JP5202095B2 - 積層偏光板、液晶表示装置、並びに偏光散乱板 - Google Patents

積層偏光板、液晶表示装置、並びに偏光散乱板 Download PDF

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Description

本発明は、入射光のうちの特定の偏光成分を選択的に透過する偏光板、及びこの偏光板を備える液晶表示装置に関する。とりわけ、本発明は、入射光のうちの特定の偏光成分の割合を増加させ、且つこの偏光成分を選択的に透過する積層偏光板、及びこの偏光板を備える液晶表示装置に関する。また本発明は、これらの用途に使用することができる偏光散乱板に関する。
偏光成分を分離する光学素子、すなわちいわゆる偏光板は、テレビ、モニタ、携帯電話などの液晶表示素子に広く使用されている。液晶表示素子は、原理上、液晶を用いて偏光成分の透過光を制御しているので、偏光板は液晶表示装置において必要不可欠な部材となっている。
従来、通常の光から特定の偏光成分を取り出す研究は数多くなされており、さまざまな形態の偏光板が開発されている。このような偏光板としては、例えば方解石等の複屈折性(光学異方性)結晶を利用した複屈折偏光板、ヨウ素等の二色性色素や有機色素(染料)を高分子中に配向分散させた二色性偏光板、屈折率を制御した多層膜等により一方向の偏光を反射する特性をもつ反射型偏光板等が知られている。偏光板の用途のひとつである液晶表示装置においては、その透過光制御が可能となることから、これらの中でも、大きな二色性を有する二色性偏光板が好適に用いられてきた。
しかしながら二色性偏光板は、入射光全体に対して最大で50%の光は透過させるが(例えば表面反射が4%の場合には最大光透過率は46%)、透過軸に垂直な方位の成分は吸収してしまう。このため二色性偏光板は、少なくとも50%の光をロスしてしまい、光の利用効率の点で満足できるものではなかった。
そこで現在では、二色性偏光板への光吸収を回避し、光の利用効率をより高める目的で、二色性偏光板と反射型偏光板とを組み合わせて用いることが検討されている。この方法は、偏光板に吸収されていた透過軸に垂直な光を、反射型偏光板により入射光側に反射させ、光源側に設置されているプリズムシート、導光板、拡散板に再度透過させることによって、偏光解消し、そして偏光解消した光を再び偏光板に供給することによって、光の利用効率を上昇させようとするものである。
ここで、反射型偏光板とは、主として光学反射干渉特性を利用した素子であって、二色性偏光板では吸収によりロスしてきた偏光を、反射特性を利用することにより分離するものである。
このような反射型偏光板としては、例えばコレステリック液晶層と1/4波長板とを組み合わせたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された反射型偏光板においては、コレステリック液晶層は、その螺旋ピッチに対応した波長の右(又は左)円偏光を透過し、一方で、左(又は右)円偏光を反射する特性を有している。このような反射型偏光板を透過した円偏光は、1/4波長板によって直線偏光に変換され、その結果、選択的な直線偏光を作り出すことができる。
また、特許文献2には、複屈折を有する多層膜の干渉を用いた反射型偏光板が記載されている。特許文献2に記載された反射型偏光板においては、複屈折性材料からなる2種類のポリマーフィルムの配向多層膜によって、偏光分離が行われる。なお、このような配向多層膜は、3M社からD−BEF(輝度上昇フィルム)シリーズとして既に市販されている。
また、近年、ワイヤーグリッド型偏光板という、透明な基板上に直線状金属細線が互いに平行に同じ間隔をおいて配置されている反射型偏光板が提案されている(特許文献3参照)。
さらに、特許文献4においては、複屈折を有する材料とプリズムとを組み合わせた偏光板が提案されている。特許文献4に記載された偏光板は、複屈折を持つポリマー基材の表面にプリズムを備えた構成であり、当該プリズムの断面方向と長さ方向の屈折率の違いを利用して、一方の直線偏光に対してはプリズムでの反射角が臨界角より小さく、他方の直線偏光に対してはプリズムでの反射角が臨界角以上になるように、プリズムの角度が設定されている。そして当該設定により、臨界角以上の光については、全反射により入射光側に戻され、偏光分離がなされる。
一方で特定の偏光成分を透過し、且つ他方でその偏光に対して垂直な偏光成分を散乱する散乱型偏光板に関する技術も報告されている(特許文献5参照)。この散乱型偏光板では、単純なポリマーブレンドを利用して連続相と不連続相とを作成し、偏光分離を行っている。
特許文献1〜4に記載された反射型偏光板の単独の使用により光の利用効率向上を行う方式においては、特定の偏光成分からなる反射光を、入射光側に戻し、プリズムシート、拡散板、導光板、反射板での、透過及び反射によって偏光解消し、再び偏光板に戻して再利用している。しかし、これらの方式では、反射型で反射された特定の偏光成分からなる反射光は、偏光板と反射板の間の部材数が多いほど、再利用の過程で一部が散逸してしまい、したがって光の利用効率が低下してしまう問題がある。また、特許文献5による散乱型偏光板では、散乱による散逸光が多いため、再利用効率が比較的低いことが指摘されている。
この問題に対しては、特許文献6に、反射型偏光子に散乱フィルムが積層された技術が報告されている。この技術では、反射型偏光素子により反射された特定方向の偏光成分を、反射型偏光素子の直下に配置した散乱フィルムにより再反射して反射型偏光素子に戻すことで、光の散逸の低減方法が示されている。特許文献6によれば、ここで用いられる散乱フィルムは、光源から反射型偏光子に入射する透過軸方向の直線偏光については、反射することなく高い透過性を有し、且つ他方で、偏光子透過軸と直交方向の直線偏光についても、光源からの入射光については一定の透過性を有し、またその直線偏光が、反射型偏光子で反射されて戻ってきた際には、戻ってきた直線偏光を、後方散乱によって偏光解消させる。
