JP5221825B1 - 肺扁平上皮癌の検出方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、肺扁平上皮癌を簡便かつ迅速に、高い検出力でもって検出できる方法などを提供する。本発明に係る方法は、以下の工程を含む判定により肺扁平上皮癌を検出する:(1)被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を測定する工程、および、(2)前記測定により得られたデスモグレイン3の含有量と、健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を比較し、被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量の方が多いことをもって、被検体における肺扁平上皮癌の存在を推定する工程。

Description

本発明は、肺扁平上皮癌の検出方法に関する。より詳しくは、血液検体中のデスモグレイン3を測定することにより、肺扁平上皮癌を検出する方法に関する。
各種の癌の中で、肺癌は男女ともに最も死亡率の高い癌であり、我が国における肺癌の死亡率は、1950年以降増加した結果、1998年では肺癌死亡数が50,871人で全悪性腫瘍死の約18%、1993年以降は男性では胃癌を抜いて死亡数では悪性腫瘍中の第1位となっている(非特許文献1参照)。また、世界的にみても年間300万人ほどが肺癌で死亡している。腫瘍と診断されれば、全身的な予後は悪く、5年生存率はわずか13%である。しかし、肺癌の早期の検出および治療は5年の生存率を著しく改善することができる。疾患が早期に検出され、外科的切除が可能であれば、5年の生存率は40%まで増加する(特許文献1参照)。
肺癌の基本的な組織型は、腺癌(adenocarcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)、大細胞癌(large cell carcinoma)、小細胞癌(small cell carcinoma)からなる。前者4つは、予後や治療方針に大きな差異はみられないため、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer)と一括されている。
非小細胞肺癌の症例数は、全肺癌の症例数のうち80から85%を占める。非小細胞肺癌の特徴として、小細胞癌と比べると進行が遅く化学療法や放射線療法に対する反応が不十分であることが挙げられる。したがって、腫瘍が限局している時期では、外科的切除が第一選択肢となるが、治療成績はTNM分類で同じ病期に相当する胃癌など他の癌腫に比べると大きく劣っており、最近では集学的治療によってこれを向上させようという試みが盛んに行われているものの、完全寛解に至る効果的な治療方法は確立されていない。したがって、早期発見が重要であり、簡便かつ迅速で感度のよい検査方法が求められている。
簡便かつ迅速な検査方法としては、血液中の特異的診断マーカーの測定が挙げられる。
肺癌の早期発見を達成し、臨床管理を向上させるために、肺癌用血清バイオマーカーが開発されてきている。それにもかかわらず、その臨床有用性は限られている。例えば、CEA(carcinoembryonic antigen)およびCYFRA21-1(cytokeratin 19 fragment)は、一部の非小細胞癌患者の血清において存在量が増加している。そのため、これらは、疾患の状態をモニターしたり、治療に対する反応を評価したりと、臨床上有効である。しかしながらこれらは、臨床診断での使用には適していない。なぜならば、これらは、喫煙や肺炎などの他の疾患および他の種類の癌にも関連していることが知られており、さらには、初期ステージの肺癌を検出することができないからである(特許文献2参照)。
非小細胞肺癌の血中診断マーカーとしては、上記に加え、現在、SCC(squamous cell carcinoma related antigen)、SLX(sialyl Lewisx-i antigen)などが選択されて、単独でまたは組み合わせて使用されているが、ステージ初期の癌に対する陽性率が依然として低く、非小細胞肺癌を確実ならしめる血中診断用マーカーの開発が望まれている(非特許文献2参照)。さらに、肺扁平上皮癌は、他の非小細胞肺癌とは、抗癌剤に対する反応性が異なることが知られており、肺扁平上皮癌を特異的に検出する血中診断マーカーの開発が望まれている(非特許文献3参照)。
扁平上皮癌の場合、血清などの循環系の体液または気管支分泌物中に、多くの腫瘍細胞の糖タンパク質が循環されるので、モノクローナル抗体を使用してELISAで循環する抗原を検出できることは早期検出への可能なアプローチである。PSAおよびCEAなどの腫瘍マーカーの検出は、このアプローチである(特許文献1参照)。
細胞接着に関わるカドヘリンファミリーの一員であるデスモグレイン3(Desmoglein3)は、肺扁平上皮癌組織局所で特に高い発現が認められる膜たんぱく質分子であり、肺扁平上皮癌の診断マーカーとしての有用性が示されている(例えば特許文献3、非特許文献3参照)。
しかし、これまでの報告はいずれも癌組織におけるデスモグレイン3の発現をmRNAもしくは免疫組織学的染色により評価したものであり、患者から肺癌組織を生検により採取する必要があり、さらにはその後の解析作業が煩雑で、簡便かつ迅速な肺扁平上皮癌の検査方法とはいえなかった。
特に、癌組織などに存在するデスモグレイン3が血液中に漏えいする可能性は、その分子の性質・機能メカニズムなどから考えるとほとんどないと推測される。それゆえ、デスモグレイン3を含むカドヘリンファミリー分子を組織免疫染色によって検出する腫瘍マーカーとしての研究は報告されているが(特許文献3、非特許文献3参照)、血清マーカーとしての研究がなされた例はない。すなわち、細胞接着に関わるカドヘリンファミリーは細胞膜にアンカーのように埋め込まれた構造的と特徴を持ち、この特徴は他の膜たんぱく質と大きく異なっている。
さらに、デスモグレイン3に対する自己抗体の存在が知られており、健常人でもその血液中に自己抗体が検出される。このことから、仮にデスモグレイン3が血液中に存在しても自己抗体によって中和・不活化されているだろうことが容易に予想される。上記自己抗体が過剰発現すると、皮膚の正常細胞間の接着に関わっているデスモグレイン3に反応して接着を阻害し、天疱瘡という自己免疫疾患の病態になって現れる。上記自己抗体が過剰発現していない健常人および天疱瘡以外の患者でも、その自己抗体が血液中にわずかに検出される。
特表2004-529849号公報 特開2012-51822号公報 国際公開公報WO2008/020586A1号
厚生統計協会.国民衛生の動向・厚生の指標、47、52-53、2000 腫瘍マーカーの読み方の実際;肺癌.臨牀と研究 78,35-40,2001 Savci-Heijink et al., The American Journal of Pathology, vol.174, No.5, 1629-1637, 2009
本発明の課題は、肺扁平上皮癌を簡便かつ迅速に検出できる方法を提供することである。また、肺扁平上皮癌の検出力をより向上させる検出方法を提供することである。さらに、前記肺扁平上皮癌の検出において、血中デスモグレイン3をより高感度で検出する方法を提供することである。
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意検討した結果、肺扁平上皮癌患者の血液中には、カドヘリンファミリータンパクであるにも関わらず、デスモグレイン3が特異的に高濃度で存在することを見出した。また、血中デスモグレイン3は、既存の肺癌マーカーとは異なる発現パターンを示すことを見出し、既存の肺癌マーカーでは検出できない肺扁平上皮癌患者を検出できること、および既存の肺癌マーカーと組み合わせることで、肺扁平上皮癌の検出力がより向上することを見出した。さらに、特定の抗デスモグレイン3抗体の組合せを用いれば、サンドイッチ型免疫学的測定法によって、血液検体中のデスモグレイン3を高感度で検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は下記の事項を包含する。
[1]以下の工程を含む判定により、肺扁平上皮癌を検出する方法:
(1)被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を測定する工程、および、
(2)前記測定により得られたデスモグレイン3の含有量と、健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を比較し、被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量の方が多いことをもって、被検体における肺扁平上皮癌の存在を推定する工程。
[2]さらに、同一被検体の検体から得られた、既存の肺癌マーカーである、SCCおよびCYFRAからなる群から選ばれる少なくとも1つの発現量に基づく判定を組み合わせた、[1]に記載の方法。
[3]前記測定がサンドイッチ型免疫学的測定法である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記サンドイッチ型免疫学的測定法において、固相化抗体として、配列番号:4のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:5のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:6のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:7のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:8のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:9のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF366m抗体を使用し、検出抗体として、配列番号:17のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:18のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:19のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:20のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:21のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:22のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF151抗体、またはMAB1720抗体(R&D systems社)を使用する、[3]に記載の方法。
[5]前記サンドイッチ型免疫学的測定法において、担体に固相化されたDF366m抗体に検体を接触させ、その後、DF151抗体またはMAB1720抗体(R&D systems社)を接触させる、[3]または[4]に記載の方法。
