JP5209349B2 - NdFeB焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高い保磁力を有するNdFeB焼結磁石の製造方法に関する。
NdFeB焼結磁石は、ハイブリッドカーのモータ用磁石等として今後ますます需要が拡大することが予想されている。自動車用モータでは重量の更なる軽減が望まれており、そのために、NdFeB焼結磁石の保磁力HcJを一段と大きくすることが要望されている。NdFeB焼結磁石の保磁力HcJを高める方法の一つに、Ndの一部をDy及び/又はTbで置換する方法が知られている。しかし、この方法には、DyやTbの資源が世界的に乏しくかつ偏在していること、及び残留磁束密度Brや最大エネルギー積(BH)maxを低下させること、という問題がある。
特許文献1には、NdFeB焼結磁石の表面を加工した際に生じる保磁力の低下を防ぐために、NdFeB焼結磁石の表面にNd、Pr、Dy、Ho、Tbのうち少なくとも1種類を被着させることが記載されている。また、特許文献2には、NdFeB焼結磁石の表面にTb、Dy、Al、Gaのうち少なくとも1種類を拡散させることにより、高温時に生じる不可逆減磁を抑制することが記載されている。
また、最近、粒界拡散法と呼ばれる方法で、磁石の残留磁束密度Brをほとんど低下させることなく保磁力HcJを大きくできることが見出された(非特許文献1〜3)。粒界拡散法の原理は次の通りである。
スパッタリングによりNdFeB焼結磁石の表面にDy及び/又はTbを付着させ、700〜1000℃で加熱すると、磁石表面のDy及び/又はTbは焼結体の粒界を通じて焼結体内部に入り込んでゆく。NdFeB焼結磁石中の粒界には希土類に富んだNdリッチ相と呼ばれる粒界相が存在している。このNdリッチ相は融点が磁石粒子よりも低く上記加熱温度で溶融している。そのため、上記Dy及び/又はTbは粒界の液体に溶け込み、焼結体表面から焼結体内部に拡散していく。物質の拡散は固体中よりも液体中のほうがずっと速いので、上記Dy及び/又はTb粒界から粒内に拡散していくよりも、溶融している粒界を通じて焼結体内部に拡散していく速度のほうがはるかに大きい。この拡散速度の差を利用して、熱処理温度と時間を適切な値に設定することにより、焼結体全体にわたって、焼結体中の主相粒子の粒界にごく近い領域(表面領域)においてのみDy及び/又はTbの濃度が高い状態を実現することができる。Dy及び/又はTbの濃度が高くなると磁石の残留磁束密度Brが低下するが、そのような領域は各主相粒子の表面領域だけであるため、主相粒子全体としては残留磁束密度Brは殆ど低下しない。こうして、保磁力HcJが大きく、残留磁束密度BrはDyやTbで置換しないNdFeB焼結磁石とあまり変らない高性能磁石が製造できる。
粒界拡散法によるNdFeB焼結磁石の工業的製造方法として、Dy及び/又はTbのフッ化物や酸化物の粉体層をNdFeB焼結磁石の基材(以下、「磁石基材」とする)の表面に形成して加熱する方法(特許文献3)や、Dy及び/又はTbのフッ化物の粉末と水素化Caの粉末の混合粉末の中に磁石基材を埋めこんで加熱する方法がすでに発表されている(非特許文献4、5)。
さらに最近、Dy及び/又はTbとその他の金属との合金粉末をNdFeB焼結磁石体表面に堆積させた後に熱処理を行うこと(特許文献4)や、Dy及び/又はTbのフッ化物粉末とAl、Cu、Znから選ばれる1種類以上の粉末との混合粉末を堆積させた後に熱処理を行うこと(特許文献5)により高保磁力化を実現する方法が見出された。
特開昭62-074048号公報 特開平01-117303号公報 国際公開W02006/043348A1号パンフレット 特開2007-287875公報 特開2007-287874公報 K. T. Park他、「Nd-Fe-B薄膜焼結磁石の保磁力への金属被覆と加熱の効果」、第16回希土類磁石とその応用に関する国際会議会議録、社団法人日本金属学会発表、2000年、第257-264頁(K. T. Park et al., "Effect of Metal-Coating and Consecutive Heat Treatment on Coercivity of Thin Nd-Fe-B Sintered Magnets", Proceeding of the Sixteenth International Workshop on Rare-Earth Magnets and their Applications (2000), pp. 257-264.) 石垣尚幸 他、「ネオジム系微小焼結磁石の表面改質と特性向上」、NEOMAX技報、株式会社NEOMAX発行、2005年、第15巻、第15-19頁 町田憲一 他、「Nd-Fe-B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性」、粉体粉末冶金協会平成16年春季大会講演概要集、粉体粉末冶金協会発行、1-47A 廣田晃一 他、「粒界拡散法によるNd-Fe-B系焼結磁石の高保磁力化」、粉体粉末冶金協会平成17年春季大会講演概要集、粉体粉末冶金協会発行、第143頁 町田憲一 他、「粒界改質型Nd-Fe-B系焼結磁石の磁気特性」、粉体粉末冶金協会平成17年春季大会講演概要集、粉体粉末冶金協会発行、第144頁
