JP5223461B2 - 空気電池 - Google Patents

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Description

本発明は、出力特性およびサイクル特性に優れた空気電池に関する。
空気電池は、空気(酸素)を正極活物質として用いた電池であり、エネルギー密度が高い、小型化および軽量化が容易である等の利点を有する。そのため、現在、広く使用されているリチウムイオン二次電池を超える高容量二次電池として、注目を浴びている。ここで、例えば負極活物質として金属Liを用いた空気二次電池では、主に下記の反応(1)〜(6)が生じることが知られている。
Figure 0005223461
従来から、空気電池の性能を向上させる種々の試みがなされている。例えば、特許文献1においては、正極(空気極)の炭素材料表面を特定の有機カーボネート化合物の分解生成物の皮膜で被覆した非水電解質電池(空気電池)が開示されている。さらに、電解液に溶解させるリチウム塩として、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等が開示されている(特許文献1の0022段落)。この技術は、炭素材料表面を有機カーボネート化合物の分解生成物の皮膜で被覆することにより、炭素材料表面近傍での電解液の揮発を抑制し、電池のサイクル性能および放電容量を向上させることを目的とするものであった。
また、特許文献2においては、特定のカチオンとリチウムイオンとを有する常温溶融塩を含有する非水電解質を用いた空気電池が開示されている。この技術は、蒸気圧の低い常温溶融塩を用いることにより、非水電解質が揮発することを抑制し高温環境下での保管性を向上させたり、空気中の水分が非水電解質に吸収することを抑制し高湿環境下での保管性を向上させたりするものであり、その結果、高温保管および高湿保管による放電容量の低下を低減することを目的とするものであった。
特開2003−100309号公報 特開2004−119278号公報
しかしながら、従来の空気電池は、出力特性およびサイクル特性が充分に高いとはいえなかった。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、出力特性およびサイクル特性に優れた空気電池を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、空気電池の電解液の支持塩として、LiPF等のフッ素含有アニオン塩を用いると、空気極層に含まれる導電性材料の表面に、LiFが多く発生することを確認した。このLiFは、放電時にフッ素含有アニオン塩を含む電解液の分解により生成したものであると考えられる。LiFは電気化学的に安定であるため、充電時にLiイオンを生成しにくく、容量低下等を招くおそれがある。そのため、LiPF等のフッ素含有アニオン塩の添加量を低くし、かつ、LiFの発生源とならないLiClOを組合せて用いたところ、空気電池の出力特性およびサイクル特性が向上することを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明においては、導電性材料を含有する空気極層および上記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および上記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、上記空気極層および上記負極層の間に設置されたセパレータと、上記空気極層および上記負極層の間でLiイオンの伝導を担う電解液と、を有する空気電池であって、上記電解液が、支持塩として、LiClOと、Liカチオンおよびフッ素含有アニオンを有するフッ素含有アニオン塩とを有し、上記電解液に含まれるLiClOを100モル部とした場合に、上記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩が、100モル部以下であることを特徴とする空気電池を提供する。
本発明によれば、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩を、特定の割合で組合せて用いることにより、空気極層に含まれる導電性材料の表面にLiFが発生することを抑制することができ、出力特性およびサイクル特性に優れた空気電池とすることができる。
上記発明においては、上記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩の濃度が、0.6mol/l以下であることが好ましい。より効果的にLiFの発生を抑制することができるからである。
上記発明においては、上記フッ素含有アニオン塩が、LiPF、LiBF、LiAsFまたはLiSbFであることが好ましい。耐酸化性等に優れているからである。
本発明においては、出力特性およびサイクル特性に優れた空気電池を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の空気電池について詳細に説明する。
