ところが、従来の検査装置には、以下の問題点がある。すなわち、従来の検査装置では、外観検査実行部による外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントのみに対してインサーキットテスト実行部がインサーキットテスト(以下、「電気的検査処理」ともいう)を実行し、その検査結果を最終判定結果として確定する構成が採用されている。この場合、この種の検査装置によって検査する検査対象基板では、外観検査処理時において良好と判定された検査ポイントであっても、実際には、接触不良や短絡、または電子部品の実装誤りなどの不良が生じていることがある。しかしながら、従来の検査装置では、外観検査処理時に正常と判定された検査ポイント対する電気的検査処理が実行されないため、不良の検査ポイントが存在する検査対象基板が良品と誤判定されるという問題点がある。
具体的には、例えば、検査対象基板上の電子部品に端子浮き(半田不良)が生じていたとしても、その電子部品が基板上の正しい実装位置に配設され、かつ電子部品の接続端子に半田が正常に付着して導体パターン上に半田が正確に位置している状態においては、外観検査処理時に検査対象基板を真上から撮像したときに、生成された画像データに基づいて端子浮きを検出することが困難となる。この結果、端子浮きが生じている検査ポイントが外観検査処理時に良好であると誤判定され、電気的検査処理が実行されずにその誤った判定結果が最終判定結果となる。また、形状、大きさおよび色などが検査対象基板に実装されているべき電子部品と同様の誤った電子部品が実装されていたとしても、外観検査処理によってこのような実装誤りを検出するのは非常に困難となっている。この結果、実装誤りが生じている検査ポイントが外観検査処理時に良好であると誤判定され、電気的検査処理が実行されずにその誤った判定結果が最終判定結果となる。
また、従来の検査装置では、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントの数だけ電気的検査処理を実行するため、電気的検査処理の総検査時間(不良と判定された検査ポイントのすべてに対する電気的検査処理を実行するのに要する時間)が外観検査処理の結果に応じて変動する。この場合、従来の検査装置を回路基板の製造ラインに組み込んで、電子部品の実装が完了した製品(上記の検査対象基板)から順にその良否を検査する構成を採用した場合、例えば、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントの数が多いときには、その基板に対する電気的検査処理を、次の基板の製造(電子部品の実装)が完了するまでに完了することができなくなるおそれがある。このため、従来の検査装置には、外観検査処理の結果に応じて製造ラインのスピード(検査装置に対して検査対象基板が搬送される周期)を調整するなどの煩雑な作業が必要となるという問題点がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、一定の時間内に検査対象体の良否を正確に検査し得る制御装置、検査装置および制御方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の制御装置は、電気的検査装置を制御して検査対象体に対する電気的検査処理を実行させると共に外観検査装置を制御して当該検査対象体に対する外観検査処理を実行させる制御部と、前記検査対象体における複数の検査ポイントについての検査ポイントデータを記憶する記憶部とを備えた制御装置であって、前記記憶部が、前記検査ポイントデータとして、前記各検査ポイント毎の前記電気的検査処理に要する検査時間および当該電気的検査処理を実行すべき優先順位を当該各検査ポイントに関連付けて記憶し、前記制御部が、1つの前記検査対象体に対する前記電気的検査処理の総検査時間が指定されたときに、前記検査ポイントデータにおける前記各検査ポイント毎の前記優先順位および前記検査時間に基づいて、当該総検査時間内で前記電気的検査処理を実行可能な前記検査ポイントを前記優先順位の高い当該検査ポイントから順に選択し、前記電気的検査装置を制御して当該選択した検査ポイントに対する前記電気的検査処理を実行させると共に、前記外観検査装置を制御して少なくとも当該電気的検査処理を実行しない前記検査ポイントに対する前記外観検査処理を実行させる。
また、請求項2記載の検査装置は、検査対象体に対する電気的検査処理を実行する検査部と、前記検査部を制御して前記電気的検査処理を実行させる制御部と、前記検査対象体における複数の検査ポイントについての検査ポイントデータを記憶する記憶部とを備えた検査装置であって、前記記憶部が、前記検査ポイントデータとして、前記各検査ポイント毎の前記電気的検査処理に要する検査時間および当該電気的検査処理を実行すべき優先順位を当該各検査ポイントに関連付けて記憶し、前記制御部が、1つの前記検査対象体に対する前記電気的検査処理の総検査時間が指定されたときに、前記検査ポイントデータにおける前記各検査ポイント毎の前記優先順位および前記検査時間に基づいて、当該総検査時間内で前記電気的検査処理を実行可能な前記検査ポイントを前記優先順位の高い当該検査ポイントから順に選択し、前記検査部を制御して当該選択した検査ポイントに対する前記電気的検査処理を実行させると共に、当該電気的検査処理を実行しない前記検査ポイントを特定可能な情報を、外部装置としての外観検査装置、および外観検査装置を制御する外部装置としての制御装置のいずれかに出力する。
