JP5233082B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
プラズマ状態は、グロー放電、コロナ放電及びアーク放電によって実現されるものであり、このうち、グロー放電の方式としては、直流グロー放電を利用する方法、高周波グロー放電を利用する方法、マイクロ波放電を利用する方法が知られている。
しかも、マイクロ波放電プラズマは、高エネルギー電子の生成効率に優れたプラズマであり、高密度、高反応性プラズマとしてプラズマCVDに有用なものである。
ここで、保持手段は、図7に示すように、ボトル200の口部210が嵌合可能なように、その口部210の外形と対応させて形成された環状の凹部110を有している。そして、この凹部110の底部120にはOリング(真空シール部材)130が嵌合されている。
これにより、その凹部110にボトル200の口部210が嵌合されると、その口部210の天面220が真空シール部材130を押圧するため、チャンバ内の真空状態を維持できる。
また、同装置においてはOリングが用いられているが、これは、球状樹脂成形体や帯状樹脂成形体を支持するためのものであり、真空シール部材としての機能を有していない。
さらに、プラズマに曝された部分は、パーティクルの発生源ともなっていた。このため、高性能の薄膜を形成するのに支障をきたすという問題もあった。
ところが、そのような特別な真空シール部材であっても、プラズマに曝される過酷な状況下で使用され続ける以上シール耐性の低下は避けられなかった。つまり、その特別な真空シール部材は、プラズマ照射によるシール性能の低下が従来のものに比べて緩やかというだけであって半永久的に低下しないというものではなかった。このため、特別な真空シール部材を使用しても、いずれは真空引き不良の発生要因となることに変わりはなかった。したがって、特別な真空シール部材を使用しても上記問題を完全に解決することはできなかった。
新品のOリングは、充分な弾力性を有するため、その溝に簡単に嵌合させることができ、しかも、容易に取り出すことができる。
ところが、劣化したOリングは、硬化しているため、嵌合されたものを取り出すことは容易ではなかった。このため、劣化したOリングの交換には、相当の時間を要していた。
さらに、これらより、真空シール部材のシール性能を長期間維持させることができるため、交換頻度を低くして交換の手間を低減するとともに、真空シール部材に要するコストを減らすことができる。
加えて、真空シール部材と当接面との二つの部分でシールを行うため、シールの二重構造とすることができる。これにより、シール性能を強化できる。
プラズマ処理装置をこのような構成とした場合でも、当接面の外側に真空シール部材が配置されるため、成膜時には、保持手段の当接面と処理対象物の天面とが障壁となって真空シール部材がプラズマに曝されることが無くなる。このため、真空シール部材におけるクラックやパーティクルの発生を抑えて、シール性能を長期間維持させることができる。
プラズマ処理装置をこのような構成とした場合でも、真空シール部材がプラズマに曝されることがなくなるので、シール性能の低下を抑制できる。
プラズマ処理装置をこのような構成とすれば、真空シール部材が環状凸部の下面に接するため、その環状凸部に上から押圧されて、シール性能を高めることができる。
プラズマ処理装置をこのような構成とすると、そのテーパ面において真空シール部材が充分に押さえ付けられるため、真空シール部材のシール性能を高めることができる。
プラズマ処理装置をこのような構成とすれば、嵌合溝を構成する二以上の部材を一つ一つ順番に取り外すことで、嵌合溝が大きく開放され、真空シール部材を容易に取り出すことができる。特に、長期間使用して硬化した真空シール部材についても、容易に取り出して交換することができる。
さらに、各部材が分割されるため、それら各部品の掃除も簡単に行うことができる。
プラズマ処理装置をこのような構成とすれば、それらOリング又はパッキンについて、そのシール性能の維持を図ることができる。
プラズマ処理装置をこのような構成とすれば、プラズマの発生状態を安定に保ちつつ、ボトルの口部周辺の熱変形や穿孔を防止できる。
したがって、真空シール部材の寿命を延ばしてコスト低減を図ることができる。
(プラズマ処理装置)
まず、本発明のプラズマ処理装置の実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態のプラズマ処理装置の構造を示す正面断面図である。
プラズマ処理装置1は、いわゆるマイクロ波半同軸円筒共振系を形成している。すなわち、円筒形のチャンバ11によりプラズマ処理室を形成するとともに、この軸上に導電性の処理用ガス供給部材15を、その端部が天蓋12まで達しない状態で設けた構成としてある。
