JP5246132B2 - 液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の射出成形方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
図1に示す通り、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物は、材料として予めA液とB液の2液タイプに分割される。2液に分割された材料は材料供給ポンプ1から定量器2に供給される。定量器2からA液とB液が等質量又は等容量の割合で材料供給ラインを通じて合流する。材料のA液とB液はスタテイックミキサー3を使用し、プレ混合する。プレ混合された材料は射出成形機4のシリンダー部に供給され、定量しながら、スクリュー5によって、再度回転混合される。混合後、スクリュー5によって、ノズル6から金型7に射出され、金型7内で加熱され、硬化し、シリコーンゴムが成形される。
かかる点で、本発明は、ゲート先端部の直径(φ)を0.25mm以下とすることにより、脱圧工程を行わなくても、良好な成形を可能としたものである。即ち、金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)を適正範囲で小さくし、硬化した成形品とその硬化した成形品のゲート口に付着する未硬化状態の材料を切るようにすれば、脱圧工程を有せず、良好な成形品を得ることができる。金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)を適正範囲で小さくする場合、ゲート径(直径)がφ0.25mm以下、通常、φ0.10〜0.25mm、特にφ0.15〜0.25mmの範囲とすることが非常に有効である。
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合した水素原子(Si−H基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)BET法による比表面積が50m2/g以上であるヒュームドシリカ、
(D)付加反応触媒
を主成分としてなるものを好適に用いることができる。
本発明に使用される(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、通常、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物のベースポリマーとして使用されている公知のオルガノポリシロキサンであり、25℃で1〜100Pa・s、好ましくは5〜100Pa・s、より好ましくは10〜100Pa・sの粘度を有するものであることが望ましい。なお、粘度は回転粘度計等により測定できる。また、平均重合度は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度等として測定できる。
RaSiO(4-a)/2 (I)
で示される。
ここで、Rは独立にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル等のアルキル基、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル等のアルケニル基、フェニル、トリル、キシリル等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基などの非置換の一価炭化水素基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基等の上記一価炭化水素基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子やシアノ基で置換された置換アルキル基などの置換一価炭化水素基である。複数の置換基は、異なっていても同一であってもよいが、分子中にアルケニル基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個程度含んでいることが必要である。aは1.9〜2.4、好ましくは1.95〜2.05の範囲の数である。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基と(B)成分中の珪素原子結合水素原子(Si−H基)との付加(ヒドロシリル化)反応において、架橋剤として作用する成分である。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造等各種のものが使用可能であるが、珪素原子に結合した水素原子、即ちSi−H基を一分子中に少なくとも2個(通常2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば、3〜200個)、より好ましくは4〜100個含有することが必要である。(B)成分のSi−H基以外の珪素原子に結合した基は、前記平均組成式(I)の一価炭化水素基Rと同様の置換又は非置換の一価炭化水素基であるが、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を含有しないものが好ましく、特にメチル基及びフェニル基が好ましい。なお、(B)成分中の珪素原子数(又は重合度)は、通常2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のものを好適に使用することができる。
(C)成分であるヒュームドシリカは、シリコーンゴムに十分な強度を与えるために必須なものである。ヒュームドシリカのBET法による比表面積は、50m2/g以上、好ましくは100〜400m2/g、より好ましくは150〜350m2/gである。比表面積が50m2/gより小さいと十分な強度が得られないばかりか、ゴム成形品の外観も良くない場合がある。400m2/gより大きいと配合が困難になったりする場合がある。また、(C)成分のヒュームドシリカは、組成物にチキソトロピー性を付与し得る点においても有効な成分である。
なお、本発明においては、上記液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を2液型とすることができ、この場合、架橋剤としての(B)成分と付加反応触媒の(D)成分とが同一の組成物(A液又はB液)中に混在しないように各成分を適宜分割すればよく、例えば、(A)成分の一部、(C)成分の一部又は全部及び(D)成分を含有するA液と、(A)成分の残部、(B)成分及び場合により(C)成分の残部を含有するB液とからなる2液型の組成物とすることができ、等質量又は等容量で混合できるように調製することが好ましい。
本液状付加硬化型シリコーンゴム組成物は成形機ノズルから金型内を流れ、ゲート部を通過し、材料の先端はゲート先端部を通して高せん断速度状態(又は高せん断応力状態)でキャビテイ部へ短時間で充填される。キャビテイ部へ充填された材料は加熱硬化され、成形品(ゴム)を形成する。
射出工程終了後に、キャビテイ部へ充填された材料は硬化を開始するため、キャビテイ部やゲート先端部の流動抵抗が大きくなる。それによって、ゲート部(即ち、ゲート先端部を除くゲート内部)の材料のせん断速度が遅くなる。また、射出工程の開始時と終了時において、成形機ノズルから金型内を流れる材料は成形機ノズルの流動抵抗や金型内の流動抵抗により、ゲート部の材料のせん断速度が遅くなる。よって、以上の点から、ゲート部の材料は高せん断速度の状態から低せん断速度(又は低せん断応力)の状態になる。
ゲート先端部のシールは完全でないため、低せん断速度(又は低せん断応力)の状態で粘度が高い場合、シールから液状状態の材料の漏れが発生しない。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が30Pa・sである平均重合度が約750のジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量3×10-5mol/g]84質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された平均重合度が約230であり、側鎖に5モル%のビニル基(〔(CH3)(CH2=CH)SiO〕単位)を有するジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量6.5×10-4mol/g]5質量部、比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、アエロジル300)40質量部、ヘキサメチルジシラザン5質量部、水3質量部を室温で30分混合後、165℃に昇温し、3時間撹拌を続け、シリコーンゴムベースを得た。
