JP5219663B2 - カバレージを測定する装置、方法、プログラム - Google Patents

カバレージを測定する装置、方法、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、ショットピーニング面のカバレージを測定する技術に関する。
ばね等の対象物に鋼球等のショットを投射し、対象物の強度等を向上するショットピーニング処理が知られている。ショットピーニング処理では、投射条件の設定や管理に用いられる代表的な指標として、カバレージが多く採用されている。カバレージとは、ショットピーニング処理を施したショットピーニング面において、ショットが実際に衝突したショット衝突領域が占める割合を示すものである。即ち、ショットピーニング処理が未処理の段階では、カバレージは0パーセントであり、ショットピーニング処理が十分に行われると、カバレージは略100パーセントとなる。
カバレージを測定する手法としては、例えば、日本ばね工業会が規定する標準測定法が知られている。この測定法では、ショットピーニング面を20倍から30倍の拡大鏡で観察し、標準写真と比較することによってカバレージの値を決定する。この測定法では、人の目視判断によってカバレージが決定されるため、カバレージの測定値に個人差が生じやすい。
特許文献1には、カバレージを定量的に測定するための技術が開示されている。この技術では、ショットピーニング面の表面粗さを測定し、「ゆがみRsk」というパラメータを計算する。この「ゆがみRsk」は、ガバレージと一定の関係を保って変化するパラメータと説明されている。そして、計算した「ゆがみRsk」と、予め取得しておいた「ゆがみRsk」とガバレージとの関係を用いて、カバレージを特定している。
特開2004−142007号公報
特許文献1の技術は、「ゆがみRsk」というパラメータとガバレージとの関係を、実験等によって予め取得しておく必要がある。従って、「ゆがみRsk」とガバレージの関係が既知のものしか、そのカバレージを測定することができない。
本発明は、上記の問題を解決する。本発明は、上記のような特殊なパラメータを用いることなく、ショットピーニング処理面のカバレージを定量的に測定することができる技術を提供する。
本発明は、ショットピーニング面のカバレージを測定する装置に具現化される。このカバレージを測定する装置は、ショットピーニング面の各位置で測定された表面形状に関する指標を記述する表面測定データから、その表面形状に関する指標の確率密度分布を計算する分布計算手段と、分布計算手段によって計算された確率密度分布を、所定の確率分布関数を用いて2つの確率密度分布に分離し、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布を抽出する分布抽出手段と、第1確率密度分布と第2確率密度分布の少なくとも一方の積算値からカバレージを計算する積算値計算手段を備える。
鉄鋼材料のアルメンストリップを用意し、ショットピーニング処理前(カバレージ:0パーセント)に、アルメンストリップ表面の各位置における表面高さを測定する。そして、測定された表面高さの確率密度分布を計算すると、図11のグラフBに示すように、その確率密度分布はガウス分布にほぼ一致する。次いで、アルメンストリップにショットピーニングを十分に施した後(カバレージ:100パーセント)、アルメンストリップ表面の各位置における表面高さを再度測定する。そして、測定された表面高さの確率密度分布を計算すると、図11のグラフCに示すように、その確率密度分布はガウス分布にほぼ一致する。
カバレージがいくつであっても、アルメンストリップ表面には、ショットが未衝突であるショット未衝突領域と、ショットが実際に衝突したショット衝突領域のみが存在する。ショット未衝突領域は、局所的にカバレージが0パーセントである領域であり、ショット衝突領域は、局所的にカバレージが100パーセントである領域である。従って、任意のカバレージであるアルメンストリップ表面について、その表面高さの確率密度分布を求めると、その確率密度分布は、上記した2種類のガウス分布(図11のグラフB、C)が組み合わされたものとなる。
図12は、任意のカバレージであるアルメンストリップ表面について、その表面高さの確率密度分布f(Z)を求めた一例を示している。図12に示すように、確率密度分布f(Z)は、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布f(Z)と、ショット衝突領域の第2確率密度分布を示すf(Z)との足し合わせとなっている。第1確率密度分布f(Z)及び第2確率密度分布f(Z)は、先に説明したように、例えばガウス分布と見なすことができる。従って、確率密度分布f(Z)は、下記式のように表わすことができる。
Figure 0005219663


