JP5247220B2 - 音再生装置及び音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法 - Google Patents

音再生装置及び音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法 Download PDF

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Description

本発明は、所定の観測点で観測した音を再生する音再生装置と、例えば、騒音源の周辺に騒音対策として防音壁を設ける場合のような、音対策を施した際に観測されると予測される予測音を、上記の音再生装置を用いて発生させてシミュレーションする音対策のシミュレーション方法に関するものである。
従来、高速道路や工場等から発生する騒音を低減するため、その周辺にはコンクリートブロック、あるいは、コンクリート板などの防音壁が設けられている。
ところで、工場敷地内に設置された変電設備のトランス、あるいは、室外空調機などの騒音源となる機器の位置は予め特定することできるが、実際に観測される騒音は上記機器の配置や騒音が洩れる工場の扉や窓の位置等により異なるため、防音壁を新たに構築しようとする場合には、騒音源と観測点との間に防音壁を設けた場合の到達音の低減効果を予めシミュレーションしておく必要がある。
騒音対策の騒音のシミュレーション方法としては、例えば、予め求めておいた、騒音源の位置データと、この騒音源の発生する騒音の大きさのデータと、上記騒音源と観測点とを含む建物や障壁等の配置のデータと、防音壁についてのデータとを用いて、上記騒音源から上記観測点までの音の伝搬経路をモデル化し、周知の距離減衰式を用いて各伝搬経路を伝搬して上記観測点に到達する音圧レベルを算出して合成し当該観測点での音圧レベルを算出するとともに、上記防音壁がある場合とない場合の当該観測点での音圧レベルの差から、上記防音壁を設けた効果をシミュレーションする方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)
特開平6−4512号公報 特開2006−260370号公報
しかしながら、上記従来の方法では、騒音が複数の方向から到来する音の合成音である場合や反射の影響が大きい場合、どの騒音源に対して対策を行うのが有効かを特定するためには、上記複数の騒音源に対してそれぞれ防音壁についてのデータを入力して計算しなければならない。その結果、シミュレーションに必要なデータが膨大となってしまい、非常に多くの時間がかかっていた。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、観測点で観測した複数の方向から伝搬された音を再生したり、騒音対策などの音対策を施した際に観測されると予測される音の発生をさせたりすることのできる音再生装置と、この音再生装置を用いて音対策を施す前の音を再生した音と音対策を施した後に観測されると予測される音とをそれぞれ発生させて、防音壁の遮音効果などの音対策の効果を正確にシミュレーションすることのできる音対策のシミュレーション方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、観測点で観測される騒音の音圧レベルを、上記騒音源と観測点とを含む建物や障壁等の配置のデータと防音壁についてのデータとを用いて、騒音源から観測点までの音の伝搬経路モデル化して算出するのではなく、観測点に伝搬される騒音を実際に計測したデータを用いて、上記観測された騒音を複数のスピーカーにより再生する音再生装置を作製し、この音再生装置を用いて、騒音対策を施す予定の騒音源からの騒音を出力するスピーカーの出力を下げた時の騒音である予測音を発生させ、この予測音の大きさと上記再生された騒音とを比較すれば、膨大なデータを用いた複雑な計算をすることなく、騒音対策のシミュレーションを行うことができることを見出し、本発明に到ったものである。
本願の請求項1に記載の発明は、所定の観測点で観測した音を再生する音再生装置であって、上記観測点で計測した複数の音源の音源方向と音圧信号の大きさとを含む音源データを記憶するデータ記憶手段と、所定の位置に配置された複数のスピーカーと、上記データ記憶手段に記憶されている各音源の音源データを上記各スピーカーに割り当てる音源割当手段と、上記割り当てられた音源の音源データに基づいて上記各スピーカーの出力を調整する出力調整手段とを備えるとともに、上記音源割当手段を、上記データ記憶手段に記憶されている各音源の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号のデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に各音源の位置を表示した音源マップを作成するマップ作成手段と、上記音源マップを上記スピーカーの配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域に分割するマップ分割手段と、上記各スピーカーに、上記スピーカーに対応するスピーカー割り当て領域内にある音源の音源データを割り当てる割当手段とから構成して、上記各スピーカーに上記各音源の音源データを割り当てて、上記観測点で観測した音を再生するようにしたものである。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の音再生装置において、上記音源データを所定の観測点の周りの全方位で観測した複数の音源の音源データとするとともに、上記複数のスピーカーを、再生音を発生させる場所に設けられた音観測点を取り囲むように配置したものである。
