図1−図3を参照して、この発明の一実施例である桝10は、戸建住宅などの床200下に配置されて、トイレや風呂などの住設機器から排出された生活排水を流す複数の排水枝管202と、基礎204を貫通して生活排水を外部に排出する排水主管206とを繋ぐ、合流桝である。桝10は、塩化ビニル等の合成樹脂によって形成され、桝本体12、通気機能を有する蓋14、および蓋14を押える押え部材16を備える。
図4に示すように、桝本体12は、射出成形などによって形成され、略円筒形状の側壁部20を含む。側壁部20の内径は、たとえば155mmである。側壁部20の上端22は開口しており、その上端開口が点検口24として利用される。この点検口24には、詳細は後述する蓋14が着脱自在に装着される。また、側壁部20の上端22には、外方に向かって突出する4つの第1爪部26が形成される。
また、側壁部20は、一方が内側に向かって凹んでおり、そこに段差部28が形成される。段差部28の両側端上部のそれぞれは段差状になっており、そこに第1支持部30が形成され、その第1支持部30の水平面同士を結ぶように、円弧状に突出する第2支持部32が形成される。
側壁部20の段差部28側を除く3方側のそれぞれには、外方に向かって突出するように、流入部34が設けられる。流入部34は、排水枝管202からの排水が流入する流入口であると共に、排水枝管102と接着接合などによって接続される接続部でもある。この実施例では、3つの流入部34が設けられ、3つの排水枝管202からの排水が流入(合流)可能となっている。流入部34は、受口構造を有する円筒形状に形成され、その内径はたとえば90mmである。
また、側壁部20の下部には、テーパ状の底壁部36(図2参照)が形成され、底壁部36の上面、すなわち桝本体12の底面は中心方向に向かって下り勾配となる。この底壁部36の中心部に、円筒形状の流出部38が下方に延びて形成される。流出部38は、排水主管106へと排水を流出する流出口であると共に、排水主管206と接着接合などによって接続される接続部でもある。流出部38の外径は、たとえば106mmであり、その高さは、たとえば40mmである。
また、桝本体12の内部には、図5に示すような仕切体40が着脱自在に設けられてもよい。ただし、必ずしも桝本体12内に仕切体40を設ける必要はなく、仕切体40を設けない場合もあるので、その構成については後述する。
桝本体12の点検口24には、その内部に一方通気弁60を備える蓋14が着脱自在に装着される。蓋14には空気流入口62が形成されており、蓋14は、桝本体12内で負圧が生じたときに、一方通気弁60を開いて空気流入口62から桝本体12内に空気を流入させる通気機能を有している。
具体的には、図6および図7に示すように、蓋14は、射出成形などによって形成され、有頂円筒状の内筒部64、および内筒部64の外面下部に形成される鍔部66を備える。蓋14を桝本体12の点検口24に装着したときには、鍔部66の下面周縁部が桝本体12の側壁部20の上端22に当接する。内筒部64には、鍔部66の上面に沿うように、桝本体12内と外部とを連通するための空気流入口62が形成される。また、内筒部64の内面下部には、ねじ溝68が形成される。さらに、鍔部66の下面には、円筒形状の嵌合部70が形成される。嵌合部70の外面は、桝本体12の側壁部20の内面に沿い、嵌合部70の外面に装着されるOリング等のシール部材72によって、桝本体12の側壁部20内面と嵌合部70外面との間の気密性および水密性が確保される。
また、上述したように、蓋14は一方通気弁60を備える。一方通気弁60は、2つの弁、すなわち第1の通気弁74と第2の通気弁76とを含み、蓋14とは別体として形成されて、蓋14の内筒部64の内部に取り付けられる。
具体的には、図8および図9に示すように、一方通気弁60は、その外面が内筒部64の内面に沿う円筒形状の側壁部78を備える(なお、図8では、2つの弁74,76を省略して示してある。)。側壁部78の外面下部には、内筒部64のねじ溝68に対応するねじ山80が形成されており、ねじ溝68とねじ山80との螺合によって、蓋16に一方通気弁60が固定的に取り付けられる。また、一方通気弁60の側壁部78の外面上部および外面下部には、シール部材82が装着されており、内筒部64内面と一方通気弁60の側壁部78外面との間の気密性および水密性が保たれる。なお、蓋14に一方通気弁60を取り付ける場合には、ネジ結合以外にも適宜な方法を用いてよく、たとえばバヨネット結合(差し込んで回転させることによって固定する方法)を利用することもできる。
また、一方通気弁60の側壁部78の内面には、内壁部84が形成され、蓋16の内筒部64の内部は、3つの弁室、すなわち第1弁室86、第2弁室88および第3弁室90に分割される(図7参照)。
