JP5206946B2 - ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物層とポリプロピレン樹脂組成物層からなる多層フィルム及び包装体 - Google Patents
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Description
そこで、例えば特許文献1は、この問題を解決するためにポリプロピレンに高密度ポリエチレンを配合したものを用いることが提案されている。
また、特許文献2では、このポリプロピレンに、エチレン・α−オレフィン共重合体を配合することが提案されている。
具体的には、特許文献3〜5に記載された、3環体以上のノルボルネン単量体の繰り返し単位を含有する結晶性のノルボルネン単量体開環重合体水素添加物が知られている。これらの文献に記載のノルボルネン単量体開環重合体水素添加物から得られる樹脂フィルム又はシートは、透明性、耐熱性及び耐薬品性に優れ、機械的特性にも優れるものである。
しかし、これらの文献には、その具体的なポリマーの物性については記載されていない。また、具体的に開示された重合体のうち、分子量が大きく、分子量分布が狭い重合体は、フィルム成形する際において、高剪断速度における剪断粘度が高いため、メルトフラクチャーが生じやすく、表面の平滑なフィルムを得ることが困難であった。また、分子量が小さい重合体は、成形フィルムの引っ張り破断伸びが小さく、フィルムにした際の機械的特性に問題があった。さらに、水素添加率が必ずしも十分でないため、この重合体を成形して得られる成形体に焼けが生じ易い等の問題もあった。
本発明者らは、上記課題を解決すべくポリプロピレンへの配合剤について鋭意検討した結果、環状オレフィン樹脂としてある種の結晶性環状オレフィン樹脂を用い、また、プロピレン樹脂に芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物を配合した場合に、層間接着強度が高く積層フィルムを得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の課題は、層間接着強度が高く、包装体用フィルムとして用いることのできる、結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物層と、ポリプロピレン樹脂組成物層との多層フィルムを提供することにある。
2−ノルボルネンを90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類を10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有する樹脂組成物(A)からなる層と、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)からなる層が、直接積層されてなる層を少なくとも一組有する多層フィルムが提供される。
また、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)において、
(1)該芳香族ビニル−共役ジエン共重合体がランダム共重合体であり、
(2)該ポリプロピレン樹脂組成物(B)中の(ポリプロピレン)/(芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物)の重量比が95/5〜60/40の範囲にあり、
(3)該芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の共役ジエン化合物由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合が60重量%以上である、
もしくは、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)において、
(1)該芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、
(1−1)芳香族ビニルブロック(I)と共役ジエンブロック(II)からなり、
(1−2)該共役ジエンブロック(II)が、共役ジエン化合物由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合が40重量%以上であり、
(1−3)該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の、該芳香族ビニルブロック(I)の割合が15〜55重量%の範囲であり、
(2)該ポリプロピレン樹脂組成物(B)中の(ポリプロピレン)/(芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体水素化物)の重量比が85/15〜60/40の範囲であると好ましく、該多層フィルムが結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂組成物(B)を共押出ししてなるものであるとより好ましい。
さらに、該多層フィルムからなる包装体が提供される。
本発明に用いる結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物は、2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)が90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類が10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られ、融点は110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量は50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量は1.5〜10.0である。特に開環重合後の水素添加によって、開環重合体の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素添加することにより得られるものが好ましい。
置換基含有ノルボルネン単量体としては、分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しないノルボルネン単量体、及び3環以上の多環式ノルボルネン単量体等が挙げられる。
テトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセン等の環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。また、(a)成分:第三成分がモル比で、通常1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
開環重合を行う温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃で重合を行う。温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、特に制限はなく、通常1分間〜100時間である。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とするノルボルネン単量体開環重合体を単離することができる。
また後述するように、開環重合を行った反応溶液に水素添加触媒を添加して、ノルボルネン単量体開環重合体を単離することなく、連続的に水素添加反応を行うこともできる。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
触媒の使用量は、ノルボルネン単量体開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素添加速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
