JP5206322B2 - 分光光度計 - Google Patents

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Description

本発明は分光光度計に関し、特に、ダブルビーム方式に好適な分光光度計に関する。
分光光度計には、その光路の構成によってダブルビーム方式とシングルビーム方式とがある。ダブルビーム方式は、吸光度を算出する過程で原理的に光源の光量変動による影響を相殺することが可能であるため、分析精度の点でシングルビーム方式よりも有利である。
ダブルビーム方式の分光光度計では、分光器(モノクロメータ)により取り出された単色光を試料側光束と参照側光束とに分けるために、主として、ビームスプリッタを用いた光束の分割と、回転セクタ鏡による光束の振り分け、のいずれかが利用されている。ビームスプリッタ方式は、単色光をビームスプリッタにより一定比率の試料側光束と参照側光束とに分割して被測定試料及び参照試料に照射し、それぞれの透過光を各光束を受け持つ2つの検出器に対し並行して導入するものである。
一方、回転セクタ鏡方式は、単色光を一定速度で回転駆動されるセクタ鏡により試料側光束と参照側光束とに交互に振り分け(切り替え)て被測定試料及び参照試料に照射し、それぞれの透過光を1つの検出器に対し交互に導入するものである(特許文献1など参照)。この構成では一般的に、光が検出器に入射しない状態での暗信号を測定するために、光を遮蔽する遮光部が回転セクタ鏡に一体に設けられている。
図7は一般的な回転セクタ鏡の平面図である。この回転セクタ鏡80には、軸81の周りに反射鏡82と、開口部83と、遮光部84とが、交互に設けられている。いま、分光器から取り出された単色光の光束が図7中に点線で示す位置Lに来るように回転セクタ鏡が配設されているとすると、回転セクタ鏡80が1回転する間に、光束の位置Lには、開口部83→遮光部84→反射鏡82→遮光部84→開口部83→遮光部84→反射鏡82→遮光部84が順に来る。即ち、回転セクタ鏡のモードとしては、図8(a)に示すように、通過(S)→遮光(D1)→反射(R)→遮光(D2)→通過(S)→遮光(D1)→反射(R)→遮光(D2)の順に切り替わる。通過(S)の期間には被測定試料に試料側光束が照射され、反射(R)の期間には参照試料に参照側光束が照射される。また、遮光(D1、D2)の期間には検出器へ光が入射しない。その結果、検出器において、通過(S)の期間には試料側信号が、反射(R)の期間には参照側信号が、遮光(D1、D2)の期間には暗信号が、時分割で得られる。
この検出信号の変化の一例を図8(b)に示す。回転セクタ鏡80の各セクタの境界において信号は大きく変化するが、その際、信号の変化は図に示すように立ち上がり、立ち下がりに鈍りが生じたものとなる。その理由の1つは、検出器やその後段の増幅回路などを含む周波数応答の制約であり、また他の1つの理由は、上記のように光束は或る程度の径を有するために回転セクタ鏡上の各セクタの境界を光束が通過するのに或る程度の時間が掛かるためである。
上記検出信号はA/D変換器において所定のサンプリング周期でサンプリングされてデジタル値に変換されるが、上述のように信号が静定していない範囲では正確なデータを得ることができないため、実際にデータを収集できるのは図8(c)に示した期間である。即ち、図8(c)において、Dsは試料側信号データの収集期間、Drは参照側信号データの収集期間、Dd1及びDd2は暗信号データの収集期間である。このように、回転セクタ鏡80が1回転する期間において、実際には有効なデータを収集できない時間が占める割合は大きい。
一般に分光光度計で測定値のS/Nを改善するには、一連の測定動作に要する時間に対して、実際に有効なデータを採取している時間の割合を増やすことが必要である。しかしながら、回転セクタ鏡を用いたダブルビーム方式の分光光度計では、上述したように回転セクタ鏡の1回転期間において有効なデータを採取できる期間は細切れであって、その時間的な割合は小さい。そのため、測定値のS/Nを改善することは難しい。また、吸光度の高い試料(例えばAbs8程度以上)を測定する場合や特に高いS/Nを必要とする場合には、測定時間をそれだけ確保する必要があり、測定効率が低下する。
また、暗信号データの収集期間Dd1、Dd2の長さは回転セクタ鏡の回転速度によって決まってしまうが、検出器の種類によっては入射光が遮断された時点から暗電流が徐々に減少していく現象がみられるため、暗信号データの収集期間Dd1、Dd2が短いと正確な暗信号データを収集できないという問題もある。
