JP5246502B2 - リアクトル、及びコンバータ - Google Patents
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図1は、本発明リアクトルの概略を示す分解斜視図、図2は、このリアクトルの概略正面図であって、放熱台を切断した状態を示す。以下、図中の同一符号は同一名称物を示す。リアクトル1は、環状の磁性コア11と、磁性コア11の外周に配置されるコイル12とを有する組合体10と、組合体10が配置される放熱台13とを具える。リアクトル1は、この放熱台13を冷却ベースといった固定対象100(図2)に固定して利用される。このリアクトル1の特徴とするところは、放熱台13の形状にある。以下、各構成をより詳細に説明する。
磁性コア11は、コイル12が配置される一対の直方体状のコイル巻回部11cと、コイル12が配置されない一対の直方体状の端部コア(露出部)11eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部11cを挟むように端部コア11eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。この磁性コア11は、主として、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料から構成され、インダクタンスの調整のためにエアギャップやアルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材を具えてもよい。ここでは、コイル巻回部11cは、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体からなるコア片とギャップ材とを交互に積層して構成され、端部コア11eは、上記コア片から構成される。コア片とギャップ材、コア片同士は、例えば、接着剤などで一体に接合される。コア片の分割数やギャップの有無(個数)は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コイル巻回部11cや端部コア11eの形状は適宜選択することができる。例えば、コイル巻回部を円柱状としてもよいし、端部コア11eを特許文献2の図8に示すような湾曲面を有する形状としてU字状のコアとしてもよい。上記湾曲面を有するU字状のコアとすると、磁束を通過させ易く、端部コアを直方体状とすると、作製が容易である上に、上記U字状のコアにおける外方に出っ張った湾曲箇所が無いため、磁性コアをより小型にできる。
コイル12は、1本の連続する巻線を螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子12a,12bを具える。各コイル素子12a,12bは、上記各コイル巻回部11cにそれぞれ配置される。ここでは、巻線は、銅製の平角線の表面にエナメル被覆を具える被覆線を利用しているが、上記平角線以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。各コイル素子12a,12bは、上記被覆線をエッジワイズ巻きにして形成されている。また、両コイル素子12a,12bは、各コイル素子12a,12bの軸方向が平行するように横並びに配置され、図示しない巻返し部により連結されている。各コイル素子を別々の巻線にて作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとしてもよい。
上記磁性コア11とコイル12との組合体10は、放熱台13に搭載されている。放熱台13は、矩形の平板状であり、組合体10の一部が嵌め込まれる有底の凹部14を有している。ここでは、凹部14は、二つの矩形板状の仕切り部(組合体仕切り部)15a,15bより、凹部14の内部空間が三つの小空間に区切られている。小空間の一つは、コイル12の一部が嵌め込まれるコイル凹部140であり、残りの二つの小空間はそれぞれ、端部コア11eにおいてコイル巻回部11cよりも突出した突出箇所が嵌め込まれるコア凹部141,142である。
上記構成を具えるリアクトル1は、以下のようにして形成することができる。
上記構成を具えるリアクトル1は、放熱台13の一面が固定対象100に接するように固定対象100に配置され、挿通孔16にボルト200を挿通して固定対象100にねじ込むことで、固定対象100に固定されて使用される。
