JP5243371B2 - ゲル状組成物 - Google Patents
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Description
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.2mmol/gの範囲である、セルロース繊維。
(B)ポリビニルピロリドン。
(C)水。
乾燥させたセルロース繊維を水に分散させ、0.01Nの塩化ナトリウム水溶液を加えて、充分に撹拌してセルロース繊維を分散させる。つぎに、0.1Nの塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加え、0.04Nの水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.1mlの速度で滴下し、得られたpH曲線から過剰の塩酸の中和点と、このセルロース繊維由来のカルボキシル基の中和点との差から、カルボキシル基量を算出することができる。
セルロース繊維(試料)を水に分散させ、酢酸酸性下で亜塩素酸ナトリウムを用いてアルデヒド基を全てカルボキシル基まで酸化させた試料のカルボキシル基量を測定し、酸化前のカルボキシル基量の差から、アルデヒド基量を算出することができる。
針葉樹パルプ20g(乾燥重量)に水1500ml、臭化ナトリウム2.5g、TEMPO(N−オキシル化合物)0.25gを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウム量が6.0mmol/gとなるように加え、pHを10.5に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながらpH変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維T1を得た。
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量および反応時間を、下記の表1に示すように変更する以外は、セルロース繊維T1の作製に準じて、各セルロース繊維を作製した。
特開2000−26229号公報に記載の実施例1に準じて、低結晶性セルロース微粒子を作製した。すなわち、平均重合度(DP)760の木材パルプを、−5℃で60重量%硫酸水溶液にセルロース濃度が4重量%になるように溶解してセルロースドープを得た。このセルロースドープを重量で2.5倍量の水中(5℃)に撹拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に凝集させ懸濁液を得た。この懸濁液を80℃の温度に達してから10分間加水分解し、つぎに洗液のpHが4以上になるまで充分に水洗と減圧脱水とを繰り返し、セルロース濃度6重量%のペースト状のセルロース微粒子の半透明白色ペースト状物を得た。さらに、このペーストを水でセルロース濃度5重量%に希釈し、ブレンダーで15000rpm以上の回転速度にて5分間混合し、低結晶性セルロース微粒子H3を含有する半透明白色ペースト状物を得た。
各セルロース繊維に水を加え、セルロースの固形分を1重量%とした。これを、超高圧ホモジナイザー(みずほ工業社製、MicrofluidizerM−110EH)を用いて分散させた後、水を加えて希釈し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、得られた画像から、各セルロース繊維の数平均繊維径、最大繊維径を測定した。なお、本方法で測定される最大繊維径、数平均繊維径は、後述の実施例で得られる、本発明のゲル状組成物中のセルロース繊維の最大繊維径、数平均繊維径と一致することを確認している。
セルロース繊維表面のカルボキシル基の定量は、電位差滴定により行った。すなわち、乾燥させた各セルロース繊維0.3gを水55mlに分散させ、0.01Nの塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて、充分に撹拌してセルロース繊維を分散させた。つぎに、0.1Nの塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加え、0.04Nの水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.1mlの速度で滴下し、得られたpH曲線から過剰の塩酸の中和点と、このセルロース繊維由来のカルボキシル基の中和点との差から、カルボキシル基量を算出した。
セルロース繊維(試料)表面のアルデヒド基の定量は、以下に示す方法により行った。すなわち、試料を水に分散させ、酢酸酸性下で亜塩素酸ナトリウムを用いてアルデヒド基を全てカルボキシル基まで酸化させた試料のカルボキシル基量を測定し、酸化前のカルボキシル基量の差から、アルデヒド基量を算出した。