特開2001−356049号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、一連の測定動作に要する時間に対し有効なデータを採取している時間の割合を増やすことにより、測定値のS/Nを改善することができる分光光度計を提供することである。
また本発明の他の目的は、一連の測定動作の中で従来、有効なデータを収集していなかった時間を活用して有効な暗信号データを採取できるようにすることにより、測定値のS/Nを改善するとともに暗信号データの精度を向上させることができる分光光度計を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、光源と、該光源より発した光から単色光を取り出す分光器であって所定期間毎に所定の波長ステップ幅ずつ該単色光の波長が変化するように分光素子を駆動することにより該単色光の波長を走査可能な分光器と、前記単色光に対する試料からの光を検出する検出器と、を具備する分光光度計において、
a)前記光源から前記検出器までの光路上で光束を遮蔽する遮光手段と、
b)波長走査を伴う測定に際し、前記所定期間のうち波長の移行期間中光束を遮蔽するように前記遮光手段を駆動する遮光制御手段と、
c)前記遮光手段により光束が遮蔽されているときに、前記検出器により暗信号を取得する信号取得手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る分光光度計において、分光器は、例えば回折格子やプリズムなどの波長分散素子を機械的に駆動することにより、取り出される単色光の波長を走査するものとすることができる。
上記遮光手段は検出器に到達する光束を遮蔽可能でありさえすれば、光源から検出器までの光路上の任意の位置に設けることができる。
本発明に係る分光光度計では、所定の波長範囲に亘る波長走査を伴う測定に際して、所定の波長ステップ毎に波長が変化するように分光器が駆動される。例えばステッピングモータにより回折格子の角度を変化させることで波長を変化させる構成の分光器である場合には、ステッピングモータに所定数のパルス信号が入力されることで、そのパルス数に応じた角度だけ回折格子が回動し、それに応じて単色光の波長が変化する。この場合、回折格子が回動している期間、及び回動自体が終了してもそれに伴う振動が十分に収まるまでの期間が、波長の移行期間である。
遮光制御手段は、上記波長の移行期間中に遮光手段を駆動し、検出器に光が入射しないようにする。したがって、このとき検出器により得られる信号は、暗電流やその後段の増幅器のノイズなどを含む暗信号である。そこで、信号取得手段は、波長の移行期間中で遮光手段により光束が遮蔽されているときに、有効な暗信号データを収集する。従来、この期間には有効なデータが収集されていなかったが、波長移行に伴う分光器の動作や振動は暗信号に何ら影響を与えないから、有効な暗信号データを取得することができる。
本発明に係る分光光度計はシングルビーム方式にも適用可能であるが、特にダブルビーム方式に有用である。
即ち、本発明に係る分光光度計の好ましい一態様として、前記分光器から取り出された単色光を試料側光束と参照側光束とに分け、試料側光束の光路上に被測定試料を、参照側光束の光路上に参照試料を配設したダブルビーム方式の分光光度計において、 前記信号取得手段は、波長移行期間中で前記遮光手段により光束が遮蔽されているときに暗信号を取得し、波長移行が終了した後に試料側信号と参照側信号とを取得することを特徴とする構成とすることができる。
この構成によれば、従来、有効なデータ収集が行われていなかった期間に暗信号データを取得し、分光器により取り出される単色光の波長が安定した状態では、暗信号データを取得せずに、試料側信号データと参照側信号データとのみを取得すればよい。したがって、所定の波長範囲に亘る一連の測定動作に要する時間の中で、試料側信号データの取得と参照側信号データの取得のための時間の割合を増やし、結果的に測定値のS/Nの改善を図ることができる。
また、一般に機械的に波長分散素子を駆動して波長走査を行う場合、或る波長から次の波長へと移行するには機械的動作の制約上、或る程度の時間が掛かる。換言すれば、暗信号データの取得のための時間も十分に確保することができるので、遮光時点から暗信号のレベルが落ち着くまでに時間が掛かる場合であっても、該レベルが十分に落ち着いた後に暗信号データを採取することが可能となる。それによって、吸光度などの測定値の精度を向上させることができる。
本発明に係る分光光度計がダブルビーム方式である場合の一態様として、
