JP5226420B2 - 光学フィルター - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルターに関するものである。
所定の波長帯域の光の透過を阻止する光学フィルターは、マイナスフィルターとして知られており、例えば特許文献1に記載の光学薄膜フィルターがある。特許文献1に記載の光学薄膜フィルターは、多層膜からなるフィルター部を基板上に有する。フィルター部において、屈折率は膜厚方向に連続的又は段階的に変化しており、その屈折率分布の形状が膜厚の中央部分で一度膨らんでいる紡錘形となっている。このような屈折率分布を備えることで、透過帯域におけるリップルの低減が図れると共に、光の透過を阻止する上記所定の波長帯域と透過帯域との分離がより確実になる。上記のような屈折率分布を有するフィルター部上には、大気との光学特性の整合を取るためにガラス基板などを更に積層することが知られていたが、特許文献1に記載の光学薄膜フィルターでは、ガラス基板の代わりに、屈折率が互いに異なる8つの層が積層されてなるマッチング層をフィルター部上に設け、大気とフィルター部との光学特性の整合を図っている。
特開2006−85041号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成を有するマッチング層では、マッチング層を構成する8つの層の屈折率を全て異なるものとしているため、各層の膜厚制御や光学フィルターに適した材料の選択が難しく、結果として、光学フィルターの製造が困難であった。
そこで、本発明は、所定の波長帯域の光の透過を阻止する光学フィルターであって、リップルを抑制可能であり、製造の容易な光学フィルターを提供することを目的とする。
本発明に係る光学フィルターは、所定の波長帯域の光の透過を阻止する光学フィルターであって、透光性の基板と、この基板の主面上に設けられ、主面に略直交する方向に屈折率が連続的且つ周期的に変化しており、屈折率分布の形状が紡錘形であるフィルター部と、このフィルター部上に積層されたマッチング層と、を備え、マッチング層は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する高屈折率層とを交互に積層されて構成されており、マッチング層において、フィルター部と接する面と反対側の面を有する最外層は、低屈折率層であり、最外層の光学膜厚dは、所定の波長帯域の中心波長をλとすると、
Figure 0005226420