上記各セルロース繊維に水を添加したスラリーの一部を乾燥、圧縮させて、シート状セルロースを作製した。そして、これを広角X線回折像測定した結果、回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークを持つことから、セルロースI型結晶構造を有することが確認された。また、上記各セルロース繊維を水に分散させ、0.1Nの塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加えた後、濾過と水洗を繰り返して、水分を完全に除去したサンプルにおいて、全反射式赤外分光スペクトル(ATR)解析した結果、カルボニル基に起因する吸収(1608cm-1付近)および酸型のカルボキシル基(COOH)に起因する吸収(1730cm-1付近)が存在することも確認された。このことから、上記セルロース繊維T1〜T3(実施例用)およびセルロース繊維H1,H2(比較例用)は、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が酸化されてなるカルボキシル基およびアルデヒド基も有することも確認された。
第一工業製薬社製、クリージャスK90
〔ポリビニルピロリドン(K値50)〕
第一工業製薬社製、クリージャスK50)
〔ポリビニルピロリドン(K値20)〕
特開2002−155108号公報に記載の方法に準じて、作製した。
〔ポリビニルピロリドン(K値15)〕
特開2002−155108号公報に記載の方法に準じて、作製した。
上記セルロース繊維T1(A成分)に、水(C成分)を加えてセルロース固形分4重量%に調製し、高圧分散機(スギノマシン社製、アルティマイザーHJP−25003、操作圧力150MPa)で1回処理して透明なゲル状物を得た。つぎに、このゲル状物に、B成分であるポリビニルピロリドン(K値90)および水(C成分)を加え、セルロース繊維(A成分)の含有量がゲル状組成物全体の0.3重量%、ポリビニルピロリドン(B成分)の含有量がゲル状組成物全体の5.0重量%となるように調製し、ホモミキサー(プライミクス社製、T.Kロボミックス、8,000rpm×1分)を用いて混合し、ゲル状組成物を調製した。
下記の表2および表3に示すように、セルロース繊維もしくはセルロース微粒子の種類、配合量もしくはポリビニルピロリドンのK値,配合量を変更する以外は、実施例1に準じて、ゲル状組成物を調製した。なお、比較例4〜6は、ポリビニルピロリドンを配合せず、これに代えて水を用いた(水を増量した)。表中のセルロース繊維およびポリビニルピロリドンの含有量は、ゲル状組成物全体中の含有割合(重量%)を示し、セルロース繊維およびポリビニルピロリドンの含有量を除く残量が、水の添加量(重量%)である(以下、同様)。
各ゲル状組成物の調製1日後の粘度を、BH型粘度計(80Pa・s未満:ローターNo.4、回転数2.5rpm、3分、25℃、80Pa・s以上:ローターNo.5、回転数2.5rpm、3分、25℃)を用いて測定した。粘度の評価は、40〜55Pa・sのものを○、55Pa・sを超えるものを◎、40Pa・s未満のものを×とした。
ゲルの光透過率は、可視紫外分光光度計(日立テクノロジーズ社製、U−1800形レシオビーム分光光度計)を用いて測定した。調製したゲル状組成物を光路長1cmの石英セルに充填し、波長660nmの光透過率を測定した。光透過率の評価は、70%T以上で85%T未満のものを○、85%以上のものを◎、70%T未満のものを×とした。
ゲル強度は、レオメーター(山電社製、クリープメータRE−3305)により評価した。すなわち、100mlビーカーにゲル状組成物を70g入れ、24時間以上放置したものを試料として用い、1mm/秒の速度で直径30mmの円柱形プランジャーにより圧力を加え、ゲルの歪率50%のときの応力を測定し、これをゲル強度とした。ゲル強度の評価は、10g/cm2 以上で15g/cm2 未満のものを○、15g/cm2 以上のものを◎、10g/cm2 未満のものを×とした。
下記の表4および表5に示すように、ポリビニルピロリドンのK値,配合量を変更する以外は、実施例1に準じて、ゲル状組成物を調製した。なお、比較例10品は、セルロース繊維を配合せず、これに代えて水を用いた(水を増量した)。
Claims (4)
- 下記の(A)〜(C)成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合がゲル状組成物全体の0.3〜3.0重量%の範囲であることを特徴とするゲル状組成物。
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.2mmol/gの範囲である、セルロース繊維。
(B)ポリビニルピロリドン。
(C)水。 - 上記(A)成分のセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものである請求項1記載のゲル状組成物。
- 上記(B)成分のK値が20以上で、(B)成分の含有割合がゲル状組成物全体の2.0〜20重量%の範囲であり、上記(A)成分および(B)成分を除いた残りが(C)成分からなる請求項1または2記載のゲル状組成物。
- 得られるゲルの強度が15g/cm2 以上であり、かつ660nmにおける光透過率が85%T以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル状組成物。
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