上記従来技術には次のような問題があった。
(1) 特許文献1及び2に記載の方法は保磁力向上の効果が低い。
(2) スパッタリング法やイオンプレーティング法により磁石表面にDyやTbを含む成分を付着させる方法(非特許文献1〜3)は、処理費が高額になるため実用的ではない。
(3) DyF3やDy2O3あるいはTbF3やTb2O3の粉末を磁石基材の表面に塗布する方法(特許文献3)は、DyやTbを含む成分を付着させる方法としては処理費が安価である点で有利であり、特にDyF3やTbF3を使用する方法は粒界拡散法による保磁力向上効果が顕著であるので、工業的に価値のある技術として期待されている。しかし、この方法が適用できるのは、磁石基材の厚さが3mm以下の場合に限られている。そのため、この方法は、高保磁力が必要な比較的大型のモータや発電機に使用される厚い磁石を製造することができない、という大きな問題を有する。
特許文献4及び5並びに非特許文献4には厚さが3mm以上の磁石基材を用いた実施例(実験結果)が記載されている。しかし、これらの実施例においても、厚さが3mm以上になると、磁石基材の厚さが増加するほど保磁力HcJの値が低下することが示されている。例えば非特許文献4では、DyやTbを含まない磁石基材に対してTb粉末による粒界拡散法を施すことにより、磁石基材の厚さが3mmのとき、保磁力が1.2Tであることが示されている。一般にDyよりも粒界拡散処理による効果が高いTbを使用しても保磁力が1.2Tしか得られないという事実は、粒界拡散法において単にフッ化物粉末を使用しただけでは保磁力向上効果に限界があることを示している。なお、非特許文献5には3mm以上の厚さを有する磁石基材に対する実験結果は記載されていない。
非特許文献5には5mm角立方体のNdFeB焼結体試料についての実験結果が記載されているが、このような立方体試料はモータ用磁石としては磁極面積が小さすぎる。モータ用磁石は平板状やかわら状などの板状の形状を有し磁極の一辺の長さが厚さよりも3倍以上大きいのが普通である。立方体試料は、磁極面以外の各側面からのDy及び/又はTbの拡散量が磁極面からの拡散量とほぼ同じあるため、立方体試料についての実験結果は普通のモータ用板状磁石に対しては適用できない。例えばDy及び/又はTbが表面から1mm拡散できるとすると、一辺5mmの立方体では全体の80%の体積にDy及び/又はTbが拡散したことになるが、十分に大きい磁極面を持つ板状の試料では40%にしかならない。従って、一辺5mmの立方体試料についての実験結果は、厚さが2.5mmの板状試料についての実験結果と等価であるということができる。また非特許文献5では粒界拡散後の磁石についての磁化曲線の角型性に関する記述がない。磁化曲線の角型性が高いことは高性能モータ用磁石として必須の要件である。したがって、この非特許文献5に示された磁石が一般のモータ用磁石として、さらに、3mm以上の厚さに対して適用可能かどうかは示されていないといえる。
本願発明者は、NdFeB焼結磁石をモータや発電機に応用する際には、保磁力HcJが充分に高いことのみならず、上記文献では十分に検討されていない磁化曲線の角型性を高めることが極めて重要である、と考える。以下、磁化曲線の角型性の重要性について説明する。
モータや発電機では、磁石は200℃程度の高温にさらされることが多い。このような高温条件下では、磁化曲線の角型性が低いと不可逆減磁が生じる。そのため、たとえ保磁力が高くとも、磁化曲線の角型性が低ければ、そのような磁石はハイブリッドカーなど高度技術製品には使用することができない。上記文献で示されたDyF3やTbF3の粉末を使用する粒界拡散法では、磁石基材の厚さが3mmを越えると、粒界拡散の効果を最大限に発揮することができず、その結果、保磁力が高く且つ磁化曲線の角型性が充分に高いNdFeB焼結磁石を作製することができなかった。