なる関係を満たし、最外層に隣接する高屈折率層の光学膜厚dは、
Figure 0005226420

なる関係を満たす、ことを特徴とする。
上記構成の光学フィルターでは、屈折率が連続的に変化し、屈折率分布が紡錘形であるフィルター部を有することから、リップルを抑制することができる。また、このフィルター部上には、第1の屈折率を有する低屈折率層と、第2の屈折率を有する高屈折率層とが交互に積層されているマッチング層が設けられている。このマッチング層においては最外層は低屈折率層であり、その最外層の光学膜厚が中心波長λに対して式(1)の関係を満たし、最外層に隣接する高屈折率層の光学膜厚が中心波長λに対して式(2)の関係を満たしている。その結果、前述したフィルター部に対して上記マッチング層により大気とフィルター部との光学特性の整合がとれ、リップルを更に抑制可能となっている。そして、マッチング層は、異なる屈折率を有する低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されているため、膜厚制御や材料の選択も容易である。そのため、光学フィルターの製造がより容易になっている。
また、本発明に係る光学フィルターでは、フィルター部は、複数の誘電体層が積層されて構成される多層膜であり、各誘電体層は、フィルター部の屈折率分布が紡錘形となる混合比で複数の単一材料が混合されてなる層であり、低屈折率層は、複数の上記単一材料のうち最も低い屈折率を有する材料で構成され、高屈折率層は、複数の上記単一材料のうち最も高い屈折率を有する材料で構成されることが好ましい。
このようにフィルター部に使用される上記複数の単一材料からマッチング層を構成するため、光学フィルターに適した材料によりマッチング層を作製することが可能である。更に、低屈折率層と高屈折率層との屈折率差をより大きくできているため、マッチング層を構成する各層の境界面での反射光量も大きくなる。その結果、マッチング層を構成する各層間の反射光量の推移を読み取り易いため、膜厚の制御がより容易となっている。
本発明によれば、所定の波長帯域の光の透過を阻止する光学フィルターであって、リップルを抑制可能であり、製造の容易な光学フィルターを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る光学フィルターの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図中の寸法比率は必ずしも説明中のものとは一致しない。
図1は本発明に係る光学フィルターの一実施形態の構成を概略的に示す断面図である。図1では、光学フィルター1を構成する各層などは模式的に表している。光学フィルター1は、所定の波長帯域(以下ストップ帯と称する)の光の透過を阻止するマイナスフィルターである。光学フィルター1のストップ帯は522nm〜542nmであり、ストップ帯の中心波長λは532nmである。このようにストップ帯の幅が狭い(例えば20nm以下)マイナスフィルターはノッチフィルターとして知られており、例えば、ラマン分光計測に用いられる。
図1に示すように、光学フィルター1は、ガラス基板12(透光性の基板)を有し、ガラス基板12の表面12a(主面)上に、上記所定の波長領域の光の透過を阻止するためのフィルター部16と、フィルター部16と大気との光学特性を整合するための大気側マッチング層18とが設けられている。また、光学フィルター1は、フィルター部16のガラス基板12側の面16aでの屈折率とガラス基板12との屈折率の差が大きい場合などには、フィルター部16とガラス基板12との間に、それらの光学特性を整合させるための基板側マッチング層14を備えることが好ましい。本実施形態では、光学フィルター1は、ガラス基板12上に、基板側マッチング層14、フィルター部16及び大気側マッチング層18がこの順に積層されてなる光学薄膜フィルターとして説明する。
図2を利用して、基板側マッチング層14及びフィルター部16について説明する。図2は、光学フィルター1とその屈折率分布の一例とを示す図である。図2(a)は、図1に示した光学フィルター1のガラス基板12上の構成を示す模式図であり、図2(b)は、光学フィルター1が有する基板側マッチング層14、フィルター部16及び大気側マッチング層18の屈折率分布を示す図である。基板側マッチング層14は、図2(b)に示すように、屈折率分布が傾斜した屈折率傾斜膜とすることができる。本実施形態では、基板側マッチング層14は、膜厚を変数とする5次の多項式を用いて屈折率を分布させた5次のマッチング層である。
フィルター部16は、複数の誘電体層を積層した多層膜である。フィルター部16において、屈折率は膜厚方向(表面12aに略直交する方向)に連続的且つ周期的に変化している。また、フィルター部16における屈折率分布の形状、すなわち、屈折率変化の包絡線形状は、膜厚方向においてフィルター部16の中央部で一度膨らむ紡錘形となっている。膜厚方向に屈折率が連続的且つ周期的に変化する構造はルーゲート(rugate)構造として知られている(例えば、W.H.Southwell “Extended-bandwidth reflector designs by using wavelets” Applied Optics,Vol.36,No.1,314-318(1997)参照)。そして本実施形態のフィルター部16は、屈折率n(x)を、
Figure 0005226420