次に、保持手段の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
図2は、保持手段の側面図(部分断面図)、図3は、図2のA部拡大図である。
保持手段30aは、図1に示すように、基台10の上面のほぼ中央に載置されており、倒立したボトル20の口部21を保持する。
この保持手段30aは、図2に示すように、保持手段本体31aと、排気管部材32aと、当接部材33aと、第一Oリング34aと、Oリング保持部材35aと、係止部材36aと、ボルト37aと、第二Oリング38aとを有している。
貫通孔31a−1の中間部から上部にかけては、排気管部材32aの外周凸部32a−1が係止する係止部31a−2と、第二Oリング38aを嵌め込むOリング嵌合部31a−3と、当接部材33aが嵌合する当接部材嵌合部31a−4とが、段状かつ連続的に形成してある。
排気管部材32aの外周には、外周凸部32a−1が形成されており、この外周凸部32a−1は、保持手段本体31aの係止部31a−2に係止している。
ボトル20の口部21は、胴部23に比べて細くなっているため、反応ガスの流れが密となるので、プラズマが濃くなる。また、口部21の外周を金属製の部材が覆う状態になるとその口部21の周辺の電界が強くなる。そうすると、口部21が熱変形を起こしやすくなり、さらには穿孔が生じやすい。
そこで、口部21の内径よりも若干小さい外径を有する円筒部材を口部21の内側に設けることで、プラズマ状態の処理用ガスを口部21に近づきにくくして、熱変形等の発生を抑えることができる。
ボトル20の口部21付近の熱変形や穿孔などを防止するためにマイクロ波を遮蔽すると、プラズマ放電を起こす電界エネルギーの一部が失われることになるが、円筒形の遮蔽体をボトル口部21の奥深くまで挿入すると、エネルギーの損失が大きくなりすぎてプラズマ発生状態が不安定になることが考えられる。
電界エネルギーは、マイクロ波の入射側が最も高い。そこで、このマイクロ波が入射する方のみ延設部32a−2を設けて遮蔽することにより、ボトル口部21付近の熱変形や穿孔などを防止しつつ、安定したプラズマ発光状態を得ることができる。
なお、口部21の内面のうち延設部32a−2が接近している部分には、薄膜は蒸着されない。
さらに、当接部材33aの下面の一部は、Oリング嵌合部31a−3に嵌め込まれた第二Oリング38aに当接する。
段差33a−2には、第一Oリング34aが嵌合され、フランジ部33a−3の上面には、Oリング保持部材35aの下部が係合する。
ただし、第一Oリング34aの表面は、当接部材33aとOリング保持部材35aとによりそのすべてが覆われるのではなく、一部(上端部から内周側縁部にかけて)が開放している。この開放部分にボトル20の天面22が当接し押圧されることで、第一Oリング34aは、若干押しつぶされ、ボトル20の天面22と当接部材33aの段差33a−2とOリング保持部材35aの鉤部にそれぞれ密着した状態となって、真空をシールする。
また、第一Oリング34aは、例えば、ニトリルゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴムなどを用いて成形できる。
この係止部材36aは、Oリング保持部材35aの外周縁を押圧するような環状としてもよいし、Oリング保持部材35aの外周縁の数箇所を等間隔に押圧するような駒状としてもよい。
なお、本実施形態においては、駒状の係止部材36aを、等間隔に四箇所に設けてある。ただし、係止部材36aは、四箇所に限るものではなく、二箇所,三箇所あるいは五箇所以上に設けることもできる。
このように、保持手段を分割可能な構造とすると、第一Oリングの交換が容易となる。
すなわち、従来の保持手段は、図7に示すように、排気管部材140以外は、一体型で形成されていた。このため、第一Oリング130が嵌合する嵌合溝150もその一体型構造の一部として形成されていた。具体的には、図8に示すように、嵌合溝150を形成する底部151と、外周部152と、上部(鉤部)153が一体形成されており、排気管部材140により内周が閉じられていた。ただし、上部(鉤部)153と排気管部材140の上方先端との間は開放されており、嵌合溝150に嵌合した第一Oリング130は、その開放部分で露出する。
ところが、露出部分がプラズマに曝され続けた第一Oリング130は、弾性が低下している。そして、嵌合溝150は、底部151と外周部152と上部153が一体構造となっている。このため、第一Oリング130は、その露出部分から引き出すしかないが、弾性が低下しているため、その取り出しが困難となっていた。
