JP5239853B2 - 変異遺伝子の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遺伝子配列中の変異の特異的な検出方法及びそれに用いられるキットに関する。
例えばヒトの場合、病気の罹り易さ、薬の効き易さ、副作用の出易さ等が個体間で異なる原因の一つに、遺伝子の変異(遺伝子の塩基多型)が関与している場合がある。そこでこの遺伝子配列の違いに着目し、体質にあった治療法を探る研究が進められている。また、遺伝子の塩基多型は、多数の疾患の遺伝マーカーともなり得る。そのため、これら塩基多型の解明は臨床的に重要であり、夫々の変異型遺伝子を検出できる核酸配列分析法や、これら塩基多型の同定法の確立が望まれている。
また、感染症の診断分野においては、感染起因菌が遺伝子変異により薬剤耐性を獲得している場合がある。そのため、患者から検出した菌が、その薬剤に対する耐性を獲得しているか否かを判定するために、患者から検出した菌の遺伝子変異を検出することは、診断法上、及び治療法を選択する上で特に重要である。
例えば、ヒト型結核菌(マイコバクテリウム・ツベクローシス、Mycobacterium tuberculosis)のリファンピシン耐性の獲得には、マイコバクテリウム属のRNAポリメレースBサブユニット(RNA polymerase B subunit)をコードするrpoB遺伝子の変異が関与しており、リファンピシン耐性結核菌の約95%でrpoB遺伝子中に変異がみられることが明らかになっている。そこで、この遺伝子を検出して遺伝子変異の有無を判定すれば、その結核菌がリファンピシン耐性か否を判断することができる。
また、結核菌のリファンピシリン耐性に関わるrpoB遺伝子上での変異には、複数のパターンが報告されている(VIVEK KAPURら、J.Clin.Microbiol. 1994. p1095-1098))。そのため複数の変異遺伝子の同時検出を行うことができれば、診断の精度とスループット(一定期間に処理できる情報の量)の向上が期待できる。
結核菌については他の薬剤耐性に関わる遺伝子の変異についても検討され、夫々の変異の様式が明らかになりつつある。
変異を検出することが有効な他の例としては、MRSAの検出がある。即ち、メシチリン耐性ブドウ球菌(MRSA)はmec遺伝子をもっているので、mec遺伝子を検出すれば、この耐性化が分かる(MRSAの検出ができる)。
しかしながら、点突然変異や一塩基多型等の変異遺伝子の存在を検出するためには、膨大なゲノム塩基配列中のわずか一塩基の違いを検出する必要があることから、非常に高い特異性が要求される。
従来の一般的な核酸配列分析技術としては、例えば核酸配列決定法(シークエンシング法)、TaqManTMプローブ法(Genome Res., 第6巻, 第986頁, 1996)、RFLP(制限酵素切断長多型)法(J. Clin. Invest., 第72巻, 第1262頁, 1983)、ASP(アレル特異的プライマー)法(WO01/42498号)、ASO(アレル特異的オリゴプローブ)法(Nature, 第324巻, 第163頁, 1986)、一塩基伸長法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第94巻, 第10756頁, 1997)、Pyrosequencing法(Analytical Biochemistry, 第244巻,第367頁, 1997)、InvaderTM法(Nature Biotech., 第17巻, 第292頁, 1999)などが知られている。
これらのうち、核酸配列決定法、TaqManTMプローブ法、RFLP法、ASO法、一塩基伸長法、Pyrosequencing法等は、予め変異や多型を含む領域をポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)等の核酸増幅技術を利用して増幅しておいてから検出する手法である。そのため、まず特異的な増幅産物を得ることことが、バックグラウンドを低減させ鮮明なシグナルを得るために非常に重要である。
また、InvaderTM法は、原理的には増幅反応なしでも変異や多型の検出が可能とされている方法である。しかし、増幅反応なしで検出しようとしても感度が不足する場合が多く、実際には、他法と同様に予め検出すべき測定対象のヌクレオチドを特異的に増幅しておくことが重要である。
更に、ASP法は、約20塩基から成る変異DNA特異的オリゴヌクレオチドと、鋳型となるDNAを用いてPCRを行って、変異アレルを特異的に増幅した後、ゲル電気泳動を行い、変異アレルの存在をバンドとして検出する方法である。この方法は、多数の検体を効率よく検査するために適した方法ではある。
しかし、ASP法を含む上記した如き従来のPCRによる方法では、プライマーにミスマッチが存在する場合でもプライマー伸長産物が得られる場合があり、特異的な増幅産物を得ることが難しいことから、検出の厳密性に問題があった。
また、3'末端から2番目にSNP部位を有する多型特異プライマーが正確に多型を見分けるという知見をもとにASP法を改変した方法で、3'末端から2番目に対象遺伝子とは相補的ではない塩基を持つヌクレオシドを持ち、3'末端に検出したい多型部分を設定したプライマーを用いた方法がある。この方法では、3'末端から2番目に対象遺伝子と相補的な塩基を持つヌクレオシドをもつプライマーを用いた場合に比べ、3'末端に存在する多型部位の検出が改善されるという報告がある(非特許文献1)。しかし、この方法を用いた場合でも、プライマーの3'末端にミスマッチが存在してもプライマー伸長産物が得られることがあり、検出精度に問題があった。
更に、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列の3’末端を多型部に配置し、3’末端から3番目のヌクレオチドとして2’-O,4’-C-エチレンヌクレオチドユニットを用いたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる方法も報告されている(特許文献1)。
該文献では、3'末端から3番目のヌクレオチドが2'-0,4'-C-エチレンヌクレオチドユニットである、野生型配列に相補的なプライマーと(特許文献1の実施例1)、同じく3'末端から3番目のヌクレオチドが2'-0,4'-C-エチレンヌクレオチドユニットである、変異型配列に相補的なプライマー(特許文献1の実施例2)を用い、野生型試料を鋳型としてPCRを行っている(特許文献1の試験例1)。この場合、野生型由来DNA配列に相補的なプライマーを用いた場合には、遺伝子の増幅が確認され、変異型配列に相補的なプライマーを用いた場合には、遺伝子の増幅が確認されなかった。このことから、該文献では、この方法により選択的な遺伝子の増幅ができると述べている。
しかし、上記のような結果のみでは、野生型配列に相補的な該プライマーが野生型の検出に特異的であるとは断定できない。即ち、野生型配列に相補的なプライマーを用い、野生型由来DNA試料を鋳型としてPCRを行った場合にはプライマー伸長産物が得られるが、同じプライマーを用い、変異型由来DNA試料を鋳型としてPCRを行った場合にはプライマー伸長産物が得られなかった、という結果でなければ、該プライマーが野生型を特異的に検出できるものであることを証明したことにはならない。
実際、この方法で「変異型を増幅するプライマー」を用いて野生型遺伝子の試料についてPCRを行った場合に、プライマー伸長産物が得られてしまう(偽陽性の出現)という問題がある。即ち、このプライマーを用いて野生型か変異型かが不明な試料についてPCRを行って、プライマー伸長産物が得られたとしても、その試料が野生型か変異型かを判定することができないという問題がある。
上記問題が生じる原因は、以下の理由によると考えられる。即ち、PCRに用いられる耐熱性DNAポリメラーゼは、5'→3'ポリメラーゼ活性とともに3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を持っている。そのため、野生型遺伝子を含む試料に変異型を増幅するプライマーが結合した場合、プライマーの3'末端に配置された変異ヌクレオチド遺伝子と同じか又はこれと相補的なヌクレオチド塩基が、PCRの段階で、耐熱性DNAポリメラーゼの持つ3'→5'エキソヌクレアーゼ活性により切断されてしまう。そのため、当該プライマーの3'末端が、本来ならば認識しないはずの野生型試料の遺伝子配列を完全に認識し、DNAポリメラーゼの働きによるプライマー配列からの伸長反応が開始される。その結果、変異型を増幅するプライマーを用いたはずなのに、野生型遺伝子を含む試料を鋳型としてPCRを行ってもプライマー伸長産物が得られてしまうというような、非特異的な増幅が生じてしまうためだと考えられる。
また、一般に特異性とは陰性を陰性と判定する能力と定義される。そこで、核酸増幅反応を利用した変異や多型の解析において特異性を向上させる方法としては、非特異的増幅(偽陽性出現)を抑制する方法が考えられる。そのための手段として、増幅条件(アニール温度を高める、サイクル数の減少、酵素量の減量、酵素の種類変更、dNTP濃度の減少、Mg濃度の減少、鋳型DNA濃度の減少など)の至適化、プライマーのデザイン変更、抗体やアプタマーを利用したホット・スタート法の利用、特異性が高まるとされる修飾オリゴヌクレオチド(PNAやLNAなど)の利用などが考えられる。しかし、これらの手段は非特異増幅の抑制に有効な場合もあるものの、効果が十分でなかったり、特異的な増幅まで抑制されることが多く、それぞれ欠点があった。
以上のことから、偽陽性を排除した、特異性の高い核酸配列変異を検出する方法の確立が望まれている現状にあった。
特開2005−323583号公報 特開平5-271224号公報 Bloorganic&Medical Chemistry、2003年、第11巻、p.2211-2226 VIVEK KAPUR et.al., J.Clin.Microbiol., vol.32, No.4, 1994. p1095-1098 Koji Morita et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, vol.12, 2002, p.73-76
本発明は、特異性の向上した遺伝子配列中の変異の検出方法および遺伝子多型検出用キットを提供することを課題とするものである。
本発明は上記課題を解決する目的で成されたもので、下記(I)及び(II)の構成を含んでなる。
(I)下記(a)〜(d)の何れかに記載のオリゴヌクレオチド又はその塩をプライマーとして用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行い、反応産物を検出することを特徴とする、核酸配列変異の検出方法、
(a)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5'側に向け
ての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(b)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを
有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3'側に向
けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(c)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から5'側に向けての対象遺
伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(d)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての対象
遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩。
(II)下記(a)〜(d)の何れかに記載のオリゴヌクレオチド又はその塩をプライマーとして含んでなる、核酸配列変異の検出用キット、
(a)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5'側に向け
ての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(b)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3'側に向
けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(c)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から5'側に向けての対象遺
伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を 有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(d)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての対象
遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩。
本発明者は、遺伝子変異の検出方法に関する、上記した如き従来の問題点を解決すべく検討を行った。その結果、遺伝子変異箇所を3'末端に設計した上で、さらに3'末端から2番目に核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド(ヌクレオチドアナログ体と記載する場合もある。)を配置したオリゴヌクレオチドを設計した。そしてこのオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして用いた場合には、前記したような、例えばPCRに使用するDNAポリメラーゼの3'→5'エキソヌクレアーゼ活性による1塩基欠落が生じた場合に鋳型の誤読が起こる等の問題点を全て解決し、偽陽性となるプライマー伸長産物の出現を抑制し、精度の高い遺伝子変異検出が可能となることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明の検出方法は、例えば結核症診断(治療)では必須とされている菌の耐性を調べる薬剤感受性試験に利用できる。特に、in-Line(On chip PCRシステム)での分離検出法を利用することにより、1チューブ(1ライン)内で結核菌および非結核性抗酸菌症の遺伝子診断と薬剤耐性判定を、遺伝子診断項目として同時に行うことができるという点で、大きな効果がある。
特に、結核菌ではリファンピシン耐性菌の 90〜95%にrpoB の変異がある。そこで、本発明の検出方法を実施すれば、患者結核菌の変異を短時間で検出できる。そうすれば、患者がリファンピシン耐性菌感染か否か迅速に判定し、対処することが可能となる。また、本発明によれば、リファンピシン耐性菌における複数のrpoB遺伝子上の変異の可能性を一度に検出、判定することができる。
実施例1で得られた、プライマーrpoB_2を用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 実施例1で得られた、プライマーrpoB_2を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 比較例1で得られた、プライマーrpoB_2_n3を用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 比較例1で得られた、プライマーrpoB_2_n3を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 実施例2で得られた、プライマーrpoB_6を用い、変異型rpoB遺伝子配列_6を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 実施例2で得られた、プライマーrpoB_6を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 実施例3で得られた、プライマーrpoB_2、プライマーrpoB_3及びプライマーrpoB_4の混合プライマーを用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 実施例3で得られた、実施例3で得られた、プライマーrpoB_2、プライマーrpoB_3及びプライマーrpoB_4の混合プライマーを用い、変異型rpoB遺伝子配列_3を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 実施例3で得られた、プライマーrpoB_2、プライマーrpoB_3及びプライマーrpoB_4の混合プライマーを用い、変異型rpoB遺伝子配列_4を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。 比較例2で得られた、プライマーrpoB_2、プライマーrpoB_3及びプライマーrpoB_4の混合プライマーを用い、野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いた、インターカレーター法によるリアルタイムPCRの結果をもとに得られた融解曲線解析の結果である。
本発明に係る核酸配列変異の検出方法は、
「下記(a)〜(d)の何れかに記載のオリゴヌクレオチド又はその塩をプライマーとして用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行い、反応産物を検出することを特徴とする、核酸配列変異の検出方法、
