以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、前記1〜9に各々記載されている、前記一般式(1)〜(5)で表される特定構造を有する化合物を用いて増感した光電変換材料用半導体により、本発明に記載の効果、すなわち、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体を得ることに成功した。
《光電変換材料用半導体》
本発明の光電変換材料用半導体に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
本発明の光電変換材料用半導体に係る半導体の具体例としては、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti3N4等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbSであり、更に好ましく用いられるのは、TiO2またはNb2O5であるが、中でも、好ましく用いられるのはTiO2である。
本発明の光電変換材料用半導体に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti3N4)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
上記の光電変換材料用半導体を前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物により増感処理することにより、本発明に記載の目的のひとつである、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す、本発明の光電変換材料用半導体を得ることが出来る。
先ず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、R1〜R4は各々独立に置換基を表し、Z1〜Z4は5又は6員の芳香族環又は複素環を表し、a〜dは各々0又は1〜4の整数を表す。a′〜d′が2以上の場合は隣接する置換基同士で結合し5又は6員の環構造を形成しても良い。Aはアルキル基、アリール基、複素環基又は−SiRaRbRcを表し、Ra〜Rcは各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシロキシ基を表す。
一般式(1)において、R1〜R4は各々独立に置換基を表し、置換可能な基であれば特に制限はないが置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、および活性メチン基等を含み、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基など)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(例えばフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、ナフチル基など)、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、又はイソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基又はその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,又はヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,又はヘテロ環)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基又はその塩、リン酸アミド又はリン酸エステル構造を含む基、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、およびt−ブチルジメチルシリルオキシ)、およびシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、又はフェニルジメチルシリル)等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
R1〜R4として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、より好ましくは水素原子、クロル原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基である。
一般式(1)においてZ1〜Z4は5又は6員の芳香族基又は複素環を表し、例えばベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環などが挙げられるが好ましくはベンゼン環又はナフタレン環である。
一般式(1)においてa〜dは各々0又は1〜4の整数であり、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。a〜dが2以上の場合は隣接する置換基同士で5又は6員の環を形成してもよい。形成される環としては例えばベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環などが挙げられるが好ましくはベンゼン環である。
一般式(1)においてAで表されるアルキル基、アリール基は上記R1〜R4で説明した通りであり、更に詳しく説明するとアルキル基は炭素数1〜24が好ましく、1〜18が更に好ましい。溶剤に対する溶解性を向上させるには分岐アルキル基の方が好ましい。アリール基及び複素環は置換、無置換のいずれでも良いが、置換基を有していることが好ましい。−SiRaRbRcにおけるRa〜Rcは好ましくはアルキル基、アリール基又はシロキシ基であり、更に好ましくはアルキル基である。該アルキル基における炭素数としては1〜8が挙げられるが好ましくは1〜3である。Aは好ましくはアルキル基、アリール基、又は−SiRaRbRcであり、更に好ましくはアリール基、又は−SiRaRbRcである。
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
本発明においては、前記一般式(1)で表される化合物(色素)が前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(2)において、R1′〜R4′は各々独立に置換基を表し、a′〜d′は各々0又は1〜4の整数を表す。a′〜d′が2以上の場合は隣接する置換基同士で結合し5又は6員の環構造を形成しても良い。A′はアルキル基、アリール基、複素環基又は−SiRa′Rb′Rc′を表し、Ra′〜Rc′は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はシロキシ基を表す。
一般式(2)においてR1′〜R4′は一般式(1)におけるR1〜R4と同義であり、好ましい基としても同様のものが挙げられる。
