以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。第1の実施の形態は、プレカット加工機に関するものである。図1に示す様に、このプレカット加工機1は、クロスカット加工ユニット2と、上下角のみ加工ユニット3と、上下間柱欠き加工ユニット4と、求心バイス5,5,…とを備えた木材の上下面加工機である。このプレカット加工機1の上流の投入側には投入コンベア6が、下流の取り出し側には取出しコンベア7が設置されている。各コンベア6,7は、フレーム6a,7aの間に、所定間隔でローラ6b,7bを配置したローラコンベアである。このローラコンベア6,7には、求心補助装置10が備えられている。
求心補助装置10は、投入コンベア6及び取出しコンベア7の適所(加工材の長さ方向の適所)に装備された、ホイールコンベア式の求心補助装置である。図2,図3に示す様に、このホイールコンベア式の求心補助装置10は、投入コンベア6及び取出しコンベア7のフレーム6a,7aに対して、次の様な構成によって取り付けられている。
フレーム6a−6a,7a−7a間に掛け渡す様に、台11が取り付けられる。この台11には、エアーシリンダ12が立設されている。また、エアーシリンダ12のロッドにホイールコンベアフレーム13が取り付けられている。そして、このホイールコンベアフレーム13に、ホイール14が、加工材Wの幅方向に自由に回転できる様に取り付けられている。
次に、この求心補助装置10の動作を説明する。
エアーシリンダ12のロッドは、通常は引っ込んでいて、ホイールコンベア14の上面はローラ6b(7b)の上面より下がった位置にあり、加工材の移送を妨げないようになっている(図2の状態)。
加工機1の求心バイス5のクランプ動作と同時に、エアーシリンダ12のロッドが突出方向に移動され、ホイール14の上面はローラ6b(7b)の上面より上がる(図3の状態になる)。すると、ホイール14によって加工材Wはローラ6b(7b)上から僅かに浮き上がる。加工材Wの下面はホイール14に支えられるので加工材Wの幅方向の移動が容易になり、求心バイス5の動作によって、求心方向への移動(材幅方向の寄せ)ができる。
その後、求心バイス5のクランプは維持したままとし、次に上クランプ装置(図示なし)を下降させて上クランプを開始するときに、同時にエアーシリンダ12のロッドを引っ込める。これにより、ホイール14は元の位置(図2の状態)に戻り、僅かに浮き上がっていた加工材Wは上クランプ力と自重によってローラ6b(7b)上に戻る。
求心バイス5による求心クランプと、上クランプ装置による上クランプとが完了した後、加工機1による加工工程に入り、クロスカット加工ユニット2を駆動して、加工材Wの先端部の切断を実行する。
次に、第2の実施の形態について、図4,図5を参照しつつ説明する。第2の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態と同様であるが、ホイールコンベア式求心補助装置10に換えて、V形プレート式の求心補助装置20を装備したものである。
V形プレート式の求心補助装置20は、投入コンベア6及び取出しコンベア7のフレーム6a−6a,7a−7a間に掛け渡す様に取り付けられた台21と、この台21に立設されたエアーシリンダ22と、このエアーシリンダ22のロッドに取り付けられたV形プレート23とから構成されている。
次に、この求心補助装置20の動作を説明する。
第1の実施の形態と同様に、通常は、エアーシリンダ22のロッドは引っ込んだ状態にあり、V形プレート23の上端はローラ6b(7b)の上面より下がった位置にあり、加工材の移送を妨げないようになっている(図4の状態)。
加工機1の求心バイス5のクランプ動作と同時に、エアーシリンダ22のロッドが突出方向に移動され(図5の状態)、V形プレート23の斜面が加工材Wのどちらかの下角に接触して加工材Wを押し上げる。
加工材Wは、V形プレート23の斜面によって押し上げられるときに、反対側の斜面に向かって近付く方向に寄せられ、求心位置へと移動される。その後、求心バイス5のクランプを維持したままで上クランプ装置(図示なし)による上クランプを開始し、同時にエアーシリンダ22のロッドを引っ込める。
この結果、V形プレート23は元の位置(図4の状態)に戻り、僅かに浮き上がっていた加工材Wは上クランプ力と自重によってローラ6b(7b)上に戻る。以下、加工機1による加工工程が開始され、まず、クロスカット加工ユニット2による先端部の切断が実行される。
次に、第3の実施の形態について、図6,図7を参照しつつ説明する。第3の実施の形態も、基本的な構成は第1の実施の形態と同様であるが、ホイールコンベア式求心補助装置10に換えて、蟹はさみ式の求心補助装置30を装備したものである。