(a)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5'側に向け
ての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を 有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(b)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを
有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3'側に向
けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(c)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から5'側に向けての対象遺
伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(d)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての対象
遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩。」
である。
本発明に於いて、「核酸配列変異」としては、例えば「遺伝子多型」が挙げられる。「遺伝子多型」とは、この分野で用いられる通常の意味で用いられ、SNP(スニップ:single nucleotide polymorphism)ともいわれるものである。
具体的には、例えばある遺伝子において、そのうちの1個の塩基が他の塩基に置き換わっている一塩基置換、1個の塩基が欠損している一塩基欠損、1個の塩基が挿入している一塩基挿入等が挙げられる。
尚、本発明において、変異及び塩基多型とは、野生型とは異なる核酸配列を有することをいう。一般に頻度が1%未満のものを変異、1%以上のものを多型と呼び分けることがあるが、ここでは厳密な使い分けを意図するものではない。
本発明に係る「対象遺伝子」としては、核酸配列変異を検出する対象となる遺伝子であり、そのヌクレオチド配列の少なくとも一部が知られており、且つそのヌクレオチド配列の変異が存在する遺伝子が挙げられる。具体的には、例えばヒト型結核菌のrpoB遺伝子(非特許文献2)、シトクロムP4501A2、シトクロムP4502A6、シトクロムP4502C9、シトクロムP4502C19、シトクロムP4502D6、シトクロムP4502E1、チオリンメチルトランスフェラーゼ、N一アセチルトランスフェラーゼ、UDP―グルクウロノシルトランスフェラーゼ、グルタチオンS一トランスフェラーゼ、HLA、TCRα、APOE4、ドーパミンD3受容体、トリプトファン水酸化酵素、アンジオテンシン前駆体、血液凝固因子VII、レプチン等の遺伝子が挙げられる。
なお、遺伝子中の変異の数は特に限定されない。
本発明において、変異(置換)、欠失、挿入等の、本発明でいう「核酸配列変異」が起きていないヌクレオチド配列(例えば、野生型菌の遺伝子のヌクレオチド配列等)を「基準配列」という。また、その基準配列中の、変異が起き得る部位のヌクレオチドを「基準ヌクレオチド」という。また、「変異ヌクレオチド」とは、基準配列に対して変異が起きている配列の、変異部分のヌクレオチドをいう。
本発明における「相補的なヌクレオチド」とは、通常この分野で用いられている意味で用いられる。即ち、そのヌクレオチドを構成する核酸塩基が、対象となるヌクレオチドの塩基と相補するヌクレオチドをいう。
また、本発明に於いて、ヌクレオチドを構成する核酸塩基を、本発明の分野で通常用いられる略号で(アデニンを「A」、グアニンを「G」、シトシンを「C」、チミンを「T」)示す場合がある。
本発明に係る「オリゴヌクレオチド又はその塩」の「塩」としては、例えばナトリウム,カリウム,リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム,鉄,亜鉛,銅,ニッケル,コバルト等の金属との塩、アンモニウム塩等の無機塩、t一オクチルアミン,ジベンジルアミン,モルホリン,エチレンジアミン,N一メチルグルカミン,グアニジン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,ジシクロヘキシルアミン,N,N'一ジベンジルエチレンジアミン,クロロプロカイン,プロカイン,ジエタノールアミン,N−ベンジル−フエネチルアミン,ピペラジン,テトラメチルアンモニウム,トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン)等のアミンとの塩等の有機酸塩、及びグリシン,リジン,アルギニン,オルニチン,グルタミン酸,アスパラギン酸等のアミノ酸との塩等が挙げられる。
本発明に係る「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド」において、「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有する」とは、例えばヌクレオチドを構成する通常の2-デオキシ-D-リボースの代わりに「核酸合成反応を阻止し得る」構造の、例えばリボース誘導体又はオキセタン誘導体を用いることを意味する。そして、このような修飾を有するヌクレオチド又はその塩は、それを3'末端に結合させたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて後述する核酸増幅反応を行った場合に、核酸合成反応が阻止され、複製物(増幅産物)が得られないものである。
本発明に係る「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド」の具体例としては、例えば下記式[I]

Figure 0005239853
(式中、Bは核酸塩基を示し、Rは酸素原子、-NH-基又は低級アルキレン基を示し、 は低級アルキレン基を示す。
又は下記式[II]

Figure 0005239853
(式中、Bは核酸塩基を示し、Rは酸素原子、窒素原子、-NH-基、又は低級アルキレン基を示す。)
で示されるヌクレオチド誘導体が挙げられる。
上記式[I]及び式[II]において、R、R及びRで示される低級アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる(直鎖状、分枝状又は環状の何れにても良い。)。
本発明に係る、式[I]で示される、核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドの具体例を下記表1に示す。
Figure 0005239853
また、本発明に係る、式[II]で示される核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドの具体例を下記表2に示す。
Figure 0005239853
本発明に係る、式[I]で示される「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド」は、例えばKoji Morita et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, vol.12, 2002, p.73-76(非特許文献3)に記載された合成方法に準じて、適当な材料を用いて合成することができる。尚、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids(ENA)は市販品もあるので、それを用いてもよい。
また、本発明に係る、式[II]で示される「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド」は、例えば特開平5-271224号公報(特許文献2)に記載されたオキセタン環含有ヌクレオシド誘導体の合成方法に準じて、適当な材料を用いて合成することができる。
尚、本発明に係る「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド」とは、前記した如き性質を持っているものであればどのようなものでも用いることができ、上記表1及び表2に示したヌクレオチドに限定されるものではない。
本発明に係るプライマーとしては、
(a)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5'側に向け
ての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩(以下、「プライマーa」と呼ぶ場合がある。)、
(b)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3'側に向
けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩(以下、「プライマーb」と呼ぶ場合がある。)、
(c)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から5'側に向けての対象遺
伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩(以下、「プライマーc」と呼ぶ場合がある。)、又は
(d)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての対象
遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩(以下、「プライマーd」と呼ぶ場合がある。)、
が挙げられる。
本発明に係るプライマーは、例えば、プライマーaを設計する場合を例に取ると、検出対象の遺伝子変異(例えば遺伝子多型)に係る変異ヌクレオチドを3'末端に配置させ、3'末端から2番目のヌクレオチドとして、上記した如き核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドを配置させる以外は、検出対象の変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5'側に向けての、前記対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ核酸配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドの中から、解離温度(Tm値)などを考慮して、適当な領域の適当な長さのものを設計すればよい。
また、プライマーbを設計する場合は、検出対象の遺伝子(例えば遺伝子多型)の変異ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを3'末端に配置させ、それ以外のオリゴヌクレオチド部分は、検出対象の変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての、前記対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な核酸配列の一部若しくは全部を含有するオリゴヌクレオチドであって、3'末端から2番目のヌクレオチドは、上記した如き核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドである、当該オリゴヌクレオチドの中から、解離温度(Tm値)などを考慮して、適当な領域の適当な長さのものを設計すればよい。
更に、プライマーcを設計する場合は、「対象遺伝子上の、変異が起き得る部位の基準ヌクレオチド」と同じヌクレオチドを3'末端部位に配置させ、3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列(基準配列)と同じであって、前記対象遺伝子上の、基準ヌクレオチドのある位置から5'側に向けての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するオリゴヌクレオチドの中から、解離温度(Tm値)などを考慮して、適当な領域の適当な長さのものを設計すればよい。
更にまた、プライマーdを設計する場合は、「対象遺伝子上の、変異が起き得る部位の基準ヌクレオチド」に相補的なヌクレオチドを3'末端部位に配置させ、3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列(基準配列)に相補的であって、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するオリゴヌクレオチドの中から、解離温度(Tm値)などを考慮して、適当な領域の適当な長さのものを設計すればよい。
本発明に係るプライマーの長さとしては、好ましくはプライマー配列としての特異性を維持するために必要な塩基数と考えられている、10塩基以上、さらに好ましくは20塩基以上の長さを有しているものが挙げられる。例えば15〜30塩基からなるものが挙げられる。
本発明に係るプライマーを得るには、前記した方法で得た本発明に係る核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドと、通常のヌクレオチドを用い、自体公知の化学合成法により調製するのが望ましい。この方法で、容易、大量且つ安価に一定品質のオリゴヌクレオチドを得ることが可能である。
例えば、DNAの合成に通常行われている、DNAシンセサイザーを用い、通常のホスホアミダイト法にてオリゴヌクレオチドを合成し、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを用いる常法により精製すれば、目的とする本発明のオリゴヌクレオチドを得ることができる。
尚、本発明に係る「核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチド」を有するオリゴヌクレオチドは、核酸合成を専門に行う業者のカスタムサービスを利用して入手できる。
本発明に係る核酸配列変異の検出方法の原理を以下に説明する。
<原理1>本発明に係るプライマーa又はプライマーbを用いる場合
例えば一塩基変異の核酸配列変異を検出したい場合、前記プライマーa又はプライマーb、及び該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを、試料(核酸配列変異を検出しようとするヌクレオチド配列を含む核酸)と反応液中で核酸増幅反応を起こさせる。すると、プライマーa又はプライマーbの3'末端が一致する(塩基が相補的である)場合、即ち一塩基変異がある場合には、核酸増幅反応が起こる。しかし、3'末端が一致しない(塩基が相補的でない)場合、即ち、一塩基置換がない場合には、核酸増幅反応は起こらない。
<原理2>本発明に係るプライマーc又はプライマーdを用いる場合
例えば一塩基変異の核酸配列変異を検出したい場合、前記プライマーc又はプライマーd、及び該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを、試料(核酸配列変異を検出しようとするヌクレオチド配列を含む核酸)と反応液中で核酸増幅反応を起こさせる。すると、プライマーc又はプライマーdの3'末端が一致する(塩基が相補的である)場合、即ち検出対象の基準ヌクレオチドと同じ塩基である場合には、核酸増幅反応が起こる。しかし、3'末端が一致しない(塩基が相補的でない)場合、即ち、一塩基変異がある場合には、核酸増幅反応は起こらない。
例えば検出すべき遺伝子多型として、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の変異に注目し、上記した<原理1>に従い検出を行う場合に使用するプライマーaは、次のように設定すればよい。
即ち、検出すべきrpoB遺伝子変異について、(i)変異した塩基を持つ変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドがプライマーの3'末端に来るように、そして、(ii)プライマーの3'末端部位以外の部位は、前記変異ヌクレオチドが存在し得るrpoB遺伝子上の位置から5'側に向けてのrpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、且つ(iii)プライマーの3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を有する、オリゴヌクレオチド又はその塩になるように設計すればよい。
また、例えば検出すべき遺伝子多型として、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の変異に注目し、上記した<原理2>に従い、検出を行う場合のプライマーcは、次のように設定すればよい。
即ち、(i)3'末端部位にrpoB遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、(ii)プライマーの3'末端部位以外の部位は、rpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、前記基準ヌクレオチドの前記rpoB遺伝子上の位置から5'側に向けてのrpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、且つ(iii)プライマーの3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を有する、オリゴヌクレオチド又はその塩、になるように設計すればよい。
本発明に係るプライマーを設計する方法として、例えば<原理1>の方法でrpoB遺伝子の変異を検出するための、プライマーaを設計する具体例を、以下に説明する。
