JP5223461B2 - 空気電池 - Google Patents
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Description
以下、本発明の空気電池について、構成ごとに説明する。
本発明に用いられる電解液は、空気極層および負極層の間でLiイオンの伝導を担うものである。さらに電解液は、通常、支持塩および溶媒を有する。
まず、本発明における支持塩について説明する。本発明においては、支持塩として、LiClO4およびフッ素含有アニオン塩を用いる。上記LiClO4は、市販のLiClO4を用いることができる。一方、上記フッ素含有アニオン塩は、Liカチオンおよびフッ素含有アニオンを有する。さらに、本発明における「フッ素含有アニオン」とは、空気極層に含まれる導電性材料の表面に発生するLiFのF源となるアニオンをいう。なお、LiFの発生は、XRDにより確認することができる。
本発明に用いられる電解液の溶媒としては、上記支持塩を溶解することができるものであれば特に限定されるものではないが、酸素溶解性が高い溶媒であることが好ましい。溶媒に溶存した酸素を効率良く反応に用いることができるからである。上記溶媒としては、一般的な非水溶媒を用いることができ、特に限定されるものではないが、具体的にはエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよび2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。本発明においては、これらの溶媒を2種類以上用いて混合溶媒としても良い。中でも本発明においては、ECまたはPCと、DECまたはEMCとを組合せた混合溶媒が好ましい。
次に、本発明に用いられる空気極について説明する。本発明に用いられる空気極は、導電性材料を含有する空気極層および上記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する。
次に、本発明に用いられる負極について説明する。本発明に用いられる負極は、負極活物質を含有する負極層および上記負極層の集電を行う負極集電体を有する。
次に、本発明に用いられるセパレータについて説明する。本発明に用いられるセパレータは、上記空気極層および上記負極層の間に設置されるものである。上記セパレータとしては、空気極層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布;およびリチウムポリマー電池に使用されているポリマー材料等を挙げることができる。
次に、本発明に用いられる電池ケースについて説明する。本発明に用いられる電池ケースの形状としては、上述した空気極、負極、セパレータ、電解液を保持することができれば特に限定されるものではないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。また、電池ケースは、開放型電池ケースであっても良く、密閉型電池ケースであっても良い。ここで、開放型電池ケースとは、大気と接触可能な電池ケースをいい、上述した図1に示すような電池ケースをいう。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、空気(酸素)の供給管および排出管を設けることが好ましい。
本発明の空気電池は、上述した電解液を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明の空気電池は、電極反応時に、空気極層のより多くの領域が電解液に浸漬していることが好ましい。空気極層と電解液との接触面積が増加することで、より多くの導電性材料の表面状態を適度に改質することができ、本発明の効果をさらに有利に発揮することができるからである。特に、本発明の空気電池は、放電または充放電に伴う電極の体積変化が生じた際に、空気極層および負極層が常に電解液で満たされていることが好ましい。空気極層および負極層が常に電解液で満たされていれば、上記の効果に加えて、電解液不足に起因する内部抵抗の増加を抑制することができるからである。
次に、本発明の空気電池の製造方法について説明する。本発明の空気電池の製造方法は、上述した空気電池を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、一般的な空気電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、コインセル型の空気電池を製造する場合は、不活性ガス雰囲気下において、まず、負極層および負極集電体を有する負極を負極側電池ケースに配置し、次に、その負極層上にセパレータを配置し、次に、そのセパレータ上から、フッ素含有化合物を含有する溶媒を用いた電解液を注液し、次に、空気極層および空気極集電体を有する空気極を、空気極をセパレータ側に向けて配置し、次に、空気極側電池ケースに配置し、最後にこれらをかしめる方法等を挙げることができる。
[実施例1]
本実施例においては、コインセル型のリチウム空気二次電池を作製した。なお、コインセルの組立はアルゴンボックス内で行った。
コインセルの模式図を図4に示す。負極ケース22、空気極ケース20はともにSUS材からなり、空気極ケース20は、直径2mmの貫通孔29を複数有している。まず、負極ケース22の上に、金属リチウム箔24を配置した。金属リチウム箔24として、厚み250μmのシートを直径18mmで打ち抜いたものを使用した。次に、金属リチウム箔24の上にポリエチレン製セパレータ25を設置した。セパレータ25として、厚み25μmのシートを直径19.5mmに打ち抜いたものを使用した。次に、セパレータ25の上から、電解液23をスポイトで注液した。電解液23には、エチレンカーボネート(キシダ化学製):ジエチルカーボネート(キシダ化学製)=1:1(体積比)で混合した混合溶媒中に、LiClO4(キシダ化学製)を0.6Mとなるように溶解させ、LiPF6(キシダ化学製)を0.6Mとなるように溶解させたものを使用した。
電解液23の組成を、下記表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてコインセルを得た。
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたコインセルを用いて、放電容量試験およびサイクル試験を行った。
放電容量試験により、一次電池としての機能を評価した。まず、得られたコインセルをセルケースにはめ込み、それをガラス容器に入れ、アルミニウム製の蓋で密閉した。なお、正極端子および負極端子の配線は、アルミニウム製の蓋から取り出せるようにした。このガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、アルミニウム製の蓋に備え付けられた配管を用いて、ガラス容器内をアルゴンから酸素にガス置換した。その後、以下の放電条件で放電を行い、放電容量を測定した。その結果を表2に示す。なお、下記(g−carbon)とは、正極層中のカーボン重量をいう。
・放電条件:50mA/(g−carbon)の電流で電池電圧2Vになるまで放電を行う
サイクル試験により、二次電池としての機能を評価した。まず、得られたコインセルをセルケースにはめ込み、それをガラス容器に入れ、アルミニウム製の蓋で密閉した。なお、正極端子および負極端子の配線は、アルミニウム製の蓋から取り出せるようにした。このガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、アルミニウム製の蓋に備え付けられた配管を用いて、ガラス容器内をアルゴンから酸素にガス置換した。その後、以下の放電条件および充電条件で充放電を行い、10サイクル目の放電容量を測定した。その結果を表2に示す。
・放電条件:50mA/(g−carbon)の電流で電池電圧2Vになるか、1500mAh/(g−carbon)の電気量に到達するまで放電を行う
・充電条件:25mA/(g−carbon)の電流で電池電圧4.3Vになるまで充電を行う
なお、サイクル試験は放電から開始した。
1a … 下部絶縁ケース
1b … 上部絶縁ケース
2 … 負極集電体
2´ … 負極リード
3 … 負極層
4 … 空気極層
5 … 空気極メッシュ
6 … 空気極集電体
6´ … 空気極リード
7 … セパレータ
8 … 微多孔膜
9 … 電解液
Claims (3)
- 導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、前記空気極層および前記負極層の間でLiイオンの伝導を担う電解液と、を有する空気電池であって、
前記電解液が、支持塩として、LiClO4と、Liカチオンおよび、前記空気極層に含有される前記導電性材料の表面に発生するLiFのF源となるフッ素含有アニオンを有するフッ素含有アニオン塩とを有し、
前記電解液に含まれるLiClO4を100モル部とした場合に、前記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩が、100モル部以下であることを特徴とする空気電池。 - 前記電解液に含まれるフッ素含有アニオン塩の濃度が、0.6mol/l以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気電池。
- 前記フッ素含有アニオン塩が、LiPF6、LiBF4、LiAsF6またはLiSbF6であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気電池。
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