結晶性ノルボルネン単量体開環重合体の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRにより測定して求めることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
Mwがこの範囲にあると、成形加工し易く、得られた成形体は十分な機械的特性を有するため好ましい。一方、Mwが高すぎると成形し難く、フィルム、シートにした場合、膜厚ムラを生じ易い。また、Mwが低すぎると成形体の機械的特性が低下するおそれがある。
Mw/Mnが狭すぎると、該重合体の温度に対する溶融粘度が敏感に変化し易くなるため、成形品の加工性が悪化し、厚みムラが発生するおそれがある。また、Mw/Mnが広すぎると、成形品の機械的特性が低下するおそれがある。ちなみに、Mnは1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算として測定した数平均分子量である。
本発明においてメルトマスフローレイト(MFR)は、温度230℃、荷重21.18Nの条件でJIS K 6719に準じ測定した値である。
融点が上記の範囲にあると、成形品の耐熱性に優れるため好ましい。特に、融点が130〜145℃の範囲においては、医療用成形品において行われるスチーム滅菌にも耐えうるため好ましい。
なお、結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の融点は、結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の分子量、分子量分布、異性化率、組成比率などにより制御できる。
ちなみに、31.8ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のもの、33.0ppmピークは、該重合体中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
分散助剤としては、シラン系又はチタン系カップリング剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
分散剤としてはビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤、有機金属塩系分散剤等が挙げられる。
難燃剤としては、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マグネシウムの炭酸塩、赤リン等が挙げられる。
例えば、前記結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物と必要に応じて用いる配合剤とをヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダーなどの混合器を用いて混合する方法;または更にこの混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどにより溶融混練する方法;前記結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の溶液に、必要に応じて用いる配合剤を溶解した溶液を添加して分散させた後、凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法;開環(共)重合反応、又は水素添加反応の段階に必要に応じて用いる配合剤を混合する方法;などが挙げられる。
本発明に用いられるポリプロピレン樹脂組成物(B)は、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物または芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物と、ポリプロピレンとを含有してなる。
本発明に用いられる、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物とは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体であって、共重合体中のランダム共重合部分が50重量%以上である共重合体の共役ジエン由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合を水素化したものである。
本発明において、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の共役ジエン由来の構造単位とは、重合に用いる共役ジエン化合物に由来する構造単位である。
ランダム共重合部分の割合がこの範囲にあると、得られる多層フィルムの柔軟性が優れる。
また、芳香族ビニル由来の芳香族環の水素化率は、通常50%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である。
水素化率がこの範囲にあると、得られる多層フィルムの透明性、機械的強度、耐熱性、耐候性が優れる。
共役ジエン由来の構造単位中の、1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合がこの範囲にあると、得られる多層フィルムの柔軟性が優れる。
本発明において、共役ジエン由来の構造単位中の、1,2−付加重合由来の構造単位とは、例えば、共役ジエン化合物としてイソプレンを用いた場合に、1,2−付加重合して得られる式(3)で表される構造単位である。
共役ジエン化合物由来の構造単位と芳香族ビニル化合物由来の構造単位の割合は、赤外分析法により679cm−1のフェニル基に基づく吸収について検量線を作成し求めることができる。
ルイス塩基としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル;テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、トリブチルアミンなどのアミン;などが挙げられる。
数平均分子量がこの範囲にあると、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物の成形加工性に優れ、また、該水素化物をペレット化した場合ブロッキングしずらく、ポリプロピレンとブレンドした場合に、機械的強度、成形外観、及び得られるフィルムの成形加工性が優れる。
MFRがこの範囲にあると、得られるポリプロピレン樹脂組成物(B)の押出性、製層性が優れる。
本発明において、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物のMFRは、JIS K 6758(230℃、荷重21.18N)に準拠して測定した値である。
本発明に用いられる、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物とは、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を水素化したものである。
前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニルブロック(I)と共役ジエンブロック(II)からなる、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体である。
芳香族ビニル化合物を2種以上組み合わせて用いた場合、共役ジエンブロック(II)は、2種以上の芳香族ビニル化合物をランダム共重合したものであっても、ブロック共重合したものであっても、テーパード共重合したものであってもよい。
共役ジエン化合物を2種以上組み合わせて用いた場合、共役ジエンブロック(II)は、2種以上の共役ジエン化合物をランダム共重合したものであっても、ブロック共重合したものであっても、テーパード共重合したものであってもよい。
また、共役ジエン化合物の組み合わせがイソプレンと1,3−ブタジエンである場合、共役ジエンブロック(II)の全構造単位中のイソプレン由来の構造単位の割合は、60%以上であると好ましい。イソプレン由来の構造単位の割合がこの範囲にあると、得られる多層フィルムは透明性に優れる。
