JP5208669B2 - 中ぐり加工装置および穴加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中ぐり加工装置および穴加工方法に関するものである。
従来、中ぐり加工装置として、例えば、特開平6−285705号公報(特許文献1)および特開2002−307216号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特許文献1に記載の中ぐり加工装置は、精仕上げ加工用バイトをホルダ本体に対して径方向に移動可能とするように設けている。また、特許文献2に記載の中ぐり加工装置は、精仕上げ加工用バイトおよび中仕上げ加工用バイトをホルダ本体に対して径方向に移動可能とするように設けている。
特開平6−285705号公報 特開2002−307216号公報
一般に、特許文献1に記載の中ぐり加工装置が存在している。このタイプの中ぐり加工装置は、精仕上げ加工用バイトに取り付けられたチップが摩耗したとしても、精仕上げ加工用バイトのホルダ本体からの突出量を補正することにより、精仕上げ加工の精度を保持できる。しかし、中仕上げ加工用バイトが固定されている中ぐり加工装置においては、精仕上げ加工用バイトのチップの寿命が短くなるという問題があった。
そこで、本発明者らは、精仕上げ加工用バイトのチップの寿命が短いことの原因について、鋭意研究を重ねた結果、以下のことに原因があることを導き出した。特許文献1に記載の中ぐり加工装置においては、精仕上げ加工用バイトをホルダ本体に対して径方向に移動可能に設けているが、中仕上げ加工用バイトについては、ホルダ本体に固定して設けられている。当然ではあるが、工作物を加工することにより、精仕上げ加工用バイトのチップのみならず、中仕上げ加工用バイトのチップも、摩耗する。つまり、中仕上げ用バイトのチップによる加工径は、徐々に小さくなっていく。一方、精仕上げ加工用バイトは、ホルダ本体に対して径方向に移動することによって、精仕上げ加工径を一定としている。
そのため、精仕上げ加工径と中仕上げ加工径との差が、徐々に増大していく。換言すると、精仕上げ加工用バイトのチップによる取り代(削り径に相当)が徐々に増大していくことになる。そのため、精仕上げ加工用バイトのチップの摩耗が増大していた。このことが精仕上げ加工用バイトのチップの寿命の低下の原因であることを、本発明者らは発見した。つまり、本発明者らは、中仕上げ加工用バイトのチップが摩耗したとしても、精仕上げ加工用バイトのチップによる取り代の変化量を抑制することにより、精仕上げ加工用バイトのチップの寿命を向上できることを発見した。
ところで、特許文献2には、精仕上げ加工用バイトおよび中仕上げ加工用バイトをホルダ本体に対して径方向に移動可能な構成が記載されている。具体的には、特許文献2には、精仕上げ加工用バイトによる取り代および中仕上げ加工用バイトによる取り代を調整することが容易であると記載されている。しかし、両バイトの補正については記載されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、精仕上げ加工用バイトのチップの寿命を向上することが可能な中ぐり加工装置および穴加工方法を提供することを目的とする。
そこで、上記の課題を解決するため、請求項1に係る中ぐり加工装置の発明の特徴は、
ホルダ本体の外周面にバイトが設けられた工具ホルダを備え、前記工具ホルダを軸心回りに回転させながら工作物に対して相対的に軸方向へ送ることによって前記工作物の穴を加工する中ぐり加工装置において、
前記ホルダ本体と、
前記ホルダ本体の外周面に設けられ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられ、且つ、第一の加工工程にて前記工作物の穴を加工する第一のバイトと、
前記ホルダ本体の外周面に設けられ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられ、且つ、前記第一の加工工程後に行う第二の加工工程にて前記工作物の穴を加工する第二のバイトと、
前記第二の加工工程後に前記工作物の穴を計測する計測手段と、
次の前記工作物の穴を加工する際に、前記計測手段による計測結果に基づいて、前記第一の加工工程における前記第一のバイトの径方向位置および前記第二の加工工程における前記第二のバイトの径方向位置をそれぞれ補正する補正手段と、
を備えることである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、
前記補正手段は、前記第二のバイトの径方向位置の補正量累積値に基づいて、前記第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を決定することである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、
前記補正手段は、前記第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を、前記第二のバイトの径方向位置の補正量累積値より小さく設定することである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、
前記工作物の穴の加工工程は、前記工作物の穴を精仕上げ加工する精仕上げ加工工程と、前記精仕上げ加工工程の直前に行う中仕上げ加工工程とを含み、
前記第一の加工工程は、前記中仕上げ加工工程であり、
前記第二の加工工程は、前記精仕上げ加工工程であることである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、
前記工作物の穴の加工工程は、前記工作物の穴を精仕上げ加工する精仕上げ加工工程と、前記精仕上げ加工工程の直前に行う中仕上げ加工工程と、前記中仕上げ加工工程の直前に行う荒加工工程とを含み、
前記第一の加工工程は、前記中仕上げ加工工程および前記荒加工工程であり、
前記第二の加工工程は、前記精仕上げ加工工程であり、
前記第一のバイトは、前記中仕上げ加工工程にて前記工作物の穴を加工する中仕上げバイトと、前記荒加工工程にて前記工作物の穴を加工する荒加工バイトとを含むことである。
また、上記の課題を解決するため、請求項6に係る穴加工方法の発明の特徴は、
ホルダ本体の外周面にバイトが設けられた工具ホルダを用いて、前記工具ホルダを軸心回りに回転させながら工作物に対して相対的に軸方向へ送ることによって前記工作物の穴を加工する穴加工方法において、
前記ホルダ本体の外周面に設けられ、且つ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられる第一のバイトにより、前記工作物の穴を加工する第一の加工工程と、
前記ホルダ本体の外周面に設けられ、且つ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられる第二のバイトにより、前記第一の加工工程後に前記工作物の穴を加工する第二の加工工程と、
前記第二の加工工程後に前記工作物の穴を計測手段により計測する計測工程と、
を備え、
前記第一の加工工程は、次の前記工作物の穴を加工する際に、前記計測手段による計測結果に基づいて、前記第一のバイトの径方向位置を補正して前記工作物の穴を加工し、
前記第二の加工工程は、次の前記工作物の穴を加工する際に、前記計測手段による計測結果に基づいて、前記第二のバイトの径方向位置を補正して前記工作物の穴を加工することである。
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、第一のバイトと第二のバイトの二種類のバイトを、ホルダ本体に対して径方向に移動可能な構成としている。従って、第一のバイトのチップが摩耗した場合には、第一のバイトの径方向位置を補正し、第二のバイトのチップが摩耗した場合には、第二のバイトの径方向位置を補正することができる。従って、第二の加工工程を精仕上げ加工工程とした場合に、精仕上げ加工工程における第二のバイトのチップによる取り代の変化を、従来に比べて抑制できる。これにより、第二のバイトのチップの寿命を向上することができる。