[6]前記DF366m抗体が、配列番号:2のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:3で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:11に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体であり、前記DF151抗体が、配列番号:15のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:16で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:23に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:24に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体である、[4]または[5]に記載の方法。
[7]前記サンドイッチ型免疫学的測定法が、サンドイッチELISA法である、[3]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]前記サンドイッチ型免疫学的測定法が、SPFS法である、[3]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[9]サンドイッチ型免疫学的測定法に用いる下記試薬を含有する、肺扁平上皮癌診断用キット:
(1)固相化抗体としての、配列番号:4のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:5のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:6のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:7のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:8のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:9のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF366m抗体、および、
(2)検出抗体としての、検出抗体として、配列番号:17のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:18のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:19のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:20のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:21のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:22のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF151抗体またはMAB1720抗体(R&D systems社)。
[10]前記DF366m抗体が、配列番号:2のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:3で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:11に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体であり、前記DF151抗体が、配列番号:15のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:16で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:23に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:24に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体である、[9]に記載の肺扁平上皮癌診断用キット。
[11]さらに、下記試薬を含有する、[9]または[10]の肺扁平上皮癌診断用キット:
(3)SCCおよびCYFRAからなる群から選ばれる少なくとも1つの肺癌マーカーを、サンドイッチ型免疫学的測定法を用いて検出するための試薬。
本発明によれば、肺扁平上皮癌の簡便で迅速な検出方法を提供できる。また、既存の肺癌マーカーでは検出できない肺扁平上皮癌患者を検出でき、さらに、既存の肺癌マーカーと組み合わせることで、肺扁平上皮癌の検出力がより向上する。さらに、特定の抗体の組合せを用いたサンドイッチ型免疫学的測定法によって、血液検体中のデスモグレイン3を簡便かつ迅速に高感度で検出でき、前記肺扁平上皮癌の検出力をより高めることができる。
図1は、健常者、膵癌患者、肺腺癌患者および肺扁平上皮癌患者(各10例)の血液検体中のデスモグレイン3濃度の測定結果を示すグラフである。 図2は、肺扁平上皮癌患者(40例)の血液検体中のデスモグレイン3濃度の測定結果を示すグラフである。 図3は、肺扁平上皮癌患者(40例)の血液検体中の、デスモグレイン3およびSCC濃度の相関を示すグラフである。 図4は、肺扁平上皮癌患者(40例)の血液検体中の、デスモグレイン3およびCYFRA21-1濃度の相関を示すグラフである。 図5は、肺扁平上皮癌患者(40例)の血液検体中の、SCCおよびCYFRA21-1濃度の相関を示すグラフである。 図6は、緩衝液中のデスモグレイン3量を、SPFSにより測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の肺扁平上皮癌の検出方法について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「サンドイッチ型免疫学的測定法」とは、検出しようとする抗原上の異なるエピトープを認識する異なる2種の抗体(固相化抗体と検出抗体)を用いて、抗原の存在および存在量を検出する方法を意味する。特に記載のない限り、「デスモグレイン3」とは配列番号1で表される「ヒトデスモグレイン3タンパク質」を意味する。「血液」とは、全血、必要に応じて抗凝固処理した全血、抗凝固処理をした全血を遠心分離して血球成分を除去して得られる血漿、または全血を凝固させて沈殿物(血餅)を除去して得られる血清等を意味する。「血液検体」は、前記血液に加え、必要に応じてこれらを遠心分離、希釈、試薬との混合等の処理をした血液由来試料を意味する。「被検体」は、人間(ヒト)を意味する。また、数値範囲を示す表現「X〜Y」はX以上Y以下を意味する。
本発明は、血液中のデスモグレイン3量を測定することにより、被検体の肺扁平上皮癌を検出する方法である。以下、本発明の検出方法、診断用キット、本発明に係る抗デスモグレイン3モノクローナル抗体およびサンドイッチ型免疫学的測定法について、詳細に説明する。
<肺扁平上皮癌の検出方法>
本発明は、被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3を用いて測定することにより、肺扁平上皮癌を検出する。血液中のデスモグレイン3濃度は、肺扁平上皮癌患者で特異的に上昇するため、肺扁平上皮癌の有効な診断マーカーであり、肺扁平上皮癌の診断または診断の支援に用いることができる。また、本発明によれば、血液中の濃度を測定すればよいため、被験者の負担の大きい組織生検をする必要が無く、また、その後の解析作業も容易であるため、肺扁平上皮癌を簡便かつ迅速に検出することができる。
検体中のデスモグレイン3の含有量は、血液検体中のデスモグレイン3タンパク質を必要な感度で特異的に検出することができればどのような方法でも測定することができるが、通常、高い特異性と簡便性の観点から免疫学的測定法により測定される。免疫学的測定法としては、検出感度および特異性向上の観点から、サンドイッチ型免疫学的測定方法であることが好ましい。サンドイッチ型免疫学的測定方法としては、簡便性の観点からはサンドイッチELISAが好ましく、検出感度の観点からはSPFSが好ましい。また、サンドイッチ型免疫学的測定法で使用する抗体は、後述する特定の抗体の組合せであることが好ましい。
なお、サンドイッチ型免疫学的測定法ではない免疫学的測定法としては、BIAcore (ビアコア社製)を用いた表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonace:SPR)法が挙げられる。
用いる血液検体は、被検体より周知の方法で採取すればよいが、被検体の腕の静脈から採取した末梢血が好ましい。採取した血液検体は、公知の方法により適切に処理して測定に供すればよいが、血清または血漿を分取して用いることが好ましい。
肺扁平上皮癌を検出する方法における、被検体における肺扁平上皮癌の存在についての判定は、以下の工程を含む:
(1)被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を測定する工程、
(2)前記測定により得られたデスモグレイン3の含有量と、健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を比較し、被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の方の含有量が多いことをもって、被検体における肺扁平上皮癌の存在を推定する工程。
健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量は、測定のたびに対照試料として、並行して同時に測定してもよいが、一定数の健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3含有量をあらかじめ同じ方法で測定しておき、既知の健常者の値として比較の対象とすることもできる。
被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量と、健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を比較したとき、被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量が多い(濃度が高い)場合、被検体における肺扁平上皮癌の存在を推定することができる。「含有量が多い」ことの判定は、適切なカットオフ値を設定し、血液検体中のデスモグレイン3濃度がその値以上のとき、含有量が多いと判定する。したがって、ある血液検体のデスモグレイン3濃度が、カットオフ値以上のとき、肺扁平上皮癌の存在を推定し(陽性判定)、カットオフ値未満のとき、肺扁平上皮癌の非存在を推定する(陰性判定)ことになる。
カットオフ値は、検出方法の検出限界値、判定の目的等(スクリーニング、確定診断等)の状況に応じて適宜調整すればよい。例えば、図2における健常者のデスモグレイン3濃度が5ng/mL以下であることから、カットオフ値を5ng/mL以上に設定することで偽陰性をゼロにすることができる。一方、カットオフ値を5ng/mL未満に設定した場合、健常者を陽性と判定してしまう偽陽性が生じるが、肺扁平上皮癌の存在を推定する陽性率は向上する。
癌の判定においては、疑わしい患者を陽性と判定して取りこぼすことなく次の診断や処置に進むことが一般的に望まれており、偽陽性を内包したとしても陽性率を上げる方向にカットオフ値を設定する傾向にある。たとえば、実施例4(図2)においてカットオフ値を5ng/mLに設定すると陽性と判定される患者は4名/40名で、陽性率10%(擬陽性率は0%)となる。カットオフ値を1ng/mLに設定すると陽性と判定される患者は20名/40名で、陽性率50%(擬陽性率は30%)である。
