JP5248041B2 - 熱可塑性樹脂発泡体 - Google Patents

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Description

本発明は、建築用断熱材などに使用される耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れ、さらに熱可塑性を併せ持つ熱可塑性樹脂押出発泡体製造方法に関する。

従来、スチレン系樹脂発泡体、架橋ポリエチレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体は施工性、断熱特性の好適性から建屋の断熱材として汎用されて来た。
しかしながら、スチレン系樹脂発泡体はマテリアルリサイクルを考慮した環境適合性に優れた断熱材としては有用ではあるが、基材樹脂であるスチレンの耐熱温度が80℃近傍であるため、それ以上の高温域に曝される用途(例えば、蒸気養生室、乾燥養生室のパネル断熱材等)には、形状を保持できないほど発泡体の変形をきたすために使用することができないという問題点を有していた。
また、スチレン系樹脂発泡体は、耐薬品性が低いため、例えば、屋上断熱防水分野におけるシート防水接着工法のような断熱材と防水シートとを接着剤で接着する場合には、接着剤に含有される溶剤や防水シートに含まれる可塑剤に対して耐性でなく、発泡体が溶解崩壊し、形状を保持できないほど発泡体の変形をきたすため使用することができないという問題点を有していた。
一方、架橋ポリエチレン発泡体は、耐薬品性が高いため、前記屋上断熱防水分野におけるシート防水接着工法の断熱材として好適に使用されているものの、耐熱性については前記スチレン系樹脂発泡体と同程度であり、80℃以上の高温域に曝される用途には使用することができないという問題点を有していた。加えて、架橋ポリエチレンは架橋構造を有するためにマテリアルリサイクル性に乏しく、環境適合性に優れるとは言い難い。
また、硬質ポリウレタン発泡体は、前記架橋ポリエチレン発泡体同様に耐薬品性が高く、更に硬質ポリウレタンが熱硬化性樹脂であることから、耐熱性が高いことが一般的に知られている。しかしながら、該硬質ポリウレタン発泡体は、吸湿性が高く、吸湿した状態では耐熱性が極端に悪化するために、例えば、蒸気養生室の断熱パネル等には使用することができないという問題点を有していた。加えて、硬質ポリウレタンが熱硬化性樹脂であることからマテリアルリサイクル性に乏しく、環境適合性に優れるとは言い難い。
前記3種類の発泡体には、それぞれに長所と短所があり、双方の特徴を併せ持つことは困難である。
これに対して、マテリアルリサイクル性の如き環境適合性に優れ、かつ耐熱性を向上させたスチレン系樹脂発泡体の耐熱性改善の事例がいくつか開示されている。
例えば、スチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体を押出発泡してなる耐熱性スチレン系樹脂押出発泡板に関する取組み(特許文献1参照)が為されている。該取組みでは、スチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体を使用することにより、熱変形温度が92℃以上110℃以下となり、従来のスチレン系樹脂発泡体に比べて耐熱性が向上することが認められる。しかしながら、主成分がスチレンからなるために自ずと耐薬品性に限界があり、屋上断熱防水分野におけるシート防水接着剤を塗布した場合に、接着剤に含有される溶剤の影響により、発泡体が溶解崩壊し、形状を保持できないほど発泡体の変形をきたすために使用することができない。
また、マレイミド系化合物をスチレン系樹脂に含有させる、もしくは分子レベルで結合させることにより、耐熱性を向上させる取組みが為されている(特許文献2〜4参照)。射出成形分野では古くから、スチレン系樹脂にマレイミド系化合物を導入することにより耐熱性が向上し、ABS樹脂の耐熱改良剤として、主に自動車分野で使用されてきた経緯がある。
しかしながら、スチレン系樹脂にマレイミド系化合物が導入された樹脂組成物は、耐熱性が向上されるものの、溶融状態での流動性や伸びが低下する傾向にある。該樹脂組成物から発泡体を得る場合、発泡剤を含む溶融状態の樹脂組成物の流動性や伸びが低下するため、特に、厚肉の板状発泡成形体を成形することは困難であった。
また、マレイミド系化合物を難燃化させる取組みが為されている(特許文献5〜7参照)。該取組みでは、マレイミド系化合物を用いた樹脂組成物に関し、特に射出成形体での難燃性付与を目的として取組みが為されているものの、該取組みでは板状発泡体に関して何ら記載されていない。特に、発泡体では、炎が着火した後の伝熱速度が射出成形体に比べて著しく速いこと、加えて、発泡体内に残存する発泡剤が可燃性ガスである場合には、発泡体燃焼時に発泡体から揮発する可燃性ガスへの着火あるいは燃焼を抑制することが必要となるため、特に建築資材用途に求められる難燃性、具体的にはJIS A9511に規定する条件、あるいは消防法で規定する酸素指数を満たすことは非常に困難であった。
したがって、マレイミド系化合物を用いた樹脂組成物を使いこなし、厚肉の板状発泡成形体を作り、かつ、建築資材用途に要求される難燃性に合致させた品質を達成することは非常に困難であった。
これらのことから、スチレン系樹脂発泡体や架橋ポリエチレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体の長所を併せ持ち、耐熱性、耐薬品性、成形性に優れ、かつマテリアルリサイクル可能な環境適合性にも優れ、さらには、建築資材用途に求められる難燃性に合致した熱可塑性樹脂発泡体の開発が待ち望まれている。
特開昭60−199624号公報 特開昭61−78846号公報 特開平2−184418号公報 特開平4−25532号公報 特開平7−53833号公報 特開平10−168261号公報 特開平10−182905号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性、成形性に優れ、かつ、マテリアルリサイクル可能な環境適合性にも優れ、さらには、建築資材用途に求められる難燃性に合致した、厚肉の熱可塑性樹脂押出発泡体を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術に鑑みて鋭意研究を進めた結果、耐熱性、耐薬品性の観点から耐熱性、耐薬品性を付与した共重合体、および、耐薬品性、流動性の観点から耐薬品性、流動性を付与した共重合体からなる熱可塑性樹脂混合物に、特定の臭素系難燃剤、さらに必要に応じて難燃助剤としてアンチモン化合物を含有する樹脂組成物を押出発泡させてなる押出発泡体が、上記目的を満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびN置換マレイミド単位からなる共重合体(A)20重量%以上50重量%未満および、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)50重量%超80重量%以下からなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、
5%熱重量減少開始温度が276℃以上、かつ、融点もしくは軟化点が150℃以上の臭素系難燃剤から選ばれる難燃剤を3〜15重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、発泡可能なゲル状物質となす工程、
該ゲル状物質を冷却する工程、