第1弁室86と第2弁室88とを分割する内壁部84には、第1弁室86と第2弁室88とを連通する第1連通孔92が形成される。この第1連通孔92には、第1の通気弁74が設けられる。第1の通気弁74は、円柱状の摺動軸94、および摺動軸94の下端に形成されてその上面に合成ゴム等のシール材が設けられる円盤状の弁体96等を備える。通常時、第1の通気弁74は、弾性力によって第1連通孔92を閉止状態にする。
第2弁室88と第3弁室90とを分割する内壁部84には、第2弁室88と第3弁室90とを連通する第2連通孔100が形成される。この第2連通孔100には、第2の通気弁76が設けられる。第2の通気弁76は、円柱状の摺動軸102、および摺動軸102の上端に形成されてその下面に合成ゴム等のシール材が設けられる円盤状の弁体104等を備える。通常時、第2の通気弁76は、自重によって第2連通孔100を閉止状態にする。
また、第1弁室86は、下部が開口して、桝本体12の内部と連通する。第2弁室88は、第1連通孔92と第2連通孔100とが閉止状態のときには、閉空間となる。また、第3弁室90を形成する一方通気弁60の側壁部78には、蓋16の内筒部64の空気流入口62に対応する位置に、第3弁室90と空気流入口62とを連通する第3連通孔106が形成されており、第3弁室90は、蓋14の外部と連通している。
通常時には、第1連通孔92および第2連通孔100は、第1の通気弁74および第2の通気弁76によって閉止状態にあり、これらのダブルシールによって、排水および悪臭の外部への漏れを確実に防止する。一方、桝本体12内で負圧が発生したときには、第1の通気弁74が下降し、第1弁室86と第2弁室88とが連通する。そして、これとほぼ同時に第2の通気弁76が上昇し、第2弁室88と第3弁室90とが連通する。これによって、空気流入口62と桝本体12内とが連通するので、空気流入口62から空気が桝本体12内に流入して、桝本体12内は大気圧に保たれる。
また、桝10は、上述したように、蓋14を押える押え部材16を備える。押え部材16は、蓋14に設けられる協働部材として機能し、蓋14が桝本体12から不用意に外れることを防止すると共に、空気流入口62に空気を導入するための空気通路を形成する。
具体的には、図10および図11に示すように、押え部材16は、射出成形などによって形成され、ドーナツ板状の上壁部110を含む。上壁部110の径は、蓋14の鍔部66の径よりも大きく設定され、上壁部110の中央に形成される円形の孔112の径は、蓋14の内筒部64の外径とほぼ同じ大きさに設定される。桝本体12に蓋14および押え部材16を取り付けたときには、押え部材16の上壁部110は蓋14の鍔部66よりも外方に延び、押え部材16の孔112の縁と蓋14の内筒部64の外面とは当接する。
また、上壁部110の下面周縁部には、下方向に延びる短円筒形状の側壁部114が形成される。この側壁部114の外面には、上下方向に延び、周方向に所定の間隔で並ぶ複数のリブ116が形成される。このリブ116によって、押え部材16の剛性が高められる。また、作業者はリブ116に指をかけることができるので、押え部材16を周方向に回転させ易くなる。
また、押え部材16の側壁部114の内面には、桝本体12の4つの第1爪部26と対応する位置に、内側に向かって突出する4つの第2爪部118が形成される。第2爪部118は、側壁部114の内面下端に沿って周方向に延びる横部118aと、横部118aの一方端から上方に向かって延びる縦部118bとを含み、横部118aと縦部118bとによってL字状に形成される。さらに、上壁部110の下面には、嵩上部120が形成される。嵩上部120は、第2爪部118の縦部118b上端と一体となって、内側に向かって突出するように形成され、その高さは、蓋14の空気流入口62の高さとほぼ同じ、或いは空気流入口62の高さより大きく設定される。
桝本体12に押え部材16を取り付けるときには、先に桝本体12の点検口24に蓋14を装着しておき、その蓋14の上から押え部材16を取り付ける。具体的には、押え部材16の上壁部110の孔112に蓋14の内筒部64を挿通し、押え部材16の側壁部114内に、蓋14と桝本体12の側壁部20の上端部分とを差し込む。そして、押え部材16を周方向に回転させて、桝本体12の第1爪部26と押え部材16の第2爪部118の横部118aとを勘合させることによって、桝本体12に押え部材16を固定する。つまり、押え部材16の取り付けには、バヨネット結合が利用される。なお、第2爪部118の縦部118bは、ストッパとして利用される。
