(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面を参照して具体的に説明する。本実施形態に係る改質装置は、定置用、産業用、車両用等の燃料電池システムに適用される。
図1は改質装置1(ガス処理装置)の全体概念を示す。図2および図3は改質装置1の主要部を示す。図1に示すように、改質装置1は、燃焼室20を形成する改質部2と、燃焼室20に挿入(圧入)され改質部2を加熱する加熱源として機能する燃焼部25と、蒸発部50と、シフト部60(有害ガス低減部)と、CO酸化部53(有害ガス低減部)とをもつ。燃焼部25には、燃焼用燃料(または燃料電池のアノードから排出されたアノードオフガス)および燃焼用空気が供給される。改質部2は、鉛直方向に沿った中心軸線P1をもつ筒形状をなしており、ガス状の改質用燃料(改質用燃料原料)を水蒸気により改質させ、水素を主要成分とする(例えば20モル%以上)改質ガスを生成する。改質用燃料がメタンを含む場合には、改質反応処理は下記の(1)式に基づく。
図2に示すように、改質部2は、外通路21(ガス通路)と、外通路21に対して内側となるように同軸的に形成された内通路22(ガス通路)と、外通路21の上部と内通路22の上部とを繋ぐ折返通路23(ガス通路)とを有する。内通路22および外通路21は第2断熱47で仕切られている。外通路21の下部は改質部2の入口2iとされている。内通路22の下部は改質部2の出口2pとされている。外通路21および内通路22には、改質触媒を担持した触媒担体20aが収容されている。従って外通路21および内通路22は触媒収容通路として機能する。触媒担体20aは粒状とされている。
図2に示すように、改質部2の外周側には、筒形状をなす第1断熱層41が設けられている。第1断熱層41は、改質部2に同軸的な周壁層41aと、改質部2の上部を覆う天井層41cとを有する。天井層41cには、フランジ部42fをもつ中間蓋42が取り付けられている。第1断熱層41の内周面および外周面は、燃焼室20に連通する筒形状をなす第1燃焼通路43(ガス通路)および第2燃焼通路44(ガス通路)を同軸的にそれぞれ形成する。第2燃焼通路44は、外部に連通する燃焼排ガス通路45に連通する。更に第1断熱層41で区画される第2燃焼通路44の外周側には、改質水を蒸発させる蒸発部50が同軸的に形成されている。蒸発部50は、空間幅が狭い筒形状の空間で形成されている。蒸発部50の下部には、改質水を供給する水入口50iが形成されている。蒸発部50の上部には、改質水を加熱して生成した水蒸気を吐出する水蒸気出口50pが形成されている。このため蒸発部50において水および水蒸気は上向きに流れる。但し、蒸発部50において水および水蒸気を下向きに流すことにしても良い。
図2に示すように、蒸発部50の外周側には、筒形状をなす第3断熱素48を介して、筒形状をなすCO酸化部53が同軸的に隣設されている。第3断熱層48は、CO酸化部53と蒸発部50との間の断熱性を高め、CO酸化部53の温度を確保するのに有効である。CO酸化部53の下部には、後述する混合室81に連通する入口53iが形成されている。CO酸化部53の上部には、燃料電池のアノードに連通する出口53pが形成されている。
図1に示すように、燃焼室20で燃焼された燃焼ガスは、第1燃焼通路43を下降し,第2燃焼通路44を上昇して流れ、燃焼排ガス通路45から外部に向けて排出される。蒸発部50は第2燃焼通路44を流れる燃焼ガスにより加熱される。
更に、図1に示すように、改質装置1は、改質部2の下方に配置された熱交換部54と、熱交換部54の下方に配置されたシフト部60と、シフト部60と熱交換部54との間に配置された電気式のヒータをもつ暖機部55(過剰に低温の時作動)とを備えている。ここで、改質部2の下流(下方)に熱交換部54が設けられている。熱交換部54の下流(下方)にシフト部60が設けられている。熱交換部54は、互いに熱交換可能な第1熱交換通路54aおよび第2熱交換通路54cを有する。熱交換部54は、原料ガスとしての改質用燃料(例えば炭化水素系ガス)を供給する原料入口54iと、蒸発部50で生成された水蒸気が供給される水蒸気入口54kとを有する。