スリットダイを通して該ゲル状物質をより低圧の領域に押出す工程、および
スリットダイと密着または接して設置した成形金型を用い附形して押出発泡体を形成する工程を含む、発泡体の厚みが10〜150mmである熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法であって、
上記冷却工程の出口での該ゲル状物質の樹脂温度が、該熱可塑性樹脂混合物のガラス転移温度に対して20〜70℃高い温度であること、上記押出発泡体を形成する工程において、押出発泡体表面と成形金型との抵抗を低減させること、および発泡体を成型金型において徐冷することを特徴とする、熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法、
[2] ダイ温度が、上記樹脂温度に対して5〜50℃低い温度であることを特徴とする、[]に記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法、
[3] 表面抵抗の少ない素材を押出発泡体表面と成形金型との界面に設置することで押出発泡体と成形金型との抵抗を低減させることを特徴とする、[]または[]に記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法、および
[4] 成形金型を温度調節することで発泡体を成型金型において徐冷することを特徴とする、[]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法
に関する。
本発明により、耐熱性、耐薬品性、成形性に優れ、かつ、マテリアルリサイクル可能な環境適合性にも優れ、さらには建築資材用途に求められる難燃性に合致した、厚肉の熱可塑性樹脂押出発泡体を得ることができる。
特に、スチレン系樹脂発泡体単独では満たすことのできない、耐熱性や耐薬品性の要求品質を満たす熱可塑性樹脂押出発泡体を得ることができる。

より具体的には、100℃雰囲気下のオーブンにおいて、24時間暴露後の発泡体の体積変化率が3%以下となる長時間耐熱性を有し、屋上断熱防水分野におけるシート防水接着工法に適用されている接着剤、更には防水シートに含まれる可塑剤を使用した場合にも発泡体の溶融崩壊といった形状変形を起こすことの無い熱可塑性樹脂押出発泡体を得ることができる。

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる共重合体(A)は、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、および置換マレイミド単位からなる。
芳香族ビニル単位としては、スチレン、α―メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンが挙げられる。これらのうち、共重合体(B)との相溶性、重合の容易性の点から、スチレン、α−メチルスチレンが好適であり、さらに価格的に安価であるスチレンが最適である。
また、不飽和ジカルボン酸無水物単位としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が挙げられ、共重合体(B)との相溶性、重合の容易性、安価の点から、無水マレイン酸が好適である。
さらに、N−アルキル置換マレイミド単位としては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミドが挙げられ、共重合体(B)との相溶性、重合の容易性、安価の点から、N−フェニルマレイミドが最適である。
なお、芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびN−アルキル置換マレイミド単位の合計量を100重量%とした場合、耐熱性を鑑み、N−アルキル置換マレイミド単位は40重量%以上であることが好ましく、また、耐吸水、吸湿性を考慮すると、不飽和ジカルボン酸無水物単位は5重量%以下であることが好ましい。
また、本発明で用いられる共重合体(B)は、芳香族ビニル単位、およびシアン化ビニル単位からなる。
芳香族ビニル単位としては、上記記載のとおり、共重合体(A)との相溶性、重合の容易性の点から、スチレン、α−メチルスチレンが好適であり、さらに価格的に安価であるスチレンが最適である。
また、シアン化ビニル単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α―クロロアクリロニトリルが挙げられ、共重合体(A)との相溶性、重合の容易性の点から、アクリロニトリルが好適である。
共重合体(A)との相溶性、重合の容易性、価格的に安価であることなどから鑑み、スチレンとアクリロニトリルの共重合体が好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、前記共重合体(A)および前記共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂混合物を含有する熱可塑性樹脂組成物である。
本発明における熱可塑性樹脂組成物とは、該樹脂混合物が、熱可塑性樹脂組成物全体に対して50重量%以上含有されるものが好ましく、70重量%以上含有されるものがより好ましい。
本発明において、該樹脂混合物における共重合体(A)と共重合体(B)の重量比((A)と(B)との合計量は100重量%)は、共重合体(A)が0.1重量%以上50重量%未満および共重合体(B)が50重量%超99.9重量%以下が好ましく、共重合体(A)が10重量%以上50重量%未満および共重合体(B)が50重量%超90重量%以下がより好ましく、共重合体(A)が20重量%以上50重量%未満および共重合体(B)が50重量%超80重量%以下がさらに好ましい。
共重合体(A)が0.1重量%以上50重量%未満の範囲であれば、100℃耐熱性と耐薬品性を両立できるので、好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体を得るための発泡剤としては、共重合体(A)および共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、塩素原子が含有しない発泡剤を用いることができる。また、このような発泡剤としては、物理型発泡剤および化学型発泡剤からなる群から選ばれた1種を、または2種以上混合して使用することができる。塩素原子を含有しないことにより、環境への負荷が軽減されるので好ましいが、本発明の目的を達するためには、必ずしも塩素原子を含有しないことは必要でない。
物理型発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン等のフッ素化炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピル等の塩化アルキル類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン類、または、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウム等の無機系発泡剤が挙げられる。これらは単独で、または2種以上混合して使用することが可能である。
化学型発泡剤としては、例えば、N,N‘−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス−ベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、テレフタルアジド、5−フェニルテトラゾール、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上混合して使用することが可能である。