図2に戻って、桝本体12に押え部材16を取り付けると、押え部材16の第2爪部118の横部118a上面は、桝本体12の第1爪部26下面と当接する。これにより、押え部材16の上方への動きが規制される。また、蓋14の鍔部66上面は、押え部材16の嵩上部120の下端と当接する。つまり、蓋14は、上方への動きが規制される押え部材16によって押えられるので、桝本体12にしっかりと固定される。
また、このとき、押え部材16の上壁部110下面と蓋14の鍔部66上面との間には、嵩上部120の高さに相当する高さを有する空間122が形成される。さらに、桝本体12の側壁部20外面および押え部材16の側壁部114内面には、第1爪部26および第2爪部118が形成されているので、桝本体12の側壁部20外面と押え部材16の側壁部114内面との間にも空間124が形成される。これにより、押え部材16によって蓋14の鍔部66の上面および側面が覆われると共に、蓋14の空気流入口62は、空間122および空間124を介して桝10の外部と連通する。蓋14と押え部材16とによって形成されるこの空間122,124は、空気流入口62から桝本体12内へ空気を流入させるときに、空気流入口62に空気を導入するための空気通路となる。
このように、空気流入口62に空気を導入するための空気通路を形成して、空気流入口62および鍔部66上面、つまり空気流入口62周囲の蓋14上面を完全に覆うことによって、空気流入口62の周囲には、埃などの異物が堆積し難くなる。これにより、桝本体12内で負圧が発生した際に、一方通気弁60を機能させて、空気流入口62から桝本体12内へ空気を流入させても、それと同時に埃などの異物が空気流入口62から吸引されることが無くなる、或いは低減される。
この実施例によれば、空気流入口62からの異物の吸引を防止できるので、埃などが一方通気弁60の弁74,76に付着すること等に起因する、そのシール性および摺動性などの低下を防止でき、蓋14の有する通気機能の低下を防止できる。
また、空気流入口62に空気通路を形成することによって、空気流入口62からの吸気を行わない通常時においても、埃などが空中を浮遊して自然と空気流入口62から蓋14内(具体的には第3弁室90内)に侵入してしまうことが防止される。
さらに、排水時に一方通気弁60が開くと、空気流入口62から排水音が漏れる場合があるが、空気流入口62に空気通路を形成して空気流入口62の周囲を覆うことによって、排水音の漏れを抑制できる。
また、蓋14は、押え部材16によってしっかりと押えられているので、桝本体12内の圧力が上昇したときに不用意に蓋14が点検口24から外れてしまうことを考慮して、バヨネット結合などの蓋14を回して固定する方法を採用する必要はなく、蓋14は、点検口24に単に嵌め込まれた状態で装着されるだけでよい。したがって、蓋14を取り外す際には、蓋14を周方向に回転させる必要が無いので、シール部材72が固着状態になっていても、小さな力で容易に蓋14を取り外すことができる。つまり、蓋14の着脱性が向上するため、床200下などの狭隘な場所でも容易に蓋14を着脱でき、桝10の維持管理性が向上する。
なお、押え部材16の桝本体12への取り付けには、バヨネット結合を利用したが、これに限定されず、適宜な方法を用いることができる。たとえば、桝本体12の外面上部にネジ山を形成し、押え部材16の側壁部72の内面にそのネジ山と螺合するネジ溝を形成するというように、ネジ結合を利用して押え部材16を桝本体12に取り付けてもよい。ただし、ネジ結合を利用する場合には、桝本体12の側壁部20外面と押え部材16の側壁部114内面との間に空間124が形成されないので、たとえば押え部材16の側壁部114の適宜な位置、好ましくは蓋14の空気流入口62から離れた位置に、貫通孔を設けるとよい。
また、上述したように、桝本体12の内部には、仕切体40が着脱自在に設けられてもよい。図5を参照して、仕切体40は、射出成形などによって形成され、当接板42および仕切板44を備える。
当接板42は、桝本体12の段差部28と対向するように形成される板状体であって、その両側部上部は、段差部28の両側端と沿う。また、当接板42の上端には、外方に向かって突出する第1当接部46が形成される。この第1当接部46は、段差部28の段差状の第1支持部30に沿う形状に形成され、桝本体12に仕切体40を取り付けたときには、第1当接部46と第1支持部30とが当接する(図2参照)。