ヒト型結核菌rpoB遺伝子及びそのリファンピシン耐性(RFP耐性)の変異の種類及びその遺伝子上の位置が、VIVEK KAPUR et.al., J.Clin.Microbiol., vol.32, No.4, 1994. p1095-1098(非特許文献2)のFIG.1に記載されているので、このFIG.1の記載を参考にして、まず一塩基変異を含む配列を設定する。
例えば、野生型のヒト型結核菌のrpoB遺伝子では、511〜533番目のアミノ酸をコードする69塩基対のオリゴヌクレオチド部分に変異がある場合がある。
野生型のヒト型結核菌の、その69塩基対のオリゴヌクレオチド配列を含む下記配列番号1で表される塩基配列を、以下「野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列」とする。上記したrpoB遺伝子の511〜533番目のアミノ酸をコードする69塩基対のオリゴヌクレオチド部分の塩基配列は、配列番号1で表される塩基配列の5’末端ヌクレオチドから69番目のヌクレオチドまでの塩基配列に相当する。
5'-CTGAGCCAATTCATGGACCAGAACAACCCGCTGTCGGGGTTGACCCACAAGCGCCGACTGTCGGCGCTGGGG-3'(配列番号1)
そして、この部分の変異の一つとして、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列では、上記配列番号1の配列の5'末端から46番目の塩基「C」(シトシン)が、「T」(チミン)となる変異がある。そこで、この変異が3'末端に来るように(即ち、3'末端が「T」になるように)、またその他の部位は野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列上の前記46番目の塩基から5'側に向けての、野生型のrpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列なるように、なお且つプライマーとして機能する長さの、以下の配列のオリゴヌクレオチドが設計できる。下線を引いた塩基が、変異した塩基に対応する。
5'-GCTGTCGGGGTTGACCT-3'(配列番号7)
次いで、上記配列の3'末端から2番目の塩基「C」を、「本発明に係る核酸合成反応を阻止し得る修飾」を有する「C」に設計する。これを以下、「プライマーrpoB_2」とする。
このプライマーを用いた核酸増幅反応(PCR)を行えば、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列の46番目の塩基「C」→「T」の変異の有無を検出できる。
また、別の変異の例として、配列番号1のオリゴヌクレオチドについて、野生型のrpoB遺伝子ではその5'末端から68番目の塩基「T」が、「C」となる変異がある。そこで、この変異が3'末端に来るように(即ち、3'末端が「C」になるように)、またその他の部位は野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列上の前記68番目の塩基から5'側に向けての、野生型のrpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列となるように、なお且つプライマーとして機能する長さの、以下の配列のオリゴヌクレオチドが設計できる。下線を引いた塩基が、変異した塩基に対応する。
5'-CCGACTGTCGGCGCC-3'(配列番号8)
次いで、上記配列の3'末端から2番目の塩基「C」を、「本発明に係る核酸合成反応を阻止し得る修飾」を有する「C」に設計する。これを以下、「プライマーrpoB_6」とする。
このプライマーを用いた核酸増幅反応(PCR)を行えば、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列の68番目の塩基「T」→「C」の変異の有無を検出できる。
更に、別の変異の例として、配列番号1のオリゴヌクレオチドについて、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列ではその5'末端から46番目の塩基「C」が、「G」(グアニン)となる変異がある。そこで、この変異が3'末端に来るように(即ち、3'末端が「G」になるように)、またその他の部位は野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列上の前記46番目の塩基から5'側に向けての、野生型のrpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列となるように、なお且つプライマーとして機能する長さの、以下の配列のオリゴヌクレオチドが設計できる。下線を引いた塩基が、変異した塩基に対応する。
5'-GCTGTCGGGGTTGACCG-3'(配列番号9)
次いで、上記配列の3'末端から2番目の塩基「C」を、「本発明に係る核酸合成反応を阻止し得る修飾」を有する「C」に設計する。これを以下、「プライマーrpoB_3」とする。
このプライマーを用いた核酸増幅反応(PCR)を行えば、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列の46番目の塩基「C」→「G」の変異の有無を検出できる。
更にまた、別の変異の例として、配列番号1のオリゴヌクレオチドについて、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列ではその5'末端から47番目の塩基「A」(アデニン)が、「T」となる変異がある。そこで、この変異が3'末端に来るように(即ち、3'末端が「T」になるように)、またその他の部位は野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列上の前記47番目の塩基から5'側に向けての、野生型のrpoB遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列となるように、なお且つプライマーとして機能する長さの、以下の配列のオリゴヌクレオチドが設計できる。下線を引いた塩基が、変異した塩基に対応する。
5'-CTGTCGGGGTTGACCCT-3'(配列番号10)
次いで、上記配列の3'末端から2番目の塩基「C」を、「本発明に係る核酸合成反応を阻止し得る修飾」を有する「C」に設計する。これを以下、「プライマーrpoB_4」とする。
このプライマーを用いた核酸増幅反応(PCR)を行えば、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列の47番目の塩基「A」→「T」の変異の有無を検出できる。
上記は、本発明に係るプライマーを設計する方法の一例に過ぎず、他の変異を検出する際には、前記したとおりの構造の本発明に係る(a)〜(d)のオリゴヌクレオチド又はその塩、を設計すればよい。
尚、本発明に係るプライマーは、標識物質で標識されていてもよい。
本発明に係るプライマーを標識物質で標識するために用いられる標識物質としては、放射性同位体や酵素、蛍光物質、発光物質、ビオチンなど公知の標識物質であれば何れも用いることができる。
例えば、放射性同位体としては32P,33P,35S等、酵素としてはアルカリホスファターゼ,西洋ワサビペルオキシダーゼ等、蛍光物質としてはCyanine Dye系のCy3,Cy5(アマシャムバイオサイエンス株式会社)、フルオレセイン等、発光物質としてはAcridinium Esterを含む化学発光試薬等が挙げられる。
本発明に係るプライマーを放射性同位体により標識する場合は、プライマーを合成する際に、放射性同位体で標識されたヌクレオチドを取り込ませることによって、プライマーを標識する方法や、プライマーを合成した後、放射性同位体で標識する方法等が挙げられる。具体的には、一般によく用いられているランダムプライマー法、ニックトランスレーション法、T4ポリヌクレオチド キナーゼによる5'−末端標識法、ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを用いた3'−末端標識法、RNAラベリング法等が挙げられる。
本発明に係るプライマーを酵素で標識する場合は、アルカリホスファターゼ,西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素分子を、標識するプライマーに直接共有結合させる等の、この分野に於ける常法である直接標識法を用いればよい。
本発明に係るプライマーを蛍光物質で標識する場合は、例えばフルオレセイン標識したヌクレオチドをこの分野に於ける常法の標識手法によりプライマーに取り込ませればよい。また、リンカーアームを有するヌクレオチドを配列のオリゴヌクレオチドの一員として置換する方法(例えば、Nucleic Acids Res.,1986年, 第14巻, p.6115参照)でもヌクレオチドを蛍光物質で標識することができる。その場合、5位にリンカーアームを有するウリジンを特開昭60-500717 号公報に開示された合成法によりデオキシウリジンから化学合成し、上記オリゴヌクレオチド鎖に蛍光物質を導入する方法もある。
本発明に係るプライマーを発光物質で標識する方法及びビオチンで標識する方法は、通常この分野で行われているヌクレオチドを発光標識又はビオチン標識する常法に従って行えばよい。
上記した如き本発明に係るプライマーと対になって、核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーは、検出対象の公知の遺伝子配列の中から目的の変異配列部分を含む可能性のある配列(目的配列部分)を増幅できるような適当なオリゴヌクレオチドである。
本発明に係る、「本発明に係るオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた核酸増幅反応を行う際に、該オリゴヌクレオチドプライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマー」を設計する方法、及びそれを得る方法としては、例えば、Primer3(Whitehead Institute for Biomedical Research)等のプライマー予測ソフトを利用して、本発明に係るプライマーとの干渉反応を防止するように工夫して設計する方法がある。
また、使用可能な場合には、上記した如き「本発明に係るオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた、核酸増幅反応を行う際に、該オリゴヌクレオチドプライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できる」性質を持っているオリゴヌクレオチドプライマーであって、通常この分野で使用されるものを用いることができる。各種プライマーが市販されているので(例えばM13フォワードプライマー、タカラバイオ社製等)、それを用いることもできる。
本発明の「プライマーを用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行い、反応産物を検出することを特徴とする、核酸配列変異の検出方法」に係る「核酸増幅反応」としては、この分野で通常行われている、例えば、本発明に係るプライマーを用いて、これを試料中の核酸とハイブリダイゼーションさせ、DNAポリメラーゼ等による核酸増幅[例えばPCR(特開昭60-281号)、LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法(Tsugunori Notomi et al., Nucleic Acid Res., 28, e63, 2000)、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法(臨床病理, 51(11), 1061-1067, 2003, Nov)、LCR(ligase chain reaction)法(特開平4-211399号)、SDA(strand displacement amplification)法(特開平8-19394号)]を行ってプライマー伸長させる、常法が挙げられる。PCRを含む核酸増幅反応の条件、操作法等は、この分野で通常行われている常法に従えばよい。
本発明に係る「核酸増幅反応で得られた反応産物を検出する方法」としては、例えばインターカレーター法、TaqManTMリアルタイムPCR法(例えば米国特許第5538848号の記載参照)、MGB Eclipse Probe System法(例えば米国特許第5,801,155号の記載参照)、Molecular Beacons Probe Technology法(例えば米国特許第5925517号の記載参照)、LUX Fluorogenic Primer法(Invitrogen Corporation)、Quenching probe-PCR(QP)法(例えば米国特許第6,492,121号の記載参照)、核酸増幅反応を行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて行う方法、標識プライマーを用いた核酸増幅反応を行って得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法等、様々な検出法が挙げられる。
核酸増幅反応で得られた増幅産物(プライマー伸長産物)を測定する方法について、以下の4通りの方法を例にとり、それぞれの方法について説明するが、勿論これらに限定されるものではない。
(1)インターカレーター法、
(2)TaqManTMリアルタイムPCR法、
(3)核酸増幅反応を行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて行う方法、
(4)標識プライマーを用いた核酸増幅反応を行って得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法。
(1)インターカレーター法
公知のインターカレーターを利用してリアルタイムPCRを行う、通常のインターカレーター法が利用できる。
例えば、本発明に係るプライマー及び該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーと、インターカレーターを用い、通常のインターカレーター法を利用したリアルタイムPCRを行う方法が挙げられる。
インターカレーターは、二本鎖DNAに特異的に結合して蛍光を発する試薬であり、励起光を照射すると蛍光を発する。PCRによって増幅を繰り返してDNAが増えると、インターカレーターがそのDNAに取り込まれる。即ち、インターカレーターがDNAに取り込まれる量は増幅産物の生成量に比例するので、インターカレーターに由来する蛍光強度を検出することにより、プライマー伸長産物の量を知ることができる。
但しインターカレーターは全ての二本鎖DNAに結合するので、得られた蛍光強度の測定結果を基に、融解曲線分析を行う。即ち、PCR後、得られた増幅産物を含むPCR反応液の温度を徐々に上げながら、インターカレーターの蛍光強度を測定する。最初は増幅産物は二本鎖を形成しているので蛍光を発している。しかし、PCR反応液の温度がある一定の温度に達すると、増幅産物は一本鎖に解離するので、インターカレーターの蛍光は急激に低下する。この時の温度が融解温度(Tm値)であり、プライマー伸長産物の配列に固有の値である。特異産物(目的産物)と非特異産物のピークは、このTm値から判定することができる。
このインターカレーター法は、リアルタイムPCRの後に電気泳動を行う必要がないので、臨床検査(診断)のような、迅速に変異を判定する必要がある場合には、有効な方法である。
本発明に用いられるインターカレーターとしては、通常この分野で用いられているインターカレーターであれば、何でも用いることができるが、例えばSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)、エチジウムブロマイド、フルオレン等がある。
本発明に係る「インターカレーター法を利用した核酸配列変異の検出方法」の例を説明すると、以下の通りである。
<方法(1)−1>
本発明に係るプライマーa又はプライマーbと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーと、インターカレーターとしてSYBRTM Green Iを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、Taq DNA ポリメラーゼを用いたリアルタイムPCRを行う。そして増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定する。
変異を検出するには、例えば増幅産物の融解曲線解析を行えばよい。即ち、横軸に増幅産物(二本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行う。検出されたプライマー伸長産物のピークのTm値が、そのプライマーの組み合わせを用いたリアルタイムPCRで増幅されると予測されるプライマー伸長産物のTm値と同じであった場合に、その精製DNA試料には目的の、即ち検出対象の核酸配列変異がある、と判定される。
また、まず鋳型として用いた精製DNA試料溶液の希釈系列に対して各々増幅されてきた産物について、横軸に増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行う。各希釈系列の各プライマー伸長産物のピークのTm値が同じであった場合に、精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定する、という方法も用いられる。