本発明の空気電池は、導電性材料を含有する空気極層および上記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および上記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、上記空気極層および上記負極層の間に設置されたセパレータと、上記空気極層および上記負極層の間でLiイオンの伝導を担う電解液と、を有する空気電池であって、上記電解液が、支持塩として、LiClOと、Liカチオンおよびフッ素含有アニオンを有するフッ素含有アニオン塩とを有し、上記電解液に含まれるLiClOを100モル部とした場合に、上記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩が、100モル部以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩を、特定の割合で組合せて用いることにより、空気極層に含まれる導電性材料の表面にLiFが発生することを抑制することができ、出力特性およびサイクル特性に優れた空気電池とすることができる。すなわち、本発明においては、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩を、特定の割合で組合せて用いることにより、導電性材料の表面状態を適度に改質することができ、出力特性およびサイクル特性に優れた空気電池とすることができるのである。
なお、従来からLiClOと、LiPF等のフッ素含有アニオン塩とを、それぞれ別個に、空気電池の電解液の支持塩として用いることは知られていた。しかしながら、LiFの発生に着目し、LiFの発生源になるフッ素含有アニオン塩と、LiFの発生源にならないLiClOとを組合せて用いることについては一切知られていなかった。さらに、本発明のように、LiFの発生を効果的に抑制できる程度に、フッ素含有アニオン塩およびLiClOの添加割合を設定することは、従来の技術から容易に想到できるものではないと考えられる。
また、LiFの発生を抑制するという観点からは、フッ素含有アニオン塩を用いずに、LiClOのみを用いることも考えられるが、LiClOは、一般的に酸化分解しやすく、放電容量の向上を図ることが難しい。これに対して、本発明においては、LiClOに加えて、耐酸化性に優れるフッ素含有アニオン塩を、LiFの発生を抑制できる程度の割合で添加することにより、高い放電容量を有する空気電池とすることができるのである。
次に、本発明の空気電池について図面を用いて説明する。図1(a)は、本発明の空気電池の一例を示す概略断面図である。図1(b)は、図1(a)で示される空気電池の外観を示す斜視図である。図1(a)に示される空気電池は、下部絶縁ケース1aの内底面に形成された負極集電体2と、負極集電体2に接続された負極リード2´と、負極集電体2上に形成され金属Liからなる負極層3と、ケッチェンブラック等の導電性材料を含有する空気極層4と、空気極層4の集電を行う空気極メッシュ5および空気極集電体6と、空気極集電体6に接続された空気極リード6´と、負極層3および空気極層4の間に設置されたセパレータ7と、酸素を供給するために設けられた微多孔膜8を有する上部絶縁ケース1bと、負極層3および空気極層4を浸し、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩(例えばLiPF)を所定の割合で有する電解液9と、を有する。
以下、本発明の空気電池について、構成ごとに説明する。
1.電解液
本発明に用いられる電解液は、空気極層および負極層の間でLiイオンの伝導を担うものである。さらに電解液は、通常、支持塩および溶媒を有する。
(1)支持塩
まず、本発明における支持塩について説明する。本発明においては、支持塩として、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩を用いる。上記LiClOは、市販のLiClOを用いることができる。一方、上記フッ素含有アニオン塩は、Liカチオンおよびフッ素含有アニオンを有する。さらに、本発明における「フッ素含有アニオン」とは、空気極層に含まれる導電性材料の表面に発生するLiFのF源となるアニオンをいう。なお、LiFの発生は、XRDにより確認することができる。
上記フッ素含有アニオン塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiAsFおよびLiSbF等を挙げることができ、中でもLiPFおよびLiBFが好ましく、特にLiPFが好ましい。耐酸化性等に優れているからである。本発明においては、2種類以上のフッ素含有アニオン塩を用いても良い。
また、本発明においては、電解液に含まれるLiClOを100モル部とした場合に、電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩は、通常100モル部以下であり、70モル部以下であることが好ましく、50モル部以下であることがより好ましい。フッ素含有アニオン塩の割合が大きすぎると、LiFの発生を充分に抑制できない可能性があるからである。一方、電解液に含まれるLiClOを100モル部とした場合に、電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩は、10モル部以上であることが好ましく、20モル部以上であることがより好ましい。フッ素含有アニオン塩の割合が小さすぎると、相対的にLiClOの割合が大きくなり、耐酸化性に劣る電解液になる可能性があるからである。
電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩の濃度は、例えば0.6mol/l以下であり、中でも0.5mol/l以下が好ましい。一方、電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩の濃度は、例えば0.1mol/l以上であり、中でも0.2mol/l以上が好ましい。また、電解液に含まれるLiClOの濃度は、通常0.3mol/l〜2mol/lの範囲内である。