この蟹はさみ式の求心補助装置30は、投入コンベア6及び取出しコンベア7のフレーム6a−6a,7a−7a間に掛け渡す様に取り付けられたベース31と、このベース31を貫通する様に取り付けられたエアーシリンダ32と、ベース31の下面から下方に伸びる様に取り付けた昇降ガイド33と、エアシリンダ32のロッドの下端に連結され、昇降ガイド33にガイドされたガイドシャフト34と、ガイドシャフト34の先端に取り付けられ、連結リンク36を回転可能に受ける受け35と、エアーシリンダ32のロッドの出入りをリンク37に伝える連結リンク36と、リンク37〜40とから構成されている。これらリンク37〜40は、4節回転機構(平行リンク機構)を構成していて、向かい合って対になっている。
リンク37は、エアーシリンダ32のロッドの出入りを、連結リンク36を介して伝え、4節回転機構を駆動する。リンク38は、ベース31に固定されている。リンク39は、リンク37と平行なリンクである。リンク40は、リンク38と平行なリンクで蟹はさみ爪41を備えている。
次に、この求心補助装置30の動作を説明する。
第3の実施の形態では、エアーシリンダ32のロッドは通常出ていて(図6の状態)、蟹はさみ爪41が開くことにより、加工材の移送を妨げないようになっている。
加工機1の求心バイス5によるクランプ動作が実行されると同時に、エアーシリンダ32のロッドが引っ込んで(図7の状態)、リンク37〜40によって構成される4節回転機構により、蟹はさみ爪41は閉じる方向に動作する。
この結果、加工材Wは蟹はさみ爪41によって中心位置(求心位置)に寄せられる。その後、求心バイス5のクランプは維持したままで上クランプ装置(図示なし)による上クランプを開始し、同時にエアーシリンダ32のロッドを出す。これにより、蟹はさみ爪41は元の位置(図6の状態)に戻る。
以下、加工機1による加工工程が開始され、まず、クロスカット加工ユニット2による先端部の切断が実行される。
次に、横架材加工用のプレカット加工設備について本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態のプレカット加工設備100は、図8に示す様に、加工機200,300,400と、加工前の木材を貯留しておく加工前材貯留部500と、加工済みの木材を貯留しておく加工済み材貯留部600と、加工前材貯留部500から加工済み材貯留部600まで、各加工機200,300,400の加工位置を通って木材を搬送する搬送ライン700とから構成されている。
このプレカット加工設備100は、各種加工機として、木材の先端及び後端の端切り及び上下面に加工を行うための切断・上下面加工機200と、木材の側面に加工を行うための側面加工機300と、木材の木口部分に対して継手・仕口の加工を行うための木口加工機400とを備えている。また、加工前材貯留部500及び加工済み材貯留部600は、それぞれ載置された木材を横移動させるチェーンスラッシャ510,610,620によって構成されている。搬送ライン700は、木材を軸方向移動させるローラコンベア710〜770と、チェーンスラッシャ780,790とを備えている。本実施の形態のプレカット加工設備100は、CAD/CAMデータに基づいて各加工機200,300,400の駆動制御及び木材の搬入・搬出を自動的に実行しつつ木材のプレカット加工を実行する様に構成されている。なお、各加工機200,300,400の近傍に設けられた短いローラコンベア711,731,751は、いずれも下方へ倒すことができる様になっており、各加工機200,300,400の近傍に、必要に応じて作業者の移動通路を確保可能な構成とされている。
ここで、ローラコンベア760とローラコンベア770との間には、木材を横移動させるための多数の桟765が配置されている。この桟765の上面と、各ローラコンベア760,770のローラ及び桟側の側面枠の上面とは、ほぼ同一高さとされている。これは、ローラコンベア760からローラコンベア770へと木材を持ち上げることなく、桟765の上面を滑らせて、木材をスムーズに横移動させるためである。
また、ローラコンベア770と加工済み材貯留部600を構成するチェーンスラッシャ610との間には、通常時はローラコンベア770のローラ上面より下方に沈んだ状態にあり、木口加工機400による加工の終了後に上昇してローラコンベア770上の木材を持ち上げ、それ自身の傾斜を利用してチェーンスラッシャ610へと木材を受け渡すための傾斜式ローラ移送装置767が備えられている。これに対応して、チェーンスラッシャ610は、その横に配置されるチェーンスラッシャ620よりも下側に木材を取り込む配置となっている。なお、最終段のチェーンスラッシャ610,620は、工場配置等によっては、ホイールコンベアとする場合もある。
加えて、ローラコンベア770とチェーンスラッシャ620との間には、それ自身が回転することによって、ローラコンベア770上の木材をすくい上げ、上下を反転させた状態でチェーンスラッシャ620へと受け渡す上下反転受け渡し装置769が備えられている。