これら発泡剤の中では、オゾン層保護の観点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、塩化メチル、塩化エチル等の塩化アルキル類、二酸化炭素、窒素、水等の無機系発泡剤が好ましい。
また、前述された発泡剤のうち、発泡剤としては、発泡体の軽量化、押出発泡の安定性を考慮すると、発泡剤としては、主として、(a)エーテルおよび塩化アルキルよりなる群から選ばれた1種以上を0.5〜10重量部、および(b)炭化水素を0〜6重量部を含有するものが好ましい。
本発明の発泡剤におけるエーテルとしては、前述されたエーテル類が挙げられるが、これらのうち、ジメチルエーテルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造される点で好ましい。エーテルの使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、0.5重量部〜10重量部が好ましく、1.5重量部〜6重量部がより好ましく、3重量部〜5重量部が特に好ましい。エーテルの使用量が0.5重量部〜10重量部の範囲内であれば、発泡性と発泡体へのガス分散性が良く、発泡性が良い。
本発明の発泡剤における塩化アルキルとしては、前述された塩化アルキル類が挙げられるが、これらのうち、塩化メチルおよび塩化エチルが押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造される点で好ましい。塩化アルキルの使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、0.5重量部〜10重量部が好ましく、1.5重量部〜6重量部がより好ましく、3重量部〜5重量部が特に好ましい。塩化アルキルの使用量が0.5重量部〜10重量部の範囲であれば、発泡性と発泡体へのガス分散性が良く、発泡性が良い。
本発明の発泡剤における炭化水素としては、前述された炭化水素が挙げられるが、沸点が低すぎると、蒸気圧が高くなり、取り扱いに際しては高圧が必要になり、製造上問題となる傾向にあり、沸点が高すぎると、発泡剤が発泡体の気泡中に液状として残留し、発泡体の耐熱温度を低下させる傾向にある。したがって、−50℃〜85℃の範囲に沸点を有する飽和炭化水素が好ましい。−50℃〜85℃の範囲に沸点を有する飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、シクロプロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、1,2−ジメチルブタン、シクロヘキサン等があげられる。これらのうち製造安定性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。炭化水素の使用量としては、熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、0重量部〜6重量部が好ましく、2重量部〜5重量部がより好ましい。炭化水素の使用量が、0〜6重量部の範囲内であれば、発泡体へのガス分散性が良く、発泡性が良い。
本発明で用いられる臭素系難燃剤としては、5%熱重量減少開始温度が230℃以上、かつ、融点もしくは軟化点が150℃以上であることが好ましい。
臭素系難燃剤の5%熱重量減少開始温度としては、235℃以上がより好ましく、240℃以上がさらに好ましい。臭素系難燃剤の5%熱重量減少開始温度が230℃以上の範囲であれば、押出機内での難燃剤の分解に起因する熱安定性の低下や、得られた発泡体の耐熱性の低下といった悪影響を及ぼさないことから、好ましい。一方で、難燃性能発現のためには、臭素系難燃剤の5%熱重量減少開始温度は400℃以下であることが好ましい。
また、臭素系難燃剤の融点もしくは軟化点としては、160℃以上がより好ましく、170℃以上がさらに好ましい。臭素系難燃剤の融点もしくは軟化点が150℃以上の範囲であれば、臭素系難燃剤の融解もしくは軟化に起因する押出不安定、得られた発泡体の耐熱性低下といった悪影響を及ぼさないことから、好ましい。
なお、本発明における臭素系難燃剤の軟化点とは、JIS K7234(エポキシ樹脂の軟化点試験方法)に準じて測定された値である。
テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマーのトリブロモフェノール付加物といったエポキシ系高分子難燃剤については明解な融点を持たない臭素系難燃剤に関しては、固体物質が軟化する軟化点で代用した。
本発明で用いられる5%熱重量減少開始温度が230℃以上、かつ、融点もしくは軟化点が150℃以上である臭素系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマー、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマーのトリブロモフェノール付加物、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどが挙げられる。
前記臭素系難燃剤の中で、前記熱可塑性樹脂組成物との分散性が良好で、耐熱性への悪影響が少なく、かつ、難燃効果の高い点から、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモジフェニルエーテル、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマーのトリブロモフェノール付加物、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましい。
本発明における臭素系難燃剤の含有量は、JIS A9511に規定される難燃性を満足し、かつ発泡体の酸素指数が26%以上になるように適宜調整されるが、概ね前記熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、3〜15重量部の範囲が好ましく、より好ましくは4〜13重量部であり、さらに好ましくは5〜10重量部である。
臭素系難燃剤の含有量が前記範囲内であれば、熱安定性の低下、耐熱性の低下といった物性低下、さらに押出安定性の低下、発泡成形性の低下といった不具合を生じることがなく、本発明が目的とする難燃性を満足することから、好ましい。
なお、前記JIS A9511とは、発泡プラスチック保温材に適用される日本工業規格に該当する。前記JIS A9511で規定される燃焼性には、測定方法A〜Cの3つの測定方法があるが、本試験では前記発泡プラスチック保温材のうち、ビーズ法ポリスチレンフォーム保温材、押出法ポリスチレンフォーム保温材に適用されている測定方法Aに準拠した。
その測定方法は、以下のとおりである。すなわち、45°に傾斜させた試験片(厚さ10mm、長さ200mm、幅25mm)に、火源用ろうそくの炎を約5秒間かけて等速にて着火限界指示線まで水平に移動させる。着火限界指示線に達した後、炎を手早く後退させ、その瞬間から炎が消えるまでの時間、および燃焼停止位置を確認する。
その難燃性の判断基準としては、1)試験体5個の消炎時間の平均が3秒以内であること、2)残じんがないこと、3)各試験体が燃焼限界指示線(着火限界指示線から20mm)を超えて燃焼しないこと、が求められる。
本発明においては、前記臭素系難燃剤に対して、必要に応じて、難燃助剤としてアンチモン化合物を併用することにより、臭素系難燃剤の使用量を低減でき、押出機内での熱履歴に伴う樹脂劣化を抑制することができる。
