以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る動画像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。本形態の動画像処理装置は、分配比率算出部101と、分配比率補正部102と分配比率保存部103と分配処理部104と差分処理部105と切替器106とを備える。また、本実施形態の動画像処理装置は、動画像を入力する動画像入力装置(例えばビデオカメラ)、及び、動画像を表示する表示装置(例えばデジタルテレビ)と接続されている。尚、動画像処理装置が、動画像入力装置や表示装置に組み込まれていても良い。
また、本実施形態の動画像処理装置は、決定された分配比率に基づいて1つの入力フレームから複数のサブフレーム(出力フレーム)を生成する。そして、これらのサブフレームを順次表示させることにより、入力フレームのフレームレートを複数倍にする(倍速駆動)。つまり、本実施形態では、決定された分配比率が、例えば8:2であった場合、1つの入力フレームの画素値を0.8倍した第1のサブフレーム、入力フレームの画素値を0.2倍した第2のサブフレームを生成する。
尚、本形態の動画像処理装置は、入力フレーム内の動き量に応じて算出された分配比率を、過去の分配比率に応じて補正する。つまり、分配比率算出部101は、各入力フレーム間で検出される動き量に基づいて分配比率R´を算出する。そして、分配比率補正部102は、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´を、分配比率保存部103に保存された過去の入力フレームの分配比率に応じて補正する。そして、分配処理部104、及び、差分処理部105は、分配比率補正部102によって補正された分配比率Rに応じて、入力フレームからサブフレームを生成する。
また、本実施形態では、入力フレームのフレームレート(60フレーム/秒)を、出力フレームのフレームレート(120フレーム/秒)に変換する場合について説明するが、これに限らない。また、1つの入力フレームから3つ以上のサブフレームを生成する形態にも本発明は適用できる。
分配比率算出部101は、時刻tにおいて、動画像入力装置からの入力フレームFt、及び入力フレームFt+1を入力する。尚、本形態の分配比率算出部101には、時刻t−1において、入力フレームFtの前に再生すべき入力フレームFt−1、及び入力フレームFtも、入力されている。即ち、分配比率算出部101は、第1の入力フレーム(入力フレームFt−1)、及び、第1の入力フレームに続く第2の入力フレーム(入力フレームFt)を入力する。また、分配比率算出部101は、第3の入力フレーム(入力フレームFt+1)を入力する。そして、分配比率算出部101は、入力されたフレームのうち、入力フレームFt、及びFt+1に応じて、入力フレームFtの分配比率R´tを算出する。
ここで、入力フレームFtは、時刻tに再生させるべきフレームのデータであり、入力フレームFt+1は、入力フレームFtの次(時刻t+1)に再生させるべきフレームのデータである。ただし、本実施形態では、入力フレームから生成されたサブフレームが再生される。
また、本形態において、入力フレームFtの分配比率が、6:4であるとは、入力フレームFtから生成される2つのサブフレーム(Pt、Qt)のうち、サブフレームPtの画素値が、入力フレームFtの0.6倍、サブフレームQtの画素値が、入力フレームFtの0.4倍であることを意味する。尚、サブフレームPtは、サブフレームQtの前に再生されるサブフレームである。また、本形態では、分配比率を、サブフレームQと入力フレームFとの画素値の比に基づいて表わす。すなわち、例えば、入力フレームFtの分配比率が7:3の場合、サブフレームPtは入力フレームFtの0.7倍の画素値、サブフレームQtは入力フレームFtの0.3倍の画素値となるが、このときの分配比率を0.3と表わす。同様に、例えば、分配比率が9:1の場合は分配比率が0.1、分配比率が6:4の場合は分配比率が0.4であるというように分配比率を表わす。
また、本実施形態では、サブフレームPのほうが、サブフレームQよりも画素値が高くなるように、サブフレームの分配比率を決定する。従って、分配比率がとる値の範囲は、0.0から0.5となる。ただし、分配比率をより細かく決定するようにしても良いし、サブフレームQのほうがサブフレームPよりも画素値が高くなるように分配比率を決定するようにしても良い。
また、上述のように、本実施形態の動画像処理装置は、フレームレートが60フレーム/秒から、120フレーム/秒になるように、入力フレームから2つの出力フレーム(サブフレームP、Q)を生成する。
また、分配比率算出部101は、各入力フレーム間で検出される動き量に基づいて分配比率R´を算出する。つまり、分配比率算出部101は、入力フレームFtと入力フレームFt+1との差分を取ることによって、入力フレームFtにおける動き領域、及び、動き領域の動き量を検出する。そして、検出された動き量が大きい場合は、生成される複数のサブフレーム(P、Q)の画素値の差が大きくなるように、入力フレームFtの分配比率R´tを算出する。
このように、動き量に応じて分配比率を算出するのは以下の理由による。すなわち、入力フレームFtの動き量が大きい場合、サブフレームPtとQtの画素値の差が小さいと、動きボケが目立ってしまう可能性が高い。これに対し、入力フレーム間の動き量が大きくても、サブフレームPtに対してサブフレームQtの画素値が十分に低ければ、サブフレームQtを表示させることによって生じる動きボケが目立たなくなる可能性が高い。そこで、本実施形態の分配比率算出部101は、動き量が大きいほど、サブフレームPt、Qtの画素値の差が大きくなるように、入力フレームFtの分配比率R´tを算出する。尚、本形態において、サブフレームPtとサブフレームQtの画素値の差が最も大きくなる分配比率は10:0(0.0)である。
また、動き量の取得方法は、差分値による方法に限らず、例えば、動きベクトル情報のような動き情報から求めるようにしても良い。分配比率算出部101は、算出した分配比率R´tを分配比率補正部102に出力する。
分配比率補正部102は、分配比率算出部101から出力された分配比率R´tを、これまでの分配比率に応じて補正する。つまり、分配比率補正部102は、例えば、入力フレームFtの分配比率R´tを、入力フレームFt−1の分配比率Rt−1に応じて補正する。ここで、分配比率補正部102による補正後の分配比率をRtとする。また、分配比率Rt−1は、入力フレームFtと、その前に入力された入力フレームFt−1とに基づいて算出された分配比率R´t−1を、分配比率補正部102が補正した分配比率である。分配比率補正部102は、入力フレームFtの分配比率Rtと、過去の入力フレームに対して決定された分配比率の差分が、所定範囲内となるように、算出された分配比率R´tを補正する。分配比率補正部102による分配比率の補正処理の詳細は、図3を用いて後述する。分配比率補正部102は、補正した分配比率Rtを、分配比率保存部103、及び、分配処理部104に出力する。動画像入力装置から入力された最初の入力フレームの分配比率は、分配比率算出部101の出力を、補正せずに、分配処理部104に出力すればよい。
分配比率保存部103は、これまでに入力された入力フレームの補正後の分配比率Rを保存する。また、分配比率保存部103は、保存されている分配比率Rを分配比率補正部102に出力する。