また、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料の代わりに、野生型由来の精製DNA試料を鋳型として用いる以外は、上記と同様の方法でリアルタイムPCRを行い、同様にSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定し、融解曲線解析を行う対照実験を行っても良い。この場合は、試料中に核酸配列変異がないので、蛍光は検出されず、また、融解曲線解析でピークは出現しないはずである。核酸配列変異の判定をより確実にするためには、このような対照実験を一緒に行うことが望ましい。
<方法(1)−2>
本発明に係るプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーと、インターカレーターとしてSYBRTM Green Iを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、Taq DNA ポリメラーゼを用いたリアルタイムPCRを行う。そして増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定する。
変異を検出するには、例えば増幅産物の融解曲線解析を行えばよい。即ち、横軸に増幅産物(二本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)を取った融解曲線を作成し、ピークの検出を行う。検出されたプライマー伸長産物のピークのTm値が、そのプライマーの組み合わせを用いたリアルタイムPCRで増幅されると予測されるプライマー伸長産物のTm値と同じであった場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異がない、と判定される。また、Tm値が異なる場合には、その精製DNA試料には、目的の核酸配列変異がある、と判定される。
また、まず鋳型として用いた精製DNA試料溶液の希釈系列毎に各々増幅されてきた産物について、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行う。各希釈系列の各プライマー伸長産物のピークのTm値が同じであった場合には、精製DNA試料には目的の核酸配列変異がない、と判定する。そして、Tm値が異なる場合には、精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定する、という方法も用いられる。
本発明に係るインターカレーターを用いたリアルタイムPCR検出系による核酸配列変異の検出方法の一例として、前記した「プライマーrpoB_2」(本発明に係るプライマーaに該当する。)を用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を検出する場合(前記した、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列のうち、5’末端から46番目の塩基「C」が「T」に変異した変異を検出する場合。)(<方法(1)−1>)を例にとって説明する。
まず、公知の方法により、核酸配列変異を検出すべき試料中から精製DNA試料を得る。
次に、プライマーrpoB_2と、プライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、例えば下記の通りリアルタイムPCRを行う。
即ち、プライマーrpoB_2と、プライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを各50〜2000nM、SYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)を原液の約5000〜100000倍希釈(最終濃度)、1.0〜4.0mM MgCl2、80mM KCl、500μg/mL BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.005〜0.2% TritonX-100、夫々0.2mM のdATP、dCTP、dGTP、dTTP、10〜80単位/mLのTaq DNA ポリメラーゼを含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とする。該PCR用反応液20μLに、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料1ngを加え、PCR用DNA試料とする。これを96穴反応プレートのウェルに入れ、適当なリアルタイムPCR検出装置等を用いてリアルタイムPCRを行う。反応は30〜50回サイクル繰り返し、1サイクル毎に、増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定する。
次いで、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行う。
この場合、検出されたプライマー伸長産物のピークのTm値が、そのプライマーの組み合わせを用いたリアルタイムPCRで増幅されると予測されるプライマー伸長物のTm値と同じであった場合に、その精製DNA試料には、検出対象のrpoB遺伝子の変異があると判定される。
また、融解曲線解析で得られた各希釈系列の各プライマー伸長産物のピークのTm値が同じであった場合に、精製DNA試料にはrpoB遺伝子の変異があると判定されるという方法でも良い。
また、対照として、野生型のヒト型結核菌DNAのrpoB遺伝子を含むオリゴヌクレオチドを常法により合成するか、野生型のヒト型結核菌からrpoB遺伝子を含むオリゴヌクレオチドを常法により抽出・精製する。そして、これを「変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料」の代わりに鋳型として用いる以外は、上記と同様の方法でリアルタイムPCRを行い、同様にSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定し、融解曲線解析を行ってもよい。この場合は、試料中に核酸配列変異がないので、プライマー伸長産物に由来する蛍光は検出されず、また、融解曲線解析でピークは出現しないはずである。核酸配列変異の判定をより確実にするためには、上記した対照実験を一緒に行うことが望ましい。
また、本発明に係るプライマーc又はプライマーdを用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を、上記<方法(1)−2>で検出する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
即ち、野生型のヒト型結核菌の前記したrpoB遺伝子高変異域の配列をもとに設計された、本発明に係るプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーと、インターカレーターを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNAを鋳型として用いて、前記<方法(1)−1>と同様に公知のインターカレーター法を利用したリアルタイムPCR法を行い、同様に融解曲線解析を行う。
この場合には、融解曲線解析で検出されたプライマー伸長産物のピークのTm値が、そのプライマーの組み合わせを用いたリアルタイムPCRで増幅されると予測されるプライマー伸長産物のTm値と同じであった場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異がないと判定される。また、同一のTm値のピークが得られなかった場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異があると判定される。
また、融解曲線解析を行い、得られた精製DNA試料溶液の各希釈系列の各プライマー伸長産物のピークのTm値が同じであった場合には、その精製DNA試料にrpoB遺伝子の変異がないと判定される。一方、ピークのTm値が異なる場合には、その精製DNA試料にrpoB遺伝子の変異があると判定されるという方法でも良い。
尚、本発明に係るプライマーa、b、c又はdを一種類用いてリアルタイムPCRを行っても良いが、複数種の本発明に係るプライマーを同時に用いて同様にリアルタイムPCRを行っても良い。試料のDNAに何等かの変異がある場合、一種類のプライマーを用いた場合には、試料のDNAにその一種類の変異があるか否かしか、判定できない。これに対し、複数種のプライマーを同時に用いた場合には、試料のDNAに、用いた複数種のプライマーで検出できる変異のどれかがあるかどうかを一度に判定することができるので、判定の迅速さが求められる臨床検査の分野において極めて有効である。
本発明に係るプライマーを複数種用いる場合の例としては、例えばプライマーaを複数種用いる場合、プライマーbを複数種用いる場合、プライマーa(を複数種)とプライマーb(を複数種)を適宜組み合わせて用いる場合、プライマーcを複数種用いる場合、プライマーdを複数種用いる場合、プライマーc(を複数種)とプライマーd(を複数種)を適宜組み合わせて用いる場合等が挙げられる。
但し、「プライマーa及び/又はb」と、「プライマーc及び/又はプライマーd」とを同時に組み合わせて用いることはできない。
例えば、結核菌のrpoB遺伝子の変異を検出する場合、プライマーrpoB_2を用いたリアルタイムPCRを行った場合には、プライマーrpoB_2で検出できる変異、即ち野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列のうち、46番目の塩基が「C」→「T」となる変異があるか否かしか判定できず、その他の変異があった場合には変異があることを判定できない。これに対し、例えば、プライマーrpoB_2とプライマーrpoB_2_n3とプライマーrpoB_6とプライマーrpoB_3を同時に用いて同様のリアルタイムPCRを行えば、試料DNAに、46番目の塩基が「C」→「T」、68番目の塩基が「T」→「C」、46番目の塩基が「C」→「G」、47番目の塩基が「A」→「T」のうちの何れかの変異があれば、融解曲線解析によりピークが得られるので、その試料は、上記4種類の変異のうちの、何等かのrpoB遺伝子の変異があると判定することができる。また、そのピークの出現位置を解析することにより、4種類の変異のうち、具体的に何の変異があるのかを判断することもできる。
(2)TaqManTMリアルタイムPCR法
本発明の核酸配列変異の検出方法には、TaqManTMリアルタイム増幅検出法(例えば米国特許第5210015号、米国特許第5538848号の記載参照)も用いることができる。
TaqManTMリアルタイム増幅検出法(TaqManTMリアルタイムPCR法)とは、より具体的には、5'末端を例えばFAM等の蛍光色素(レポーター)で、3'末端を例えばTAMRA等のクエンチャー色素で標識したプローブを用いたリアルタイムPCR法(例えば米国特許第5538848号の記載参照)により、目的の微量なDNAを高感度かつ定量的に検出できる方法である。
TaqManTMリアルタイムPCR法の原理を以下に説明する。
即ち、5'末端を蛍光色素(レポーター)で、3'末端をクエンチャー色素で標識した、目的遺伝子の特定領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが使用される。該プローブは、通常の状態ではクエンチャー色素によってレポーターの蛍光が抑制されている。この蛍光プローブを目的遺伝子に完全にハイブリダイズさせた状態で、その外側からDNAポリメラーゼを用いてPCRを行う。DNAポリメラーゼによる伸長反応が進むと、そのエキソヌクレアーゼ活性により蛍光プローブが5'端から加水分解され、レポーター色素が遊離し、蛍光を発する。TaqManTMリアルタイムPCR法では、この蛍光強度をリアルタイムでモニタリングすることにより、鋳型DNAの初期量を正確に定量することができる。
本発明に係るTaqManTMリアルタイムPCR検出法に用いられる、5'末端を蛍光色素(レポーター)で、3'末端をクエンチャー色素で標識したプローブに用いられるプローブとしては、選択したフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せを用いたリアルタイムPCRを行った場合に得られる(増幅されると予測される)プライマー伸長産物の塩基配列を持つプローブ、又は更にその配列から設計される塩基配列を持つプローブが用いられる。
また、5'末端を標識するレポーター蛍光物質としては、カルボキシフルオレセイン(FAM)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、Cy5(アマシャムバイオサイエンス株式会社)等が挙げられるが、中でもFAMが好ましい。3'末端を標識するクエンチャー色素としては、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)等の蛍光物質、Black Hole Quencher色素(例えばBHQ2),4-((4-(dimethylamino) phenyl)azo)benzoic acid (DABCYL)等の非蛍光物質が挙げられるが、中でもTAMRAが好ましい。
TaqManTMリアルタイムPCR法に用いられるその他のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、DNAポリメラーゼ等の試薬は、通常のリアルタイムPCRで用いられているものを用いればよい。TaqManTMリアルタイムPCRの手法は、本発明に係るプライマー及びプローブを用いる以外は、TaqManTMリアルタイムPCRの一般的なプロトコルに従って行えばよい。
本発明に係る「TaqManTMリアルタイムPCR検出法による核酸配列変異の検出方法」の例を説明すると、以下の通りである。
<方法(2)−1>
本発明に係るプライマーa又はプライマーbと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、また、このプライマーの組合せを用いたPCRによって増幅されると予測されるプライマー伸長産物の核酸配列から適当な長さを持つオリゴヌクレオチドを設計し、常法により合成する。そのオリゴヌクレオチドの5'末端をレポーター色素で、3'末端をクエンチャー色素で標識したものを標識プローブとして用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として、TaqManTMリアルタイムPCRを行う。レポーター色素由来の蛍光が測定された場合に、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
方法<(2)−1>を実施する場合には、インターカレーター法の場合と同様に、野生型由来の精製DNA試料を鋳型として用いる対照実験を一緒に行うことが望ましい。
<方法(2)−2>
本発明に係るプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、また、このプライマーの組合せを用いたPCRによって増幅されると予測されるプライマー伸長産物の核酸配列から適当な長さを持つオリゴヌクレオチドを設計し、常法により合成する。そのオリゴヌクレオチドのその5'末端をレポーター色素で、3'末端をクエンチャー色素で標識したものを標識プローブとして用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として、TaqManTMリアルタイムPCRを行う。レポーター色素由来の蛍光が測定された場合に、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異がない、と判定される。また、蛍光が測定されなかった場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
本発明に係るプライマーを複数種用いてTaqManTMリアルタイムPCRを行い、複数の変異を同時に判定してもよいのは、前記インターカレーション法による場合と同じである。
本発明に係るTaqManTMリアルタイムPCR検出法による核酸配列変異の検出方法の一例として、前記した「プライマーrpoB_2」を用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を検出する場合(前記した、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列のうち、5’末端から46番目の塩基「C」が「T」に変異した変異を検出する場合。)(<方法(2)−1>)を例にとって説明すると、以下の通りである。
まず、公知の方法により、核酸配列変異を検出すべき試料中から精製DNA試料を得る。
次に、プライマーrpoB_2と、プライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーとの組合せを用いたPCRで増幅されると予測想されるプライマー伸長産物の核酸配列から、適当な長さを持つオリゴヌクレオチドを設計し、常法により合成する。このオリゴヌクレオチドの5'末端にレポーター色素のFAMを、3'末端にクエンチャー色素(レポーター消光体)のTAMRAを常法により結合し、標識プローブを得る。
次に、プライマーrpoB_2と、プライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマー、及び上記で得られた標識プローブを用いて、例えば下記の通りTaqManTMリアルタイムPCRを行う。