本発明で用いられるアンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、リン酸アンチモンなどが挙げられる。難燃性に関し、前記臭素系難燃剤との相乗効果が高い点から、三酸化アンチモンが好ましい。
本発明におけるアンチモン化合物の含有量は、JIS A9511に規定される難燃性を満足し、かつ発泡体の酸素指数が26%以上になるように適宜調整されるが、概ね前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜4.5重量部、さらに好ましくは1〜4重量部である。
アンチモン化合物の含有量が前記範囲であれば、熱安定性の低下、耐熱性の低下といった物性低下、さらに押出安定性の低下、発泡成形性の低下といった不具合を生じることなく、臭素系難燃剤との相乗効果を効果的に発現し、本発明が目的とする難燃性を満足することから好ましい。
なお、本発明においては、前記熱可塑性樹脂混合物に、必要に応じて、本発明の効果を想定する範囲内で各種添加剤として、造核剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、吸水剤、輻射抑制剤等の添加剤を配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体は板状発泡体であるとの特徴を有していることから、本発明の熱可塑性樹脂発泡体の厚みは10〜150mmが好ましく、20〜100mmがより好ましい。例えば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性を付与せしめるためには、発泡体の厚みが10mm未満のシート状発泡体では得られにくい傾向にある。また、発泡体厚みが150mmを超えると、独立気泡率が低下する傾向にあり、結果として、断熱特性、寸法安定性、強度などが低下する場合がある。
本発明における熱可塑性樹脂発泡体の密度は、20〜100kg/mの範囲であることが好ましく、25〜60kg/mの範囲であることがより好ましい。発泡体密度が上記範囲内にあれば、平面圧縮強度に代表される面圧縮強度の発現の視点から好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂発泡体の気泡構造としては、均一気泡構造や、大小気泡が混在した複合気泡構造などが挙げられるが、気泡構造を特に制限するものではない。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体における気泡の平均径は、主として0.05〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがより好ましい。なお、気泡径は、例えば、押出発泡体の断面の一部をサンプリングし、それを走査型電子顕微鏡にて拡大撮影して得られた写真から平均気泡径をASTM D−3576に準じて測定することができる。気泡径は、必ずしもすべてが上記範囲内である必要はなく、少なくとも気泡径の平均値が上記範囲内であればよい。気泡径が上記範囲未満であれば、断熱材の成形性が悪くなって、安定した製造が困難になる傾向にある。気泡径が上記範囲を超えると、断熱材表面の外観が悪化する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体は、上記樹脂組成物を用いて公知の方法により得ることができる。例えば、上記熱可塑性樹脂混合物を、押出機などの公知の加熱溶融混練装置に供給して加熱溶融して、高圧条件下で、発泡剤を添加する工程、発泡可能なゲル状物質を形成させる工程、次いで、該ゲル状物質を冷却する工程、さらに高圧領域からスリットダイなどのダイを通じて、該ゲル状物質を低圧領域に押出発泡する工程、ダイと密着または接して設置した成形金型を用いて附形する発泡体を形成する工程を経ることにより、厚肉の板状熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
発泡剤を添加する前に、前記樹脂組成物は、そのガラス転移温度または融点、あるいは、それ以上の温度に加熱される。発泡剤の添加は、加熱溶融樹脂に分散できるような方法で行えば良い。すなわち、発泡体の製造および/または開発に関わる分野で公知の手段、例えば、押出機、混合機などにより、溶融された前記樹脂組成物に混合、圧入または配合することができる。また、各々の発泡剤成分は、個別または同時に押出機に投入することができる。さらに、各々の発泡体成分は、液体、気体のいずれの状態で配合しても良い。
熱可塑性樹脂混合物に難燃剤などの各種添加物を添加する手順としては、例えば、(1)熱可塑性樹脂混合物に対して難燃剤などの各種添加物を添加して混合した後、押出機などの溶融混練装置に供給して加熱溶融し、さらに発泡剤を添加して混合する手順、(2)熱可塑性樹脂混合物を押出機などの溶融混練装置に供給して加熱溶融した後、難燃剤などの各種添加物を添加して混合し、さらに発泡剤を添加して混合する手順、(3)予め熱可塑性樹脂混合物に対して難燃剤などの各種添加物を添加して溶融混練して得られた樹脂組成物を、改めて押出機に供給して加熱溶融した後、さらに発泡剤を添加して混合する手順等が挙げられるが、各種添加剤を熱可塑性樹脂混合物に添加するタイミングは、特に限定されない。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体を製造する場合において、熱可塑性樹脂混合物、発泡剤、必要に応じて添加される各種添加剤を加熱溶融混練する際の、加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については、特に制限されない。
加熱温度は、熱可塑性樹脂混合物が溶融する温度(ガラス転移温度または融点)以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分解・劣化ができる限り抑制される温度が好ましい。
溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練装置の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、熱可塑性樹脂混合物と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合するのに要する時間として適宜設定される。
溶融混練手段としては、例えば、単軸スクリュー、二軸スクリュー等のスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば、特に制約はない。ただし、発泡剤の分散性を必要とする場合には、押出機としては二軸スクリュー型が好ましい。また、樹脂の分解劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
本発明における押出条件として、発泡剤が押出機や金型内で気化しないように、また、樹脂に充分溶解するように、押出系内圧力を高圧に保持することが好ましい。
その一手段として、スリットダイにおける圧力(以降、「スリット圧力」と称する場合がある)は、3MPa以上であることが好ましく、4MPa以上であることがより好ましい。スリットダイにおける圧力が3MPa以上であると、ガスの吹き出し、発泡体中の気孔(ボイド)発生、押出機系内の圧力変動、それに伴う発泡体断面プロファイルの変動といった現象が生じにくいため、好ましい。