さらに、本発明によれば、第一のバイトのチップによる取り代が工作物によって変化することを抑制でき、且つ、第二のバイトのチップによる取り代が工作物によって変化することを抑制できる。従って、第一のバイトのチップと第二のバイトのチップを、ほぼ同時期の寿命となるように設定することができる。つまり、本発明によれば、第一のバイトのチップの交換と第二のバイトのチップの交換を同時に行うようにできるため、設備の停止時間を短縮できる。
さらに、工作物の計測は後工程である第二の加工工程の後のみに行い、この計測結果により第一のバイトと第二のバイトの径方向位置を補正している。つまり、1回の計測回数で、第一のバイトと第二のバイトの径方向位置を補正している。ところで、第一のバイトの径方向位置の補正は、第一の加工工程後の工作物を計測して行うことが高精度にできる。しかし、このようにすると、計測工程が、第一の加工工程の後と、第二の加工工程の後の2回となる。これでは、工作物の加工計測に要する時間(サイクルタイム)が長くなってしまう。これに対して、本発明によれば、第二の加工工程の後の1回のみの計測により、第二のバイトのみならず、第一のバイトの補正を行っている。これにより、計測回数を従来に比べて増加させる必要がない。従って、サイクルタイムが長期化することを防止できる。
ただし、第二の加工工程後に計測した結果に基づいて、第一の加工工程における第一のバイトの補正を行っている。しかし、第一のバイトのチップの摩耗量は、第二のバイトのチップの摩耗量にほぼ比例するため、第二のバイトの摩耗量を計測することができれば、第一のバイトのチップの摩耗量をある程度推測できる。従って、第一のバイトの径方向位置を、第二の加工工程後の計測に基づいて補正することで、十分な精度を得ることができる。なお、本発明おいて、第一のバイトの径方向位置とは、第一バイトのホルダ本体に対するホルダ本体の径方向位置を意味し、第二のバイトの径方向位置とは、第二バイトのホルダ本体に対するホルダ本体の径方向位置を意味する。
請求項2に係る発明によれば、第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を十分に適切な値とすることができる。上述したように、第一のバイトのチップの摩耗量と第二のバイトの摩耗量とはほぼ比例する。そして、第二のバイトのチップの摩耗量は、第二のバイトの径方向位置の補正量累積値に相当する。つまり、第二のバイトの径方向位置の補正量累積値を参照した上で、第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を決定しているため、第一のバイトのチップの摩耗量を直接計測することなく、十分な精度で第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を決定することができる。
ここで、第一のバイトの径方向位置の補正量累積値とは、第一のバイトのチップが摩耗していない初期状態における第一のバイトの径方向位置と、補正後の第一のバイトの径方向位置との差である。また、第二のバイトの径方向位置の補正量累積値とは、第二のバイトのチップが摩耗していない初期状態における第二のバイトの径方向位置と、補正後の第二のバイトの径方向位置との差である。
請求項3に係る発明によれば、第一のバイトのチップが、第二のバイトのチップにより加工すべき加工径を超えて加工することを防止できる。仮に、第一のバイトのチップが、第二のバイトのチップにより加工すべき加工径を超えてしまうと、その工作物を目的の形状に形成することができない。つまり、当該工作物は、不良品となる。そこで、上記のようにすることで、不良品の工作物を出すことを防止できる。
請求項4に係る発明によれば、精仕上げ加工工程におけるバイトと、中仕上げ加工工程におけるバイトを補正することとなる。これにより、精仕上げ加工工程における第二のバイトのチップの寿命を確実に向上することができる。
請求項5に係る発明によれば、精仕上げ加工工程におけるバイトと、中仕上げ加工工程におけるバイトと、荒加工工程におけるバイトを補正することになる。これにより、精仕上げ加工工程における第二のバイトのチップの寿命を確実に向上することができる。さらに、中仕上げ加工工程における中仕上げ加工バイトの寿命を確実に向上することができる。
請求項6に係る発明は、上述した請求項1に係る中ぐり加工装置を適用した加工方法に相当する。つまり、請求項7に係る発明によれば、請求項1に係る中ぐり加工装置による効果と同様の効果を奏する。すなわち、第二のバイトのチップの寿命を向上することができる。さらに、第一のバイトのチップの交換と第二のバイトのチップの交換を同時に行うようにできるため、設備の停止時間を短縮できる。さらに、サイクルタイムが長期化することを防止できる。
以下、本発明の中ぐり加工装置および穴加工方法を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<第一実施形態>
(中ぐり加工装置の全体構成)
第一実施形態の中ぐり加工装置の全体構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、中ぐり加工装置の正面図である。図2は、中ぐり加工装置の右側面図である。ここで、本実施形態の中ぐり加工装置により加工する工作物Wは、エンジンのシリンダブロックとし、その加工部位は、シリンダブロックのボア部とする。ここでは、4気筒のシリンダブロックを対象とし、2気筒ずつ同時に加工を可能とする中ぐり加工装置を例にあげる。
図1および図2に示すように、本実施形態の中ぐり加工装置は、主として、ベッド10と、コラム20と、主軸頭30と、治具テーブル50と、計測器60と、計測用テーブル70と、制御装置80とを備える。
ベッド10は、鋳物により厚肉平板状に形成され、床上に固定されている。コラム20は、コラム本体21と、Z軸送り用ボールねじ(図示せず)と、Z軸送り用モータ22とを備えている。コラム本体21は、鋳物によりほぼ直方体状に形成され、ベッド10上に立設され、主軸頭30を摺動可能に支持している。このコラム本体21の側面(図1の手前面、図2の左面)には、2本のガイドレール21aが上下方向に延びるように且つ平行に形成されている。Z軸送り用ボールねじは、2本のガイドレール21aの間に上下方向に延びるように、且つ、Z軸周り(上下軸周り)に回転可能となるように、コラム本体21に支持されている。Z軸送り用モータ22は、コラム本体21の上端に配置され、Z軸送り用ボールねじを回転駆動するように、Z軸送り用ボールねじの上端に連結されている。
主軸頭30は、主軸頭本体31と、第一,第二の主軸32,33と、第一,第二の工具ホルダ34,35と、第一,第二のドローバー36,37と、回転用モータ38と、回転伝達機構39と、第一,第二のせり出し用モータ40,41と、第一,第二のせり出し機構42,43とを備えている。主軸頭30の詳細な構成は後述する。ここでは、主軸頭30の概要について説明する。
主軸頭本体31がコラム本体21に対して上下方向に摺動可能に支持されている。この主軸頭本体31には、上下軸回り(X軸回り)に回転可能に、第一、第二の主軸32,33がそれぞれ設けられている。この第一,第二の主軸32,33の下端に、第一,第二の工具ホルダ34,35が固定されている。第一,第二の工具ホルダ34,35は、ホルダ本体101と、ホルダ本体101の外周面に設けられた複数のバイト102〜105とを備えている。各バイト102〜105には、チップ102c〜105cが取り付けられている。つまり、各工具ホルダ34,35をそれぞれの軸心回りに回転させながら、工作物であるシリンダブロックWに対して軸方向に送ることによって、シリンダブロックWのボア部(穴)を加工する。ここで、第一,第二の主軸32,33の回転は、回転伝達機構39を介して、回転用モータ38が駆動することにより行われる。
さらに、精仕上げ用バイト105と中仕上げ用バイト103,104は、ホルダ本体101に対して、ホルダ本体101の径方向に移動可能に設けられている。つまり、精仕上げ用バイト105および中仕上げ用バイト103,104は、それぞれのチップ105c、103c、104cの磨耗量に応じて、ホルダ本体101に対する径方向位置を補正することができるようになっている。この精仕上げ用バイト105および中仕上げ用バイト103,104の径方向の移動は、第一,第二のドローバー36,37および第一,第二のせり出し機構42,43を介して、第一,第二のせり出し用モータ40,41を駆動することにより行われる。