また、本発明に用いられる支持塩は、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩のみであっても良く、さらに別のリチウム塩を有するものであっても良い。電解液に含まれる支持塩全体の濃度は、例えば0.2mol/l〜5mol/lの範囲内、中でも0.5mol/l〜3mol/lの範囲内であることが好ましい。
(2)電解液の溶媒
本発明に用いられる電解液の溶媒としては、上記支持塩を溶解することができるものであれば特に限定されるものではないが、酸素溶解性が高い溶媒であることが好ましい。溶媒に溶存した酸素を効率良く反応に用いることができるからである。上記溶媒としては、一般的な非水溶媒を用いることができ、特に限定されるものではないが、具体的にはエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよび2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。本発明においては、これらの溶媒を2種類以上用いて混合溶媒としても良い。中でも本発明においては、ECまたはPCと、DECまたはEMCとを組合せた混合溶媒が好ましい。
2.空気極
次に、本発明に用いられる空気極について説明する。本発明に用いられる空気極は、導電性材料を含有する空気極層および上記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する。
上記空気極層は、少なくとも導電性材料を含有する。導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料等を挙げることができる。さらに、炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであっても良いが、本発明においては、多孔質構造を有するものであることが好ましい。比表面積が大きく、多くの反応場を提供することができるからである。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンファイバー等を挙げることができる。空気極層における導電性材料の含有量としては、例えば65重量%〜99重量%の範囲内、中でも75重量%〜95重量%の範囲内であることが好ましい。導電性材料の含有量が少なすぎると、反応場が減少し、電池容量の低下が生じる可能性があり、導電性材料の含有量が多すぎると、相対的に触媒の含有量が減り、充分な触媒機能を発揮できない可能性があるからである。
本発明において、導電性材料は、触媒を担持していることが好ましい。電極反応がよりスムーズに行われるからである。上記触媒としては、例えばコバルトフタロシアニンおよび二酸化マンガン等を挙げることができる。空気極層における触媒の含有量としては、例えば1重量%〜30重量%の範囲内、中でも5重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましい。触媒の含有量が少なすぎると、充分な触媒機能を発揮できない可能性があり、触媒の含有量が多すぎると、相対的に導電性材料の含有量が減り、反応場が減少し、電池容量の低下が生じる可能性があるからである。
上記空気極層は、少なくとも導電性材料を含有してれば良いが、さらに、導電性材料を固定化する結着材を含有することが好ましい。結着材としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。空気極層における結着材の含有量としては、特に限定されるものではないが、例えば30重量%以下、中でも1重量%〜10重量%の範囲内であることが好ましい。
上記空気極層の厚さは、空気電池の用途等により異なるものであるが、例えば2μm〜500μmの範囲内、中でも5μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
一方、上記空気極集電体は、空気極層の集電を行う機能を有するものである。空気極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。空気極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本発明においては、空気極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。集電効率に優れているからである。この場合、通常、空気極層の内部にメッシュ状の空気極集電体が配置される。さらに、本発明の空気電池は、メッシュ状の空気極集電体により集電された電荷を集電する別の空気極集電体(例えば箔状の集電体)を有していても良い。また、本発明においては、後述する電池ケースが空気極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
3.負極
次に、本発明に用いられる負極について説明する。本発明に用いられる負極は、負極活物質を含有する負極層および上記負極層の集電を行う負極集電体を有する。
上記負極層は、少なくとも負極活物質を含有する。負極活物質としては、一般的な空気電池の負極活物質を用いることができ、特に限定されるものではない。なお、本発明の空気電池が二次電池である場合、負極活物質は、通常、Liイオンを吸蔵・放出することができるものである。本発明の空気電池がリチウム空気二次電池である場合、用いられる負極活物質としては、例えば金属リチウム、リチウム合金、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、およびグラファイト等の炭素材料等を挙げることができ、中でも金属リチウムおよび炭素材料が好ましく、高容量化の観点から金属リチウムがより好ましい。