該ゲル状物質を冷却する工程の出口での該ゲル状物質の樹脂温度は、該熱可塑性樹脂混合物のガラス転移温度に対して20〜70℃高い温度であることが好ましく、ガラス転移温度に対して20〜60℃高い温度であることがより好ましい。該ゲル状物質を発泡に適する温度に冷却する工程出口での樹脂温度を上記範囲とすることにより、ダイのスリット圧力のあがりすぎや温度ムラがほとんどない状態にて該ゲル物質をダイ内に導入することができ、良好な押出成形性および表面性を得ることができる。
ダイの設定温度は、上記樹脂温度に対して5〜50℃低い温度に制御することが好ましく、10〜40℃低い温度に制御することがより好ましい。ダイの設定温度を上記範囲とすることにより、ダイのスリット圧力を維持できると共に、表面性が良好な発泡体を得ることができる。
発泡成形方法に関しては、特に制限はないが、例えば、押出成形用に使用されるスリット形状を有するスリットダイ等のダイを通じて、発泡性ゲル状物質を高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた熱可塑性樹脂押出発泡体を、スリットダイと密着または接して設置した成形金型および該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて附形する押出発泡方法であれば、厚肉であり、さらに断面積の大きい板状発泡体を得ることができる。
スリットダイスの形状としては、矩形状、コートハンガー状、フィッシュテール状などがあげられるが、幅広の板状発泡体を得ようとする場合には、コートハンガー状、フィッシュテール状のスリットダイが好ましい。
さらに、厚み10〜150mmの板状発泡体を得ようとする場合には、スリットダイ出口形状に対する成形金型形状の厚み方向での寸法拡大率や幅方向での寸法拡大率を抑制する観点から、スリットダイ出口が平板状に拡大されたスリットダイを用いて所望の発泡体幅に成形する方法が有利である。特に、本発明における共重合体(A)および共重合体(B)からなる熱可塑性樹脂混合物は、ポリスチレン系樹脂に対して脆性傾向であることから、できるだけ幅方向での拡大率を抑えた成形方法を選択することが好ましい。
また、該樹脂組成物を用いた場合、その樹脂特性からポリスチレン系樹脂のような樹脂の伸びが期待できないために、得られる押出発泡体の表面性を確保するには、押出発泡体表面と成形金型との抵抗を低減させることが重要である。
押出発泡体と成型金型との抵抗を下げる手段としては、例えば、(1)蒸気、油、電気ヒーター等を用いることにより成形金型を加熱すること、(2)ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素樹脂からなるシート等の表面抵抗の少ない素材を、押出発泡体表面と成形金型との界面に設置すること、等が考えられる。
さらには、スリットダイから押出発泡させた発泡体を徐冷することも、得られる熱可塑性樹脂発泡体の表面性および物性を確保するには重要である。すなわち、発泡体の表面が冷却固化された状態でも、発泡体の内部がまだ流動的で発泡する力を有している状態では、内部の発泡する力に表面部分が耐えることができないために、発泡体の表面が割れ等の不良を生じる場合がある。また、前述したように、得られる発泡体の独立気泡率も低下する傾向にあり、結果として、断熱特性、寸法安定性、強度などが低下する場合がある。徐冷条件に関しては、発泡時の樹脂温度にも影響されるため、適宜調整すればよいが、成形金型の長さ、成形金型に対する加熱温度、表面抵抗の少ない素材の設置距離、等により調整することができる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体は、従来のスチレン系押出発泡体と比較して、耐熱性および耐薬品性に優れるため、例えば屋上断熱防水分野における断熱材、あるいは通常の建築資材用途に比べ、より高温域に曝される蒸気養生室、乾燥養生室などのパネル断熱材などに好適に用いられる。
以下、本発明の耐熱性と耐薬品性、及び難燃性を併せ持つ熱可塑性樹脂発泡体を具体的な実施例により詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。
以下に示す実施例1〜32、参考例1〜4、比較例1〜6で得られた発泡体の特性については、発泡体密度、平均セル径、JIS A9511燃焼性、発泡体酸素指数、100℃耐熱性、耐接着剤性、耐可塑剤性、表面性を、下記の方法に従って測定した。
(1)発泡体密度(kg/m
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/mに換算して示した。
発泡体密度(g/cm)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm
(2)平均セル径(mm)
得られた発泡体の押出方向、巾方向および厚み方向の各方向のセル径を、ASTM D−3576に準じて測定した。
すなわち、発泡体の巾方向の断面を50〜100倍に拡大投影し、厚み方向のセル径(HD)と巾方向のセル径(TD)を測定する。次に、押出方向の断面を拡大投影し、押出方向のセル径(MD)を測定した。
平均セル径は各方向のセル径の積を3乗根した値を以下の式より算出した。
平均セル径=(HD×TD×MD)1/3
(3)JIS A9511燃焼性
作製後7日経過した発泡体について、JIS A9511に準じて、厚み10mm×長さ200mm×幅25mmの試験片を用い、n数5で燃焼試験を行い、以下の基準により判断した。
<燃焼時間>
◎:消炎時間が5本すべて3秒以内となる。
○:消炎時間が5本の内、少なくとも1本が3秒を超えるが、5本の平均消炎時間が3秒以内となる。
×:5本の平均消炎時間が3秒を超える。
<燃焼状況>
◎:燃焼限界指示線以内で燃焼が停止し、発泡剤の燃焼が全く見られない。
○:燃焼限界指示線以内で燃焼は停止するが、発泡剤の燃焼が若干見られる。
×:燃焼限界指示線を越えて燃焼が継続する。
(4)発泡体酸素指数
製造後7日経過した発泡体について、JIS K7201に準じ、厚み10mm×長さ150mm×幅10mmの試験片を用いて測定した。
(5)100℃耐熱性(発泡体の体積変化率)
発泡体作成後、23℃、湿度55%の恒温室内にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を切り出し、100℃±2℃に設定した熱風乾燥機内で24時間加熱し、加熱前と加熱後の体積変化率(%)を算出し、以下の基準により耐熱性の有無を判断した。
◎:発泡体の体積変化率が1%以下である。
○:発泡体の体積変化率が1%を超え3%以下である。
△:発泡体の体積変化率が3%を超え5%以下である。
×:発泡体の体積変化率が5%を超える。
(6)耐接着剤性
発泡体作成後、23℃、湿度55%の恒温室内にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出し、ゴムシート防水指定接着剤(三ツ星ベルト製:「ネオボンドRW」(溶剤:トルエン/50〜60%、ガソリン/10〜20%、キシレン/〜10%))を0.4kg/m塗布した後、発泡体表面の状態を観察した。
○:発泡体表面の溶解崩壊、凹凸無し。
△:発泡体表面の若干凹凸有り。
×:発泡体表面の溶解崩壊。
(7)耐可塑剤性
発泡体作成後、23℃、湿度55%の恒温室内にて10日間状態調整した後、厚み25mm×幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出し、長さ50mm分を可塑剤であるDOP(200ml)に24時間浸漬し、取り出した後の発泡体形状を観察した。