単色光を回転セクタ鏡により試料側光束と参照側光束とに振り分け、被測定試料と参照試料とを経た試料側光束と参照側光束を1つの検出器に導入するダブルビーム方式の分光光度計において、
前記信号取得手段は、波長移行が終了した後に試料側信号及び参照側信号を交互に取得する構成とすることができる。
この場合、回転セクタ鏡には遮光部を設けず、暗信号測定のための遮光は上記遮光手段により実施する。これにより、途中に交互に暗信号測定の期間を設けることなく、試料側信号測定と参照側信号測定とを交互に実行することができる。そのため、検出器に入射する光束の切替えの頻度が減り、その切替えの際の信号の鈍りに起因する、有効データの取得が不能な無駄時間の発生を少なくすることができる。その結果、上述したように単色光の波長安定状態で暗信号データの取得が不要になるのみならず、有効な試料側信号データの取得の時間と有効な参照側信号データの取得の時間とがそれぞれ長くなるので、回転セクタ鏡の1回転期間中に有効なデータを取得できる時間の割合が一層大きくなり、測定値のS/Nを改善することができる。
なお、遮光手段による遮光と回転セクタ鏡の回転とは無関係になるので、回転セクタ鏡の回転速度を下げると、一波長に対する測定時間の中で、有効な試料側信号データの取得の時間と有効な参照側信号データの取得の時間とをそれぞれ長くすることができる。それによって、さらに一層、測定値のS/Nの改善を図ることができる。
また本発明に係る分光光度計がダブルビーム方式である場合の別の態様として、
単色光をスプリッタにより試料側光束と参照側光束とに分割し、被測定試料と参照試料とを経た試料側光束と参照側光束をそれぞれ別の検出器に導入するダブルビーム方式の分光光度計において、
前記信号取得手段は、2つの検出器により、波長移行期間中で前記遮光手段により光束が遮蔽されているときに試料側暗信号及び参照側暗信号を取得し、波長移行が終了した後に試料側信号及び参照側信号を取得する構成とすることができる。
スプリッタを用いたダブルビーム方式分光光度計では、独立した2つの検出器で試料側信号と参照側信号とを並行して得ることができるため、回転セクタ鏡を用いた場合とは異なり、光束の切替えに伴う無効なデータの発生はないものの、従来、波長走査の際の波長移行時の時間が無駄となっている点は回転セクタ鏡を用いた構成と同様である。これに対し、上記の別の態様による分光光度計では、波長走査の際の波長移行時に暗信号測定を済ませることができ、波長が安定した状態では試料側信号測定と参照側信号測定のみを実行すればよい。これにより、測定値のS/Nを改善することができる。
また、上述したように暗信号データの取得のための時間を十分に確保することができるので、例えば検出器として半導体検出器などを用いることにより、遮光時点から暗信号のレベルが落ち着くまでに時間が掛かるような場合であっても、該レベルが十分に落ち着いた後に暗信号データを採取することが可能となる。それによって、吸光度などの測定値の精度を向上させることができる。
本発明に係る分光光度計によれば、所定の波長範囲に亘る一連の測定動作に要する時間の中で、試料側信号データの取得と参照側信号データの取得のための時間の割合を増やすことにより、測定値のS/Nを改善することができる。一方、暗信号データの取得のための時間も十分に確保することができるので、正確な暗信号の測定が可能であり、吸光度などの測定値の精度向上を図ることができる。
この第2実施例の分光光度計では、分光器から取り出された単色光はビームスプリッタ31により試料側光束Lsと参照側光束Lrとの二つに分割され、試料側光束Lsは被測定試料13に照射され、その透過光が第2検出器33に入射し、参照側光束Lrは参照試料12に照射され、その透過光が第1検出器32に入射する。ビームスプリッタ31で分割された両光束はほぼ同時に2つの検出器32、33に入射する。2つのA/D変換器34、35は検出器32、33の検出信号を並行してA/D変換し、得られたデータは並行してデータ処理部36に入力される。
図1において、光源1から発した光は、入口スリット2、回折格子3、出口スリット4、ステッピングモータ5を含む分光器に導入され、所定の波長の単色光が取り出される。ステッピングモータ5は、入口スリット2を通過した入射光に対し波長分散素子である回折格子3の角度を変えることにより、出口スリット4を通過して取り出される単色光の波長を変化させる。この単色光は、モータ9により一定速度で回転駆動される回転セクタ鏡8によって、2つの反射鏡10、11の2方向に交互に送られる。