図2の結果を受けて、より確からしい判定方法を工夫しようとした場合に考えられることは、低濃度領域の定量精度を向上させることである。定量限界である0.2ng/mLよりも含有量が少ないために測定不能であった検体が、肺扁平上皮癌患者40名および健常人10名の計50名中に、20人分存在している。これらの検体中のデスモグレイン3濃度を正確に測定できれば、たとえばカットオフ値を0.2ng/mL以下に設定することも考えられ、さらに好ましい判定基準を設定できる可能性がある。
または、一定数の健常者の血液検体中のデスモグレイン3濃度に対し、統計的に有意な相違が認められる場合に、被検体における肺扁平上皮癌の存在を推定してもよい。
<既存肺癌マーカーと組み合わせた肺扁平上皮癌を検出する方法>
本発明は、被験者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量に基づく前記判定と、同一被検体の検体から得られた、既存の肺癌マーカーの発現量に基づく判定を組み合わせた、肺扁平上皮癌の検出方法を含む。
被験者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量についての判定は、前記肺扁平上皮癌の検出方法に記載した方法により行われるものである。
既存の肺癌マーカーとしては、肺癌患者の血中で健常者と比較して有意に変動しているものであればよいが、例えば、SCC、CYFRA、CEA、SLX等が挙げられる。これらのなかでも、肺扁平上皮癌の検出力を向上させる観点から、SCCおよびCYFRAからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの肺癌マーカーであれば、肺扁平上皮癌に特異性が高く(癌と化学療法、28, 2089-2093, 2001年)、かつ、デスモグレイン3とは異なる発現傾向を示すため、それぞれ単独では検出できない肺扁平上皮癌を互いに検出することができ、組合せることで検出力が向上するため好ましい。
<デスモグレイン3のサンドイッチ型免疫学的測定方法による検出>
本発明では、被検試料に含まれるデスモグレイン3タンパク質を、抗デスモグレイン3抗体を用いたサンドイッチ型免疫学的測定法により測定することが好ましい。サンドイッチ型免疫学的測定法としては、サンドイッチELISAまたは表面プラズモン励起増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy、以下「SPFS」という)がより好ましい。
本発明のサンドイッチ型免疫学的測定法は、公知の方法に基づいて行えばよいが、以下の工程により行うことが好ましい。
(1)抗デスモグレイン3抗体(固相化抗体)の支持体(固相)への吸着(固相化)
抗デスモグレイン3抗体を固定するために用いられる支持体(担体)としては、例えば、アガロース、セルロースなどの不溶性の多糖類、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂 、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、ビーズ、プレートなどの形状で用いられる。ビーズの場合、これらが充填されたカラムなどが使用できる。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)、バイオセンサーチップなどが使用できる。抗デスモグレイン3抗体と支持体との結合は、化学結合や物理的な吸着などの通常用いられる方法により行うことができる。これらの支持体はすべて市販のものが好適に使用できる。
(2)固相のブロッキング
試料中のデスモグレイン3の支持体に対する非特異的な結合を防ぐため、固相のブロッキングを行うことが好ましい。ブロッキングは、例えば、緩衝液で希釈した仔牛血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、アルブミンなどを用いて行うことができる。ブロッキングは、通常、4℃〜37℃で、1時間〜24時間程度インキュベートすることで行うことができる。
(3)デスモグレイン3と固相化抗体の結合
被験試料を支持体に固相化された抗体に接触させることで、デスモグレイン3と固相化抗体を結合させる。被験試料は、必要により、緩衝液、血液、タンパク含有溶液等で適宜希釈して用いる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液を用いることができる。また、血液としては、例えばウシ血清等、タンパク含有溶液としては、例えばBSA含有緩衝液等が好適に用いられる。接触は通常、4℃〜37℃で、1時間〜24時間程度インキュベートすることで行うことができる。
本発明のデスモグレイン3検出方法においては、そのデスモグレイン3含有量を検出する被検試料の他に、対照試料が適切に調製できる。対照試料としては、デスモグレイン3を含まない陰性対照試料、デスモグレイン3標準品を含む陽性対照試料等が挙げられる。この場合、被験試料で得られた結果を、デスモグレイン3を含まない陰性対照試料で得られた結果、および、デスモグレイン3標準品を含む陽性対照試料で得られた結果と比較することにより、被検試料中のデスモグレイン3の存在または非存在の確認ができる。
また、デスモグレイン3濃度を段階的に変化させた一連の対照試料を調製し、各対照試料に対する検出結果を数値として得た後に、対照試料のデスモグレイン3濃度値と対応する測定値に基づいて作成される標準曲線に基づいて、被検試料に含まれるデスモグレイン3を定量的に検出できる。
(4)デスモグレイン3と検出抗体の結合
固相化抗体と結合したデスモグレイン3と検出抗体との結合は、検出抗体をデスモグレイン3に接触させることで行う。デスモグレイン3と検出抗体の結合は、通常、緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液等を用いることができる。接触は通常、4℃〜37℃で、1時間〜24時間程度インキュベートすることで行うことができる。
検出抗体は、抗デスモグレイン3抗体を標識物質で標識したものである。抗デスモグレイン3抗体の標識は公知の方法により行うことが可能である。
標識物質としては、蛍光色素、酵素・補酵素、化学発光物質、放射性物質等の当業者に公知の標識物質を用いることができる。
このうち、蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(Integrated DNA Technologies社)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株))、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株))、クマリン・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株))、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(GEヘルスケア バイオサイエンス(株))、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株))、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(インビトロジェン(株))等の有機蛍光色素が挙げられる。
また、Eu、Tb等の希土類錯体系の蛍光色素(例えばATBTA-Eu3+)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(DsRed)またはAllophycocyanin(APC;LyoFlogen(登録商標))等に代表される蛍光タンパク質、ラテックスやシリカなどの蛍光微粒子等も、蛍光色素として挙げられる。
なお、血液検体に由来する試料を分析に供する場合は、血液中の血球成分由来の鉄による吸光の影響を最小限に抑えるため、Cy5やAlexa Fluor 647など、近赤外領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることが望ましい。
放射性物質としては、ラジオアイソトープ(32P、14C、125I、3H、131Iなど)が挙げられる。
標識物質としてビオチンを用いる場合には、ビオチン標識抗体を添加後に、アルカリホスファターゼなどの酵素を結合させたアビジンをさらに添加することが好ましい。標識物質と抗デスモグレイン3抗体との結合のためには、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフイド法、過ヨウ素酸法等の公知の方法が使用できる。
本発明のデスモグレイン3を検出する方法の他の態様として、デスモグレイン3タンパク質を特異的に認識する1次抗体を1種類以上、および該1次抗体を特異的に認識する二次抗体を1種類以上用いる方法を挙げることができる。
例えば、支持体に結合した抗体とは別種の抗デスモグレイン3抗体(1次抗体)を該デスモグレイン3タンパク質に結合させた後に、該1次抗体のみに結合することができる2次抗体を、該デスモグレイン3と1次抗体の複合体に対して反応させる。該1次抗体のみに結合することができる2次抗体の非限定な例として、例えば該1次抗体に固有のクラス(IgM、IgD、IgG、IgEまたはIgA)、もしくはアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)の定常領域に特異的に結合する抗体が挙げられる。そのような抗デスモグレイン3抗体は、公知のハイブリドーマ技術を用いて単離することも可能であり、また特定の抗デスモグレイン3抗体をコードする抗体遺伝子を所望のクラス、もしくはアイソタイプの定常領域をコードする抗体遺伝子とインフレームで連結した組換え抗体として単離することも可能である。上記操作の結果、結合した2次抗体を定性的にまたは定量的に検出することにより、被検試料中のデスモグレイン3の検出を行う方法を挙げることができる。この場合、二次抗体は前記標識物質により標識されていることが適切である。
(5)標識物質の検出
標識物質の検出は、それぞれの標識物質に適した当業者に公知の方法により行うことができる。例えば、放射性物質により標識された検出抗体を検出する場合には、液体シンチレーシヨンやRIA法により検出することができる。蛍光色素により標識された検出抗体を検出する場合には、ルミノメーター、SPSF測定器等により検出することができる。酵素で標識された検出抗体を検出する場合は、標識された酵素に対応した基質を加えた後に、酵素による基質の化学的変化、例えば、発色、蛍光、化学発光等を測定することにより検出することができる。
なお、前記(1)〜(5)の各工程間では、未反応の抗体・試薬等を除去するために洗浄する工程を実施することが適切である。洗浄に用いる溶媒は、サンドイッチ型免疫学的測定法の工程を阻害しないものであれば特に限定されないが、通常緩衝液が用いられる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液等を用いることができる。洗浄効果を高めるために、界面活性剤を含有した緩衝液を用いることができ、例えば、0.02%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(Tween-20、商品名)含有リン酸緩衝液(pH7.4)が好適に用いられる。
〔サンドイッチELISA〕
サンドイッチ型免疫学的測定法のなかでも、本発明ではサンドイッチELISAが好適に用いられる。サンドイッチELISAは、前記サンドイッチ型免疫学的測定法において、標識物質に酵素を用いる方法である。