仕切板44は、各流入部34の間を区画するものであり、各流入部34に対向する位置のそれぞれに形成される。具体的には、仕切板44は、流入部34に対向する主面44aを有し、主面44aの下端中央から上方および両側方に向かうに伴い、流入部34に向かって湾曲する板状体に形成される。つまり、仕切板44は、流入部34の桝本体12中心側の開口部48を庇状に覆い、仕切板44の側面上部50は、開口部48の上側半周に亘って、桝本体12の側壁部20の内面に沿う。また、仕切板44の側面下部52は、下端に向かうに伴い内側に向かって放物線を描くように湾曲する。つまり、仕切板44の側面下部52と桝本体12の側壁部20の内面とは離れており、その間には空間が形成される。この空間は、仕切板44によって区画される排水の通路同士を、桝本体12の周方向に連通する。
また、仕切体40は、その外面が仕切板44の側面上部50と同一面となる壁部54を備える。この壁部54は、当接板42と一体となって略円筒形に形成され、壁部54の外面は側壁部20の内面に沿う。壁部54の上端には、その全周に亘って、第1当接部46と一体となって外方に向かって突出する第2当接部56が形成される。桝本体12に仕切体40を取り付けたときには、第2当接部56と第2支持部32とが当接し、第1当接部46および第2当接部56の上面は、段差部28の上面と同一面を形成する(図2参照)。
また、蓋14を桝本体12の点検口24に装着したときには、蓋14の嵌合部70の下端と、第1当接部46、第2当接部56および段差部28の上面とが当接する。したがって、仕切体40は、桝本体12と蓋14とによって挟まれる状態となり、しっかりと固定されるので、排水が仕切体40にぶつかる等しても、仕切体40はがたつかない。
このような仕切体40を用いると、流入部34から流入する排水を案内して、排水の流れ方向を下向きにスムーズに変化させることができるので、他の流入部34への排水の逆流を防止できる。また、一度に多量の排水が桝本体12内に流入した場合には、排水は、下方向に流れて流出部38から流出すると共に、仕切板44の側面下部52と側壁部20との間の空間を通って周方向(横方向)にも流れる。つまり、各流入部34に対応する仕切板44によって区画された排水の通路だけでなく、他の流入部34に対応する排水の通路を利用して排水を排出することができので、桝本体12内での満管状態の発生を防止できる。したがって、仕切板44によって区画された部位における排水の通路を確保して満管状態を防止するために、桝本体12の管径を大きくとる必要がなく、桝10を小型化できる。
また、上述の実施例では、蓋14とは別体として形成される押え部材16を協働部材として用いて、空気流入口62に空気を導入するための空気通路を形成したが、これに限定されない。たとえば、図12に示す桝10のように、蓋14と一体的に形成される庇部130を協働部材として機能させることもできる。以下には、図12に示す実施例について説明するが、上述の実施例と重複する説明は、省略または簡略化して行う。
図12および図13に示すように、桝10は、その内部に仕切体40が取り付けられる桝本体12を含み、桝本体12の点検口24には、その内部に一方通気弁60が取り付けられる蓋14が着脱可能に装着される。
図14に示すように、蓋14は、有頂円筒状の内筒部64、および内筒部64の外面に形成される鍔部66を備える。内筒部64には、鍔部66よりも高い位置に、桝本体12内と外部とを連通するための空気流入口62が形成される。さらに、鍔部66の下面には、円筒形状の嵌合部70が形成され、嵌合部70の外面に装着されるシール部材72によって、桝本体12と蓋14との間の気密性および水密性が保たれる。
そして、内筒部112の外面には、庇部130が形成される。庇部130は、空気流入口62よりも高い位置から外方に向かって延びる鍔状の上壁部132、および上壁部132の下面周縁部から下方向に延びる短円筒形状の側壁部134を含む。上壁部132は鍔部66よりも外方に延び、側壁部134は鍔部66の下面よりも下方に延びることによって、庇部130は、鍔部の上面上方を完全に覆う。つまり、庇部130の内面と鍔部66の上面および側面との間には空間136が形成されており、この空間136は、空気流入口62に空気を導入するための空気通路として利用される。
また、庇部130の側壁部134下端には、桝本体12の4つの第1爪部26と対応する位置に、内側に向かって突出する4つの第2爪部138が形成される。桝本体12の第1爪部26と、蓋14の第2爪部138とを回転勘合させる(つまりバヨネット結合を利用する)ことによって、蓋14は桝本体12に固定され、桝本体12からの蓋14の抜け出しが防止される。
さらに、蓋14には、2つの取手部140が形成される。取手部140は、内筒部64の上面側縁から外方に延び、下方に曲がって庇部130の上壁部132に繋がる。また、取手部140の下部には、取手部140の強度を補強するための補強部142が形成される。このような取手部140を作業者が把持することによって、作業者は蓋14を周方向に回転させ易くなり、シール部材72が固着状態になったとしても、蓋14を回転させて取り外すことができる。