また、請求項3記載の制御方法は、検査対象体に対する電気的検査処理を実行する電気的検査装置と当該検査対象体に対する外観検査処理を実行する外観検査装置とを制御する制御方法であって、1つの前記検査対象体に対する前記電気的検査処理の総検査時間が指定されたときに、当該検査対象体における複数の検査ポイント毎の前記電気的検査処理に要する検査時間および当該電気的検査処理を実行すべき優先順位に基づいて、当該総検査時間内で前記電気的検査処理を実行可能な前記検査ポイントを前記優先順位の高い当該検査ポイントから順に選択し、前記電気的検査装置を制御して当該選択した検査ポイントに対する前記電気的検査処理を実行させると共に、前記外観検査装置を制御して少なくとも当該電気的検査処理を実行しない前記検査ポイントに対する前記外観検査処理を実行させる。
請求項1記載の制御装置および請求項3記載の制御方法では、1つの検査対象体に対する電気的検査処理の総検査時間が指定されたときに、各検査ポイント毎の電気的検査処理に要する検査時間および電気的検査処理を実行すべき優先順位に基づいて、総検査時間内で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントを優先順位の高い検査ポイントから順に選択し、電気的検査装置を制御して選択した検査ポイントに対する電気的検査処理を実行させると共に、外観検査装置を制御して少なくとも電気的検査処理を実行しない検査ポイントに対する外観検査処理を実行させる。
したがって、この制御装置および制御方法によれば、指定された総検査時間内で、可能な限り多くの検査ポイントを対象とする電気的検査処理を実行することができるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントのみに対して電気的検査処理を実行する構成の従来の検査装置と比較して、検査結果の信頼性が高い電気的検査処理が実行される検査ポイントの数が多くなることで、検査対象体の良否を正確に検査することができる。また、この制御装置およびその制御方法によれば、電気的検査処理を実行する検査ポイントと、外観検査処理のみを実行する検査ポイントとを予め規定したうえで両検査処理を実行させるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントの数に応じて電気的検査処理の総検査時間が変動する従来の検査装置とは異なり、検査対象体上の不良な検査ポイントの数に拘わらず、一定の時間内でその良否を検査することができるため、不良な検査ポイントの数に応じて製造ラインのスピードを変更するなどの煩雑な作業を不要とすることができる。
また、請求項2記載の検査装置では、1つの検査対象体に対する電気的検査処理の総検査時間が指定されたときに、検査ポイントデータにおける各検査ポイント毎の優先順位および検査時間に基づいて、総検査時間内で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントを優先順位の高い検査ポイントから順に選択し、検査部を制御して選択した検査ポイントに対する電気的検査処理を実行させると共に、電気的検査処理を実行しない検査ポイントを特定可能な情報を、外部装置としての外観検査装置、および外観検査装置を制御する外部装置としての制御装置のいずれかに出力する。
したがって、この検査装置およびその制御部による制御方法によれば、指定された総検査時間内で、可能な限り多くの検査ポイントを対象とする電気的検査処理を実行することができるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントのみに対して電気的検査処理を実行する構成の従来の検査装置と比較して、検査結果の信頼性が高い電気的検査処理が実行される検査ポイントの数が多くなることで、検査対象体の良否を正確に検査することができる。また、この検査装置およびその制御部による制御方法によれば、電気的検査処理を実行する検査ポイントと、外観検査処理のみを実行する検査ポイントとを予め規定したうえで両検査処理を実行するため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントの数に応じて電気的検査処理の総検査時間が変動する従来の検査装置とは異なり、検査対象体上の不良な検査ポイントの数に拘わらず、一定の時間内でその良否を検査することができるため、不良な検査ポイントの数に応じて製造ラインのスピードを変更するなどの煩雑な作業を不要とすることができる。さらに、この検査装置およびその制御部による制御方法によれば、外観検査装置や電気的検査装置とは別個の制御装置によって外観検査処理および電気的検査処理を制御する構成と比較して、制御装置の設置スペースが不要となるだけでなく、制御装置と電気的検査装置との間の配線も不要となるため、検査対象体の製造ラインを簡易に構成することができる。