しかし、特許文献6に記載のこの方式における散乱フィルムでは、散乱フィルムのマトリックス相及びドメイン相の3次元屈折率の関係が厳密に定義されていない。特に、マトリックス相のyz平面内の三次元屈折率n及びnに関して言えば、それらの平均値とドメイン相のyz平面内の平均屈折率Nyzとの差が0.05以下であればよいとしているのみであるので、幅広いパラメータをとりうる。具体的に実施例を見ても、マトリックス相の三次元屈折率n、n及びnは、互いにすべて異なる値であることが分かる。すなわち、この散乱フィルムの透過軸方向についてのマトリックス相及びドメイン相の三次元屈折率N及びnは、互いに異なる値を取ることがある。
この場合には、散乱フィルムのマトリックス相とドメイン相との界面が、透過軸方向の偏光によって認識されるので、透過軸方向の偏光成分は、ドメイン相の形状に応じて屈折する。また、これによって、屈折した偏光成分は、マトリックス相の屈折率差と行路長の積に応じた位相差の影響を受ける。このため、この散乱フィルムを透過する透過軸方向の偏光の一部は、反射型偏光板に達するまで直線偏光を維持することができず、したがって反射型偏光子で反射されてしまい、透過軸方向の偏光として有効に取り出すことができないという課題があった。
特開平8−271731号公報 米国特許第3610729号明細書 特開2005−195824号広報 特開2006−220879号公報 特表2000−506994号公報 特開2007−298634号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入射光のうちの特定の偏光成分の割合を増加させ、またこの特定の偏光成分のみを選択的に透過させる積層偏光板を提供することにある。また更に、本発明の他の目的は、これらの用途に使用することができる偏光散乱板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、本発明の積層偏光板を用いることにより、光の利用効率が高い液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、その結果、下記の本発明を完成するに至った。
本発明の積層偏光板は、互いに積層された反射型偏光板(A)と偏光散乱板(B)とを有し、反射型偏光板(A)の透過軸と偏光散乱板(B)の透過軸とが、略平行に配置されており、偏光散乱板(B)が、マトリックス相(M)、及びマトリックス相(M)中に配置されているドメイン相(D)を有し、且つマトリックス相(M)及びドメイン相(M)が、下記の条件(i)〜(iii)を満たしている、積層偏光板である:
(i)マトリックス相(M)が、光学的に略等方性であり、
(ii)ドメイン相(D)の遅相軸が、偏光散乱板(B)の面内において、反射型偏光板(A)の透過軸に対して略垂直であり、且つ
(iii)ドメイン相(D)の遅相軸に垂直な方向の屈折率が、マトリックス相(M)の屈折率と略同一である。
本発明の液晶表示装置は、第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板、及び光源を備える液晶表示装置であって、第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板、及び光源は、この順にて配置されており、本発明の積層偏光板が、第2の偏光板と光源との間に、積層偏光板の偏光散乱板(B)が光源側となるように配置されており、且つ本発明の積層偏光板の透過軸と第2の偏光板の透過軸とが、略平行に配置されている、液晶表示装置である。
本発明の偏光散乱板は、マトリックス相(M)、及びマトリックス相(M)中に配置されているドメイン相(D)を有し、且つマトリックス相(M)及びドメイン相(D)が、下記の条件(i)〜(iii)を満たしている、偏光散乱板である:
(i)マトリックス相(M)が、光学的に略等方性であり、
(ii)ドメイン相(D)の遅相軸が、偏光散乱板(B)の面内に存在し、且つ
(iii)ドメイン相(D)の遅相軸に垂直な方向の屈折率が、マトリックス相(M)の屈折率と略同一である。
本発明の積層偏光板によれば、入射光のうちの特定の偏光成分の割合を増加させ、またこの特定の偏光成分のみを選択的に透過させることができる。これは、本発明の積層偏光板で用いられる偏光散乱板において、透過軸方向の入射された偏光を維持してそのまま反射型偏光板に伝達し、且つ偏光散乱板の透過軸に対して垂直方向の入射又は反射された偏光成分を、偏光散乱板内部での散乱、屈折及び反射により偏光解消し、そして反射型積層板に伝達することによって達成される。特に、本発明の積層偏光板によれば、偏光散乱板のマトリックス相及びドメイン相の3次元屈折率を厳密に制御することによって、この偏光散乱板を透過する透過軸方向の偏光成分の反射、屈折及び散乱をなくし、その直線偏光性を保持して、反射型偏光板に伝達することができる。
また、本発明の液晶表示装置によれば、輝度を高くし、且つ/又は消費電力を小さくすることができる。
本発明の偏光散乱板によれば、透過軸方向の入射された偏光を維持してそのまま透過させ、且つ偏光散乱板の透過軸に対して垂直方向の入射又は反射された偏光成分を、偏光散乱板内部での散乱、屈折及び反射により偏光解消し、そして透過させることができる。特に、本発明の偏光散乱板によれば、マトリックス相及びドメイン相の3次元屈折率を厳密に制御することによって、この偏光散乱板を透過する透過軸方向の偏光成分の反射、屈折及び散乱をなくし、その直線偏光性を保持することができる。
<反射型偏光板(A)>
本発明の積層偏光板を構成する反射型偏光板は、一方の方向の直線偏光のみを透過し、且つこの方向と垂直方向の直線偏光を反射する偏光板であればよい。ここで本発明に関して、反射型偏光板を透過する直線偏光の偏光方向を、反射型偏光板の「透過軸方向」として定義する。かかる反射型偏光板としては、例えば複屈折を有する多層膜の干渉を用いた反射型偏光板、直線状の金属細線が周期配置されたワイヤーグリッド偏光板等が挙げられる。
複屈折を有する多層膜の干渉を用いた反射型偏光板は、屈折率異方性が互いに異なる2種類の薄膜の交互積層体より構成される。具体的には、屈折率の異なる2種類の樹脂を多層に積層し、得られた積層体を延伸等して、1軸延伸光学多層体フィルムを作成する。ここでは、2種類の樹脂の屈折率をコントロールして、2種類の樹脂の間の延伸方向の屈折率差を大きくし、且つ延伸方向に対して垂直方向の屈折率差がなくなるようにする。