シフト部60は、下記の(2)式に基づいて、水蒸気を利用するシフト反応処理を促進させ、改質ガスに含まれているCOを低減させる。COシフト部60は、シフト反応処理を促進させるシフト触媒を有する触媒担体60aを有する。シフト触媒は例えば銅−亜鉛系触媒が採用されるが、これに限定されるものではない。触媒担体60aは粒状をなす。図4に示すように、シフト部60は、改質ガスを流す改質ガス通路を形成する改質ガス通路形成部材61を有する。改質ガス通路形成部材61は、内側の第1シフト通路61f(改質ガス通路)を形成する筒部材として機能する内筒62と、外側の第2シフト通路61s(改質ガス通路)を形成するように内筒62に対して同軸的に配置された筒部材として機能する外筒63と、内筒62の先端部(下端部)側に設けられた円形状をなす第1多孔板64と、内筒62の基端部(上端部)側に設けられたリング形状をなす第2多孔板65と、外筒63の下面開口および内筒62の下面開口を閉鎖する閉鎖板66とを有する。本明細書でいう多孔板はパンチングメタルで形成できる。
第1シフト通路61fおよび第2シフト通路61sは、内筒62で仕切られているため、内筒62は仕切部材として機能する。第1シフト通路61fおよび第2シフト通路61sには、シフト触媒を担持する触媒担体60aが収容されている。
第1多孔板64および閉鎖板66は折返通路67を形成し、第1シフト通路61fの改質ガスを矢印E方向にUターンさせて第2シフト通路61sに流す。第1多孔板64は、ガス通過性を確保しつつ、シフト触媒を担持する触媒担体60aが落下することを抑制する。第2多孔板65は、ガス通過性を確保しつつ、シフト触媒を担持する触媒担体60aが飛散することを抑制する。外筒63には、酸素を含む空気(酸素含有ガス)が供給される空気通路70(酸素含有ガス通路)を形成する第1形成部材71(酸素含有ガス通路形成部材)が設けられている。
CO酸化部53は、シフト部60の下流に配置されており、シフト部60で浄化された改質ガスに含まれているCOを下記の式(3)に基づいて、酸化させて低減させる酸化反応処理を促進させるものである。このためCO酸化部53は、酸化反応処理を促進させる酸化触媒を有する触媒担体53aを有する。触媒担体53aは粒状とされている。酸化触媒は例えばルテニウム系、白金系、白金−ルテニウム系等の貴金属触媒が採用されるが、これに限定されるものではない。
式(1)…CH4+H2O→3H2+CO
式(2)…CO+H2O→H2+CO2
式(3)…CO+1/2O2→CO2
次に改質装置1を作動させるときについて図1を参照して説明する。この場合、燃焼用空気を燃焼部25に供給すると共に、燃焼用燃料を燃焼部25に供給する。これにより燃焼部25が着火され、燃焼室20において燃料火炎25cが生成される。燃焼用燃料としては気体燃料でも、液体燃料でも、粉化燃料でも良い。具体的には、炭化水素系燃料、アルコール系燃料が採用できる。例えば、炭化水素系の都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。改質用燃料としては気体燃料でも、液体燃料でも良い。具体的には、炭化水素系燃料、アルコール系燃料が採用できる。例えば、炭化水素系の都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。燃焼部25により改質部2が改質反応処理に適するように高温(例えば400〜900℃)に加熱される。改質部2と共に蒸発部50も加熱される。シフト部60、CO酸化部53は間接的に加熱される。
改質部2が適温領域にされたら、改質水(改質反応処理前の水)が蒸発部50の水入口50iに供給される。改質水は蒸発部50において加熱されて水蒸気化される。生成された水蒸気は、蒸発部50を上昇し、蒸発部50の水蒸気出口50pから水蒸気通路75を経て熱交換部54の水蒸気入口54kを介して合流域56に到達する。これに対して、改質用燃料(燃料原料)は熱交換部54の原料入口54iから熱交換部54の合流域56に供給される。これにより合流域56において、改質用燃料と水蒸気とが合流して混合される。合流した混合流体が熱交換部54の低温側の第1熱交換通路54aを流れて改質部2の外通路21の入口2iに至る。このとき改質部2の内通路22の出口2pから吐出された高温の改質ガスは、熱交換部54の第2熱交換通路54cを流れる。このため相対的に高温の改質ガスと、改質ガスよりも相対的に低温の混合流体とは互いに熱交換される。従って、改質反応処理前の混合流体が予熱される。混合流体は改質部2の外通路21に流入して矢印A方向(上向き,図2参照)に流れ、折返通路23をUターンして内通路22に流入して矢印B方向(下向き,図2参照)に流れる。このとき水蒸気および改質用燃料が混合した混合流体は、上記した(1)に示す改質反応処理により、水素リッチ(30モル%以上)な改質ガスとなる。この改質ガスは一酸化炭素を含む可能性がある。