請求項に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の音再生装置において、音対策を施して音の伝搬状態を変化させる予定の音源を指定する手段と、上記指定された音源から到達する音の音圧レベルを上記予定している音対策に応じて変更する音圧レベル変更手段とを設けるとともに、上記出力調整手段により、上記指定された音源からの音を出力するスピーカーの出力を上記変更された音圧レベルに変更する出力調整を行って、音対策を施した際に観測されると予測される音を発生させるようにしたものである。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれかに記載の音再生装置において、上記スピーカーからの音を採取するマイクロフォンと、上記マイクロフォンで採取した音である再生音の音圧信号の大きさと上記データ記憶手段に記憶されている音源の音圧信号の大きさとを比較する比較手段とを設けるとともに、上記出力調整手段が上記比較手段の比較結果に基づいて各スピーカーの出力を調整することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のいずれかに記載の音再生装置において、上記音源データを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を有するマイクロフォン群と、上記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンと、音源方向の映像を撮影する撮像手段と、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間のそれぞれの位相差を求め、この求められた2組のマイクロフォン対の位相差の比から音源方向の水平角を推定するとともに、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差と、上記第5のマイクロフォンと上記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差とを用いて上記音源方向の仰角を推定する音源方向推定手段と、上記推定された音源方向の水平角及び仰角と上記撮影された音源方向の映像とから上記音源の位置を推定する音源位置推定システムを用いて測定された音源データとしたことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、音再生装置として、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の音再生装置を用いて、音対策を施した際に予測される音をシミュレーションする方法であって、上記音源データとして、所定の観測点で計測した所定領域内の複数の音源位置の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号のデータとから成る音源データを用い、横軸を上記水平角とし縦軸を上記仰角とした音源マップを作成する第1のステップと、
上記音源マップを、上記スピーカーの配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域に分割する第2のステップと、
上記各スピーカーに、上記スピーカーに対応するスピーカー割り当て領域内にある音源を割り当てる第3のステップと、
上記各スピーカーから、上記割り当てられた音圧信号の合成音である再生音を出力する第4のステップと、
上記複数のスピーカーのうち、音対策を施す予定の音源を含むスピーカー割り当て領域内に対応するスピーカー領域のスピーカーの出力を変更する第5のステップと、
上記出力が変更されたスピーカーを含む複数のスピーカーから出力される音の合成音である予測音を出力する第6のステップと、
上記第4のステップで出力された再生音の大きさと上記第6のステップで出力された予測音とを比較する第7のステップと、
上記第7のステップで比較した比較結果に基づいて、上記音対策を施す予定の音源に対する音対策の効果を推定する第8のステップとを備えたことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法であって、上記第1のステップで作成された音源マップは、上記音源方向の映像を撮影する撮像手段で撮影された映像に上記推定された音源位置を重ね合わせた画像に基づいて作成されたマップであることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項または請求項に記載の音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法であって、上記第8のステップにおいて、音対策が十分でないと判定された場合には、音対策を施す予定の音源を新たに指定し、上記音対策を施す予定の音源を含むスピーカー割り当て領域内に対応するスピーカー領域のスピーカーの出力を変更して、上記第6のステップに戻る第9のステップを更に設けたものである。
請求項に記載の発明は、請求項〜請求項のいずれかに記載の音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法において、上記各スピーカーからの合成音を採取するマイクロフォンを設け、上記マイクロフォンで採取した上記再生音の音圧レベルと上記予測音の音圧レベルとを比較するようにしたものである。
本発明の音再生装置は、所定の観測点で計測した複数の音源の音源データを複数のスピーカーに割り当てて上記各スピーカーから上記音源からの音に対応する音をそれぞれ出力するように構成されているので、上記観測点で観測された音を精度良く再生することができる。すなわち、上記音源の音源データは、観測点で実際に計測したものであるので、観測点で観測される音の音源にはもれがない。したがって、本発明の音再生装置を用いれば、実際に観測された音とほとんど同じ音を再生できる。
本発明の音再生装置では、スピーカーに音源データを割り当てる際に、データ記憶手段に記憶されている各音源の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号のデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に各音源の位置を表示した音源マップを作成するとともに、この音源マップを上記スピーカーの配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域に分割し、上記各スピーカーに、上記スピーカーに対応するスピーカー割り当て領域内にある音源の音源データを割り当てるようにしているので、スピーカーへの音源データの割り当てを効果的に行うことができ、再生音の精度を向上させることができる。
また、音源データを所定の観測点の周りの全方位で観測した複数の音源の音源データとするとともに、上記複数のスピーカーを、再生音を発生させる場所に設けられた音観測点を取り囲むように配置して、観測点の周りの全方位から伝搬される音を再生するようにしたので、上記再生音を実際の観測点で観測された音に更に近づけることができるとともに、観測する位置を選ばずに上記観測点で観測された音を再現することができる。
更に、音対策を施して音の伝搬状態を変化させる予定の音源を指定し、上記指定された音源から到達する音の音圧レベルを上記予定している音対策に応じて変更するとともに、上記出力調整手段にて、上記指定された音源からの音を出力するスピーカーの出力を上記変更された音圧レベルに変更する出力調整を行うようにしたので、音対策を施した際に観測されると予測される音を確実にかつ精度良く発生させることができる。