に従って連続的かつ周期的に変化させた、wavelet型のルーゲート構造としている。ここで、
Figure 0005226420

Figure 0005226420

Figure 0005226420

Figure 0005226420

Figure 0005226420

である。ただし、xはガラス基板12側の面16aからの光学距離、φは初期位相、nはフィルター部16が有する最も低い屈折率、nはフィルター部16が有する最も高い屈折率、Nは式(3)のsin波の波数である。また、A(x)は、x≦T/2では式(6)を用い、x>T/2では式(7)を用いる。
フィルター部16は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、式(3)〜式(8)に基づいて、膜厚方向の屈折率分布を予め設定する。そして、フィルター部16を構成する各誘電体層を、上記屈折率分布に応じて、屈折率の異なる複数の単一材料の混合比を調整して形成する。即ち、フィルター部16の各誘電体層は、フィルター部16の屈折率分布が紡錘形となる混合比で複数の単一材料が混合されて構成される。各誘電体層は、例えばスパッタ法により形成すればよい。図2(b)は、フィルター部16を構成する複数の材料として、屈折率が1.4736であるSiOと屈折率が2.1924であるTaの2つの材料を使用し、n=1.8532、n=1.6932、λ=532nmとして作製した場合の屈折率分布である。
続いて、図3〜図5を用いて、大気側マッチング層18について説明する。図3は、図1に示した大気側マッチング層の拡大図である。図3では、説明のために大気側マッチング層18を模式的に示している。図4は、図2に示した屈折率分布の大気側マッチング層18部分の拡大図である。図5は、フィルター部16に接する面18aを有する第1層181から、最外層188までの各層の屈折率と光学膜厚の詳細な値を示している。
大気側マッチング層18は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、この第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する高屈折率層とを交互に積層することで構成された多層膜である。ここでは、大気側マッチング層18は低屈折率層と高屈折率層とをそれぞれ4層積層することで構成されている。また、大気側マッチング層18のフィルター部16に接する面18aと反対側の面18bを有する最外層188は、低屈折率層である。従って、大気側マッチング層18は、フィルター部16上に、第1層181、第2層182、第3層183、第4層184、第5層185、第6層186、第7層187(最外層に隣接する高屈折率層)及び最外層188がこの順に積層されて構成されている。
大気側マッチング層18の第2層182、第4層184、第6層186及び最外層188は、フィルター部16の各誘電体層の作製に用いられる複数の単一材料のうち、最も低い屈折率を有する材料であるSiOで構成されており、屈折率は1.4736である。また、第1層181、第3層183、第5層185及び第7層187は、フィルター部16の各誘電体層の作製に用いられる複数の単一材料のうち最も高い屈折率を有する材料であるTaで構成されており、屈折率が2.1924である。ここでは、屈折率は、波長532nmに対する屈折率を表している。また、以下、特に断らない限り屈折率は波長532nmに対するものとする。
大気側マッチング層18の最外層188の光学膜厚dはストップ帯の中心波長λに対して式(1)の関係を満たし、第7層187の光学膜厚dは上記中心波長λに対して式(2)の関係を満たしている。図2(b)に示した屈折率分布を有する光学フィルター1では、光学膜厚dは、125.70nmであり、光学膜厚dは、277.72nmである。第1層181から第6層186の光学膜厚は、任意に設計可能である。ここでは、第1層181から第6層186の光学膜厚は、コンピュータを用いて、所望の分光特性が得られる最適な各層の光学膜厚の組み合わせを算出している。このような大気側マッチング層18は、例えば、スパッタ法により形成することによって作製することができる。