分配処理部104は、入力フレームの画素値と補正後の分配比率とに応じて、サブフレームQを生成する。つまり、例えば、入力フレームFtの補正後の分配比率が7:3(0.3)であった場合、入力フレームFtの画素値を0.3倍することによってサブフレームQtを生成する。分配処理部104は、生成されたサブフレームQのデータを切替器106を介して出力する。
差分処理部105は、サブフレームQと入力フレームFとに基づいてサブフレームPを生成する。つまり、例えば、入力フレームFtの補正後の分配比率が7:3(0.3)であった場合、入力フレームFtと、サブフレームQtとの差分を取ることによってサブフレームPtを生成する。上述のように、サブフレームQtは、分配処理部104が、入力フレームFtの画素値を0.3倍することによって生成される。サブフレームPは、入力フレームFtを0.7倍することにより生成してもよい。分配処理部104は、得られたサブフレームPのデータを切替器106を介して出力する。
即ち、分配処理部104、及び差分処理部105は、第1の入力フレーム(入力フレームFt−1)から第1の出力フレーム(サブフレームPt−1)及び第2の出力フレーム(サブフレームQt−1)を第1の分配比率(Rt−1)に基づいて生成する。また、分配処理部104、及び差分処理部105は、第2の入力フレーム(入力フレームFt)から第3の出力フレーム(サブフレームPt)、及び第4の出力フレーム(サブフレームQt)を第2の分配比率(Rt)に基づいて生成する。
切替器106は、サブフレームPとサブフレームQとが順次出力されるように、交互に出力を切り替える切替器である。尚、上述のように、入力フレームFtから生成されるサブフレームは、サブフレームPt、サブフレームQtの順に出力される。また、サブフレームQtの次は、入力フレームFt+1から生成されるサブフレームPt+1、サブフレームQt+1が順次、出力される。
また、本実施形態において、1つの入力フレームから生成される複数のサブフレームの画素値を合計すると、入力フレームの画素値に一致する。つまり、例えば、サブフレームPtとサブフレームQtの画素値を足し合わせると、入力フレームFtと一致する。ただし、例えば、差分処理部105に信号を変換する機能を持たせることなどにより、サブフレームの信号値の合計と入力フレームの信号値が一致しないようにすることも可能である。
次に、本実施形態の処理の概要について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の動画像処理装置が行う処理を示すフローチャートである。
尚、本形態では、図1に示した各部をハードウェアによって構成した場合の処理の流れを説明する。ただし、動画像処理装置全体を制御するCPUが、本実施形態に係るプログラムを記憶媒体から適宜RAMに読み出して実行することによって、図2に示す処理を実現することも可能である。
図2の処理は、例えば、デジタルテレビ等の表示装置の電源を入れたことにより開始される。あるいは、表示装置において、倍速駆動を実行するモードが設定されたことに応じて行うようにしても良い。
ステップf101(入力手順)において、分配比率算出部101は、動画像入力装置から複数の入力フレームを入力する。ここでは、入力フレームFtとFt+1が入力されたものとする。ただし、3つ以上の入力フレームを入力するようにしても良い。分配比率算出部101が複数の入力フレームを入力すると、ステップf102に進む。
ステップf102において、分配比率算出部101は、ステップf101で受信された複数の入力フレーム(Ft、Ft+1)から分配比率R´tを算出する。上述のように、分配比率算出部101は、入力フレームFt、及びFt+1の差分から検出される、入力フレームFt内の動き量に応じて、入力フレームFtの分配比率R´tを算出する。
尚、ステップf102で、分配比率算出部101は、第2の入力フレーム(Ft)に続く第3の入力フレーム(Ft+1)と第2の入力フレームの差分によって検出された動き領域の移動量に基づいて、第2の入力フレーム内の画像の動きを決定する。ただし、フレーム内の画像の動きは、そのフレームの次のフレーム、あるいは、前のフレーム、前後両方のフレームから検出してもよい。また、動き量は、例えば動きベクトル情報などの動き情報から取得するようにしても良い。この場合、ステップf101において複数の入力フレームを受信しなくても良い。分配比率算出部101が算出した入力フレームFtの分配比率R´tを分配比率補正部102に出力すると、ステップf103に進む。
ステップf103(決定手順)において、分配比率補正部102は、分配比率算出部101から出力された入力フレームFtの分配比率R´tを、過去の分配比率に応じて補正し、入力フレームFtの分配比率Rtを決定する。つまり、分配比率補正部102は、入力フレームFtの分配比率Rtと、過去の入力フレームに対して決定された分配比率の差分が、所定範囲内となるように、算出された分配比率R´tを補正する。即ち、分配比率補正部102は、ステップf103において、第2の入力フレーム(入力フレームFt)から対応する第3の出力フレーム(サブフレームPt)、及び第4の出力フレーム(サブフレームQt)を生成するための分配比率Rtを決定する。また、分配比率補正部102は、これまでに、第1の入力フレーム(入力フレームFt−1)から対応する第1の出力フレーム(サブフレームPt−1)、及び、第2の出力フレーム(サブフレームQt−1)を生成するための分配比率Rt−1を決定している。また、分配比率補正部102は、第1及び第2の出力フレーム(サブフレームPt−1、Qt−1)に対応する画像信号の比率、及び第2の入力フレーム(入力フレームFt)内の画像の動きに応じて、第3、及び第4の出力フレーム(サブフレームPt、Qt)に対応する画像信号の比率Rtを決定する。そして、補正後の分配比率Rtを分配比率保存部103、及び、分配処理部104に出力し、ステップf104に進む。分配比率補正部102による分配比率の補正処理の詳細は、図3を用いて後述する。
ステップf104(生成手順)において、分配処理部104は、入力フレームFt、及び、分配比率補正部102から出力された分配比率Rtに基づいて、サブフレームQtを生成する。つまり、分配処理部104は、例えば、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtが7:3(0.3)であった場合、入力フレームFtの画素値を0.3倍したものをサブフレームQtとする。分配処理部104は生成したサブフレームQtを、差分処理部105に出力する。また、分配処理部104によって生成されたサブフレームQtは、切替器106を介して外部に出力される。ここで、外部とは、例えば、ディスプレイ等の表示装置やハードディスクドライブのような記憶装置等がある。ただし、これらに限らない。分配処理部104がサブフレームQtを差分処理部105へ出力すると、ステップf105に進む。
ステップf105(生成手順)において、差分処理部105は、入力フレームFt、及び、分配処理部104から出力されたサブフレームQtとに基づいて、サブフレームPtを生成する。つまり、差分処理部105は、入力フレームFtと、サブフレームQtとの差分を、サブフレームPtとして生成する。したがって、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtが例えば7:3(0.3)であった場合、入力フレームFtの画素値を0.7倍したものが、サブフレームPtとなる。差分処理部105によって生成されたサブフレームPtは、切替器106を介して外部に出力される。差分処理部105がサブフレームPtを生成すると、ステップf101に戻り、入力フレームt+1、t+2に基づいて、入力フレームt+1の分配比率の決定、及び、サブフレームPt+1、Qt+1の生成、出力を行う。