更に、改質反応処理を経た高温の改質ガスは、改質部2の内通路22の出口2pから熱交換部54に矢印C方向(図2参照)に流入する。即ち、高温の改質ガスは、熱交換部54の高温側の第2熱交換通路54cを通過することにより、低温側の第1熱交換通路54aの混合流体を加熱する。更に、改質ガスは、暖機部55を経て、シフト部60の入口60iからシフト部60の第1シフト通路61fに矢印D方向(図4参照)に流入する。シフト部60においては、上記した式(2)に示すように、水蒸気を利用したシフト反応処理が行われる。これにより改質ガスに含まれている一酸化炭素が低減され、改質ガスは浄化される。
更に、シフト部60において浄化された改質ガスは、シフト部60において矢印E,G方向(図4参照)に流れ、混合室81に至る。更に、改質ガスは混合室81を流れ、混合室81の出口81pから通路85を矢印H,I方向(図2参照)に流れ、入口53iからCO酸化部53内に流入する。CO酸化部53においては、改質ガスは矢印J方向(上向き,図2参照)に流れる。CO酸化部53において、上記した式(3)に示すように、酸素を利用した酸化反応処理(CO+1/2O2→CO2)が行われる。この結果、改質ガスに含まれているCOが浄化されて更に低減される。このように浄化された改質ガスは、CO酸化部53の出口53pからアノードガスとして、燃料電池の燃料極(アノード)に供給される。カソードガスとして機能する空気は、燃料電池の酸化剤極(カソード)に供給される。これにより燃料電池において発電反応処理が発生し、電気エネルギが生成される。アノードガスの発電反応処理後のオフガス(燃料電池のアノードから排出されたガス)は、発電反応処理が行われなかった水素を含むことがある。このためオフガスは燃焼部25に供給されて燃焼され、燃焼部25の熱源となる。なお、改質装置1の全体は、断熱材料で形成された外殻状をなす被覆層200(図1参照)で被覆されている。
更に本実施形態の改質装置1について、図2を参照して説明を加える。改質装置1は、内周から外周に向かうにつれて、筒部材として機能する第1筒91、第2筒92、第3筒93、第4筒94、第5筒95、第6筒96、第7筒97、第8筒98および第9筒99を中心軸線P1に対して同軸的に有する。各筒91〜99は、中心軸線の周りを1周するほぼ円筒形状をなしており、金属(例えばステンレス鋼)で形成されている。ここで、改質部2は、第1筒91と、第2筒92と、第3筒93と、第4筒94とを同軸的に配置している。第1筒91は改質部2の最内層の筒部材を構成している。第1筒91は、有底形状をなしており、下側の底部91cと、底部91cの下面の中央において溶接または取付具で固定された下向き(中心軸線P1と平行)に突出する単数の位置決めピン91e(位置決め突起)とを有する。位置決めピン91eは中心軸線P1上において中心軸線P1に沿って突出しており、ステンレス等の金属またはセラミックスで形成されている。
図3に示すように、第1筒91の外周面と第2筒92の内周面とで、改質用の触媒担体20a(収容物)が収容されている筒状をなす内通路22(ガス通路,触媒通路)が形成されている。第3筒93の外周面と第4筒94の内周面とで、改質用の触媒担体20aが収容されている筒状をなす外通路21(ガス通路,触媒通路)が形成されている。第4筒94の外周面と第1断熱層41の内周面とで、筒形状をなす第1燃焼通路43が形成されている。第5筒95の内周面は第1断熱層41の外周面を被覆している。第5筒95の外周面と第6筒96の内周面とで、筒形状をなす第2燃焼通路44(ガス通路)が形成されている。第6筒96の上面開口は主蓋49で閉鎖されている。第6筒96の外周面と第7筒97の内周面とで、筒形状の空間で形成された蒸発部50が形成されている。第7筒97の外周面と第8筒98の内周面とで、リング形状または筒状をなす第3断熱層48が被覆されている。第8筒98の外周面と第9筒99の内周面とで、リング形状または筒形状をなすCO酸化部53が形成されている。