また、上記スピーカーからの音をマイクロフォンで採取し、データ記憶手段に記憶されている音源の音圧信号のデータと比較して各スピーカーの出力を調整するようにすれば、スピーカーに特性のばらつきがあった場合でも、上記再生音を確実に実際に観測された音に近づけることができる。
また、上記音源データを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を有するマイクロフォン群と、上記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンと、音源方向の映像を撮影する撮像手段と、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間のそれぞれの位相差を求め、この求められた2組のマイクロフォン対の位相差の比から音源方向の水平角を推定するとともに、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差と、上記第5のマイクロフォンと上記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差とを用いて上記音源方向の仰角を推定する音源方向推定手段と、上記推定された音源方向の水平角及び仰角と上記撮影された音源方向の映像とから上記音源の位置を推定する音源位置推定システムを用いて測定された音源データとすれば、使用する音源データの精度が高いので、実際に観測された音とほとんど同じ音を確実に再生することができる。
また、音再生装置として上記請求項1〜請求項のいずれかに記載の音再生装置を用いるとともに請求項6に記載したようなステップにしたがって、所定の観測点で実際に観測した音を再生した再生音を発生させ、音対策を施して音の伝搬状態を変化させる予定の音源からの音を出力するスピーカーの出力を上記予定している音対策に応じて変更し、上記複数のスピーカーから音対策を施した際に観測されると予測される予測音を発生させるようにすれば、複雑な計算をすることなく、短時間で音対策の効果をシミュレーションすることが可能となる
また、上記請求項に記載の第1のステップで作成されたマップとして、上記音源方向の映像を撮影する撮像手段で撮影された映像に、上記推定された音源位置を重ね合わせた画像に基づいて作成されたマップをそのまま用いれば、マップ作成を効率良く行うことができる。
また、音対策の効果が十分でない場合には、音対策を施す予定音源を新たに指定して再度シミュレーションを行うようにすれば、音対策を更に確実に行うことができる。
なお、再生音と予測音との比較は、聴感によるか、あるいは、請求項に記載したように、上記各スピーカーからの合成音を採取するマイクロフォンを設け、上記マイクロフォンで採取した上記再生音の音圧レベルと上記予測音の音圧レベルとを比較するなどの方法がある。人間の聴感による比較は、音の大きさについては、マイクロフォンを用いた場合よりも精度は落ちるが、快・不快などの音の質を考慮した比較を行う場合には有効な方法である。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本発明の最良の形態に係る騒音対策のシミュレーションシステムの概要を示す図で、本発明による騒音対策のシミュレーションシステムは、所定の観測点で観測した音を再生する音再生装置10と騒音対策効果推定装置20とを備えている。
音再生装置10は、無響室11に設置される第1〜第4のスピーカーS1〜S4と、オーディオデバイスA1〜A4と、マイクロフォンMと、再生音制御装置12とを備えている。また、騒音対策効果推定装置20は、マイクロフォンMと、音圧レベル算出手段21と、音圧レベル記憶手段22と、音圧レベル比較手段23と騒音対策効果推定手段24とを備えている。
なお、本例では、音再生装置10のマイクロフォンMと騒音対策効果推定装置20のマイクロフォンMは共用とした。
マイクロフォンMは、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4から出力される音の合成音を採取する受音手段で、上記無響室11の中央部に設置される。
オーディオデバイスA1〜A4は、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4にそれぞれ接続されており、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4に所定の音信号を送って、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4からそれぞれ所定の音を出力させる。
第1〜第4のスピーカーS1〜S4は、上記オーディオデバイスA1〜A4からの音信号に応じた音を上記無響室11内に発生させるもので、第1〜第4のスピーカーS1〜S4は以下のように配置されている。上記無響室11の上記マイクロフォンMから見て前側の壁面(以下、前面という)11Fを水平方向に3つの領域に分け、更に、中央の領域を上,下2つの領域に分けた時、第1のスピーカーS1は、上記前面11Fの上側中央の領域F1に配置される。第2のスピーカーS2は、上記前面11Fの下側中央の領域F2に配置される。また、第3のスピーカーS3は、上記前面11Fの、上記マイクロフォンMから見て左斜め前方の領域F3に配置され、第4のスピーカーS4は、上記前面11F側の、上記マイクロフォンMから見て右斜め前方の領域F4に配置される。
本例では、上記マイクロフォンMからみた第1及び第2のスピーカーS1,S2の水平角をθ=0°とし、第3のスピーカーS3の水平角を、右回りを+として、θ=−60°とし、第4のスピーカーS4の水平角をθ=+60°とした。
再生音制御装置12は、入力手段12aと、データ記憶手段12bと、観測点選択手段12cと、マップ作成手段12dと、マップ分割手段12eと、騒音源割り当て手段12fと、割り当て変更手段12gとを備え、上記各オーディオデバイスA1〜A4を制御して、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4の出力をそれぞれ制御する。
入力手段12aには、シミュレーションする観測点や、騒音対策が必要な騒音源が入力される。データ記憶手段12bには、後述する音源位置推定システムを用いて複数の観測点D1〜Dnで予め観測した複数の騒音源の音源データが記憶されている。