このようにして得られた光学多層体フィルムでは、延伸方向に対して垂直方向には屈折率差が無い又は小さいので、この方向には光が透過する。これに対して、延伸方向では、屈折率差が大きいため、総数と膜厚に応じた光学干渉効果による反射が生じる。これが、光学多層体からなる反射型偏光板の原理となる。
複屈折を有する多層膜の干渉を用いた反射型偏光板に用いられる樹脂のうちの1種類としては、延伸配向による複屈折の発現性が高いものが好ましく用いられ、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが例として挙げられる。他方の樹脂としては、延伸配向による複屈折の発現性が低いものが好ましく、ナイロン等、分子骨格に芳香族環の無い高分子材料、延伸に対して複屈折が発生しない熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂とエラストマー混合物等が適宜選択されている。
光学多層体の各層の厚みは、複屈折と光路長の積により算出される位相差が、可視光(400〜800nm)についてλ/2となる光学干渉が生じる厚みであることが必要であり、これは、おおよそ500nm未満となる。光学多層体の総数は、可視光(400〜800nm)で均一な反射を得るために、1000〜2000層が必要となる。
ワイヤーグリッド偏光板としては、通常、ガラス基板などの光学的に均一な材質からなる基板上に金属細線が周期配置された構造が挙げられる。ここで、金属配線の材料としては、導電性があり、且つ反射率の高い金属が好ましく、例えばアルミニウム、銀等が挙げられる。金属細線は、直線状であり、且つ互いに平行に並んだ周期構造を有している。金属細線の幅及び配置のピッチは、可視光(400〜800nm)に対して、十分小さい必要があり、すなわち例えば100nm以下の幅と間隔となる。金属細線の厚みに関しては、透過率と偏光度を高く保つような厚みが必要となるが、金属材料と配置のピッチにより適宜調整され、例えば200nm未満の厚みとなる。
ワイヤーグリッド偏光板の偏光特性の発現の原理は、直線状金属細線の間隔であるピッチが入射光の波長よりも十分短い場合には、入射光のうち金属細線に直交する電場ベクトルを有する直線偏光は透過し、且つ金属細線と平行な電場ベクトルを有する直線偏光は反射されることによって、偏光が分離されることによる。
<偏光散乱板>
本発明の積層偏光板を構成する偏光散乱板(B)及び本発明の偏光散乱板は、一方の直線偏光に対して高い透過性を示し、且つこの直線偏光と垂直方向の直線偏光を、偏光散乱板中のドメイン相(D)により反射、屈折及び散乱すると共に偏光解消する光学素子である。ここで本発明に関して、偏光散乱板を透過する直線偏光の偏光方向を、偏光散乱板の「透過軸方向」として定義する。
なお、本発明の偏光散乱板は、本発明の積層偏光板を構成する偏光散乱板(B)と同様な構成を有することができ、したがって本発明の偏光散乱板については、本発明の積層偏光板を構成する偏光散乱板(B)についての下記の説明を参照できる。
(マトリックス相)
本発明の積層偏光板を構成する偏光散乱板(B)のマトリックス相は、光学透明であるとともに、光学的に略等方性であることが必要である。これは例えば、下記の式(1)及び(2)によって表される:
|n(M)−n(M)|
<0.01、好ましくは0.005、さらに好ましくは0.002 (1)
|n(M)−(n(M)+n(M))/2|
<0.01、好ましくは0.005、さらに好ましくは0.002 (2)
(n(M): 偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸方向の、マトリックス相(M)の三次元屈折率
(M): 偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸に対して垂直な方向の、マトリックス相(M)の三次元屈折率
(M): 偏光散乱板(B)の面に対して法線方向の、マトリックス相(M)の三次元屈折率)。
また、このマトリックス相は、後述するドメイン相の遅相軸方向に垂直な方向の屈折率と略同一の屈折率をもつことが必要である。ここで、上述のように、マトリックス相は、光学等方性であることが必要であり、また後述のように、ドメイン相の遅相軸は偏光散乱板(B)の面内にあることが必要である。したがって例えば、マトリックス相がドメイン相の遅相軸方向に垂直な方向の屈折率と略同一の屈折率をもつことは、下記の式(6)によって表される:
|(n(M)+n(M))/2−(n(D)+n(D))/2|
<0.01、好ましくは0.005、さらに好ましくは0.002 (6)
(n(M)及びn(D): それぞれ、偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸に対して垂直な方向の、マトリックス相(M)及びドメイン相(D)の三次元屈折率
(M)及びn(D): それぞれ、偏光散乱板(B)の面に対して法線方向の、マトリックス相(M)及びドメイン相(D)の三次元屈折率)。
本発明において用いられる偏光散乱板の単体の特性としては、ドメイン相の遅相軸に垂直な方向の屈折率と、マトリックス相の屈折率との差が小さいほど、ドメイン相の遅相軸方向に垂直な方向の偏光成分について、高い透過率を得ることができる。
マトリックス相の材料としては、屈折率制御や、加工性を考慮した場合、光学透明樹脂が好ましい。また、マトリックス相のための光学透明樹脂は、可視領域における吸収が少ない又は実質的にないことが必要である。具体的には例えば、この光学透明樹脂を厚み100μmのフィルムとした場合に、当該フィルムの光線透過率が、波長400nm以上800nm以下の範囲において、80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上であることが必要である。