図2に示すように、各筒の下方には金属製の主基体86(基体)が配置されている。但し主基体86はセラミックス製としても良い。主基体86は、改質部2の外通路21に連通する第1連通孔86fと、改質部2の内通路22に連通する第2連通孔86sとを有する。第3筒93の下端部、第4筒94の下端部、第6筒96の下端部は、金属製の主基体86に溶接等で固定されている。第1筒91および第2筒92の下端部は主基体86に非接触であり、主基体86に固定されていない。第1筒91の上端部と第4筒94の上端部とには、リング形状の蓋88が溶接または取付具等で接合されている。
図3に示すように、改質部2の外通路21の下部には、ガス通過性をもつプレート形状の第1ガス通過部材110(挿入部材)が配置されている。第1ガス通過部材110は中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、厚み方向に貫通する多数の通孔110mを有する金属製のパンチングメタル、網部材またはセラミックスで形成されている。第1ガス通過部材110は、外通路21に収容されている触媒担体20aが落下することを抑制する。主基体86には副基体87が載せられている。副基体87は耐火材または金属で形成されている。副基体87と主基体86との間には、改質ガスを通過させるためにガス通過性をもつ主ガス通過部材150が保持されている。主ガス通過部材150は、内通路22に収容されている触媒担体20aが落下することを抑制する。
図3に示すように、第2筒92の下端部92dは主ガス通過部材150に接近しつつも非接触とされている。よって下端部92dと主ガス通過部材150との間に微小隙間92x(図3参照)が形成されている。故に第2筒92が軸長方向に熱膨張したとしても、第2筒92の下端部92dは主ガス通過部材150に接触しない。故に第2筒92の下端部92dおよび主ガス通過部材150の損傷が抑制されている。微小隙間92xは、ここから触媒担体20aが洩れない大きさに設定されている。
ところで、図2および図3から理解できるように、第1筒91の上端部(一端部)は、蓋88を介して第4筒94の上端部(一端部)に溶接または取付具等で固定されている。従って組立時において溶接前または取付具取り付け前の段階では、第1筒91の上端部(一端部)は自由端状である。更に改質装置1の組立時においても使用時においても、図2および図3から理解できるように、改質部20を構成する第1筒91および第2筒92の下端部は、基本的には、主基体86および副基体87に非接触であり、従って、主基体86および副基体87に固定されておらず、自由端状である。このため改質装置1の組立時において、第1筒91の径方向の位置決めを精度よく実施させるには、必ずしも容易ではない。従って、本実施形態のように改質装置1の組立時において、第1筒91の位置決めピン91eを主ガス通過部材150の位置決め孔150eに挿入し、径方向の高い位置決め性を実現できることは、意義がある。
更に改質装置1の使用時において、第1筒91の上端部(一端部)が蓋88で固定されていたとしても、第1筒91の下端部(他端部)は、前述したように第2筒92、主基体86および副基体87に対して非接触であり、自由端状とされている。自由端状であれば、改質装置1の使用時においても、内通路22および外通路21を流れるガスの圧力等の影響を受ける等して、第1筒91の下端部(他端部)は径方向に変位するおそれがある。従って、上記したように第1筒91の位置決めピン91eを主ガス通過部材150の位置決め孔150eに挿入して径方向に第1筒91を拘束することは、上記した変位を抑制するために意義がある。
更に説明を加える。本実施形態によれば、主ガス通過部材150(位置決め部)は、改質ガスを通過させるために、図3に示すように、厚み方向に貫通する多数の通孔150mを有するガス通過部材(例えばパンチングメタルまたは網部材)で形成されている。位置決め孔150eは円形状とされている。位置決めピン91eも横断面で円形状とされている。ここで、第1筒91の位置決めピン91eは、主ガス通過部材150の位置決め孔150eに貫通状態に挿入(圧入)され、位置決め孔150eに係合している(図7参照)。これにより位置決めピン91eは第1筒91の径方向に拘束される。よって改質装置1の組立時において、第1筒91の径方向における位置決め精度が良好に確保される。故に、改質部2の主要要素を占める第1筒91について、中心軸線P1に対する同軸性が良好に確保される。