即ち、回転セクタ鏡8の回転に伴い、図2に示す単色光の位置Lに開口部83が来たときには(図2中の通過Sの範囲では)、単色光は反射鏡11に当たり、試料側光束Lsとなって被測定試料13に照射される。一方、単色光の位置Lに反射鏡82が来たときには(図2中の反射Rの範囲では)、単色光は反射鏡82で反射された後に反射鏡10に当たり、参照側光束Lrとなって参照試料12に照射される。例えば、被測定試料13は試料セルに被測定試料溶液が充填されたもの、参照試料12は同じ試料セルに溶媒のみが充填されたものである。図2に示すように、回転セクタ鏡8は、開口部83と反射鏡82とを軸81の周りに90°の回転角度ずつ交互に有する。したがって、被測定試料13と参照試料12とには交互に同期間ずつ光が照射され、それぞれの試料13、12中を光が通過する際に吸収を受ける。
参照試料12を通過した参照側光束Lrは反射鏡14で反射され、被測定試料13を通過した試料側光束Lsは反射鏡15、16で反射され、いずれも検出器17に導入される。検出器17はその種類を問わず、波長帯域に応じて、光電子増倍管、InGaAs、InAs、PbS等の半導体検出器など、適宜の検出器を用いることができる。もちろん、波長に応じて複数の検出器を切り替えてもよい。
単色光が2つの光路に振り分けられる前、つまり、分光器の出口スリット4と回転セクタ鏡8との間には、モータ7の駆動により、光路に対し進退自在に移動するシャッタ6が遮光手段として配設されている。シャッタ6が光路から退避されたときには前述のように検出器17には吸収を受けた参照側光束Lr又は試料側光束Lsが入射し、シャッタ6が光路中に挿入されたときには検出器17には光が入射しない状態となる。シャッタ6の駆動源はモータに限らず圧電素子など任意の駆動源を用いることができる。また、機械的に光を遮るものでなく、電気的な制御によって光の透過・遮蔽を行う電子シャッタなどでもよい。また、このシャッタの設置位置も、光源1から検出器17までの光路上であれば任意に決めることができる。
検出器17による検出信号は図示しない増幅器などで増幅された後に、A/D変換器(ADC)18に入力され、所定のサンプリング周期でサンプリングされてデジタル値に変換される。これにより、検出器17に入射した光の強度に対応したデータが得られ、これがデータ処理部19に入力される。データ処理部19は、モータ5、7、9などを制御する制御部20からの制御信号に基づいて、必要なデータを取捨選択するとともに、分類して保存し、さらにはそのデータを用いた所定の演算処理を実行することで、被測定試料による吸光度を波長毎に計算する。
次に、本実施例の分光光度計における特徴的な測定動作を図3、図4により説明する。図3は本実施例の分光光度計に使用されている回転セクタ鏡の1回転期間中における検出信号の変化とデータ収集期間とを示す模式図であり、図4は本実施例の分光光度計における波長走査時の測定動作の説明図である。
回転セクタ鏡8は、図7に示した従来の回転セクタ鏡80と異なり遮光部を有さない。したがって、回転セクタ鏡8が1回転する際のモードとしては、図3(a)に示すように、通過(S)→反射(R)→通過(S)→反射(R)の順に切り替わるだけである。その結果、検出器17で得られる検出信号には、図3(b)に示すように、試料側信号と反射参照側信号とが交互に現れる。図3と図8とを比較すれば明らかなように、本実施例の分光光度計では、回転セクタ鏡8が1回転する期間中の光束の切り替わり(セクタの境界)の回数が従来の半分以下になり、それに伴う信号の大きな変化の頻度も少ない。そのため、信号が大きく変化する(切り替わる)際の信号の鈍りを回避するように設定される、試料側信号データの収集期間Ds、参照側信号データの収集期間Drはそれぞれ長くなり、遮光部を除いた分以上、時間を延ばすことができる。
いま、本実施例の分光光度計で波長λ1〜λ2の範囲の波長走査を実行して、その波長範囲に亘る吸光度を測定する場合を考える。この場合、図4(a)に示すように、例えば最長波長λ1から所定の波長ステップ幅Δλずつ波長をステップ的に減少させ、最終的に最短波長λ2とする。もちろん、短波長側から長波長側へ波長走査を行ってもよい。このような波長走査に際し、或る波長から波長ステップ幅Δλだけ異なる次の波長に変化させるとき、制御部20はステッピングモータ5に所定個数のパルス信号を送る。これに応じてステッピングモータ5は所定角度回転し、回折格子3も所定の微小角度だけ回動し、次の波長の単色光が取り出されるような位置で停止する(図4(b)のT1)。但し、回折格子3が停止しても振動等によって波長はすぐには安定しない。そこで、振動が静定するのに要する所定時間T2だけ待つ。