観測点選択手段12cは、上記データ記憶手段12bから、上記入力手段12aにより入力された所定の観測点Djで観測した音源データを取り出す。マップ作成手段12dは、上記取り出された所定の観測点Djで観測した音源データに基づいて、横軸を上記水平角とし縦軸を上記仰角とした当該観測点における騒音源マップを作成する。
マップ分割手段12eは、上記マップ作成手段12dで作成された騒音源マップを上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4の配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域(前方上方、前方下方、前方左方、前方右方の4つの領域)に分割して、騒音源を上記各領域毎にグループ分けする。
騒音源割り当て手段12fは、上記グループ分けされた騒音源の音源データを上記各オーディオデバイスA1〜A4(スピーカーS1〜S4)に割り当てる割り当て手段として機能するとともに、上記各オーディオデバイスA1〜A4を制御して上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4の出力をそれぞれ調整する出力調整手段としても機能する。なお、ここでは、単に、騒音源の音源データを割り当てるだけもよいが、本例では、上記騒音源割り当て手段12fにより、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4から出力されて上記マイクロフォンで採取される音が、上記各領域の騒音源からの音を再生した音(以下、再生音という)に近づくように、上記各オーディオデバイスA1〜A4の周波数特性や出力を、各オーディオデバイスA1〜A4毎に調整するようにしている。
割り当て変更手段12gは、上記入力手段12aに入力された騒音対策を施す騒音源を含む領域を特定し、この領域に含まれる騒音源の音源データを再生するスピーカーSk(kは1〜4のいずれか)から出力されて、上記マイクロフォンMで観察される音圧データの大きさを所定量(例えば、5dB)だけ減少させるように、騒音源割り当て手段12fを介して、上記スピーカーに接続されているオーディオデバイスAk(kは1〜4のいずれか)を制御する。これにより、上記スピーカーSkの出力を低減させることができる。
一方、騒音対策効果推定装置20は、上記騒音対策を施す予定の騒音源に対する騒音対策が有効であったかどうかを推定するもので、音圧レベル算出手段21は、上記マイクロフォンMで採取した音圧信号のレベルを算出する。また、音圧レベル記憶手段22は、上記算出された音圧レベルを記憶する。音圧レベル比較手段23は、上記マイクロフォンMで採取した再生音の音圧レベルと上記スピーカーSkの出力を予定される騒音対策に応じて所定量低減させて上記マイクロフォンMで採取した音(以下、予測音という)の音圧レベルとを比較する。騒音対策効果推定手段24は、上記比較結果に基づいて、上記騒音対策を施す予定の騒音源に対する騒音対策の効果を推定する。なお、本例では、上記騒音対策効果推定手段24において、騒音対策の効果が十分に得られなかったと推定された場合には、騒音対策効果推定手段24はその結果を音再生装置10の割り当て変更手段12gに送り、割り当て変更手段12gにて、騒音対策を施す予定の騒音源を新たに追加して、再度騒音対策のシミュレーションを行うことができるようにしている。
次に、本発明による騒音対策のシミュレーション方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。
まず、入力手段12aを用いて、シミュレーションする観測点Dを指定する(ステップS11)。観測点選択手段12cでは、データ記憶手段12bに記憶されている観測点D1〜Dnの音源データの中から、上記指定された観測点Dの音源データを選択して、この音源データをマップ作成手段12dに送る(ステップS12)。上記音源データは、騒音源の方向(観測点から見た騒音源の水平角θと仰角φ)と、当該騒音源からの周波数毎の音圧レベルのデータとを含んでいる。
本例では、上記観測点D1〜Dnの音源データを、本出願人が提案している、図3に示すような音源位置推定システム30を用いて求めた(例えば、特開2003−111183号公報参照)。
上記音源位置推定システム30は、図示しない騒音源からの騒音の音圧レベルを測定するために観測点に配置された計測用マイクロフォンM1〜M5と、音源位置近傍の映像を採取するためのCCDカメラ(以下、カメラという)31と、ローパスフィルタを備え、上記計測用マイクロフォンM1〜M5で採取された音響情報から所定の周波数以下の成分を取り出し増幅する増幅器32と、上記増幅された音響情報(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器33と、上記カメラ31の映像情報(アナログ信号)をデジタル信号に変換するビデオ入出力ユニット34と、上記A/D変換された計測用マイクロフォンM1〜M5の音圧信号を用いて音源の方向とこの音源からの音の大きさとを推定する音源方向推定手段35と、上記映像信号に上記推定された音源方向を示す画像を付加した画像を生成する画像合成手段36と、上記合成された画像を表示する音源位置表示手段37とを備えている。
また、40は上記計測用マイクロフォンM1〜M5を所定の位置に配列するためのマイクロフォンフレーム、41は三脚から成る支持部材42とこの支持部材42の上部に配設された回転台43とから成る測定用基台である。上記回転台43により、上記マイクロフォンフレーム40を回転させて、上記計測用マイクロフォンM1〜M5を水平面内で回転させることにより、音源の方向を全方位にわたって推定することができる。
上記計測用マイクロフォンM1〜M4を、図4に示すように、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成するように配置するとともに、マイクロフォンM5を、上記マイクロフォンM1〜M4の作る平面上にない位置に配置する。これにより、上記各マイクロフォン対(Mi, Mj)の位相差(時間遅れDij)から、当該観測点から見た音源の方向を推定することができる。
音の入射方向である水平角θと仰角φとは以下の式(1)及び式(2)で表わせる。
Figure 0005247220
ここで、時間遅れDijは、マイクロフォンMiに到達する音圧信号と、このマイクロフォンMiに対して対となるマイクロフォンMjに到達する音圧信号との時間差であり、この対となる2つのマイクロフォンMi及びMjに入力される信号のクロススペクトルPij(f)を求め、更に、対象とする上記周波数fの位相角情報Ψ(rad)を用いて、以下の式(3)により算出される。
Figure 0005247220