上記リアクトル1は、放熱台13を具えることで、ケースを具えるリアクトルと比較して軽量、小型である上に、放熱性に優れる。特に、放熱台13には、コイル12が嵌め込まれるコイル凹部140と、磁性コア11が嵌め込まれるコア凹部141,142とを具えることで、組合体10における凹部140,141,142に嵌め込まれた箇所から、コイル12や磁性コア11の熱を直接放熱台13に伝えて放出できるため、放熱性により優れる。かつ、リアクトル1は、凹部14に組合体10を嵌め込むことで、コイル12の両端面だけでなくコイル12の外側面をも容易に位置決めできる上に、磁性コア11をも容易に位置決めできることで、組立作業性にも優れる。また、コイル12だけでなく磁性コア11(特に、端部コア11e)をも凹部14に嵌め込まれる構成であることで、リアクトル1は、組み立てた後にもコイル12及び磁性コア11の双方の位置がずれ難い。更に、コイル12の両端面が位置決めされることで、コイルを圧縮状態に保持することができる。加えて、放熱台13により組合体10が一体化されることで、リアクトル1はハンドリング性にも優れ、固定作業などが行い易い。
上記実施形態1では、放熱台13として1種類の材料からなるものを利用したが、複数の材料を利用して形成された放熱台、例えば、金属板の表面を樹脂で被覆した放熱台を利用してもよい。
実施形態1では、組合体仕切り部15a,15bの端面150a,150bがコイル巻回部11cに接触する高さを有する構成としたが、コイル巻回部に接触しない高さとしてもよい。また、上記実施形態1では、コイル巻回部11cの外周にボビンを具えていない構成としたが、磁性コア11とコイル12との間にボビンを具えてもよい。ボビンの構成材料には、PPS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、LCPなどが利用できる。
図3は、本発明リアクトルに具える放熱台の変形例を示しており、(A)は、ボルト穴を有する放熱台の断面模式図、(B)は、ナット部を有する放熱台の断面模式図、(C)は、組合体の外形に沿った形状を有する放熱台の概略斜視図である。図3(A),(B)では、ボルト穴近傍やナット部近傍のみを示す。上記実施形態1では、放熱台13にボルト200が挿通される挿通孔16を具える構成としたが、図3(A)に示す放熱台13Aのように、ネジきりをしたボルト穴16Aを具えていてもよい。また、図3(B)に示す放熱台13Bのように、貫通孔16Bと共に、貫通孔16Bと同軸に配置されたナット210を具えた構成としてもよい。ナット210は、放熱台13Bを構成する樹脂などにより固定することができる。そして、固定対象100に貫通孔やボルト孔を設けておき、ボルト200をねじ込むことで、放熱台13A,13Bを固定対象100に固定することができる。或いは、図3(C)に示す放熱台13Cのように組合体の外形に沿った形状とし、ボルトが挿通されたりねじ込まれたりする孔の形成箇所(実施形態1のリアクトル1の放熱台13における四隅)を省略してもよい。放熱台13Cは、比較的厚く形成されており、図3(C)において放熱台13Cの下面に図3(A)に示すようなボルト穴(図示せず)が設けられている。このボルト穴の形成箇所は、コイル凹部140やコア凹部141,142の形成箇所に重複することから、放熱台13Cは実施形態1の放熱台13よりも載置面積が小さく、小型である。これらの放熱台13A,13B,13Cは、特に、固定対象100が回路基板といった比較的薄く、ネジきりが行い難い場合に好適に利用することができる。
上記実施形態1では、コイル凹部140及びコア凹部141,142をいずれも有底凹部としたが、コイル凹部を放熱台の一面から他面に抜ける貫通孔とし、更に、放熱台の厚さを調整して、この貫通孔からコイル12の載置面120が露出して、冷却ベースといった固定対象100に接触する構成としてもよい。また、端部コアの載置面とコイルの載置面とを面一とする場合、コイル凹部及びコア凹部の双方を貫通孔としてもよい。この構成では、貫通孔から露出したコイルの載置面や磁性コアの載置面を冷却ベースに直接接触させることができるため、コイルや磁性コアの熱を冷却ベースに効率よく伝達することができる。また、コイル凹部やコア凹部を貫通孔としても、組合体仕切り部が存在することで、放熱台を補強することができる。