治具テーブル50は、ベッド10上に配置されており、コラム本体21の前面側(図1の手前面側)であって、主軸頭本体31の下側に位置している。この治具テーブル50は、ベッド10に対してコラム本体21の両端間をX軸方向に移動可能に設けられている。具体的には、治具テーブル50は、X軸送り用ボールねじおよびX軸送り用モータを備えている。そして、治具テーブル50は、前工程の処理を終えて中ぐり加工装置に搬入されてきた工作物(シリンダブロック)をクランプする。
計測器60は、例えばタッチセンサなどにより構成されており、ベッド10上のうち、コラム20の隣に設けられている。具体的には、計測器60は、コラム20のうちシリンダブロックWの搬出側に設けられている。この計測器60は、ベッド10の上面に近接または離間する方向(X軸方向)に移動可能である。この計測器60は、シリンダブロックWのボア部の内径を計測する。具体的には、4気筒のボア部のうち、図1の左側から2気筒目と4気筒目のボア部を計測する。つまり、計測器60は、第一の工具ホルダにより加工した部位の後の方と、第二の工具ホルダにより加工した部位の後の方とを計測している。
計測用テーブル70は、ベッド10上に配置されており、計測器60の直下に位置している。つまり、計測用テーブル70は、加工を終了したシリンダブロックWを載置するテーブルである。この計測用テーブル70は、ベッド10に対してX軸方向に移動可能に設けられている。具体的には、計測用テーブル70は、X軸送り用ボールねじおよびX軸送り用モータを備えている。
制御装置80は、主軸頭30を駆動するZ軸送り用モータ22、計測器60を駆動するZ軸送り用モータ、第一,第二の主軸32,33の回転用モータ38、バイト102〜105のせり出し用モータ40,41、治具テーブル50のX軸送り用モータ、計測用テーブル70のX軸送り用モータの制御を行う。つまり、制御装置80は、各モータを制御することにより、各移動部材の位置決め制御を行っている。この制御装置80の詳細構成については後述する。
(主軸頭30の詳細構成)
主軸頭30の詳細構成について、図1および図2に加えて、図3〜図6を参照して説明する。図3は、図1のA−A拡大断面図である。図4は、図3のB−B拡大断面図である。図5は、図4のC−C断面図を90°右回りに旋回した状態の図である。図6は、図4のD−D断面図である。
上述したように、主軸頭30は、主軸頭本体31と、第一,第二の主軸32,33と、第一,第二の工具ホルダ34,35と、第一,第二のドローバー36,37と、回転用モータ38と、回転伝達機構39と、第一,第二のせり出し用モータ40,41と、第一,第二のせり出し機構42,43とを備えている。
主軸頭本体31は、鋳物によりほぼ直方体状に形成されている。この主軸頭本体31の背面(図2の右側面)にはボールねじナット(図示せず)が形成されている。このボールねじナットは、コラム本体21に取り付けられたZ軸送り用ボールねじに螺合している。つまり、コラム本体21に取り付けられたZ軸送り用モータ22を回転駆動させることにより、Z軸送り用ボールねじが回転し、その回転に伴って主軸頭本体31がコラム本体21に対して上下方向に移動する。この主軸頭本体31には、図1の左右2箇所に、上下方向に延びる貫通孔31aが形成されている。この2本の貫通孔31aのピッチは、シリンダブロックWのボア部のピッチの2倍に設定されている。
第一,第二の主軸32,33は、それぞれ、同一の円筒状からなり、主軸頭本体31の各貫通孔31aに軸受を介して回転可能に挿通されている。
第一,第二の工具ホルダ34,35は、それぞれ、第一,第二の主軸32,33の下端に取り付けられている。つまり、第一,第二の工具ホルダ34,35は、第一,第二の主軸32,33の回転に伴って、主軸頭本体31に対して回転する。第一,第二の工具ホルダ34,35は、同一構成からなる。そこで、図3〜図6を参照して、第一の工具ホルダ34について説明する。
第一の工具ホルダ34は、ホルダ本体101と、荒加工用バイト102と、第一の中仕上げ用バイト103と、第二の中仕上げ用バイト104と、精仕上げ用バイト105と、第一〜第三のスライド片106〜108と、第一〜第三の可動ピン109〜111と、回転規制ピン112と、キャップ113とから構成される。
ホルダ本体101は、図5および図6に示すように、中心軸に貫通孔を有する円筒状に形成されている。ホルダ本体101の外周面には、軸方向に所定長さの切欠き101a〜101dが、周方向に等間隔に4箇所形成されている。この切欠き101a〜101dの径方向断面形状は、図4に示すように、ホルダ本体101の周方向に向かって、ほぼL字状に形成されている。各切欠き101a〜101dには、メスねじが形成されている。さらに、ホルダ本体101のうち三箇所の切欠き101b〜101dには、当該切欠き101b〜101dの面とホルダ本体101の内周面とを貫通する貫通孔101e〜101gが形成されている。さらに、貫通孔101e〜101gが形成されていない切欠き101aの上側部位には、外周面から内周面に向かって貫通する貫通孔101hが形成されている。つまり、貫通孔101e〜101gと貫通孔101hとは、軸方向に異なる位置に形成されている。
荒加工用バイト102は、シリンダブロックWのボア部の荒加工を行うためのチップ102cを備えている。具体的には、荒加工用バイト102は、図5に示すように、バイト本体102aと、取付ボルト102bと、チップ102cとから構成される。荒加工用バイト102のバイト本体102aは、細長矩形状に形成されている。このバイト本体102aは、切欠き101aに配置され、取付ボルト102bをホルダ本体101のメスねじに螺合することによりホルダ本体101に固定される。このバイト本体102aは、図4に示すように、ホルダ本体101の切欠き101aに収容可能とされている。つまり、バイト本体102aは、ホルダ本体101に取り付けられた状態において、ホルダ本体101の外接円の内側に位置している。チップ102cは、バイト本体102aの外周面から外側に突出するように、バイト本体102aの下側に固定されている。このチップ102cは、バイト本体102aがホルダ本体101に固定された状態において、ホルダ本体101の外接円よりも径方向外方に突出している。そして、チップ102cによる加工径は、チップ102cの磨耗により変化するのみである。
第一の中仕上げ用バイト103は、シリンダブロックWのボア部の荒加工を行った後に、中仕上げ加工を行うためのチップ103cを備えている。具体的には、第一の中仕上げ用バイト102は、図6に示すように、バイト本体103aと、取付ボルト103bと、チップ103cとから構成される。第一の中仕上げ用バイト103のバイト本体103aは、全体としては細長矩形状に形成されており、可撓部103dを備える。この可撓部103dは、溝を形成することにより他の部位に比べて薄肉に形成されている。この可撓部103dが撓み変形することにより、可撓部103dの一方側に対して他方側が変位可能となる。
そして、このバイト本体103aは、切欠き101aの隣に形成されている切欠き101bに配置され、取付ボルト103bをホルダ本体101のメスねじに螺合することによりホルダ本体101に固定される。バイト本体103aのうち取付ボルト103bを挿通する位置は、可撓部103dよりも上側である。このバイト本体103aは、図4に示すように、ホルダ本体101の切欠き101bに収容可能とされている。つまり、バイト本体103aは、ホルダ本体101に取り付けられた状態において、ホルダ本体101の外接円の内側に位置している。チップ103cは、バイト本体103aの外周面から外側に突出するように、バイト本体103aの可撓部103dよりも下側に固定されている。このチップ103cは、バイト本体103aがホルダ本体101に固定された状態において、ホルダ本体101の外接円よりも径方向外方に突出している。さらに、可撓部103dが撓み変形することにより、チップ103cの径方向外方端部の位置は、径方向外方に移動する。つまり、チップ103cによる加工径は、バイト本体103aの撓み変形量およびチップ103cの磨耗により変化する。