ここで磁化曲線の角型性の定義を説明する。磁化曲線で磁化が残留磁化の値から10%低下したときの磁界の絶対値をHK値とし、磁化が0になる磁界の絶対値である保磁力HcJでHK値を除した値HK/HcJをSQ値とする。本願では、このSQ値を磁化曲線の角型性の指標とする。ここで角型性が高いとは、実施例に示すパルス磁化測定器で測定したときのSQ値が85%以上、好ましくは90%以上であることを意味する。
ところで、粒界拡散処理が行われたNdFeB磁石の保磁力や磁化曲線の角型性などの特性は、磁石基材の表面に付着させた(DyやTbを含む)物質(以下、「付着物」とする)の組成に依存するのに加えて、磁石基材の組成にも依存する。これらの組成においてとりわけDyやTbの量が特性に大きく影響する。これまでの公知文献では、磁石基材と付着物を様々に組み合わせたもの同士で特性の比較が行われているため、粒界拡散の効果について優劣を比較することが容易ではなかった。そのため、本願発明者は、粒界拡散の効果を適切に比較するために、以下のように単純且つ特性向上のためには厳しい条件で比較を行う必要があると考えた。
条件(1): 磁石基材にはDy、Tbのいずれも含まないものを用いる。
条件(2) :付着物にはDyを含むものを用い、Tbを含むものは用いない。
条件(1)は、磁石基材にDyやTbが含まれていると、そのこと自体で磁石の特性が向上するため、その影響を排除することを目的としている。条件(2)は、一般に磁石特性向上の効果はTbよりもDyの方が小さいため、より条件の厳しいDyを用いて比較を行うことにより粒界拡散の効果を浮き彫りにすることを目的としている。また、TbはDyよりはるかに希少な物質であり工業的に使用することはますます困難になってきているため、(2)の限定は実用時の条件に即しているといえる。これら(1)(2)の条件下で所定以上の高い特性を得ることができる方法が見出されれば、その方法を用いて(1)(2)以外の条件(磁石基材がDy及び/又はTbを含む場合、付着物がTbを含む場合)下でも所定以上の高い特性を持つNdFeB焼結磁石を得ることができる。
この観点から上記文献に記載の事項を整理すると、従来の粒界拡散法では、上記(1)(2)の条件下において(i)3mm以上の厚さを有し、(ii)1.4MA/m以上の保磁力で、(iii)85%以上の磁化曲線の角型性を持つNdFeB焼結磁石を製造することはできなかった。
本発明が解決しようとする課題は、上記(1)(2)の厳しい条件下においても、保磁力及び磁化曲線の角型性が高く、3mm以上という厚い磁石にも適用することができるNdFeB焼結磁石を製造する方法を提供することである。なお、本発明で提供される方法は、上記(1)(2)以外の条件の場合でも、従来の方法よりも特性を向上させることができる。そのため、上記(1)(2)の条件は本発明の範囲を限定するものではない。
上記課題を解決するために成された本発明に係るNdFeB焼結磁石の製造方法は、NdFeB焼結磁石基材の表面にDy及び/又はTbを含む層を形成した後に前記磁石基材の焼結温度以下の温度に加熱することにより、前記層中のDy及び/又はTbを前記磁石基材の結晶粒界を通じて前記磁石基材内部に拡散させる粒界拡散処理を行う方法において、
a) 前記磁石基材中に含まれる金属状態の希土類の量が12.9原子%以上であり、
b) 前記層が50質量%以上のDyのフッ化物及び/又はTbのフッ化物、及び30質量%以下のAlを含有する、
ことを特徴とする。
本発明において「金属状態の希土類」は、NdFeB焼結磁石の中で金属の状態で存在している物質を構成している希土類を意味する。ここで金属とは、純金属、合金、及び母相であるNd2Fe14B相を含む金属間化合物を指す。希土類の酸化物、フッ化物、炭化物、窒化物などのイオン性あるいは共有結合性を持つ化合物は、「金属状態の希土類」には含まれない。
まず、a)の技術的意義を説明する。
NdFeB磁石の主相はNd2Fe14B化合物であり、化学量論組成即ちNd:Fe:B=2:14:1の組成では、希土類が占める原子比は2/17=11.76原子%である。NdFeB焼結磁石には、主相以外に、化学量論組成の場合よりもNdの量が多いNdリッチ相と、Bの量が多いBリッチ相が存在する。本願発明者は、NdFeB焼結磁石の粒界拡散法が有効に働くためには、十分な量のNdリッチ相が結晶粒界に存在することが必要であることを見出した。その理由は、磁石基材表面に形成された層からDyやTbが粒界を通じて磁石基材の内部に送りこまれる際に、DyやTbの拡散の速度を上げて基材深部への拡散を促進するために、溶融したNdリッチ相による太い通路を粒界に形成し、DyやTbを基材深部に速く拡散させることにある。その結果、従来のDyのフッ化物粉末による粒界拡散法では不可能であった、厚い基材に対して高角型性を維持しつつ高保磁力化することが、本発明により可能になる。本願発明者は実験により、基材の厚さが3mmを越えるときには、磁石基材が上述の化学量論量である11.76原子%よりも1.14原子%過剰な12.9原子%以上の金属状態の希土類を持つことが必要であることを見出した。