また、最初に木材を投入する位置に配置されているチェーンスラッシャ510は、移送方向の途中で部分的に重複して配置される2組の搬送用チェーン群511,512によって構成されている。同じく、チェーンスラッシャ780,790も、2組の搬送用チェーン群781,782,791,792によって構成されている。これは、横移送開始側の搬送用チェーン群511,781,791による木材の横移送速度を、横移送終了側の搬送用チェーン群512,782,792による木材の横移送速度よりも遅くすることにより、ローラコンベア710,730,750の側面枠にそれぞれ配置されているストッパ712,732,752に対して、多数の木材が重なって押し付けられない様にするためである。これにより、チェーンスラッシャ510,780,790からローラコンベア710,730,750へと木材を載せ代えるために設けられている木材載せ代え装置713,733,753による木材の載せ代え動作をスムーズに実行させることができる。
なお、各木材載せ代え装置713,733,753は、チェーンスラッシャ510,780,790の上面より所定量沈んだ位置からストッパ712,732,752の上面を乗り越える高さまで伸縮可能なエアシリンダと、このエアシリンダを横方向に伸びるガイド714,734,754に沿って移動させる横移動機構とによって構成されている。また、この横移動機構の駆動には、モータの回転を往復運動に変換するクランク機構を使用し、載せ代え開始から載せ代え完了までの横移動速度の変化が、最初は徐々に加速し、途中で最高速度に達した後で徐々に減速させ、移動開始時及び停止時の加速度による木材の横倒れを防止する工夫がなされている。
さらに、ローラコンベア720,740,760には、コンベア上の木材を下流のチェーンスラッシャ780,790やローラコンベア770へと押し出すためのプッシャプレート721,741,761が備えられている。これらのプッシャプレート721,741,761は、各1対のエアシリンダ722,742,762によって駆動される様に構成されている。なお、各ローラコンベア720,740,760のプッシャプレート721,741,761と反対側の側面枠は、プッシャプレート721,741,761による木材の押し出しを妨げない様に、ローラ上面と同一高さ又は若干低めに構成されている。
切断・上下面加工機200は、図9に示す様に、その主要な構成として、木材を求心クランプするためのNo.1〜No.5求心バイス211〜215と、木材の端切りを行うための切断ユニット230と、木材の上下面に対してほぞ穴やボルト穴を加工するための上下一対の角のみユニット250と、木材の上下面に対して間柱欠き、垂木欠き、隅木欠き及び谷木欠きを加工するための上下一対のカッターユニット270とを備えている。
また、この切断・上下面加工機200における上下面加工位置を規定するための位置決めユニット800が、ローラコンベア720の側方に配置されるガイドレール801に沿って移動可能に配置されている。なお、符号216,217で示されているのは、切断ユニット230に対して搬入される木材の先端を検出してローラコンベア710を停止させるための先端検出用の光センサユニットである。
側面加工機300は、図10に示す様に、その主要な構成として、その前後に配置される短いローラコンベア311,312と、木材を求心クランプするためのNo.1,No.2求心バイス321,322と、これら求心バイス321,322の間の位置において、対面する様に配置される一対の側面加工ユニット331,332とを備えている。各側面加工ユニット331,332には、上下方向に並ばせて複数の側面加工用工具が装着される様になっている。
また、この側面加工機300における側面加工位置を規定するための位置決めユニット900が、ローラコンベア740の側方に配置されるガイドレール901に沿って移動可能に配置されている。この位置決めユニット900は、切断・上下面加工機200における加工位置を規定するための位置決めユニット800と同一のものである。
木口加工機400は、図11に示す様に、その主要な構成として、上流のローラコンベア750側に配置される第1の固定コンベア411と、この第1の固定コンベア411の延長上において、反対側のローラコンベア760の直前に配置される第2の固定コンベア412と、この第2の固定コンベア412と同じ側において、ローラコンベア770の延長線上に配置される第3の固定コンベア413と、第1,第2の固定コンベア411,412の間を連絡する連絡位置と図中一点鎖線で示した前方の退避位置との間をZ軸方向へ移動可能に配置される中間コンベア414と、木材の木口にスリット加工を行うスリットカッタ421とボルト穴加工を行うボーリングユニット422を備える木口加工ユニット420と、第1の固定コンベア411の近傍に出没自在に配置され、ローラコンベア750上を搬送されて来る木材の先端位置を規定するためのNo.1ストッパ431と、このNo.1ストッパ431によって先端位置を規定された木材を求心クランプするNo.1求心バイス441と、第3の固定コンベア413の近傍に出没自在に配置され、ローラコンベア770上を搬送されて来る木材の先端位置を規定するためのNo.2ストッパ432と、このNo.2ストッパ432によって先端位置を規定された木材を求心クランプするNo.2求心バイス442と、第2の固定コンベア412に併設されている印字装置451とを備えている。