有機リチウム化合物の使用割合は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対し、0.005〜0.2重量部である。
カップリング剤の使用割合は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対し、0.04〜0.8重量部である。
溶媒としては重合開始剤に対し不活性な有機溶媒であれば特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼンなどが挙げられる。
例えば、芳香族ビニルブロック(I)と共役ジエンブロック(II)が、((I)−(II))n、(II)−((I)−(II))n、((I)−(II))n−(I)で示されるブロック態様である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体が挙げられる。ここで、nは1以上の整数である。
中でも、(I)−(II)−(I)で示されるブロック態様の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体が好ましい。
共役ジエンブロック(II)の数平均分子量は、用いる共役ジエン化合物と開始剤のモル比によって、調節することができる。
本発明において、共役ジエンブロック(II)の1,2−付加重合由来の構造単位とは、共役ジエン化合物が1,2−付加重合して得られる構造単位であり、例えば、共役ジエン化合物として2−メチル−1,3−ペンタジエンを用いた場合に、1,2−重合して得られる、(1−メチル−1−ビニル)エチレンで示される構造単位である。
共役ジエンブロック(II)の3,4−付加重合由来の構造単位とは、共役ジエン化合物が3,4−付加重合して得られる構造単位であり、例えば、共役ジエン化合物として2−メチル−1,3−ペンタジエンを用いた場合に、3,4−重合して得られる、1−(1−メチル−1―ビニル)エチレンで示される構造単位である。
共役ジエンブロック(II)の1,4−付加重合由来の構造単位とは、共役ジエン化合物が1,4−付加重合して得られる構造単位であり、例えば、共役ジエン化合物として2−メチル−1,3−ペンタジエンを用いた場合に、1,4−重合して得られる、2−メチル−2−ブテニレンで示される構造単位である。
共役ジエンブロック(II)の、共役ジエン化合物由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合は、赤外分析法を用い、モレロ法により算出することができる。
ルイス塩基としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ピリジン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン等のアミン系化合物;などが挙げられる。
これらのルイス塩基の使用量は重合開始剤のリチウム1モルに対して通常0.1〜1000モルの範囲で用いられる。
水素化触媒としては、ラネーニッケル、あるいはPt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、珪藻土等の担体に担持させたもの等の不均一触媒、または遷移金属とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒などが挙げられる。
水素化反応は通常、溶媒中で行い、水素圧は大気圧〜20MPa、反応温度は常温〜250℃、反応時間は0.1〜100時間である。
また、芳香族ビニルブロック(I)中の芳香族環の水素化率は、通常40%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である。
共役ジエンブロック(II)中の炭素−炭素二重結合の水素化率及び芳香族ビニルブロック(I)中の芳香族環の水素化率がこの範囲にあると、得られる多層フィルムの透明性、機械的強度、耐熱性、耐候性に優れる。
MFRがこの範囲にあると、得られるポリプロピレン樹脂組成物(B)の押出性、製層性に優れる。
本発明において、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物のMFRは、JIS K 6719に準拠して、230℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。
本発明に用いられるポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であっても、プロピレンとエチレンまたは/及び炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム、ブロック共重合体などの共重合体であっても良い。
ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。前記ランダム共重合体中におけるプロピレン由来の構造単位(プロピレン単位)の割合は、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。
前記ブロック共重合体中におけるプロピレン単位の割合は、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。
またポリプロピレンの製造方法は特に制限されない。
ポリプロピレンのメルトマスフローレイト(MFR)は特に限定されないが、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.5〜20g/10分、特に好ましくは0.5〜10g/10分、最も好ましくは1〜5g/10分である。
MFRがこの範囲にあると、得られるポリプロピレン樹脂組成物(B)の押出性、製層性に優れる。
本発明において、ポリプロピレンのMFRは、JIS K 6719に準拠して230℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。
中でも、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物と、ポリプロピレンの割合(重量比)が、80/20〜60/40の範囲にあると好ましく、75/25〜65/35の範囲にあるとより好ましい。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物と、ポリプロピレンの割合(重量比)がこの範囲にあると、樹脂組成物の成形性、得られる多層フィルムの透明性及び層間接着強度に優れる。
例えば、前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物、ポリプロピレン、及び必要に応じて用いる配合剤をヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダーなどの混合器を用いて混合する方法が挙げられる。
配合剤としては、結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物(A)に用いることができるものとして例示した配合剤のうち、ポリプロピレン及び芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物を除く配合剤が挙げられる。
本発明の多層フィルムは、結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物(A)からなる層と、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)からなる層が、直接積層されてなる層を少なくとも一組有する。