磁石基材を製造する際に生成される不純物相としての希土類化合物は、通常は酸化物、炭化物及び窒化物の3種類である。そのため、磁石基材中の金属状態の希土類の量は、磁石基材に含まれる全希土類量から、希土類の酸化物、炭化物及び窒化物を形成している希土類の量を減じた量で定義することができる。ここで、例えば、(1)まず既知の分析方法により磁石基材中の元素の組成比を求め、(2)分析で得られた酸素、炭素、窒素の量に基づいて酸素、炭素、窒素が化合物R2O3、RC及びRN(Rは希土類元素)を形成するとしてこれらR2O3、RC及びRNを構成するRの量を求め、(3)分析で得られた希土類元素の量から(2)で求めたR2O3、RC及びRNを構成するRの量を差し引くことにより、磁石基材中の金属状態の希土類の量を求めることができる。なお、Rの種類によってはR2O3、RC及びRN以外の組成比になることが知られているものもある。しかし、本願発明者は、工業的に生産されているほとんどのNdFeB焼結磁石において、上述の組成比の化合物が生成するとして、金属状態の希土類量を算出することにより、本発明の範囲を規定することができることを確認した。
NdFeB焼結磁石の低酸素化あるいは金属状態の希土類量の増大により、磁石基材自体の保磁力が増大することはよく知られているが、本発明はこの磁石基材自体の高保磁力化と粒界拡散による高保磁力化を合わせたものではない。低酸素あるいは金属状態の希土類量で高保磁力化された磁石基材に粒界拡散法を適用しても、粒界拡散の効果が磁石基材の内部深くまで浸透しなければ、保磁力は磁石基材の表面付近のみで大きく、内部ではもとのままの保磁力を持つことになる。このような磁石は結果として階段状の減磁曲線を持つという、角型性の低いものになってしまう。それに対して、本発明の特徴は、金属状態の希土類量を増加させたことにより、基材表面に塗布したDyのフッ化物やTbのフッ化物からDyやTbが基材深部に達することが可能になったことで、厚い磁石でも高保磁力でかつ高角型性を持つ磁石の作製ができるようになったことにある。
b)の条件は、DyやTbを基材に供給するための供給源となる付着物に関するものである。特許文献3や非特許文献4などで提案されているように、Dyのフッ化物やTbのフッ化物は(1)DyやTbを高濃度に含み、(2)粒界拡散の効果が酸化物などに比べて高く、(3)化学的にあまり活性ではないため取扱いが容易であり、(4)入手しやすい、という利点がある。これらの利点は従来から知られていたが、厚さ3mmを越えるNdFeB焼結磁石基材について、基材の最深部までDyやTbを拡散させるためには、上記a)の条件が必要である。粒界拡散の効果を十分に発揮させるためには、塗布する粉体層中にこれらのフッ化物が少なくとも50質量%以上含まれていることが必要である。
本発明において、前記層は30質量%以下のAlを含む。これにより、NdFeB焼結磁石の一層の高保磁力化が図られる。この場合にも、上記a)の条件により高角型性が維持される。
NdFeB焼結磁石の粒界拡散法を工業的に実施するためには、上記層は粉体により構成される層(粉体層)であることが望ましい。従来から知られているスパッタリング法は生産性が低く、処理費用が高価になりすぎて工業的価値がない。粉体層を基材表面に形成する方法はバレルペインティング法(特開2004-359873号公報参照)が最適である。その他にスプレー法など溶媒を使って塗布することも可能である。あるいは、DyやTbのフッ化物溶液を基材表面に塗布し、加熱により水分を蒸発させてDyやTbの粉体層を形成してもよい。
本発明に係るNdFeB焼結磁石の製造方法により、厚さが3mmを越えるNdFeB焼結磁石に対しても、Dyのフッ化物及び/又はTbのフッ化物による粒界拡散法が有効に働くようになる。その結果、高保磁力でかつ高角型性を持つ、厚さ3mm以上の高性能NdFeB焼結磁石が生産できるようになる。
図1〜図6を用いて、本発明に係るNdFeB焼結磁石の製造方法の実施例を説明する。
本実施例で使用する磁石基材は、従来のNdFeB焼結磁石の製造方法と同様の方法、即ち、NdFeB合金の溶解、粗粉砕、微粉砕、磁界中配向、成形、焼結の工程により作製した。