故に、第1筒91で形成される内通路22の通路幅を、これの周方向においても、軸長方向においても、均一化させるのに貢献できる。このため内通路22における改質触媒を担持する触媒担体20aの温度ムラが低減される。従って内通路22における触媒担体20aの触媒反応処理のムラが低減される。故に、内通路22における改質反応処理が良好に行われる。
上記したように内通路22の通路幅をこれの周方向においても、軸長方向においても、均一化させるのに貢献できるのであれば、内通路22に連通する外通路21の通路幅についても、これの周方向においても、軸長方向においても、均一化させるのに貢献できる。このため外通路21においても、改質触媒を担持する触媒担体20aの温度ムラが低減される。ひいては外通路21における触媒担体20aの触媒反応処理のムラが低減される。よって、外通路21における改質反応処理が良好に行われる。
ここで、第1筒91の位置決めピン91e、主ガス通過部材150の位置決め孔150eは、中心軸線P1に位置するように設定されている。このため、中心軸線P1に対する第1筒91の同軸性を確実に高めることができる。図7に示すように、位置決めピン91eには、先端に向かうにつれて外径が小さくなる傾斜案内面91fを有する。このため位置決めピン91eを主ガス通過部材150(位置決め部)の位置決め孔150eに挿入する操作が容易となる。
更に本実施形態によれば、図2に示すように、第1筒91の内周面は、燃焼火炎25cを発生させる燃焼室20を形成する。上記したように第1筒91の径方向における高い同軸性が得られるため、径方向における燃焼室20の位置ずれも抑制される。故に、良好な燃焼火炎25cを生成させるのに有利であり、燃焼効率を高めることができる。
上記したように本実施形態によれば、第1筒91の位置決めピン91eは、主ガス通過部材150(位置決め部)の位置決め孔150に挿入され、第1筒91の径方向の位置決めを行う。このため改質装置の組立時においても、改質装置の使用時においても、径方向における第1筒91の位置ずれが効果的に抑制される。
更に、第1筒91の位置決めピン91eが主ガス通過部材150(位置決め部)の位置決め孔150に挿入されるだけであるため、第1筒91の下端部は、中心軸線P1の延設方向に沿っては自由端状である。故に、第1筒91の下端部は、中心軸線P1の直角方向には拘束されるものの、中心軸線P1が延設されている方向に沿っては自由端状である。換言すれば、改質装置1の組立時において、中心軸線P1が延設する方向において、位置決めピン91eおよび第1筒91の変位性が良好に確保されている。従って、中心軸線P1が延設する方向における熱膨張量が大きいときであっても、第1筒91の熱膨張吸収作用が良好に獲得される。
また本実施形態によれば、燃焼ガスと改質ガスとの流れの向きは逆であり、改質ガスの加熱効率を高めることができる。また第1筒91は宙づり状態であるため、改質部20の温度維持性を高めることができる。さらに第1筒91は底部91cを有する。位置決めピン91eは、第1筒91の底部91cの中央において下方に向けて中心軸線P1iに沿って突出している。ここで、第1筒91の内周面は、燃焼火炎が発生する燃焼室20を形成するため、第1筒91の底部91cは燃焼火炎に対面し、高温に加熱されがちである。この点について本実施形態によれば、位置決めピン91eの表面積に相当するぶん、第1筒91の放熱面積が増加され、底部91cの過熱が抑制される。また位置決めピン91e付近すなわち改質部20の出口2p側の触媒担体20aの温度を高めることができ、改質反応に有利である。更に、位置決めピン91eのうちの少なくとも一部は、主ガス通過部材150(位置決め部)の位置決め孔150eを形成する内壁面150hに接触する頻度が高い(図7参照)。すなわち、図7に示すように、位置決めピン91eの外径をDAとし、位置決め孔150eの内径をDBとすると、DA=DB、DA≒DBとされている。この場合、燃焼火炎により第1筒91の底部91cが高温となるときであっても、第1筒91の底部91cの熱は、位置決めピン91eを介して主ガス通過部材150(位置決め部)側に伝達され、ひいては主基体86側に伝達される。このため、燃焼火炎で加熱される第1筒91の底部91cの過熱が一層抑制される。なお、場合によっては位置決め性は多少低下するものの、位置決めピン91eと位置決め孔150eの内壁面150hとの間に微小隙間を形成するように、DA>DBとしても良い。さらに位置決めピン91e付近の触媒担体20aをできるだけ高温に加熱でき、改質反応性を高め得る。