また、偏光散乱板(B)を構成するマトリックス相の光学透明樹脂は、ドメイン相に対して良好な密着性を示すことが好ましい。マトリックス相とドメイン相の十分な密着性が得られていないと、偏光散乱板(B)の作成における延伸、硬化等の加工時に、マトリックス相とドメイン相の界面で剥離が起こり、空気層を生じてしまい、空気層による光の散乱が偏光散乱特性を低下させてしまう等の問題が起こる。
上述のように、偏光散乱板(B)を構成するマトリックス相は、光学的に略等方性でなければならない。マトリックス相に複屈折性があると、斜め入射した光に対して、光路と複屈折の積による偏光解消が生じてしまい、透過軸方向の直線偏光性を維持することが困難となる。このため、本発明のマトリックス相を構成する光学透明樹脂としては、複屈折の発現性の低いものが好ましく、例えば熱可塑性樹脂、又は熱硬化型樹脂もしくは光硬化型樹脂のような硬化型樹脂を挙げることができる。これらの中では、例えば、ドメイン相に樹脂を塗布し、その後、速やかに硬化できる等、加工性に優れる観点から、硬化型樹脂を用いることが好ましい。
偏光散乱板(B)のマトリックス相のための光学透明樹脂を構成できる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)等のアクリル樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンオキシド等のポリエーテル、ポリビニルアルコール等のビニル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、又はこれらを構成するモノマーを2種以上用いた共重合体等を挙げることができる。また、マトリックス相のための光学透明樹脂を構成できる熱可塑性樹脂としては、ポリ(メチルメタクリレート)とポリ塩化ビニルとの重量比が82対18の混合物、ポリ(メチルメタクリレート)とポリフェニレンオキシドとの重量比が65対35の混合物、スチレン・無水マレイン酸共重合体とポリカーボネートとの重量比が77対23の混合物等の、非複屈折性ポリマーブレンド等を挙げることができる。
マトリックス層を構成できる硬化型樹脂の代表としては、外部励起エネルギーにより架橋反応等を経て硬化する架橋型樹脂を挙げることができる。硬化型樹脂には、紫外線や電子線等の活性線照射によって硬化する活性線硬化型樹脂と、熱により架橋反応を開始する熱架橋型樹脂等が存在するが、本発明においてはそのいずれも好適に用いることができる。
マトリックス相を構成できる活性線硬化型樹脂の代表としては例えば、紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。具体的には、マトリックス相を構成できる活性線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型メタクリル酸エステル系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、及び紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂等を挙げることができる。これらの中では、加工安定性の観点から、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂を用いることが好ましい。光重合性モノマー(又はオリゴマー)としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタエリスリトール等を好ましく用いることができる。
マトリックス相を構成できる電子線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有するものを挙げることができ、具体的には、比較的低分子量のポリエステルアクリレート樹脂、ポリエーテルアクリレート樹脂、アクリルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリブタジエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
また、マトリックス相を構成できる熱硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、又はこれらの混合物を挙げることができる。
(ドメイン相)
本発明の積層偏光板で用いられる偏光散乱板(B)を構成するドメイン相(D)は、光学透明であるとともに、屈折率の光学異方性が必要となる。具体的には、ドメイン相の遅相軸が偏光散乱板(B)の面内にあることが必要である。これによれば、偏光散乱板(B)に対して斜め入射にする透過軸方向の直線偏光に与える位相差が小さくなり、透過軸方向の直線偏光を比較的乱さないことができる。これは例えば、下記の式(3)及び(4)によって表すことができる:
|n(D)−n(D)|
<0.01、好ましくは0.005、さらに好ましくは0.002 (3) n(D)−(n(D)+n(D))/2
>0.1、好ましくは0.15、より好ましくは0.20 (4)
(n(D): 偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸方向の、ドメイン相(D)の三次元屈折率
(D): 偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸に対して垂直な方向の、ドメイン相(D)の三次元屈折率
(D): 偏光散乱板(B)の面に対して法線方向の、ドメイン相(D)の三次元屈折率)。
光の反射、屈折及び散乱は、マトリックス相とドメイン相の屈折率差が生じている部分で生じる。上述のように、マトリックス相の屈折率は、ドメイン相の遅相軸に対して垂直な方向のドメイン相の屈折率と略同一であるため、ドメイン相の遅相軸に対して垂直な方向の偏光成分は、マトリックス相とドメイン相との界面において反射、屈折及び散乱せずに透過する。