但し、この作製の際には、焼結後の焼結体中において金属状態の希土類量が12.9原子%以上になるように、合金組成の調整、及び工程中に生じる希土類の優先的減少の防止や不純物混入の防止などの配慮を行った。ここで「希土類の優先的減少」は、希土類以外の元素よりも希土類の方が減少の度合いが大きくなることを意味し、それにより組成比が変化する原因になるものである。希土類の優先的減少の原因には、合金を溶解するときに生じる金属状態の希土類成分の蒸発、酸化若しくは坩堝との反応による減少、又は粉砕中にNdリッチ相があまり微細に粉砕され過ぎることで捕集容器に捕集されないことによる減少などが挙げられる。また、金属状態の希土類量は合金を粉砕後、粉末中の希土類が不純物と化学反応することによっても減少する。ここで不純物とは主に、酸素、炭素、窒素を指す。酸素は主に合金粉砕中及び粉砕後における合金粉末の酸化により、炭素は合金粉末に潤滑性を与えるための潤滑剤が合金粉末中に残留することにより、窒素は合金粉末が空気中の窒素と反応することにより、製品中に取り込まれる。本発明に使用する焼結磁石基材を作製するためには、工程中の金属状態の希土類量の減少を極力抑え、また不純物元素による汚染を極力抑制する必要がある。それができない場合は、合金中の希土類量をあらかじめ増量しておかなくてはならない。後述の実施例1における番号4の基材は希土類量が低いため酸素や炭素による汚染を極力抑えて作製した例であり、番号5の基材は工程中の炭素による汚染が低くできないため合金中の希土類量を増量することで金属状態の希土類量を本発明の範囲内に調整した例である。
磁石基材を製造する際の出発物質であるNdFeB合金における希土類量の下限は、本発明において粒界拡散処理を行う際に必須となる12.9原子%に、粉砕中に減少すると見込まれる希土類量と、粉砕中あるいは粉砕後に酸素、炭素、窒素により消費されると見込まれる希土類量を加えた値とした。合金中の希土類量が多ければ、酸素、炭素、窒素による汚染がある程度多くても本発明を実施できるが、希土類量が多すぎると磁化や最大エネルギー積が低下するため、NdFeB焼結磁石としての価値が低下してしまう。実用的には、合金中の希土類量の最上限は16原子%である。また合金中の希土類の種類としては、Ndが主成分であるが、原料の事情によりNdがPrによって置換されてもよい。要求される最終製品の保磁力に従って、Ndの一部をDyやTbによって置換することができる。
このように作製されたNdFeB焼結体は機械加工により最終製品として要求される形状と寸法に加工される。その後、粒界拡散処理前に、化学的にあるいは機械的に、表面の清浄化が行われる。このようにして作製されたNdFeB焼結磁石が、最終的に本発明に使用される磁石基材である。
次に、粒界拡散のために基材表面に塗布する(付着させる)粉体について説明する。本実施例で使用する粉体はDyやTbのフッ化物を50質量%以上含む粉体である。粉体の平均粒径は100μm以下、好ましくは10μm以下が望ましい。その下限は特に制限されないが10nm以上が望ましい。DyやTbのフッ化と共にAl粉末を含む粉体も用いる。使用されるAl粉末は20μm以下、望ましくは10μm以下である。Al粉末以外に許容される塗布粉体の構成要素として、DyやTbのフッ化物以外の化合物の粉末、NdやPrなどのフッ化物粉末、DyやTbを含む合金粉末、ZnやCuなどの金属粉末がある。塗布量は基材表面1cm2あたり約5mg以上とした。
基材表面への粉体の塗布方法は、特許文献3に示されているようにDyやTbのフッ化物粉末を有機溶剤に分散させたスラリーに磁石基材を浸した後で熱風を吹きつけるか真空装置に入れることで乾燥させる方法、あるいは、本願発明者等が開発したバレルペインティング法(特開2004-359873号公報参照)が適している。
バレルペインティング法では次のようにして粉体塗布を行う。まず、清浄な表面を持つNdFeB焼結磁石基材に粘着層を形成する。粘着層の厚さは1〜5μmが最適である。粘着層形成物質は粘着性を持つ物質であって基材表面を腐食するようなものでなければよい。最も一般的にはエポキシやパラフィンなどの液状の有機物が用いられる。エポキシなどを使用するときには硬化剤は不要である。この粘着層塗布方法では、直径0.5〜1mmのセラミックあるいは金属性の球(インパクトメディアと呼ぶ)を満たした容器に少量の液状有機物質を添加して撹拌した後、上述した基材を投入して、容器全体を振動させることにより、基材表面に粘着層が形成される。次に、同様のインパクトメディアを満たした容器に塗布したい粉体を添加して撹拌した後、粘着層を形成した基材を容器に投入して、容器全体を振動させることにより、基材表面に粉体層を形成する。このようにして塗布される粉体の量は、基材表面1cm2あたり2mg程度から30mg程度までである。本発明では粘着層形成時にインパクトメディアに添加される液状物質の量、及び粉体塗布時にインパクトメディアに添加される粉体の量の好ましい範囲は基材表面1cm2あたり3mg以上25mg以下である。
