JP5218501B2 - 溶鋼中Al濃度の制御方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1にはAl濃度および環流量に応じて酸素流量を制御することでスラグ中FeOとMnOの生成を抑止する清浄鋼溶製方法が、特許文献2には送酸量を制御してAl濃度低減時のスラグ中T.Fe+MnO濃度を3質量%未満とする方法が開示されている。さらに、特許文献3にはAlを含有したフラックスを吹き付けることで溶鋼の清浄性を損なうことなく加熱する方法が開示されている。
加えて、さらに近年では鋼材や溶接性や機械特性の大幅な改善を図るため、鋼中Al濃度の低減が求められている。この要求に対し、低Al濃度溶鋼では清浄性が悪化しやすいことから、本発明者らは特許文献5にて酸素上吹き終了直前に制御されたAl量を添加することで清浄性を損なうことなくAl濃度を低減する方法を開示した。
要求される鋼中Al濃度が低くなれば、製品規格のAl濃度の上限と下限との幅も当然狭くなる。例えば、目標Al濃度が0.05%であれば製品Al濃度規格は0.03%以上0.07%以下と±0.02%=0.04%の幅が許容範囲となるが、Al濃度が1/10の0.005%要求であれば製品Al濃度規格は0.003%以上0.007%以下となり、許容範囲も1/10の0.004%となる。
課題を解決するための手段を検討するに当たって、溶鋼成分をC:0.001%以上0.3%以下、Si:0.01%以上0.7%以下、Mn:0.1%以上1.5%以下、Al濃度0.02%以上0.3%以下と限定した理由を説明する。
Cは特に減圧雰囲気においてC+O→CO(g)なる反応により溶鋼中酸素に影響する。C濃度が0.3%を超えて高いとこの反応による酸素濃度変化が大きくなり、AlとOとの反応を阻害する。このためAl制御精度が低下する。よって、C濃度は0.3%以下とした。一方、C濃度が0.001%未満となると溶鋼中酸素濃度が高くなり、Al濃度制御精度が低下する。よって、C濃度は0.001%以上0.3%以下とした。
Siは脱酸剤として知られているように酸素との親和力を有する。Si濃度が0.01%未満となると溶鋼中酸素濃度が高くなり、Al濃度制御精度が低下する。一方、Si濃度が0.7%を超えて高くなるとAl−Si−O系酸化物が生成し、Al酸化量が変化するためAl濃度制御精度が低下する。よって、Si濃度は0.01%以上0.7%以下とした。
MnはSiなどと併用して脱酸剤として用いられる。Mn濃度が0.1%未満では溶鋼中酸素濃度が高くなり、Al濃度制御精度が低下する。Mn濃度が1.5%を超えて高くなるとSiとともにAl−Si−Mn−O系酸化物を生成し、Al酸化量を変化させる。よって、Mn濃度は0.1%以上1.5%以下とした。
本発明はAl濃度が例えば0.007%以下といった低Al鋼を製造することを目的としているため、RH処理前Al濃度が低く、容易に低Al化できる条件は対象としない。よって、Al濃度は0.02%以上とした。一方、Al濃度が0.2%を超えて高くなると生成するアルミナ量だけで約4kg/tonとなり、RH処理中にRHで許容されるスラグ量を上回ってしまう場合がある。よって、0.2%以下とした。
さらに下記成分に調整することにより、鋼の清浄性を向上させることができる。
本発明に係る、Al濃度0.001%以上0.007%以下の領域にてAl濃度の制御精度を向上させる精錬方法は、次の成分を有する鋼材の製造方法として特に適している。なお、以下の鋼材の化学組成の説明における各元素の含有量を示す「%」はいずれも質量%である。
C濃度は、前述したように、溶鋼のAl濃度の制御精度向上のために、溶鋼中C濃度を規定したことによって定まる。
Si濃度も、前述したように、溶鋼のAl濃度の制御精度向上のために、溶鋼中Si濃度を規定したことによって定まる。
Mn濃度も、前述したように、溶鋼のAl濃度の制御精度向上のために、溶鋼中Mn濃度を規定したことによって定まる。
NiおよびCrは、鋼の機械的性質や耐食性を高める作用を有する。しかしながら、NiとCrの含有量の合計で0.01%未満の場合には効果が得られない。なお、NiおよびCrは、脱酸作用に影響しないものの酸素活量に影響を及ぼすので、両者の含有量の合計が多くなり、特に、11%を超えると、溶鋼中の酸素の含有量である酸素濃度が増加するため清浄性が悪化する。したがって、NiとCrの含有量の合計を0.01〜11%とした。
Alは、脱酸作用を有する。しかしながら、Alの含有量が0.001%未満では、その効果が得られない。一方、Alの含有量が高くなり、特に、0.007%を超えると、溶接性や靱性の低下、さらには、介在物が起点となる欠陥の発生を招くことがある。したがって、Alの含有量を0.001〜0.007%とした。なお、Alの含有量は0.004〜0.006%とすることが好ましい。
Bは、比較的強い脱酸力を有する元素であり、その含有量が高くなって、特に、0.0035%を超えると、介在物形態が変化して介在物中SiO2濃度が過度に低下する場合がある。したがって、Bの含有量を0.0035%以下とした。なお、Bの含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。
Nbは、凝固過程で炭窒化物を形成する元素である。Nbの含有量が高くなって、特に、0.1%を超えると、前記の介在物の個数が多くなり、清浄性の低下をきたすとともに、機械的性質の低下も招く場合がある。したがって、Nbの含有量を0.1%以下とした。なお、Nbの含有量は0.05%以下とすることが好ましい。一方で、Nbは結晶流微細化や析出効果の作用も有するため0.005%以上であることが望ましい。