一方、ドメイン相の遅相軸方向の偏光成分に関しては、マトリックス相とドメイン相とで屈折率差が生じるため、マトリックス相とドメイン相との界面において、マトリックス相とドメイン相との屈折率差、及びドメイン相の形状に応じて、偏光成分の反射、屈折及び散乱が生じる。マトリックス相とドメイン相との界面において反射、屈折及び散乱された偏光成分であって、ドメイン相の光学軸方向の角度を有して進行する光は、ドメイン相中を進行する際にドメイン相の複屈折の影響を受け、それによって偏光解消される。
このようにして偏光散乱板で偏光解消された偏光成分のうちの一部は、反射型偏光板の透過軸を透過して、偏光として取り出される。偏光散乱板の偏光解消効果は、ドメイン相の数が固定されている場合、ドメイン相の遅相軸方向のドメイン相の屈折率とこの遅相軸と垂直な方向のドメイン相の屈折率との差、すなわちドメイン相の遅相軸方向についてのドメイン相とマトリックス相との屈折率の差が大きいほど大きくなる。したがって、これらの差は、大きいことが好ましい。これは例えば、下記の式(4)及び(5)によって表すことができる:
(D)−(n(D)+n(D))/2
>0.1、好ましくは0.15、より好ましくは0.20 (4)
(D)−n(M)
>0.1、好ましくは0.15、より好ましくは0.20 (5)
(n(M)及びn(D): それぞれ、偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸方向の、マトリックス相(M)及びドメイン相(D)の三次元屈折率
(D): 偏光散乱板(B)の面内におけるドメイン相(D)の遅相軸に対して垂直な方向の、ドメイン相(D)の三次元屈折率
(D): 偏光散乱板(B)の面に対して法線方向の、ドメイン相(D)の三次元屈折率)。
ドメイン相のための材料としては、延伸配向した高分子材料からなるファイバが挙げられる。
ドメイン相として用いられるファイバの材料は、特に限定されるものではなく、例えば、可視領域に吸収がなく又は小さく、ボイドなどの欠陥の無く、且つ延伸加工などにより配向して複屈折が発生する材料であればよい。一般には、複屈折を発現しやすい正の複屈折性を有する高分子材料は、高分子材料の分子鎖に分極率の大きな骨格(例えば、芳香族環、ナフタレン環等)を有しており、且つ延伸加工によって分子鎖の高い配向が発生する材料である。
ドメイン相として用いられるファイバのための材料としては、可視光についての光学透明性の観点からは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のメタクリレート類;ポリビニルエーテル類;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリスチレン類;ナイロン6等の脂肪族ポリアミド等を挙げることができる。さらに延伸配向による複屈折の発現性の観点からは、ファイバのための材料は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、この中でも複屈折発現性がきわめて高いことから、ポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
マトリックス相のために用いられる硬化性樹脂との密着性を向上させることを目的として、ファイバの表面にコロナ処理などの各種異接着処理を施してもよい。さらに、ファイバの複屈折性を向上させることを目的として、ファイバを、低分子液晶化合物やマルチフィラメントタイプの高分子の相互配列繊維としたりすることも、有用な技術である。
複屈折性を向上させることを目的にファイバに添加される低分子液晶化合物としては、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、シクロヘキシルベンゼン系、アゾキシベンゼン系、アゾベンゼン系、アゾメチン系ターフェニル系、ビフェニルベンゾエート系、シクロヘキシルビフェニル系、フェニルピリミジン系、シクロヘキシルピリミジン系、コレステロール系などの化合物をメソゲン(分子構造中の液晶を発現させる中核的単位)として有する化合物などが例示できる。これらの低分子液晶化合物はファイバの長軸方向に配向していれば、ファイバ中に溶解していることが好ましい。
ドメイン相として用いられるファイバの太さは、好ましくは0.7μm以上100μm以下、より好ましくは0.8μm以上80μm以下、更に好ましくは1μm以上50μm以下である。ファイバの太さが0.7μm以下の場合には、ファイバの紡糸、延伸加工技術が困難であると共に、ファイバの大きさに依存した可視領域の波長での表面散乱を受けやすく、それによって均一な色表示とすることが出来ないことがある。一方で、ファイバの太さ100μm以上の場合には、ファイバが太すぎるために、一方向に並べで所望の厚さの偏光板を作成する際に隙間が生じ、それによって光抜け欠陥が発生し、また高い偏光度を実現することが出来ないことがある。また、ファイバの太さは均一である必要はなく、一方向に並べた際に隙間がなく、高偏光度を達成するものであれば、細いファイバと太いファイバを混合した集合体を用いることもできる。
ドメイン相として用いられるファイバの断面形状は、円形に限定されるものではなく、楕円形、三角形、四角形、5角形、6角形、又はそれ以上の多角形であってもよく、一方向に並べた際に隙間がなく、高偏光度を達成するのものであればよい。また、ファイバの形状は均一である必要はなく、多種形状のファイバの複合体を用いてもよいが、単一形状のファイバである方が、混合比率等を均質に調整する必要がない点で好ましい。
偏光散乱板を構成するファイバの最適な積層数は、偏光解消効果を得るのに必要な程度に、多層であることが必要でなる。ドメイン相としてファイバを用いる場合の積層数は、4層以上1000層以下が好ましく、より好ましくは6層以上500層以下、最も好ましくは8層以上200層以下である。
(偏光散乱板の作成方法)
本発明に用いられる偏光散乱板は、例えば上述のマトリックス相とドメイン相により構成される。以下では、偏光散乱板の作成方法を、限定的ではない例によって例示する。
ここで、マトリックス相としては、紫外線硬化型樹脂を用い、且つドメイン相としては、一軸延伸加工することによって得られた複屈折を有するファイバを用いる。マトリックス相とドメイン相のための材料は、上述の特性を満たすように適宜選択する。次に、多層からなるドメイン相を構成するために、該ファイバを一方向に多段になるように揃えて配置する。一方向に並んだファイバに対して、紫外線硬化型樹脂を滴下し、真空脱気処理して気泡を無くし、そして紫外線を照射して、マトリックス相とドメイン相からなるフィルム形態の偏光散乱板を得る。