第二の中仕上げ用バイト104は、第一の中仕上げ用バイト103と同様に、シリンダブロックWのボア部の荒加工を行った後に、中仕上げ加工を行うためのチップ104cを備えている。具体的には、第二の中仕上げ用バイト104は、図6に示すように、バイト本体104aと、取付ボルト104bと、チップ104cとから構成される。第二の中仕上げ用バイト104のバイト本体104aは、全体としては細長矩形状に形成されており、可撓部104dを備える。この可撓部104dは、溝を形成することにより他の部位に比べて薄肉に形成されている。この可撓部104dが撓み変形することにより、可撓部104dの一方側に対して他方側が変位可能となる。
そして、このバイト本体104aは、切欠き101aの隣であって切欠き101bの裏面側に形成されている切欠き101dに配置され、取付ボルト104bをホルダ本体101のメスねじに螺合することによりホルダ本体101に固定される。バイト本体104aのうち取付ボルト104bを挿通する位置は、可撓部104dよりも上側である。このバイト本体104aは、図4に示すように、ホルダ本体101の切欠き101dに収容可能とされている。つまり、バイト本体104aは、ホルダ本体101に取り付けられた状態において、ホルダ本体101の外接円の内側に位置している。チップ104cは、バイト本体104aの外周面から外側に突出するように、バイト本体104aの可撓部104dよりも下側に固定されている。このチップ104cは、バイト本体104aがホルダ本体101に固定された状態において、ホルダ本体101の外接円よりも径方向外方に突出している。さらに、可撓部104dが撓み変形することにより、チップ104cの径方向外方端部の位置は、径方向外方に移動する。つまり、チップ104cによる加工径は、バイト本体104aの撓み変形量およびチップ104cの磨耗により変化する。
精仕上げ用バイト105は、シリンダブロックWのボア部の中仕上げ加工を行った後に、精仕上げ加工を行うためのチップ105cを備えている。具体的には、精仕上げ用バイト105は、図5に示すように、バイト本体105aと、取付ボルト105bと、チップ105cとから構成される。精仕上げ用バイト105のバイト本体105aは、全体としては細長矩形状に形成されており、可撓部105dを備える。この可撓部105dは、溝を形成することにより他の部位に比べて薄肉に形成されている。この可撓部105dが撓み変形することにより、可撓部105dの一方側に対して他方側が変位可能となる。
そして、このバイト本体105aは、切欠き101b、101dの隣であって荒加工用バイト102が固定される切欠き101aの裏面側に形成されている切欠き101cに配置され、取付ボルト105bをホルダ本体101のメスねじに螺合することによりホルダ本体101に固定される。バイト本体105aのうち取付ボルト103cを挿通する位置は、可撓部105dよりも上側である。このバイト本体105aは、図4に示すように、ホルダ本体101の切欠き101cに収容可能とされている。つまり、バイト本体105aは、ホルダ本体101に取り付けられた状態において、ホルダ本体101の外接円の内側に位置している。チップ105cは、バイト本体105aの外周面から外側に突出するように、バイト本体105aの可撓部105dよりも下側に固定されている。このチップ105cは、バイト本体105aがホルダ本体101に固定された状態において、ホルダ本体101の外接円よりも径方向外方に突出している。さらに、可撓部105dが撓み変形することにより、チップ105cの径方向外方端部の位置は、径方向外方に移動する。つまり、チップ105cによる加工径は、バイト本体105aの撓み変形量およびチップ105cの磨耗により変化する。
第一〜第三のスライド片106〜108は、図5および図6に示すように、いずれも、L字型形状をなしている。これら第一〜第三のスライド片106〜108のL字型の一辺が、ホルダ本体101の下端面に係合し、第一〜第三のスライド片106〜108のL字型の他辺が、ホルダ本体101の内周面に当接している。
具体的には、第一のスライド片106は、図6に示すように、後述するドローバー36,37の第一の縮径テーパ溝202に配置されることにより、周方向において貫通孔101eの内周側開口を閉塞する位置に位置している。また、第二のスライド片107は、図6に示すように、後述するドローバー36,37の第二の縮径テーパ溝203に配置されることにより、周方向において貫通孔101fの内周側開口を閉塞する位置に位置している。第三のスライド片108は、図5に示すように、後述するドローバー36,37の拡径テーパ溝204に配置されることにより、周方向において貫通孔101gの内周側開口を閉塞する位置に位置している。
第一〜第三の可動ピン109〜111は、ホルダ本体101に形成された貫通孔101e〜101gに嵌挿されている。これら第一〜第三の可動ピン109〜111は、ホルダ本体101に対してホルダ本体101の径方向に移動可能である。そして、第一の可動ピン109の径方向外方端は、第一の中仕上げ用バイト103のバイト本体103aに当接し、第一の可動ピン109の径方向内方端は、第一のスライド片106に当接している。第二の可動ピン110の径方向外方端は、第二の中仕上げ用バイト104のバイト本体104aに当接し、第二の可動ピン110の径方向内方端は、第二のスライド片107に当接している。第三の可動ピン111の径方向外方端は、精仕上げ用バイト105のバイト本体105aに当接し、第三の可動ピン111の径方向内方端は、第三のスライド片108に当接している。
回転規制ピン112は、貫通孔101hに嵌挿されて固定されている。この回転規制ピン112の径方向内方端は、ホルダ本体101の内周面よりも径方向内方に突出しており、ドローバー36,37のキー溝201に係合されている。つまり、回転規制ピン112は、ホルダ本体101とドローバー36,37との相対的な回転を規制する機能を有している。
キャップ113は、ホルダ本体101の下端面に固定され、ホルダ本体101の下端側を覆蓋する。
第一,第二のドローバー36,37は、第一,第二の主軸32,33の中空部に挿通され、第一,第二の主軸32,33に対して相対回転不能に設けられ、且つ、第一,第二の主軸32,33に対して軸方向に相対移動可能に設けられている。第一,第二のドローバー36、37は、同一構成からなる。そこで、図3〜図6を参照して、第一のドローバー36について説明する。
第一のドローバー36は、中実の軸部材からなる。この第一のドローバー36は、第一の主軸32の中空部およびホルダ本体101の中空部に挿通されている。この第一のドローバー36の下端側の外周面には、キー溝201と、第一の縮径テーパ溝202と、第二の縮径テーパ溝203と、拡径テーパ溝204とが形成されている。
キー溝201は、図5に示すように、軸方向に所定の長さを有し、キー溝201の溝底が軸方向に平行となるように形成されている。このキー溝201は、ホルダ本体101に形成される貫通孔101hの内周開口部に対応する位置に形成されている。そして、キー溝201には、回転規制ピン112が係合している。つまり、回転規制ピン112が、キー溝201に係合することにより、ホルダ本体101とドローバー36との相対回転が規制されている。ただし、キー溝201の溝長さの分、回転規制ピン112が固定されたホルダ本体101は、ドローバー36に対して軸方向に相対移動可能となる。
第一の縮径テーパ溝202は、図6に示すように、キー溝201から周方向に位相90°ずれた位置に、ドローバー36の下端から軸方向に所定の長さを有し、第一の縮径テーパ溝202の溝底が図6の下方に向かって縮径するように形成されている。この第一の縮径テーパ溝202には、第一のスライド片106が摺動可能に嵌め込まれている。第一の縮径テーパ溝202の溝深さは、ドローバー36の下端側においては第一のスライド片106の摺動部分の径方向肉厚よりも僅かに大きくされ、ドローバー36の上端側においては第一のスライド片106の摺動部分の径方向肉厚とほぼ同程度に形成されている。つまり、ホルダ本体101に対してドローバー36が軸方向に相対移動することに伴って、第一のスライド片106は、ホルダ本体101の径方向に移動する。