一般式(2)におけるa′〜d′は各々0又は1〜4の整数を表し、a′〜d′が2以上の場合は隣接する置換基同士で結合し5又は6員の環構造を形成しても良いが、好ましくはベンゼン環である。
一般式(2)におけるA′は一般式(1)におけるAと同義であり、好ましい範囲も同様である。
次に本発明係る前記一般式(1)又は(2)で表される化合物と併用することが好ましい前記一般式(3)〜(5)で表される化合物について以下に説明する。
先ず、一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)において、R31、R32は各々水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、R33〜R38は各々、水素原子、置換基を表し、R31又はR32とR33又はR36の間で或いはR33とR34、R35とR36の間で結合して縮合環を形成してもよく、R39は、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R30は置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよい複素環基またはアシル基である。X1は酸素原子又はNR51を表し、NR51の場合はR30と結合して環構造を形成しても良く、R51は水素原子又は置換基を表し、分子内に−COOM基を少なくとも1つ含有し、Mは水素原子又は塩形成性陽イオンを表す。
前記一般式(3)において、R31又はR32で表されるアリール基は例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(3)において、R31又はR32で表される複素環基は、従来公知の各種の複素環から誘導された基であることができる。また、この複素環に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等であることができ、その環中に含まれるヘテロ原子の数は1つ又は、複数(2〜5)である。環中に2つ以上のヘテロ原子が含まれる場合、そのヘテロ原子は同一又は異なっていてもよい。さらに、複素環には、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環等の炭素数6〜12の炭素環や、環構成元素の数が5〜12の他の複素環(例えば、ジュロリジン環など)が縮合してもよい。前記複素環の具体例としては、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、セレナゾール、ベンゾセレナゾール、インドール、フェニルキサンテン、チオフェン、フラン、イミダゾール等が挙げられる。
前記一般式(3)において、R33〜R39で表される置換基としては置換可能であれば特に制限はないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、ビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、ビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アルキルスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
前記一般式(3)において、Mで表される塩形成性陽イオンとしてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属イオンと形成した塩であってもよいし、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基がプロトン化されたカチオンとで形成した塩であってもよい。
R31及びR32として好ましくはアルキル基、アリール基等が挙げられるが更に好ましくはアルキル基であり、R31とR32、R31とR36又はR32とR33とで互いに結合し5又は6員の環状構造(例えばピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ジュロリジン環等)を形成することも好ましい。
R33及びR36として好ましくは水素原子又はアルキル基等が挙げられるが上記の如くR31とR36又はR32とR33とで互いに結合し5又は6員の環状構造を形成することも好ましい。
R34及びR35として好ましくは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基等が挙げられるが、更に好ましくは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基である。
R37、R38及びR39として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられるが更に好ましくは水素原子、アルキル基であり、R37とR38で互いに結合し5又は6員の環状構造(例えばチオフェン環、フラン環、シクロヘキセン環、ピラン環等)を形成することも好ましい。
R30及びR39として好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基等であり、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、カルボキシル基である。
Mとして好ましくは水素原子又はナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等であり、更に好ましくは水素原子又はナトリウムイオンである。
次に、一般式(4)で表される化合物について説明する。
一般式(4)において、R41及びR42は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、R43〜R46は水素原子又は置換基を表し、R41及びR42は互いに結合し環状構造を形成しても良く、R43又はR44と結合し環状構造を形成しても良く、R47〜R49は水素原子又は置換基を表し、lは0又は1から4の整数であり、lが1以上の場合は各々異なっていても良くお互いに結合し環状構造を形成しても良く、R40及びR50は置換基を表し、Xは酸素原子又はNR51を表し、R51は水素原子又は置換基を表し、NR51の場合にはR51はR50と結合して環構造を形成しても良く、好ましい環構造としては後述する一般式(4−2−1)〜(4−2−4)が挙げられる。一般式(4)で表される化合物は分子内に−COOM基を少なくとも1つ含有し、Mは水素原子又は塩形成性陽イオンを表す。
前記一般式(4)は、好ましくは下記一般式(4−1)、(4−2)又は(4−3)で表される。