<積層偏光板>
本発明の積層偏光板は、互いに積層された反射型偏光板(A)と偏光散乱板(B)とを有し、且つ反射型偏光板(A)の透過軸と偏光散乱板(B)の透過軸とが、略平行に配置されている。ここで、反射型偏光板と偏光散乱板とは、直接に積層されていても、間に接着剤層のような随意の他の層を介して積層されていてもよい。例えば図1に示すように、本発明の積層偏光板10は、反射型偏光板Aと偏光散乱板Bとが積層されてなり、液晶表示装置等のバックライト21からの光を、反射部22及び導光板23、並びにプリズムのような随意の他の層24を介して、偏光散乱板Bの側から入射することにより、光の利用効率を向上させるものである。
本発明の積層偏光板での光の利用効率向上の原理は、下記のようなものである。
まず初めに、バックライトから入射した光に関し、積層偏光板の透過軸方向(すなわち偏光散乱板及び反射型積層板の透過軸方向)の偏光成分は、積層偏光板を透明体と見なすため、界面での表面反射は考慮しなければ、透過光量は理論的に50%(入射光量を100%とする)となる。
次に、積層偏光板の透過軸に対して垂直方向の偏光成分については、入射光は偏光散乱板に入射して、入射側へ反射して戻る部分と、偏光解消して反射型偏光板に向かう部分とに分かれる。例えば、入射側へ反射する成分が無く、且つ偏光解消効果が100%であるとすると、この経路で反射型偏光板を透過して得られる透過光量は、25%(入射光量を100%とする)となる。したがってこの場合、積層偏光板での反射光が、バックライト側でプリズムシート、拡散シート、導光板反射板を往復して積層偏光板に再び入射することを考慮しなくても、ワンパスで75%(入射光量を100%とする)の透過光量が得られることとなる。
またこの場合、反射型偏光板の透過軸に対して垂直方向で反射型偏光板に入射する偏光成分(25%(入射光量を100%とする))は、反射型偏光板で反射され、偏光散乱板に戻り、ここで反射、散乱、偏光解消等されて、その一部が反射型偏光板に再び入射する。
実際には、偏光散乱板における偏光解消効果は100%にならず、また偏光散乱板では入射側への光の反射も生じるため、積層偏光板へ入射した光からワンパスで取り出せる偏光成分の割合は75%(入射光量を100%とする)には達しない。しかしながらそれでもなお、バックライト側へ反射する光の再帰を考慮しない場合であっても、50%もより大きい割合の偏光成分(表面反射を考慮しない)を取り出せると考えられる。
本発明の積層偏光板では、偏光散乱板の透過軸方向の屈折率を厳密に制御したことにより、すなわち特に偏光散乱板のドメイン相の遅相軸に垂直な方向の屈折率をマトリックス相の屈折率と略同一にしたことにより、偏光散乱板を透過する透過軸方向の偏光成分における偏光解消効果はほとんど生じない。これにより、本発明の積層偏光板では、取り出せる偏光成分の割合を高めて、光の利用効率向上を実現できる。
上述のように、本発明の積層偏光板は、反射型偏光板と偏光散乱板の透過軸を平行に配置して積層することにより得られる。ここで、反射型偏光板と偏光散乱板は、反射型偏光板と偏光散乱板の界面により生じる反射の影響を除外するため、偏光散乱板のマトリックス相と略等しい屈折率を有する材料を用いて接着すること、又は界面を無くすことが好ましい。また、反射型偏光板に、ワイヤーグリッド偏光板を用いる場合は、偏光散乱板を基材として、金属細線からなる周期構造を、偏光散乱板の透過軸と垂直に、偏光散乱板の基材上に直接加工してもよい。
[積層偏光板の用途]
本発明の積層偏光板は、反射型偏光板と同様の用途で利用することができる。例えば、二色性偏光板等の偏光板で液晶セルを挟み込んだ液晶パネルの、観測者側とは反対側(すなわちバックライト側)に、本発明の反射型偏光板を配置することによって、光の利用効率を高めることができる。これによれば、輝度が高く且つ/又は消費電力の小さい液晶表示装置を得ることができる。本発明の積層偏光板は、ツイストネマチックモード、垂直配向モード、OCB(Optically Compensated Bend)配向モード、インプレインスイッチングモード等のTFT液晶表示装置等のバックライトと二色性偏光板を用いたすべての液晶モードに用いることができる。
また、本発明の積層偏光板は、偏光分離素子として、液晶表示装置の一つである液晶プロジェクタに用いることができる。本発明の積層偏光板を液晶プロジェクタに用いる場合には、積層偏光板を、光源とRGB液晶表示パネルの間に配置することにより、sp偏光成分の一方のみを選択的に高効率で取り出すことができる。
さらに、本発明の積層偏光板は、光学機能を有する他の光学層と積層することにより、様々な機能を発現する光学部材として利用することができる。積層可能な光学層としては、例えば、吸収型偏光板を挙げることができる。ここで、吸収型偏光板とは、ある方向の偏光は吸収し、その偏光に対して90°方向の偏光は透過する特性を有する偏光板である。吸収型偏光板の例としては、例えば、二色性色素等を配向分散させた熱可塑性樹脂フィルムを挙げることができる。
また、積層可能な別の光学層としては、例えば、位相差層を挙げることができる。ここで、位相差層とは、位相差を与える層であり、透明熱可塑性合成高分子フィルムを延伸加工した位相差フィルムをその一例として挙げることができる。その他の位相差層としては、例えば、複屈折性材料であり、コーティング層を形成した際にコーティング層に対して法線方向に遅相軸を有する層となり、且つ、正の位相差波長分散特性となる反射波長が紫外線領域にあるツイスト配向した重合性のカイラルネマチック(コレステリック)液晶層、ホメオトロピック配向した重合性のディスコティック液晶層、コーティングした際にコーティング層に対して法線方向に位相差発現性を有する材料をコーティングした層、又は厚み方向に屈折率楕円体が放射線状に配置したハイブリッドな構造を有する位相差層等を挙げることができる。本発明の積層偏光板は、これら位相差層のいずれとでも組み合わせることも可能である。本発明の積層偏光板を、これら位相差層と組み合わせることにより、円偏光フィルムや楕円偏光フィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例によって何等限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