即ち、各1μMのプライマーrpoB_2とプライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマー、100〜1000nMの標識プローブ、1.0〜4.0mM MgCl2、80mM KCl、500μg/mL BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.005〜0.2% TritonX-100、夫々0.2mM のdATP、dCTP、dGTP、dTTP、10〜80単位/mLのTaq DNA ポリメラーゼを含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とする。PCR用反応液20μLに、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料1ngを加え、PCR用DNA試料とする。これを96穴反応プレートのウェルに入れ、適当なリアルタイムPCR検出装置等を用いてリアルタイムPCRを行う。反応は30〜50回サイクル繰り返し、1サイクル毎にレポーター色素由来の蛍光強度を測定する。
この場合は、レポーター色素由来の蛍光が測定された場合に、精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子変異があると判定される。
また、前記したとおり、野生型のヒト型結核菌rpoB遺伝子を含む精製DNA試料を鋳型として用いる対照実験を一緒に行うことが望ましい。
本発明に係るプライマーc又はプライマーdを用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基置換を、上記<方法(2)−2>で検出する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
即ち、野生型のヒト型結核菌の前記したrpoB遺伝子高変異域の配列をもとに設計された、本発明に係るプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーと、前記方法<方法(2)−1>と同様の方法で調製した標識プローブを用いて、前記<方法(2)−1>と同様にTaqManTMリアルタイムPCRを行う。
この場合には、レポーター色素由来の蛍光が測定された場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異がない、と判定される。また、蛍光が測定されなかった場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異がある、と判定される。
また本発明の検出方法における、核酸増幅工程には、リアルタイムPCRの他にRNA転写産物を利用した検出法を適用することができる。例えば、NASBA(nucleic acid sequence based amplification)法(特許第2650159号)、3SR(self-sustained sequence replication)法(特公平7-114718号)、TAS(transcription based amplification system)法(特表平2-500565号:国際公開WO88/10315号)、TMA(transcription mediated amplification)法(特開平11-46778号)などが挙げられるが、中でも逆転写酵素およびRNAポリメラーゼの協奏的作用(逆転写酵素およびRNAポリメラーゼが協奏的に作用するような条件下で反応させる。)を利用する一定温度核酸増幅法が、測定系を自動化するためには適する。
(3)核酸増幅反応を行った後、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて行う方法
この方法としては、例えば
「下記工程
(i)本発明に係るプライマーa、プライマーb、プライマーc又はプライマーdから選択されるプライマーと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応(PCR)を行う、
(ii)上記(i)で得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行い、その結果に基づいて核酸配列変異を検出する、
を包含することを特徴とする核酸配列変異の検出方法」が挙げられる。
電気泳動を行い、その結果に基づいて核酸配列変異を検出する方法としては、例えば
(3−1)目的とする大きさ(塩基対数)のプライマー伸長産物画分を確認することにより検出する方法、
(3−2)標識プローブを用いたハイブリダイゼーションにより検出する方法、
等が挙げられる。
電気泳動法の条件、操作方法等は、この分野で通常行われている常法に従えばよい。
(3−1)目的とする大きさ(塩基対数)のプライマー伸長産物画分を確認することにより検出する方法
目的とする大きさ(塩基対数)のプライマー伸長産物画分を確認することにより検出する方法としては、例えば、まずPCRを行い、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。予め本発明に係るプライマーと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーとの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の大きさ(塩基対数)を予測しておく。そして、得られた画分の大きさが予測された増幅産物の大きさに該当するか否かを、常法により確認すればよい。例えば、得られた画分をエチジウムブロマイド等で染色して視覚化するといった方法で、その増幅産物の特徴的大きさにより検出(確認)する等の方法が挙げられる。
本発明に係る「目的とする大きさ(塩基対数)のプライマー伸長産物画分を確認することにより検出する方法」の例を説明すると、以下の通りである。
<方法(3−1)−1>
本発明に係るプライマーa又はプライマーbと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを選択する。また、このプライマーの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の大きさ(塩基対数)を予測しておく。該プライマーの組合せを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いてPCRを行い、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。次いで、得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当するか否かを、常法により確認すればよい。例えば、得られた画分をエチジウムブロマイド等で染色して視覚化するといった方法で、その増幅産物の特徴的大きさにより検出し、得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当することが確認された場合に、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
<方法(3−1)−2>
本発明に係るプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを選択する。また、このプライマーの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の大きさ(塩基対数)を予測しておく。該プライマーの組合せを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いてPCRを行い、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。次いで、得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当するか否かを、常法により確認すればよい。例えば、得られた画分をエチジウムブロマイド等で染色して視覚化するといった方法で、その増幅産物の特徴的大きさにより検出し、得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当することが確認された場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異がない、と判定される。また、そのような画分が確認されなかった場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
本発明に係るプライマーを複数種用いて上記の如きPCR及び電気泳動を行い、複数の変異を同時に判定してもよいのは、前記インターカレーション法による場合と同じである。
本発明に係る(3-1)の方法による核酸配列変異の検出方法の一例として、前記した「プライマーrpoB_2」を用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を検出する場合(前記した、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列のうち、5’末端から46番目の塩基「C」が「T」に変異した変異を検出する場合。)(<方法(3−1)−1>)を例にとって説明すると、以下の通りである。
まず、公知の方法により、核酸配列変異を検出すべき試料中から精製DNA試料を得る。
次に、プライマーrpoB_2と、プライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、PCRを行う。次いで、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。予め、このプライマーの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の大きさ(塩基対数)を予測しておく。得られた画分の大きさが予測された増幅産物の大きさに該当するか否かを、常法により確認する。得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当することが確認された場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異があると判定される。
また、本発明に係るプライマーc又はプライマーdを用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を、上記<方法(3−1)−2>で検出する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
即ち野生型のヒト型結核菌の、前記したrpoB遺伝子高変異域の配列をもとに設計されたプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、前記<方法(3−1)−1>と同様にPCRを行う。次いで、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。予め、このプライマーの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の大きさ(塩基対数)を予測しておく。得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当するか否かを、常法により確認する。得られた画分の大きさが、予測された増幅産物の大きさに該当することが確認された場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異がない、と判定される。また、そのような画分が確認されなかった場合には、その精製DNA試料には、目的のrpoB遺伝子の変異があると判定される。
(3−2)標識プローブを用いたハイブリダイゼーションにより判定する方法
標識プローブを用いたハイブリダイゼーションにより判定する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、PCR増幅産物を電気泳動に付す。次いで、検出すべき配列を含むオリゴヌクレオチドを標識物質で標識したものを標識プローブとして用い、得られた画分について、該標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行う。次いで、該標識プローブの標識を検出することにより、該標識プローブとハイブリダイズした画分の存在の有無を確認し、核酸配列変異の存在を検出する。
該方法に用いられる「検出すべき配列を含むオリゴヌクレオチド」としては、そのプライマーの組み合わせを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の塩基配列を持つオリゴヌクレオチド、又は更にその配列から設計される、適当な長さを持つオリゴヌクレオチドが挙げられる。
該方法に用いられるプローブを標識する標識物質の具体例、並びにプローブの標識方法は、前記した標識プライマーに用いられる標識物質及びプライマーの標識方法と同じである。
本発明に係る「標識プローブを用いたハイブリダイゼーションにより判定する方法」の例を説明すると、以下の通りである。
<方法(3−2)−1>
本発明に係るプライマーa又はプライマーbと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、PCRを行う。得られたプライマー伸長産物について、電気泳動を行う。予め、検出すべき配列を含むオリゴヌクレオチドを標識物質で標識した標識プローブを調製しておく。得られた画分について、該標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行う。該標識プローブの標識を検出し、該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認された場合に、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
<方法(3−2)−2>
本発明に係るプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、PCRを行う。得られたプライマー伸長産物について、電気泳動を行う。予め、検出すべき配列を含むオリゴヌクレオチドを標識物質で標識した標識プローブを調製しておく。得られた画分について、該標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行う。該標識プローブの標識を検出し、該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認された場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異がない、と判定される。また、そのような画分が確認されなかった場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
本発明に係るプライマーを複数種用いて上記の如きPCR及び電気泳動を行い、複数の変異を同時に判定してもよいのは、前記インターカレーション法による場合と同じである。
本発明に係る(3−2)の方法による核酸配列変異の検出方法の一例として、前記した「プライマーrpoB_2」を用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を検出する場合(前記した、野生型のrpoB遺伝子高変異域の配列のうち、5’末端から46番目の塩基「C」が「T」に変異した変異を検出する場合。)(<方法(3−2)−1>)を例にとって説明すると、以下の通りである。
先ず、公知の方法により、核酸配列変異を検出すべき試料中から精製DNA試料を得る。
次に、プライマーrpoB_2と、プライマーrpoB_2と対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、PCRを行う。次いで、得られたプライマー伸長産物について電気泳動を行う。予め、このプライマーの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の核酸配列から、プローブとして利用するための適当な長さを持つ配列を設計し、この配列のオリゴヌクレオチドを常法により合成する。このオリゴヌクレオチドを標識物質で標識して、標識プローブを作製しておく。得られた画分について、該標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行う。該標識プローブの標識を検出することによって該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認された場合に、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異があると判定される。
また、本発明に係るプライマーc又はプライマーdを用いて、ヒト型結核菌のrpoB遺伝子の一塩基変異を、上記<方法(3−2)−2>で検出する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
即ち、野生型のヒト型結核菌の、前記したrpoB遺伝子高変異域の配列をもとに設計されたプライマーc又はプライマーdと、該プライマーと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、前記<方法(3−2)−1>と同様にPCR及び電気泳動を行う。予め、このプライマーの組合せを用いたPCRで増幅されると予測される増幅産物の核酸配列から、プローブとして利用するための適当な長さを持つ配列を設計し、この配列のオリゴヌクレオチドを常法により合成する。このオリゴヌクレオチドを標識物質で標識して、標識プローブを作製しておく。得られた画分について、該標識プローブに対するハイブリダイゼーションを行う。該標識プローブの標識を検出することによって該標識プローブとハイブリダイズした画分が確認された場合に、その精製DNA試料にはrpoB遺伝子の変異がない、と判定される。また、そのような画分が確認されなかった場合には、その精製DNA試料には目的のrpoB遺伝子の変異があると判定される。