(1)結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物(A)及びポリプロピレン樹脂組成物(B)を用いて、成形と積層を同時に行う、共押出Tダイ法(マルチマニホールド型、フィードバック型)、共押出インフレーション法(ダイ内接着法、ダイ外接着法)、共押出ラミネーション法などの共押出し法;(2)結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物(A)からなる層(以下、層(FA))と略す場合がある)と芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の共役ジエン部分の水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)からなる層(以下、層(FB))と略す場合がある)をそれぞれ成形した後、層(FA)と層(FB)を熱プレスする熱プレス法;(3)真空ラミネート法;(4)熱ラミネート法;などが挙げられる。
共押出法と熱プレス法では、層間接着強度の点で、熱プレス法が優れているが、本発明の多層フィルムは、共押出法であっても、層間接着強度が十分に高いので、生産性の高い共押出法で積層することが好適である。
積層態様としては、層(FA)/層(FB)、層(FB)/層(FA)/層(FB)、層(FA)/層(FB)/層(FA)、層(FA)/層(FB)/層(FC)、層(FC)/層(FA)/層(FB)などがあげられる。
他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びフッ素系樹脂などが挙げられる。
層(FA)、層(FB)の厚さは特に限定されないが、層(FA)、層(FB)ともそれぞれ5〜500μmの範囲であることが好ましく、更に10〜300μmの範囲であると特に好ましい。厚さがこの範囲にあると、多層フィルムの透明性、機械強度に優れる。
層(FA)、層(FB)の厚さの比は特に限定されないが、例えば層(FA)/層(FB)が、1/100〜100/1であることが好ましい。
延伸する方法は、特に限定されず、例えばロール方式、テンター方式、及びチューブ方式のいずれの方式で行うこともできる。
延伸温度は、未延伸フィルムを構成している結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物の融点よりも0〜60℃、好ましくは10〜40℃高い温度であることが好ましい。
本発明においては、一軸又は二軸延伸のどちらでも良いが、一軸延伸(横方向;TD方向)に延伸するのが好ましい。延伸倍率は特に限定されないが、TD方向に1.2〜10.0倍の範囲であると好ましく、2.0〜6.0倍の範囲であるとより好ましい。
一軸延伸においても必要に応じて、例えば長さ方向(縦方向;MD方向)にも、低い延伸倍率(例えば1.5倍以下)で延伸処理を施すことができる。本発明の多層フィルムは、このように、一方向のみ延伸された一軸延伸フィルム、及び主に一方向に延伸され、且つ該方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムが含まれる。
印刷加工の方法は特に限定されず公知の方法を使用すればよく、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷が挙げられる。印刷に適用される印刷インキの種類は、前記印刷の方法により適宜最適なものを選択して使用すればよいが、例えば、凸版インキ、フレキソインキ、ドライオフセットインキ、グラビアインキ、グラビアオフセットインキ、オフセットインキ、スクリーンインキが挙げられる。
また、インクの密着性を高める目的で、印刷インキを使用する前に印刷される層に対し予め表面処理を施しておくことが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、エンボス加工処理、サンドマット加工処理、梨地加工処理などが挙げられる。
本発明の多層フィルムは層間接着性高く、又、透明性、防湿性、及びガスバリヤー性に優れているので、包装体及び包装体の材料として用いることができる。
被包装物としては、電子材料、薬剤、輸液、医療器具、デンタル用具、医療用容器、食品、日用品、雑貨などが挙げられる。
本発明の包装体は、層間接着性、透明性、防湿性、及びガスバリヤー性が特に優れているので、錠剤、カプセル剤、粉剤、固体状又は液体状の薬剤;米菓、スナック、クッキーなどの食品;特定保険食品;タバコ;ティーバッグ;などを被包装物とする包装体として好適である。
包装形態としては、バッグ、パック、プレス・スルー・パッケージ、ブリスターパック、手ひねり、ラッピング、シュリンクラベル、イージーピールなどのフィルム;テトラパック、牛乳パック、ラミネートチューブなどのフィルムにより組み立てられる容器;などが挙げられる。
(1)ノルボルネン単量体開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
トルエンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置としては、東ソー社製GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020)を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製の標準ポリスチレン、Mw=500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5480000の計8点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、カートリッジフィルター(孔径0.5μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン製フィルター)でろ過して調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHHR・Hを2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
1,2,4−トリクロロベンゼンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として140℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8121GPC/HTを用いた。
標準ポリスチレンとしては、東ソー社製標準ポリスチレン、Mw=988、2580、5910、9010、18000、37700、95900、186000、351000、889000、1050000、2770000、5110000、7790000、20000000の計16点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、140℃にて測定試料を1,2,4−トリクロロベンゼンに加熱溶解させて調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel GMHHR・H(20)HTを3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量300μml、カラム温度140℃の条件で行った。
溶媒として重クロロホルムを用いて、1H−NMRにより測定した。
溶媒として重クロロホルムを用い、13C−NMRにより測定した31.8ppm及び33.0ppmのピーク値から、式[(33.0ppmピーク積分値)/(31.8ppmピーク積分値+33.0ppmピーク積分値)]×100により算出した。
31.8ppmのピークは、開環重合体水素添加物中の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のシス体由来のものであり、33.0ppmのピークは、開環重合体水素添加物の2−ノルボルネン由来の繰り返し単位のトランス体由来のものである。
示差走査熱量分析計(製品名「DSC6220SII」、ナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121に基づき、試料を融点より30℃以上に加熱した後、冷却速度−10℃/分で室温まで冷却し、その後、昇温速度10℃/分で昇温する過程で測定した。