Pは、中心偏析しやすい元素である。その含有量が高くなり、特に、0.015%を超えると、中心偏析が著しくなって、機械的性質、なかでも靱性の大きな低下を招く。したがって、Pの含有量を0.015%以下とした。なお、Pの含有量は0.01%以下とすることが好ましい。
Sは、凝固過程で硫化物を形成する元素である。Sの含有量が高くなって、特に、0.0035%を超えると、前記の介在物の個数が多くなり、清浄性の低下をきたすとともに、耐食性や機械的性質の低下を招く場合がある。したがって、Sの含有量を0.0035%以下とした。なお、Sの含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。
Caは、介在物を球状化する作用を有するので、この目的のために含有させてもよい。しかしながら、Caの含有量が多くなり、特に、0.0028%を超えると、Ca系酸硫化物が生成し、介在物個数を増加させる場合がある。
次に、酸素流量を低減すると単位時間当たりのAl濃度低下量は減少するが、この減少量にばらつきが生じる原因について、以下のように考察した。
第一は酸素ガス噴流の溶鋼表面への到達が困難になる。溶鋼処理量やRH装置規模によって異なるが、ランスノズル下端と真空槽内溶鋼表面との鉛直距離は1〜4mとされる場合が多い。酸素ガス噴流はこの距離を直進して溶鋼表面に到達しなければならないが、噴流速度が弱くなると酸素の一部が溶鋼表面に到達する前にRH真空排気系へ散逸してしまう。この結果、供給した酸素の全てが溶鋼中Alと反応できなくなるため、供給した酸素に対するAl濃度の低下量が変化する。
よって、不活性ガスを用いて酸素分圧を制御することでAl制御精度を向上させるには分圧と動圧という共存する逆の効果を発生させる二つの因子を考慮する必要がある。
C,Si,Mn濃度を前述の範囲とし、溶鋼中Al濃度を0.02〜0.04%としてAl脱酸した溶鋼1.5tonを1873Kに加熱した後、溶解雰囲気を4kPaに減じた。その後、上吹きランスを介して酸素ガスを25Nl/minで溶鋼表面に吹き付けた。上吹きした酸素量と上吹き前Al濃度とから物質収支によって推算されたAl濃度が0.005%となった時点で上吹きを停止し、溶鋼からサンプルを採取して溶鋼中Al濃度を定量した。
(1)質量%で、C:0.001%以上0.3%以下、Si:0.01%以上0.7%以下、Mn:0.1%以上1.5%以下、Al:0.02%以上0.2%以下の溶鋼をRHで真空処理するに際し、真空槽内溶鋼表面に酸素ガスを上吹きすることで溶鋼中Al濃度を低減する処理において、溶鋼中Al質量%が0.015%未満の状態で上吹き酸素ガス中に不活性ガスを混合することを特徴とする溶鋼中Al質量%が0.001%以上0.007%以下における溶鋼中Al濃度の制御方法。
また、本発明後にAl濃度の調整を実施すると本発明によるAl制御効果が抑制される場合があるため、本発明後にAl添加によるAl濃度調整を行わないことが望ましい。
迅速分析装置もしくは固体電解質溶鋼中酸素活量センサを用いて酸素ガス上吹き前のAl濃度を測定する。溶鋼加熱が必要な場合は目標温度との差を測定し、必要加熱量に応じたAlを溶鋼に添加する。予め溶鋼に含まれていたAlおよび必要に応じて添加した溶鋼加熱用Alの合計濃度と目標とするAl濃度との差から上吹きする酸素量を決定する。ここで、本発明では酸素上吹きの途中から不活性ガスを混合するが、供給酸素量とAl低下量および温度上昇量との関係は不活性ガスを混合したことにより影響を受けない。したがって、この関係は従来技術に基づく実績から決定される関係をそのまま使用すればよい。
さらに、次に記載する「高い清浄性を有する低Al含有鋼」の製造にも適している。低Al含有鋼では、本願発明者らが特許文献5において記載したように、一般に清浄度が低くなり易いという問題があった。その問題は、特許文献5に記載した方法によっても解決可能であるが、本発明の方法によっても解決することができる。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.001%以上0.3%以下、Si:0.01%以上0.7%以下、Mn:0.1%以上1.5%以下、Al:0.02%以上0.2%以下の溶鋼をRHで真空処理するに際し、真空槽内溶鋼表面に酸素ガスを上吹きすることで溶鋼中Al濃度を低減する処理において、溶鋼中Al質量%が0.015%未満の状態で上吹き酸素ガス中に不活性ガスを混合することを特徴とする溶鋼中Al質量%が0.001%以上0.007%以下における溶鋼中Al濃度の制御方法。
- 前記上吹き酸素ガス中に前記不活性ガスを混合することにより、前記上吹き酸素ガスの流量および前記不活性ガスの流量の総和に対する前記上吹き酸素ガスの流量の比率である上吹き混合ガス中酸素モル比を0.75以上0.85以下に調整する請求項1記載の溶鋼中Al濃度の制御方法。
- 請求項1または請求項2記載の溶鋼中Al制御方法により製造されることを特徴とする、鋼が質量%で、C:0.001〜0.3%、Si:0.01〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、NiとCrの合計:0.01〜11%、B:0.0035%以下、Nb:0.1%以下、P:0.015%以下、S:0.0035%以下、Al:0.001%以上0.007%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有する低Al濃度鋼の製造方法。
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