(4)標識プライマーを用いた核酸増幅反応を行って得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法、
この方法としては、本発明に係るプライマーを前記した方法で標識した標識プライマーと、該標識プライマーと対になって核酸増幅反応を行うことができるオリゴヌクレオチドプライマー(標識されていない)とを用い、試料中の核酸を鋳型として用いてPCRを行い、得られたプライマー伸長産物の標識を測定する方法が挙げられる。
その例を説明すると、以下の通りである。
<方法(4)−1>
標識されたプライマーa又は標識されたプライマーbと、該標識プライマーと対になって核酸増幅反応を行うことができるオリゴヌクレオチドプライマー(標識されていない)とを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、PCRを行う。その後、遊離の標識プライマーを除き、プライマー伸長産物の標識を測定する。標識を検出できた場合に、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
<方法(4)−2>
標識されたプライマーc又は標識されたプライマーdと、該標識プライマーと対になって核酸増幅反応を行うことができるオリゴヌクレオチドプライマー(標識されていない)とを用い、変異を検出すべき試料から精製した精製DNA試料を鋳型として用いて、PCRを行う。その後、遊離の標識プライマーを除き、プライマー伸長産物の標識を測定する。標識を検出できた場合には、精製DNA試料には目的の核酸配列変異がない、と判定される。また、標識が検出できなかった場合には、その精製DNA試料には目的の核酸配列変異があると判定される。
上記方法に於いて、遊離の標識プライマーを除く方法としては、PCRを行って得られた反応物中のプライマー伸長産物を、核酸を沈殿させる常法(エタノール沈殿法、イソプロパノールを用いた沈殿法等)により沈殿させた後、沈殿しなかった遊離の標識プライマーを含有する上清を除去する方法等が挙げられる。
また、PCRを行って得られた反応物を適当な条件下、ゲルクロマトグラフィーで処理して、プライマー伸長産物と遊離の標識プライマーを分離する方法や、電気泳動法により分離する方法等も挙げられる。
尚、本発明の核酸配列変異の検出方法に用いられる試薬中には、通常この分野で用いられる試薬類、例えば緩衝剤、安定化剤、防腐剤等であって、共存する試薬等の安定性を阻害せず、PCRやハイブリダイゼーション反応を阻害しないものを用いることができる。また、その濃度も、通常この分野で通常用いられる濃度範囲から適宜選択すればよい。
緩衝液の具体例を挙げると、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液等、通常のPCRやハイブリダイゼーション反応を実施する場合に用いられている緩衝液は全て挙げられ、そのpHも特に限定されないが、通常5〜9の範囲が好ましい。
また、必要に応じて核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素など)、酵素に応じた基質(dNTP、rNTPなど)、また二本鎖インターカレーター(エチジウムブロマイド、SYBRTM Greenなど)あるいはFAMやTAMRA等の標識検出物質などが用いられる。
本発明に係る核酸配列変異の検出用キットとしては、
「下記(a)〜(d)の何れかに記載のオリゴヌクレオチド又はその塩をプライマーとして含んでなる、核酸配列変異の検出用キット、
(a)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5'側に向け
ての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(b)i)3'末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3'側に向
けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、
(c)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から5'側に向けての対象遺
伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩、又は
(d)i)3'末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
し、
ii)3'末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3'側に向けての対象
遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
iii)且つ3'末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を
有する、
オリゴヌクレオチド又はその塩。」
が挙げられる。
これらのキットを構成する構成試薬の好ましい態様及び具体例は前記したとおりである。
また、上記したキットに、
更に「1)ヌクレオシド三リン酸、2)核酸合成酵素、3)該オリゴヌクレオチドと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチド、及び4)PCR緩衝液」を含有するキットも挙げられる。
上記2)の核酸合成酵素としては、例えばDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等が挙げられる。
上記4)のPCR緩衝液に用いられる緩衝液の具体例としては、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液等、通常のPCRやハイブリダイゼーション反応を実施する場合に用いられている緩衝液は全て挙げられ、そのpHも特に限定されないが、通常5〜9の範囲が好ましい。
また、本発明の核酸配列変異の検出用キットには、必要に応じて酵素に応じた基質(dNTP、rNTPなど)、また例えばSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名,エチジウムブロマイド,フルオレン等の二本鎖インターカレーター、FAMやTAMRA等の標識検出物質などを含んでいてもよい。また、例えば安定化剤、防腐剤等であって、共存する試薬等の安定性を阻害せず、PCRやハイブリダイゼーション反応を阻害しないものが含まれていてもよい。また、これらの濃度も、通常この分野で通常用いられる濃度範囲から適宜選択すればよい。
本発明に係る核酸配列の検出に用いられる材料としては、検体から採取された血漿、血清、髄液、各種生体組織の成分抽出液、組織切片、糞便、尿等の生体由来試料が挙げられる。また、上記の各種組識由来の細胞等も挙げられる。
例えば、ヒト型結核菌の変異の検出に用いられる材料としては、喀痰、経気管支採取物、咽頭粘液、胃液、気管支洗浄液、胸水などの穿刺液等の各種臨床材料等が挙げられる。
本発明に係る核酸配列変異の検出に用いられる試料としては、核酸を含む試料が挙げられる。上記した材料から単離、精製された核酸、又は核酸増幅検出系等で増幅された核酸でもよい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例に於いて、核酸塩基として示した「A」はアデニンを、「G」はグアニンを、「C」はシトシンを、「T」はチミンを夫々示す。
実施例1.薬剤耐性結核菌のモデル検出実験1
(1)プラスミドDNAの構築
1)変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAの構築
VIVEK KAPURらによって報告された、rpoB遺伝子高変異域の配列(非特許文献2:J.Clin.Microbiol., vol.32, No.4, 1994. p1095-1098、FIG.1)を参考として、以下の方法で「結核菌rpoB遺伝子上の1塩基が変異した配列を有するプラスミドDNA」を遺伝子工学的に作製した。尚、このrpoB遺伝子高変異域の塩基配列は、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)とウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)とで同じである。
まず、Mycobacterium bovis BCG(ウシ型結核菌、Strain No. RIMD1314006、日本細菌学会)より抽出・精製されてきたゲノムDNAを出発材料とし、生物化学実験法 47 PCR実験マニュアル 駒野 徹 編著に記載された公知のPCR法による部位特異的突然変異導入法に従って、結核菌ゲノムDNA中にあるrpoB遺伝子高変異域部分の配列(配列番号1)の5'末端から46番目の塩基が、野生型では「C」であるが、これを「T」に変異させる変異導入を行った。
変異の導入されたDNA断片を、QIAGEN社製カラムを用いて精製した後、クローニングベクター(Invitrogen社製)に挿入した。その後、QIAprepTM Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いて、目的配列を含んだプラスミドDNAを精製・回収した。
上記の方法で得られたプラスミドDNAは、下記配列番号3の塩基配列を含んでいる。この配列番号3で示される塩基配列を、以下「変異型rpoB遺伝子配列_2」と記載する。「変異型rpoB遺伝子配列_2」の配列に於いて、その5'端から64番目の下線で示した塩基が、rpoB遺伝子高変異域の配列の、5'末端から46番目の塩基に対応する。そして、野生型のrpoB遺伝子ではこの部分の塩基が「C」であるが、「変異型rpoB遺伝子配列_2」では「T」に変異している。
配列番号3:
5'-TTCTTCGGCACCAGCCAGCTGAGCCAATTCATGGACCAGAACAACCCGCTGTCGGGGTTGACCTACAAGCGCCGACTGTCGGCGCTGGGG-3'(変異型rpoB遺伝子配列_2)
2)野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAの構築
塩基の変異導入を行わない以外は上記と同様の方法で、野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを得た。即ち、このプラスミドDNAは、下記の配列番号2で示される塩基配列を含んでいる。
配列番号2:
5'-TTCTTCGGCACCAGCCAGCTGAGCCAATTCATGGACCAGAACAACCCGCTGTCGGGGTTGACCCACAAGCGCCGACTGTCGGCGCTGGGG-3'
(2)変異型rpoB遺伝子検出用プライマー(プライマーrpoB_2)の構築
変異型rpoB遺伝子配列_2をもとに、下記の方法でプライマーを設計した。
まず、(i)変異型rpoB遺伝子配列_2における変異導入個所、即ちその5'末端から64番目の塩基「T」が、プライマーの3'末端に相当するように配置し、(ii)プライマーのその他の配列は、変異型rpoB遺伝子配列_2の5'末端から64番目の塩基「T」より5'側の16個の塩基配列と同じになるように配置し、且つ(iii)プライマーの3'末端から2番目の塩基「C」が、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」になるように、変異型rpoB遺伝子検出用プライマー配列を設計した。このように設計されたオリゴヌクレオチドを「プライマーrpoB_2」と記載する。「プライマーrpoB_2」の塩基配列を、以下配列番号7に示す。
即ち、下記配列番号7の塩基配列のうち、下線を付したヌクレオチドの3'末端が、野生型が「C」であるものが「T」に変異している部分である。また、3'末端から2番目の塩基「C」は、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」である。
配列番号7:5'-GCTGTCGGGGTTGACCT-3'
設計された「プライマーrpoB_2」を、シグマジェノシス社のカスタムサービスを利用して入手した。
(3)リアルタイムPCR検出による変異型rpoB遺伝子の検出と偽陽性出現の判定
1)PCR用DNA試料の調製
上記(1)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNA試料の吸光度を測定することにより、プラスミドDNA試料中のDNA量を測定した。次いで10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を用いてプラスミドDNA試料を105, 104, 103, 102コピー/μLの希釈系列に希釈したものを調製し、PCR用DNA試料とした。
2)PCR用反応液の調製
上記(2)で得られたプライマーrpoB_2と、ユニバーサルプライマー(M13フォワードプライマー、タカラバイオ社)を各300nM、発色試薬としてSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)を原液の30倍希釈(最終 30000倍希釈)、1.5mM MgCl2、80mM KCl、500μg/mL BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1% TritonX-100、dATP、dCTP、dGTP、dTTPを各0.2mM、およびTaq DNA ポリメラーゼ(ニッポンジーン製)40単位/mL を含有する10mM Tris-HCl(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。
尚、今回は、プライマーrpoB_2と組み合わせるプライマーとして、M13フォワードプライマーを用いているが、これは今回のPCR用DNA試料が変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを用いているためである(以下、同じ。)。
3)リアルタイムPCR
鋳型DNA(増幅ターゲット)として上記(1)1)で調製した変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを用いて、リアルタイムPCRを行った。また、以下の方法で、インターカレーション法による定量モニタリングを行って、リアルタイムPCRの結果の検討・評価を行った。
即ち、上記(3)1)で調製した各希釈系列のPCR用DNA試料1μL、及び上記(3)2)で調製したPCR用反応液19μLを、96 穴反応プレート(マイクロアンプ・オプチカル・96ウェル・リアクション・プレート、アプライドバイオシステムズジャパン社製)のウェルに入れ、TaqManTM PCR 専用サーマルサイクラー・検出器(ABI 7500、アプライドバイオシステムズジャパン社製) を用いてリアルタイムPCRを行った。即ち、95℃ で10分間保温の後、95℃で15秒間、60℃ で1分間の反応を40サイクル繰り返した。そして、増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定した。
また、鋳型DNAとして上記(1)2)で調製した野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを用い、それ以外は上記(3)と同様の方法で、PCR用DNA試料の調製、PCR用反応液の調製及びリアルタイムPCRを行った。
(4)融解曲線解析
PCR用DNA試料の希釈系列に対する増幅産物それぞれについて、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
(5)結果
各DNA試料を鋳型として用いてリアルタイムPCRを行い、得られた結果をもとに作成した融解曲線を、図1及び図2に示す。
図1は、本発明に係るプライマーrpoB_2を用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いたリアルタイムPCRの結果である。
一方、図2は、本発明に係るプライマーrpoB_2を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いたリアルタイムPCRの結果である。
図1から明らかな如く、本発明に係るプライマーrpoB_2を用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った場合、DNAの増幅が確認された。また10, 10, 10, 10copyのDNA試料の融解曲線のピーク位置が一致した。すなわち、Tm値が一致した。
これに対し、図2から明らかな如く、本発明に係るプライマーrpoB_2を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いて、同様にリアルタイムPCRを行った場合には、ピークが現れず、DNAのプライマー伸長産物が得られなかった。
以上のことから、本発明の、3'末端に1塩基置換部位を有し、3'末端から2番目に核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドを配置したプライマーを用いてリアルタイムPCRを行うことにより、検出の偽陽性出現を完全に抑制でき、変異配列を有するターゲット、即ち変異配列を有するDNA試料のみを特異的に且つ精度良く検出できることが判る。
比較例1.