酵素としては、公知のものを用いればよいが、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラタトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、マイクロペノレオキシダーゼ等を用いることができる。
酵素基質としては、公知の基質を用いればよいが、酵素反応の結果により発色する基質(以下「発色基質」という。)、蛍光を発する基質(以下「蛍光基質」という。)、化学発光する基質(以下「化学発光基質」という。)等を好適に用いることができる。
発色基質としては、例えば、3,3′-ジアミノベンジジン(DAB)、2,2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)、1,2-フエニレンジァミン(オルソ-フエニレンジァミン)、o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド(OPD)、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)等を挙げることができる。
蛍光基質としては、例えば、AttoPhos(登録商標)、SPECTROFLUOR(登録商標)、10-Acetyl-3,7-dihydroxyphenoxazine(ADHP)、QuantaBlu(登録商標)等を挙げることができる。
化学発光基質としては、例えば、ルミノール系化合物(例えばルミノール等)、ジオキセタン系化合物(例えば、AMPPD(登録商標)、CSPD(登録商標)、CDP-Star(登録商標))等を挙げることができる。
〔マルチプレートを用いたサンドイッチELISA(プレートELISA)〕
本発明のサンドイッチELISAの測定方法として、担体(支持体)としてマルチプレートを用いた以下の方法が好適に挙げられる。
炭酸水素ナトリウム緩衝液で希釈した固相化(捕捉)抗デスモグレイン3抗体を、マルチウェルプレートに加えて4℃で終夜インキュベートすることでプレート上に固相化する。
次に、抗体溶液を除去して、PBSでプレートを洗浄した後、1%BSA-PBS(-)(ブロッキング溶液)を添加し、室温で2時間インキュベートすることでブロッキングをおこなう。続いて、ブロッキング溶液を除去し、PBSで洗浄した後、被験試料を添加し、室温で1時間インキュベートして、デスモグレイン3を固相化抗体に結合させる。
インキュベート後、被験試料を除去して、PBSでプレートを洗浄した後、標識化抗体を添加し、室温で1時間インキュベートする。続いて、標識化抗体を除去し、PBSで3回洗浄した後、基質溶液を添加して、酵素反応の結果物を測定する。
〔表面プラズモン励起増強蛍光分光(Surface Plasmon-field enhanced fluorescence spectroscopy:SPFS)法〕
本発明のサンドイッチ型免疫学的測定方法として、SPFSが好適に用いられる。SPFSは、誘電体部材上に形成された金属薄膜に全反射減衰(ATR)が生じる角度で励起光を照射したときに、金属薄膜を透過したエバネッセント波が表面プラズモンとの共鳴により数十倍〜数百倍に増強されることを利用して、金属薄膜近傍に捕捉されたアナライト(分析対象物)を標識する蛍光体を効率的に励起させ、その蛍光シグナルを測定する方法である。このようなSPFSは、一般的な蛍光標識法などに比べて極めて感度が高いため、サンプル中にアナライトがごく微量しか存在しない場合であってもそれを定量することができる。
<SPFS用測定部材>
SPFS用測定部材は、一般的に、サンドイッチ型免疫複合体を形成してSPFSによる蛍光測定を行うための場(測定領域)が形成されているセンサーチップと、サンドイッチ型免疫複合体の形成などに用いられる各種の溶液(アナライトを含む試料、標識リガンド溶液、その他の反応試薬等)を測定領域上に保持することのできる、流路またはウェルを構築するための部材とを積層化した構成をとる。
センサーチップは、基本的に、金属薄膜の裏面に励起光を導入するための透明支持体と、当該透明支持体上に形成された、表面プラズモン共鳴を発生させるための金属薄膜と、当該金属薄膜上に形成された、アナライトをセンサー表面に捕捉するための反応層とを含み、さらに必要に応じて、金属薄膜と反応層の間に形成された、蛍光体が金属薄膜に近接しすぎることにより起こる蛍光の金属消光を防止するためのスペーサ層を含んでいてもよい。
反応層が形成されている部位が測定領域に相当する。流路またはウェルの底面全域に反応層を形成して測定領域としてもよいし、底面の一部のみに(必要であれば所望のパターニングで)反応層を形成して測定領域としてもよい。測定領域の面積は、一般的にレーザー光として照射される励起光の照射面積を考慮しながら調整することができる。たとえば、励起光のスポット径が1mmφ程度であれば、上記アッセイエリアは通常、少なくとも数mm四方の面積を有するものとなるよう設計される。
SPFSのシステムを、密閉流路を通じて各種の溶液を送液する「流路型」とする場合、センサーチップの上に、流路を形成するための穴のあいた「フローセル」を積載し、必要に応じてさらにその上に、上記フローセルの穴に対応する位置に送液導入口および送液排出口のあいた「天板」を積載し、これらを密着させて固定するようにして、測定部材を構築する。上記フローセルの穴に対応する位置のセンサーチップ表面が、流路の底面をなし、そこに測定領域が形成される。流路型の場合、たとえばポンプやチューブを含む送液手段を用いて、各種の液体を送液導入口から流路内に送液して送液排出口から排出することができ、必要に応じて往復型、循環型の送液を行うこともできる。送液速度や送液(循環)時間などの条件は、試料の量や試料中のアナライトの濃度、流路ないしウェルのサイズや反応層の態様(固相化リガンドの密度等)、ポンプの性能等を考慮しながら、適宜調整することができる。
一方、SPFSのシステムを、上記流路よりも広い空間に各種の溶液を貯留させる「ウェル型」とする場合、センサーチップの上に、ウェルを形成するための貫通孔を有する「ウェル部材」を積載して固定することにより測定部材を構築する。ウェル型の場合、たとえばピペット状の部材を用いて、各種の液体をウェルに添加し、除去することができる。
上記フローセルは、たとえばシート状のポリジメチルシロキサン(PDMS)製とすることができる。上記天板は、測定領域から発せられる蛍光を測定できるよう透明性を有する材料で作製され、たとえばプレート状のポリメタクリル酸メチル(PMMA)製とすることができる。あるいは、フローセルおよび天板を、成形加工やフォトリソグラフィにより所望の形状にしたプラスチック製とすることも可能である。
センサーチップ上にフローセルまたはウェル部材を密着させて固定する手段は特に限定されるものではなく、一般的には物理的に上下から圧力をかけるようにすればよく、必要であれば、透明支持体と同じ光屈折率を有する接着剤、マッチングオイル、透明粘着シートなどを用いてもよい。
<SPFS用測定装置>
本発明に係る免疫学的測定法は、一般的なSPFS用測定装置を使用して実施することができる。SPFS用測定装置は、基本的に、SFPFS用測定部材が着脱可能となっており、使用する蛍光体に応じた適切な波長の励起光(好適にはレーザー光)を照射するための光源、励起光をセンサーチップの金属薄膜の裏面に所定の角度で入射させるためのプリズム(透明支持体が平面基板状のセンサーチップを使用する場合)、金属薄膜で反射した光を受光しその強度を測定する受光器、蛍光体から発せられる蛍光を集光するためのレンズおよびその蛍光の強度を測定するための検出器、励起光および蛍光から所定の波長を有する光のみを透過させそれ以外の光をカットするための各種のフィルタなどを備える。より具体的な態様は、たとえば特開2010−145272号公報など、各種の文献を参照することができる。
<SPFSの測定法>
本発明に係るSPFSの測定法は、血液検体中のデスモグレイン3を対象として、下記工程1および2を行うことを含む:
(工程1)固相化された抗デスモグレイン3抗体、デスモグレイン3、および蛍光標識化された抗デスモグレイン3抗体を含むサンドイッチ型免疫複合体を形成する工程、および
(工程2)形成されたサンドイッチ型免疫複合体に含まれる蛍光体から発せられる蛍光強度をSPFS(表面プラズモン励起増強蛍光分光法)により測定する工程。
工程1として示したサンドイッチ型免疫複合体を形成する工程は、工程2に移る前にサンドイッチ型免疫複合体を形成することができれば、その態様は特に限定されるものではないが、たとえば下記工程1aおよび1bを含む態様が一般的である:
(工程1a)前記固相化された抗デスモグレイン3抗体と試料中のデスモグレイン3とを反応させて複合体を形成する工程、および
(工程1b)形成された免疫複合体と前記蛍光標識化された抗デスモグレイン3抗体とを反応させて前記サンドイッチ型免疫複合体を形成する工程。
なお、必要に応じて、工程1aおよび工程1bの間、または工程1(工程1b)と工程2の間に、流路またはウェルを洗浄液(たとえば界面活性剤溶液)を用いて洗浄するための洗浄工程を設けてもよい。
一方、工程2は、一般的なSPFSと同様の態様で、金属薄膜に励起光を照射し、金属薄膜で起きる表面プラズモン共鳴によって増強されたエバネッセント波を発生させ、それによってサンドイッチ型免疫複合体に含まれる(蛍光標識化リガンドが有していた)蛍光体から発せられる蛍光の強度(「シグナル」に相当する。)を測定すればよい。また、工程2以前に、または測定領域とは別の領域において、サンドイッチ型免疫複合体が形成されていない状態で工程2と同様に金属薄膜に励起光を照射して、発生する蛍光の強度(「ノイズ」に相当する。)を測定し、前記シグナルの値を当該ノイズの値で補正する(引くまたは除する)ようにすることが好適である。
なお、工程2において蛍光体から発せられる蛍光強度を測定する際には、通常、アナライトも蛍光標識化抗体も含まない水性溶媒(たとえばリン酸緩衝液)で流路ないしウェルを満たした状態にするが、水性溶媒以外の溶媒または空気で満たした状態とすることも可能である。
上記のようにして求められた(好ましくはノイズを用いて補正された)シグナルと、濃度が既知の試料を用いて別途作製された検量線とに基づき、分析された試料中のデスモグレイン3の濃度を定量することができる。
このようにして測定される試料中のデスモグレイン3の濃度は、そのデスモグレイン3がバイオマーカーとして機能する各種の疾患または症状の診断を行う際の参考データとして用いることができる。
<抗デスモグレイン3モノクローナル抗体>
〔免疫学的測定法に用いる抗体〕
本発明に係る免疫学的測定法では、抗ヒトデスモグレイン3抗体を用いる。本発明に係る測定に用いる抗ヒトデスモグレイン3抗体は、本発明の効果を達成できる抗ヒトデスモグレイン3抗体であれば特に限定はされないが、例えば、特許文献3に記載の方法で得られた抗体を挙げることができ、具体的には、例えば、DF120、DF122、DF148、DF151、DF153、DF168、DF331、DF364、DF366、DF151c、DF364c、DF366c、DF366m、YB-DF366c等を挙げることができる。これらの抗ヒトデスモグレイン3抗体のうちのいくつかはアミノ酸配列は特許文献3に開示されている。また、上記以外の市販の抗ヒトデスモグレイン3抗体を用いることもできる。市販の抗体としては、例えば、R&D Systems社のMAB1720、(株)医学生物学研究所のD219-3等が好適に挙げられる。
〔固相化抗体と検出抗体〕