次にDyやTbのフッ化物粉体を塗布した磁石基材を加熱炉に入れて加熱する。加熱炉の雰囲気は、真空あるいは高純度の不活性ガス雰囲気とする。粒界拡散による高保磁力化が効果的に起こる温度は700℃以上1000℃以下である。典型的な加熱条件は800℃で10hあるいは900℃で3hというものである。このような条件で加熱した後、通常の焼結後熱処理が施される。
上述した工程により作製されたNdFeB焼結磁石は、厚さが3mmを越えるときでも、従来の粒界拡散法により作製されたNdFeB焼結磁石の限界を越えて、高保磁力、高残留磁化を持ち、かつ磁化曲線の角型性が高い高品質磁石としての特性を持つ。従来の方法では厚い磁石に対しては、基材の表面付近だけが高保磁力化され、内部は粒界拡散の効果が及ばなかったので、磁化曲線の角型性が悪かった。これは高保磁力部分と低保磁力部分が混ざった磁石の典型的な例であり、品質が低い製品といえる。それに対して、本発明により、NdFeB焼結磁石は比較的厚い製品でも磁化曲線の角型性が高く、高品質の製品を作製することができる。
ストリップキャスティング法を用いた合金作製、水素解砕、潤滑剤混合及び窒素ガスを使用したジェットミルを用いた微粉砕によりNdFeB焼結磁石の粉末を作製し、この粉末に潤滑剤を混合したうえで磁界中配向、成形及び焼結の各工程を行い、組成が異なる10種類のNdFeB焼結磁石ブロック(基材)を作製した(図1)。図1の基材番号1〜5は本実施例で使用する基材であり、「基材番号」の欄に「(比)」と付したものは比較例の基材である。図1に示す組成は、焼結後の焼結体の化学分析値である。この実験では、ストリップキャスト合金の組成、ジェットミル粉砕時に使用する窒素ガスの純度あるいは添加する酸素の量、ジェットミル粉砕前後に添加する潤滑剤の種類と量および磁界中配向成形の時の雰囲気を変えることにより、焼結体の組成を変化させた。ジェットミル粉砕後の微粉末の粒径は、いずれの場合も、レーザ回折法で測定した粒度分布の中央値(D50)が5μmになるように調整した。これら10種類の焼結磁石は、いずれも希土類はNdのみからなり、最大磁気エネルギー積がもっとも大きい材質として各磁石メーカで大量に生産されているNdFeB焼結磁石に近い組成である。但し、これらの磁石のうち基材番号1〜5のものは磁界中配向成形時の雰囲気を99.9999%の高純度Ar雰囲気としたり、潤滑剤添加量を最小限にしたりして、不純物による汚染を最小限にする工夫をして作製したものである。一方、基材番号「(比)1〜(比)5」のものは市販されている製品に近い組成を持っている。これらの中には高純度アルゴンや窒素雰囲気で粉末を取り扱い、高い磁気特性を有する低酸素焼結品として製作され、販売されているレベルのものも含まれる。図1において、MR値は金属状態の希土類量を示し、焼結磁石の化学分析値から算出される。すなわちMR値は分析値の全希土類量から、酸素、炭素、窒素によって消費される(非金属化される)希土類量を差し引いた値である。ここで、これらの不純物元素は、希土類と、それぞれR2O3、RC、及びRNの化合物を作るものとして算出した。
粒界拡散法を実施するためにNdFeB焼結磁石基材の表面に塗布する粉体(付着物)には、図2に示す表に記載の粉体番号1〜9及び「比1」のものを用いた。粉体番号1の粉体は平均粒径3μmのDyF3粉末100%のものである。また、粉体番号2、4〜9の粉体は平均粒径2μmのNdF3粉末、直径が約3μmのAl粉末、平均粒径4μmのCu粉末のいずれか1種又は複数種と平均粒径1μmのDyF3を表に記載の比率で混合したものである。粉体番号3の粉体は平均粒径3μmのTbF3と上記Al粉末を表に記載の比率で混合したものである。
図1に示した10種類の焼結体ブロックから、縦7mm×横7mm×厚さ5mmで、厚さ方向が磁化方向となるように直方体基材を切り出し、以下に述べる方法により、直方体基材の表面に図2に示した粉体を塗布した。
容量200cm3のプラスティック製ビーカに直径1mmのジルコニア製小球を100cm3入れ、その中に流動パラフィンを0.1〜0.5g加えて撹拌した。この中に直方体基材を投入し、ビーカを振動機に接触させた。これにより、流動パラフィンが直方体基材の表面に塗布される。次に、磁石側面に粉体が付着しないように(理由は後述)、直方体基材の側面(磁極面以外の面)にプラスティック板によるマスキングを施した。その後、10cm3のガラスびんに、直径1mmのステンレス製小球を8cm3入れ、図2に示した粉末を1〜5g加えて、粘着層が塗布された直方体基材を投入した。この直方体基材を入れたガラスびんを前記振動機に接触させた。これにより、Dyを含む粉体が磁極面のみに塗布された。