(6)共役ジエン化合物由来の全構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合
赤外分析法を用い、モレロ法により算出した。
(7)メルトマスフローレイト(MFR)
温度230℃、荷重21.18Nの条件でJIS K 6719に準じ測定した。
(8)層間接着強度
多層フィルムから長さ150mm×幅15mmの大きさにサンプルを切り取り、万能引張圧縮試験機(製品名「TCM200」、新興通信工業社製)を用いて、引張速度50mm/分の条件で、180°剥離試験を行った。このときの荷重が平衡に達した時点での荷重の平均を層間接着強度(単位:N/15mm)とした。
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.30部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、イソブチルアルコール0.075部を室温で反応器に入れ混合した後、55℃に保ちながら2−ノルボルネン(以下、「2−NB」という)250部及び六塩化タングステン1.0%トルエン溶液6部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。得られた開環重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は83,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
(水素添加反応)
上記で得た開環重合体(A)を含む重合反応液を耐圧の水素添加反応器に移送し、珪藻土担持ニッケル触媒(T8400、ズードケミー触媒社製、ニッケル担持率58%)0.5部を加え、160℃、水素圧4.5MPaで6時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。
得られた反応溶液を3000部のイソプロピルアルコール中に撹拌下で注いで水素化物を沈殿させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環重合体水素添加物(A)を190部得た。
(重合体物性)
得られた開環重合体水素添加物(A)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は82,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.9、異性化率は5%、融点は140℃であった。
(樹脂の調製)
開環重合体水素添加物(A)100部に酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)0.1部を加え、二軸混練機(製品名「TEM−35B」、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂(A)を得た。
(開環共重合及び水素添加反応)
製造例1において、モノマーを2−NB 245部と5−メチル−2−ノルボルネン(以下、「MNB」という)5部とし、1−ヘキセン0.40部、ジイソプロピルエーテル0.31部、トリイソブチルアルミニウム0.20部、イソブチルアルコール0.08部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液15部とした以外は、製造例1と同様にして開環共重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。得られた開環共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は103,000で、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。その後、製造例1と同様にして水素添加反応を行い、開環共重合体水素化物(B)190部を得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素化物(B)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は100,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.9、異性化率は8%、融点は136℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素化物(B)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ペレット化した樹脂(B)を得た。
(開環共重合及び水素添加反応)
製造例1において、モノマーを2−NB 240部、ジシクロペンダジエン(以下、「DCP」という)10部とし、1−ヘキセン0.55部、ジイソプロピルエーテル0.40部、トリイソブチルアルミニウム0.27部、イソブチルアルコール0.10部、六塩化タングステン1.0%トルエン溶液20部とした以外は、実施例1と同様にして開環共重合を行った。重合添加率は、ほぼ100%であった。得られた開環重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は83,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.7であった。その後、製造例1と同様にして水素添加反応を行い、開環共重合体水素化物(C)を190部得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素化物(C)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は、81,300、分子量分布(Mw/Mn)は3.8、異性化率は9%、融点は134℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素化物(C)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ペレット化した樹脂(C)を得た。
(開環共重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、72%の2−NBのトルエン溶液33.4部、DCP 2.27部と、1−ヘキセン0.020部、シクロヘキサン49.3部を加えて攪拌した。続いてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.023部を8.6部のトルエンに溶解した溶液を加えて、60℃にて30分間反応させた。重合転化率は、ほぼ100%であった。得られた開環重合体(D)の重量平均分子量(Mw)は81,200、分子量分布(Mw/Mn)は3.5であった。
(水素添加反応)
上記で得られた重合溶液にエチルビニルエーテル0.020部を加えて攪拌した後、水素圧力1.0MPa、150℃で20時間水素添加反応を行なった。その後、室温まで冷却させ、活性炭粉末0.5部をシクロヘキサン10部に懸濁させた溶液を添加し、水素圧力1.0MPa、150℃で2時間反応させた。次いで反応液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、活性炭粉末を除去した。反応溶液を大量のイソプロパノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別して回収した。さらに、アセトンで洗浄した後、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環共重合体水素化物(D)を得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素化物(D)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は84,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.9、融点は111℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素化物(D)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ペレット化した樹脂(D)を得た。