この木口加工機400は、木口加工ユニット420をX方向及びZ方向(図8参照)に移動させると共にスリットカッタ421及びボーリングユニット422をY方向(上下方向)に移動させつつ、No.1求心バイス441でクランプされた木材の木口及びNo.2求心バイス442でクランプされた木材の木口に対して必要な加工を行うものである。
そして、特に、No.1求心バイス441でクランプされた木材の木口を加工したら、中間コンベア414を図示の実線の位置に移動させると共に木口加工ユニット420を図示の様に機械の後方に移動させ、一方の木口の加工を終了した木材を下流のローラコンベア760上へと移送し、次の木材をNo.1ストッパ431及びNo.1求心バイス441で位置決めし、No.1ストッパ431及び中間コンベア414を退避位置へ移動させると共に、木口加工ユニット420を前進させて次の木材の木口加工を行い、この間に、先に下流側のローラコンベア760上へと移送しておいた木材をプッシャプレート761によってローラコンベア770上へと移し代え、木口加工機400側に移送してNo.2ストッパ432により先端合わせを行うと共にNo.2求心バイス442でクランプしておく。この結果、2本目の木材のNo.1求心バイス441によるクランプ位置での木口加工が完了したら、直ちに1本目の木材のNo.2求心バイス442によるクランプ位置での木口加工へと移行することができ、この間に中間コンベア414を再び連絡位置へ移動させて2本目の木材をローラコンベア760上へと移送しておくことにより、効率良く、木材の両端木口の加工を実行できる様にしたものである。
次に、本実施の形態のプレカット加工設備100における搬送ライン700の構造的な特徴を説明する。
図9に示す様に、切断・上下面加工機200の上流側に位置するローラコンベア710及び下流側に位置するローラコンベア720には、第1の実施の形態において説明したのと同様のホイールコンベア式の求心補助装置1010,1020が備えられている。上流側のローラコンベア710に設置される求心補助装置1010は、切断・上下面加工機200のNo.1求心バイス211から3m上流側の位置に設置される。また、下流側のローラコンベア720に設置される求心補助装置1020は、切断・上下面加工機200のNo.5求心バイス215から3m下流側の位置に設置される。
また、図10に示す様に、側面加工機300の上流側に位置するローラコンベア730及び下流側に位置するローラコンベア740にも、第1の実施の形態において説明したのと同様のホイールコンベア式の求心補助装置1030,1040が備えられている。上流側のローラコンベア730に設置される求心補助装置1030は、側面加工機300のNo.1求心バイス311から3m上流側の位置に設置される。また、下流側のローラコンベア740に設置される求心補助装置1040は、側面加工機300のNo.2求心バイス312から3m下流側の位置に設置される。
さらに、図11に示す様に、木口加工機400の上流側に位置するローラコンベア750及び下流側に位置するローラコンベア770にも、第1の実施の形態において説明したのと同様のホイールコンベア式の求心補助装置1050,1070が備えられている。上流側のローラコンベア750に設置される求心補助装置1050は、木口加工機400のNo.1求心バイス441から3m上流側の位置に設置される。また、下流側のローラコンベア770に設置される求心補助装置1070は、木口加工機400のNo.2求心バイス442から3m下流側の位置に設置される。
なお、求心補助装置1010,1020,1030,1040,1050,1070の構造の詳細は、第1の実施の形態と同じである。
次に、このプレカット加工設備100の制御部が、求心補助装置1010,1020,1030,1040,1050,1070を駆動制御するための制御処理について、図12〜図19のフローチャートを参照しながら説明する。
図12、図13は、切断・上下面加工機200用の加工制御装置による求心補助装置1010,1020に対する制御処理の内容を示している。この制御処理は、切断・上下面加工機200の光センサユニット216,217が木材の先端を検出すると開始される。