このため改質部2のうち第1筒91で形成される内通路22の温度ムラを抑制するのに有利となる。ひいては内通路22に装填されている改質触媒を担持する触媒担体20aの温度ムラを抑制するのに有利となる。よって改質触媒を担持する触媒担体20aにおける改質反応処理のムラを低減させるのに有利となる。なお、位置決めピン91eおよび主ガス通過部材150が同一材質または同系材質であれば、位置決めピン91eの熱膨張量および主ガス通過部材150の熱膨張量を相応させ、上記した接触度を維持するのに有利となる。これに限らず、位置決めピン91eおよび主ガス通過部材150は互いに異材質で形成しても良い。本実施形態によれば、位置決めピン91eのアスペクト比(長さ/径)が大きく、位置決めピン91eは長軸状であるため、第1筒91の底部91cの下方における改質ガスの通過性を損なうことが抑制される。アスペクト比は例えば2〜100の範囲内、2〜50の範囲内、3〜20の範囲内で設定できる。位置決めピン91eは第1筒91の底部91cに溶接または取付具で固定されているため、改質装置1の種類が変更されるときであっても、位置決めピン91eの長さおよび/または径を変更すると共に、位置決め孔150eのサイズを変更すれば、対応することができる。
図3に示すように、CO酸化部53のうち下部には、ガス通過性をもつプレート形状をなす第2ガス通過部材120が保持されている。CO酸化部53のうち上部には、ガス通過性をもつプレート形状をなす第3ガス通過部材130が保持されている。第2ガス通過部材120および第3ガス通過部材130は、中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、厚み方向に貫通する多数の通孔120m,130mを有するパンチングメタル、網部材またはセラミックスで形成されている。第2ガス通過部材120は、CO酸化部53の触媒担体53a(収容物)が落下することを抑制する。第3ガス通過部材130は、CO酸化部53の触媒担体53aに対してガス通過性を確保しつつ蓋をしている。CO酸化部53においては、第2ガス通過部材120の下方にリング形状をなす下部空間53dが形成されていると共に、第2ガス通過部材120の上方にリング形状をなす上部空間53uが形成されている。
更に本実施形態によれば、図1および図4に示すように、混合室81を有する混合部80が設けられている。混合室81はシフト部60に隣設されつつシフト部60の下流に設けられ、且つ、CO酸化部53の上流に位置している。混合室81の中心軸線は、中心軸線P1と同軸である。混合室81には、改質部2で生成された一酸化炭素(有害ガス)を含む可能性がある改質ガス(シフト部60を流れ且つCO酸化部53に供給される前の改質ガス)と、空気通路70の入口70iから空気(酸素含有ガス)とが供給されて混合される。
図4に示すように、混合室81は、中心軸線P1の回りを1周するリング形状または筒形状の空間をなしている。改質ガス通路としての第2シフト通路61sは、混合室81の軸線(中心軸線P1)に対して延設された通路を形成している。従って、第2シフト通路61s(改質ガス通路)は、第2シフト通路61sが延設されている方向に沿って、つまり矢印G方向(上向き)に沿って、改質ガスを流す。これに対して、酸素含有ガス通路として機能する空気通路70は、空気(酸素含有ガス)を混合室81の中心軸線P1に対して直角方向に沿って径内方向(矢印R方向)に向けて流す。
ここで、図4に示すように、混合室81の内周側には方向変換部82が設けられている。方向変換部82は、改質ガス通路としての第2シフト通路61sから供給される改質ガスと、空気とを互いに衝突させるように案内する機能を有する。具体的には、中心軸線P1を通る断面(図1および図4)において、方向変換部82は、中心軸線P1の回りを1周するように設けられており、中心軸線P1に対してほぼ直状(断面直線状)に傾斜されている傾斜面82aを有する。中心軸線P1と平行な方向に対する傾斜面82aの傾斜角θ1は、20〜80度の範囲内、30〜60度の範囲内、あるいは、35〜55度の範囲内とすることができる。