上記式において、上部にバーが付されたZ及びZは、第1確率密度分布f(Z)及び第2確率密度分布f(Z)の平均値をそれぞれ示す。σ及びσは、第1確率密度分布f(Z)及び第2確率密度分布f(Z)の偏差をそれぞれ示す。k及びkは、第1確率密度分布f(Z)及び第2確率密度分布f(Z)の積算値(面積)を示す。上記式において、k及びkは、その和が1となるように設定されている。従って、第2確率密度分布f(Z)の面積kは、ショットピーニング処理面におけるショット衝突領域の比率を示すものであり、ショットピーニング面のカバレージを示す値となる。上記式を用いて確率密度分布を近似した時の上記式中の係数は、例えば最小自乗法によって数値的に求めることが可能である。それにより、第1確率密度分布f(Z)及び第2確率密度分布f(Z)の各パラメータを求めることができる。
以上のように、ショットピーニング面全体の確率密度関数f(Z)は、例えばガウス分布関数を用いて、2つの確率密度分布に分離することができる。それにより、ショット未衝突面における表面高さの第1確率密度分布f(Z)と、ショット衝突領域における表面高さの第2確率密度分布f(Z)を求めることが可能となる。第1確率密度分布f(Z)と第2確率密度分布f(Z)が判明すれば、その少なくとも一方の積算値k、kを用いて、ショットピーニング面のカバレージを定量的に求めることができる。
上記では、表面形状に関する指標として表面高さを例に挙げ、表面高さの確率密度分布を用いる場合を説明したが、例えば表面角度の確率密度分布のように、他の表面形状に関する指標の確率密度分布を用いた場合でも、同様にショットピーニング面のカバレージを測定することができる。
ショット未衝突領域の第1確率密度分布と、ショット衝突領域の第2確率密度分布は、多くの場合、ガウス分布と見なすことができる。そのことから、上記の説明では、ショットピーニング面全体の確率密度分布から、ガウス分布関数を用いて、第1確率密度分布と第2確率密度分布を抽出する手法を例示した。しかしながら、本発明の技術は、必ずしもガウス分布関数を用いる必要はない。第1確率密度分布及び第2確率密度分布は、投射するショットの粒度分布等によって、他の様々な確率分布関数で表わされる場合もある。それらの確率分布関数は、実験等によって確認することができる。この場合、実験等によって確認された確率分布関数を用いて、第1確率密度分布や第2確率密度分布の抽出を行うとよい。ここで、第1確率密度分布に用いる確率分布関数と、第2確率密度分布に用いる確率分布関数は、同じものとなる場合もあるし、異なるものとなる場合もある。
上記した装置は、表面測定データに記述された表面高さを二次関数で近似することによってショットピーニング面の各位置における基準高さを計算するとともに、計算した基準高さを用いて表面測定データに記述された表面高さを修正する修正手段をさらに備えることが好ましい。
この構成によると、ショットピーニング面が例えば湾曲している場合でも、その湾曲に起因する影響を排除して、カバレージを正しく測定することができる。ショットピーニング処理では、ショットピーニング面に反りが生じることも多い。このような場合でも、カバレージを正しく測定することができる。
上記した分布抽出手段は、抽出した第1確率密度分布の分散が所定範囲内にないときに、制約条件を追加した上で、第1確率密度分布と第2確率密度分布の抽出を再実行することが好ましい。
ショットピーニング面のカバレージが100パーセントに近い場合、ショットピーニング面全体の確率密度分布は、主に第2確率密度分布のみで構成される。この場合、ショットピーニング面全体の確率密度分布に、第1確率密度分布のピークがほとんど現われなくなる。確率密度分布の双峰性が失われると、確率密度分布の分離が正しく行われず、第1確率密度分布と第2確率密度分布が誤って抽出されることも多い。具体的には、カバレージが100パーセントであるにもかかわらず、カバレージが50パーセントと求められることがある。
そこで、本発明の技術では、第1確率密度分布の分散に、制約を与えている。第1確率密度分布は、ショット未衝突領域の表面形状を示すものであり、その分散が取り得る範囲を予測することができる。従って、抽出した第1確率密度分布の分散が予測された範囲にない場合には、第1確率密度分布と第2確率密度分布が誤って抽出されたと判断することができる。この場合、第1確率密度分布と第2確率密度分布の抽出を再実行することで、真の第1確率密度分布と第2確率密度分布を抽出する。
上記した分布抽出手段は、分離した2つの確率密度分布の平均値又は分散に基づいて、前記第1確率密度分布と前記第2確率密度分布の識別を行うことが好ましい。
ショット衝突領域では、ショット非衝突領域に比して、その表面高さが平均的に低くなる。従って、ショット衝突領域を示す第2確率密度分布の平均値は、ショット非衝突領域を示す第1確率密度分布の平均値よりも、その値が小さくなる。また、ショット衝突領域では、ショット非衝突領域に比して、その表面粗さが粗くなる。従って、ショット衝突領域を示す第2確率密度分布の分散は、ショット非衝突領域を示す第1確率密度分布分散よりも、その値が大きく。また、ショット衝突領域では、ショット非衝突領域に比して、その表面粗さが粗くなる。これらのことを利用し、分離した2つの確率密度分布から、第1確率密度分布と第2確率密度分布を識別することができる。