具体的には、ドローバー36がホルダ本体101に対して上側から下側に向かって移動する場合には、第一のスライド片106は、ホルダ本体101に対して径方向外方へ移動する。このとき、第一のスライド片106は、第一の可動ピン109を径方向外方に押し出す。その結果、第一の中仕上げ用バイト103のバイト本体103aを径方向外方へ撓み変形させる。つまり、当該動作により、第一の中仕上げ用バイト103のチップ103cの径方向外方端の位置を径方向外方へ移動する。
一方、ドローバー36がホルダ本体101に対して下側から上側に向かって移動する場合には、第一のスライド片106は、ホルダ本体101に対して径方向内方へ移動する。このとき、第一のスライド片106は、バイト本体103aの弾性復帰により、第一の可動ピン109を径方向内方に引き戻す。つまり、当該動作により、第一の中仕上げ用バイト103のチップ103cの径方向外方端の位置を径方向内方へ移動する。
第二の縮径テーパ溝203は、図6に示すように、キー溝201から周方向に位相90°ずれた位置で、第一の縮径テーパ溝202の裏面側の位置に、ドローバー36の下端から軸方向に所定の長さを有し、第二の縮径テーパ溝203の溝底が図6の下方に向かって縮径するように形成されている。この第二の縮径テーパ溝203の形状は、第一の縮径テーパ溝202と同形状である。この第二の縮径テーパ溝203には、第二のスライド片107が摺動可能に嵌め込まれている。第二の縮径テーパ溝203の溝深さは、ドローバー36の下端側においては第二のスライド片107の摺動部分の径方向肉厚よりも僅かに大きくされ、ドローバー36の上端側においては第二のスライド片107の摺動部分の径方向肉厚とほぼ同程度に形成されている。つまり、ホルダ本体101に対してドローバー36が軸方向に相対移動することに伴って、第二のスライド片107は、ホルダ本体101の径方向に移動する。
具体的には、ドローバー36がホルダ本体101に対して上側から下側に向かって移動する場合には、第二のスライド片107は、ホルダ本体101に対して径方向外方へ移動する。このとき、第二のスライド片107は、第二の可動ピン110を径方向外方に押し出す。その結果、第二の中仕上げ用バイト104のバイト本体104aを径方向外方へ撓み変形させる。つまり、当該動作により、第二の中仕上げ用バイト104のチップ104cの径方向外方端の位置を径方向外方へ移動する。
一方、ドローバー36がホルダ本体101に対して下側から上側に向かって移動する場合には、第二のスライド片107は、ホルダ本体101に対して径方向内方へ移動する。このとき、第二のスライド片107は、バイト本体104aの弾性復帰により、第二の可動ピン110を径方向内方に引き戻す。つまり、当該動作により、第二の中仕上げ用バイト104のチップ104cの径方向外方端の位置を径方向内方へ移動する。
拡径テーパ溝204は、図5に示すように、第一,第二の縮径テーパ溝202、203から周方向に位相90°ずれた位置で、キー溝201の裏面側の位置に、ドローバー36の下端から軸方向に所定の長さを有し、拡径テーパ溝204の溝底が図5の下方に向かって拡径するように形成されている。この拡径テーパ溝204には、第三のスライド片108が摺動可能に嵌め込まれている。拡径テーパ溝204の溝深さは、ドローバー36の下端側においては第三のスライド片108の摺動部分の径方向肉厚とほぼ同程度に形成され、ドローバー36の上端側においては第三のスライド片108の摺動部分の径方向肉厚よりも僅かに大きく形成されている。つまり、ホルダ本体101に対してドローバー36が軸方向に相対移動することに伴って、第三のスライド片108は、ホルダ本体101の径方向に移動する。
具体的には、ドローバー36がホルダ本体101に対して下側から上側に向かって移動する場合には、第三のスライド片108は、ホルダ本体101に対して径方向外方へ移動する。このとき、第三のスライド片108は、第三の可動ピン111を径方向外方に押し出す。その結果、精仕上げ用バイト105のバイト本体105aを径方向外方へ撓み変形させる。つまり、当該動作により、精仕上げ用バイト105のチップ105cの径方向外方端の位置を径方向外方へ移動する。
一方、ドローバー36がホルダ本体101に対して上側から下側に向かって移動する場合には、第三のスライド片108は、ホルダ本体101に対して径方向内方へ移動する。このとき、第三のスライド片108は、バイト本体105aの弾性復帰により、第三の可動ピン111を径方向内方に引き戻す。つまり、当該動作により、精仕上げ用バイト105のチップ105cの径方向外方端の位置を径方向内方へ移動する。
回転用モータ38は、図1〜図3に示すように、ドローバー36、37の上端付近であって、主軸頭本体31の図1の手前側に固定されている。この回転用モータ38は、第一,第二の主軸32,33を同時に回転するためのモータである。
回転伝達機構39は、例えば、ギヤ駆動またはベルト駆動からなる。この回転伝達機構39は、回転用モータ38の回転駆動力を、第一,第二の主軸32,33に伝達する。
第一,第二のせり出し用モータ40,41は、主軸頭本体31の上端であって、第一,第二の主軸32,33の直上に固定されている。これら第一,第二のせり出し用モータ40,41は、第一,第二のドローバー36,37を第一,第二の主軸32,33に対して軸方向に相対移動するためのモータである。つまり、第一,第二のせり出し用モータ40,41は、チップ103c、104c、105cの径方向位置を位置決めするためのモータである。
第一,第二のせり出し機構42,43は、第一,第二のせり出し用モータ40,41の回転駆動力をドローバー36,37の軸方向移動に変換するためのものである。具体的には、第一,第二のせり出し機構42、43は、ボールねじ301と、ボールねじナット302と、連結部材303とから構成される。ボールねじ301は、第一,第二のせり出し用モータ40,41に連結され、第一,第二のドローバー36,37と同軸的に主軸頭本体31に設けられている。ボールねじナット302は、ボールねじ301に螺合し、連結部材303に固定されている。連結部材303は、ボールねじナット302とドローバー36,37とを連結している。この連結部材303は、ドローバー36,37との間に、転がり軸受を介して設けられている。つまり、第一,第二のせり出し用モータ40,41が回転すると、ボールねじ301が回転し、ボールねじナット302を主軸頭本体31に対して軸方向に移動させる。このボールねじナット302の移動に伴って、連結部材303が主軸頭本体31に対して軸方向に移動する。このとき、連結部材303は、ドローバー36,37と軸方向に係合しているため、連結部材303の主軸頭本体31に対する軸方向移動に伴って、ドローバー36,37が主軸頭本体31に対して軸方向に移動する。
(制御装置80の詳細構成)
次に制御装置80の詳細構成について、図7を参照して説明する。図7は、制御装置80のブロック構成図である。図7に示すように、制御装置80は、指令部81と、加工制御部82と、計測制御部83と、補正部84とから構成される。
指令部81は、所定のプログラムに基づいて、工作物であるシリンダブロックWの加工および計測に関しての指令を出力する。加工制御部82は、指令部81から出力された指令および補正部84から出力される補正指令に基づいて、加工に必要な各種モータを制御する。具体的には、加工制御部82は、主軸頭30を駆動するZ軸送り用モータ22、回転用モータ38、第一,第二のせり出し用モータ40,41、治具テーブル50のX軸送り用モータを制御する。
計測制御部83は、指令部81から出力された指令に基づいて、加工後の工作物であるシリンダブロックWを計測するための各種モータを制御する。具体的には、計測指令部83は、計測器60を駆動するZ軸送り用モータ、および、計測用テーブル70のX軸送り用モータを制御する。さらに、計測制御部83は、計測器60の計測動作を行わせる。