音源方向推定手段35では、A/D変換器33でA/D変換された上記計測用マイクロフォンM1〜M5で採取した音圧信号を用いて、上記音の入射方向である水平角θと仰角φとを推定するとともに上記音の音圧レベルを計測する。一方、画像合成手段36では、上記ビデオ入出力ユニット34に入力された音源方向の映像信号に、上記推定された音源方向を示す画像を付加した画像を生成し、これを音源位置表示手段37に送って表示する。そして、上記音源方向が示された画像から、上記音源の位置を決定する。
なお、上記計測用マイクロフォンM1〜M5及びカメラ31を回転させて順次測定することにより、観測点の周囲全て(360°)の騒音源の位置を推定することができる。
図5は、上記音源位置推定システム30を用いて作成した騒音源の位置を示す画像Gの一例を示す図である。上記画像Gの横軸は観測点を原点とした時の騒音源の水平角θで、縦軸は仰角φである。ここでは、−100°<θ≦+100°、−70°<φ≦+70°とした例を示す。上記画像Gにおいて、騒音源g1は工場の室外に設置された大型の空調室外機G1からの直接音、騒音源g2は工場の2階にある住居のベランダに設置された小型の空調室外機G2からの直接音、騒音源g3は上記空調室外機G1からの騒音の倉庫G3による反射音で、上記音源位置推定システム30を用いて計測した観測点における音圧レベルは、騒音源g1からの騒音が最も大きく、次に、騒音源g3からの騒音が大きく、騒音源g2からの騒音が最も小さかった。
次に、マップ作成手段12dにより、上記観測点Dで観測した音源データに基づいて、図6に示すような、横軸を水平角θとし縦軸を仰角φとした当該観測点Dにおける騒音源マップPを作成する(ステップS13)。本例では、音源データとして、上記音源位置推定システム30を用いて得られた音源データを使用しているので、騒音源マップPについても、上記音源位置推定システム30を用いて得られた画像Gを上記データ記憶手段12bに記憶しておけば、上記画像Gをそのまま騒音源マップPとして用いればよい。
次に、マップ分割手段12eで、上記騒音源マップPを前方上方、前方下方、左前方、右前方の4つの領域P1〜P4に分割して、騒音源を上記各領域毎にグループ分けした後、騒音源割り当て手段12fを用いて、上記各領域内P1〜P4に含まれる騒音源の音源データを上記各オーディオデバイスA1〜A4に割り当てる(ステップS14)。
具体的には、前方上方の領域P1内にある騒音源g2の音源データは、第1のスピーカーS1が接続されているオーディオデバイスA1に割り当てられる。同様に、前方下方の領域P2内にある騒音源g1の音源データは、第2のスピーカーS2が接続されているオーディオデバイスA2に割り当てられ、前方左方の領域P3内にある騒音源g3の音源データは、第3のスピーカーS3が接続されているオーディオデバイスA3に割り当てられる。一方、前方右方の領域P4内には騒音源がないので、オーディオデバイスA4へは騒音源が割り当てられない。これにより、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4には、出力される騒音源からの騒音が割り当てられたことになる。
上記マイクロフォンMで採取される音の音圧レベルは、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4と上記マイクロフォンMとの距離に依存するので、上記音源割り当て手段12fでは、上記騒音源の割り当て時に、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4から出力されて上記マイクロフォンMで採取される音が、上記各領域の騒音源からの音を再生した音(以下、再生音という)になるように上記各オーディオデバイスA1〜A4の周波数特性や出力レベルを調整する(ステップS15)。なお、オーディオデバイスA4には騒音源が割り当てられていないので、第4のスピーカーS4からは音は出力されない。
オーディオデバイスA1〜A4の出力調整が完了すると、上記騒音源が割り当てられたオーディオデバイスA1〜A3を同時に作動させ、第1〜第3のスピーカーS1〜S3から上記騒音源g1〜g3からの騒音に相当する音圧信号それぞれを出力させる(ステップS16)。そして、マイクロフォンMにて、上記音圧信号の合成音である再生音を採取して、騒音対策効果推定装置20の音圧レベル算出手段21に送る(ステップS16)。
音圧レベル算出手段21では、上記再生音の音圧レベルT(0)を算出する(ステップS17)とともに、上記再生音の確認を行う(ステップS18)。再生音の確認は、例えば、上記音圧レベルT(0)と上記音再生装置10のデータ記憶手段12bに記憶されている実際の観測音の音圧レベルとを比較し、その差が所定量以下であれば、上記再生音を観測音を再現した再生音であるとし、音圧レベル記憶手段22に記憶する。上記差が所定量を超えた場合には、上記ステップS15に戻って、オーディオデバイスA1〜A4の出力を再調整する。なお、再生音の確認を周波数毎に行えば、再生音の再現性は更に向上する。
次に、入力手段12aを用いて、騒音対策を施す騒音源を指定する(ステップS19)。ここでは、上記騒音源g1〜g3のうち、最も音圧レベルの大きかった、工場の室外に設置された大型の空調室外機G1からの直接音である騒音源g1を騒音対策を施す騒音源に指定することにする。
騒音対策を施す騒音源が指定されると、割り当て変更手段12gでは、上記騒音源マップPを参照して、上記指定された騒音源g1を含む領域である領域P2を特定し、上記領域P2に含まれる騒音源g1の音源データを再生するスピーカー(第2のスピーカーS2)に接続されているオーディオデバイスA2を、上記第2のスピーカーS2の出力を低減させるように設定し直す(ステップS20)。本例では、上記騒音源g1の観測点側に防音壁を構築した場合を想定し、上記第2のスピーカーS2から出力されて、上記マイクロフォンMで観察される音圧データの大きさを所定量(例えば、5dB)だけ減少させるように、上記オーディオデバイスA2の出力調整を行う。このとき、上記第2のスピーカーS2の出力を単に低減させるのではなく、上記騒音源g1からの騒音の周波数特性に応じて、上記第2のスピーカーS2の周波数特性と出力とを調整して、騒音源g1からの騒音のみが上記所定量だけ減衰されるようにする。
オーディオデバイスA2の出力調整が完了すると、上記騒音源が割り当てられたオーディオデバイスA1〜A3を同時に作動させて、第1〜第3のスピーカーS1〜S3から上記騒音源g1〜g3からの騒音に相当する音圧信号をそれぞれ出力させる(ステップS21)。