[屈折率]
(1)偏光散乱板のマトリックス相の屈折率
偏光散乱板のマトリックス相の樹脂の屈折率測定は、100μmの厚みに加工したフィルムを用いて実施した。3次元屈折率は、屈折率計(Metricon社製、プリズムカプラ)を用いて波長589.3nmにおける屈折率を測定した。
(2)偏光散乱板のドメイン相の屈折率
偏光顕微鏡を用い、且つ光源に干渉フィルタ(589nm)を設置して直線偏光を用いて、観察を行った。ドメイン相に用いるファイバをスライドガラスにとり、観察用の直線偏光がファイバの長さ方向と平行になるように設置した。屈折調整液を用いて、顕微鏡を覗きながら、屈折率が1.500〜1.800までの屈折調整液をファイバに順次滴下していき、ファイバの外形が観察されなくなった時点での屈折調整液の屈折率を、ファイバの長さ方向の屈折率とした。次に、直線偏光がファイバの長さ方向に対して垂直断面方向と平行になるようにして、ファイバを設置した。同様に、顕微鏡を覗きながら、屈折調整液をファイバに順次滴下していき、ファイバの外形が観察されなくなった時点での屈折調整液の屈折率を、ファイバの長さ方向に対して垂直断面方向の屈折率とした。このとき、屈折調整液中でファイバを回転させても形状が確認されることは無かったので、ファイバの長さ方向に対して垂直断面方向の屈折率は均一であると判断した。
[光線透過率T]
樹脂の屈折率測定は、測定対象の樹脂を100μmの厚みに加工したフィルムを用いて実施した。分光光度計(日立製作所製、型式:U−4000)を用いて、400nm以上700nm以下の波長域で、10nmおきに分光透過率t(λ)を求めた。得られた結果から、下記式(1)によって光線透過率Tを算出した。なお、式中、P(λ)は、標準光(C光源)の分光分布であり、y(λ)は、2度視野X、Y、Z系に基づく等色関数である。
Figure 0005202095
[偏光度P]
片方の偏光板として吸収型偏光板(サンリッツ製、商品名:HLC2−2518、偏光度:99.9)、もう一方の偏光板として本発明の積層偏光板を用い、吸収型偏光板を分光光度計(日立製作所製、型式:U−4000)の光源側に配置し、且つ本発明の積層偏光板を検出器側に配置して、2種類の光線透過率を測定した。ここで、2枚の偏光板それぞれの透過軸方向が同一となるよう重ねた場合の透過率を、Tp(パラニコル透過率)とし、また2枚の偏光板それぞれの透過軸が直交するよう重ねた場合の透過率を、Tc(クロスニコル透過率)として、下記の式によって偏光度Pを算出した。なお、ここでの「透過軸」とは、垂直入射した直線偏光に対して偏光板の光の透過率が最大となる方位のことをいう。
Figure 0005202095
[厚み]
本発明の積層偏光板の厚みは、電子マイクロメーター(アンリツ社製)により測定を実施した。
[輝度増加率]
液晶表示画面に対して垂線方向の輝度を、輝度計(MINOLTA製、型式:LS−110)によって測定した。液晶表示素子に対して偏光板用いた場合と用いない場合とを測定し、偏光板を用いた場合の輝度の増加率を算出した。
<実施例1>
[偏光散乱板−ドメイン相:ポリエチレンナフタレート(PEN)ファイバの作成]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100質量部とエチレングリコール60質量部とを、エステル交換触媒としての酢酸コバルト4水塩0.03質量部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた。その後、トリメチルフォスフェート0.023質量部を添加し、実質的にエステル交換反応を終了させた。引き続き、三酸化アンチモン0.024質量部を添加し、高温高真空下で常法通り重縮合反応を行うことにより、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(質量比1:1)にて35℃で測定)0.62dL/gのポリエチレンナフタレート(PEN)を得た。このPENを用いて、紡糸温度295℃で溶融紡糸を行い、PENファイバ(直径8μm)を得た。
このPENファイバの屈折率は長軸方向1.742、短径軸方向1.556であり、複屈折率は0.186であった。
[偏光散乱板−マトリックス相:紫外線硬化樹脂]
偏光散乱板のマトリックス相のための光学透明樹脂は、BPEF−A:460重量部、UA:40重量部、光開始剤としてのイルガキュア184:15重量部、レベリング剤としてのSH28PA:0.18重量部を順次加えて、均一になるまで攪拌して調液した。
BPEF−A: ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(大阪ガス製)
UA: ウレタンアクリレート(新中村化学製「NKオリゴU−15HA」)
イルガキュア184:チバガイギー社製
SH28PA:東レ・ダウコーニング社製
本構成により得られる光学透明樹脂層の屈折率は1.556であった。
[偏光散乱板の作成]
上記で作成したドメイン相としてのPENファイバを、ガラス板上に厚み75μm(ファイバの層として約10層)で隙間なく、ガラスの長軸方向に並べて配置し、その上から上記で作成したマトリックス相としての紫外線硬化樹脂を塗布した。このようにして紫外線硬化樹脂でPENファイバを内包させた後で、真空脱気を行い、気泡を取り除き、欠陥なくマトリックス相がドメイン相を内包するようにした。これに、高圧水銀ランプで紫外線を照射して、マトリックス相としての紫外線硬化樹脂を硬化させた後で、ガラスより剥ぎ取り、厚み93μmからなる偏光散乱板を得た。こうして得られた偏光板の透過率は45.1%であり、偏光度は68.5%であった。
[積層偏光板の作製]