<分配比率の補正処理>
次に、分配比率の補正処理について、図3を用いて説明する。
図3は、分配比率補正部102が行う、分配比率R´の補正処理を示すフローチャートである。尚、図3の処理は、図2のステップf103の処理に対応する。また、本実施形態では、入力フレームFtの分配比率R´tを補正する場合について説明する。また、上述のように、本形態では、分配比率を、サブフレームQと入力フレームFとの画素値の比に基づいて表わす。すなわち、例えば、入力フレームFtの分配比率が7:3の場合、サブフレームPtは入力フレームFtの0.7倍の画素値、サブフレームQtは入力フレームFtの0.3倍の画素値となるが、このときの分配比率を0.3と表わす。
また、本実施形態では、サブフレームPが、サブフレームQよりも画素値が高くなるように、サブフレームの分配比率を決定する。また、本形態では、分配比率が0.1よりも0.2のほうが、より分配比率が高いと表現する。つまり、分配比率が高い場合、サブフレームPの画素値とサブフレームQの画素値が近くなる。
ステップf200において、分配比率補正部102は、分配比率算出部101から、入力フレームFtの分配比率R´tを取得する。また、分配比率補正部102は、分配比率保存部103から過去の分配比率Rt−1を取得する。ここで、分配比率Rt−1は、入力フレームFtの前に入力された入力フレームFt−1の、分配比率補正部102による補正後の分配比率である。すなわち、分配比率保存部103には、実際に再生されるサブフレームの生成に用いられた分配比率のデータが保存されている。
尚、本実施形態では、入力フレームFt−1の補正後の分配比率のみを取得するが、複数の過去の分配比率を取得しても良い。つまり、例えば、入力フレームFt−2の分配比率Rt−2や、入力フレームFt−3の分配比率Rt−3も、あわせて取得するようにしても良い。分配比率補正部102が分配比率R´tと過去の分配比率Rt−1を取得すると、ステップf201に進む。
ステップf201において、分配比率補正部102は、過去の分配比率Rpastを算出する。本形態では、ステップf200において、入力フレームFt−1の分配比率Rt−1のみを取得しているので、Rpastは、Rt−1と同値となる。ただし、複数の入力フレームの分配比率を取得している場合、各分配比率に、入力フレームFtとの再生順序の近さに応じた重み付けをしてRpastを求める。つまり、例えば、ステップf201に示したa1,,,anの値の合計が1となるように、各aの値を設定し、Rpastを求める。分配比率補正部102が過去の分配比率Rpastを算出すると、ステップf202に進む。
ステップf202において、分配比率補正部102は、分配比率R´t、過去の分配比率Rpast、許容変化時間THT、及び仮の許容変化量THL´を用いて、分配比率の許容変化量THLtを算出する。以下、分配比率の許容変化量THLtの算出方法について説明する。なお、許容変化時間THTは、予め設定された値(例えば、2フレーム時間)を有する。
まず、分配比率補正部102は、算出された分配比率R´tと過去の分配比率Rpastとの差の絶対値を算出する。これにより、動き量に応じて算出された分配比率R´tと、過去の入力フレームの分配比率Rpastとの差がわかる。そして、その差を仮の許容変化量THL´で除算することによって、分配比率R´tと分配比率Rpastの差を埋めるために必要な最小のフレーム数がわかる。つまり、例えば、動き量に応じて算出された入力フレームFtの分配比率R´tが0.5であり、過去の入力フレームの分配比率Rpastが0.2であった場合、その差の絶対値は、0.3となる。そして、仮の許容変化量THL´が0.1であった場合、この許容変化量THL´に従えば、入力フレームFtの分配比率は0.1〜0.3の範囲に収める必要がある。つまり、入力フレームFtの分配比率Rtは、過去の入力フレームの分配比率Rpast(0.2)よりも0.1大きい値(0.3)と、0.1小さい値(0.1)の範囲内に収める必要がある。また、過去のフレームの分配比率Rpastを、仮の許容変化量THT´(0.1)ずつ増やしていくと、3入力フレーム後(入力フレームFt+2)の分配比率が、算出された分配比率R´tに到達することがわかる。このようにして算出された最小のフレーム数から、許容変化時間THTに対応するフレーム数を差し引くことによって、許容変化時間内に、算出された分配比率Rtに到達するか判定することができる。例えば、上記の例において、許容変化時間THTが2フレーム時間であった場合、許容変化時間内に分配比率R´tに到達しないと判定される。
このような場合、分配比率補正部102は、LUT(Look Up Table)を参照することによって、許容変化量THLを決定する。つまり、LUTは、仮の許容変化量THL´で分配比率を変化させていけば、許容変化時間THT内に分配比率R´tに到達する場合は、「1」を出力する。つまり、仮の許容変化量THL´をそのまま許容変化量THLとする。一方、仮の許容変化量THL´が示す範囲内で分配比率を変化させると、許容変化時間THT以内に、分配比率R´tに達しない場合は、LUTは、1より大きいの値を出力する。許容変化量THLは、仮の許容変化量にLUTの出力値を掛け合わせた値にする。このようにすることにより、許容変化量THLが、仮の許容変化量THL´よりも大きな値となる。つまり、本形態の分配比率補正部102は、LUTにより、許容変化量と許容変化時間のどちらを優先させるかを決定する。このように、LUTが1よりも大きい値を出力した場合、仮の許容変化量THL´は無視される。
尚、許容変化量と許容変化時間のうち、どちらを優先させるかは、ユーザによる設定に基づいて決めることができる。すなわち、例えば、分配比率の急激な変動による表示画面の明るさの変化を抑制する設定がされていた場合、許容変化時間THT内に分配比率R´tが実現しない場合であっても、「1」を出力するようにしても良い。このように、本形態の分配比率補正部102は、LUTにより、許容変化量と許容変化時間のどちらを優先させるかを決定する。分配比率補正部102が分配比率の許容変化量THLtを算出すると、ステップf203に進む。
ステップf203において、分配比率補正部102は、過去の分配比率Rpastとステップf201で算出された許容変化量THLtの和と、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tを比較する。すなわち、分配比率補正部102は、分配比率R´tが、過去の分配比率Rpastと変化許容量THLtとの和よりも高いか否かを判定する。分配比率R´tが分配比率Rpastと変化許容量THLtとの和よりも高いと判定された場合はステップf205へ、分配比率R´tが分配比率Rpastと変化許容量THLtとの和以下であると判定された場合はステップf204に進む。
ステップf205において、分配比率補正部102は、過去の分配比率Rpastと変化許容量THLtとの和を、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtとする。つまり、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tが、過去の入力フレームの分配比率Rpastと変化許容量THLtの和よりも高いと判定された場合、以下のように補正後の分配比率Rtを決定する。すなわち、分配比率補正部102は、許容する変化量内において最も高い分配比率となるように、分配比率R´tを補正し、分配比率Rtを決定する。分配比率Rtを決定すると、ステップf208に進む。