このような構造とすれば、Oリング保持部材35aを取り外すことで、嵌合溝39aの上方が取り払われた状態となる。これにより、第一Oリング34aは、変形させることなく、そのままの状態で上方に引き上げるだけで容易に取り出すことができる。したがって、長時間使用されて硬化したOリングであっても容易に交換できる。
プラズマ処理装置1は、処理対象物であるボトル20の内面に薄膜を形成する装置であるが、薄膜は、ボトル20の内面だけでなく、処理用ガスの通る排気管部材32aの内面などにも形成される。そこで、その形成された薄膜を剥がす作業が必要となる。
そこで、本実施形態においては、保持手段30aを分割構造とし、Oリング保持部材35aや当接部材33aを上方へ取り外し可能な構造とした。これにより、排気管部材32aについても上方へ取り外す構造とすることができる。そして、清掃後は、排気管部材32aを上方から貫通孔31a−1に挿入すればよい。このように、排気管部材32aの取り外しや挿入(嵌合)を保持手段本体160の上方から行えるようにしたため、わざわざ保持手段100の全体を基台10から取り外さなくてもよくなり、手間を軽減できる。
ノズルチャック40は、ボトル20を保持手段30aにセットする際にボトル20のネックリングを把持し、処理終了後にボトル20を取り出せるように、移動可能に配置されている。
このノズルチャック40は、ボトル20を把持する爪から横に少しずつずれた位置で本体にピン結合され、このピンを軸(回転支点41)として回転可動する。
これに限らず、レール上に設置して直線的に移動するなどの形態をすることもできる。
次に、本実施形態にかかるプラズマ処理装置を用いたボトルの成膜処理方法について説明する。
ボトル20を倒立状態で保持手段30aにセットし、そのボトル20の口部21の外周凸部にノズルチャック40を係合させて保持させる。このとき、天蓋12は、チャンバ11から外されており、保持手段30aは、ロッド(図示せず)によりチャンバ11内を上昇してチャンバ11の上部に位置している。
この状態において、ボトル20の口部21を、保持手段30aに保持させ、ロッドを下降させて保持手段30aを所定位置に配置する。その後、天蓋12を閉じてチャンバ11内を密封して図1に示す状態とする。
この減圧状態に達した後、処理用ガス供給部材15によりボトル20内に処理用ガスを供給する。
チャンバ11内に導入されたマイクロ波は、処理用ガスを高エネルギー状態にしプラズマ状態を形成させる。プラズマ化された処理用ガスは、ボトル20内面に作用し堆積することにより被服膜を形成する。
その後、天蓋12を外し、保持手段30aを上昇させ、プラズマ処理されたボトル20をプラズマ処理装置1から取り出す。
次に、本発明のプラズマ処理装置の第二の実施形態について、図5を参照して説明する。
同図は、本実施形態のプラズマ処理装置に備えられた保持手段の部分構成を示す断面図である。
本実施形態は、第一実施形態と比較して、第一Oリングの配置位置が相違する。すなわち、第一実施形態では、第一Oリングが天面のうち径方向外側に接する位置に配置されたのに対し、本実施形態では、第一Oリングが天面近傍の口部の側面に接する位置に配置されている。他の構成要素は第一実施形態と同様である。
したがって、図5において、図1等と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
なお、図5においては、当接面33b−1と嵌合溝形成面33b−2とが同一平面上に形成された構成としてあるが、このような構成に限るものではない。例えば、ボトル20の口部外周の凸部テーパ面24が同図に示す位置よりも高い(低い)場合や、第一Oリング34が同図に示す径よりも細い(太い)場合には、嵌合溝形成面33b−2が当接面33b−1よりも高く(低く)なるような段差を設けた形状とすることができる。
このため、第一Oリングにおけるクラックやパーティクルの発生をなくし、シール耐性を長期に維持させて、真空引き不良のおそれを無くすことができる。
しかも、プラズマ対応の特別なOリングではなく、一般的なOリングの使用が可能となるため、交換頻度の低減と相まってコストを軽減できる。
次に、本発明のプラズマ処理装置の第三の実施形態について、図6を参照して説明する。
同図は、本実施形態のプラズマ処理装置に備えられた保持手段の部分構成を示す断面図である。
本実施形態は、第一実施形態と比較して、第一Oリングの配置位置が相違する。すなわち、第一実施形態では、第一Oリングが天面のうち径方向外側に接する位置に配置されたのに対し、本実施形態では、第一Oリングが口部側面の凸部下面のテーパ面に接する位置に配置されている。他の構成要素は第一実施形態と同様である。