処理が開始すると、まず、ローラコンベア710の送り動作を停止する(S10)。続いて、CAD/CAMデータに基づいて、加工対象の木材が全長3m以上の構造材であるか否かを判定する(S20)。全長3m以上のときは(S20:YES)、No.1求心バイス211を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S30)、求心補助装置1010のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S40)。これによって、求心補助装置1010のフリーホイールがローラコンベア710のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げる。これによって、木材に対する求心方向への力に抗する抵抗が、ローラ面に対する滑り摩擦から、ホイールに対する転がり摩擦に変わる。この結果、No.1求心バイス211による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
なお、このエアシリンダの突出動作による木材の持ち上がり量は、木材の重量によって変化する。本実施の形態では、エアシリンダを用いているので、シリンダ内の空気圧と木材の重量のバランスする状態で持ち上げ動作が終了する。従って、ここでいう「持ち上げる」とは、ローラに対する木材の圧力を低下させる場合も含まれる。この木材の圧力が減ることにより、ローラに対する滑り摩擦力が減少して、幅方向への移動が容易になるのである。
こうしてNo.1求心バイス211の求心クランプ動作が完了すると(S50:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S60)、求心補助装置1010のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S70)。これによって、求心補助装置1010のホイールがローラ面よりも下に下がった待機位置へと復帰し、ローラ面から僅かに浮き上がっていた木材は上クランプ装置による押圧力と自重とによってローラコンベア710のローラに密着した状態に戻る。
一方、全長3m未満の構造材であるときは(S20:NO)、No.1求心バイス211を駆動して木材の求心クランプを開始し(S35)、No.1求心バイス211の求心クランプ動作が完了すると(S55:YES)、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始する動作となり(S65)、求心補助装置1010は駆動しない。
こうしてNo.1求心バイス211による求心クランプと、上クランプ装置による上クランプとが完了した後、加工機200による端切り工程に入り、切断ユニット230を駆動して(S80)、木材の先端部の切断を実行する。そして、切断ユニット230による端切り動作が完了したら(S90:YES)、位置決めユニット800を上流側に移動させて端切りされた木材の先端面に当接させた後(S100)、No.1求心バイス211及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御する(S110)。そして、ローラコンベア710に木材送り動作を再開させると共に、さらに、位置決めユニット800を移動制御して、木材の先端をCAD/CAMデータに基づいて上下面加工を行うための加工部位を、上下面加工のための加工ユニット250,270による加工位置に位置させる(S120)。
そして、位置決めユニット800、ローラコンベア710をCAD/CAMデータに基づいて駆動制御して角のみユニット250及びカッターユニット270による加工位置に加工部位を位置させて必要な上下面加工を実行する(S160)。
この上下面加工の際の求心クランプは、位置決めユニット800の位置決めロッド802の先端位置と、CAD/CAMデータとして与えられる材長さとから、No.1〜No.5求心バイス211〜215の内で、木材の全長の範囲に位置するものを駆動することによって実行する。そして、No.5求心バイス215のみが木材の全長範囲に位置する状態になったときは(S170:YES)、加工対象の木材が全長3m以上の構造材であるか否かを判定し(S180)、全長3m以上のときは(S180:YES)、No.5求心バイス215による求心クランプを開始すると共に(S190)、下流側の求心補助装置1020のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させることによって(S200)、木材をローラコンベア720のローラ面から僅かに持ち上げて幅寄せを補助する。これによって、カッタユニット270で木材の後端近くに間柱欠き等を加工する際の求心状態も精度よく保つことができる。