ステップf204において、分配比率補正部102は、過去の分配比率Rpastからステップf201で算出された許容変化量THLtを差し引いた値と、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tとを比較する。すなわち、分配比率補正部102は、分配比率R´tが、過去の分配比率Rpastから変化許容量THLtを差し引いた値よりも低いか否かを判定する。分配比率R´tが分配比率Rpastから変化許容量THLtを差し引いた値よりも低いと判定された場合はステップf205へ進む。一方、分配比率R´tが分配比率Rpastから変化許容量THLtを差し引いた値以上であると判定された場合はステップf207に進む。
ステップf206において、分配比率補正部102は、過去の分配比率Rpastから変化許容量THLtを差し引いた値を、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtとする。つまり、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tが、過去の入力フレームの分配比率Rpastから変化許容量THLtを差し引いた値よりも低いと判定された場合、以下のように補正後の分配比率Rtを決定する。すなわち、分配比率補正部102は、許容する変化量内において最も低い分配比率となるように、分配比率R´tを補正し、分配比率Rtを決定する。補正後の分配比率Rtを決定すると、ステップf208に進む。
ステップf207において、分配比率補正部102は、分配比率R´tを補正後の分配比率Rtとして決定する。つまり、分配比率補正部102は、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tを補正しない。このように、本形態の分配比率補正部102は、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tが、過去の分配比率Rpastの許容変化量の範囲内である場合、分配比率を補正しない。分配比率Rtを決定するとステップf208に進む。
以上のように、ステップf204〜f207において、分配比率補正部102は、第3の出力フレーム(サブフレームPt)に対応する画像信号と第4の出力フレーム(サブフレームQt)に対応する画像信号の比率(第2の比率)を以下のように決定する。つまり、分配比率補正部102は、第1の出力フレームに対応する画像信号と第2の出力フレームに対応する画像信号の比率(第1の比率)と、第2の比率との違いが、所定値以下となるように、分配比率Rtを決定する。ここで、第1の出力フレームはサブフレームPt−1に、第2の出力フレームはサブフレームQt−1にそれぞれ対応する。
また、分配比率算出部101は、第1及び第2の出力フレーム(サブフレームPt−1、Qt−1)に対応する画像信号の比率に基づいて、第3及び第4の出力フレーム(サブフレームPt、Qt)に対応する画像信号の比率の許容範囲を設定する。本実施形態において、この許容範囲は、Rpast−THLからRpast+THLまでの範囲である。そして、分配比率補正部102は、設定された許容範囲と第2の入力フレーム(入力フレームFt)内の画像の動きに応じて、第3及び第4の出力フレームに対応する画像信号の比率を算出する。
また、分配比率算出部101は、入力フレームFt内の画像の動きが大きいほど、サブフレーム(Pt、Qt)の差分が大きくなるように、分配比率R´tを算出する。従って、分配比率補正部102によって決定される分配比率Rtも、入力フレームFt内の動きが小さい場合よりも大きい場合のほうが、サブフレーム(Pt、Qt)の差分が大きくなるように決定される。即ち、分配比率補正部102は、第2の入力フレーム(入力フレームFt)内の画像の動きの大きさが第1の大きさの場合、第3の出力フレーム(サブフレームPt)及び第4の出力フレーム(サブフレームQt)の画像信号の分配比率を以下のように決定する。すなわち、第3及び第4の出力フレームの画像信号の差分が、第2の入力フレーム内の動きの大きさが第1の大きさよりも小さい第2の大きさの場合に決定される第3及び第4の出力フレームの画像信号の差分よりも大きくなるように決定する。尚、第3及び第4の出力フレームは、第2の入力フレーム(Ft)から生成されるサブフレームである。また、第4の出力フレーム(Qt)は、第3の出力フレーム(Pt)の後に再生される出力フレームである。
ステップf208において、分配比率補正部102は、決定された分配比率Rtを分配比率保存部103、及び、分配処理部104に出力し、分配比率の補正処理を終了する。
上記のような処理により補正された分配比率Rに基づく分配比率の推移を図5、図6に示す。図5に示すように、補正後の分配比率は、1入力フレーム前の分配比率との変化量が変化許容量THL以下になっている。また、図6には、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tが、変化許容時間THTで示されるフレーム数以内の入力フレームの分配比率となることが示されている。つまり、分配比率補正部102は、分配比率算出部101によって算出された分配比率R´tが、過去の分配比率からの変化許容量THLの範囲を超えた場合でも、変化許容時間THL以内に、分配比率R´tが実現するように、段階的に分配比率を変更する。ただし、分配比率R´tと、変化許容量THLによっては、どちらかの条件しか満たせない場合がある。その場合、分配比率補正部102は、LUT(Look Up Table)によってどちらを優先的させるかを決定する。尚、ステップf202で説明したように、許容変化量と許容変化時間のうち、どちらを優先させるかは、ユーザによる設定に基づいて決めることができる。すなわち、例えば、分配比率の急激な変動による表示画面の明るさの変化を抑制する設定がされていた場合、許容変化時間THT内に分配比率R´tが実現しない場合であっても、1を出力するようにしても良い。つまり、LUTの出力の最大値を1にする。一方、許容変化時間を優先させる設定がなされていた場合は、許容変化時間内に分配比率R´tが実現するように、LUTの出力の最大値を1よりも大きな値にする。このように、本形態の分配比率補正部102は、LUTにより、許容変化量と許容変化時間のどちらを優先させるかを決定する。
また、図6のように分配比率を補正した場合の表示画面上における見た目の明るさの変化の例を図7に示す。同図に示すように、見た目の明るさの変化が許容変化量THL以下になっていることがわかる。一方、図17のように、分配比率を補正しない場合では、分配比率が急激に変化した場合、その変化した時点において、明るさが急激に変化したと感じられる。なぜなら、視聴者は、再生順序が連続するサブフレームの輝度の合計値が高いほど、その画面が明るいと感じるからである。図17の例においては、8枚目のサブフレームを表示するところまでは、分配比率の変化による画面の明るさの変化はない。しかし、9枚目のサブフレームを表示させたとき、8枚目と9枚目のサブフレームの輝度の合計値が、これまでの再生順序が連続するサブフレームの輝度の合計よりも高くなると、急激に画面が明るくなったと感じる。図17のように分配比率を変更した場合における表示画面の明るさの変化の例を図18に示す。