図4に示すように、方向変換部82は、混合室(改質部2)の中心軸線P1に対して傾斜されている。方向変換部82は、重力方向の下方に向かうにつれて縮径するように傾斜している。すなわち方向変換部82は、上方に向かうにつれて拡径するように傾斜している。空気が混合室81に供給されていないとき、方向変換部82は、第2シフト通路61sを矢印G方向(中心軸線P1に沿った方向)に流れる改質ガスを、混合室81において径外方向(矢印S方向)に指向させる。更に、改質ガスが流れていないとき、方向変換部82は、空気通路70を矢印R方向に流れる空気を、混合室81において混合室81の軸線(中心軸線P1)が延設されている方向(図4に示す矢印T方向)に指向させる。この結果、混合室81において、改質ガスと空気とを互いに対向させて衝突させるように、方向変換部82は改質ガスおよび空気を案内させる。このため、混合室81において改質ガスおよび空気同士が衝突流となり易い。故に、混合室81において乱流化が進行し、混合室81における改質ガスおよび空気同士の混合性を高めることができる。
本実施形態によれば、方向変換部82は、内筒62の基端部62bを径外方向に円錐形状に拡径加工させることにより形成されている。上記したように方向変換部82は内筒62の一部分で形成されているため、別部品を必要とせず、部品の点数を低減できる。上記した内筒62は、シフト部60の第1シフト通路61fと混合部80とを仕切る仕切部材として機能する。混合室81は、シフト部60の第1シフト通路61fと混合部80とを仕切る内筒62(仕切部材)を用いて形成されている。この場合、内筒62(仕切部材)を介してシフト部60の第1シフト通路61fおよび混合部80は隣設されている。
図6は、混合状態を平面から視認する概念形態を模式的に示す。図6に示すように、混合室81に供給された改質ガスは、方向変換部82により径外方向(矢印S方向)に指向する。これに対して、空気通路70の入口70iから混合室81に供給される空気は、径内方向(矢印R方向)に向かい、更に方向変換部82に当たると、矢印T方向(図4参照)に指向する。このため、殊に空気通路70の入口70i付近においては、空気と改質ガスとの対向流としての衝突度が高くなる。これにより混合室81における乱流化が促進される。故に、混合室81における空気と改質ガスとの均一混合性が増加する。殊に空気通路70の入口70i付近においては、上記した均一混合性が増加する。
ここで、空気通路70の入口70iは、混合室81において出口81pから最も遠い位置に設けられている。空気通路70の入口70iから混合室81に供給された空気は、混合室81の周方向に沿って流れ、混合室81の出口81pから吐出される。上記したように空気と改質ガスとの混合室81における混合性が向上すれば、空気を含む改質ガスが入口53iからCO酸化部53に供給されたとき、CO酸化部53におけるCO酸化反応処理を良好に実施することができる。ここで、改質ガス(シフト部通過後のガス)量に対して混合する空気の量が圧倒的に少ないので、両者を均一に混合しにくい。また改質ガスの主要成分は水素であり、空気の主要成分は酸素と窒素であり、両者は比重がかなり異なり、両者を均一に混合しにくい。両者の反応を促進させるためには、均一に混合させることが重要である。上記した混合室81に方向変換部82を形成する構成を採用すれば、混合室81における水素と酸素との均一混合性が向上される。なお、CO酸化部53のうち下流においては、酸素濃度が低減されるため、メタネーション反応処理(CO+3H2→CH4+H2O)によるCO低減効果も期待できる。
更に本実施形態によれば、図4に示すように、空気が供給される混合室81はシフト部60の入口60iおよび出口60pに隣設されている。このため発熱を伴うシフト反応処理を行うシフト部60の入口60iを空気(大気)により積極的に冷却させることを期待できる。この場合、シフト部60における過剰高温化が抑制される。従って、シフト部60によるシフト反応処理を促進させ、一酸化炭素を低減させるのに貢献することができる。ここで、シフト反応処理は上記した式(2)(CO+H2O→H2+CO2)に基づく。シフト部60が過剰に高温化されると、上記した発熱を伴うシフト反応処理の進行が妨げられ易い。なお、図4から理解できるように、シフト部60の入口60iにおいて、外周側を流れる改質ガスが方向変換部82の傾斜面82cに当たると、改質ガスは矢印KA方向(図4参照)に中心軸線P1に向けて指向するように案内される。