一般式(4−1)において、R41及びR42は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、R43〜R46は水素原子又は置換基を表し、R41及びR42は互いに結合し環状構造を形成しても良く、R44又はR45と結合し環状構造を形成しても良く、形成される環構造としては脂肪族環、芳香族環のいずれでもよく、炭化水素環であっても複素環であってもよい。R47〜R49は水素原子又は置換基を表し、lは0から4の整数であり、lが1以上の場合は各々異なっていても良くお互いに結合し環状構造を形成しても良く、後述する置換基によって置換されていてもよいし、さらに別の環構造と縮合していてもよい。また、nが1以上の場合は繰り返し単位となるR47及びR48は各々異なっていても良く、隣り合う繰り返し単位のR47又はR48との間で環を形成しても良い。R40及びR50は置換基を表し、分子内に−COOM基を少なくとも1つ含有し、Mは水素原子又は塩形成性陽イオンを表す。
前記一般式(4−1)において、R41又はR42で表されるアリール基は例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(4−1)において、R41又はR42で表される複素環基は、従来公知の各種の複素環から誘導された基であることができる。また、この複素環に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等であることができ、その環中に含まれるヘテロ原子の数は1つ又は、複数(2〜5)である。環中に2つ以上のヘテロ原子が含まれる場合、そのヘテロ原子は同一又は異なっていてもよい。さらに、複素環には、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環等の炭素数6〜12の炭素環や、環構成元素の数が5〜12の他の複素環(例えば、ジュロリジン環など)が縮合してもよい。前記複素環の具体例としては、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、セレナゾール、ベンゾセレナゾール、インドール、フェニルキサンテン、チオフェン、フラン、イミダゾール等が挙げられる。
前記一般式(4−1)において、R43〜R49で表される置換基としては置換可能であれば特に制限はないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、ビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、ビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アルキルスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
前記一般式(4−1)において、Mで表される塩形成性陽イオンとしてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属イオンと形成した塩であってもよいし、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基がプロトン化されたカチオンとで形成した塩であってもよい。
R41及びR42として好ましくはアルキル基、アリール基等が挙げられるが更に好ましくはアルキル基であり、R41とR42、R41とR44又はR42とR43とで互いに結合し5又は6員の環状構造(例えばピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ジュロリジン環等)を形成することも好ましい。
R43及びR44として好ましくは水素原子又はアルキル基等が挙げられるが上記の如くR41とR44又はR42とR43とで互いに結合し5又は6員の環状構造を形成することも好ましい。
R45及びR46として好ましくは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基等が挙げられるが、更に好ましくは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基である。
R47、R48及びR49として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられるが更に好ましくは水素原子、アルキル基であり、R47とR48、又はnが1以上の場合は任意のR47、R48又はR49で互いに結合し5又は6員の環状構造(例えばチオフェン環、フラン環、シクロヘキセン環、ピラン環等)を形成することも好ましい。
R40及びR50として好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基等であり、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、カルボキシル基である。
Mとして好ましくは水素原子又はナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等であり、更に好ましくは水素原子又はナトリウムイオンである。
一般式(4−2)において、R41及びR42は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、R42〜R46は水素原子又は置換基を表し、R41及びR42は互いに結合し環状構造を形成しても良く、R43又はR44と結合し環状構造を形成しても良く、R47〜R49は水素原子又は置換基を表し、lは0から4の整数であり、lが1以上の場合は各々異なっていても良くお互いに結合し環状構造を形成しても良く、R40は置換基を表し、B1又はB2は各々独立して−CR53=又は−N=を表し、R53は水素原子又は置換基を表し、分子内に−COOM基を少なくとも1つ含有し、Mは水素原子又は塩形成性陽イオンを表す。
ここで言うR1〜R9、l及びMは一般式(4−1)と同義である。
一般式(4−2)においてR40で表される置換基についても一般式(4−1)と同義である。
一般式(4−2)において、B1及びB2が−CR53=の場合、R53で表される置換基は一般式(4−1)におけるR40と同義である。
更に詳しく説明すると、一般式(4−2)で示される化合物はB1及びB2の違いで以下に示す下記一般式(4−2−1)〜(4−2−4)の4種の縮合環の部分構造を取る事が可能である(この場合*印でメチン鎖と結合する)。
これらの構造においてR40及びR53の置換基は前述の通り一般式(4−1)で説明したものと同義であり、一般式(4−2−3)の場合、複数のR53は各々独立して同一又は異なる置換基であっても良い。
また、好ましい基についても一般式(4−1)と同義である。
B1及びB2として好ましくはB1が−CR53=の場合であり、R53として好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等であり、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、カルボキシル基である。更に好ましくはB1が−CR53=でB2が−N=の、下記一般式(4−3)で表される場合である。