以上、分配比率をフレームごとに制御する場合について説明した。
<領域ごとの分配比率決定処理>
次に、分配比率をフレーム内の領域ごとに制御する場合について、図4を用いて説明する。
図4は領域単位で分配比率を制御する場合の分配比率補正部102の処理のフローチャートである。本形態において、分配比率補正部102は、分配比率算出部101から、入力フレームFtの領域ごとの分配比率[R´t]を受け取り、補正後の分配比率[Rt]を分配比率保存部103、及び、分配処理部104に出力する。
図4の処理は、領域ごとに分配比率を設定するモードが指示されたことによって開始される。ただし、映像の再生開始と共に処理をはじめるようにしても良い。
ステップf300において、分配比率補正部102は、分配比率算出部101から入力フレームFtの領域ごとの分配比率[R´t]、及び、分配比率保存部103から過去の入力フレームFt−1の領域ごとの分配比率[Rt−1]を受け取る。尚、過去の領域ごとの分配比率[Rt−1]は、補正後の分配比率である。また、本形態の分配比率算出部101は、領域ごとの分配比率[R´t]の算出を、領域内の動き量に応じて算出する。すなわち、分配比率算出部101は、入力フレームFt内の領域と入力フレームFt+1の対応する領域との差分を取ることによって、該領域内に動き領域があるか判断する。また、動き領域があると判断される場合は、動き領域における動き量を取得する。そして、その動き量に応じて、入力フレームFt内の領域の分配比率を算出する。分配比率補正部102は、上記のようにして算出された入力フレームFtの領域ごとの分配比率[R´t]を、分配比率算出部101から受け取る。
ステップf301において、分配比率補正部102は、過去の分配比率の平均値Rpastaveを算出する。つまり、まず、過去の分配比率として、複数の入力フレームの領域ごとの分配比率を用いる場合、図4のステップf301の上側に示した式のように、領域ごとの過去の分配比率[Rpast]を求める。[Rpast]は、入力フレームFtに再生時刻が近い入力フレームの分配比率ほど、重み付けが大きくなるように、aの値を設定して求めるようにすることができる。ただし、本形態では、過去の分配比率として、入力フレームFtの1フレーム前に入力された入力フレームFt−1の分配比率[Rt−1]を用いるため、[Rt−1]がそのまま[Rpast]となる。そして、ステップf301において、分配比率補正部102は、領域ごとの過去の分配比率[Rpast]の平均値からRpastaveを求めて、ステップf302に進む。
ステップf302において、分配比率補正部102は、分配比率R´tave、ステップf301で算出された過去の分配比率Rpastave、許容変化時間THT、及び仮の許容変化量THL´を用いて、分配比率の許容変化量THLtを算出する。尚、R´taveは、領域ごとに算出された分配比率[R´t]の平均値である。また、分配比率補正部102は、許容変化量THLを、ステップf202と同様に算出する。すなわち、まず、分配比率補正部102は、算出された分配比率R´tと過去の分配比率Rpastaveとの差の絶対値を算出する。そして、その差を仮の許容変化量THL´で除算し、分配比率R´tと分配比率Rpastaveの差を埋めるために必要な最小のフレーム数を算出する。そして、算出された最小のフレーム数と、許容変化時間THTで示されるフレーム数の差を算出し、その値をLUTの入力として、許容変化量THLを決定する。分配比率補正部102が分配比率の許容変化量THLtを算出すると、ステップf303に進む。
ステップf303において、分配比率補正部102は、過去の分配比率 Rpastaveとステップf302で算出された許容変化量THLの和と、入力フレームFtの分配比率の平均値R´taveを比較する。すなわち、分配比率補正部102は、分配比率の平均値R´taveが、領域ごとの過去の分配比率の平均値Rpastaveと変化許容量THLとの和よりも高いか否かを判定する。ステップf303において、分配比率R´taveが、過去の分配比率Rpastaveと変化許容量THLとの和よりも高いと判定された場合はステップf305へ進む。一方、分配比率R´taveが過去の分配比率Rpastaveと変化許容量THLとの和以下であると判定された場合はステップf304に進む。
ステップf305において、分配比率補正部102は、領域ごとの過去の分配比率[Rpast]と変化許容量THLとの和を、入力フレームFtの各領域の分配比率[Rt]とする。つまり、分配比率補正部102は、領域ごとに算出された入力フレームの分配比率の平均が、領域ごとの過去の分配比率の平均Rpastaveと変化許容量THLとの和よりも高いと判定された場合、以下のように分配比率[Rt]を決定する。すなわち、分配比率補正部102は、フレームFt内の各領域に対応する領域の過去の分配比率の許容する変化量内において、最も高い分配比率となるように、領域ごとの分配比率[Rt]を決定する。例えば、フレームFt内のある領域(第1の領域)の補正後の分配比率Rt(1)が、許容する変化量内において最も高い分配比率となるように、R´t(1)を補正する。分配比率補正部102は、フレームFt内のすべての領域に対して分配比率R´tを補正し、分配比率[Rt]を決定すると、ステップf308に進む。
ステップf304において、分配比率補正部102は、過去の分配比率 Rpastaveから、ステップf302で算出された許容変化量THLを差し引いた値と、算出された入力フレームFtの分配比率[R´t]の平均値R´taveとを比較する。そして、分配比率R´taveが過去の分配比率Rpastaveから変化許容量THLを差し引いた値よりも低いと判定された場合はステップf306へ進む。一方、分配比率R´taveが過去の分配比率Rpastaveから変化許容量THLを差し引いた値以上であると判定された場合はステップf307に進む。
ステップf306において、分配比率補正部102は、領域ごとの過去の分配比率[Rpast]から変化許容量THLを差し引いた値を、入力フレームFtの各領域の分配比率[Rt]とする。つまり、分配比率補正部102は、領域ごとに算出された入力フレームの分配比率の平均が、領域ごとの過去の分配比率の平均Rpastaveから変化許容量THLを差し引いた値よりも低いと判定された場合、以下のように分配比率[Rt]を決定する。すなわち、分配比率補正部102は、入力フレームFt内の各領域に対応する領域の過去の分配比率の変化許容内において、最も低い分配比率となるように、領域ごとの分配比率[Rt]を決定する。例えば、フレームFt内のある領域(第1の領域)の補正後の分配比率Rt(1)が、許容する変化量内において最も低い分配比率となるように、R´t(1)を補正する。分配比率補正部102は、フレームFt内のすべての領域に対して分配比率R´tを補正し、分配比率[Rt]を決定すると、ステップf308に進む。
ステップf307において、分配比率補正部102は、分配比率[R´t]を補正後の分配比率[Rt]とする。つまり、分配比率補正部102は、分配比率算出部101によって算出された分配比率[R´t]を補正しない。このように、本形態の分配比率補正部102は、分配比率算出部101によって領域ごとに算出された分配比率[R´t]の平均が、領域ごとの過去の分配比率の平均Rpastaveの許容変化量の範囲内である場合、分配比率を[R´t]と決定する。分配比率補正部102が分配比率[Rt]を決定するとステップf308に進む。