上記と同様にして調製したシリコーンゴムベース258質量部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が30Pa・sである平均重合度が約750のジメチルポリシロキサン50質量部、架橋剤として側鎖に分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体[粘度0.018Pa・s、重合度40、Si−H基量0.0074mol/g]3.5質量部、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン[粘度0.016Pa・s、重合度20、Si−H基量0.0014mol/g]5.4質量部[Si−H基/アルケニル基=2.6]、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.10質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を適宜混合し、架橋剤と白金触媒とが混在しないようにA液とB液の2液タイプに分割し、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物1を調製した。
本A液とB液材料を等量(即ち、等容量、以下同じ)混合した混合物を精密回転式粘度計(Haake(株)製)のコーン&プレートの測定治具を使用し、23℃における各種せん断速度の粘度を測定した。その結果を表1に記した。
液状付加硬化型シリコーンゴム組成物1(A液とB液の2液タイプ)を材料供給ポンプにセットし、A液とB液材料を等量供給し、スタテイックミキサーでA液とB液の材料をプレ混合し、射出成形機のシリンダー部へ供給した。シリンダー部のスクリューでA液とB液の材料を回転混合した。オープンゲート方式金型へ混合物を射出し、150℃,60秒で硬化し、シリコーン成形体を得た。金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)はφ0.25mmであった。その成形体及びその成形体のゲート口(硬化状態及びゲート口への未硬化物の付着状態)を観察し、その結果を表2にまとめた。
実施例1において、金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)がφ0.30mmであった以外は同一の方法で、シリコーン成形体を得た。その成形体及びその成形体のゲート口を観察し、その結果を表3にまとめた。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が30Pa・sである平均重合度が約750のジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量3×10-5mol/g]90質量部、比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジル300)40質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部を室温(25℃)で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続けて冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
上記と同様にして調製したシリコーンゴムベース260質量部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が100Pa・sである平均重合度が約1,080のジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量2.5×10-5mol/g]120質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が1Pa・sである平均重合度が約50のジメチルポリシロキサン26質量部、架橋剤として分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体[粘度0.018Pa・s、重合度40、Si−H基量0.0053mol/g]3.9質量部、[Si−H基/アルケニル基=2.5]、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.10質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を適宜混合し、架橋剤と白金触媒とが混在しないようにA液とB液の2液タイプに分割し、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物2を調製した。
本A液とB液材料を等量混合した混合物を精密回転式粘度計(Haake(株)製)のコーン&プレートの測定治具を使用し、23℃における各種せん断速度の粘度を測定した。その結果を表1に記した。
液状付加硬化型シリコーンゴム組成物2(A液とB液の2液タイプ)を材料供給ポンプにセットし、A液とB液材料を等量供給し、スタテイックミキサーでA液とB液の材料をプレ混合し、射出成形機のシリンダー部へ供給した。シリンダー部のスクリューでA液とB液の材料を回転混合した。オープンゲート方式金型へ混合物を射出し、150℃,60秒で硬化し、シリコーン成形体を得た。金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)はφ0.25mmであった。その成形体及びその成形体のゲート口を観察し、その結果を表2にまとめた。
実施例2において、金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)がφ0.30mmであった以外は同一の方法で、シリコーン成形体を得た。その成形体及びその成形体のゲート口を観察し、その結果を表3にまとめた。
分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、メチルビニルシロキサン単位として側鎖ビニル基を平均約5個含有する平均重合度が約700の直鎖状ジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量9.4×10-5mol/g]100質量部、平均粒径5μmの結晶性シリカ50質量部、酸化鉄2質量部を均一に混合した後、架橋剤として分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体[粘度0.018Pa・s、重合度40、Si−H基量0.0074mol/g]0.05質量部、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン[粘度0.016Pa・s、重合度20、Si−H基量0.0014mol/g]4.3質量部[Si−H基/アルケニル基=1.1]、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.10質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を適宜混合し、架橋剤と白金触媒とが混在しないようにA液とB液の2液タイプに分割し、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物3を調製した。
本A液とB液材料を等量混合した混合物を精密回転式粘度計(Haake(株)製)のコーン&プレートの測定治具を使用し、23℃における各種せん断速度の粘度を測定した。その結果を表1に記した。
液状付加硬化型シリコーンゴム組成物3(A液とB液の2液タイプ)を材料供給ポンプにセットし、A液とB液材料を等量供給し、スタテイックミキサーでA液とB液の材料をプレ混合し、射出成形機のシリンダー部へ供給した。シリンダー部のスクリューでA液とB液の材料を回転混合した。オープンゲート方式金型へ混合物を射出し、150℃,60秒で硬化し、シリコーン成形体を得た。金型のゲート先端部の径(硬化した成形品のゲート径)はφ0.25mmであった。その成形体及びその成形体のゲート口を観察し、その結果を表3にまとめた。
2 定量器
3 スタテイックミキサー
4 射出成形機
5 スクリュー
6 ノズル
7 金型
8 ニードル
9 材料
10 断熱板
11 ヒーター
12 冷却水
13 ゲート部
14 ゲート先端部
15 キャビテイ部
Claims (1)
- オープンゲート方式の金型内に、23℃におけるせん断速度10s-1の粘度aとせん断速度100s-1の粘度bとの比(a/b)が2.5以上の流動性を有する液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を射出し、硬化してシリコーンゴム成形品を製造する方法であって、金型のゲート先端部の径をφ0.25mm以下とすることを特徴とするシリコーンゴム組成物の射出成形方法。
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