本発明の技術は、ショットピーニング面のカバレージを測定する方法にも具現化される。この方法は、ショットピーニング面の各位置で測定された表面形状に関する指標を記述する表面測定データから、その表面形状に関する指標の確率密度分布を計算する分布計算工程と、分布計算手段によって計算された確率密度分布を、所定の確率分布関数を用いて2つの確率密度分布に分離し、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布を抽出する分布抽出工程と、第1確率密度分布と第2確率密度分布の少なくとも一方の積算値からカバレージを計算するカバレージ計算工程を備えている。
この方法によっても、ショットピーニング面のカバレージを定量的に求めることができる。
本発明の技術は、ショットピーニング面のカバレージを測定するためのプログラムにも具現化される。このプログラムは、コンピュータに、ショットピーニング面の各位置で測定された表面形状に関する指標を記述する表面測定データから、その表面形状に関する指標の確率密度分布を計算する分布計算処理と、分布計算手段によって計算された確率密度分布から、所定の確率分布関数を用いて2つの確率密度分布に分離し、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布を抽出する分布抽出処理と、第1確率密度分布と第2確率密度分布の少なくとも一方の積算値からカバレージを計算するカバレージ計算処理を実行させる。
このプログラムによっても、ショットピーニング面のカバレージを定量的に求めることができる。
本発明によれば、ショットピーニング面のカバレージを定量的に求めることができ、ショットピーニング処理の処理条件の設定や評価を正しく行うことが可能となる。
本発明を実施するための好適な形態を列記する。
(形態1) カバレージ測定装置は、ショットピーニング面の各位置における表面高さを測定し、測定した表面高さを記述する表面測定データを作成する表面高さ測定装置を備えている。
(形態2) カバレージ測定装置は、ショットピーニング面全体における表面高さの確率密度分布を、ガウス分布関数を用いて2つのガウス分布に分離する。
(形態3) カバレージ測定装置は、計算したカバレージを表示するディスプレイを備えている。
本発明を具現化した実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例のカバレージ測定装置10を示す。カバレージ測定装置10は、ショットピーニング処理を施したアルメンストリップ100のショットピーニング面100aのカバレージを測定する装置である。即ち、ショットピーニング面100aにおいて、ショットが実際に衝突したショット衝突領域が占める割合を測定する装置である。なお、本実施例では、鉄鋼材料のアルメンストリップ100を用いている。
図1に示すように、カバレージ測定装置10は、表面高さ測定装置20と、表面高さ測定装置20に接続されているコンピュータ40と、コンピュータ40に接続されているディスプレイ60を備えている。
表面高さ測定装置20は、レーザ式の変位センサ22と、アルメンストリップ100を載置するステージ装置26を備えている。レーザ式の変位センサ22は、ステージ装置26に載置されたアルメンストリップ100に対向しており、ショットピーニング面100aまでの距離を測定する。変位センサ22は、レーザ式のものに限られず、例えば探触子による接触式のものであってもよく、その測定方式は特に限定されない。ステージ装置26は、載置されたアルメンストリップ100を、X方向及びY方向に移動可能となっている。以上の構成により、表面高さ測定装置20は、ショットピーニング面100aの各位置(X、Y)における表面高さZを測定できる構成となっている。表面高さ測定装置20は、各位置で測定した表面高さを記述する表面測定データを作成し、コンピュータ40へと出力する。コンピュータ40は、入力した表面測定データから、ショットピーニング面100aのカバレージを計算する。コンピュータ40が計算したカバレージは、ディスプレイ60に表示される。
図2は、カバレージ測定装置10の機能的な構成を示している。図2に示すように、コンピュータ40は、確率密度分布計算部42と、確率密度分布分離部44と、カバレージ計算部46と、表面高さデータ修正部48と、制約条件設定部50を備えている。これらの各部は、コンピュータ40のCPU、ROM、RAM等のハードウエアと、コンピュータ40に記憶されている各種のプログラムによって構成されている。
確率密度分布計算部42は、表面高さ測定装置20から入力した表面測定データを用い、図12に示すような表面高さの確率密度分布f(Z)を計算することができる。