本発明に係るサンドイッチ型免疫学的測定法では、固相化抗体(以下「捕捉抗体」ともいう。)および検出抗体を用いる。固相化抗体は、支持体(担体)に固定され、検体中のデスモグレイン3を特異的に捕捉するものである。検出抗体は、検出に用いる物質(以下「標識物質」という。)で修飾された抗体であり、前記固相化抗体で捕捉されたデスモグレイン3に結合することでデスモグレイン3を標識物質により標識するものである。この標識物質の存在および存在量を測定することにより、検体中のデスモグレイン3の存在および存在量を測定することができる。本発明では、以下の特定の抗ヒトデスモグレイン3抗体を固相化抗体および検出抗体として用いることで、より高感度で血中デスモグレイン3を検出することができる。
〔使用する抗体の組合せ〕
本発明に係るサンドイッチ型免疫学的測定方法では、後述するDF366m抗体、DF151抗体およびMAB1720抗体からなる群から選ばれる2つの抗体を使用することが好ましい。
本発明に係るサンドイッチ型免疫学的測定方法に使用する抗体の組合せとしては、固相化抗体としてDF366m抗体を、検出抗体としてDF151抗体またはMAB1720抗体を使用することがより好ましい。固相化抗体としてDF366m抗体を、検出抗体としてDF151抗体を使用することが、検出感度向上の観点からさらに好ましい。
<DF366m抗体>
DF366m抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:5のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:6のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:7のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:8のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:9のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するモノクローナル抗体であって、配列番号:2のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:3で表されるL鎖を含む完全抗体(以下「DF366m[I]抗体」という。)、ならびに、当該完全抗体のアミノ酸の一部を有する抗体(以下「DF366[P]抗体」という。)が包含される。なお、DF366m抗体の上記各CDRは、DF366抗体のそれぞれ対応するCDRと同一である(特許文献3参照)。
〈DF366m[P])抗体〉
DF366m[P]抗体は、DF366m[I]抗体のアミノ酸の一部を有する抗体であり、以下の一群の抗体を含む。
(1)少なくともすべてのCDR領域が、DF366m[I]抗体と同一である抗体(以下「DF366m[CDR]抗体」という。)、すなわち、
CDR1として配列番号:4に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のHCDR1の配列)、CDR2として配列番号:5に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のHCDR2の配列)、および、CDR3として配列番号:6に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のHCDR3の配列)を有するH鎖、ならびに、
CDR1として配列番号:7に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のLCDR1の配列)、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のLCDR2の配列)、CDR3として配列番号:9に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のLCDR3の配列)を有するL鎖
を含む抗体。
(2)少なくとも可変領域(V領域)が、DF366m[I]抗体と同一である抗体(以下「DF366m[V]抗体」という。)、すなわち、
VHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のVHの配列)を有するH鎖、および、VLとして配列番号:11に記載のアミノ酸配列(DF366m抗体のVLの配列)を有するL鎖を含む抗体。
(3)少なくともFab領域が、DF366m[I]抗体と同一である抗体(以下「DF366m[Fab]」という。)、すなわち、
前記(2)に記載のV領域、ならびにCH1として配列番号:12のアミノ酸配列(DF366m抗体のCH1の配列)を有するH鎖、および、CLとして配列番号:13のアミノ酸配列(DF366m抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体。
DF366m[V]抗体の好適な一例として、配列番号:14のアミノ酸配列を有するH鎖(配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するVHと、マウスIgG1のCHとのキメラ抗体)と、配列番号:3のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体(特許文献3に記載のDF366(天然型)に相当)を挙げることができる。
本発明に用いる抗体としては、検出感度の向上の観点から、DF366m[V]抗体、DF366m[Fab]抗体またはDF366m[I]抗体であることが好ましく、DF366m[Fab]抗体またはDF366m[I]抗体であることがより好ましく、DF366m[I]抗体であることがさらに好ましい。
〈DF151抗体〉
DF151抗体は、配列番号:17のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:18のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:19のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:20のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:21のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:22のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するモノクローナル抗体であって、配列番号:15のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:16で表されるL鎖を含む完全抗体(以下「DF151[I]抗体」という。)、ならびに、当該完全抗体のアミノ酸の一部を有する抗体(以下「DF151[P]抗体」という。)が包含される。
〈DF151[P]抗体〉
DF151[P]抗体は、DF151[I]抗体のアミノ酸の一部を有する抗体であり、以下の一群の抗体を含む。
(1)少なくともすべてのCDR領域が、DF151[I]抗体と同一である抗体(以下「DF151[CDR]抗体」という。)、すなわち、
CDR1として配列番号:17に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のHCDR1の配列)、CDR2として配列番号:18に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のHCDR2の配列)、および、CDR3として配列番号:19に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のHCDR3の配列)を有するH鎖、ならびに、
CDR1として配列番号:20に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のLCDR1の配列)、CDR2として配列番号:21に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のLCDR2の配列)、CDR3として配列番号:22に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のLCDR3の配列)を有するL鎖を含む抗体。
(2)少なくとも可変領域(V領域)が、DF151[I]抗体と同一である抗体(以下「DF151[V]抗体」という。)、すなわち、
VHとして配列番号:23に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のVHの配列)を有するH鎖、および、VLとして配列番号:24に記載のアミノ酸配列(DF151抗体のVLの配列)を有するL鎖を含む抗体。
(3)少なくともFab領域が、DF151[I]抗体と同一である抗体(以下「DF151[Fab]抗体」という。)、すなわち、
前記(2)に記載のV領域、ならびにCH1として配列番号:25のアミノ酸配列(DF151抗体のCH1の配列)を有するH鎖、および、CLとして配列番号:3のアミノ酸配列(DF151抗体のCLの配列)を有するL鎖を含む抗体。
本発明に用いる抗体としては、検出感度の向上の観点から、DF151[V]抗体、DF151[Fab]抗体またはDF151[I]抗体であることが好ましく、DF151[Fab]抗体またはDF151[I]抗体であることがより好ましく、DF151[I]抗体であることがさらに好ましい。
〈MAB1720抗体〉
MAB1720抗体は、Clone#216519により産生されるマウス抗ヒトデスモグレイン3モノクローナル抗体(サブクラス:IgG2b)であり、R&D systems社より購入することが可能である。
〔低分子化抗体・多量体・キメラ抗体等〕
本発明で使用される抗体は、抗体の全長分子(完全抗体)に限られず、本発明の効果を損ねない範囲において、かつ、前記に規定した各CDRのアミノ酸配列を有することを条件として、低分子化抗体、多量体、あるいはキメラ抗体またはヒト化抗体であってもよい。低分子化抗体としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab')2、Fv、scFv(single chain Fv)、Diabody、sc(Fv)2(single chain (Fv)2)などを挙げることができる。また、これら抗体の多量体(例えば、ダイマー、トリマー、テトラマー、ポリマー)も、本発明の抗体に含まれる。さらに、公知の手法によってキメラ抗体またはヒト化抗体を作製することもできる。
本発明に用いる抗体としては、検出感度の向上の観点から、完全抗体、F(ab’)2またはFabであることが好ましく、完全抗体またはF(ab’)2であることがより好ましく、完全抗体であることがさらに好ましい。本発明では、抗体は固相化または標識化して用いられているため、センサーチップへの固相化または標識物質の結合のために利用する領域(好ましくはデスモグレイン3との結合に関与しない定常領域)を有する、十分な長さのアミノ酸配列を有する抗体を用いることが適切であるが、そのような抗体の選択は当業者が適切に行うことができる。
〔アミノ酸の置換、欠失、付加および/または挿入〕
本発明に用いる抗体のアミノ酸配列は、本発明の効果を損ねない範囲において、アミノ酸の置換、欠失、付加および/または挿入がされていてもよい。すなわち、本発明に用いる抗体を構成するアミノ酸のうち、一もしくは複数のアミノ酸が変異したアミノ酸配列を有し、前記本発明に用いる抗体と、本発明の達成するべき効果において機能的に同等な抗体もまた本発明の抗体に含まれる。このような変異体における、変異するアミノ酸数は、通常、50アミノ酸以内であり、好ましくは30アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内(例えば、5アミノ酸以内)である。前記アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であることが好ましい。