このように基材に粉体を塗布した物を、側面のうちの1面を下側にしてモリブデンの板の上に乗せ、10-4Paの真空中で加熱した。加熱温度は800℃で3時間とした。その後、室温付近まで急冷し、500〜550℃で2時間加熱して、再度室温まで急冷した。これにより、目的とする試料が得られた。
粉体塗布を磁極面のみに限定した理由は次の通りである。本発明は比較的大型のモータへの応用を目指しているため、ある程度大きい磁極面積を持つ磁石に対して有効でなくてはならない。ところが磁化曲線測定器の都合により磁極面積に制限がある。そこで、7mm角という比較的小さい磁極面積の試料を使用したうえで、側面に粉体を塗布しないことにより、側面に比べて磁極面の面積が十分に大きいというモータ用磁石の使用状態に近づけた。
このように作製した本実施例の試料について、保磁力HcJ及び磁化曲線の角型性の指標SQ値を測定した。ここで、磁気特性の測定方法について述べる。上述したように試料は一辺7mmの正方形の磁極面を持ち、厚さが2mm〜6mmの直方体である。磁化方向は厚さ方向に平行である。磁気特性の測定はパルス磁化特性測定装置(日本電磁測器株式会社製、商品名:パルスB-HカーブトレーサBHP-1000)を使用した。この測定装置により、試料の厚さ方向に、パルス幅17.7mssecでピーク値10Tのパルス磁界を印加して磁気測定を行った。この測定法では、適切な較正を行うことにより、残留磁束密度Br、最大エネルギー積(BH)max、保磁力HcJは通常の直流磁界印加装置によって測定される直流B-Hカーブトレーサとほぼ同じ測定値が得られるが、磁化曲線の角型性SQ値については直流B-Hカーブトレーサで得られる値よりも低くなる傾向がある。高保磁力磁石の磁気特性の評価にはパルス磁化特性測定装置が使用されることが多いので、本実施例ではパルス磁化特性測定装置を使用して磁気特性の評価を行った。いくつかの試料について直流B-Hカーブトレーサを使用してSQ値を測定した結果、パルス磁化測定装置によって測定して得たSQ値は、直流B-Hカーブトレーサによって得たSQ値より、5〜7%低いことが分かった。SQ値に関して、厳密性の観点からは、直流B-Hカーブトレーサによって評価したほうが良いが、パルス磁化測定装置によっても十分高い再現性のあるデータが得られ、磁石の品質評価手段として問題はない。なお以下の実施例では磁気特性結果のうち保磁力HcJとSQ値だけを示す。残留磁束密度及び最大磁気エネルギー積は粒界拡散処理の前後であまり変わらないことが知られており、本実施例でもすべての試料についてこのことを確認した。
本実施例の試料(試料番号1〜21)について、保磁力HcJ及びSQ値の測定結果を図3に示す。併せて、比較例の試料について保磁力HcJ及びSQ値を測定した結果を図4に示す。ここで、比較例の試料は「比1」〜「比5」のいずれかの基材を用いたもの(試料番号「比1」〜「比10」)、「比1」の粉体を用いたもの(試料番号「比11」、「比12」)、又は粒界拡散処理を行わなかったもの(試料番号「比13」〜「比22」)のいずれかである。
図3及び図4の結果から、以下のことが分かる。
(1) 本実施例の試料はいずれも1.4MA/m以上という高い保磁力、及びSQ値85%以上という高い角型性を有する。本実施例のようにDy、Tbのいずれも含まず5mmという厚い厚さを持つ基材を用いて、これほど高い保磁力及び角型性を併せ持つNdFeB焼結磁石を作製することは、従来できなかった。これら各試料のうち試料1〜11、13〜18、20及び21は、きわめて希少な資源であるTbを使用することなく、このような高い保磁力及び角型性が得られるという点で工業的に大変価値がある。また、試料12及び19は、TbF3粉末を使用することにより、他の試料と比較して更に高い保磁力が得られるという特長を有する。
(2) 基材に含まれる金属状態の希土類量が12.9原子%未満になる(試料「比1」〜「比10」)と、保磁力は急に小さくなり、SQ値は85%以下になる(SQ値については、粒界拡散の効果がきわめて小さい試料「比5」を除く)。
(3) 本実施例の試料14及び15(DyF3量が60及び50質量%)と比較例の試料「比11」(DyF3量が40質量%)は、いずれも基材番号1の基材を用いているが、本実施例の試料のみが1.4MA/m以上の保磁力を有する。