確率密度分布分離部44は、確率密度分布計算部42によって計算された確率密度分布f(Z)を2つの確率密度分布に分離し、図12に示すようなショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布f(Z)と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布f(Z)を抽出することができる。
カバレージ計算部46は、第1確率密度分布f(Z)と第2確率密度分布f(Z)の少なくとも一方の積算値k、kから、ショットピーニング面100aのカバレージを計算することができる。計算されたカバレージは、ディスプレイ60に表示可能となっている。
表面高さデータ修正部48は、表面測定データに記述された表面高さを二次関数で近似することによって、ショットピーニング面100aの各位置における基準高さを計算することができる。そして、計算した基準高さを用い、表面測定データに記述された表面高さを修正することができる。
制約条件設定部50は、確率密度分布分離部44の演算処理に対して、制約条件を与えるために用意されている。特に、制約条件設定部50は、第1確率密度分布f(Z)の分散σについて、その正常値を示す制約範囲を設定することができる。
図3は、カバレージ測定装置10の動作の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートに沿って、カバレージを測定する手順について説明する。
先ず、ステップS12では、表面高さ測定装置20により、ショットピーニング面100aの測定が行われる。表面高さ測定装置20は、X方向及びY方向に関して所定間隔毎に、ショットピーニング面100aの表面高さZを測定していく。本実施例では、X方向及びY方向の両方向に関して、10μmピッチで測定するように設定されている。このステップS12の処理により、ショットピーニング面100aの各位置で測定された表面高さを記述する表面測定データが得られる。得られた表面測定データは、コンピュータ40に入力される。
ステップS14では、表面高さデータ修正部48によって、表面測定データが記述する表面高さの修正が行われる。ショットピーニング処理が施されたアルメンストリップ100には、多くの場合、ショットピーニング処理に起因した反りが生じる。従って、図4に示すように、ステップS12で測定された表面高さZは、アルメンストリップ100に生じた反り(図4中に破線Mで示す)が加算されることになる。そこで、表面高さデータ修正部48は、表面測定データに記述された表面高さを二次関数で近似する。この二次関数は、ショットピーニング面100aの大局的な形状を示すものであり、例えばアルメンストリップ100に生じている反りを示すものである。表面高さデータ修正部48は、近似によって得た二次関数から各位置における基準高さを計算し、表面測定データに記述された各位置における表面高さから、計算した各位置における基準高さを減算する。それにより、図5に示すように、表面測定データが記述する表面高さは、アルメンストリップ100の形状に起因する成分が除去され、ショットピーニング面100aの表面高さを正確に表わすものに修正される。
ステップS16では、確率密度分布計算部42によって、修正後の表面測定データから、表面高さの確率密度分布が計算される。図6のグラフAは、このステップS16で計算される確率密度分布を例示するものである。このグラフAが示す確率密度分布は、先に説明した図12の確率密度分布f(Z)と同じく、ショットピーニング面100a全体における表面高さの確率密度分布を示している。
ステップS18では、確率密度分布分離部44によって、ステップS16で計算された確率密度分布を、2つの確率密度分布に分離する処理が行われる。
図7に示すように、ショットピーニング面100a全体の確率密度分布(グラフA)は、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布(グラフB)と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布(グラフC)によって構成されている。従って、ショットピーニング面100a全体の確率密度分布(グラフA)を、2つの確率密度分布に分離することによって、ショット未衝突領域の第1確率密度分布と、ショット衝突領域の第2確率密度分布を抽出することができる。本実施例のように、アルメンストリップ100が鉄鋼材料の場合、第1確率密度分布と第2確率密度分布は、ガウス分布と見なすことができることが確認されている。従って、本実施例では、ショットピーニング面100a全体の確率密度分布を2つのガウス分布に分離することによって、第1確率密度分布と第2確率密度分布を抽出する。
ここで、ショットピーニング面100a全体の確率密度分布を2つのガウス分布に分離した場合、それぞれのガウス分布が第1確率密度分布と第2確率密度分布どちらであるのかを識別する必要がある。この点について、確率密度分布分離部44は、第1確率密度分布と第2確率密度分布の平均値を比較し、第1確率密度分布と第2確率密度分布の識別を行う。具体的には、平均値が小さいほうのガウス分布を第2確率密度分布と判別し、平均値が大きいほうのガウス分布を第1確率密度分布と判別する。