(開環共重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、70%の2−NBのトルエン溶液33.4部、DCP 3.01部と、1−ヘキセン0.020部、シクロヘキサン49.3部を加えて攪拌した。続いてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.023部を8.6部のトルエンに溶解した溶液を加えて、60℃にて30分間反応させた。重合転化率は、ほぼ100%であった。得られた開環重合体(E)の重量平均分子量(Mw)は81,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.6であった。
(水素添加反応)
上記で得られた重合溶液にエチルビニルエーテル0.020部を加えて攪拌した後、水素圧力1.0MPa、150℃で20時間水素添加反応を行なった。その後、室温まで冷却させ、活性炭粉末0.5部をシクロヘキサン10部に懸濁させた溶液を添加し、水素圧力1.0MPa、150℃で2時間反応させた。次いで反応液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、活性炭粉末を除去した。反応溶液を大量のイソプロパノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別して回収した。さらに、アセトンで洗浄した後、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環共重合体水素化物(E)を得た。
(重合体物性)
得られた開環共重合体水素化物(E)の水素添加率は99.9%、重量平均分子量(Mw)は85,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.9、融点は101℃であった。
(樹脂の調製)
開環共重合体水素化物(E)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ペレット化した樹脂(E)を得た。
(開環重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテル1.1部とシクロヘキサン18.5部を添加した。さらにジエチルアルミニウムエトキシド0.87部をヘキサン9.26部に溶解した溶液を添加して、室温にて30分攪拌した。得られた混合物に、DCP 139部、1−ヘキサン0.33部を添加し、50℃で3時間重合反応を行なった。得られた開環重合体(F)の重量平均分子量(Mw)は、78,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.5であった。
(水素添加反応)
上記で得られた重合溶液にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.87部及びエチルビニルエーテル20.4部をシクロヘキサン650部に溶解した水素添加触媒溶液を添加し、水素圧1.0MPa、160℃で20時間水素添加反応を行なった。反応溶液を大量のイソプロパノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別して回収した。さらに、アセトン500部で洗浄した後、0.13×103Pa以下、100℃に設定した減圧乾燥器中で48時間乾燥し、開環重合体水素添加物(F)を130部得た。
得られた開環重合体水素添加物(F)は、GPCの溶剤に溶解せず、分子量の測定はできなかった。また、融点は273℃であった。
(樹脂の調製)
開環重合体水素添加物(F)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ペレット化した樹脂(F)を得た。
ポリプロピレン(PP1)[プロピレン単独重合体、融点160℃、MFR3g/10分]のペレット70部と、芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)[芳香族ジエンがスチレン、共役ジエンがブタジエンであり、スチレン単位含有量10重量%、ブタジエン由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合の水素添加率99%、スチレン由来の芳香族環の水素添加率2%、MFR4g/10分、密度0.89g/cm3、ランダム共重合体部分の含有量94%、ブタジエン由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合79%]のペレット30部をブレンダーにて混合し、ポリプロピレン樹脂組成物を得た。
スクリュー径50mmφ、圧縮比2.5、L/D=28のスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有する2種2層のハンガーマニホールドタイプTダイ式フィルム押出成形機を使用し、前記ポリプロピレン樹脂組成物と、製造例1で得られた樹脂(A)とを共押出し、ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物からなる層50μm、ポリプロピレン樹脂組成物からなる層100μmが直接積層されてなる多層フィルム1を得た。共押出しは、ダイリップ0.8mm、両溶融樹脂温度220℃、Tダイの幅300mm、キャストロール温度60℃、冷却ロール温度50℃の条件でおこなった。
得られた多層フィルムの層間接着強度を測定した。結果を表2に示す。
薬品包装成形機(製品名「FBP−M2」、CKD社製)を使用して、金型の表面温度130℃の条件で、多層フィルム1に錠剤(8mmφ×最大厚4mm)を収容する円柱状部分(ポケット:直径9mm×高さ5mm)を中心間隔15mmの配列で真空形成し、加工フィルム1を得た。次いで、内容物を充填せずに加工フィルム1のポケットの凹部側(非突出側)の面と、マレイン酸変性ポリオレフィンがコートされた硬質アルミ箔(厚み20μm)のマレイン酸変性ポリオレフィンコート面とを重ね合わせ、210℃でヒートシール、175℃でスリッターを入れた後、幅37mm、長さ94mm、コーナー5mmRに打ち抜いてPTP1(ポケット数:縦5個、横2個、合計10個)を得た。
得られたPTP1のポケットの断面観察を行い、ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物からなる層とポリプロピレン樹脂組成物からなる層の層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の代わりに、ポリプロピレン(PP2)[ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(プロピレン単位98重量%)、融点143℃、MFR3g/10分]を使用した以外は実施例1と同様にして多層フィルム2及びPTP2を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の代わりに、ポリプロピレン(PP3)[ポリプロピレン−エチレンブロック共重合体(プロピレン単位65重量%)、融点162℃、MFR8g/10分]を使用した以外は実施例1と同様にしてPTP3を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の使用量を94部、芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の使用量を6部