以下、本発明に係る制御装置、検査装置および制御方法の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、回路基板製造システム1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す回路基板製造システム1は、部品実装装置2a,2b、外観検査装置3、電気的検査装置4、搬送装置5および制御装置6を備えて、本発明における検査対象体の一例である回路基板(図示せず)を製造する1つの製造ラインを構成する。部品実装装置2a,2bは、制御装置6から出力された制御信号S2a,S2bに従って電子部品(図示せず)を実装して回路基板を製造する。なお、同図では、本発明についての理解を容易とするために、一例として、部品実装装置2a,2bの2つを備えて回路基板製造システム1を構成した例を図示しているが、製造する回路基板に応じて、1つ、または3つ以上の部品実装装置を適宜配設して回路基板製造システム1を構成することができる。
外観検査装置3は、制御装置6から出力された制御信号S3に従って回路基板に対する外観検査処理を実行する。具体的には、外観検査装置3は、図示しないカメラによって回路基板を撮像すると共に、撮像によって生成された画像データと、検査用基準データとに基づいて、回路基板上の所定の検査ポイントの良否を検査する。電気的検査装置4は、制御装置6から出力された制御信号S4に従って回路基板に対する電気的検査処理を実行する。具体的には、電気的検査装置4は、一例として、X−Y−Z移動機構に取り付けられた一対の検査用プローブ(図示せず)を備え、両検査用プローブを所定の検査ポイントに接触させて検査用信号を印加した状態において所定の電気的パラメータを測定し、その測定結果と検査用基準データとに基づいて検査ポイントの良否を検査する。なお、本発明における電気的検査装置は、接触型の検査用プローブを用いて電気的検査処理を実行する構成に限定されず、非接触型の検査用プローブを用いて電気的検査処理を実行可能に構成することもできる。
搬送装置5は、制御装置6から出力された制御信号S5に従い、部品実装装置2aによる部品実装作業位置、部品実装装置2bによる部品実装作業位置、外観検査装置3による外観検査処理実行位置、および電気的検査装置4による電気的検査処理実行位置に回路基板を順次搬送する。制御装置6は、本発明に係る制御装置の一例であって、回路基板製造システム1を総括的に制御する。具体的には、制御装置6は、操作部11、表示部12、制御部13および記憶部14を備えて構成されている。操作部11は、制御装置6の動作条件を設定するため(指定するため)の各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号S1を制御部13に出力する。表示部12は、制御部13の制御に従って、回路基板製造システム1の稼働状態に関する情報や、外観検査装置3および電気的検査装置4による回路基板についての検査結果に関する情報を表示する。制御部13は、部品実装装置2a,2bに対して制御信号S2a,S2bを出力して(部品実装装置2a,2bを制御して)回路基板に電子部品を実装させると共に、搬送装置5に制御信号S5を出力して(搬送装置5を制御して)回路基板を搬送させる。
また、制御部13は、部品実装装置2a,2bによる電子部品の実装が完了した回路基板を対象として、外観検査装置3を制御して外観検査処理を実行させると共に、電気的検査装置4を制御して電気的検査処理を実行させる。この場合、この制御装置6では、後述するように、一例として、操作部11のスイッチ操作によって回路基板製造システム1の稼働スピード(例えば、1時間当りに製造する回路基板の枚数)が入力されたときに、制御部13が1枚の回路基板に対して実行させる電気的検査処理の総検査時間を演算し、その演算結果と、記憶部14に記憶されている検査ポイントデータDとに基づいて、演算した総検査時間内で電気的検査処理を実行すべき検査ポイントを選択する。また、制御部13は、外観検査装置3を制御して、選択した検査ポイント以外の検査ポイント(電気的検査処理を実行しない検査ポイント)に対する外観検査処理を実行させると共に、電気的検査装置4を制御して選択した検査ポイントに対する電気的検査処理を実行させる。