このように、図12に示す実施例によっても、庇部130によって空気流入口62および鍔部66上面、つまり空気流入口62周囲の蓋14上面を完全に覆うので、空気流入口62の周囲に埃などの異物が堆積し難くなる。したがって、図1に示す実施例と同様に、空気流入口62からの異物の吸引を防止でき、蓋14の有する通気機能の低下を防止できる。
また、上述の各実施例では、押え部材16または庇部130を協働部材として用い、蓋14の鍔部66の上面および側面を完全に覆うようにしたが、これに限定されず、少なくとも鍔部66の上面(つまり空気流入口62周囲の蓋14上面)の上方が覆われていればよい。また、押え部材16または庇部130の形状も、図10または図14に示すものに限定されず、適宜な形状を採用することができる。
たとえば、押え部材16或いは庇部130の側壁部114,134を短円筒形状に形成するのではなく、第2爪部118,138を形成する位置のみ、つまり桝本体12の第1爪部26に対応する位置のみに、円弧状の側壁部114,134を分散させて形成するようにしてもよい。つまり、空気流入口62に空気を導入するための空気通路の側方は、開放状態であってもよい。
このように、少なくとも空気流入口62周囲の蓋14上面の上方を覆えば、蓋14の上方から降下してくる埃などの異物の堆積が防止され、空気流入口62からの異物の吸引が低減される。ただし、側方からくる埃などの堆積は防止できないので、図1に示す実施例のように、空気流入口62周囲の蓋14上面の上方を完全に覆う空気通路を形成することが望ましい。
また、たとえば、蓋14の鍔部66の上面全体を覆うように空気通路を形成するのではなく、図15および図16に示すように、協働部材144を用いて、鍔部66の上面の一部のみを覆うように空気通路を形成してもよい。この場合には、協働部材144は、庇部130として蓋14と一体的に形成するようにしてもよいし、蓋14とは別体として形成し、接着剤などを利用して蓋14に取り付けるようにしてもよい。
具体的には、図15および図16に示す実施例では、協働部材144は、空気流入口62よりも高い位置から外方に向かって延びる平板状の上壁部146、および上壁部146の一方端から下方向に延びる第1側壁部148を含む。また、上壁部146および第1側壁部148の両側には、そこから蓋14の鍔部66に向かって延びる第2側壁部150が形成される。この協働部材144の内面と鍔部66の上面および側面とによって、空気流入口62に空気を導入するための空気通路152が形成される。これにより、図1に示す実施例と同様に、空気流入口62からの埃などの異物の吸引を防止でき、蓋14の有する通気機能の低下を防止できる。なお、この場合には、蓋14の抜け出しを防止するために、桝本体12の第1爪部26と回転勘合する第2爪部154を蓋14の鍔部66下面に形成するとよい。
なお、上述の各実施例では、桝本体12の第1爪部26と、押え部材16などの第2爪部118,138,154とを回転勘合させて、蓋14の抜け出しを防止するようにしたが、このことは必ずしも必要ではなく、桝本体12と蓋14とをゴム輪接合するだけでもよい。この場合の押え部材16は、空気通路を形成するための協働部材としてのみ機能する。
また、上述の各実施例では、図4に示すような桝本体12を用いたが、桝本体12の形状および構成は、これに限定されず、適宜な形状および構成を有する桝本体12を用いることができる。たとえば、桝本体12は、必ずしも複数の流入部34を有する必要は無く、1つの流入部34を有するだけでもよい。また、たとえば、流出部38を側壁部20に設け、排水を側方から排出することもできる。さらに、仕切体40を必ずしも桝本体12内に設ける必要はなく、仕切体40を設けない場合もある。
また、蓋14に取り付ける一方通気弁60の形状および構成は、図8および図9に示すものに限定されず、適宜な形状および構成を有する一方通気弁60を採用することができる。たとえば、一方通気弁60は、1つの弁(第1の通気弁74或いは第2の通気弁76)を備えるだけでもよい。
さらに、一方通気弁60の形状および構成に対応させて、蓋14に形成する空気流入口62の位置も適宜変更され得る。たとえば、蓋14の内筒部64の上面に空気流入口62を形成することもできる。この場合には、少なくとも空気流入口62およびその周囲の上方を覆う協働部材と、蓋14の一部とを利用して空気通路が形成される。
また、桝10は、一般住宅などの床100下に配管されるだけでなく、屋外の排水管および下水管などに配管することもできる。