○:発泡体の溶解崩壊、凹凸無し。
×:発泡体の溶解崩壊あるいは凹凸有り。
(8)表面性
得られた発泡体の表面性を、目視により以下の基準により判断した。
良好:発泡体表面の押出流れ方向1m当たりに、割れ、クラック、窪み、ボイド(気孔)が3個以下である、美麗なスキン層を形成した発泡体である。
不良:発泡体表面押出流れ方向1m当たりに、割れ、クラック、窪み、ボイド(気孔)が3個超である、粗悪なスキン層しか形成できない発泡体である。
(実施例1)
共重合体(A)として電気化学工業(株)製、商品名:デンカIP(265℃×10kg条件でのメルトフローレイト(以下、MFR)=0.2g/min)、共重合体(B)として東洋スチレン(株)製、商品名:トーヨーAS(220℃×10kg条件で、MFR=1.8g/min)を使用し、共重合体(A)/共重合体(B)を10%/90%の比率で混合した。得られた熱可塑性樹脂混合物100部に対して、臭素系難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA(アルベマール製、商品名:SAYTEX CP2000;5%熱重量減少開始温度:241℃、融点:180℃)5.0部、造核剤としてタルク(林化成(株)製、商品名:タルカンパウダー)0.3部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を口径65mmの単軸押出機と口径90mmの単軸押出機を直列に連結した二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を、約230℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤として、ジメチルエーテル5.0部を一段目押出機の先端付近で樹脂中に圧入した。その後連結された口径90mmの二段目押出機で混練冷却しながら二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約140℃まで冷却し、二段目押出機先端に設けた矩形状スリットダイのダイリップより大気中へ押出し、100℃のオイルを通過させた成形金型(表面材質:ポリテトラフルオロエチレン樹脂で表面処理した鉄:高さ25mm×幅120mm)および成形ロールにより、厚さ約30mm、幅約100mmである断面形状の押出発泡板を得た。ダイリップは、130℃に温度設定し、厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙とした。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例2)
臭素系難燃剤をヘキサブロモシクロドデカン(アルベマール製、商品名:SAYTEX HP900;5%熱重量減少開始温度:244℃、融点:180℃)5.0部使用した以外は、実施例1と同様の条件で押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例3)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)6.0部使用した以外は、実施例1と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例4)
共重合体(A)/共重合体(B)の混合比率を20%/80%に変更し、臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)10.0部使用し、一段目押出機における加熱温度を約235℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約145℃まで冷却し、ダイリップの温度を135℃、成形金型の温度を110℃に温度設定した以外は、実施例1と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例5)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)6.0部使用した以外は、実施例4と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例6)
共重合体(A)/共重合体(B)の混合比率を30%/70%に変更し、臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)10.0部使用し、一段目押出機における加熱温度を約240℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約150℃まで冷却し、ダイリップの温度を140℃、成形金型の温度を120℃に温度設定した以外は、実施例1と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例7)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)6.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例8)
臭素系難燃剤をエチレンビス(ペンタブロモフェニル)(アルベマール製、商品名:SAYTEX 8010;5%熱重量減少開始温度:344℃、融点:350℃)6.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例9)
臭素系難燃剤をビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン(Great Lakes製、商品名:FF680;5%熱重量減少開始温度:276℃、融点:225℃)8.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例10)
臭素系難燃剤をテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマー(阪本薬品工業製、商品名:SR−T5000;5%熱重量減少開始温度:360℃、軟化点:190℃)8.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例11)
臭素系難燃剤をテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルコポリマーのトリブロモフェノール付加物(阪本薬品工業製、商品名:SR−T3040;5%熱重量減少開始温度:360℃、軟化点:170℃)8.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例12)
臭素系難燃剤を2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン(ICL製、商品名:FR245;5%熱重量減少開始温度:385℃、融点:230℃)8.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例13)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)6.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例14)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)2.0部使用した以外は、実施例6と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例15)