このように、分配比率補正部102は、過去に入力された入力フレーム(例えば、入力フレームFt−1)の分配比率を領域ごとに決定している。そして、分配比率補正部102は、決定されている領域ごとの分配比率[Rt−1]に応じて、入力フレームFtの領域ごとの分配比率[Rt]を決定する(ステップf303〜f307)。即ち、分配比率補正部102は、第1及び第2の出力フレーム(サブフレームPt−1、Qt−1)の分配比率を領域ごとに決定する。そして、領域ごとに決定された分配比率に応じて、第3の出力フレーム(サブフレームPt)に対応する画像信号と第4の出力フレーム(サブフレームQt)に対応する画像信号の分配比率を領域ごとに決定する。
ステップf308において、分配比率補正部102は、決定された分配比率[Rt]を分配比率保存部103、及び、分配処理部104に出力し、入力フレームFtの分配比率の補正処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の動画像処理装置は、入力フレームの領域ごとに分配比率を決定する場合であっても、動き量に応じて算出された分配比率を先に入力された入力フレームの分配比率に応じて補正することができる。また、本形態では、領域ごとに算出された入力フレームの分配比率の平均値と、領域ごとに算出された過去の分配比率の平均値を用いて、分配比率の補正処理を行っている。このようにすることにより、領域ごとに算出された分配比率[F´t]のそれぞれを、領域ごとの過去の分配比率[Rpast]を用いて補正するよりも、少ない計算量で行うことができる。ただし、入力フレームFtの領域ごとに、許容変化量を算出し、分配比率を補正するようにしても良い。このようにすれば、例えば、入力フレームFt内に、動き量が大きく変化した領域と動き量の変化が小さい領域が存在する場合に、よりきめ細かく分配比率の制御を行うことができる。
また、図1に示す動画像処理装置にLPF(ローパスフィルタ)108を追加してもよい。LPF108は、映像信号の低周波成分のみを通過させるフィルタである。すなわち、LPF108は、雑音となりやすい高周波数成分を除去する機能を果たす。LPF108は、例えば、動画像入力装置と分配処理部104との間に設けられ、分配処理部104に入力される入力フレームの信号から高周波成分を除去する。このように構成した場合の、各サブフレームの出力は、図16のようになる。また、LPF108を設けない場合の各サブフレームの出力は、例えば図14、図15のようになる。尚、図14は、図15の例と比較して、入力フレームから生成される各サブフレームの画素値の違いが小さいため、擬似輪郭が目立ってしまっていることを示している。また、図16は、図15のサブフレームの分配比率に対して、さらにLPF108を設けた場合に出力されるサブフレームの例を示している。
図16におけるサブフレームQは、分配処理部104に入力される入力フレームから高周波成分が除去されたフレームデータと、補正後の分配比率Rとによって生成されたフレームとなる。したがって、サブフレームQは、高周波成分が除去されたサブフレームとなる。また、サブフレームPは、入力フレームFと、サブフレームQとの差分によって生成されたフレームとなる。したがって、サブフレームPは、高周波成分がより強調されたサブフレームとなる。このように、サブフレームQの高周波成分を除去することにより、倍速駆動において発生する擬似輪郭を目立たなくすることができる。
つまり、例えば、動き量に応じて算出された分配比率R´tが、過去の分配比率と、その許容変化量の和よりも高くなってしまう場合、分配比率R´tを補正すると共に、サブフレームQの高周波成分を除去することができる。このようにすれば、見た目の明るさの変化を抑えつつ、倍速駆動で表示させる映像の画質を上げることができる。
<実施形態2>
次に実施形態2について、実施形態1との差異を中心に説明する。実施形態2では、入力フレームに応じて許容変化量を制御する形態について説明する。
図8は、本発明の実施形態2に係る動画像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。動画像処理装置は、分配比率算出部901と、許容量算出部907と、分配比率補正部902と分配比率保存部903と分配処理部904と差分処理部905と切替器906とを有する。尚、実施形態1と同様の部分については、説明を省略する。また、本実施形態も、実施形態1と同様に、入力フレームのフレームレート(60フレーム/秒)を出力フレームのフレームレート(120フレーム/秒)に変換する場合について説明する。
許容量算出部907は、外部から入力される入力フレームFt、及びFt+1に応じて、分配比率の変化許容量を算出する。許容量算出部907による変化許容量の算出方法について、図11を用いて説明する。
図11は、許容量算出部907の入出力の例である。例えば、図11(a)に示すように、許容量算出部907は、複数の入力フレーム(入力フレームFt、入力フレームFt+1)間の画素値の差分の合計値が大きいほど、許容変化量THLが大きくなるように許容変化量THLを算出する。ただし、画素値の差分の合計値に限らず、例えば、最大値や平均値を用いるようにしても良い。
また、図11(b)に示すように、許容量算出部907は、例えば、入力フレームFtと入力フレームFt+1の画像信号から、それぞれ空間周波数成分を算出する。そして、算出された空間周波数成分の差分の合計値が大きいほど、許容変化量THLが大きくなるように許容変化量を算出する。ただし、合計値に限らず、例えば、最大値や平均値を用いるようにしても良い。
また、図11(c)に示すように、許容量算出部907は、例えば、入力フレームFtと入力フレームFt+1のそれぞれのヒストグラムで示される度数の差分の合計値が大きいほど、許容変化量THLが大きくなるように、許容変化量を算出する。ただし、合計値に限らず、例えば、度数の差分の最大値や平均値を用いるようにしても良い。
つまり、複数の入力フレームの差分が大きいほど、表示画面全体で画像が変化している可能性が高い。また、このような場合、例えば、シーンチェンジが発生している可能性もある。このような、表示画面全体が変化している場合においては、画面の明るさの変化の感度が低くなる。つまり、表示画面内の動き領域の動き量が大きくても、表示画面全体が変化していない場合は、画面の明るさが急激に変化するとそのことが知覚されやすいが、表示画面全体の変化が大きい場合は、画面の明るさの変化が知覚されにくい。そこで、本実施形態の許容量算出部907は、フレーム間の差分が大きいほど、許容変化量THLが大きくなるように、許容変化量THLを算出する。
尚、図11(a)のように、入力フレーム間の画素値の差分の大きさに応じて許容変化量THLを算出するようにすれば、空間周波数成分やヒストグラムの差分を算出するよりも少ない計算量で許容変化量を算出することができる。また、入力フレーム間の空間周波数成分やヒストグラムの差分の大きさに応じて許容変化量THLを算出するようにすれば、例えば、パン、チルト等によってゆっくりと画面が移動している場合に、許容変化量が大きく算出されてしまうことを防げる。また、画素の差分値、空間周波数成分の差分値、ヒストグラムの差分値のいずれかを用いて許容変化量を算出するようにしても、複数の差分情報を組み合わせて許容変化量を算出するようにしても良い。例えば、入力フレーム間の画素の差分値が大きい場合にのみ、空間周波数成分を比較するようにすれば、少ない計算量で、よりシーンチェンジ等の発生を精度良く推定することができる。