この場合、図2に示すように、検査ポイントデータDは、上記の回路基板に対して予め規定された複数の検査ポイントP1〜PN(以下、区別しないときには「検査ポイントP」ともいう)について、電気的検査装置4による電気的検査処理に要する検査時間(同図に示す時間T1〜TN)と、電気的検査処理を実行すべき優先順位(同図に示す1〜N)とを各検査ポイントP1〜PNに関連付けた情報で構成されている。具体的には、同図に示す検査ポイントデータDでは、例えば、検査ポイントP1は、電気的検査処理を実行すべき優先順位が「1番」で、電気的検査処理に要する検査時間が「時間T1」であり、検査ポイントP2は、電気的検査処理を実行すべき優先順位が「2番」で、電気的検査処理に要する検査時間が「時間T2」であることを示している。この場合、各検査ポイントP1〜PNについては、一例として、ICの端子に関連付けられた検査ポイントP、コンデンサの端子に関連付けられた検査ポイントP、抵抗体の端子に関連付けられた検査ポイントP、および各種コネクタに関連付けられた検査ポイントPの順で優先順位が規定されている。記憶部14は、上記の検査ポイントデータDや、制御部13の動作プログラムなどを記憶する。
次に、回路基板製造システム1による回路基板の製造方法について、制御装置6による外観検査装置3および電気的検査装置4の制御方法を中心に、図面を参照して説明する。なお、回路基板製造システム1によって製造する回路基板についての検査ポイントデータDは、予め生成されて制御装置6の記憶部14に記憶されているものとする。
まず、制御装置6の操作部11を操作して、一例として、この回路基板製造システム1によって1時間当りに製造する回路基板の枚数(一例として100枚とする)を指定する。なお、後述するように、この回路基板製造システム1では、この際に指定される枚数によって「1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間」が制御部13によって演算されるため、この例では、上記のように操作部11のスイッチ操作によって「1時間当りに製造する回路基板の枚数が指定されたとき」が、本発明における「1つの検査対象体に対する電気的検査処理の総検査時間が指定されたとき」に相当する。一方、制御部13は、指定された枚数に基づき、1枚の回路基板の製造が完了してから次の回路基板の製造が完了するまでの時間を演算する。次いで、制御部13は、演算した時間と、1枚の回路基板に対する外観検査処理に要する検査時間(図3に示す時間TP)とに基づき、1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間を演算する。
この場合、移動機構による検査用プローブの移動(プロービング)を要する電気的検査処理とは異なり、外観検査装置3による外観検査処理は、回路基板を1回撮像するだけで、その際に生成される画像データに基づいて、回路基板上の任意の数の検査ポイントPに対する検査を行うことが可能となっている。このため、外観検査処理に要する検査時間については、対象とする検査ポイントPの数に拘わらず、ほぼ一定の時間TPとなる。なお、この時間TPについては、各検査ポイントPを対象とする外観検査処理を実行可能な十分な長さの時間が予め規定されている。したがって、制御部13は、1枚の回路基板の製造が完了してから次の回路基板の製造が完了するまでの時間から、1枚の回路基板に対する外観検査処理に要する上記の時間TPを差し引いた時間を「1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間」として演算する。
具体的には、図3に示すように、1枚の回路基板の製造が完了してから次の回路基板の製造が完了するまでの時間として時間TAが演算されたときには、制御部13は、この時間TAから外観検査処理に要する上記の時間TPを差し引いた時間TAxを「1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間」として演算する。また、1枚の回路基板の製造が完了してから次の回路基板の製造が完了するまでの時間として時間TBが演算されたときには、制御部13は、この時間TBから外観検査処理に要する上記の時間TPを差し引いた時間TBxを「1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間」として演算する。同様にして、1枚の回路基板の製造が完了してから次の回路基板の製造が完了するまでの時間として時間TCが演算されたときには、制御部13は、この時間TCから外観検査処理に要する上記の時間TPを差し引いた時間TCxを「1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間」として演算する。