共重合体(A)/共重合体(B)の混合比率を45%/55%に変更し、臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)10.0部使用し、一段目押出機における加熱温度を約250℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約160℃まで冷却し、ダイリップの温度を150℃、成形金型の温度を140℃に温度設定した以外は、実施例1と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例16)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)6.0部使用した以外は、実施例15と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例17)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)2.0部使用した以外は、実施例15と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表1に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例18)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部、ノルマルブタン3.0部、臭素系難燃剤をヘキサブロモシクロドデカン(アルベマール製、商品名:SAYTEX HP900;5%熱重量減少開始温度:244℃、融点:180℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)2.0部、造核剤としてタルクを0.1部とした以外は、実施例1と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例19)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)8.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例18と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例20)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)3.0部使用した以外は、実施例18と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例21)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部、ノルマルブタン3.5部、エタノール1.0部、臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)4.0部、造核剤であるタルクを使用せず、ベントナイトを1.0部使用した以外は、実施例18と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例22)
共重合体(A)/共重合体(B)の混合比率を20%/80%に変更し、一段目押出機における加熱温度を約235℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約145℃まで冷却し、ダイリップの温度を135℃、成形金型の温度を110℃に温度設定した以外は、実施例20と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例23)
共重合体(A)/共重合体(B)の混合比率を30%/70%に変更し、一段目押出機における加熱温度を約240℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約150℃まで冷却し、ダイリップの温度を140℃、成形金型の温度を120℃に温度設定した以外は、実施例19と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例24)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)8.0部使用した以外は、実施例23と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例25)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)3.0部使用した以外は、実施例23と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例26)
発泡剤をジメチルエーテル4.0部、イソブタン2.0部使用した以外は、実施例25と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例27)
発泡剤をジメチルエーテル3.0部、ノルマルブタン3.5部、エタノール1.0部、造核剤であるタルクを使用せず、ベントナイトを1.0部使用した以外は、実施例24と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例28)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)10.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例29)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)4.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)4.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例30)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)5.0部、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)5.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例31)
臭素系難燃剤をデカブロモジフェニルエーテル(アルベマール製、商品名:SAYTEX 102E;5%熱重量減少開始温度:326℃、融点:304℃)10.0部、難燃助剤として三酸化アンチモン(鈴裕化学製、商品名:FIRE CUT AT−3)2.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(実施例32)
共重合体(A)/共重合体(B)の混合比率を45%/55%に変更し、一段目押出機における加熱温度を約250℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約160℃まで冷却し、ダイリップの温度を150℃、成形金型の温度を140℃に温度設定した以外は、実施例30と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表2に示す。比較例1〜6と比較し、耐熱性、耐薬品性、かつ難燃性の優れた発泡体が得られた。
(比較例1)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)2.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表3に示す。実施例1〜32と比較して、耐熱性、耐薬品性は満足するものの、難燃性を満足することができない。