ショット衝突領域では、ショットの衝突による陥没等が生じている。従って、ショット衝突領域では、ショット非衝突領域と比較して、その表面高さが平均的に低くなる。確率密度分布分離部44は、この事象を利用することによって、第1確率密度分布と第2確率密度分布の識別を行っている。
なお、ショット衝突領域では、ショットの衝突によりその表面が荒れることになる。従って、ショット衝突領域では、ショット非衝突領域と比較して、その表面高さのばらつきが大きくなる。この事象を利用することによって、第1確率密度分布と第2確率密度分布の識別を行うことも可能である。即ち、第1確率密度分布と第2確率密度分布の分散を比較することによって、第1確率密度分布と第2確率密度分布の識別を行うことができる。具体的には、分散が小さいほうのガウス分布を第1確率密度分布と判別し、分散が大きいほうのガウス分布を第2確率密度分布と判別すればよい。
図8は、カバレージが略87パーセントである場合の確率密度分布を例示している。図9は、カバレージが略98パーセントである場合の確率密度分布を例示している。なお、図8、図9において、確率密度分布Aは、ショットピーニング面100a全体における表面高さの確率密度分布を示し、確率密度分布Bは、ショット非衝突領域における表面高さの確率密度分布を示し、確率密度分布Cは、ショット衝突領域における表面高さの確率密度分布を示している。
図8に示すように、カバレージが略87パーセントである場合、ショットピーニング面100a全体の確率密度分布Aには、第1確率密度分布Bに起因するピークと第2確率密度分布Cに起因するピークが比較的にはっきりと現われる。一方、図9に示すように、カバレージが略98パーセントまで高まると、ショットピーニング面100a全体の確率密度分布は、主に第2確率密度分布Cのみで構成され、第1確率密度分布Bのピークがほとんど現われなくなる。この場合、確率密度分布の分離が正しく行われず、第1確率密度分布と第2確率密度分布が誤って抽出されることも多い。
上記の問題に対し、本実施例のカバレージ測定装置10では、制約条件設定部50が用意されている。制約条件設定部50は、第1確率密度分布の分散に対し、その正常値を示す制約範囲を設定する。この設定は、例えば利用者の指示によって行われる。第1確率密度分布の分散に対して制約範囲が設定されると、確率密度分布分離部44は、抽出した第1確率密度分布について、その分散が制約範囲内にあるのか否かを確認する。そして、分散が制約範囲内にない場合は、第1確率密度分布と第2確率密度分布が正しく抽出されていないと判断し、第1確率密度分布と第2確率密度分布が抽出を再度実行する。それにより、例えばカバレージが100パーセントに近い場合、あるいは、カバレージが0パーセントに近い場合でも、第1確率密度分布と第2確率密度分布を正しく抽出することが可能となる。
次に、図3のステップS20に進むと、カバレージ計算部46が、第2確率密度分布の積算値から、ショットピーニング面100aのカバレージを特定する。第2確率密度分布の積算値(面積)は、ショットピーニング面100aのカバレージに対応する。従って、第2確率密度分布の積算値が判明すれば、ショットピーニング面100aのカバレージを求めることができる。
最後に、ステップS22では、ステップS20で計算されたカバレージが、ディスプレイ60に表示される。
図10は、本実施例のカバレージ測定装置10による測定結果(縦軸:推定カバレージ)と、従来の目視による測定結果(横軸:エリアカバレージ)を対比して示すグラフである。図10に示すように、カバレージが略50パーセントから略100パーセントに到る範囲において、カバレージ測定装置10による測定結果が、従来の目視による測定結果と正しく対応していることが確認される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記したカバレージ測定装置10では、表面高さの確率密度分布を用いて、カバレージを測定している。しかしながら、表面高さの確率密度分布に代えて、表面角度(法線方向)の確率密度分布を用いても、カバレージを正しく測定できることが確認されている。ここで、表面角度の確率密度分布を計算する場合には、ショットピーニング面100aを撮影した画像データを用いることもできる。ショットピーニング面100aを撮影した画像データでは、各画素の輝度(グレースケール値)が、ショットピーニング面100aの各位置における表面角度に対応する。従って、ショットピーニング面100aを撮影した画像データを用い、その輝度の確率密度分布を計算すれば、表面角度の確率密度分布に相当するものを得ることができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