マイクロフォンMは、上記音圧信号の合成音である予測音を採取して、騒音対策効果推定装置20の音圧レベル算出手段21に送る。音圧レベル算出手段21では、上記予測音の音圧レベルT(1)を算出して音圧レベル記憶手段22に記憶する(ステップS22)。
次に、音圧レベル比較手段23にて、上記音圧レベル記憶手段22に記憶された再生音の音圧レベルT(0)と予測音の音圧レベルT(1)とを比較し(ステップS23)、騒音対策効果推定手段24にて、上記比較結果に基づいて、騒音源g1に対する騒音対策の良否を判定する(ステップS24)。
騒音対策の効果については、例えば、予測音の音圧レベルT(1)が再生音の音圧レベルT(0)よりも所定の大きさ(例えば、5dB)以上小さければ、有効な騒音対策効果が得られたものとすればよい。
騒音対策の効果が十分に得られなかった場合には、騒音対策を施す予定騒音源を新たに追加し(ステップS25)、再度騒音対策のシミュレーションを行う。具体的には、上記騒音源g1に加えて、次に音圧レベルの大きな騒音源g3についても、騒音対策する騒音源に指定し、上記第2のスピーカーS2の出力と上記第3のスピーカーS3の出力とを低減させるように、上記オーディオデバイスA2,A3の出力調整をし直す。
上記例において、予測音の音圧レベルT(1)が再生音の音圧レベルT(0)よりも5dB以上小さかった場合には、具体的には、図7(a)に示すように、工場の室外に設置された大型の空調室外機G1からの直接音のみを遮音する防音壁50を設けるだけで、観測点での騒音は大幅に低減されることが推定される。一方、予測音の音圧レベルT(1)の改善が5dB未満であった場合には、上記防音壁50を設けるだけは、観測点での騒音は十分には低減されないことが推定される。そこで、図7(b)に示すように、L字型の防音壁51を設けて、上記空調室外機G1からの騒音が上記倉庫G3へ伝搬しないようにした場合のシミュレーション(騒音源g1,g3の両方について騒音対策を行ったシミュレーション)を行って予測音の音圧レベルT(2)を求めることにより、上記L字型の防音壁51の効果を推定する。
なお、騒音源g3についても騒音対策した後の予測音の音圧レベルT(2)の改善が5dB未満であった場合には、工場の2階にある住居のベランダに設置された小型の空調室外機G2からの直接音の影響も無視できないことが推定されるので、工場の敷地全体を防音壁で囲うことも検討する必要があると考えられる。
このように、本実施の形態では、無響室11に設置される第1〜第4のスピーカーS1〜S4と、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4にそれぞれ接続され、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4に所定の音信号を送るオーディオデバイスA1〜A4と、所定の観測点で計測した複数の音源の音源方向と音圧信号の大きさとを含む音源データを記憶するデータ記憶手段12bと、上記データ記憶手段12bに記憶されている各音源の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号のデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に各音源の位置を表示した音源マップを作成するマップ作成手段12dと、上記音源マップを上記第1〜第4のスピーカーの配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域に分割するマップ分割手段12eと、上記割り当てられた音源の音源データに基づいてオーディオデバイスA1〜A4の出力調整を行う騒音源割り当て手段12fとを備え、上記割り当てられた音源の音源データに基づいて上記各スピーカーの出力を調整する出力調整手段とを備えた音再生装置10を用いて、上記観測点で観測した音を再生するようにしたので、実際に観測された音とほとんど同じ音を精度良く再生することができる。
また、互いに直交する2直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対(M1,M3)及びマイクロフォン対(M2,M4)を構成する計測用マイクロフォンM1〜M4と、上記計測用マイクロフォンM1〜M4の作る平面上にない位置に配置された計測用マイクロフォンM5を備え、上記各計測用マイクロフォンM1〜M5の位相差から音源方向を推定する音源位置推定システム30により推定した、所定の観測点Dで計測した複数の騒音源の音源データに基づいて、無響室11の前面11Fの上側中央の領域F1、下側中央の領域F2、左側の領域F3、及び、右側の領域F4にそれぞれ配置された第1〜第4のスピーカーS1〜S4から複数の騒音源からの音圧信号に相当する音を出力させて、上記観測点Dで観測される音を再生し、この再生音の音圧信号をマイクロフォンMで採取するとともに、騒音対策を施す予定の騒音源g1からの騒音に対応する音を出力する第2のスピーカーS2の出力を予定される騒音対策に応じた所定量小さくして、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4の合成音である予測音を採取し、上記再生音と上記予測音の大きさを比較して、上記騒音対策を施す予定の騒音源g1に対する騒音対策の効果を推定するようにしたので、膨大なデータを用いた複雑な計算をすることなく、騒音対策のシミュレーションを行うことができる。
なお、上記最良の形態では、音源を複数の騒音源とし、これらの騒音源に対して防音壁による音対策を施した例を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、音楽ホールなどの音響施設を改修する際に、改修前の音を複数のスピーカーを用いて再生するとともに、改修後の音を予測することにより、改修の影響をシミュレーションする場合などにも適用可能である。例えば、ホールの壁の材質を変えたり、壁の角度を変えたりする修復を行った場合の予測音をシミュレーションしたり、逆に、音をもっと聞き易くするためのホールの改修設計などに適用できる。
また、音再生装置10は、複数の方向から伝搬する音を、複数のスピーカーに割り振って観測音を再現するので、ステレオマイクで採取した音を再現する場合よりも観測音に近い音を再現することができるので、例えば、森の中の鳥の声などの環境音を再現するなど、騒音以外の音の再生にも適用可能であることはいうまでもない。