分配比率補正部902は、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´t、許容量算出部907によって算出された許容変化量THL、分配比率保存部903によって保存されている過去の分配比率Rt−1に基づいて、分配比率R´tを補正する。分配比率補正部902による分配比率の補正処理については、図10を用いて後述する。
次に、本実施形態における動画像処理装置の処理の概要について図9を用いて説明する。
図9は、本実施形態における動画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
尚、本形態では、図9に示す処理を、動画像処理装置全体を制御するCPUが、本実施形態に係るプログラムを記憶媒体から適宜RAMに読み出して実行する場合について説明する。ただし、図8に示した各部をハードウェアによって構成し、本発明を実現することも可能である。
図9の処理は、例えば、デジタルテレビ等の表示装置の電源を入れたことにより開始される。あるいは、表示装置において、倍速駆動を実行するモードが設定されたことに応じて行うようにしても良い。
ステップf401において、分配比率算出部901は、複数の入力フレームを入力する。ここでは、入力フレームFtとFt+1が入力されるものとする。ただし、2つ以上の入力フレームが入力されるようにしても良い。分配比率算出部901が複数の入力フレームを入力すると、ステップf402に進む。
ステップf402において、分配比率算出部901は、ステップf401で入力された複数の入力フレーム(Ft、Ft+1)から分配比率R´tを算出する。上述のように、分配比率算出部901は、入力フレームFt、及びFt+1の差分から、入力フレームFt内の動き領域を検出する。そして、動き領域の動き量に応じて、入力フレームFtの分配比率R´tを算出する。ただし、動き量は、例えば動きベクトル情報などの動き情報から取得するようにしても良い。分配比率算出部901が算出した入力フレームFtの分配比率R´tを分配比率補正部902に出力すると、ステップf403に進む。
ステップf403において、許容量算出部907は、入力フレームFt、及びFt+1から、図11を用いて説明したような方法により、変化許容量THLを算出する。許容量算出部907が算出した変化許容量THLを分配比率補正部102に出力すると、ステップf404に進む。ただし、ステップf402とステップf403の処理の順序は、逆であっても、並行して行っても良い。
ステップf404において、分配比率補正部902は、分配比率算出部901から出力された入力フレームFtの分配比率R´tを、過去の分配比率Rt−1、及び、算出された変化許容量THLに応じて補正する。そして、補正後の分配比率Rtを分配比率保存部903、及び、分配処理部904に出力し、ステップf405に進む。分配比率補正部902による分配比率の補正処理の詳細は、図10を用いて後述する。
ステップf405において、分配処理部904は、入力フレームFt、及び、分配比率補正部902から出力された入力フレームFtの分配比率Rtに基づいて、サブフレームQtを生成する。つまり、分配処理部104は、例えば、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtが7:3(0.3)であった場合、入力フレームFtの信号値を0.3倍したものをサブフレームQtとする。分配処理部904は算出したサブフレームQtを、差分処理部905に出力する。また、分配処理部904によって生成されたサブフレームQtは、切替器906を介して外部に出力される。分配処理部904がサブフレームQtを差分処理部905に出力すると、ステップf406に進む。
ステップf406において、差分処理部905は、入力フレームFt、及び、分配処理部904から出力されたサブフレームQtとに基づいて、サブフレームPtを生成する。つまり、差分処理部105は、入力フレームFtと、サブフレームQtとの差分を、サブフレームPtとして生成する。したがって、入力フレームFtの補正後の分配比率が7:3(0.3)であった場合、入力フレームFtの画素値を0.7倍したものが、サブフレームPtとなる。差分処理部905によって生成されたサブフレームPtは、切替器906を介して外部に出力される。差分処理部905がサブフレームPtを生成すると、ステップf401に戻り、入力フレームt+1、t+2に基づいて、入力フレームt+1の分配比率の決定、及び、サブフレームの生成、出力を行う。
次に、本実施形態における分配比率の補正処理について図10を用いて説明する。
図10は、分配比率補正部902が行う、分配比率R´の補正処理を示すフローチャートである。
尚、図10の処理は、図9のステップf404の処理に対応する。また、本実施形態では、入力フレームFtの分配比率R´tを補正する場合について説明する。また、本形態では、上述のように、分配比率を、サブフレームQと入力フレームFとの画素値の比に基づいて表わす。すなわち、例えば、入力フレームFの分配比率が7:3の場合、サブフレームPは入力フレームFの0.7倍の画素値、サブフレームQは入力フレームFの0.3倍の画素値となるが、このときの分配比率を0.3と表わす。
ステップf500において、分配比率補正部902は、分配比率算出部901から、入力フレームFtの分配比率R´tを取得する。また、分配比率補正部902は、分配比率保存部103から過去の分配比率Rt−1を取得する。ここで、分配比率Rt−1は、入力フレームFtの前に入力された入力フレームFt−1の、分配比率補正部902による補正後の分配比率である。本形態では、過去の分配比率として、入力フレームFt−1の補正後の分配比率を用いるが、過去の複数の入力フレームの補正後の分配比率を用いるようにしても良い。また、分配比率補正部902は、ステップf500において、許容量算出部907から入力フレームFtの変化許容量THLを取得する。許容量算出部907による許容変化量THLの算出方法は、図11を用いて説明した通りである。分配比率補正部902が分配比率R´t、過去の分配比率Rt−1、変化許容量THLを取得すると、ステップf501に進む。
ステップf501において、分配比率補正部902は、過去の分配比率Rpastを算出する。本形態では、入力フレームFt−1の分配比率のみを用いるので、Rpastは、Rt−1と同値となる。ただし、複数の入力フレームの補正後の分配比率を用いる場合、その分配比率に、入力フレームFtとの再生順序の近さに応じた重み付けをしてRpastを求めるようにしても良い。分配比率補正部902が過去の分配比率Rpastを算出すると、ステップf502に進む。
ステップf502において、分配比率補正部902は、過去の分配比率Rpastとステップf500で算出された許容変化量THLの和と、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´tを比較する。すなわち、分配比率補正部902は、分配比率R´tが、過去の分配比率Rpastと変化許容量THLとの和よりも高いか否かを判定する。分配比率R´tが分配比率Rpastと変化許容量THLとの和よりも高いと判定された場合はステップf504へ、分配比率R´tが分配比率Rt−1と変化許容量THLとの和以下であると判定された場合はステップf503に進む。