一般式(4−3)において、R41及びR42は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、R42〜R46は水素原子又は置換基を表し、R41及びR42は互いに結合し環状構造を形成しても良く、R43又はR44と結合し環状構造を形成しても良く、R47〜R49は水素原子又は置換基を表し、lは0から4の整数であり、lが1以上の場合は各々異なっていても良くお互いに結合し環状構造を形成しても良く、R40は置換基を表し、R53は水素原子又は置換基を表し、分子内に−COOM基を少なくとも1つ含有し、Mは水素原子又は塩形成性陽イオンを表す。
ここで言うR1〜R9、l及びMは一般式(4−1)と同義である。
一般式(4−3)において、R40で表される置換基については一般式(4−1)と同義である。
一般式(4−3)において、R53で表される置換基は一般式(4−2)と同義である。
また、好ましい基についても一般式(4−1)及び(4−2)と同義である。
R53として好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等であり、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、カルボキシル基である。
次に、前記一般式(5)で表される化合物について説明する。
式中、R21は水素原子又は電子吸引性基を表し、X21〜X26は各々独立に酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を表し、R22及びR23は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R24又はR26は水素原子、−COOM基を表し、少なくとも1つは−COOM基を表し、Mは水素原子又は塩形成性陽イオンを表す。R22又はR23は各々独立に水素原子又は置換基を表し、L21およびL22は各々独立に2価の連結基を表す。R25は置換又は無置換アルキル基を表す。nは1〜4の整数を表し、mは0又は1を表す。
上記一般式(5)において、R21は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基(トリフルオロメチル基等)、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基である。
R25は、炭素数1〜8の直鎖及び分岐のアルキル基が好ましく、炭素数2〜4の直鎖及び分岐のアルキル基(例えばエチル基、I−プロピル基、n−ブチル基など)が更に好ましい。
また、X21、X22、X23、X24、X25及びX26は、好ましくはX21、X22、X24及びX26がそれぞれ硫黄原子又はセレン原子であり、更に好ましくは硫黄原子である。X23及びX25は酸素原子であることが好ましい。R22及びR23は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換アルキル基である。L21及びL22は、特に好ましくはメチレン基、エチレン基である。
以下に本発明に係る前記一般式(1)又は(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されない。尚、フタロシアニン環のベンゼン環上の置換基の置換位置については例えば、1置換の場合置換位置で異性体が複数存在するが、例示化合物にはそのうちの1種を記載するが異性体についても本発明に含まれる。
本発明に係る化合物の製造方法としては、上述のクロロシリコンフタロシアニン化合物と水酸基含有化合物とを、有機塩基の存在下に反応させることにより、対応するシリコンフタロシアニン化合物を高収率で製造することができる。
一般式(1)又は(2)で表される化合物は従来公知の合成法を用いて合成することができる。
下記に一般的合成ルートを示す。
通常はジイミノインドリン誘導体とテトラクロロシランをキノリン溶媒中で180〜200℃程度で反応させることにより軸配位子がクロル原子の中間体(A)を合成し、更に、塩基性条件下で軸配位子が水酸基である中間体(B)を経た後、目的物を合成すること、又は中間体(A)を水素化ナトリウムを用い、水酸基含有化合物を反応させることで合成でき、例えば特開昭58−105962公報、同61−157560号、同63−5093号(トリアルキルシロキシシリコンナフタロシアニン:OH体から合成)、特開平2−663号、同3−265664号、同4−54185号などを参考にして合成することができる。
以下に具体的に合成法の一例を示すが、その他の化合物も同様にして合成することが可能であり、合成法としては、これらに限定されない。
《合成例1》
《例示化合物I−1の合成》
100mlの4頭フラスコに中間体1:5.00g、トルエン:50ml、トリメチルシラノール:1.62g及びDBU:2.99gを加え加熱還流させ(内温:110℃)7時間反応させた。反応終了後に減圧にて溶媒を留去し、メタノール:50mlを加え、30分攪拌し、濾過、メタノールで洗浄し例示化合物I−1:5.51gを得た(収率:93.7%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
《合成例2》
《例示化合物I−2の合成》
300mlの4頭フラスコにトリメチルシラノール:2.33g、トルエン:250mlを加え、発泡に注意しながら窒素雰囲気下で水素化ナトリウム(NaH):1.10gを少量ずつ添加した。次に中間体2:5.46g、を加え加熱還流させ(内温:110℃)7時間反応させた。反応終了後、冷却下で水:2mlを添加した。次に加熱して水を留去した後に80度で不要物を熱濾過した。そのまま冷却して析出した結晶を濾過、水、メタノールの順で洗浄し例示化合物I−2:5.07gを得た(収率:80.0%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
《合成例3》
《例示化合物I−3の合成》
300mlの4頭フラスコに中間体1:5.00g、アンモニア水:150ml、ピリジン:50mlを加え加熱還流させ(内温:83℃)6時間反応させた。反応終了後、そのまま冷却して析出した結晶を濾過、水、メタノールの順で洗浄し中間体3:4.60gを得た(収率:98.0%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
300mlの4頭フラスコに中間体3:4.60g、トルエン:140ml、トリエチルクロロシラン:2.65g、トリブチルアミン:7.42gを加え加熱還流させ(内温:110℃)7時間反応させた。反応終了後、80度で不溶物を熱濾過した後冷却してメタノール:140ml中に注ぎ、析出した結晶を濾過、水、メタノールの順で洗浄し例示化合物I−3:5.48gを得た(収率:85.2%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
《合成例4》
《例示化合物I−9の合成》
