。よって、本実施形態によれば、高容量化、高信頼化、低インダクタンス化、低電気抵抗化を達成でき、デカップリング用途に好適なビアアレイ型積層セラミックコンデンサ201を実現することができる。また本実施形態では、このような優れたコンデンサ201を内蔵してコンデンサ内蔵配線基板110を構成しているため、それに搭載されるMPU用のICチップ121の能力を十分に引き出すことができる。よって、優れた半導体装置を実現することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1実施形態では本発明をセラミックパッケージ10(セラミック配線基板)に具体化し、第2実施形態では本発明をビアアレイ型積層セラミックコンデンサ201に具体化したが、これら以外のセラミック部品に具体化してもよい。
・第2実施形態においては、各部の導体の金属組成を、チタン−アルミニウム系金属化合物が熱分解して酸化することにより生じたチタン酸化物及びアルミニウム酸化物を主体とするフィラーと銅との混合相からなるものとした。しかし、これに限定されず、例えば内層電極241,242や外部電極211,212,221,222の金属組成を、ニッケル等のようにチタン酸バリウムと同時焼成可能な他の金属に変更してもよい。
・第2実施形態においては、ビアアレイ型積層セラミックコンデンサ201のビア導体231,232における主面側の端部及び裏面側の端部の両方にそれぞれ外部電極211,212,221,222が設けられていたが、かかる外部電極211,212,221,222を主面側の端部のみに設けた構成としてもよい。
・第2実施形態においては、セラミックコンデンサ201をコア基板111内に配置したが、これをビルドアップ層131,132内に配置してもよい。また、セラミックコンデンサ201は配線基板内蔵タイプに限定されず、配線基板表面実装タイプであってもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)主面及び裏面を有する板状をなし、銅の融点よりも高い温度で焼結するチタン酸バリウムを主成分とする誘電体からなるセラミック基体と、前記セラミック基体を介して積層配置された複数の内層電極と、前記セラミック基体の厚さ方向に沿って延びる複数のビア孔内に形成され、前記複数の内層電極に対して接続する複数のビア導体と、前記複数のビア導体における少なくとも前記主面側の端部に接続するように配置された複数の外部電極とを備え、前記複数のビア導体が全体としてアレイ状に配置されているビアアレイ型積層セラミックコンデンサにおいて、前記複数の内層電極、前記複数のビア導体及び前記複数の外部電極のうちの少なくともいずれかが、チタン−アルミニウム系金属化合物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなるビアアレイ型積層セラミックコンデンサ。
(2)前記チタン酸化物及び前記アルミニウム酸化物は、前記チタン−アルミニウム系金属化合物が熱分解して酸化することにより生じたものであることを特徴とする上記思想1に記載のビアアレイ型積層セラミックコンデンサ。
(3)上記思想1または2に記載のコンデンサを内蔵してなるコンデンサ内蔵配線基板。
(4)前記コンデンサはデカップリング用コンデンサであり、前記ビア導体は前記配線基板上に搭載されるべき半導体集積回路素子の電力供給用電極に対して電気的に接続されることを特徴とする上記思想3に記載のコンデンサ内蔵配線基板。
本発明を具体化した第1実施形態のセラミックパッケージを示す概略断面図。 第1実施形態のセラミックパッケージの製造手順を説明するための概略断面図。 同じく製造手順を説明するための概略断面図。 同じく製造手順を説明するための概略断面図。 同じく製造手順を説明するための概略断面図。 同じく製造手順を説明するための概略断面図。 評価試験の結果を記載した表。 導体部分のSEM写真。 導体部分の元素分布調査結果を示すデータ。 本発明を具体化した第2実施形態のビアアレイ型積層セラミックコンデンサを内蔵した配線基板を示す断面図。 第2実施形態のビアアレイ型積層セラミックコンデンサを示す断面概略図。
符号の説明
10…セラミック部品(セラミック配線基板)としてのセラミックパッケージ
10A…未焼結積層体
11…セラミック基体
18,19…導体としてのビア導体
23…導体としての実装パッド
27…導体としての実装パッド
28…導体としての内層導体パターン
64,65,66…セラミックグリーンシート
76…ビア孔
77…導体ペースト
78…導体形成層
201…セラミック部品としてのビアアレイ型積層セラミックコンデンサ
204…セラミック基体としてのセラミック焼結体
211,212…導体としての第1外部電極
221,222…導体としての第2外部電極
231…導体としての第1ビア導体
232…導体としての第2ビア導体
241…導体としての第1内層電極
242…導体としての第2内層電極

Claims (9)

  1. 銅の融点よりも高い温度で焼結するセラミックを主体とするセラミック基体に導体が形成されたセラミック部品において、
    前記導体は、チタンアルミナイド、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物のうちから選択される少なくとも2種の無機化合物を主体とするフィラーと銅との混合相からなることを特徴とするセラミック部品。
  2. 前記チタン酸化物及び前記アルミニウム酸化物は、前記チタンアルミナイドが熱分解して酸化することにより生じたものであることを特徴とする請求項1に記載のセラミック部品。
  3. 前記無機化合物は、前記チタン酸化物及び前記アルミニウム酸化物を主体とし、前記導体における前記無機化合物の含有量が15体積%以上75体積%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック部品。
  4. 前記フィラーは、平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミック部品。
  5. 前記導体は、電気抵抗率が20×10−8Ω・m以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセラミック部品。
  6. 前記セラミック部品は、前記セラミック基体の内部に形成された内層導体パターン及びビア導体と、前記セラミック基体の表面上に形成された実装パッドとを備えるセラミック配線基板であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のセラミック部品。
  7. 前記セラミック部品は、主面及び裏面を有する板状をなし、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体を介して複数の内層電極が積層配置されてなるセラミック基体と、前記セラミック基体の厚さ方向に沿って延びる複数のビア孔内に形成され、前記複数の内層電極に対して接続する複数のビア導体と、前記複数のビア導体における少なくとも前記主面側の端部に接続するように配置された複数の外部電極とを備え、前記複数のビア導体が全体としてアレイ状に配置されているビアアレイ型積層セラミックコンデンサであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のセラミック部品。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセラミック部品の製造方法であって、
    銅粉末を含有し、少なくともチタンアルミナイドの粉末を含有する導体ペーストを準備する導体ペースト準備工程と、
    銅の融点よりも高い温度で焼結するセラミックを主成分として含有するセラミックグリーンシート上に、前記導体ペーストを印刷塗布して導体形成層を形成する導体形成層形成工程と、
    前記導体形成層が形成された前記セラミックグリーンシートを積層一体化して、未焼結積層体を作製する積層工程と、
    前記セラミックが焼結しうる温度に前記未焼結積層体を加熱して、前記セラミックグリーンシート及び前記導体形成層を焼成する同時焼成工程と
    を含むことを特徴とするセラミック部品の製造方法。
  9. 前記銅粉末の含有量が40体積%以上90体積%以下であり、前記チタンアルミナイドの粉末の含有量が10体積%以上60体積%以下であることを特徴とする請求項8に記載のセラミック部品の製造方法。
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