ステップf503において、分配比率補正部902は、過去の分配比率Rpastと変化許容量THLとの和を、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtとする。つまり、ステップf503において、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´tが、過去の入力フレームの分配比率Rpastと変化許容量THLの和よりも高いと判定された場合、以下のように補正後の分配比率Rtを決定する。すなわち、分配比率補正部902は、許容する変化量内において最も高い分配比率となるように、分配比率R´tを補正し、分配比率Rtを決定する。補正後の分配比率Rtを決定すると、ステップf507に進む。
ステップf504において、分配比率補正部902は、過去の分配比率Rpastからステップf501で算出された許容変化量THLを差し引いた値と、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´tとを比較する。すなわち、分配比率補正部902は、分配比率R´tが、過去の分配比率Rt−1から変化許容量THLを差し引いた値よりも低いか否かを判定する。分配比率R´tが分配比率Rpastから変化許容量THLを差し引いた値よりも低いと判定された場合はステップf505へ進む。一方、分配比率R´tが分配比率Rpastから変化許容量THLを差し引いた値以上であると判定された場合はステップf506に進む。
ステップf505において、分配比率補正部902は、過去の分配比率Rpastから変化許容量THLを差し引いた値を、入力フレームFtの補正後の分配比率Rtとする。つまり、ステップf503において、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´tが、過去の入力フレームの分配比率Rpastから変化許容量THLを差し引いた値よりも低いと判定された場合、以下のように補正後の分配比率Rtを決定する。すなわち、分配比率補正部902は、許容する変化量内において最も低い分配比率となるように、分配比率R´tを補正し、分配比率Rtを決定する。補正後の分配比率Rtを決定すると、ステップf507に進む。
ステップf506において、分配比率補正部902は、分配比率R´tを補正後の分配比率Rtとして分配比率を決定する。つまり、分配比率補正部902は、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´tを補正しない。このように、本形態の分配比率補正部902は、分配比率算出部901によって算出された分配比率R´tが、過去の分配比率Rpastの許容変化量の範囲内である場合、分配比率を補正しない。分配比率Rtを決定するとステップf507に進む。
このように、分配比率補正部902は、入力フレームFtの分配比率Rtが取り得る範囲(許容範囲)を設定している。本形態において、分配比率Rtの許容範囲は、Rpast−THLからRpast+THLまでの範囲である。即ち、分配比率補正部902は、第1及び第2の入力フレームの差分、及び、第1及び第2の出力フレームに対応する画像信号の比率に基づいて、第3及び第4の出力フレームに対応する画像信号の比率の許容範囲を設定する。そして、分配比率補正部902は、設定された許容範囲、及び、第2の入力フレーム内の画像の動きに応じて、第3及び第4の出力フレームに対応する画像信号の比率を算出する(ステップf502〜f506)。尚、上述のように、許容量算出部907は、入力フレームの差分が大きいほど、許容範囲が広くなるように、許容範囲を算出する。即ち、許容量算出部907は、第1及び第2の入力フレームの差分の大きさが第1の大きさの場合の許容範囲(第1の許容範囲)が、第1の大きさよりも小さい第2の大きさの場合の許容範囲(第2の許容範囲)よりも広くなるように許容範囲を設定する。
ステップf507において、分配比率補正部902は、取得された分配比率Rtを分配比率保存部903、及び、分配処理部904に出力し、分配比率の補正処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の動画像処理装置は、入力フレームに応じて許容変化量を設定する。つまり、入力フレーム間の差分が小さい場合は過去の分配比率からの許容変化量が小さくなるように許容変化量を算出し、入力フレーム間の差分が大きい場合は許容変化量が大きくなるように許容変化量を算出する。このようにすることにより、映像内のオブジェクトに動きがない場合のような、明るさの変化が目立つ映像において、分配比率の変化を小さくすることができる。一方、映像内の変化が激しい場合や、シーンチェンジの場合のような、明るさの変化が目立ちにくい映像においては、分配比率の変化を大きくさせることができる。入力フレーム間の差分が小さい場合に出力されるサブフレームの例を図12に示す。このように、入力フレーム間の差分が小さい場合は、分配比率が大きく変化しないようにしているため、表示画面の明るさの変化が抑制されている。一方、入力フレーム間の差分が大きい場合に出力されるサブフレームの例を図13に示す。このように、入力フレーム間の差分が大きい場合は、分配比率を大きく変化できるようにしているため、入力フレームの動き量に応じた分配比率により近い分配比率でサブフレームを生成することができる。
なお、実施形態2の分配比率の補正方法を、領域毎の分配比率の設定に用いることも可能である。この場合、許容量算出部907は、入力フレームの領域ごとに、入力フレーム間の差分情報に基づいて変化許容量THLを算出する。そして、分配比率補正部902は、算出された変化許容量と、入力フレームFtの各領域の分配比率[R´t]に基づいて、領域ごとの分配比率[Rt]を決定する。また、LPFを付加することによる効果も、実施形態1と同様に得られる。
<その他の実施形態>
なお、本発明は、複数の機器から構成されるシステムの1部として適用しても、1つの機器からなる装置の1部に適用してもよい。
また、本発明は上記実施形態を実現するための装置及び方法のみに限定されるものではない。
例えば、上記システム又は装置内のコンピュータ(CPU或いはMPU)に、上記実施形態を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給するものも本発明の範疇に含まれる。また、このプログラムコードに従って上記システム或いは装置のコンピュータが上記各種デバイスを動作させることにより上記実施例を実現する場合も本発明の範疇に含まれる。
この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が上記実施形態の機能を実現することになる。即ち、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、具体的には上記プログラムコードを格納した記憶媒体も本発明の範疇に含まれる。
この様なプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、本発明は上記プログラムコードのみに従って各種デバイスを制御することにより、上記実施形態の機能が実現される場合に限らない。例えば、上記プログラムコードがコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)、或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上記実施形態が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
更に、コンピュータの機能拡張ボードに備わるメモリに格納された上記プログラムコードの指示に基づいて、その機能拡張ボードに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合なども本発明の範疇に含まれる。