なお、この場合も、No.5求心バイス215の求心クランプ動作が完了すると(S210:YES)、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S220)、求心補助装置1010の2アーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S230)。これによって、求心補助装置1020のホイールがローラ面よりも下に下がった待機位置へと復帰し、ローラ面から僅かに浮き上がっていた木材は上クランプ装置による押圧力と自重とによってローラコンベア720のローラに密着した状態に戻る。
一方、L1が3m未満の構造材であるときは(S180:NO)、No.5求心バイス215を駆動して木材の求心クランプを開始し(S195)、No.5求心バイス215の求心クランプ動作が完了すると(S215:YES)、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始する動作となり(S225)、求心補助装置1020は駆動しない。これは、材が短くてセンタリングが十分に実行できるからである。
以上の制御を当該木材に対する上下面加工として実行している間に、構造材の後端位置がクロスカット加工ユニットによる切断位置になったか否かを判定し(S240)、当該条件を満たしていたら(S240:YES)、位置決めユニット800を移動制御して、木材の後端を切断位置に停止させ(S250)、No.1〜No.5求心バイス211〜215及び上クランプ装置による求心クランプ動作を実行する(S260)。なお、このクランプ動作において駆動される求心バイスは、CAD/CAMデータによって与えられる構造材の全長との関係で決定され、常に全ての求心バイスが駆動される訳ではない。具体的には、位置決めユニット800の位置決めロッド802の先端よりも上流側に位置する求心バイスだけが駆動される。
こうして、複数の求心バイスによって木材が求心クランプされると、再び切断ユニット230を駆動して、木材をCAD/CAMデータに基づく材長さに切断する(S270)。こうして木材の長さ切断が完了したら、求心バイス211等及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御すると共に(S280)、中間部の残りの上下面加工を実行し、全ての加工が終了したら(S245:YES)、位置決めユニット800、ローラコンベア710及び上送りローラをCAD/CAMデータに基づいて駆動制御して木材を、切断・上下面加工ユニット200から排出する。
図14、図15は、側面加工機300用の加工制御装置による求心補助装置1030,1040に対する制御処理の内容を示している。
この処理では、まず、CAD/CAMデータに基づいて、位置決めユニット900のロッド902の先端を、木材の加工部位が側面加工ユニット331,332による加工位置に位置する様にセットする(300)。そして、木材が位置決めロッド902に当接した後に(S305:YES)、ローラコンベア730の送り動作を停止する(S310)。
続いて、CAD/CAMデータに基づいて、No.1求心バイス321から加工対象の木材の後端までの長さL2が3m以上の構造材であるか否かを判定する(S320)。長さL2が3m以上のときは(S320:YES)、No.1求心バイス321を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S330)、求心補助装置1030のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S340)。これによって、求心補助装置1030のフリーホイールがローラコンベア730のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.1求心バイス321による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
こうしてNo.1求心バイス321の求心クランプ動作が完了すると(S350:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S360)、求心補助装置1030のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S370)。