補正部84は、計測器60による計測結果を入力する。そして、補正部84は、計測結果に基づいて、加工制御部82へ補正指令を出力する。補正指令とは、第一,第二の中仕上げ用バイト103、104の径方向位置および精仕上げ用バイト105の径方向位置の補正を行わしめる指令である。具体的には、計測器60にて計測した加工後のシリンダブロックWのボア部の内径と基準値との差が所定の第一閾値(例えば、2μm)以上となった場合に、次のシリンダブロックWの精仕上げ加工を行う際に、精仕上げ用バイト105の径方向位置を基準値との差分がゼロとなるように補正する。この精仕上げ用バイト105の径方向位置の補正を数回繰り返した後に、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正を行う。
(中ぐり加工装置による穴加工方法)
次に、上述した中ぐり加工装置を用いた穴加工方法について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、中ぐり加工装置を用いた穴加工方法を示すフローチャートである。図9は、加工制御部82による加工処理を示す工程図である。図10は、制御装置80を構成する補正部84による補正処理を示し、精仕上げ補正回数に対する補正量累積値の関係を示すグラフである。
図8に示すように、中ぐり加工装置に搬入されてきた工作物であるシリンダブロックWの加工処理を行う(加工工程:S1)。この加工処理は、図9に示すように、まず、シリンダブロックWをクランプした治具テーブル50を所定位置に位置決めする。このとき、ドローバー36,37を軸方向下側へ移動させる(S11)。この動作に伴って、中仕上げバイト103,104が径方向外方に移動し、且つ、精仕上げ用バイト105が径方向内方に移動する。このとき、最も径方向外方に突出しているチップは、荒加工用バイト102のチップであり、その次に径方向外方に突出しているチップは、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cであり、最も径方向内方に位置しているチップは、精仕上げ用バイト105のチップ105cである。ここで、後述する補正処理により、中仕上げ用バイト103,104に対する補正指令が出力されている場合には、その補正量に応じた軸方向位置にドローバー36,37を位置決めする。つまり、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの径方向外方端の位置を補正する。
続いて、工具ホルダ34,35を、軸回りに回転させながら、早送りにより下降させて、工作物Wに接近させる(S12)。
続いて、シリンダブロックWの1気筒目と3気筒目のボア部に、工具ホルダ34,35をそれぞれ挿入する(S13)。このとき、荒加工用バイト102のチップ102cは、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cより、僅かに軸方向下側に位置している。そのため、工具ホルダ34,35が挿入されるボア部は、荒加工用バイト102のチップ102により荒加工が行われ、その直後に中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cにより中仕上げ加工が行われる。
続いて、全てのチップ102c〜105cがボア部の下端開口から飛び出した後に、ドローバー36,37を引き上げる(S14)。この動作に伴って、中仕上げバイト103,104が径方向内方に移動し、且つ、精仕上げバイト105が径方向外方に移動する。このとき、最も径方向外方に突出しているチップは、精仕上げ用バイト105のチップ105cであり、その次に径方向外方に突出しているチップは、荒加工用バイト102のチップ102cであり、最も径方向内方に位置しているチップは、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cである。ここで、後述する補正処理により、精仕上げ用バイト105に対する補正指令が出力されている場合には、その補正量に応じた軸方向位置にドローバー36,37を位置決めする。つまり、精仕上げ用バイト105のチップ105cの径方向外方端の位置を補正する。
続いて、シリンダブロックWの1気筒目と3気筒目のボア部に挿入されている工具ホルダ34,35をそれぞれ引き上げる(S15)。このとき、径方向外方に最も突出している精仕上げ用バイト105のチップ105cにより、ボア部の精仕上げ加工が行われる。
続いて、全てのチップ102c〜105cがボア部の上端開口から飛び出した後に、工具ホルダ34,35を、軸回りに回転させた状態を維持しながら、早戻しにより上昇させて、工作物Wから離間させる(S16)。
続いて、ドローバー36,37を押し下げる(S17)。この動作に伴って、中仕上げバイト103,104が径方向外方に移動し、且つ、精仕上げバイト105が径方向内方に移動する。このときも、補正処理による中仕上げ用バイト103,104の補正量を考慮して、ドローバー36,37の位置決めが行われる。
同時に、治具テーブル50を移動させて、工具ホルダ34,35の直下に、シリンダブロックWの2気筒目と4気筒目のボア部が位置するようにする(S17)。
続いて、工具ホルダ34,35を、早送りにより下降させて、工作物Wに接近させる(S18)。
続いて、シリンダブロックWの2気筒目と4気筒目のボア部に、工具ホルダ34,35をそれぞれ挿入する(S19)。上述したステップS13と同様の処理である。つまり、2気筒目と4気筒目のボア部は、荒加工用バイト102のチップ102cにより荒加工が行われ、その直後に中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cにより中仕上げ加工が行われる。
続いて、全てのチップ102c〜105cがボア部の下端開口から飛び出した後に、ドローバー36,37を引き上げる(S20)。この動作に伴って、中仕上げバイト103,104が径方向内方に移動し、且つ、精仕上げバイト105が径方向外方に移動する。このときも、補正処理による精仕上げ用バイト105の補正量を考慮して、ドローバー36,37の位置決めが行われる。
続いて、シリンダブロックWの2気筒目と4気筒目のボア部に挿入されている工具ホルダ34,35をそれぞれ引き上げる(S21)。このとき、径方向外方に最も突出している精仕上げ用バイト105のチップ105cにより、ボア部の精仕上げ加工が行われる。
続いて、全てのチップ102c〜105cがボア部の上端開口から飛び出した後に、工具ホルダ34,35を、軸回りに回転させた状態を維持しながら、早戻しにより上昇させて、工作物Wから離間させる(S22)。そして、加工を終了したシリンダブロックWを計測器60の計測用テーブル70へ搬出して、次に搬入されてきたシリンダブロックWに対して加工処理を行う。
図8に戻り説明する。シリンダブロックWの加工処理が終了すると、続いて計測器60による計測処理を行う(S2)。計測器60により、精仕上げ加工まで終了したシリンダブロックWの2気筒目と4気筒目のボア部の内径を計測する。
計測処理が終了すると、次にシリンダブロックWの加工に際して、補正処理を行う(S3)。具体的には、2気筒目のボア部の計測結果により、第一の工具ホルダ34の各バイト103〜105を補正し、4気筒目のボア部の計測結果により、第二の工具ホルダ35の各バイト103〜105を補正する。それぞれの補正処理のさらなる詳細については、図10を参照して説明する。ここで、精仕上げ用バイト105を補正するための所定の第一閾値は、2μmとして説明する。
まず、複数個のシリンダブロックWの加工を終了した状態において、計測器60による計測結果と基準値との差が2μmとなるとする。この場合に、当該差は所定の第一閾値(2μm)以上であるので、精仕上げ加工を行う際に(図9のS15およびS21)、精仕上げ用バイト105の径方向位置を差分2μmだけ、径方向外方に移動させる(精仕上げ補正1回目)。精仕上げ補正2回目:3μm、精仕上げ補正3回目:3μmを行う。この時点における精仕上げ用バイト105の補正量累積値は、8μmとなる。