上記実施形態1では、組合体仕切り部15a,15bがそれぞれ一つの矩形板状の部材から構成されている形態を説明したが、一つの組合体仕切り部として、複数の部材が離間して配置された形態としてもよい。各部材は、丸棒状や角棒状など、任意の形状が選択できる。また、上記実施形態1では、組合体仕切り部15a,15bにおける端部コア11eに対向する面の大きさが当該端部コア11eの大きさにほぼ等しい構成を説明したが、組合体仕切り部の大きさは適宜選択することができる。例えば、端部コアにおいてコイルの横並び方向の長さ(以下、端部コアの長さと呼ぶ)よりも小さい一つの突起が端部コアとコイルの端面との間に介在されるように放熱台に上記突起を具え、この突起を組合体仕切り部としてもよい。
図4は、本発明リアクトルに具える放熱台の変形例を示しており、(A)は、組合体仕切り部に切欠を具える例、(B)は、組合体仕切り部に凸部を具える例である。ここでは、放熱台のみを説明し、その他の構成は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。実施形態1では、放熱台13にコア凹部141,142を具えることで、磁性コア11のうち、特に端部コア11eの位置決めを行える構成を説明した。図4(A)に示す放熱台13Dのように、組合体仕切り部15a,15bに磁性コアのコイル巻回部が嵌め込まれる切欠155を具える構成としてもよい。切欠155にコイル巻回部が嵌め込まれることで、コイル巻回部の水平方向の位置決めを行うことができる。また、コイル凹部140の水平方向の長さと共に、切欠155の水平方向の形成位置を調整することで、コイルの内周面とコイル巻回部の外周面(特に、載置面及びその対向面に垂直な二面)との間に所定の隙間を設けることができる。更に、実施形態1で説明したようにコイル凹部140及びコア凹部141,142の深さを調整することで、コイルの内周面とコイル巻回部の外周面の全周との間に隙間を設けられる。従って、放熱台13Dを具えることで、ボビンを省略しても、絶縁性に優れる。
図5は、本発明リアクトルに具える別の放熱台を示す概略斜視図であり、図5(A)は、実施形態1よりも長い組合体仕切り部を具える例、図5(B)は、組合体仕切り部及び素子間仕切り部を具える例、図5(C)は、上記長い組合体仕切り部、及び素子間仕切り部を具える例を示す。ここでは、放熱台のみを説明し、その他の構成は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
実施形態1では、放熱台13に具えるコア凹部141,142の形状が磁性コア11の端部コア11eの外形に沿った構成を説明した。図5(A)に示す放熱台13αのように、コア凹部141α,142αは、端部コアの外形に沿っていなくてもよい。放熱台13αのコア凹部141α,142αは、一面が端部コアの長さに沿った大きさであり、この一面に対向する他面、即ち、組合体仕切り部15aα,15bαにおける端部コア側の面が端部コアの長さよりも長い。具体的には、組合体仕切り部15aαにおける端部コア側の面の長さが、組合体仕切り部15aαにおけるコイル側の面の長さに等しい。放熱台13αは、このような組合体仕切り部15aα,15bαを具えることで、実施形態1の放熱台13よりも反りが生じ難い。
実施形態1では、放熱台13に具えるコイル凹部140として、二つのコイル素子12a,12bが一緒に嵌め込まれる形態、即ち、二つのコイル素子12a,12bに対して一つのコイル凹部140を具える構成を説明した。図5(B)に示す放熱台13βのように、各コイル素子がそれぞれ嵌め込まれる一対のコイル凹部140a,140bを具える構成としてもよい。即ち、放熱台13βは、組合体仕切り部15a,15bに加えて別の仕切り部(素子間仕切り部15c)を具えており、実施形態1の放熱台13に具える一つのコイル凹部140の内部空間を素子間仕切り部15cにより二つの小空間に区切り、各小空間をコイル凹部140a,140bとする。素子間仕切り部15cは、コイル素子の軸方向に平行に配置され、放熱台13βに組合体を嵌め込んだ際、横並びされたコイル素子間に介在される。ここでは、素子間仕切り部15cは矩形板状である。
更に、図5(C)に示す放熱台13γのように、上述した放熱台13αの組合体仕切り部15aα,15bαと、放熱台13βの素子間仕切り部15cとを具える構成としてもよい。これらの仕切り部15aα,15bα,15cを具える放熱台13γは、反りを更に効果的に抑制することができる。