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にしてPTP4を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の使用量を63部、芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の使用量を37部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にしてPTP5を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R2)[芳香族ジエンがスチレン、共役ジエンがブタジエン/イソプレン(6/4)であり、スチレン単位含有量10重量%、ブタジエン由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合の水素添加率99%、スチレン由来の芳香族環の水素添加率2%、MFR4g/10分、密度0.89g/cm3、ランダム共重合体部分の含有量93%、ブタジエン由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合80%]を使用した以外は実施例1と同様にしてPTP6を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
(実施例7)
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R3)[芳香族ジエンがスチレン、共役ジエンがブタジエンであり、スチレン単位含有量10重量%、ブタジエン由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合の水素添加率99%、スチレン由来の芳香族環の水素添加率2%、MFR4g/10分、密度0.89g/cm3、ランダム共重合体部分の含有量94%、ブタジエン由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合62%]を使用した以外は実施例1と同様にしてPTP7を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、表1に示される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物(R6〜R9)を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP8〜11を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の代わりに、ポリプロピレン(PP2)、もしくは(PP3)を使用した以外は実施例8と同様にしてPTP12、PTP13を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
製造例1で得られた樹脂(A)の代わりに、製造例2、3、4で得られた樹脂(B)、(C)、(D)を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP14〜16を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の使用量を50部、芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の使用量を50部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にしてPTP20を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R4)[芳香族ジエンがスチレン、共役ジエンがブタジエンであり、スチレン単位含有量10重量%、ブタジエン由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合の水素添加率99%、スチレン由来の芳香族環の水素添加率2%、MFR4g/10分、密度0.89g/cm3、ランダム共重合体部分の含有量94%、ブタジエン由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合57%]を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP21を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、表1に示される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物(R11〜R16)を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP26〜PTP31を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の使用量を90部、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物(R6)の使用量を10部にそれぞれ変えた以外は実施例8と同様にしてPTP23を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
ポリプロピレン(PP1)の使用量を50部、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素化物(R6)の使用量を50部にそれぞれ変えた以外は実施例8と同様にしてPTP24を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)を用いない以外は実施例1と同様にしてPTP17を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)を用いない以外は実施例2と同様にしてPTP18を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)を用いない以外は実施例3と同様にしてPTP19を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、(未水素化)芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体(R5)[芳香族ジエンがスチレン、共役ジエンがブタジエンであり、スチレン単位含有量10重量%、ブタジエン由来の構造単位中の炭素−炭素二重結合の水素添加率0%、スチレン由来の芳香族環の水素添加率0%、MFR4g/10分、密度0.89g/cm3、ランダム共重合体部分の含有量94%、ブタジエン由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合63%]を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP22を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ジエン−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、表1に示される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体(R10)を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP25を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物(R1)の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒で重合した重合体、密度0.918g/cm3、MFR4g/10分(190℃、荷重21.18N))を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP32を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