(1)変異型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNA
実施例1(1)で得られた、「変異型rpoB遺伝子配列_2」を用いた。
(2)変異型rpoB遺伝子検出用プライマー(プライマーrpoB_2_n3の構築)
実施例1(2)で得られたプライマーrpoB_2と同じ配列番号7で示される塩基配列を持つが、プライマーの3'末端から3番目の「C」はヌクレオチドアナログ体(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)で修飾されており、3’末端から2番目の「C」は、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾されていないプライマーを設計した。このプライマーを、「プライマーrpoB_2_n3」と記載する。
設計された「プライマーrpoB_2_n3」を、シグマジェノシス社のカスタムサービスを利用して入手した。
(3)リアルタイムPCR検出による変異型rpoB遺伝子の検出と偽陽性出現の判定
1)PCR用DNA試料
実施例1(3)1)で調製したものと同じもの(変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNA試料の希釈系列)を使用した。
2)PCR用反応液の調製
上記(2)で得られたプライマーrpoB_2_n3、およびユニバーサルプライマー(M13フォワードプライマー、タカラバイオ社)を各300nM、発色試薬としてSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)を原液の30倍希釈(最終 30000倍希釈)、1.5mM MgCl2 、80mM KCl、500μg/mL BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1% TritonX-100、dATP、dCTP、dGTP、dTTPを各0.2mM、およびTaq DNA ポリメラーゼ(ニッポンジーン製)40単位/mL を含有する10mM Tris-HCl(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。
3)リアルタイムPCR
反応液として、上記(3)2)で調製したPCR用反応液を用いる以外は、実施例1(3)3)と同様の方法で、リアルタイムPCRを行い、増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定した。
また、DNA試料(鋳型DNA)として実施例1の(1)2)で調製した野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを用い、それ以外は同様の方法で、DNA試料の調製、反応液の調製及びリアルタイムPCRを行った。
(4)融解曲線解析
DNA試料の希釈系列に対して各々増幅されてきた産物について、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとって融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
(5)結果
各DNA試料を鋳型として用いてリアルタイムPCRを行い、得られた結果をもとに作成した融解曲線を、図3及び図4に示す。
図3は、プライマーrpoB_2_n3を用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いたリアルタイムPCRの結果である。
一方、図4は、プライマーrpoB_2_n3を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いたリアルタイムPCRの結果である。
図3から明らかな如く、プライマーrpoB_2_n3を用い、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った場合、DNAの増幅が確認された。
しかし、図4から明らかな如く、プライマーrpoB_2_n3を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いて、同様にリアルタイムPCRを行った場合にも、DNAの増幅が確認された。即ち、偽陽性のピークの出現が確認された。
以上のことから、3'末端から3番目に、核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドを配置したオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行った場合には、変異型の正確な判定が行えないことが判る。
実施例2.薬剤耐性結核菌のモデル検出実験2
(1)変異型rpoB遺伝子配列_6を含むプラスミドDNAの構築
実施例1(1)1)と同様の方法で、rpoB遺伝子高変異域部分の配列の、5'末端から68番目の塩基が、野生型では「T」であるが、これを「C」に変異させる変異導入を行った。
変異の導入されたDNA断片を、QIAGEN社製カラムを用いて精製した後、クローニングベクター(Invitrogen社製)に挿入した。その後、QIAprepTM Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いて、目的配列を含んだプラスミドDNAを精製・回収した。
上記の方法で得られたプラスミドDNAは、下記配列番号4の塩基配列を含んでいる。この配列番号4で示される塩基配列を、以下「変異型rpoB遺伝子配列_6」と記載する。「変異型rpoB遺伝子配列_6」の配列に於いて、その5'末端から86番目の下線で示した塩基が、rpoB遺伝子高変異域の配列の、5'末端から68番目の塩基に対応する。そして、野生型のrpoB遺伝子ではこの部分の塩基が「T」であるが、「変異型rpoB遺伝子配列_6」では「C」に変異している。
配列番号4:
5'-TTCTTCGGCACCAGCCAGCTGAGCCAATTCATGGACCAGAACAACCCGCTGTCGGGGTTGACCTACAAGCGCCGACTGTCGGCGCCGGGG-3' (変異型rpoB遺伝子配列_6)
(2)変異型rpoB遺伝子検出用プライマー(プライマーrpoB_6)の構築
変異型rpoB遺伝子配列_6をもとに、下記の方法でプライマーを設計した。
まず、(i)変異型rpoB遺伝子配列_6における変異導入個所、即ちその5'末端から86番目の塩基「C」が、プライマーの3'末端に相当するように配置し、(ii)プライマーのその他の配列は、変異型rpoB遺伝子配列_6の5'末端から86番目の塩基「C」より5'側の14個の塩基配列と同じになるように配置し、且つ(iii)プライマーの3'端から2番目の塩基「C」が、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」になるように、変異型rpoB遺伝子検出用プライマー配列を設計した。このように設計されたオリゴヌクレオチドを「プライマーrpoB_6」と記載する。「プライマーrpoB_6」の塩基配列を、以下配列番号8に示す。
即ち、下記配列番号8の塩基配列のうち、下線を付したヌクレオチドの3'末端が、野生型が「T」であるものが「C」に変異している部分である。また3'末端から2番目の塩基「C」は、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」である。
配列番号8:5'-CCGACTGTCGGCGCC-3'
設計された「プライマーrpoB_6」を、シグマジェノシス社のカスタムサービスを利用して入手した。
(3)リアルタイムPCR検出による変異型rpoB遺伝子の検出と偽陽性出現の判定
1)PCR用DNA試料の調製
上記(1)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_6を含むプラスミドDNA試料の吸光度を測定することにより、プラスミドDNA試料中のDNA量を測定した。次いで10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を用いてDNA試料を105, 104, 103, 102コピー/μLの希釈系列に希釈したものを調製し、PCR用DNA試料とした。
2)PCR用反応液の調製
上記(2)で得られたプライマーrpoB_6と、ユニバーサルプライマー(M13フォワードプライマー、タカラバイオ社)を各300nM、発色試薬としてSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)を原液の30倍希釈(最終 30000倍希釈)、1.5mM MgCl2、80mM KCl、500μg/mL BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1% TritonX-100、dATP、dCTP、dGTP、dTTPを各0.2mM、およびTaq DNA ポリメラーゼ(ニッポンジーン製)40単位/mL を含有する10mM Tris-HCl(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。
3)リアルタイムPCR
鋳型DNA(増幅ターゲット)として、上記(1)で調製した変異型rpoB遺伝子配列_6を含むプラスミドDNAを用いてリアルタイムPCRを行った。また、以下の方法で、インターカレーション法による定量モニタリングを行って、リアルタイムPCRの結果の検討・評価を行った。
即ち、上記(3)1)で調製した各希釈系列のPCR用DNA試料1μL、及び上記(3)2)で調製したPCR用反応液19μLを、96 穴反応プレート(マイクロアンプ・オプチカル・96ウェル・リアクション・プレート、アプライドバイオシステムズジャパン社製)のウェルに入れ、TaqManTM PCR 専用サーマルサイクラー・検出器(ABI 7500、アプライドバイオシステムズジャパン社製) を用いてリアルタイムPCRを行った。即ち、95℃ で10分間保温の後、95℃で15秒間、60℃ で1分間の反応を40サイクル繰り返し、増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定した。
また、鋳型DNAとして、実施例(1)2)で調製した野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを用いる以外は、実施例2(3)と同様の方法で、PCR用DNA試料の調製、PCR用反応液の調製及びリアルタイムPCRを行った。
(4)融解曲線解析
PCR用DNA試料の希釈系列に対する増幅産物それぞれについて、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
(5)結果
各DNA試料を鋳型としてリアルタイムPCRを行い、得られた結果をもとに作成した融解曲線を、図5及び図6に示す。
図5は、本発明に係るプライマーrpoB_6を用い、変異型rpoB遺伝子配列_6を含むプラスミドDNAを鋳型として用いたリアルタイムPCRの結果である。
一方、図6は、本発明に係るプライマーrpoB_6を用い、野生型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いたリアルタイムPCRの結果である。
図5から明らかな如く、本発明に係るプライマーrpoB_6を用い、変異型rpoB遺伝子配列_6を含むプラスミドDNAを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った場合には、DNAの増幅が確認された。また10, 10, 10, 10copyのDNA試料の融解曲線のピーク位置が一致した。即ち、Tm値が一致した。
これに対し、図6から明らかな如く、本発明に係るプライマーrpoB_6を用い、野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った場合には、ピークが現れず、DNAのプライマー伸長産物が得られなかった。
以上のことから、本発明の、3'末端に1塩基置換部位を有し、3'末端から2番目に核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドを配置したプライマーを用いてリアルタイムPCRを行うことにより、検出の偽陽性出現を完全に抑制でき、変異配列を有するターゲットのみを特異的に且つ精度良く検出できることが判る。
実施例3.複数の変異遺伝子の同時検出
(1)変異型rpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAの構築
1)変異型rpoB遺伝子配列_3を含むプラスミドの構築
実施例1(1)1)と同様の方法で、rpoB遺伝子高変異域部分の配列の、5'末端から46番目の塩基が、野生型では「C」であるが、これを「G」に変異させる変異導入を行った。
変異の導入されたDNA断片を、QIAGEN社製カラムを用いて精製した後、クローニングベクター(Invitrogen社製)に挿入した。その後、QIAprepTM Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いて、目的配列を含んだプラスミドDNAを精製・回収した。
上記の方法で得られたプラスミドDNAは、下記配列番号5の塩基配列を含んでいる。この配列番号5で示される塩基配列を、以下「変異型rpoB遺伝子配列_3」と記載する。「変異型rpoB遺伝子配列_3」の配列に於いて、その5'末端から64番目の下線で示した塩基が、rpoB遺伝子高変異域の配列の、5'末端から46番目の塩基に対応する。そして、野生型のrpoB遺伝子ではこの部分の塩基が「C」であるが、「変異型rpoB遺伝子配列_3」では「G」に変異している。
配列番号5:
5'-TTCTTCGGCACCAGCCAGCTGAGCCAATTCATGGACCAGAACAACCCGCTGTCGGGGTTGACCGACAAGCGCCGACTGTCGGCGCTGGGG-3' (変異型rpoB遺伝子配列_3)
2)変異型rpoB遺伝子配列_4を含むプラスミドの構築
実施例1(1)1)と同様の方法で、rpoB遺伝子高変異域部分の配列の、5'末端から47番目の塩基が、野生型では「A」であるが、これを「T」に変異させる変異導入を行った。
変異の導入されたDNA断片を、QIAGEN社製カラムを用いて精製した後、クローニングベクター(Invitrogen社製)に挿入した。その後、QIAprepTM Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いて、目的配列を含んだプラスミドDNAを精製・回収した。
上記の方法で得られたプラスミドDNAは、下記配列番号6の塩基配列を含んでいる。この配列番号6で示される塩基配列を、以下「変異型rpoB遺伝子配列_4」と記載する。「変異型rpoB遺伝子配列_4」の配列に於いて、その5'末端から65番目の下線で示した塩基が、rpoB遺伝子高変異域の配列の、5'末端から47番目の塩基に対応する。そして、野生型のrpoB遺伝子ではこの部分の塩基が「A」であるが、「変異型rpoB遺伝子配列_4」では「T」に変異している。
配列番号6:
5'-TTCTTCGGCACCAGCCAGCTGAGCCAATTCATGGACCAGAACAACCCGCTGTCGGGGTTGACCCTCAAGCGCCGACTGTCGGCGCTGGGG-3' (変異型rpoB遺伝子配列_4)
(2)変異型rpoB遺伝子検出用プライマーの構築
1)「プライマーrpoB_3」の構築
変異型rpoB遺伝子配列_3をもとに、下記の方法でプライマーを設計した。