上記負極層は、少なくとも負極活物質を含有してれば良いが、必要に応じて、負極活物質を固定化する結着材を含有していても良い。結着材の種類、使用量等については、上述した「2.空気極」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
一方、上記負極集電体は、負極層の集電を行う機能を有するものである。負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅、ステンレス、ニッケル等を挙げることができる。上記負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。本発明においては、後述する電池ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
4.セパレータ
次に、本発明に用いられるセパレータについて説明する。本発明に用いられるセパレータは、上記空気極層および上記負極層の間に設置されるものである。上記セパレータとしては、空気極層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布;およびリチウムポリマー電池に使用されているポリマー材料等を挙げることができる。
5.電池ケース
次に、本発明に用いられる電池ケースについて説明する。本発明に用いられる電池ケースの形状としては、上述した空気極、負極、セパレータ、電解液を保持することができれば特に限定されるものではないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。また、電池ケースは、開放型電池ケースであっても良く、密閉型電池ケースであっても良い。ここで、開放型電池ケースとは、大気と接触可能な電池ケースをいい、上述した図1に示すような電池ケースをいう。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、空気(酸素)の供給管および排出管を設けることが好ましい。
6.空気電池
本発明の空気電池は、上述した電解液を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明の空気電池は、電極反応時に、空気極層のより多くの領域が電解液に浸漬していることが好ましい。空気極層と電解液との接触面積が増加することで、より多くの導電性材料の表面状態を適度に改質することができ、本発明の効果をさらに有利に発揮することができるからである。特に、本発明の空気電池は、放電または充放電に伴う電極の体積変化が生じた際に、空気極層および負極層が常に電解液で満たされていることが好ましい。空気極層および負極層が常に電解液で満たされていれば、上記の効果に加えて、電解液不足に起因する内部抵抗の増加を抑制することができるからである。
なお、空気電池には、放電または充放電に伴い電極(空気極および負極)の体積が大きく変化し、電解液が不足する状況が生じるという問題がある。具体的には、放電時に、負極では、LiがLiイオンとして溶出し、空気極では、リチウム酸化物が析出する。この際、リチウム酸化物(例えばLi)の密度が、Liの密度よりも大きいことから、電極全体として体積比35%もの収縮が起こる。その結果、放電末期に電解液量が不足し、空気極等の一部が電解液に浸されない状態となり、内部抵抗が増えるという問題があった。また、金属Li以外の材料として、グラファイト等の炭素材料を負極活物質に用いた場合は、負極での体積変化が少ないが、空気極でLi等が生成し、空気極中の電解液が外に押し出されると、電池内の空隙等に電解液が移動してしまい、充電時Liが溶解した後に、電解液が空気極に戻り難くなり、結果として電解液量が不足して、やはり内部抵抗につながるという問題がある。これに対して、放電または充放電に伴う電極の体積変化が生じた際であっても、空気極層および負極層が常に電解液を満たすことで、電解液不足に起因する内部抵抗の増加を抑制することができるのである。
放電または充放電に伴う体積変化が生じた際に、空気極層および負極層が常に電解液で満たされている状態にする構成としては、例えば、電解液を循環させる構成を挙げることができる。電解液を循環させることにより、従来の空気電池を使用する場合に存在した、電解液と大気との気液界面を生じさせないで充放電を行うことができ、電極の体積変化が生じた場合であっても、空気極層および負極層を常に電解液で満たすことができる。また、揮発による電解液の減少を防止することができるという利点も有する。また電解液を循環させることにより、充電反応により生じる酸素を、空気極層から効率良く除去することも可能である。
電解液を循環させる構成としては、具体的には、図2に示すように、モーター等の電解液移動手段11を用いて、電解液9を、負極層3、セパレータ7および空気極層4の順に循環させる構成を挙げることができる。放電時には、バブリング等の酸素供給手段12を用いて酸素13を空気極層4に供給し、過剰の酸素は、排気手段14により除去する。酸素供給手段12が、電解液9に溶存する酸素濃度を適度に上昇させることができるものであれば、排気手段14は特に必要ない。また、充電時には、図2に示した電解液の流れと反対の方向に電解液を循環させても良い。なお、図2においては、便宜上、空気極集電体および負極集電体は省略してあるが、適切な方法で集電を行えば良い。
放電または充放電に伴う体積変化が生じた際に、空気極層および負極層が常に電解液で満たされている状態にする別の構成としては、電解液を多く用いる構成を挙げることができる。充分に多くの電解液を用いることで、空気極層が電解液不足になることを防止することができる。