ここで、中仕上げ用バイト103,104の補正は、精仕上げ用バイト105の補正量累積値が所定の第二閾値(例えば、10μm)以上となった場合に、次のシリンダブロックWの中仕上げ加工を行う際に(図9のS13およびS19)、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置を基準値に近づけるように、5μm補正する。ただし、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正は、基準値との差がゼロとなるように補正せず、必ず、基準値との差が正となるように補正する。ここでは、精仕上げ用バイト105の補正量累積値が10μm以上となった場合に、中仕上げ用バイト103,104を5μmだけ基準値側に近づけるように補正する。
そして、精仕上げ補正3回目では、精仕上げ用バイト105の補正量累積値がまだ10μmに達していないため、この時点では、中仕上げ用バイト103,104の補正は行われない。その後、精仕上げ用バイト105の4回目の補正で、精仕上げ用バイト105の補正量が3μmとなることで、補正量累積値が11μmとなる。つまり、精仕上げ用バイト105の補正量累積値が10μm以上となる。このとき、次の中仕上げ加工を行う際に、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置を5μmだけ径方向外方へ移動させる。
場合によっては、精仕上げ用バイト105の補正は、補正5回目に示すような、負の補正となることもある。この理由は、例えば、計測バラツキなどが影響しているものと考えられる。中仕上げ用バイト103,104の補正は、精仕上げ用バイト105の補正量累積値に基づくため、当該負の補正は負としてカウントする。
このように、精仕上げ用バイト105の補正は、きめ細かな補正としていることにより、精仕上げ用バイト105のチップ105cが磨耗したとしても、精仕上げ加工後の加工精度をより基準値に近い状態とすることができる。一方、中仕上げ用バイト103,104の補正は、精仕上げ用バイト105に比べると、頻度も少ない。さらに、中仕上げ用バイト103,104の補正量は、精仕上げ加工後の計測値と基準値との差よりも小さい。
この理由は、中仕上げ用バイト103,104の補正は、中仕上げ加工後の工作物Wを計測した結果に基づき行われるのではなく、精仕上げ用バイト105の補正量累積値に基づいて行っている。つまり、間接的に中仕上げ用バイト103,104の補正量を推定した上で、中仕上げ用バイト103,104の補正を行っている。このように間接的な補正量であるため、中仕上げ用バイト103,104の補正が高精度とはいえない。
さらに、精仕上げ後の加工精度を良好にするためには、中仕上げ用バイト103,104による加工径が、精仕上げ用バイト105による加工径より大きくならないようにする必要がある。そこで、上述したように中仕上げ用バイト103,104の補正を行っている。
以上説明した本実施形態の中ぐり加工装置によれば、以下の効果を奏する。中仕上げ用バイト103,104と精仕上げ用バイト105の二種類のバイトを、ホルダ本体101に対して径方向に移動可能な構成としている。従って、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c、104cが摩耗した場合には、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置を補正し、精仕上げ用バイト105のチップ105cが摩耗した場合には、精仕上げ用バイト105の径方向位置を補正することができる。従って、精仕上げ加工工程における精仕上げ用バイト105のチップ105cによる取り代の変化を、従来に比べて抑制できる。これにより、精仕上げ用バイト105のチップ105cの寿命を向上することができる。
さらに、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cによる取り代が工作物Wによって変化することを抑制でき、且つ、精仕上げ用バイト105のチップ105cによる取り代が工作物Wによって変化することを抑制できる。従って、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cと精仕上げ用バイト105のチップ105cを、ほぼ同時期の寿命となるように設定することができる。つまり、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの交換と精仕上げ用バイト105のチップ105cの交換を同時に行うようにできるため、設備の停止時間を短縮できる。
さらに、工作物Wの計測は最終工程である精仕上げ加工工程の後のみに行い、この計測結果により中仕上げ用バイト103,104と精仕上げ用バイト105の径方向位置を補正している。つまり、1回の計測回数で、中仕上げ用バイト103,104と精仕上げ用バイト105の径方向位置を補正している。これにより、計測回数を従来に比べて増加させる必要がない。従って、サイクルタイムが長期化することを防止できる。
ここで、精仕上げ加工工程後に計測した結果に基づいて、中仕上げ加工工程における中仕上げ用バイト103,104の補正を行っている。しかし、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの摩耗量は、精仕上げ用バイト105のチップ105cの摩耗量にほぼ比例するため、精仕上げ用バイト105のチップ105cの摩耗量を計測することができれば、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの摩耗量をある程度推測できる。従って、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置を、精仕上げ加工工程後の計測に基づいて補正することで、十分な精度を得ることができる。
また、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正量累積値は、精仕上げ用バイト105の径方向位置の補正量累積値に基づいて決定している。これにより、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正量累積値を十分に適切な値とすることができる。上述したように、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの摩耗量と精仕上げ用バイト105のチップ105cの摩耗量とはほぼ比例する。そして、精仕上げ用バイト105のチップ105cの摩耗量は、実質的に、精仕上げ用バイト105の径方向位置の補正量累積値に相当する。つまり、精仕上げ用バイト105の径方向位置の補正量累積値を参照した上で、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正量累積値を決定しているため、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの摩耗量を直接計測することなく、十分な精度で中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正量累積値を決定することができる。
また、中仕上げ用バイト103,104の径方向位置の補正量累積値を、精仕上げ用バイト105の径方向位置の補正量累積値より小さく設定している。これにより、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cが、精仕上げ用バイト105のチップ105cにより加工すべき加工径を超えて加工することを防止できる。これにより、不良品の工作物Wを出すことを防止できる。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態の中ぐり加工装置について説明する。第一実施形態の中ぐり加工装置においては、荒加工用バイト102はホルダ本体101に固定した。第二実施形態においては、この荒加工用バイト102を、中仕上げ用バイト103と同様に、ホルダ本体101に対して径方向に移動可能な構成とする。