次いで、制御部13は、演算した総検査時間と、記憶部14に記憶されている検査ポイントデータDとに基づき、総検査時間内で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントPを優先順位の高い検査ポイントPから順に選択する。具体的には、制御部13は、検査ポイントデータDにおける各検査ポイントP1〜PN毎の検査時間T1〜TNと、各検査ポイントP1〜PNの優先順位とに基づき、優先順位の高い検査ポイントPから順に検査時間(時間T1〜TN)を加算して、その都度、その合計時間と上記の総検査時間とを比較することで、総検査時間内で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントPを特定する。この際に、例えば、総検査時間として時間TAxが演算されているときには、時間T1〜TNの合計時間が時間TAxより短いため、制御部13は、時間TAx内においてすべての検査ポイントP1〜PNに対する電気的検査処理を実行可能と判別して、検査ポイントP1〜PNのすべてを選択する。
一方、総検査時間として時間TBxが演算されているときには、時間T1〜T5の合計時間が時間TBxより長くなるため、制御部13は、時間T1〜T4の合計時間で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントP1〜P4を選択する。また、総検査時間として時間TCxが演算されているときには、時間T1〜T9の合計時間が時間TCxより長くなるため、制御部13は、時間T1〜T8の合計時間で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントP1〜P8を選択する。なお、同図では、本発明についての理解を容易とするために、数カ所分の検査ポイントPが選択されるような時間の例を図示しているが、実際の回路基板を対象とする検査処理の制御に際しては、さらに数多くの検査ポイントPが選択される。続いて、制御部13は、選択した検査ポイントP(電気的検査装置4による電気的検査処理を実行する検査ポイントP)を特定可能な情報と、選択から漏れた検査ポイントP(電気的検査装置4による電気的検査処理を実行しない検査ポイントP)を特定可能な情報とを生成して記憶部14に記憶させる。以上により、回路基板製造システム1による回路基板の製造準備が完了する。
次いで、操作部11のスタートスイッチが操作されたときに、制御部13は、搬送装置5を制御して、回路基板の搬送を開始させると共に、部品実装装置2a,2bを制御して電子部品の実装処理を開始させる。この際には、部品実装装置2a,2bが搬送装置5によって搬送された回路基板上に電子部品を実装することで回路基板を製造し、搬送装置5が完成した回路基板を外観検査装置3による外観検査処理の実行位置、および電気的検査装置4による電気的検査処理の実行位置に順次搬送する。
また、制御装置6は、記憶部14に記憶させた情報に基づき、外観検査装置3に制御信号S3を出力して、上記の「選択から漏れた検査ポイントP(電気的検査装置4による電気的検査処理を実行しない検査ポイントP)」に対する外観検査処理を実行させる(本発明における「少なくとも電気的検査処理を実行しない検査ポイントPに対する外観検査処理を実行させる」との制御の一例)。この際に、外観検査装置3は、例えば、検査ポイントP5〜PNに対する外観検査処理の実行を指示されたときに、回路基板をカメラで撮像して画像データを生成し、生成した画像データと検査用基準データとに基づいて、検査ポイントP5〜PNの良否を検査する。これにより、電気的検査装置4による電気的検査処理が実行されない検査ポイントP5〜PNについての外観検査処理が時間TP内で完了する。
また、制御装置6は、記憶部14に記憶させた情報に基づき、電気的検査装置4に制御信号S4を出力して、上記の「選択した検査ポイントP」に対する電気的検査処理を実行させる。この際に、電気的検査装置4は、例えば、検査ポイントP1〜P4に対する電気的検査処理の実行を指示されたときに、X−Y−Z移動機構によって両検査用プローブを検査ポイントP1〜P4に順次接触させて、その都度、検査用信号を印加して電気的パラメータを測定し、その測定結果と検査用基準データとに基づいてその検査ポイントPの良否を検査する。これにより、時間TBx内で検査可能と判別された検査ポイントP1〜P4についての電気的検査が完了する。
この後、制御装置6(制御部13)は、操作部11の停止スイッチが操作されるまで、部品実装装置2a,2bによる電子部品の実装処理、外観検査装置3による外観検査処理、および電気的検査装置4による電気的検査処理を繰り返して実行する。これにより、部品実装装置2a,2bによって電子部品が実装された各回路基板の良否が、外観検査装置3および電気的検査装置4によってそれぞれ一定時間内に検査される。また、製造ラインのスピード(回路基板製造システム1によって1時間当りに製造する回路基板の枚数)が変更されたときには、制御部13は、上記の一連の処理と同様にして、1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間を演算し、演算結果に基づいて、優先順位の高い検査ポイントPから順に選択して電気的検査装置4に電気的検査処理を実行させると共に、外観検査装置3を制御して他の検査ポイントPに対する外観検査処理を実行させる。これにより、部品実装装置2a,2bによって電子部品が実装された各回路基板の良否が、外観検査装置3および電気的検査装置4によってそれぞれ新たな一定時間内に検査される。