カバレージ測定装置10を示す外観図。 カバレージ測定装置10の構成を示すブロック図。 カバレージ測定装置10の動作の流れを示すフローチャート。 修正前の表面高さを模式的に示す図。 修正後の表面高さを模式的に示す図。 ショットピーニング面全体の確率密度分布を示す図。 ショットピーニング面全体の確率密度分布に含まれる第1確率密度分布と第2の確率密度分布を示す図。 ショットピーニング面の確率密度分布を例示する図(カバレージ略87パーセント)。 ショットピーニング面の確率密度分布を例示する図(カバレージ略98パーセント)。 カバレージ測定装置10による測定結果と目視による測定結果を比較するグラフ。 ショットピーニング処理の前後における表面高さの確率密度分布を示す図。 ショットピーニング面全体の確率密度分布を、第1確率密度分布と第2確率密度分布に分離する様子を説明する図。
符号の説明
10:カバレージ測定装置
20:表面高さ測定装置
22:変位センサ
26:ステージ装置
40:コンピュータ
42:確率密度分布計算部
44:確率密度分布分離部
46:カバレージ計算部
48:表面高さデータ修正部
50:制約条件設定部
60:ディスプレイ
100:アルメンストリップ
100a:ショットピーニング面

Claims (9)

  1. ショットピーニング面のカバレージを測定する装置であり、
    ショットピーニング面の各位置で測定された表面形状に関する指標を記述する表面測定データから、その表面形状に関する指標の確率密度分布を計算する分布計算手段と、
    分布計算手段によって計算された確率密度分布を、所定の確率分布関数を用いて2つの確率密度分布に分離し、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布を抽出する分布抽出手段と、
    第1確率密度分布と第2確率密度分布の少なくとも一方の積算値を用いてカバレージを計算するカバレージ計算手段と、
    を備えるカバレージを測定する装置。
  2. 前記表面形状に関する指標は、表面高さ又は表面角度であることを特徴とする請求項1に記載のカバレージを測定する装置。
  3. 前記表面形状に関する指標は、表面高さであることを特徴とする請求項2に記載のカバレージを測定する装置。
  4. 前記表面測定データに記述された表面高さを二次関数で近似することによってショットピーニング面の各位置における基準高さを計算するとともに、計算した基準高さを用いて前記表面測定データに記述された表面高さを修正する修正手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のカバレージを測定する装置。
  5. 前記分布抽出手段は、前記所定の確率分布関数に、ガウス分布関数を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカバレージを測定する装置。
  6. 前記分布抽出手段は、抽出した第1確率密度分布の分散が所定範囲内にないときに、制約条件を追加した上で、第1確率密度分布と第2確率密度分布の抽出を再実行することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカバレージを測定する装置。
  7. 前記分布抽出手段は、分離した2つの確率密度分布の平均値又は分散に基づいて、分離した2つの確率密度分布から前記第1確率密度分布と前記第2確率密度分布を識別することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカバレージを測定する装置。
  8. ショットピーニング面のカバレージを測定する方法であり、
    ショットピーニング面の各位置で測定された表面形状に関する指標を記述する表面測定データから、その表面形状に関する指標の確率密度分布を計算する分布計算工程と、
    分布計算手段によって計算された確率密度分布を、所定の確率分布関数を用いて2つの確率密度分布に分離し、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布を抽出する分布抽出工程と、
    第1確率密度分布と第2確率密度分布の少なくとも一方の積算値からカバレージを計算するカバレージ計算工程と、
    を備えるカバレージを測定する方法。
  9. ショットピーニング面のカバレージを測定するためのプログラムであり、コンピュータに、
    ショットピーニング面の各位置で測定された表面形状に関する指標を記述する表面測定データから、その表面形状に関する指標の確率密度分布を計算する分布計算処理と、
    分布計算手段によって計算された確率密度分布を、所定の確率分布関数を用いて2つの確率密度分布に分離し、ショット未衝突領域の確率密度分布を示す第1確率密度分布と、ショット衝突領域の確率密度分布を示す第2確率密度分布を抽出する分布抽出処理と、
    第1確率密度分布と第2確率密度分布の少なくとも一方の積算値からカバレージを計算する計算処理と、
    を実行させるプログラム。
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