この場合、第一実施形態における荒加工用バイト102、ホルダ本体101のうち荒加工用バイト102付近の構成、および、ドローバー36,37の荒加工用バイト102付近の構成を、第一実施形態における中仕上げ用バイト103に相当する各構成に変更する。つまり、ドローバー36,37を上側から下側に引き上げると、荒加工用バイト102は、中仕上げ用バイト103,104と同様に、径方向外方に移動する。反対に、ドローバー36,37を下側から上側へ押し下げると、荒加工用バイト102は、中仕上げ用バイト103,104と同様に、径方向内方に移動する。これにより、中仕上げ用バイト103,104のチップ103c,104cの寿命を向上させることができる。
<第三実施形態>
上記第一実施形態の中ぐり加工装置においては、計測用テーブル70をX軸方向に移動させることで、計測器60によりシリンダブロックWの2気筒目と4気筒目のボア部を計測することとした。そして、補正部84は、第一の工具ホルダ34により加工した部位の後の方である2気筒目のボア部の計測結果に基づいて、第一の工具ホルダ34の各バイト103〜105を補正した。一方、補正部84は、第二の工具ホルダ35により加工した部位の後の方である4気筒目のボア部の計測結果に基づいて、第二の工具ホルダ35の各バイト103〜105を補正した。
これに対して第三実施形態では、計測器60は、シリンダブロックWの2気筒目のみの内径を計測し、補正部84がこの計測結果に基づいて第一、第二の工具ホルダ34,35の各バイト103〜105を補正するようにしてもよい。この場合、計測器60に対してシリンダブロックWの位置をX軸方向に移動させる必要がないため、計測用テーブル70は不要となる。従って、装置の簡易化を図ることができる。さらに、計測用テーブル70の移動を行う時間を不要とすることができるため、サイクルタイムの短縮を図ることもできる。ただし、上述した第一実施形態のように、それぞれの工具ホルダのバイトにより加工した部位を計測して、それぞれ補正する方が、より高精度な加工が可能となる。
本実施形態の中ぐり加工装置の正面図である。 本実施形態の中ぐり加工装置の右側面図である。 図1のA−A拡大断面図である。 図3のB−B拡大断面図である。 図4のC−C断面図を90°右回りに旋回した状態の図である。 図4のD−D断面図である。 本実施形態の制御装置80のブロック構成図である。 本実施形態の中ぐり加工装置を用いた穴加工方法を示すフローチャートである。 加工制御部82による加工処理を示す工程図である。 制御装置80を構成する補正部84による補正処理を示し、精仕上げ補正回数に対する補正量累積値の関係を示すグラフである。
符号の説明
10:ベッド
20:コラム
21:コラム本体、 21a:ガイドレール、 22:Z軸送り用モータ
30:主軸頭、 31:主軸頭本体、 31a:貫通孔
32,33:第一,第二の主軸、 34,35:第一,第二の工具ホルダ
36,37:第一,第二のドローバー、 38:回転用モータ、 39:回転伝達機構
40,41:第一,第二のせり出し用モータ、 42,43:第一,第二のせり出し機構
50:治具テーブル、 60:計測器、 70:計測用テーブル
80:制御装置
81:指令部、 82:加工制御部、 83:計測制御部、 84:補正部
101:ホルダ本体、 102:荒加工用バイト
103,104:第一,第二の中仕上げ用バイト、 105:精仕上げ用バイト
106〜108:第一〜第三のスライド片、 109〜111:第一〜第三の可動ピン
112:回転規制ピン、 113:キャップ
101a〜101d:切欠き、 101e〜101h:貫通孔
102a、103a、104a、105a:バイト本体
102b、103b、104b、105b:取付ボルト
102c、103c、104c、105c:チップ
103d、104d、105d:可撓部
201:キー溝、 202、203:第一,第二の縮径テーパ溝
204:拡径テーパ溝

Claims (6)

  1. ホルダ本体の外周面にバイトが設けられた工具ホルダを備え、前記工具ホルダを軸心回りに回転させながら工作物に対して相対的に軸方向へ送ることによって前記工作物の穴を加工する中ぐり加工装置において、
    前記ホルダ本体と、
    前記ホルダ本体の外周面に設けられ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられ、且つ、第一の加工工程にて前記工作物の穴を加工する第一のバイトと、
    前記ホルダ本体の外周面に設けられ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられ、且つ、前記第一の加工工程後に行う第二の加工工程にて前記工作物の穴を加工する第二のバイトと、
    前記第二の加工工程後に前記工作物の穴を計測する計測手段と、
    次の前記工作物の穴を加工する際に、前記計測手段による計測結果に基づいて、前記第一の加工工程における前記第一のバイトの径方向位置および前記第二の加工工程における前記第二のバイトの径方向位置をそれぞれ補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする中ぐり加工装置。
  2. 請求項1において、
    前記補正手段は、前記第二のバイトの径方向位置の補正量累積値に基づいて、前記第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を決定することを特徴とする中ぐり加工装置。
  3. 請求項2において、
    前記補正手段は、前記第一のバイトの径方向位置の補正量累積値を、前記第二のバイトの径方向位置の補正量累積値より小さく設定することを特徴とする中ぐり加工装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項において、
    前記工作物の穴の加工工程は、前記工作物の穴を精仕上げ加工する精仕上げ加工工程と、前記精仕上げ加工工程の直前に行う中仕上げ加工工程とを含み、
    前記第一の加工工程は、前記中仕上げ加工工程であり、
    前記第二の加工工程は、前記精仕上げ加工工程であることを特徴とする中ぐり加工装置。
  5. 請求項1〜3の何れか一項において、
    前記工作物の穴の加工工程は、前記工作物の穴を精仕上げ加工する精仕上げ加工工程と、前記精仕上げ加工工程の直前に行う中仕上げ加工工程と、前記中仕上げ加工工程の直前に行う荒加工工程とを含み、
    前記第一の加工工程は、前記中仕上げ加工工程および前記荒加工工程であり、
    前記第二の加工工程は、前記精仕上げ加工工程であり、
    前記第一のバイトは、前記中仕上げ加工工程にて前記工作物の穴を加工する中仕上げバイトと、前記荒加工工程にて前記工作物の穴を加工する荒加工バイトとを含むことを特徴とする中ぐり加工装置。
  6. ホルダ本体の外周面にバイトが設けられた工具ホルダを用いて、前記工具ホルダを軸心回りに回転させながら工作物に対して相対的に軸方向へ送ることによって前記工作物の穴を加工する穴加工方法において、
    前記ホルダ本体の外周面に設けられ、且つ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられる第一のバイトにより、前記工作物の穴を加工する第一の加工工程と、
    前記ホルダ本体の外周面に設けられ、且つ、前記ホルダ本体に対して前記ホルダ本体の径方向に移動可能に設けられる第二のバイトにより、前記第一の加工工程後に前記工作物の穴を加工する第二の加工工程と、
    前記第二の加工工程後に前記工作物の穴を計測手段により計測する計測工程と、
    を備え、
    前記第一の加工工程は、次の前記工作物の穴を加工する際に、前記計測手段による計測結果に基づいて、前記第一のバイトの径方向位置を補正して前記工作物の穴を加工し、
    前記第二の加工工程は、次の前記工作物の穴を加工する際に、前記計測手段による計測結果に基づいて、前記第二のバイトの径方向位置を補正して前記工作物の穴を加工することを特徴とする穴加工方法。
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