(比較例2)
臭素系難燃剤をトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学製、商品名:CR900;5%熱重量減少開始温度:310℃、融点:180℃)20.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表3に示す。実施例1〜32と比較して、難燃性、耐薬品性は満足するものの、耐熱性を満足することができない。加えて臭素系難燃剤添加量増大に伴い、押出変動に起因する成形不良が生じた。
(比較例3)
臭素系難燃剤をテトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(アルベマール製、商品名:SAYTEX HP800A;5%熱重量減少開始温度:312℃、融点:110℃)10.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表3に示す。実施例1〜32と比較して、難燃性、耐薬品性は満足するものの、耐熱性を満足することができない。加えて臭素系難燃剤の融点が低いことに伴い、樹脂送り不良に起因する成形不良が生じた。
(比較例4)
臭素系難燃剤をテトラブロモシクロオクタン(アルベマール製、商品名:SAYTEX BC48;5%熱重量減少開始温度:167℃、融点:103℃)10.0部使用した以外は、実施例27と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表3に示す。実施例1〜32と比較して、難燃性、耐薬品性は満足するものの、耐熱性を満足することができない。加えて臭素系難燃剤の融点が低いことに伴う樹脂送り不良、及び難燃剤分解に伴う樹脂劣化に起因する成形不良が生じた。
(比較例5)
基材樹脂として、AS樹脂(東洋スチレン(株)製、商品名:トーヨーAS・・・220℃×10kg条件で、MFR=1.8g/min)に変更し、一段目押出機における加熱温度を約230℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約130℃まで冷却し、ダイリップの温度を120℃、成形金型の温度を100℃に温度設定した以外は、実施例21と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表3に示す。実施例1〜32と比較して、難燃性は満足するものの、耐薬品性の特に耐接着剤性、及び耐熱性を満足することができない。
(比較例6)
基材樹脂として、ポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)製、商品名:G9401、200℃×5kg条件で、MFR=0.2g/min)に変更し、一段目押出機における加熱温度を約220℃、二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度を約125℃まで冷却し、ダイリップの温度を115℃、成形金型の温度を30℃に温度設定した以外は、実施例21と同様の条件にて押出発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、表3に示す。実施例1〜32と比較して、難燃性は満足するものの、耐薬品性、及び耐熱性を満足することができない。
(参考例1)
二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度が200℃となるように冷却し、ダイリップ温度を180℃に変更した以外は、実施例14と同様の条件で押出を行った。しかし、樹脂温度が高いことため、ガス噴出やダイ内発泡によりスリット圧力が低下して、押出成形性が悪化し、粗悪な形状/表面しか得られず、満足な発泡体を得ることができなかった。
(参考例2)
成形金型温度を30℃に温度設定した以外は、実施例14と同様の条件で押出を行った。しかし、成形金型温度が低いために発泡体内部から膨れが発生することによる表面での割れ等が極めて大きくなり、粗悪な形状/表面しか得られず、満足な発泡体を得ることができなかった。
(参考例3)
二段目押出機出口(冷却工程出口)での樹脂温度が200℃となるように冷却し、ダイリップ温度を180℃に変更した以外は、実施例29と同様の条件で押出を行った。しかし、樹脂温度が高いことため、ガス噴出やダイ内発泡によりスリット圧力が低下して、押出成形性が悪化し、粗悪な形状/表面しか得られず、満足な発泡体を得ることができなかった。
(参考例4)
成形金型温度を30℃に温度設定した以外は、実施例29と同様の条件で押出を行った。しかし、成形金型温度が低いために発泡体内部から膨れが発生することによる表面での割れ等が極めて大きくなり、粗悪な形状/表面しか得られず、満足な発泡体を得ることができなかった。

Claims (4)

  1. 芳香族ビニル単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびN置換マレイミド単位からなる共重合体(A)20重量%以上50重量%未満および、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位からなる共重合体(B)50重量%超80重量%以下からなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、
    5%熱重量減少開始温度が276℃以上、かつ、融点もしくは軟化点が150℃以上である臭素系難燃剤から選ばれる少なくとも1種の難燃剤を3〜15重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、発泡可能なゲル状物質となす工程、
    該ゲル状物質を冷却する工程、
    スリットダイを通して該ゲル状物質をより低圧の領域に押出す工程、および
    スリットダイと密着または接して設置した成形金型を用い附形して押出発泡体を形成する工程を含む、発泡体の厚みが10〜150mmである熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法であって、
    上記冷却工程の出口での該ゲル状物質の樹脂温度が、該熱可塑性樹脂混合物のガラス転移温度に対して20〜70℃高い温度であること、上記押出発泡体を形成する工程において、押出発泡体表面と成形金型との抵抗を低減させること、および発泡体を成型金型において徐冷することを特徴とする、熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
  2. ダイ温度が、上記樹脂温度に対して5〜50℃低い温度であることを特徴とする、請求項に記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
  3. 表面抵抗の少ない素材を押出発泡体表面と成形金型との界面に設置することで押出発泡体と成形金型との抵抗を低減させることを特徴とする、請求項またはに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
  4. 成形金型を温度調節することで発泡体を成型金型において徐冷することを特徴とする、請求項のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
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