合成例1において、トリメチルシラノールを1−デカノール:3.35gに変更した以外は同様に反応、処理を行ったところ、例示化合物I−9:6.85gを得た(収率:91.9%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
次に、前記一般式(3)〜(5)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明は、これらによって限定されることはない。
《光電変換材料用半導体の増感処理》
本発明の光電変換材料用半導体は、前記一般式(1)又は(2)で表されるいずれか1種の化合物を含むことにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、該化合物を含むとは、半導体表面への吸着、半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記化合物が入りこむ等の種々の態様が挙げられる。
また、半導体層(半導体でもよい)1m2あたりの前記一般式(1)〜(5)で表される各々の化合物の総含有量は0.01ミリモル〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは、0.1ミリモル〜50ミリモルであり、特に好ましくは、0.5ミリモル〜20ミリモルである。
本発明に係る前記一般式(1)又は(2)で表されるいずれか1種の化合物を用いて増感処理を行う場合、前記化合物を単独で用いてもよいし、複数を併用することも、本発明に係る前記一般式(1)又は(2)で表されるいずれか1種の化合物と他の化合物(例えば米国特許第4,684,537号明細書、同第4,927,721号明細書、同第5,084,365号明細書、同第5,350,644号明細書、同第5,463,057号明細書、同第5,525,440号明細書等の各明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)とを混合して用いることもできる。特に好ましくは、前記一般式(1)又は(2)と、それよりも吸収極大波長が短波である色素を少なくとも1種含有することが好ましく、吸収極大波長が短波である色素としては、前記一般式(3)〜(5)で表される色素を混合することが好ましい。又、更に別の化合物を混合しても良い。
特に、本発明の光電変換材料用半導体の用途が、後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
半導体に、前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)で表される化合物を含ませるには、前記化合物を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
前記一般式(1)又は(2)で表されるいずれか1種の化合物を複数種類併用したり、その他の増感色素化合物とを併用した光電変換材料用半導体を作製する際には、各々の化合物の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの化合物について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記化合物や増感色素等を含ませる順序がどのようであっても本発明に記載の効果を得ることができる。また、前記化合物を単独で吸着させた半導体微粒子を混合する等により作製してもよい。
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。吸着処理に用いる化合物を溶解した溶液は、それを常温で用いてもよいし、該化合物が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。また、後述する光電変換素子の製造のように、半導体微粒子の塗布後(感光層の形成後)に、前記化合物の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と本発明の前記化合物とを同時に塗布することにより、前記化合物の吸着を実施してもよい。また、未吸着の化合物は洗浄によって除去することが出来る。
また、本発明の光電変換材料用半導体の増感処理については、半導体に、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含有させることにより増感処理が行われるが、増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
また、空隙率の高い半導体薄膜を有する光電変換材料用半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気などにより水が半導体薄膜上、並びに半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、前記化合物や増感色素化合物等の吸着処理(光電変換材料用半導体の増感処理)を完了することが好ましい。
本発明の光電変換材料用半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でも、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
上記の有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明の光電変換材料用半導体を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
また、本発明に係る前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)で表される化合物と更に併用して用いる色素としては、本発明に係る半導体を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、更なる色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
そのような色素の中としては、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が好ましく用いられる。
金属錯体色素の中では、特開2001−223037号、同2001−226607号、米国特許第4,927,721号、同第4,684,537号、同第5,084,365号、同第5,350,644号、同第5,463,057号、同第5,525,440号、特開平7−249750号、特表平10−504512号、世界特許989/50393号等に記載のルテニウム錯体色素が好ましく用いられる。
ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素としては、特開2001−223037号に記載の色素が好ましい色素としてあげられる。