また、上記例では、マイクロフォンMと騒音対策効果推定装置20とを用いて騒音対策のシミュレーションを行ったが、上記再生音と上記予測音との比較を、聴感によって行ってもよい。人間の聴感による比較は、騒音の大きさそのものについてはマイクロフォンMを用いた場合よりも精度は落ちるが、気になる音がまだ聞こえている、といったような、快・不快などの騒音の質を考慮した比較を行う場合には聴感による比較の方が有効である場合もある。また、聴感による比較とマイクロフォンMで採取した騒音の音圧レベルの比較とを併用してもよい。
また、上記例では、騒音対策の効果が十分に得られなかった場合に、騒音源g3についても、騒音対策する騒音源に指定したが、上記騒音源g1の観測点側に構築した防音壁を高くするような騒音対策についてシミュレーションしてもよい。具体的には、スピーカーS1から出力されて、上記マイクロフォンMで観察される音圧データの大きさを更に2〜3dB減少させるように、上記オーディオデバイスA1を調整し直すようにすればよい。
また、上記例では、騒音源マップPの各領域に騒音源が1個乃至は0個の場合について説明したが、図8に示すように、上記各領域内P1〜P4に含まれる騒音源が複数個の場合であっても、上記複数個の騒音源の音源データを、上記各オーディオデバイスA1〜A4に割り当てればよい。例えば、前方下方の領域P2内には4個の騒音源g21,g22,g23,g24があるが、これらの騒音源g21,g22,g23,g24の音源データは、全て、上記第2のスピーカーS2が接続されているオーディオデバイスA2に割り当てられる。このように騒音源方向が複数ある場合には、上記騒音源g21,g22,g23,g24の方向と、マイクロフォンMから見た上記スピーカーS2の方向がすべて異なっているので、上記オーディオデバイスA2の出力調整は、上記騒音源g21,g22,g23,g24の方向とマイクロフォンMから見た上記スピーカーS2の方向との差に基づいて調整する必要がある。
また、上記例では、騒音対策を施す騒音源に対応するスピーカーからの出力を調整する際に、上記マイクロフォンMで観測される音圧データの大きさを5dBだけ減少させるようにしたが、便宜的に出力を0としてもよい。逆に、上記減少量を、上記騒音源に対して防音壁を構築した際の周波数毎の回折効果等を考慮して決定するようにすれば、シミュレーションの精度を更に向上させることができる。
また、上記例では、騒音源の方向として水平角θと仰角φとを用いたが、騒音源近傍に高い建物がなく、騒音源自体も地面に近い位置にしかないことが分かっている場合には、水平角θの実のデータであっても、十分にシミュレーション可能である。なお、この場合には、騒音源マップPにおいて、騒音源は全てφ=0のライン上におけばよい。
あるいは、上記騒音源データもしくは音源データを所定の観測点の周りの全方位(水平角θ=0°〜360°)で観測した複数の騒音源もしくは音源のデータとするとともに、スピーカーを無響室11の前面11Fだけでなく、左,右の面と後ろの面にも設置して、音観測点であるマイクロフォンMの位置を取り囲むようにし、観測点Dの周りの全方位から伝搬される音を再生するようにすれば、上記再生音を実際の観測点Dで観測された音に更に近づけることができるとともに、観測する位置を選ばずに上記観測点Dで観測された音を再現することができる。
すなわち、通常のステレオスピーカーによる再生音は、2つのマイクロフォン(ステレオマイク)で採取した音を、2つのスピーカーから出力しているため、再生音を観測する位置によって音がずれる(定位しない)が、本発明のように、音の発生方向をスピーカーに割り当てて出力すれば、再生音を観測する位置によって音がずれない(定位する)ので、観測する位置を選ばずに上記観測点Dで観測された音を再現することができる。
また、一般のスピーカーは低周波での特性が劣るので、低音用のスピーカー(ウーハー)を併用してもよい。なお、上記第2のスピーカーS2の下方の床に上記ウーハーを1台設置しただけでも十分である。
また、本発明は、固定音源からの音の再現や音対策のシミュレーションだけでなく、移動音源からの音の再現や音対策のシミュレーションも可能である。この場合には、移動音源の音源データを所定時間毎のフレームに分けて記憶しておき、再現する場合には、上記第1〜第4のスピーカーS1〜S4への音圧データの割り当て(実際には、オーディオデバイスA1〜A4への割り当て)に時間変化を持たせることにより、上記フレーム毎の音源データを時間順に再生すればよい。
また、上記例では、スピーカーの配置を先に決定し、騒音源をスピーカーに割り当てるようにしたが、騒音源マップPの各領域に騒音源が複数個あり、かつ、音圧レベルが同程度であるような場合には、その領域にスピーカーを複数個設置して再生音と予測音とを出力するようにすれば、シミュレーションの精度をさらに向上させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、騒音源が複数個である場合や、反射音の影響が大きい場合にも、防音壁の遮音効果を正確にシミュレーションすることができるので、防音壁の構築等の騒音対策を効果的にかつ効率良く行うことができる。
本発明の最良の形態に係る騒音対策のシミュレーションシステムの概要を示す図である。 本最良の形態に係る騒音対策のシミュレーション方法を示すフローチャートである。 本発明による騒音対策のシミュレーションに用いた騒音源の音源データを採取するための音源位置推定システムの構成を示す図である。 図3に示した音源位置推定システムにおけるマイクロフォンの配列を示す図である。 図3に示した音源位置推定システムを用いて作成した騒音源の位置を示す画像の一例を示す図である。 本最良の形態に係る騒音源マップの一例を示す図である。 防音壁の作製例を示す図である。 スピーカーへの騒音源の割り当て方法の他の例を示す図である。
符号の説明
10 音再生装置、11 無響室、S1〜S4 スピーカー、
A1〜A4 オーディオデバイス、M マイクロフォン、12 再生音制御装置、
12a 入力手段、12b データ記憶手段、12c 観測点選択手段、
12d マップ作成手段、12e マップ分割手段、12f 騒音源割り当て手段、
12g 割り当て変更手段、
20 騒音対策効果推定装置、21 音圧レベル算出手段、22 音圧レベル記憶手段、23 音圧レベル比較手段、24 騒音対策効果推定手段、
30 音源位置推定システム、M1〜M5 計測用マイクロフォン、
31 CCDカメラ、32 増幅器、33 A/D変換器、
34 ビデオ入出力ユニット、35 音源方向推定手段、36 画像合成手段、
37 音源位置表示手段、
40 マイクロフォンフレーム、41 測定用基台、42 支持部材、43 回転台。

Claims (9)

  1. 所定の観測点で観測した音を再生する音再生装置であって、
    上記観測点で計測した複数の音源の音源方向と音圧信号の大きさとを含む音源データを記憶するデータ記憶手段と、