上記構成の光学フィルター1は、ルーゲート構造のフィルター部16を備えているため、ノッチフィルターとして機能する。そして、光学薄膜フィルター1では、フィルター部16上に大気側マッチング層18を設けることで、フィルター部16と大気との光学特性の整合を図っている。
ここで、図6を利用して光学薄膜フィルター1の作用効果について具体的に説明する。図6は、光学フィルター1の分光スペクトルを示す図である。図6の横軸は波長を示し、縦軸は透過率を示している。また、図6中の実線で示される分光スペクトルS1は、図2(b)に示した屈折率分布を有する光学フィルター1に対して取得した分光スペクトルである。一方、図6中の破線で示される分光スペクトルS2は、光学フィルター1から大気側マッチング層18を除いた比較用の光学フィルターの分光スペクトルである。図6に示すように光学フィルター1及び比較用の光学フィルターの何れもルーゲート構造のフィルター部16を備えるため、中心波長λが532nmであるストップ帯の光の透過を阻止することができている。また、フィルター部16がルーゲート構造であるため、ストップ帯は、522nm〜544nmであり、ストップ帯の幅は20nmとなっており、光学フィルター1及び比較用の光学フィルターがそれぞれノッチフィルターとなっていることがわかる。
光学フィルター1及び比較用の光学フィルターはともにノッチフィルターとして機能するが、光学フィルター1の分光スペクトルは、大気側マッチング層18を備えていることにより、大気側マッチング層18を有しない比較用の光学フィルターの分光スペクトルに比べ、リップル(透過率の波長依存性)が軽減されている。また、大気側マッチング層18を有する光学フィルター1は、大気側マッチング層18を有しない比較用の光学フィルターに比べると、ストップ帯以外の波長帯(透過帯)の透過率が増加していることがわかる。即ち、光学フィルター1では、屈折率の異なる2つの層(低屈折率層と高屈折率層)を交互に積層して構成されており、低屈折率層としての最外層及びそれに隣接する高屈折率層の光学膜厚が式(1)及び式(2)を満たす大気側マッチング層18を有することにより、リップルの軽減を更に図ることができ、また、透過帯での透過率の増加を図ることができている。
大気側マッチング層18は屈折率の異なる2つの層から構成されるため、例えば、特許文献1に記載されているような屈折率の異なる8つの層を積層したマッチング層に比べて、大気側マッチング層18の各層間の屈折率差を大きく取ることが可能となっている。各層間の屈折率差が大きいと、各層の境界面での反射光量も大きくなることから、各層間の反射光量の推移を容易に読み取ることができる。多層薄膜の膜厚の制御に光学式膜厚計を使用する場合があり、この場合、薄膜を積層することによる反射光量の推移を測定することで膜厚の制御を行うため、大気側マッチング層18によれば、膜厚の制御を容易に行うことが可能である。
さらに、大気側マッチング層18は、2種類の材料のみから構成されるため、光学フィルターに適した材料を容易に選択することができる。従って、光学フィルター1は、従来の8種類の材料からなるマッチング層を備える光学フィルターに比べて、製造が容易である。そして、図2(b)に示した屈折率分布を有する光学フィルター1では、大気側マッチング層18の低屈折率層及び高屈折率層を、フィルター部16を構成する材料のうち屈折率差の大きい材料で構成していることから、その製造が更に容易になっている。
また、光学フィルター1は、上述のように、大気側マッチング層18を、フィルター部16に適用することによって、リップルを抑制することができ、透過帯の透過率を大きくすることができる。そして、その分光特性においては、図6に示したようにストップ帯と透過帯の境界における透過率の変化が急峻である。従って、微弱な散乱光の検出を必要とするラマン分光計測等にも好適に用いることができる。
本実施形態に係る光学フィルター1は、上述のように、ラマン分光計測等に好適に用いられる。そこで、次に、光学フィルター1を用いたラマン分光計測装置について説明する。図7は、本実施形態の光学フィルター1を適用したラマン分光計測装置の一実施形態の概略構成図である。