なお、アミノ酸配列に対する一または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加および/または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark, D . F. et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81, 5662-5666、 Zoller, M. J. and Smith, M. , Nucleic Acids Resea rch (1982) 10, 6487-6500、 Wang, A. et al. , Science 224, 1431- 1433、 Dalbadie-Mc Farland, G. et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA ( 1982) 79, 6409-6413 )。ただし、前記各CDRのアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換、欠失、付加および/または挿入は避けることが望ましい。
〔抗体の作製方法〕
本発明に用いる前記各抗体は、公知の方法により、作製することができる。例えば、目的とする抗体のアミノ酸をコードする配列を有する核酸を発現プラスミドに導入し、これを適切な発現細胞に導入し、該発現細胞を適切な培地中で培養することにより、目的の抗体を得ることができる(例えば特許文献3参照)。
<検体>
本発明の方法の対象となる検体は、被検体より採取した血液検体である。血液は、全血、必要に応じて抗凝固処理した全血、抗凝固処理をした全血を遠心分離して血球成分を除去して得られる血漿、または全血を凝固させて沈殿物(血餅)を除去して得られる血清等であってよい。また、血液検体は、前記血液に加え、必要に応じてこれらを遠心分離、希釈、試薬との混合等の処理をした血液由来試料を含む。これらのなかでも、血清または血漿が好ましい。
<肺扁平癌診断用キット>
本発明は、検体中のデスモグレイン3を検出することによって肺扁平上皮癌を検出する肺扁平上皮癌診断用キットを含む。該肺扁平上皮癌診断用キットは、サンドイッチ型免疫学的測定法に用いる下記試薬を含有する:
(1)固相化抗体としてのDF366m抗体、および、
(2)検出抗体としての、DF151抗体およびMAB1720抗体(R&D systems社)からなる群から選ばれる1つの抗体。
該肺扁平上皮癌診断用キットは、さらに、抗体の固相化、抗体の検出等に用いることのできる物質や器具等を含んでいてもよい。抗体の固相化のためには、マイクロタイタープレートやSPFS用センサーチップ等の担体、炭酸緩衝液等の固相化用液体、ゼラチンやアルブミン等を含むブロッキング液を含めることができる。また、抗体の検出のためには、例えば、標識物質、標識二次抗体、さらには標識の検出に必要な基質、担体、洗浄バッファー、試料希釈液、酵素基質、反応停止液のほか、精製された標準物質としてのデスモグレイン3タンパク質、使用説明書等を含んでいてもよい。該使用説明書の内容は、通常、本発明に係る肺扁平上皮癌を検出する方法、およびサンドイッチ型免疫学的方法による血液検体中のデスモグレイン3の検出方法を含む。
上記の肺扁平上皮癌診断用キットは、採用するサンドイッチ型免疫学的測定法に応じた構成とすることができる。さらに、デスモグレイン3以外の既存の肺癌マーカー、たとえばSCCおよびCYFRAからなる群から選ばれる少なくとも1つについての発現量に基づく判定を組み合わせるために、その他の肺癌マーカーをサンドイッチ型免疫学的測定法を用いて検出するための試薬(たとえばその他の肺癌マーカー用の固定化抗体および検出抗体)等を含んでいてもよい。
<応用例>
上記サンドイッチ型免疫学的測定法のうち、血液検体の測定では、ELISA法とSPFS法が汎用される。
ELISAは、安価な試薬を用いることが可能であり、測定にあたって高価な機械が不要であり、特にマルチウェルプレートを用いた場合、多数の検体を同時に処理することができるという特徴がある。したがって、検体の1次スクリーニング、例えば、健康診断等の多検体を処理する目的に好適に挙げられる。
一方、SPFS法は、検体処理数でプレートELISA法に及ばず、専用の高価な機械を必要とするデメリットがある。しかし、非常に高い検出感度を有し、より詳細な解析が可能である。そのため、高い確度を要する使用目的、例えば、1次スクリーニングで擬陽性となった検体の確定診断や、基礎研究目的での使用が好適に挙げられる。したがって、SPFSでは、目的物の検出ができるだけでは足りず、検査値のカットオフ値を、例えばELISA法に比べて大きく下げることが通常要求される。
以下に実施例を示し本発明の詳細な説明を行うが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[実施例1]
<標準抗原を用いた適切な抗体の選択試験>
抗体は以下のものを用いた。(1)〜(3)の抗体は、いずれも特許文献3に記載の方法で作成した、ハイブリドーマまたはプラスミドを導入した発現細胞の培養上清より調製した。
(1)DF366m(DF366m[I]抗体)
(2)DF151(DF151[I]抗体)
(3)D219-3((株)医学生物学研究所)
(4)MAB1720(R&D systems社、カタログ番号MAB1720)
<ビオチン標識抗体の調製>
モノクローナル抗体のビオチン化は、以下のように行った。
50mM炭酸水素ナトリウム溶液(pH8.5)で1mg/mLの濃度に希釈した抗体溶液1mLに、Biotin-AC5-Osu(同仁化学社)をジメチルホルムアミドに1.82mg/mLの濃度で溶解した溶液を10μL添加し、25℃において2時間転倒混和した。その後、この反応液をNAP-5カラム(GE ヘルスケア社)に供し、未反応のBiotin−AC5−Osuを除き、溶媒をカルシウム・マグネシウム不含リン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS(-)」という。)に置換し、ビオチン化モノクローナル抗体を得た。ビオチン化モノクローナル抗体は、PBS(-)で1μg/mLの濃度になるように希釈し、ビオチン化抗体溶液として用いた。
<抗原溶液の作製>
ヒトデスモグレイン3として、配列番号:1で表されるヒトDSG3細胞外領域(Met1-Leu616)とマウスIgG2a定常領域を結合させた可溶型ヒトDSG3/マウスIgG2aFc融合タンパク質を作製して使用した。融合タンパクの作製は、特許文献3の実施例3に記載の方法と同様に行った。得られた抗原タンパクをPBS(-)で希釈し、0〜25ng/mLの抗原溶液を作製した。
<ELISA測定>
各固相抗体を、100mM 炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)中に5μg/mLに希釈し、この溶液をポリスチレン製ELISAプレート(Maxi-soup plate (商品名)、NUNC社)に各50μL/ウェルずつ添加し、4℃で12時間インキュベートすることで、各抗体を固相化した。
次に、ブロッキング溶液として、ウシ血清アルブミン(以下「BSA」という。)を1%含有するPBS(-)(以下「1%BSA-PBS(-)」という)を調製し、先のプレートから抗体溶液を除去した後、このブロッキング溶液を100μL/ウェルずつ添加し、37℃で1時間インキュベートし、ブロッキングを行なった。
続いて上記各濃度の抗原溶液を50μL/ウェルずつ添加し、室温で1時間インキュベートしたのち、抗原溶液を除去し、0.05% Tween20-PBSにて3回洗浄した後、前記1μg/mLビオチン化抗体溶液を50μL/ウェルずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。
続いて、ビオチン化抗体溶液を除去し、0.05% Tween20-PBSにて3回洗浄した後、12.5ng/mLに調製したストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(Thermo scientific社。以下「ストレプトアビジン-HRP」という。)を50μL/ウェルずつ添加し、室温で30分間インキュベートした。
続いて、ストレプトアビジン-HRP溶液を除去し、0.05% Tween20-PBSで3回洗浄した後、基質溶液(SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate(登録商標)、ピアース社)を100μL/ウェルずつ添加し、1分後に発光強度をルミノメーターFLUOROSKAN ASCENT FL(商品名、Thermo electron corporation)で測定した。
<結果>
結果を表1に示す。表中の数値は、S/N比が2を超える最小の抗原溶液濃度(以下「検出限界濃度」という。)を示し、数値の単位はpg/mLである。S/N比は各抗原溶液濃度(1.6、8、40、200、1,000、5,000、25,000pg/mL)における発光強度を、抗原を含まないブランク抗原溶液(0pg/mL)における発光強度で除したものである。
表1より、用いる抗体の組合せとして、固相化抗体にDF366m、検出抗体にDF151を用いた場合に特に高いS/N比を示し、最も好ましい組合せであることが明らかとなった。
さらに、検出限界濃度が1,000pg/mL以下となる抗体の組合せについての、各検体濃度におけるS/N比を表2に示した。検出限界濃度が1,000pg/mLとなる組合せの間では、DF151(固相)とMAB1720(検出)、DF366m(固相)とMAB1720(検出)、MAB1720(固相)とDF151(検出)、DF151(固相)とD219-3(検出)の組合せの順にS/N比が高く、この順で好ましい組合せであることが明らかとなった(表2)。なお、表中の下線が付された数値は、検出限界濃度におけるS/N比を示す。
Figure 0005221825
Figure 0005221825
[実施例2]
<血液添加デスモグレイン3標準品の検出>
表2に示す抗体の組合せのうち、検出限界濃度が1,000pg/mL以下であった組合せについて、デスモグレイン3標準品をヒト血清に添加した検体の測定をおこなった。
抗原溶液の作製において、ヒトデスモグレイン3を、ヒト血清(コージンバイオ社、カタログ番号12181201)で希釈し、0〜25ng/mLの抗原溶液を作製した。それ以外は、実施例1と同様に実施した。S/N比が最も低かったDF151(固相)とD219-3(検出)の組合せ、および、同じ抗体の組合せであるDF151(固相)とDF151(検出)の組合せについては、試験を行わなかった。
<結果>
結果を表3に示す。表中の数値は検出限界濃度であり、数値の単位はpg/mLである。本発明の抗体の組合せを用いれば、血液中のデスモグレイン3量であっても高感度で測定できることが明らかとなった。
用いる抗体の組合せとしては、固相化抗体にDF366m、検出抗体にDF151またはMAB1720を用いた場合に特に検出限界濃度を低くすることができ、好ましい組合せであることが明らかとなった。
Figure 0005221825
[実施例3]
<患者血液(血清および血漿)検体中のデスモグレイン3のサンドイッチELISAによる検出>
癌患者の血液検体中のデスモグレイン3の検出を以下の通り行った。
<被験溶液の調製>
血液バンクより入手したヒト血液検体(血清または血漿)(健常者、膵癌患者、肺腺癌患者および肺扁平上皮癌患者、各10例)を、ウシプール血清(コージンバイオ社)で10倍に希釈し、被験溶液とした。