制御部20はステッピングモータ5の駆動と並行して、シャッタ6により遮光を行うようにモータ7を駆動する。そして、波長変更のための回折格子3の回動とそれに引き続く回折格子3の静定の期間(T1+T2)だけシャッタ6を閉じ、検出器17に光束が入射しないようにする。このとき検出器17による検出信号は暗信号となるから、データ処理部19は暗信号データを収集する。即ち、図4(e)に示すように、波長を変更するための波長移行期間T1+T2中でシャッタ6により遮光がなされている期間中に、暗信号データ収集期間Ddが設定される。
その後シャッタ6を開けると、上述したように回転セクタ鏡8の回転に伴って、被測定試料13を透過した試料側光束Lsと参照試料12を透過した参照側光束Lrとが交互に検出器17に入射する。このときには回折格子3の振動は十分に収まっているので、分光器により取り出される単色光の波長は所望の値になっている。検出器17による検出出力には試料側信号と参照側信号とが交互に現れるが、その境界では信号の鈍りが生じる。したがって、データ処理部19はその境界付近のデータを廃棄し、交互に設定された試料側信号データ収集期間Dsと参照側信号データ収集期間Drにそれぞれのデータを収集する。
そして、所定の測定期間T3、試料側信号データと参照側信号データとを収集したならば、次の波長への変更のために、制御部20はステッピングモータ5に再び所定個数のパルス信号を送り、シャッタ6を閉じ、暗信号データの収集を実行する。こうして、最短波長λ2に至るまで測定に用いる単色光の波長を所定の波長ステップ幅Δλずつ変化させながら、その波長移行期間中に暗信号データを収集し、波長が安定したときには試料側信号データと参照側信号データとを交互に収集する。データ処理部19はこうして収集したデータに基づいて、被測定試料13の吸光度を波長毎に求め、例えば吸光スペクトルを作成する。
以上のように本実施例の分光光度計では、波長走査の際の波長変更時、つまり適切な試料側信号データや参照側信号データを得られない期間に、検出器17への入射光が不要な暗信号データを収集している。また、回転セクタ鏡8には遮光部を設けず、変更された波長が安定しているときには、試料側信号データと参照側信号データのみを交互に収集している。したがって、回転セクタ鏡8が1回転する期間に採取できる有効な試料側信号データ及び参照側信号データの数が従来よりも2倍以上増加するので、測定値のS/Nを改善することができる。また、1回の暗信号データ収集期間Ddは従来よりもかなり長くなるので、遮光時点から暗信号レベルが十分に落ち着くまでに時間が掛かる場合でも、暗信号レベルが落ち着いてから暗信号データを採取することもできる。これにより、暗信号データの精度が上がるため、測定値の精度の向上にも寄与する。
なお、従来のダブルビーム方式分光光度計と比べて、暗信号データ収集期間は試料側信号データや参照側信号データの収集期間と時間的に離れるが、暗信号レベルの変動は主として温度などの周囲環境により生じるため、その変動は緩慢であり、上述した程度の時間的な離間は全く問題ない。
また、この第1実施例の分光光度計では、遮光のためのシャッタ6と回転セクタ鏡8とが独立して設けられているため、暗信号データの収集に全く影響を及ぼすことなく回転セクタ鏡8の回転速度を落とすことができる。図4(f)、(g)は回転速度を1/2に低下させた場合の検出信号の一例及びデータ収集期間である。このように回転速度を落とすことにより、一波長に対する測定期間T3中での光束の切替え頻度がさらに下がるため、信号の切り替わりに伴う無効データが一層減り、その分、有効な試料側信号データ及び参照側信号データの数を増やすことができる。それによって一層のS/N改善が可能となる。
[第2実施例]
上記第1実施例による分光光度計は、回転セクタ鏡により光を2方向に交互に振り分けるダブルビーム方式を採用したものあるが、ビームスプリッタにより光を2分割するダブルビーム方式のものにも本発明を適用することができる。図5はこの方式を採用した第2実施例による分光光度計の要部の構成図、図6はこの第2実施例の分光光度計における波長走査時の測定動作の説明図である。図5において図1と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を略す。
この第2実施例の分光光度計では、分光器から取り出された単色光はビームスプリッタ31により試料側光束Lsと参照側光束Lrとの二つに分割され、試料側光束Lsは被測定試料13に照射され、その透過光が第2検出器33に入射し、参照側光束Lrは参照試料12に照射され、その透過光が第1検出器32に入射する。ビームスプリッタ31で分割された両光束はほぼ同時に2つの検出器33、34に入射する。2つのA/D変換器34、35は検出器32、33の検出信号を並行してA/D変換し、得られたデータは並行してデータ処理部36に入力される。