上記で作成した偏光散乱板を基材として、偏光散乱板の片側に、金属アルミニウムを180nm厚さでスパッタリングした。次に、公知の方法にて、フォトリソグラフィー法によりパターニング、エッチングを行い、金属細線の長さ方向が偏光散乱板の透過軸と直交するように配置された周期構造を形成した。金属細線の線幅は60nmとし、ピッチは80nmとした。
[測定・評価]
得られた積層偏光板の光線透過率は58.6%であり、偏光度は99.3%であった。これにより、偏光分離性能を有する積層偏光板であることが確認できた。
[液晶表示装置の作製]
得られた積層偏光板と市販の透過型液晶表示装置とを用いて、下記のような構成の液晶表示装置を作成し、本発明の積層偏光板の透過軸と隣接する吸収型偏光板の透過軸が一致するように配置した:
(構成)吸収型偏光板/位相差フィルム/液晶セル/位相差フィルム/吸収型偏光板/(反射型偏光板側)本発明の積層偏光板(偏光散乱板側)/プリズムシート/プリズムシート/拡散フィルム/バックライト/白色反射フィルム
偏光板の挿入前後におけるノーマリーホワイト時の輝度増加率を測定したところ、153%の輝度上昇効果を確認した。
<比較例1>
実施例1のマトリックス相の材料である紫外線硬化樹脂により、厚み95nmの光学等方基板を得た。また、この光学等方基板を実施例1の偏光散乱板の代わりに用いて、実施例1と同様の方法にて、上記光学等方基板上に、アルミニウムからなる金属細線のワイヤーグリッド偏光板を作成した。
[測定・評価]
得られた積層偏光板の光線透過率は45.6%であり、偏光度は99.1%であった。これにより、ワイヤーグリッド偏光板としての偏光特性を確認できたが、光線透過率が50%を超えることはなかった。
[液晶表示装置の作製]
得られた偏光板と、市販の透過型液晶表示装置とを用いて、下記のような構成の液晶表示装置を作成し、比較例1の偏光板の透過軸と隣接する吸収型偏光板の透過軸とが一致するように配置した:
(構成)吸収型偏光板/位相差フィルム/液晶セル/位相差フィルム/吸収型偏光板/比較例のワイヤーグリッド偏光板/プリズムシート/プリズムシート/拡散フィルム/バックライト/白色反射フィルム
偏光板の挿入前後におけるノーマリーホワイト時の輝度増加率を測定したところ、137%の輝度上昇効果を確認したが、実施例で得られた輝度上昇効果153%には及ばなかった。
本発明の積層偏光板を示す図である。
符号の説明
A 反射型偏光板
B 偏光散乱板
10 積層偏光板
21 バックライト
22 反射部
23 導光板
24 随意の他の層

Claims (6)

  1. 互いに積層された反射型偏光板(A)と偏光散乱板(B)とを有し、
    前記反射型偏光板(A)の透過軸と前記偏光散乱板(B)の透過軸とが、略平行に配置されており、
    前記偏光散乱板(B)が、マトリックス相(M)、及び前記マトリックス相(M)中に配置されているドメイン相(D)を有し、且つ
    前記マトリックス相(M)及びドメイン相(D)が、下記の条件(i)〜(iv)を満たしている、積層偏光板:
    (i)前記マトリックス相(M)が、光学的に略等方性であり、
    (ii)前記ドメイン相(D)の遅相軸が、前記偏光散乱板(B)の面内において、前記反射型偏光板(A)の透過軸に対して略垂直であり
    (iii)前記ドメイン相(D)の遅相軸に垂直な方向の屈折率が、前記マトリックス相(M)の屈折率と略同一であり、且つ
    (iv)前記条件(i)〜(iii)が、下記の式(1)〜(6)で表される:
    |n (M)−n (M)|<0.01 (1)
    |n (M)−(n (M)+n (M))/2|<0.01 (2)
    |n (D)−n (D)|<0.01 (3)
    (D)−(n (D)+n (D))/2>0.1 (4)
    (D)−n (M)>0.1 (5)
    |(n (M)+n (M))/2−(n (D)+n (D))/2|<0.01
    (6)
    (n (M)及びn (D): それぞれ、前記偏光散乱板(B)の面内における前記ドメイン相(D)の遅相軸方向の、前記マトリックス相(M)及びドメイン相(D)の三次元屈折率
    (M)及びn (D): それぞれ、前記偏光散乱板(B)の面内における前記ドメイン相(D)の遅相軸に対して垂直な方向の、前記マトリックス相(M)及びドメイン相(D)の三次元屈折率
    (M)及びn (D): それぞれ、前記偏光散乱板(B)の面に対して法線方向の、前記マトリックス相(M)及びドメイン相(D)の三次元屈折率)。
  2. 前記反射型偏光板(A)が、屈折率異方性が互いに異なる2種の樹脂からなる交互積層体を有する偏光板、又は金属材料からなる柱状構造体が周期的に一定間隔で平面に配置されているワイヤーグリッド偏光板である、請求項1に記載の積層偏光板。
  3. 前記偏光散乱板(B)のマトリックス相(M)が、硬化型樹脂からなる、請求項1又は2に記載の積層偏光板。
  4. 前記偏光散乱板(B)のドメイン相(D)が、熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層偏光板。
  5. 前記偏光散乱板(B)のドメイン相(D)が、ファイバ状である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層偏光板。
  6. 第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板、及び光源を備える液晶表示装置であって、
    前記第1の偏光板、前記液晶セル、前記第2の偏光板、及び前記光源は、この順にて配置されており、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記積層偏光板が、前記第2の偏光板と前記光源との間に、前記積層偏光板の偏光散乱板(B)が光源側となるように配置されており、且つ前記積層偏光板の透過軸と前記第2の偏光板の透過軸とが、略平行に配置されている、液晶表示装置。
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