図7に示すように、ラマン分光計測装置2は、波長532nmの励起光を出力する励起光源としてのレーザ装置21を有し、レーザ装置21から出力された励起光は、サイドバンドを除去するためにバンドパスフィルター22に入射される。この際、図7に示すようにレーザ装置21から出力された励起光を、光ファイバ23により導光し、光ファイバ23から出力された励起光をレンズ24などにより平行光にしてバンドパスフィルター22に入射することができる。
バンドパスフィルター22を通過してサイドバンドが除かれた励起光は、ハーフミラー25及び集光レンズ26を経て試料27に照射される。そして、励起光の入射により試料27で生じた散乱光は、ハーフミラー25により反射ミラー28側へ反射された後、光学フィルター1を経て検出手段31に入射される。光学フィルター1を通過した散乱光は、例えば、レンズ29で集光して光ファイバ30に入射し、光ファイバ30を通して検出手段31に入射させることができる。検出手段31は分光器311と、検出器としてのCCDカメラ312とを有しており、検出手段31に入射された散乱光は、分光器311で分光された後、CCDカメラ312により検出される。そして、CCDカメラ312から検出信号がコンピュータ装置等の解析装置32に入力される。
上記構成のラマン分光計測装置2では、励起光の波長をストップ帯の中心波長λとして設計された光学フィルター1に散乱光を通過させた後に、検出手段31により検出している。その結果、励起光(0次光)が十分減衰された散乱光を検出できることになる。そして、光学フィルター1は、ストップ帯の帯域幅が20nm程度であるノッチフィルターであるため、ストークス光とアンチストークス光とを両方検出することが可能である。更に、光学フィルター1が有するフィルター部16がルーゲート構造であり、フィルター部16に対して大気側マッチング層18が設けられているため、前述したように透過帯でのリップルが抑制され、透過率がより高くなっている。その結果、微弱光を効率的に検出できる。
これまでの説明では、大気側マッチング層18は低屈折率層(第2層182、第4層184、第6層186、最外層188)及び高屈折率層(第1層181、第3層183、第5層185、第7層187)をそれぞれ4層ずつ有し、それらが交互に積層された構成とした。すなわち、大気側マッチング層18は、8層からなる多層膜として説明したが、大気側マッチング層18の層数は8層に限定されない。
ここで、大気側マッチング層18の層数が3層以上10層以下の場合の一例について、各層数の大気側マッチング層18の分光特性の評価を行った結果を基に説明する。図8及び図9に、層数が3層から10層である各大気側マッチング層18の、各層の屈折率と光学膜厚の詳細な値を示した。図8(a)〜(f)に層数が3層〜8層である大気側マッチング層18の各層の屈折率と光学膜厚の詳細な値を示し、図9(a)、(b)に、層数が9層及び10層である大気側マッチング層18の各層の屈折率と光学膜厚の詳細な値を示した。
これらの各大気側マッチング層18は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層することで構成され、フィルター部16に接する面18aと反対側の面18bを有する最外層は低屈折率層である。また、各大気側マッチング層18の低屈折率層は、屈折率が1.4736であって、フィルター部16の各誘電体層の作製に用いられる複数の単一材料のうち、最も低い屈折率を有する材料であるSiOで構成されており、高屈折率層は、屈折率が2.1924であって、フィルター部16の各誘電体層の作製に用いられる複数の単一材料のうち最も高い屈折率を有する材料であるTaで構成されている。さらに、各大気側マッチング層18の最外層の光学膜厚dは式(1)の関係を満たしており、最外層に隣接する第2層の光学膜厚dは式(2)の関係をみたしている。
図10は、図8及び図9にて詳細を示した、層数が3層から10層である大気側マッチング層18の分光特性の評価値である。ここでいう評価値とは、図11のように、必要とする反射率R(λ)と光学多層膜の反射率に関する周知の計算方法によって求める反射率R(λ)との差を用いて、
Figure 0005226420