(4) 粉体1(DyF3:100%)を用いた試料1〜5と、基材が試料1〜5のいずれかと同じであって粉体4(DyF3:90%、Al:10%)を用いた試料6〜10を比較すると、試料6〜10の方が高い保磁力が得られることがわかる。従って、粉体にAlを添加することにより保磁力が向上するといえる。Alによる保磁力向上効果は粉体中のAl濃度が30質量%である場合にまでみられる(試料16)が、40質量%を越えるとその効果がみられなくなる(試料番号17)。
(5) 本実施例及び比較例で用いた10種の基材のうち金属状態の希土類量が最大である基材番号1のものと最小である基材番号「比5」のものを比較すると、粉体1を用いて粒界拡散処理を施した場合の両者(試料番号1と「比5」)の保磁力の差は0.56MA/mであり、粒界拡散処理を施さない場合の両者(試料番号「比13」と「比22」)の保磁力の差(0.41MA/m)よりも大きくなる。これは、粒界拡散処理を施した場合に、基材中の金属状態の希土類量が増加するのに伴って、粒界拡散処理のための加熱中に粒界に液相がより形成されやすくなり、DyやTbの拡散が促進されるため、保磁力増大効果がより顕著になることによると考えられる。
実施例1と同じ方法により、図5に示す組成のNdFeB焼結磁石基材を作製した。これらの基材はDyを約1原子%含む。基材番号6の基材は金属状態の希土類量が13.29原子%であって本発明の範囲内にあり、基材番号「比6」は希土類量が12.81原子%であって本発明の範囲外にある。これらの焼結体から、磁極面が一辺7mmの正方形であり、厚さが2mm〜6mmの5種類の直方体基材を機械加工により切り出した。これらの直方体基材を実施例1と同じ方法で、粉体番号4の粉体を磁極面にのみ塗布したうえで、800℃で10時間加熱することにより、粒界拡散処理を施した。粒界拡散処理後、急冷して、さらに520℃で2時間熱処理したうえで急冷した。
図6にこれらの試料の磁気測定結果を示す。この結果から次のことがいえる。
(1) 金属状態の希土類量が高い基材(基材番号6)を使用すると、粒界拡散後の保磁力は基材の厚さが6mmの場合(試料番号26)にも、厚さが2mmの場合(試料番号22)と比べてあまり変わらない高い値を示す。
(2) 本実施例のようにDyが添加されている基材に粒界拡散処理を施すと、基材中にもとから入っているDyの効果に、粒界拡散により表面から拡散してくるDyの効果が加わり、粒界拡散後に得られる保磁力は2MA/m前後という大きい値となる。
(3) 基材中の金属状態の希土類量が本発明の範囲外にある(試料番号「比23」〜「比27」)と、粒界拡散後の保磁力の増加は厚さが2mmでもあまり大きくなく、厚さが3mm以上になると更に小さくなる。
本発明に係るNdFeB焼結磁石の製造方法の実施例1で用いた磁石基材の組成を示す表。 実施例1で用いた付着物である粉体の組成を示す表。 実施例1で作製されたNdFeB焼結磁石の保磁力HcJ及び磁化曲線の角型性の指標SQ値の測定結果を示す表。 比較例で作製されたNdFeB焼結磁石の保磁力HcJ及び磁化曲線の角型性の指標SQ値の測定結果を示す表。 実施例2で用いた磁石基材の組成を示す表。 実施例2で作製されたNdFeB焼結磁石の保磁力HcJ及びSQ値の測定結果を示す表。

Claims (4)

  1. NdFeB焼結磁石基材の表面にDy及び/又はTbを含む層を形成した後に前記磁石基材の焼結温度以下の温度に加熱することにより、前記層中のDy及び/又はTbを前記磁石基材の結晶粒界を通じて前記磁石基材内部に拡散させる粒界拡散処理を行うNdFeB焼結磁石の製造方法において、
    a) 前記磁石基材中に含まれる金属状態の希土類の量が12.9原子%以上であり、
    b) 前記層が50質量%以上のDyのフッ化物及び/又はTbのフッ化物、及び30質量%以下のAlを含有する、
    ことを特徴とするNdFeB焼結磁石の製造方法。
  2. 前記磁石基材がDy及びTbをいずれも含有していないことを特徴とする請求項1に記載のNdFeB焼結磁石の製造方法。
  3. 前記磁石基材の厚さが3mm以上6mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のNdFeB焼結磁石の製造方法。
  4. 前記層が粉体層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のNdFeB焼結磁石の製造方法。
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