このように、この制御装置6、および制御装置6による外観検査装置3と電気的検査装置4とを制御する制御方法では、1枚の回路基板(検査対象体)に対する電気的検査処理の総検査時間が指定されたとき(この例では、回路基板製造システム1によって1時間当りに製造する回路基板の枚数が指定されたとき)に、各検査ポイントP毎の電気的検査処理に要する検査時間T1〜TNおよび電気的検査処理を実行すべき優先順位に基づいて、上記の総検査時間内で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントPを優先順位の高い検査ポイントPから順に選択し、電気的検査装置4を制御して選択した検査ポイントP(例えば検査ポイントP1〜P4)に対する電気的検査処理を実行させると共に、外観検査装置3を制御して少なくとも電気的検査処理を実行しない検査ポイントP(この例では、検査ポイントP5〜PN)に対する外観検査処理を実行させる。
したがって、この制御装置6およびその制御方法によれば、指定された総検査時間内で、可能な限り多くの検査ポイントPを対象とする電気的検査処理を実行することができるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントPのみに対して電気的検査処理を実行する構成の従来の検査装置と比較して、検査結果の信頼性が高い電気的検査処理が実行される検査ポイントPの数が多くなることで、回路基板の良否を正確に検査することができる。また、この制御装置6およびその制御方法によれば、電気的検査処理を実行する検査ポイントP(上記の例では、検査ポイントP1〜P4)と、外観検査処理のみを実行する検査ポイントP(この例では、検査ポイントP5〜PN)とを予め規定したうえで両検査処理を実行させるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントPの数に応じて電気的検査処理の総検査時間が変動する従来の検査装置とは異なり、回路基板上の不良な検査ポイントPの数に拘わらず、一定の時間内でその良否を検査することができるため、不良な検査ポイントPの数に応じて製造ラインのスピード(回路基板製造システム1による回路基板の製造周期)を変更するなどの煩雑な作業を不要とすることができる。
なお、本発明は、上記の構成や方法に限定されない。例えば、外観検査装置3や電気的検査装置4とは別体の制御装置6によって外観検査装置3による外観検査処理および電気的検査装置4による電気的検査処理を制御する構成の回路基板製造システム1を例に挙げて説明したが、例えば、図4に示す回路基板製造システム1Aのように、電気的検査装置4Aの制御部13によって本発明における制御方法を実行して外観検査装置3による外観検査処理を制御する構成を採用することができる。なお、前述した回路基板製造システム1と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。この場合、同図に示す回路基板製造システム1Aは、本発明に係る検査装置の一例であって、前述した回路基板製造システム1における制御装置6に代えて、回路基板製造システム1における制御装置6および電気的検査装置4を一体的に構成した電気的検査装置4Aを備えている。
電気的検査装置4Aは、本発明における電気的検査処理を実行する検査部15を備え、前述した電気的検査装置4と同様にして、例えば接触型の一対の検査用プローブを用いた電気的検査処理を実行する。この回路基板製造システム1Aでは、回路基板製造システム1における制御装置6の制御部13に代わり、電気的検査装置4Aの制御部13が本発明における制御方法に従って回路基板製造システム1Aの各部を制御する。具体的には、回路基板製造システム1では、制御装置6の制御部13が、部品実装装置2a,2b、外観検査装置3、電気的検査装置4および5の動作を制御しているが、この回路基板製造システム1Aでは、電気的検査装置4Aの制御部13が、部品実装装置2a,2b、外観検査装置3、検査部15および搬送装置5の動作を制御する。なお、この回路基板製造システム1Aでは、外観検査装置3が本発明における外部装置に相当し、外観検査装置3に対して出力する制御信号S3が、本発明における「電気的検査処理を実行しない検査ポイントPを特定可能な情報」に相当する。
この回路基板製造システム1Aでは、1枚の回路基板(検査対象体)に対する電気的検査処理の総検査時間が指定されたとき(例えば、回路基板製造システム1Aによって1時間当りに製造する回路基板の枚数が指定されたとき)に、電気的検査装置4Aの制御部13が、検査ポイントデータDにおける各検査ポイントP毎の優先順位および検査時間T1〜TNに基づいて、総検査時間内で電気的検査処理を実行可能な検査ポイントP(例えば検査ポイントP1〜P4)を優先順位の高い検査ポイントPから順に選択し、検査部15を制御して選択した検査ポイントPに対する電気的検査処理を実行させると共に、電気的検査処理を実行しない検査ポイントP(この例では、検査ポイントP5〜PN)を特定可能な情報(制御信号S3)を外部装置(この例では、外観検査装置3)に出力する。