    所定の位置に配置された複数のスピーカーと、
    上記データ記憶手段に記憶されている各音源の音源データを上記各スピーカーに割り当てる音源割当手段と、
    上記割り当てられた音源の音源データに基づいて上記各スピーカーの出力を調整する出力調整手段とを備え、
    上記音源割当手段が、
    上記データ記憶手段に記憶されている各音源の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号のデータとを用いて水平角と仰角とを座標軸としたマップ上に各音源の位置を表示した音源マップを作成するマップ作成手段と、
    上記音源マップを上記スピーカーの配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域に分割するマップ分割手段と、
    上記各スピーカーに、上記スピーカーに対応するスピーカー割り当て領域内にある音源の音源データを割り当てる割当手段とを備えることを特徴とする音再生装置
  2. 上記音源データを所定の観測点の周りの全方位で観測した複数の音源の音源データとするとともに、上記複数のスピーカーを、再生音を発生させる場所に設けられた音観測点を取り囲むように配置したことを特徴とする請求項1に記載の音再生装置。
  3. 音対策を施して音の伝搬状態を変化させる予定の音源を指定する手段と、上記指定された音源から到達する音の音圧レベルを上記予定している音対策に応じて変更する音圧レベル変更手段とを設けるとともに、上記出力調整手段は、上記指定された音源からの音を出力するスピーカーの出力を上記変更された音圧レベルに変更する出力調整を行って、音対策を施した際に観測されると予測される音を発生させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音再生装置。
  4. 上記スピーカーからの音を採取するマイクロフォンと、上記マイクロフォンで採取した音である再生音の音圧信号の大きさと上記データ記憶手段に記憶されている音源の音圧信号の大きさとを比較する比較手段とを設けるとともに、上記出力調整手段は上記比較手段の比較結果に基づいて各スピーカーの出力を調整することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の音再生装置。
  5. 上記音源データを、互いに交わる2つの直線上にそれぞれ所定の間隔で配置された2組のマイクロフォン対を有するマイクロフォン群と、上記2組のマイクロフォン対の作る平面上にない第5のマイクロフォンと、音源方向の映像を撮影する撮像手段と、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間のそれぞれの位相差を求め、この求められた2組のマイクロフォン対の位相差の比から音源方向の水平角を推定するとともに、上記2組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差と、上記第5のマイクロフォンと上記2組のマイクロフォン対を構成する4個のマイクロフォンのそれぞれとで構成される4組のマイクロフォン対を構成するマイクロフォン間の位相差とを用いて上記音源方向の仰角を推定する音源方向推定手段と、上記推定された音源方向の水平角及び仰角と上記撮影された音源方向の映像とから上記音源の位置を推定する音源位置推定システムを用いて測定された音源データとしたことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の音再生装置
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の音再生装置を用いて所定の観測点で計測した複数の音源のうちの特定の音源に音の伝搬状態を変化させる音対策を施した場合に観測される音をシミュレーションする方法であって、
    上記音源データとして、所定の観測点で計測した所定領域内の複数の音源位置の水平角のデータと仰角のデータと音圧信号のデータとから成る音源データを用い、横軸を上記水平角とし縦軸を上記仰角とした音源マップを作成する第1のステップと、
    上記音源マップを、上記スピーカーの配列状態に対応した複数のスピーカー割り当て領域に分割する第2のステップと、
    上記各スピーカーに、上記スピーカーに対応するスピーカー割り当て領域内にある音源を割り当てる第3のステップと、
    上記各スピーカーから、上記割り当てられた音圧信号の合成音である再生音を出力する第4のステップと、
    上記複数のスピーカーのうち、音対策を施す予定の音源を含むスピーカー割り当て領域内に対応するスピーカー領域のスピーカーの出力を変更する第5のステップと、
    上記出力が変更されたスピーカーを含む複数のスピーカーから出力される音の合成音である予測音を出力する第6のステップと、
    上記第4のステップで出力された再生音の大きさと上記第6のステップで出力された予測音とを比較する第7のステップと、
    上記第7のステップで比較した比較結果に基づいて、上記音対策を施す予定の音源に対する音対策の効果を推定する第8のステップとを備えたことを特徴とする音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法。
  7. 上記第1のステップで作成された音源マップは、上記音源方向の映像を撮影する撮像手段で撮影された映像に上記推定された音源位置を重ね合わせた画像に基づいて作成されたマップであることを特徴とする請求項に記載の音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法。
  8. 上記第8のステップにおいて、音対策が十分でないと判定された場合には、音対策を施す予定の音源を新たに指定し、上記音対策を施す予定の音源を含むスピーカー割り当て領域内に対応するスピーカー領域のスピーカーの出力を変更して、上記第6のステップに戻る第9のステップを更に設けたことを特徴とする請求項または請求項に記載の音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法。
  9. 上記各スピーカーからの合成音を採取するマイクロフォンを設け、上記マイクロフォンで採取した上記再生音の音圧レベルと上記予測音の音圧レベルとを比較することを特徴とする請求項〜請求項のいずれかに記載の音再生装置を用いた音対策のシミュレーション方法。
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