すなわち、本発明においては、放電または充放電に伴う電極の体積変化により上記電解液の液面の高さが変化する場合に、上記電解液の液面の最も下がった位置が、上記空気極層および上記負極層の最上面の位置よりも高いことが好ましい。電解液の量を、上記の位置となるように設定することで、電解液が不足することを防止できるからである。なお、例えば負極層に金属Liを用いた場合は、放電によりリチウムが溶出する反応が起き、電極全体の体積が減少する。従って、通常は、放電終了時の電解液の液面が、最も下がった位置に相当する。
「空気極層および負極層の最上面」は、空気電池の構成によって、空気極層の最上面を意味する場合と、負極層の最上面を意味する場合と、空気極層および負極層の最上面を意味する場合とがある。それぞれの場合について図3を用いて説明する。なお、便宜上、空気極集電体および負極集電体は省略してある。
図3(a)は、電解液の液面の最も下がった位置が、空気極層の最上面よりも高い態様を示す概略断面図である。図3(a)に示される空気電池は、電池ケース1の内底面から、負極層3、セパレータ7および空気極層4の順に形成された空気電池であって、電解液9の最も下がった位置が、空気極層4の最上面よりも高い位置になるものである。この空気電池は、酸素の供給が容易であるという利点を有する。
図3(b)は、電解液の液面の最も下がった位置が、負極層の最上面よりも高い態様を示す概略断面図である。図3(b)に示される空気電池は、電池ケース1の内底面から、空気極層4、セパレータ7および負極層3の順に形成された空気電池であって、電解液9の最も下がった位置が、負極層3の最上面よりも高い位置になるものである。さらに、この空気電池は、空気極層が負極層よりも下となる構造を有するため、必要に応じて、酸素供給手段12や排気手段14を設けても良い。
図3(c)は、電解液の液面が最も下がった位置が、空気極層および負極層の最上面よりも高い態様を示す概略断面図である。図3(c)に示される空気電池は、セパレータ7と、セパレータ7の一方の表面に配置された負極層3と、セパレータ7の他方の表面に配置された空気極層4と、を有する円柱状の空気電池であって、電解液9の最も下がった位置が、負極層3および空気極層4の最上面よりも高い位置になるものである。
本発明においては、上記電解液の液面が最も下がった位置が、上記空気極層および上記負極層の最上面の位置よりも高いことが好ましい。上記電解液の液面が最も下がった位置と、上記空気極層および上記負極層の最上面の位置との高さの差としては、用いられる電池ケースの容積等により異なるものであるが、例えば1mm〜30mmの範囲内、中でも3mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。上記高さの差が小さすぎると、溶媒等の揮発により電解液不足が生じ易くなり、上記高さの差が大きすぎると、酸素の供給が遅くなってしまい、高率放電特性が悪くなる恐れがあるからである。また、電解液の初期投入量は、放電または充放電に伴う電極の体積変化を予め測定または計算しておき、最適な投入量を決定することが好ましい。
また、本発明の空気電池は、上述した空気極、負極、セパレータ、電解液および電池ケースを有するものであれば特に限定されるものではない。本発明の空気電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良い。また、本発明の空気電池の用途は、特に限定されるものではないが、例えば車両搭載用途、定置型電源用途、家庭用電源用途等を挙げることができる。
7.空気電池の製造方法
次に、本発明の空気電池の製造方法について説明する。本発明の空気電池の製造方法は、上述した空気電池を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、一般的な空気電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、コインセル型の空気電池を製造する場合は、不活性ガス雰囲気下において、まず、負極層および負極集電体を有する負極を負極側電池ケースに配置し、次に、その負極層上にセパレータを配置し、次に、そのセパレータ上から、フッ素含有化合物を含有する溶媒を用いた電解液を注液し、次に、空気極層および空気極集電体を有する空気極を、空気極をセパレータ側に向けて配置し、次に、空気極側電池ケースに配置し、最後にこれらをかしめる方法等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例においては、コインセル型のリチウム空気二次電池を作製した。なお、コインセルの組立はアルゴンボックス内で行った。
コインセルの模式図を図4に示す。負極ケース22、空気極ケース20はともにSUS材からなり、空気極ケース20は、直径2mmの貫通孔29を複数有している。まず、負極ケース22の上に、金属リチウム箔24を配置した。金属リチウム箔24として、厚み250μmのシートを直径18mmで打ち抜いたものを使用した。次に、金属リチウム箔24の上にポリエチレン製セパレータ25を設置した。セパレータ25として、厚み25μmのシートを直径19.5mmに打ち抜いたものを使用した。次に、セパレータ25の上から、電解液23をスポイトで注液した。電解液23には、エチレンカーボネート(キシダ化学製):ジエチルカーボネート(キシダ化学製)=1:1(体積比)で混合した混合溶媒中に、LiClO(キシダ化学製)を0.6Mとなるように溶解させ、LiPF(キシダ化学製)を0.6Mとなるように溶解させたものを使用した。