製造例1で得られた樹脂(A)の代わりに、製造例5、6で得られた樹脂(E)、(F)を用いた以外は実施例1と同様にしてPTP33〜34を得た。得られた多層フィルムの層間接着強度を測定し、得られたPTPの層間剥離の有無を確認した。結果を表2に示す。
本発明の多層フィルムから得られるPTPのポケットの断面を観察すると、樹脂組成物(A)からなる層とポリプロピレン樹脂組成物(B)からなる層との間の層間剥離は観察されなかった(実施例1〜実施例26)。
それに対して、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物を含有しないポリプロピレン樹脂組成物からなる層を用いた多層フィルムから得られるPTPのポケット断面を観察すると、層間剥離が観察された(比較例1〜3)。
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物の代わりに(未水素化)芳香族ビニル−共役ジエン共重合体あるいは直鎖状低密度ポリエチレンを用いた多層フィルムから得られるPTPのポケット断面を観察すると、層間剥離が観察された(比較例4:実施例7と対比、比較例5:実施例9と対比、比較例6:実施例1〜3、6〜11及び18〜24と対比)。
結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を得るために、2−ノルボルネンを90重量%未満と置換基含有ノルボルネン類を10重量%より多く含有してなる重合性単量体を用いた場合、得られるPTPのポケット断面を観察すると、層間剥離が観察された(比較例7及び8:実施例1及び14〜16と対比)。
ポリプロピレン樹脂組成物層(B)に芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物が含有されていると、得られるPTPのポケット断面の層間剥離は見られないが、用いる芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物を選択することにより、得られる多層フィルムの結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物層(A)とポリプロピレン樹脂組成物層(B)間の層間接着強度が異なることがわかる。
ポリプロピレン樹脂組成物(B)において、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物がランダム共重合体の場合、(ポリプロピレン)/(芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体水素化物)の重量比が95/5〜60/40の範囲であると、樹脂組成物層(A)とポリプロピレン樹脂組成物層(B)間の層間接着強度が高い(実施例1、4及び5:実施例17及び比較例1との対比)。
芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の共役ジエン化合物由来の単量体単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の単量体単位の割合が60重量%以上であると、樹脂組成物層(A)とポリプロピレン樹脂組成物層(B)間の層間接着強度が高い(実施例1、6及び7:実施例18との対比)。
また、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)において、該芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、芳香族ビニルブロック(I)と共役ジエンブロック(II)からなるブロック共重合体の場合、該共役ジエンブロック(II)が共役ジエン化合物由来の単量体単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の単量体単位の割合が40重量%以上であると、樹脂組成物層(A)とポリプロピレン樹脂組成物層(B)間の層間接着強度が高い(実施例8及び11:実施例21との対比、実施例9:実施例19及び20との対比)。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の、芳香族ビニルブロック(I)の割合が15〜55重量%の範囲であると、樹脂組成物層(A)とポリプロピレン樹脂組成物層(B)間の層間接着強度が高い(実施例8及び9:実施例22〜23との対比、実施例11:実施例24との対比)。
ポリプロピレン樹脂組成物(B)中の(ポリプロピレン)/(芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体水素化物)の重量比が85/15〜60/40の範囲であると、樹脂組成物層(A)とポリプロピレン樹脂組成物層(B)間の層間接着強度が高い(実施例8:実施例25及び26との対比)。
Claims (5)
- 2−ノルボルネンを90〜100重量%と置換基含有ノルボルネン類を10〜0重量%とを含有してなる重合性単量体を開環重合し、水素添加して得られる、融点が110〜145℃、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜10.0である結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有してなる樹脂組成物(A)からなる層と、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)からなる層が、直接積層されてなる層を少なくとも一組有する多層フィルム。
- 前記ポリプロピレン樹脂組成物(B)において、
(1)芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物が芳香族ビニルと共役ジエンとのランダム共重合体の水素化物であり、
(2)該ポリプロピレン樹脂組成物(B)中の(ポリプロピレン)/(芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の水素化物)の重量比が95/5〜60/40の範囲にあり、
(3)該芳香族ビニル−共役ジエンランダム共重合体の共役ジエン化合物由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合が60重量%以上である、
請求項1記載の多層フィルム。 - 芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物とポリプロピレンとを含有してなるポリプロピレン樹脂組成物(B)において、
(1)該芳香族ビニル−共役ジエン共重合体水素化物が、
(1−1)芳香族ビニルブロック(I)と共役ジエンブロック(II)からなるブロック共重合体の水素化物であり、
(1−2)該共役ジエンブロック(II)が、共役ジエン化合物由来の構造単位中の1,2−及び3,4−付加重合由来の構造単位の割合が40重量%以上であり、
(1−3)該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の、該芳香族ビニルブロック(I)の割合が15〜55重量%の範囲であり、
(2)該ポリプロピレン樹脂組成物(B)中の(ポリプロピレン)/(芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体水素化物)の重量比が85/15〜60/40の範囲である、
請求項1記載の多層フィルム。 - 結晶性ノルボルネン単量体開環重合体水素添加物を含有する樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂組成物(B)を共押出ししてなる請求項1、2又は3記載の多層フィルム。
- 請求項1、2、3又は4記載の多層フィルムからなる包装体。
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