ポリメチン系色素としては、従来公知のメチン系色素、特開平11−35836号公報、同11−158395号公報、同11−163378号公報、同11−214730号公報、同11−214731号公報、同10−093118号公報、同11−273754号公報、特開2000−106224号公報、同2000−357809号公報、同2001−052766号公報、欧州特許第892,411号、同911,841号等に記載のものが挙げられる。
《光電変換材料用半導体の作製方法》
本発明の光電変換材料用半導体の作製方法について説明する。
本発明の光電変換材料用半導体の一態様としては、導電性支持体上に上記の光電変換材料用半導体を焼成により形成する等の方法が挙げられる。
本発明の光電変換材料用半導体が焼成により作製される場合には、上記の化合物や増感色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質への入り込み等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に、素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
本発明の光電変換材料用半導体が粒子状の場合には、光電変換材料用半導体を
導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、半導体電極を作製するのがよい。また、本発明の光電変換材料用半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、光電変換材料用半導体を導電性支持体上に貼合して半導体電極を作製することが好ましい。
以下、本発明の光電変換材料用半導体の作製工程を具体的に述べる。
《半導体微粉末含有塗布液の調製》
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末は、その1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は、1nm〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2nm〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては、半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は、0.1質量%〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1質量%〜30質量%である。
《半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理》
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の基板上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力や、微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、前記半導体微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜となるため好ましく行われる。
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、本発明に係る半導体薄膜の空隙率は、10体積%以下が好ましく、更に好ましくは、8体積%以下であり、特に好ましくは、0.01体積%〜5体積%以下である。尚、半導体薄膜の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することが出来る。
多孔質構造を有する焼成物膜になった、半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100nm〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、更に好ましくは、200℃〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300℃〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や、焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
《半導体の増感処理》
半導体の増感処理は、上記のように、色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
《溶媒》
前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、且つ、半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分および気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、あらかじめ脱気および蒸留精製しておくことが好ましい。
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
《増感処理の温度、時間》
半導体を焼成した基板を、前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記化合物が深く進入して吸着等を充分に進行させ、半導体を十分に増感させ、且つ、溶液中のでの前記化合物の分解等により生成して分解物が化合物の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では、3時間〜48時間が好ましく、更に好ましくは、4時間〜24時間である。この効果は、特に、半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については、25℃条件での値であり、温度条件を変化させて場合には、上記の限りではない。
浸漬しておくにあたり前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を含む溶液は、前記化合物が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10℃〜100℃であり、更に好ましくは25℃〜80℃であるが、前記のとおり溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
《光電変換素子》
本発明の光電変換素子について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の構造の一例を示す部分断面図である。
1は導電性支持体、2は感光層、3は電荷移動層、4は対向電極を表す。尚、導電性支持体1と感光層2をあわせて半導体電極ともいう。
ここで、感光層2は本発明の光電変換材料用半導体を有する層であり、電荷移動層3は通常、レドックス電解質が含有し、導電性支持体1、感光層2、対向電極4に接触した形態で用いられる。