<ELISA測定>
DF366mを100mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)で5μg/mLに希釈し、この溶液をポリスチレン製ELISAプレート(Maxi-soup plate (商品名)、NUNC社)に各50μL/ウェルずつ添加し、4℃で終夜インキュベートすることで固相化した。
抗体溶液を除去した後、1%BSA-PBS(-)(ブロッキング溶液)を100μL/ウェルずつ添加し、室温で2時間インキュベートし、ブロッキングを行なった。
続いて、ブロッキング溶液を除去し、0.05%Tween20-PBSにて3回洗浄した後、前記被験溶液を50μL/ウェルずつ添加し、室温で1時間インキュベートしたのち、被験溶液を除去し、0.05% Tween20-PBSにて3回洗浄した後、1μg/mLビオチン化DF-151抗体溶液(1%BSA-PBS(-))を50μL/ウェルずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。
続いて、ビオチン化DF-151抗体溶液を除去し、0.05%Tween20-PBSにて3回洗浄した後、12.5ng/mLに調製したストレプトアビジン-HRP溶液(Thermo scientific社)を50μL/ウェルずつ添加し、室温で30分間インキュベートした。
続いて、ストレプトアビジン-HRP溶液を除去し、0.05% Tween20-PBSで3回洗浄した後、基質溶液(SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate(登録商標)、ピアース社)を100μL/ウェルずつ添加し、1分後に発光強度をルミノメーターFLUOROSKAN ASCENT FL(商品名、Thermo electron corporation社)で測定した。
<測定結果>
結果を図1に示す。肺扁平上皮癌患者の1検体において、健常者と比較して有意に高いデスモグレイン3の存在を検出することができた。健常者、膵癌患者および肺腺癌患者の検体中では、デスモグレイン3の高い上昇は認められなかった。したがって、肺扁平上皮癌と他の癌を区別することができ、血中デスモグレイン3量は、肺扁平上皮癌の特異的診断マーカーとして用いることができることが示唆された。
[実施例4]
<肺扁平上皮癌患者血液(血清)検体中のデスモグレイン3の検出>
さらに、血液バンクより、肺扁平上皮癌患者30名の血液検体を入手し、追加実験を行った。被験溶液として原液を用いた他は実施例2と同様に行った。得られた結果は、実施例2で測定した健常者10例および肺扁平上皮癌患者10例の結果と合わせて評価した。
結果を図2に示す。棒グラフの下に記載の各数値は検体番号を示す。健常者10例中の血中デスモグレイン3濃度は0〜4ng/mL程度であった。ELISA法を用いた測定における血中デスモグレイン3の検出限界値が200pg/mLであることを考慮し、肺扁平上皮癌の判定のカットオフ値を1ng/mLと設定した。このとき、肺扁平上皮癌患者の血液検体において、40例中20例(陽性率50%)で、カットオフ値以上の高濃度のデスモグレイン3を検出することができた。
なお、健常者の血液検体においては10例中3例(擬陽性率30%)で、カットオフ値以上のデスモグレイン3濃度を検出した。したがって、血中デスモグレイン3量は、肺扁平上皮癌の診断マーカーとして用いることができることが明らかとなった。
また、DF366mを固相化抗体として、ビオチン化MAB1720を検出抗体に用いた場合にも、同様の結果が得られたが、他の抗体の組合せ、例えば、MAB1720(固相)とDF151(検出)との組合せの場合には、必要な検出感度が得られず、健常者と患者との差は明確にならなかった。
以上より、本発明に係る抗体の組合せを用いることで、ELISA法においても、ヒト血中デスモグレイン3量を、肺扁平上皮癌の検出に必要な感度で検出することができることが示された。
なお、同一患者の血清および血漿サンプル中のデスモグレイン3濃度を測定したところ、同様の値が得られ、血漿中のデスモグレイン3濃度も同様に測定できることが確認できた。
[実施例5]
<他の肺癌マーカーとの比較>
実施例3の肺扁平上皮癌患者血液検体40例について、他の肺癌マーカーとの特性の比較検討を行った。デスモグレイン3のデータは実施例3の結果を用いた。他の肺癌マーカーとしてSCCおよびCYFRA21-1(以下「CYFRA」という。)を選択し検討を行った。
<SCCおよびCYFRAの測定>
SCCの測定は、はSCC測定キットCanAg SCC EIA(商品名、FUJIREBIO Diagnostics,Inc)を用いて、添付指示書にしたがって実施し、カットオフ値は、1.5ng/mLに設定した。CYFRAの測定は、CYFRA測定キットCYFRA21-1 EIA(商品名、FUJIREBIO Diagnostics,Inc)を用いて、添付指示書にしたがって実施し、カットオフ値は3.5ng/mLに設定した。
なお、それぞれの基準値は1.5ng/mL及び2.0ng/mLであることが一般的に認知されている(最新医学別冊、「肺がん」、(最新医学社)2012年)。
<結果>
図3〜図5に結果を示す。本来、血中濃度としてマイナスの値は通常想定できないが、定量限界に近い濃度領域ではノイズ値がシグナル値を超える場合も多々あるために、マイナス値が算出されており、図3〜図5においては、算出値をそのまま記載している。
図3および図4より、デスモグレイン3、SCCおよびCYFRAは異なる発現傾向を示し、デスモグレイン3とSCC、デスモグレインとCYFRA間に発現の相関は認められなかった。SCCとCYFRAは同様の発現傾向を示した(図5)。すなわち、血液中のデスモグレイン3の存在を測定して判定することにより、既存の肺癌マーカーでは癌と判定できない肺扁平上皮癌患者を肺扁平上皮癌と診断することが可能であった。
さらに、血液中のデスモグレイン3、SCCおよびCYFRAの量の測定結果を組み合わせて用いることで、肺扁平上皮癌の検出力が向上することが示された。すなわち、デスモグレイン3(カットオフ値を1ng/mLとした場合)、SCCおよびCYFRAを単独で用いた場合の検出率は、それぞれ(20/40)、(4/40)、(6/40)であったのに対し、デスモグレイン3とSCCを組み合わせたときの検出率は(21/40)であり、デスモグレイン3とCYFRAを組み合わせたときの検出率は(20/40)であり、3つを組み合わせたときの検出率は(21/40)であった。なお、このときのデスモグレイン3の擬陽性率は(3/10:30%)であった。
デスモグレイン3のカットオフ値を2ng/mLとした場合、SCCおよびCYFRAを単独で用いた場合の検出率は、それぞれ(13/40)、(4/40)、(6/40)であったのに対し、デスモグレイン3とSCCを組み合わせたときの検出率は(15/40)であり、デスモグレイン3とCYFRAを組み合わせたときの検出率は(15/40)であり、3つを組み合わせたときの検出率は(17/40)であった。このときのデスモグレイン3の擬陽性率は(1/10:10%)であり、SCCおよび/またはCYFRAと組み合わせることで、デスモグレイン3における擬陽性率を下げつつ、高い検出力を維持することが可能であった。
なお、実施例3における抗体の組合せ(DF366m+ビオチン化DF-151)でデスモグレイン3高値を示した検体は、実施例1で使用した他の抗体の組合せで測定した場合もデスモグレイン3高値を示し、逆にデスモグレイン3低値を示した検体は、同様に低値を示した。すなわち、DF366m+ビオチン化DF-151以外の抗体の組合せで測定した場合も、既存の肺癌マーカーでは癌と判定できない肺扁平上皮癌患者を肺扁平上皮癌と診断することが可能であった。
[実施例6]
<緩衝液中のデスモグレイン3標準品のSPFSによる検出(1)>
緩衝液中のデスモグレイン3をSPFSにより測定した。固相化抗体として、実施例1に記載のDF366mを、検出抗体として実施例1に記載のDF151を用いた。
(1)センサーチップの作製
厚さ1mmのガラス製の透明支持体「S−LAL 10」((株)オハラ、屈折率(nd):1.72)をプラズマ洗浄した後、該支持体の片面にクロム薄膜をスパッタリング法により形成し、さらにその表面に金薄膜をスパッタリング法により形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm以下、金薄膜の厚さは42〜47nmであった。
上記工程により得られた金属薄膜を備えた透明支持体を、1mMに調整した11−アミノ−1−ウンデカンチオールのエタノール溶液10mLに24時間浸漬し、金薄膜の表面にSAMを形成した。この透明支持体をエタノール溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールそれぞれで洗浄した後、エアガンを用いて乾燥させた。
続いて、上記工程により得られたSAMを備えた透明支持体を、分子量50万〜100万のカルボキシメチルデキストラン(CMD)を1mg/mLと、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を0.5mMと、水溶性カルボジイミド(WSC)として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を1mMとを含む、pH7.4のMES緩衝生理食塩水(MES)(イオン強度:10mM)に1時間浸漬して、SAMの表面に固相化層としてCMDを固定化し、その後1MのNaOH水溶液に30分間浸漬することで未反応のコハク酸エステルを加水分解した。CMDからなる固相化層の平均膜厚は70nmであり、密度は1.9ng/mm2であった。
続いて、上記工程により得られた固相化層を備えた透明支持体を、NHSを50mMと、WSCを100mMとを含むMESに1時間浸漬させた後に、DF366m抗体溶液(2.5μg/mL)に30分間浸漬することで、CMDに当該モノクローナル抗体を固定化した。
さらに、1質量%のウシ血清アルブミン(BSA)および1Mのアミノエタノールを含むPBSを30分間循環送液することで、非特異的吸着防止処理を行なった。
上記のようにして得られたセンサーチップに、長さ10mm、幅5mmの穴を有する厚さ0.5mmのPDMS製シートを載せ、さらにこのPDMS製シートの周囲にシリコーンゴム製スペーサを配置した。これらのPDMS製シートおよびシリコーンゴム製スペーサの上に、当該PDMS製シートの穴に対応する位置に送液導入用の穴および送液排出用の穴が形成されているPMMA製天板を載せた。これらのセンサーチップ、PDMS製シートおよびシリコーンゴム製スペーサ、ならびにPMMA製天板の積層体を外周部で圧着し、ビスで固定して、SPFS用測定部材を作製した。
(2)蛍光標識化リガンドの作製
DF151抗体溶液(2.5μg/mL)と、AlexaFluor647標識キット(Invitrogen社)とを用いて、当該キットの所定の手順に従い、AlexaFluor647標識化DF151を作製した。その後、分子量カットフィルタ(日本ミリポア(株))を用いて未反応物を除去し、AlexaFluor647標識化DF151抗体を精製し、下記アッセイの実施まで4℃で保存した。
(3)アッセイの実施
前記工程(1)で作製した測定部材の流路に、デスモグレイン3を100pg/mL(=0.1ng/mL)含むPBS溶液0.1mLを送液し、25分間循環させた。
続いて、Tween20を0.05質量%含むトリス緩衝生理食塩水(TBS)を送液し、10分間循環させて流路を洗浄した後、前記工程(2)で作製したAlexaFluor647標識化DF151を2μg/mL含むPBS溶液を送液し、5分間循環させた。