一方、上記長さL2が3m未満であるときは(S320:NO)、位置決めユニット900の位置決めロッド902の先端位置が下流側の求心補助装置1040よりも下流に位置するか否かを判定する(S400)。この判定は、木材の先端からNo.2求心バイス322までの長さが3m以上か否かの判定としてもよい。そして、下流側に位置すると判定されたときは(S400:YES)、No.2求心バイス322を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S410)、下流側の求心補助装置1040のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S420)。これによって、求心補助装置1040のフリーホイールがローラコンベア740のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.2求心バイス322による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
こうしてNo.2求心バイス322の求心クランプ動作が完了すると(S430:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S440)、求心補助装置1030のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S450)。
これに対し、加工部位から木材の後端までの長さが3m未満であり(S320:NO)、かつ、位置決めロッド902の先端位置が下流側の求心補助装置1040よりも下流に位置しないと判定されたときは(S400:NO)、No.1,No.2求心バイス321,322の内で木材の全長範囲に位置するものを駆動して木材の求心クランプを開始し(S460)、求心クランプ動作が完了すると(S470:YES)、上クランプ装置の下降を開始する動作となり(S480)、求心補助装置1030,1040はいずれも駆動しない。
こうして求心クランプと上クランプとが完了した後、加工機300による側面加工工程に入り、側面加工ユニット331,332を駆動して(S500)、木材の側面加工を実行する。1箇所の加工部位についての側面加工が完了したら(S510:YES)、求心バイス及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御し(S520)、次の加工部位の有無を判定する(S530)。次の加工部位があるときは(S530:YES)、S300へ戻る。
図16〜図19は、木口加工機400用の加工制御装置による求心補助装置1050,1060に対する制御処理の内容を示している。
この処理では、No.1ストッパ431をセットする(S600)。そして、ストッパ431に当接した後に(S605:YES)、ローラコンベア750の送り動作を停止する(S610)。
続いて、CAD/CAMデータに基づいて、加工対象の木材が3m以上の構造材であるか否かを判定する(S620)。3m以上のときは(S620:YES)、No.1求心バイス441を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S630)、求心補助装置1050のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S640)。これによって、求心補助装置1050のフリーホイールがローラコンベア750のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.1求心バイス441による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
こうしてNo.1求心バイス441の求心クランプ動作が完了すると(S650:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S660)、求心補助装置1050のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S670)。
一方、全長が3m未満であるときは(S620:NO)、No.1求心バイス441を駆動して木材の求心クランプを開始し(S635)、求心クランプ動作が完了すると(S655:YES)、上クランプ装置の下降を開始する動作となり(S665)、求心補助装置1050は駆動しない。
こうして求心クランプと上クランプとが完了した後、加工機400による木口加工工程に入り、No.1ストッパ431を退避位置へと戻すと共に(S680)、木口加工ユニット420を駆動制御して、スリットカッタ421によるスリット加工、ボーリングユニット422による孔開け加工の内、CAD/CAMデータによって与えられた加工を実行する(S700)。木材の後端に対する木口加工が完了したら(S710:YES)、No.1求心バイス431及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御すると共に(S720)、加工ユニット420を退避位置へと後退させ(S730)、中間コンベア414を搬送位置へ移動する(S740)。なお、中間コンベア414は、S700で木口加工を実行しているときは退避位置に移動している。