図6(A)は、実施形態1と異なる形状の磁性コアを具える本発明リアクトルの概略正面図、(B)は、このリアクトルに具える放熱台の概略斜視図である。図6(A)では、放熱台を切断した状態を示す。ここでは、実施形態1との相違点を中心に説明し、その他の構成は実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
図7(A)は、実施形態1とは固定構造が異なるリアクトルの概略正面図、(B)は、このリアクトルに具える放熱台の概略斜視図である。図7(A)では、放熱台を切断した状態を示す。実施形態1,2では、コイル12の軸方向が水平方向となるようにリアクトルを配置する形態を説明した。その他、図7(A)に示すリアクトル3のように、コイル12の軸方向が鉛直方向となるように固定対象100に固定することができる。リアクトル3の基本的構造は実施形態1のリアクトル1と同様であり、放熱台33の形状が異なる。以下、放熱台33を説明し、その他の構成は、説明を省略する。
10,20 組合体
11,21 磁性コア 11c,21c コイル巻回部 11e,21e 端部コア
110c,110e,210e 載置面 111e 対向面
12 コイル 12a,12b コイル素子 12i 内周面 120 載置面
13,13A,13B,13C,13D,13E,13α,13β,13γ,23,33 放熱台
14,24,34 凹部 140,140a,140b,240a,240b コイル凹部
141,142,141α,142α コア凹部
14b,141b,142b,24b,34b 底部
140s 側面
15a,15b,15aα,15bα 組合体仕切り部 15c,25c 素子間仕切り部
150a,150b 端面 155 切欠 156 凸部
16 挿通孔 16B 貫通孔 16A ボルト穴
23f,33f 支持面 35a,35b 仕切り部
100 固定対象 200 ボルト 210 ナット
Claims (7)
- 環状の磁性コアと、この磁性コアの外周に配置されるコイルとを具えるリアクトルであって、
前記磁性コアと前記コイルとの組合体が配置される放熱台を具えており、
前記磁性コアは、前記コイルが配置されるコイル巻回部と、前記コイルが配置されない露出部とを具えており、この露出部における前記放熱台側の面が前記コイル巻回部における前記放熱台側の面よりも突出しており、
前記放熱台は、前記組合体の一部が嵌め込まれる凹部を有しており、
前記凹部は、この凹部の内部空間を複数の小空間に仕切る仕切り部を具え、
前記小空間は、
前記コイルが嵌め込まれるコイル凹部と、
前記露出部における突出箇所が嵌め込まれるコア凹部とを有し、
前記仕切り部は、前記磁性コアの露出部と前記コイルの端面との間に介在される組合体仕切り部を有しており、
前記放熱台のうち、少なくとも前記組合体が配置される側の表面は、絶縁性材料で構成されていることを特徴とするリアクトル。 - 前記コイルは、前記磁性コアの外周に配置される一対のコイル素子を有しており、
前記凹部は、
前記仕切り部として、前記コイル素子間に介在される素子間仕切り部を有しており、
前記小空間として、前記各コイル素子がそれぞれ嵌め込まれてコイル素子の位置決めを行うコイル凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。 - 前記両コイル素子は、各コイル素子の軸方向が平行するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル。
- 前記組合体仕切り部は、
前記コイルの内周面が前記コイル巻回部に接触せず、かつ前記組合体仕切り部の端面が前記コイル巻回部に接する大きさであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記小空間の少なくとも一つは、底部を有する有底凹部であり、この有底凹部に嵌め込まれた前記組合体の一部が前記底部に接することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記小空間の少なくとも一つは、前記放熱台の一面から他面に貫通する貫通孔であり、この貫通孔に嵌め込まれた前記組合体の一部が前記貫通孔から露出しており、
前記組合体における露出した箇所は、前記放熱台の一面と面一であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリアクトルを用いたコンバータ。
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