したがって、図6において、図1等と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
なお、図6においては、嵌合溝形成面33c−2が当接面33c−1よりも高くなるよう段差33c−4を設けた形状としてあるが、このような形状に限るものではない。例えば、ボトル20の口部外周の凸部テーパ面24が同図に示す位置よりも低い場合や、第一Oリング34が同図に示す径よりも太い場合には、当接面33c−1と嵌合溝形成面33c−2とは同一平面上に形成することができ、あるいは、嵌合溝形成面33c−2が当接面33c−1よりも低くなるような段差を設けた形状とすることができる。
そして、第一Oリングにおけるクラックやパーティクルの発生をなくし、シール耐性を長期に維持させて、真空引き不良のおそれを無くすことができる。
しかも、プラズマ対応の特別なOリングではなく、一般的なOリングの使用が可能となるため、交換頻度の低減と相まってコストを軽減できる。
例えば、上述した実施形態では、保持手段を五つの部材(保持手段本体、排気管部材、当接部材、Oリング保持部材、係止部材)に分割可能な構造としたが、五つに限るものではなく、二つ、三つ、四つ、あるいは六つ以上であってもよい。
さらに、Oリングについても、断面が円形のOリングに限るものではなく、断面が矩形のものを用いることもできる。
また、処理対象物の例としてボトルを挙げたが、処理対象物はボトルに限るものではなく、各種プラスチック容器を含むことができる。
20 ボトル(処理対象物)
21 口部
22 天面
23 外周凸部
24 テーパ部
30a、30b、30c 保持手段
31a、31b、31c 保持手段本体
32a、32b、32c 排気管部材
32−1a 外周凸部
33a、33b、33c 当接部材
33−1a、33b−1、33c−1 当接面
34a、34b、34c 第一Oリング
35a、35b、35c Oリング保持部材
36a、36b、36c 係止部材
37a、37b、37c ボルト
40 ノズルチャック
Claims (8)
- チャンバ内に設置された処理対象物であるボトルの内部にプラズマ状態を形成するプラズマ処理装置であって、
前記ボトルの口部を保持する保持手段を備え、
前記保持手段が、前記ボトルの口部の天面が当接する当接面を有し、
前記ボトルの口部の天面及び/又はその近傍に接する真空シール部材を、前記当接面よりも外側に配置した
ことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記当接面が、前記ボトルの口部の天面のうち径方向内側に接し、
前記真空シール部材が、前記天面のうち径方向外側に接するように配置した
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。 - 前記当接面が、前記天面の一部又は全部に接し、
前記真空シール部材が、前記口部の天面近傍の側面に接するように配置した
ことを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ処理装置。 - 前記ボトルの口部が、当該口部の外周面に沿って形成された凸部を有し、
前記真空シール部材が、前記凸部の下面に接するように配置した
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。 - 前記凸部の下面が、テーパ面に形成されており、
前記真空シール部材が、前記テーパ面に接するように配置した
ことを特徴とする請求項4記載のプラズマ処理装置。 - 前記保持手段が、前記真空シール部材が嵌合される嵌合溝を有し、
該嵌合溝が、分割可能な二以上の環状部材で形成された
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマ処理装置。 - 前記真空シール部材が、Oリング及び/又はパッキンを含む
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマ処理装置。 - 前記保持手段が、
当該保持手段の中央部縦方向に穿設された貫通孔と、
この貫通孔に嵌合するほぼ筒状の排気管部材とを有し、
この排気管部材は、上部開口の外周端の一部がさらに上方へ延設した延設部を有し、
この延設部は、前記上部開口の外周のうち、プラズマ処理装置のマイクロ波導波管が取り付けられている側のみ延設されており、前記ボトルの口部の長さとほぼ同じ長さだけ延設された
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
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