再度、Tween20を0.05質量%含むトリス緩衝生理食塩水(TBS)を送液し、10分間循環させて流路を洗浄した後、PBSバッファー(pH7.4)で流路を満たした状態にしてから、測定領域の金属薄膜の裏面からレーザー光(640nm、40μW)を照射し、測定領域の上部に設置された光電子増倍管(PMT)で蛍光量を測定した。この測定値を、デスモグレイン3濃度が100pg/mLにおける「シグナル」(S)とした。
一方、デスモグレイン3を100pg/mL含むPBS溶液の代わりにデスモグレイン3を全く含まない(0pg/mL)PBS溶液を送液し、それ以外は上記と同様の手順により、蛍光量を測定した。この測定値を「ノイズ」(N)とした。
また、送液するデスモグレイン3のPBS溶液の濃度を10,000pg/mL、5,000pg/mL、1,000pg/mL、200pg/mL、50pg/mL、10pg/mL、3.16pg/mL、1pg/mL、0.316pg/mL、0.1pg/mL、0.031pg/mLに変化させ、それ以外は上記と同様の手順により蛍光量を測定し、それらの測定値を各濃度における「シグナル」(S)とした。
<結果>
結果を図6に示す。縦軸は「シグナル」−「ノイズ」(S-N)の値(単位:a.u.)、横軸はデスモグレイン3の濃度(単位:pg/mL)である。このプロットに基づき、上記測定系によるデスモグレイン3の検出限界濃度は5pg/mLであると判定でき、サンドイッチELISAによる測定と比べて、約40倍の検出感度が得られることが明らかとなった。すなわち、SPFS法によれば、ELISA法で必要な検体量の1/40の検体量で同等の評価が行えるという効果が得られることになる。
また、実施例1と同様に抗体の組み合わせをさまざま変更したところ、図6と同様のプロットが得られることが確認された。さらに、200〜1000pg/mL濃度領域でS/N比を比較すると、固相化抗体にDF366m、検出抗体にDF151を用いた場合に次いでDF366(固相)とMAB1720(検出)、DF151(固相)とMAB1720(検出)、MAB1720(固相)とDF151(検出)、DF151(固相)とD219-3(検出)の組合せの順にS/N比が高く、この順は実施例1で得られた順とほとんど同じであった。すなわち、1000pg/mL濃度におけるS/N比を上記の順番に示すと、140.0、92.2、60.8、34.5、24.4であった。
固相化抗体にDF366m、検出抗体にDF151およびDF366(固相)とMAB1720(検出)を用いた場合に特に高いS/N比を示し、最も好ましい組合せであることが明らかとなった。
[実施例7]
<血液添加デスモグレイン3標準品のSPFSによる検出>
検体として、実施例2の検体溶液を用いたほかは、実施例6と同様に実施した。
<結果>
実施例6と同様の結果が得られ、血中のデスモグレイン3の検出限界濃度は5pg/mLと判定された。すなわち、本発明に係る検体の組合せを用いれば、血液検体中のデスモグレイン3をSPFSにより高感度で検出できることが明らかとなり、他の測定方法、例えばELISA法と比較して遥かに少ない検体量で検出することができ、また、肺扁平上皮癌の判定のカットオフ値をELISA法に比べてさらに下げられることが示された。
以上より、本発明に係る抗体の組合せを用いることで、SPFS法において、ヒト血中デスモグレイン3量を、精度の高い肺扁平上皮癌の検出に必要な感度で検出することができることが示された。
本発明で用いるヒトデスモグレイン3タンパク質およびそのモノクローナル抗体のアミノ酸配列の一覧表を以下に記載する。
Figure 0005221825
Figure 0005221825
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配列番号:2 人工的配列 DF366 VH - Murine IgG2a CH(DF366のH鎖可変領域 - マウスIgG2aのH鎖定常領域)。
配列番号:3 人工的配列 DF366 VL - Murine IgG2a CL(kappa)(DF366のL鎖可変領域 - マウスIgG2aのL鎖(κ鎖)定常領域)。

Claims (11)

  1. 以下の工程を含む判定により、肺扁平上皮癌を検出する方法:
    (1)被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を測定する工程、および、
    (2)前記測定により得られたデスモグレイン3の含有量と、健常者から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量を比較し、被検体から採取した血液検体中のデスモグレイン3の含有量の方が多いことをもって、被検体における肺扁平上皮癌の存在を推定する工程。
  2. さらに、同一被検体の検体から得られた、既存の肺癌マーカーである、SCCおよびCYFRAからなる群から選ばれる少なくとも1つの発現量に基づく判定を組み合わせた、請求項1に記載の方法。
  3. 前記測定がサンドイッチ型免疫学的測定法である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記サンドイッチ型免疫学的測定法において、
    固相化抗体として、配列番号:4のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:5のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:6のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:7のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:8のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:9のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF366m抗体を使用し、
    検出抗体として、配列番号:17のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:18のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:19のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:20のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:21のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:22のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF151抗体、またはMAB1720抗体(R&D systems社)を使用する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記サンドイッチ型免疫学的測定法において、担体に固相化されたDF366m抗体に検体を接触させ、その後、DF151抗体またはMAB1720抗体(R&D systems社)を接触させる、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記DF366m抗体が、配列番号:2のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:3で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:11に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体であり、前記DF151抗体が、配列番号:15のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:16で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:23に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:24に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体である、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記サンドイッチ型免疫学的測定法が、サンドイッチELISA法である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記サンドイッチ型免疫学的測定法が、SPFS法である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
  9. サンドイッチ型免疫学的測定法に用いる下記試薬を含有する、肺扁平上皮癌診断用キット:
    (1)固相化抗体としての、配列番号:4のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:5のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:6のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:7のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:8のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:9のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF366m抗体、および、
    (2)検出抗体としての、検出抗体として、配列番号:17のアミノ酸配列で表されるHCDR1、配列番号:18のアミノ酸配列で表されるHCDR2、配列番号:19のアミノ酸配列で表されるHCDR3、配列番号:20のアミノ酸配列で表されるLCDR1、配列番号:21のアミノ酸配列で表されるLCDR2、および配列番号:22のアミノ酸配列で表されるLCDR3を有するDF151抗体またはMAB1720抗体(R&D systems社)。
  10. 前記DF366m抗体が、配列番号:2のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:3で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:11に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体であり、前記DF151抗体が、配列番号:15のアミノ酸配列で表されるH鎖および配列番号:16で表されるL鎖を含む完全抗体、またはVHとして配列番号:23に記載のアミノ酸配列を有するH鎖およびVLとして配列番号:24に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体である、請求項9に記載の肺扁平上皮癌診断用キット。
  11. さらに、下記試薬を含有する、請求項9または10の肺扁平上皮癌診断用キット:
    (3)SCCおよびCYFRAからなる群から選ばれる少なくとも1つの肺癌マーカーを、サンドイッチ型免疫学的測定法を用いて検出するための試薬。
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