まず、(i)変異型rpoB遺伝子配列_3における変異導入個所、即ちその5'末端から64番目の塩基「G」が、プライマーの3'末端に相当するように配置し、(ii)プライマーのその他の配列は、変異型rpoB遺伝子配列_3の5'末端から64番目の塩基「G」より5'側の16個の塩基配列と同じになるように配置し、且つ(iii)プライマーの3'末端から2番目の塩基「C」が、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」になるように、変異型rpoB遺伝子検出用プライマー配列を設計した。このように設計されたオリゴヌクレオチドを「プライマーrpoB_3」と記載する。「プライマーrpoB_3」の塩基配列を、以下配列番号9に示す。
即ち、下記配列番号9の塩基配列のうち、下線を付したヌクレオチドの3'末端が、野生型が「C」であるものが「G」に変異している部分である。また、3'末端から2番目の塩基「C」は、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」である。
配列番号9:5'-GCTGTCGGGGTTGACCG-3'
設計された「プライマーrpoB_3」を、シグマジェノシス社のカスタムサービスを利用して入手した。
2)「プライマーrpoB_4」の構築
変異型rpoB遺伝子配列_4をもとに、下記の方法でプライマーを設計した。
まず、(i)変異型rpoB遺伝子配列_4における変異導入個所、即ちその5'末端から47番目の塩基「T」が、プライマーの3'末端に相当するように配置し、(ii)プライマーのその他の配列は変異型rpoB遺伝子配列_4の5'末端から47番目の塩基「T」より5'側の16個の塩基配列と同じになるように配置し、且つ(iii)プライマーの3'末端から2番目の塩基「C」が、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」になるように、変異型rpoB遺伝子検出用プライマー配列を設計した。このように設計されたオリゴヌクレオチドを「プライマーrpoB_4」と記載する。「プライマーrpoB_4」の塩基配列を、以下配列番号10に示す。
即ち、下記配列番号10の塩基配列のうち、下線を付したヌクレオチドの3'末端が、野生型が「A」であるものが「T」に変異している部分である。また、3'末端から2番目の塩基「C」は、、2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acidsで修飾された「C」である。
配列番号10:5'-CTGTCGGGGTTGACCCT-3'
設計された「プライマーrpoB_4」を、シグマジェノシス社のカスタムサービスを利用して入手した。
(3)リアルタイムPCR検出による変異型rpoB遺伝子の検出と偽陽性出現の判定
1)PCR用DNA試料の調製
上記(1)1)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_3を含むプラスミドDNA試料、上記(1)2)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_4を含むプラスミドDNA試料の吸光度を測定することにより、各プラスミドDNA試料中のDNA量を測定した。
次いで、実施例1(1)1)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNA試料、上記(1)1)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_3を含むプラスミドDNA試料、上記(1)2)で得られた変異型rpoB遺伝子配列_4を含むプラスミドDNA試料それぞれを、10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.9)を用いて105, 104, 103, 102コピー/μLの希釈系列に希釈したものを調製し、それぞれPCR用DNA試料とした。
2)PCR用反応液の調製
実施例1(2)で得られたプライマーrpoB_2、上記(2)で得られたプライマrpoB_3及びプライマーrpoB_4と、ユニバーサルプライマー(M13フォワードプライマー、タカラバイオ社)を各300nM、発色試薬としてSYBRTM Green I (Molecular Probe社商品名)を原液の30倍希釈(最終 30000倍希釈)、1.5mM MgCl2 、80mM KCl、500μg/mL BSA、0.1% コール酸ナトリウム、0.1% TritonX-100、dATP、dCTP、dGTP、dTTPを各0.2mM、およびTaq DNA ポリメラーゼ(ニッポンジーン製)40単位/mL を含有する10mM Tris-HCl(pH8.9)を調製し、PCR用反応液とした。即ち、この反応液はプライマーrpoB_2、 プライマーrpoB_3及びプライマーrpoB_4の3種類の変異型rpoB遺伝子検出用プライマーを含有する。
3)リアルタイムPCR
鋳型DNA(増幅ターゲット)として、実施例1(1)1)で調製した変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNA、上記(1)1)で調製した変異型rpoB遺伝子配列_3を含むプラスミドDNA、又は上記(1)2)で調製した変異型rpoB遺伝子配列_4を含むプラスミドDNAを用いて、リアルタイムPCRを行った。また、以下の方法で、インターカレーション法による定量モニタリングを行って、リアルタイムPCRの結果の検討・評価を行った。
即ち、上記(3)1)で調製した各希釈系列のPCR用DNA試料1μL、及び上記(3)2)で調製したPCR用反応液19μLを、96 穴反応プレート(マイクロアンプ・オプチカル・96ウェル・リアクション・プレート、アプライドバイオシステムズジャパン社製)のウェルに入れ、TaqManTM PCR 専用サーマルサイクラー・検出器(ABI 7500、アプライドバイオシステムズジャパン社製) を用いてリアルタイムPCRを行った。即ち、95℃ で10分間保温の後、95℃で15秒間、60℃ で1分間の反応を40サイクル繰り返した。そして、増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定した。

(4)融解曲線解析
夫々のPCR用DNA試料の希釈系列に対する増幅産物それぞれについて、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
(5)結果
各DNA試料を鋳型として用い、プライマーrpoB_2、プライマーrpoB_3、及びプライマーrpoB_4の混合プライマーを用いてリアルタイムPCRを行い、得られた結果をもとに作成した融解曲線を、図7〜図9に示す。
図7は、変異型rpoB遺伝子配列_2を含むプラスミドDNAを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った結果である。
図8は、変異型rpoB遺伝子配列_3を含むプラスミドDNAを鋳型として用いてリアルタイムPCRを行った結果である。
図9は、変異型rpoB遺伝子配列_4を含むプラスミドDNAを用いてリアルタイムPCRを行った結果である。
比較例2.
鋳型DNAとして、実施例1(1)2)で得られた野生型のrpoB遺伝子配列を含むプラスミドDNAを用いる以外は、実施例3(3)と同様の方法で、PCR用DNA試料の調製、PCR用反応液の調製及びプライマーrpoB_2、プライマrpoB_3、プライマーrpoB_4及びM13フォワードプライマーを用いたリアルタイムPCRを行い、増幅産物に対してインターカレーションするSYBRTM Green Iの蛍光強度を測定した。
次いで、PCR用DNA試料の希釈系列に対する増幅産物それぞれについて、横軸を増幅産物(2本鎖DNA)の解離温度、縦軸に蛍光強度の一次微分(変化量)をとった融解曲線を作成し、ピークの検出を行った。
各DNA試料を鋳型としてリアルタイムPCRを行い得られた結果をもとに作成した融解曲線を図10に示す。
図10から明らかな如く、本発明に係るプライマーを複数種用い、野生型の配列を有するプラスミドDNAを鋳型としてリアルタイムPCRを行ったときは、プライマー伸長産物のピークが出現しなかった。これに対し、図7〜9から明らかな如く、本発明に係るプライマーを複数種用い、変異型rpoB遺伝子配列_2、変異型rpoB遺伝子配列_3又は変異型rpoB遺伝子配列_4を有するプラスミドDNAを鋳型としてそれぞれ用いてリアルタイムPCRを行った場合には、何れの場合にもプライマー伸長産物が得られた。即ち、本発明に係るプライマー3種を一度に用いることによって、3種類の遺伝子変異を検出することができた。
以上のことより、本発明に係るプライマーを複数用いてリアルタイムPCRを行った場合でも、偽陽性を完全に抑制でき、また一反応のPCRで、多種類の変異パターンに対応するため、multiplex PCRによる薬剤耐性判定系を組むことが可能となることも判った。
例えば結核症診断(治療)では必須とされている菌の耐性を調べる薬剤感受性試験について、遺伝子診断項目としてin-Line(On chip PCRシステム)での分離検出を利用し、結核菌および非結核性抗酸菌症の遺伝子診断と併せて、1チューブ(1ライン)内での薬剤耐性判定が可能になる。
特に、本発明によれば、判定の偽陽性完全に抑制でき、またPCR1反応で、多種類の変異パターンに対応できるため、multiplex PCRにより、複数の遺伝子変異の可能性を一度に検出する薬剤耐性判定系を組むことが可能となる。

Claims (8)

  1. 下記(a)〜(d)の何れかに記載のオリゴヌクレオチド又はその塩をプライマーとして用い、試料中の核酸を鋳型としてリアルタイム核酸増幅反応を行い、反応産物を検出することを特徴とする、核酸配列変異の検出方法
    (a)i)3’末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
    ii)3’末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
    前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5’側に向け
    ての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
    iii)且つ3’末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾
    を有する、
    オリゴヌクレオチド又はその塩、
    (b)i)3’末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと相補的なヌクレオチドを有
    し、
    ii)3’末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
    、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から3’側に向
    けての対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
    iii)且つ3’末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾
    を有する、
    オリゴヌクレオチド又はその塩、
    (c)i)3’末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、
    ii)3’末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、
    前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から5’側に向けての対象遺
    伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、
    iii)且つ3’末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾
    を有する、
    オリゴヌクレオチド又はその塩、
    (d)i)3’末端部位に対象遺伝子の基準ヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを有
    し、
    ii)3’末端部位以外の部位は対象遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であって
    、前記基準ヌクレオチドの前記対象遺伝子上の位置から3’側に向けての対象
    遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を有し、
    iii)且つ3’末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾
    を有する、
    オリゴヌクレオチド又はその塩
    であって、該核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するヌクレオチドが、
    下記式[I]

    Figure 0005239853

    (式中、Bは核酸塩基を示し、R は酸素原子、−NH−基又は低級アルキレン基を示し、R は低級アルキレン基を示す。)
    又は下記式[II]

    Figure 0005239853
    (式中、Bは核酸塩基を示し、R は酸素原子、窒素原子、−NH−基、又は低級アルキレン基を示す。)
    で示されるものである、該検出方法。
  2. 更に、請求項1でプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドをプライマーとして含んでなる、請求項1に記載の検出方法。
  3. プライマーを構成する塩基が15〜30個である、請求項1又は2に記載の検出方法。
  4. 3’末端部位に対象遺伝子の変異ヌクレオチドと同じヌクレオチドを有し、3’末端部位以外の部位は、対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じであって、前記変異ヌクレオチドが存在し得る前記対象遺伝子上の位置から5’側に向けての対象遺伝子のヌクレオチド配列と同じ配列を有し、且つ3’末端から2番目のヌクレオチドは核酸合成反応を阻止し得る修飾を有するオリゴヌクレオチド又はその塩と、該オリゴヌクレオチドと対になって核酸増幅反応で目的配列部分を増幅できるオリゴヌクレオチドの組合せのプライマーが、試料中の核酸を鋳型として核酸増幅反応を行った場合に、該試料中の核酸が変異型である場合には目的の反応産物が得られ、野生型である場合には目的の反応産物が得られない組合せであり、該プライマーの組合せを用いて、核酸の変異型を特異的に検出する、請求項に記載の検出方法。
  5. 核酸配列変異が遺伝子多型である、請求項1に記載の検出方法。
  6. 遺伝子多型が一塩基置換、一塩基欠損又は一塩基挿入である、請求項に記載の検出方法。
  7. 核酸合成反応を阻止する修飾が結合したヌクレオチドが、2'−O,4'−C−Ethylene−bridged Nucleic Acids(ENA)が結合したヌクレオチドである、請求項1に記載の検出方法。
  8. 核酸増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である、請求項1に記載の検出方法。
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