こうして中間コンベア414が搬送位置に移動したら、ローラコンベア750,760を駆動して(S750)、木材を加工機400を通過して反対側のローラコンベア750へと排出する。この動作と同時に、次に加工すべき木材をローラコンベア750へ取り込むための動作を木材載せ代え装置753に実行させ(S760)、No.1ストッパ431をセット位置へと移動する(S770)。
そして、ストッパ431に次の加工材が当接したら(S780:YES)、当該木材が加工開始後3本目以降か否かを判定する(S790)。3本目未満のときは(S790:YES)、プッシャプレート761のエアシリンダ762を駆動してローラコンベア760からローラコンベア770へと木材を横移動させ(S800)、No.2ストッパ432をセットすると共に(S810)、ローラコンベア770を加工機400へ向かって木材を送り込む方向に駆動する(S820)。
そして、木材がNo.2ストッパ432に当接したら(S825:YES)、ローラコンベア770の送り動作を停止する(S830)。続いて、CAD/CAMデータに基づいて、加工対象の木材が3m以上の構造材であるか否かを判定する(S840)。3m以上のときは(S840:YES)、No.2求心バイス442を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S850)、求心補助装置1060のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S860)。これによって、求心補助装置1060のフリーホイールがローラコンベア770のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.2求心バイス442による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
こうしてNo.2求心バイス442の求心クランプ動作が完了すると(S870:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S880)、求心補助装置1070のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S890)。
一方、全長が3m未満であるときは(S840:NO)、No.2求心バイス442を駆動して木材の求心クランプを開始し(S855)、求心クランプ動作が完了すると(S875:YES)、上クランプ装置の下降を開始する動作となり(S885)、求心補助装置1060は駆動しない。
以上の様にして木材の先端を加工位置にセットする動作と並行して、中間コンベア414を退避位置へ移動すると共に(S900)、S610へ戻る。
一方、3本目以降のときは(S790:YES)、木口加工ユニット420による木材の先端を加工する工程に入り、No.2ストッパ432を退避位置へと戻すと共に(S910)、木口加工ユニット420を駆動制御して、スリットカッタ421によるスリット加工、ボーリングユニット422による孔開け加工の内、CAD/CAMデータによって与えられた加工を実行する(S920)。木材の先端に対する木口加工が完了したら(S930:YES)、No.2求心バイス432及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御すると共に(S940)、ローラコンベア770を木材搬出方向に駆動し(S950)、木材の長さに応じて、傾斜ローラコンベア467又は上下反転受け渡し装置769のいずれかを駆動して木材を加工済み材貯留部600へと排出する動作を実行し(S960)、1棟分の加工が完了していない場合は(S970:YES)、S770へと戻る。
以上の様にして、木口加工機400における加工制御では、住宅1棟分としてn本の木材が加工される場合、「1本目の木材の後端の加工」→「2本目の木材の後端の加工」→「1本目の木材の先端の加工」→「3本目の木材の後端の加工」→「2本目の木材の先端の加工」→・・・→「n−1本目の木材の先端の加工」→「n本目の木材の後端の加工」→「n本目の木材の先端の加工」という順番で、効率よく木口加工が実行される。そして、この間の求心クランプ時に、木材の全長が長くて重いために幅寄せし難いときは求心補助装置1050,1060が動作して求心クランプ動作を補助する。なお、ローラコンベア760へ排出される際に、印字装置451による印字が実行され、各木材には、必要な情報が印字される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
例えば、金物工法用のプレカット加工設備に限らず、在来軸組工法用のプレカット加工設備についても本発明を適用できる。また、柱材、横架材、羽柄材等、各種の建築構造材を対象とすることができる。