第2実施例の分光光度計において、制御部37は上記第1実施例と同様に、波長走査のためのステッピングモータ5の駆動とシャッタ6開閉のためのモータ7の駆動を実行する。また、波長移行時でシャッタ6による遮光がなされているときに暗信号データが収集される点も第1実施例と同様である。相違するのは、波長変更に伴う回折格子3の振動が静定するのを待ったあと、シャッタ6が開放されると、両検出器32、33に並行して光束が入射する点である。したがって、一波長に対する測定期間T3のほぼ全てを試料側信号データ収集期間Ds、参照側信号データ収集期間Drに充てることができ、測定値のS/Nの点では第1実施例よりも有利である。
なお、第1及び第2実施例ともにダブルビーム方式の分光光度計であるが、本発明はシングルビーム方式の分光光度計にも適用することができる。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
本発明の一実施例による回転セクタ鏡を用いたダブルビーム方式分光光度計の要部の構成図。 図1の分光光度計に使用されている回転セクタ鏡の平面図。 図1の分光光度計に使用されている回転セクタ鏡の1回転期間中における検出信号の変化とデータ収集期間とを示す模式図。 本実施例の分光光度計における波長走査時の測定動作の説明図。 本発明の他の実施例によるビームスプリッタを用いたダブルビーム方式分光光度計の要部の構成図。 他の実施例による分光光度計における波長走査時の測定動作の説明図。 従来の一般的な回転セクタ鏡の平面図。 従来のダブルビーム方式分光光度計における回転セクタ鏡の1回転期間中における検出信号の変化とデータ収集期間とを示す模式図。
符号の説明
1…光源
2…入口スリット
3…回折格子
4…出口スリット
5、7、9…モータ
6…シャッタ
、80…回転セクタ鏡
81…軸
82…反射鏡
83…開口部
10、11、14、15、16…反射鏡
12…参照試料
13…被測定試料
17、32、33…検出器
18、34、35…A/D変換器(ADC)
19、36…データ処理部
20、37…制御部
31…ビームスプリッタ
Lr…参照側光束
Ls…試料側光束

Claims (4)

  1. 光源と、
    該光源より発した光から単色光を取り出す分光器であって所定期間毎に所定の波長ステップ幅ずつ該単色光の波長が変化するように分光素子を駆動することにより該単色光の波長を走査可能な分光器と、前記単色光に対する試料からの光を検出する検出器と、を具備する分光光度計において、
    a)前記光源から前記検出器までの光路上で光束を遮蔽する遮光手段と、
    b)波長走査を伴う測定に際し、前記所定期間のうち、波長の移行期間中光束を遮蔽するように前記遮光手段を駆動する遮光制御手段と、
    c)前記遮光手段により、光束が遮蔽されているときに、前記検出器により暗信号を取得する信号取得手段と、
    を備えることを特徴とする分光光度計。
  2. 請求項1に記載の分光光度計であって、
    前記分光器から取り出された単色光を試料側光束と参照側光束とに分け、試料側光束の光路上に被測定試料を、参照側光束の光路上に参照試料を配設したダブルビーム方式の分光光度計において、
    前記信号取得手段は、波長移行期間中で前記遮光手段により光束が遮蔽されているときに暗信号を取得し、波長移行が終了した後に試料側信号と参照側信号とを取得することを特徴とする分光光度計。
  3. 請求項2に記載の分光光度計であって、
    単色光を回転セクタ鏡により試料側光束と参照側光束とに振り分け、被測定試料と参照試料とを経た試料側光束と参照側光束を1つの検出器に導入するダブルビーム方式の分光光度計において、
    前記信号取得手段は、波長移行が終了した後に試料側信号及び参照側信号を交互に取得することを特徴とする分光光度計。
  4. 請求項2に記載の分光光度計であって、
    単色光をスプリッタにより試料側光束と参照側光束とに分割し、被測定試料と参照試料とを経た試料側光束と参照側光束をそれぞれ別の検出器に導入するダブルビーム方式の分光光度計において、
    前記信号取得手段は、2つの検出器により、波長移行期間中で前記遮光手段により光束が遮蔽されているときに試料側暗信号及び参照側暗信号を取得し、波長移行が終了した後に試料側信号及び参照側信号を取得することを特徴とする分光光度計。
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