《光電変換素子の製造方法》
図1を用いながら、光電変換素子の製造方法を説明する。
本発明の光電変換素子は、図1に示すような導電性支持体1上に、上記記載のようにプラズマ処理装置を用いて半導体薄膜を形成した後に、本発明に係る前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を吸着させるという工程を経て製造される。
また、半導体薄膜の表面積を増大させたり、半導体薄膜表面の不純物などを除去して、半導体の純度を高め、前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物から半導体への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。また、同様の効果を得るために色素吸着後にカルボン酸類(酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、安息香酸等)を半導体表面へ吸着させてもよい。
導電性支持体1上に形成した半導体膜には上記記載の前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を吸着させ、半導体膜を増感させて感光層2を形成する。増感処理方法は先に説明したとおり、前記化合物を適切な溶媒に溶解し、導電性支持体1上に形成された半導体膜をその溶液に浸漬することによって行われる。その際には半導体膜は、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)又は(2)で表されるいずれか1種の化合物が半導体膜内部深くに進入できるようにしておくことが好ましい。
本発明に係る半導体に、前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を吸着させる際には、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。さらに、従来公知の増感色素化合物(例えば、米国特許第4,684,537号、同第4,927,721号、同第5,084,365号、同第5,350,644号、同第5,463,057号、同第5,525,440号、特開平7−249790号、特開2000−150007号等に記載の化合物)とを混合して吸着させてもよい。
特に、半導体の用途が太陽電池である場合、光電変換の波長域を広くして太陽光を可能な限り有効に利用できるように、二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
上記記載の前記一般式(1)又は(2)及び(3)〜(5)の化合物を複数種類併用して増感した光電変換材料用半導体は、併用する前記化合物を混合して調製した溶液に浸漬させて作製してもよいし、各々の化合物について溶液を調製し、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。
各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記化合物や従来公知の増感色素を吸着させる順番がどのような順番であっても本発明の効果を得ることができる。
吸着処理は、前記化合物が溶解した溶液を常温で用いてもよいし、また、前記化合物に影響を与えない範囲の温度まで溶液を加熱して行っても良い。更に、吸着処理時に未吸着となった色素については溶媒等の洗浄処理により除去することが好ましい。
導電性支持体1上に形成した半導体膜に色素を吸着させて感光層2を形成したら、該感光層2と向かい合うようにして対向電極4を配置する。さらに、半導体電極と対向電極4の間に電荷移動層であるレドックス電解質を注入して光電変換素子とする。
《太陽電池》
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池は、図1に示すような、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに、回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、光電変換材料用半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記半導体電極、電荷移動層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、光電変換材料用半導体に吸着された本発明の化合物は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体1を経由して対向電極4に移動して、電荷移動層3のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明の化合物は酸化体となっているが、対向電極4から電荷移動層3のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層3のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極4から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
《導電性支持体》
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3mm〜5mmが好ましい。
また導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体1を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
《電荷移動層》
本発明に用いられる電荷移動層について説明する。
電荷移動層にはレドックス電解質が好ましく用いられる。ここで、レドックス電解質としては、I-/I3-系や、Br-/Br3-系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I-/I3-系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電荷移動層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電荷移動層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427記載の電解質が、ゲル電解質の例としては『表面科学』21巻、第5号288ページ〜293ページに記載の電解質が挙げられる。
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
対向電極は、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3−イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。