したがって、この電気的検査装置4Aおよびその制御部13による制御方法によれば、前述した回路基板製造システム1における制御装置6およびその制御方法と同様にして、指定された総検査時間内で、可能な限り多くの検査ポイントPを対象とする電気的検査処理を実行することができるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントPのみに対して電気的検査処理を実行する構成の従来の検査装置と比較して、検査結果の信頼性が高い電気的検査処理が実行される検査ポイントPの数が多くなることで、回路基板の良否を正確に検査することができる。また、この電気的検査装置4Aおよびその制御部13による制御方法によれば、電気的検査処理を実行する検査ポイントP(上記の例では、検査ポイントP1〜P4)と、外観検査処理のみを実行する検査ポイントP(この例では、検査ポイントP5〜PN)とを予め規定したうえで両検査処理を実行させるため、外観検査処理時に不良と判定された検査ポイントPの数に応じて電気的検査処理の総検査時間が変動する従来の検査装置とは異なり、回路基板上の不良な検査ポイントPの数に拘わらず、一定の時間内でその良否を検査することができるため、不良な検査ポイントPの数に応じて製造ラインのスピード(回路基板製造システム1による回路基板の製造周期)を変更するなどの煩雑な作業を不要とすることができる。さらに、この電気的検査装置4Aおよびその制御部13による制御方法によれば、外観検査装置3や電気的検査装置4とは別個の制御装置6によって外観検査処理および電気的検査処理を制御する構成と比較して、制御装置6の設置スペースが不要となるだけでなく、制御装置6と電気的検査装置4との間の配線も不要となるため、回路基板の製造ラインを簡易に構成することができる。
一方、上記の回路基板製造システム1,1Aでは、制御部13が部品実装装置2a,2bや搬送装置5の動作を制御する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されず、部品実装装置2a,2bや搬送装置5の動作を制御する制御装置を制御装置6や電気的検査装置4Aとは別個に設けてもよい。また、上記の回路基板製造システム1Aでは、電気的検査装置4Aの制御部13が本発明における外部装置としての外観検査装置3に制御信号S3を出力して所定の検査ポイントPに対する外観検査処理を実行させる構成を採用しているが、本発明はこれに限定されず、外観検査装置3を制御する制御装置を別個配設し、この制御装置に対して電気的検査装置4Aの制御部13から本発明における「電気的検査処理を実行しない検査ポイントPを特定可能な情報」(上記の例における制御信号S3)を出力し、その情報を受信した制御装置が外観検査装置3を制御して外観検査処理を実行させる構成を採用することができる。
さらに、電気的検査処理を実行しない検査ポイントPのみに対して外観検査処理を実行する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、電気的検査処理を実行する検査ポイントPを含む所定数の検査ポイントPに対して外観検査処理を実行する構成を採用することもできる。また、部品実装装置2a,2bによる電子部品の実装が完了した回路基板に対して外観検査装置3によって外観検査処理を実行した後に、電気的検査装置4(または検査部15)によって電気的検査処理を実行する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、部品実装装置2a,2bによる電子部品の実装が完了した回路基板に対して電気的検査装置4(または検査部15)によって電気的検査処理を実行した後に、外観検査装置3によって外観検査処理を実行する構成を採用することもできる。
また、1時間当りに製造する回路基板の枚数が指定されたときに、制御部13が「1枚の回路基板に対する電気的検査処理の総検査時間」を演算する構成において、「枚数が指定されたとき」が本発明における「1つの検査対象体に対する電気的検査処理の総検査時間が指定されたとき」に相当するとの例について説明したが、本発明における「総検査時間が指定されたとき」は、「所定時間当りに製造する検査対象体の枚数が指定されたとき」に限定されない。例えば、「1つの検査対象体の製造が完了してから次の検査対象体の製造が完了するまでの時間が指定されたとき」を本発明における「総検査時間が指定されたとき」として、指定された時間に基づいて本発明における総検査時間を演算する方法を採用することもできる。また、本発明における総検査時間そのものが指定されたときもこれに含まれる。