次に、空気極メッシュ26に空気極合材27を押さえつけて、空気極メッシュ26に空気極合材27をめり込ませた。空気極メッシュ26として、厚み150μm、直径15mmのNiメッシュを使用した。空気極合材27として、ケッチェンブラック(KB)82重量部と、ポリテトラフルオロエタン(PTFE)3重量部と、電解二酸化マンガン15重量部とをめのう乳鉢にて混練したものを使用した。次に、一体化した空気極メッシュ26および空気極合材27を、空気極集電体28が溶接にて接合された空気極ケース20上に設置した。空気極集電体28として、厚み150μm、直径15mmのNiメッシュを使用した。次に、空気極ケース20にガスケット21をはめ込んだ。
次に、得られた負極ケースおよび空気極ケースを、コインセル用かしめ機(宝泉製)を用いて接合した。このようにしてコインセルを得た。
[実施例2〜4、比較例1〜3]
電解液23の組成を、下記表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコインセルを得た。
Figure 0005223461
[評価]
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたコインセルを用いて、放電容量試験およびサイクル試験を行った。
(1)放電容量試験
放電容量試験により、一次電池としての機能を評価した。まず、得られたコインセルをセルケースにはめ込み、それをガラス容器に入れ、アルミニウム製の蓋で密閉した。なお、正極端子および負極端子の配線は、アルミニウム製の蓋から取り出せるようにした。このガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、アルミニウム製の蓋に備え付けられた配管を用いて、ガラス容器内をアルゴンから酸素にガス置換した。その後、以下の放電条件で放電を行い、放電容量を測定した。その結果を表2に示す。なお、下記(g−carbon)とは、正極層中のカーボン重量をいう。
・放電条件:50mA/(g−carbon)の電流で電池電圧2Vになるまで放電を行う
(2)サイクル試験
サイクル試験により、二次電池としての機能を評価した。まず、得られたコインセルをセルケースにはめ込み、それをガラス容器に入れ、アルミニウム製の蓋で密閉した。なお、正極端子および負極端子の配線は、アルミニウム製の蓋から取り出せるようにした。このガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、アルミニウム製の蓋に備え付けられた配管を用いて、ガラス容器内をアルゴンから酸素にガス置換した。その後、以下の放電条件および充電条件で充放電を行い、10サイクル目の放電容量を測定した。その結果を表2に示す。
・放電条件:50mA/(g−carbon)の電流で電池電圧2Vになるか、1500mAh/(g−carbon)の電気量に到達するまで放電を行う
・充電条件:25mA/(g−carbon)の電流で電池電圧4.3Vになるまで充電を行う
なお、サイクル試験は放電から開始した。
Figure 0005223461
放電容量試験の結果に示されるように、実施例1〜4で得られたコインセルは、比較例1〜3で得られたコインセルと比較すると、高い放電容量を示すことが確認された。これは、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩の相互作用により、導電性材料の表面状態を適度に改質することができたためであると考えられる。このことから、一次空気電池として考えた場合に、本発明の空気電池は、優れた放電特性を示すことがわかった。
一方、サイクル試験の結果、比較例1〜3で得られたコインセルと比較して、初回、1500mAh/(g−carbon)に対し、実施例1〜4で得られたコインセルは、いずれも高い容量維持率を示すことが明らかになった。この現象についても、上記と同様に、LiClOおよびフッ素含有アニオン塩の相互作用により、導電性材料の表面状態を適度に改質することができたためであると考えられる。
本発明の空気電池を説明する説明図である。 本発明の空気電池を例示する概略断面図である。 本発明の空気電池を例示する概略断面図である。 実施例1で作製した空気電池を説明する説明図である。
符号の説明
1 … 電池ケース
1a … 下部絶縁ケース
1b … 上部絶縁ケース
2 … 負極集電体
2´ … 負極リード
3 … 負極層
4 … 空気極層
5 … 空気極メッシュ
6 … 空気極集電体
6´ … 空気極リード
7 … セパレータ
8 … 微多孔膜
9 … 電解液

Claims (3)

  1. 導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、前記空気極層および前記負極層の間でLiイオンの伝導を担う電解液と、を有する空気電池であって、
    前記電解液が、支持塩として、LiClOと、Liカチオンおよび、前記空気極層に含有される前記導電性材料の表面に発生するLiFのF源となるフッ素含有アニオンを有するフッ素含有アニオン塩とを有し、
    前記電解液に含まれるLiClOを100モル部とした場合に、前記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩が、100モル部以下であることを特徴とする空気電池。
  2. 前記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩の濃度が、0.6mol/l以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気電池。
  3. 前記フッ素含有アニオン塩が、LiPF、LiBF、LiAsFまたはLiSbFであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気電池。
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