で与えられる値である。ただし、
Figure 0005226420

とした。なお、上記の反射率R(λ)を求める計算としては、例えば、「H.A.Macleod著,「光学薄膜」,日刊工業新聞社,1989,P42〜P43」に記載されている計算方法を用いることができる。
図11では、必要とする反射率R(λ)は模式的に一定としているが、λがストップ帯にある場合は1とし、λが透過帯にある場合には0とする(必要とする反射率R(λ)は、0から1の値をとる)。ここでは、評価の対象とした波長範囲を360nm〜760nmとしたが、0.7×λ〜λ/0.7の範囲で適宜変更してもよい。
上記の評価値の定義からわかるように、大気側マッチング層18は評価値が小さいほど必要とする分光特性に近い分光特性を有する。ラマン分光計測等で光学フィルターを使用する場合、大気側マッチング層の評価値のオーダーは、10−2以下であることが好ましいため、大気側マッチング層は、低屈折率層と高屈折率層をそれぞれ少なくとも2層有することが望ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る光学フィルターは上記実施形態に限定されない。例えば、フィルター部16は、フィルター部16における最大屈折率nを1.8532とし、最小屈折率nを1.6932としているが、図12に示すように、最大屈折率nをTaの屈折率とし、最小屈折率nをSiOの屈折率として設計することもできる。更に、これら例示した最大屈折率及び最小屈折率の場合に限らず、ノッチフィルターとしての所望の分光特性が得られる範囲で、フィルター部16における最大屈折率と最小屈折率との間に有意な屈折率差が生じるように設計していればよい。また、フィルター部16における屈折率分布の包絡線の形状は、wavelet型に限らない。フィルター部16における屈折率分布の包絡線の形状は例えば、中央部が膨らんだ形状、一例としては、一対の山型が互いに反転した状態で合わさったような形状をしていればよい。即ち、上記包絡線の形状は紡錘形であればよく、Gaussian型のものも例示することができる。
また、本実施形態に係る大気側マッチング層18は、屈折率が、膜厚方向に対して段階的且つ周期的に変化し、屈折率分布の形状が紡錘形であるようなフィルター部に適用してもよい。更に、大気側マッチング層18は、フィルター部の各誘電体層の作製に用いられる複数の単一材料のうち最大の屈折率の材料と、最小の屈折率の材料とから構成されているとしたがこれに限定されない。例えば、マッチング層の低屈折率層の材料は、フィルター部の最小屈折率以下の屈折率を有する材料から選択し、フィルター部の最大屈折率以上の屈折率を有する材料から選択することが、低屈折率層と高屈折率層との間に有意な屈折率差を生じせしめる観点から好ましい。屈折率の異なる低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層され、最外層及び最外層に隣接する層がそれぞれ式(1)及び式(2)を満たしていればよい。
なお、大気側マッチング層18を構成する材料は、フィルター部の各誘電体層の作製に用いられる複数の単一材料から選択することで、光学フィルターに適した材料によりマッチング層を作製することが可能である。本実施形態では、光学フィルター1のストップ帯を522nm〜542nm、ストップ帯の中心波長λを532nmとして設計している。しかし、ストップ帯の中心波長λを、例えば、488nm、632.8nm、785nm、830nm、1064nm等のレーザ発振波長として光学フィルター1を設計してもよい。この場合、例えば、図7を利用して説明したラマン分光計測の場合のように、励起光を光学フィルター1で確実に減衰させることが可能である。また、光学フィルター1を設計する際には、式(9)で示した評価値を利用し、所望の分光特性を得るように設計することが好ましい。この際、設計に使用する波長範囲としては、0.7×λ〜λ/0.7の範囲とすることができる。
実施形態に係る光学フィルターの模式的な断面図である。 図1に示した光学フィルターの屈折率分布を示す図である。 図1に示した光学フィルターが有する大気側マッチング層の拡大図である。 図1に示した光学フィルターが有する大気側マッチング層の屈折率分布を示す図である。 図1に示した光学フィルターが有する大気側マッチング層の各層の屈折率及び光学膜厚を示す図表である。 光学フィルターの分光スペクトルを示す図である。 ラマン分光計測装置の構成図である。 3層〜10層の大気側マッチング層の各層の屈折率及び光学膜厚を示す図表である。 3層〜10層の大気側マッチング層の各層の屈折率及び光学膜厚を示す図表である。 各マッチング層を備える光学フィルタの評価値を示す図表である。 必要な反射率と実際の反射率の関係を表す図である。 他の例のフィルター部の屈折率分布を示す図である。
符号の説明
1…光学フィルター、12…ガラス基板(透光性の基板)、12a…表面(主面)、14…基板側マッチング層、16…フィルター部、16a…ガラス基板側の面、18…大気側マッチング層、181…第1層、182…第2層、183…第3層、184…第4層、185…第5層、186…第6層、187…第7層、188…最外層、18a…フィルター部に接する面、18b…フィルター部に接する面と反対側の面、21…レーザ装置、22…バンドパスフィルター、23,30…光ファイバ、24,29…レンズ、25…ハーフミラー、26…集光レンズ、27…試料、28…反射ミラー、31…検出手段、311…分光器、312…CCDカメラ、32…解析装置

Claims (2)

  1. 所定の波長帯域の光の透過を阻止する光学フィルターであって、
    透光性の基板と、
    前記基板の主面上に設けられ、前記主面に略直交する方向に屈折率が連続的且つ周期的に変化しており屈折率分布の形状が紡錘形であるフィルター部と、
    前記フィルター部上に積層されたマッチング層と、
    を備え、
    前記マッチング層は、第1の屈折率を有する低屈折率層と、前記第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する高屈折率層とを交互に積層されて構成されており、
    前記マッチング層において、前記フィルター部と接する面と反対側の面を有する最外層は、前記低屈折率層であり、
    前記最外層の光学膜厚dは、前記所定の波長帯域の中心波長をλとすると、
    Figure 0005226420

    なる関係を満たし、
    前記最外層に隣接する前記高屈折率層の光学膜厚dは、
    Figure 0005226420

    なる関係を満たす、
    ことを特徴とする光学フィルター。
  2. 前記フィルター部は、複数の誘電体層が積層されて構成される多層膜であり、
    各誘電体層は、前記フィルター部の前記屈折率分布が前記紡錘形となる混合比で複数の単一材料が混合されてなる層であり、
    前記低屈折率層は、複数の前記単一材料のうち最も低い屈折率を有する材料で構成され、
    前記高屈折率層は、複数の前記単一材料のうち最も高い屈折率を有する材料で構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
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