更に本実施形態によれば、図6に示すように、混合室81は中心軸線P1の回りにリング形状(または筒形状)に延設されている。故に、混合室81自体を流れる通路距離(入口70iから出口81pまでの通路距離)が確保される。故に、混合室81において空気と改質ガスとを混合させる混合距離を確保でき、空気と改質ガスとを混合性を更に向上させるのに有利となる。
加えて本実施形態によれば、図1に示すように、シフト部60に隣設されている混合部80の混合室81の出口81pからCO酸化部53の入口53iまで延設されている通路85が延設されている。すなわち混合部80の混合室81はCO酸化部53の上流に配置されており、混合室81とCO酸化部53とを繋ぐ通路85の通路距離が存在している。このため、空気を含む改質ガスが通路85を流れるとき、改質ガスと空気とを通路85(CO酸化部53の上流の配管)において拡散などで更に混合させることができ、混合性を更に一層高めることを期待できる。よってCO酸化部53における酸化反応処理性を向上させるのに有利となる。
更に本実施形態によれば、前述したように、図4に示すように、シフト部60は、シフト触媒を担持する触媒担体60aを収容すると共に改質ガスを流す第1シフト通路61fを形成する内筒62と、シフト触媒を担持する触媒担体60aを収容すると共に改質ガスを流す第2シフト通路61sを形成する外筒63と、内筒62の先端部62cに対向するように内筒62および外筒63の軸直角方向に沿って配置された第1多孔板64とを有する。第1多孔板64は厚み方向に貫通する通孔64mをもつ。
図5に示すように、隙間幅K1を有する微小隙間68が内筒62の先端部62cと第1多孔板64との間に形成されている。これにより内筒62の軸線方向に沿った熱膨張が大きいときであっても、内筒62の先端部62cが第1多孔板64が過剰に衝突しないようにされている。従って第1多孔板64、内筒62の薄肉化を図りつつ、これらの長寿命化および耐久性が確保される。殊に、多数の通孔64mをもつ第1多孔板64の変形が抑制される。
さて本実施形態の要部について図8および図9を参照して説明を加える。図8および図9は、重力方向に沿って切断した主要部の断面を示す。図8は、第3筒93および第4筒94(改質装置1)が上下方向の定位置とされている場合を示す。定位置は、改質装置1の組立時の多くの作業において使用され、更に、改質装置1の使用時において使用される。図8に示すように、第1ガス通過部材110は、中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、触媒担体20aを収容する外通路21(ガス通路)の下部に配置されており、外通路21に収容されている触媒担体20aの落下を抑制する。
図8において、矢印RW方向は、第3筒93および第4筒94の径方向を示す。矢印RW方向において、第1ガス通過部材110は、第3筒93(第1筒部材)に対面する径方向における内縁部である一端部110eと、第4筒94(第2筒部材)に対面する径方向における外縁部である他端部110fと、触媒担体20aに対面する上面110uと、下面110dと、リング孔110rを有する。
図8に示すように、第3筒93は、定位置の場合において第1ガス通過部材110の一端部110eよりも下方に設けられた第1傾斜部300をもつ。第1傾斜部300は、第1ガス通過部材110の一端部110e側から重力方向の下方(矢印GD方向)に向かうにつれて、第1ガス通過部材110の一端部110e側から他端部110f側に向かうような、すなわち、矢印X1方向(径外方向)に向かうような傾斜を有する。これにより第1ガス通過部材110の一端部110eは第1傾斜部300に係合して支持される。この結果、図8に示すように第3筒93および第4筒94が定位置とされている場合において、第1ガス通過部材110が重力により下方に離脱することが抑制される。故に、定位置において、外通路21(ガス通路)内の触媒担体20aが重量を有するときであっても、第1ガス通過部材110の上面110uは触媒担体20aを良好に支持できる。
更に、図8に示すように第4筒94は第2傾斜部400を有する。第2傾斜部400は第1傾斜部300と同じ向きに傾斜する。定位置において、第2傾斜部400は、第1ガス通過部材110の他端部110f側から重力方向の上方(矢印GU方向)に向かうにつれて、第1ガス通過部材110の他端部110f側から一端部110e側に向かうような、すなわち径内方向である矢印X2方向(矢印X1方向と反対方向)に向かうような傾斜を有する。なお、定位置において、第2傾斜部400は、第1ガス通過部材110の他端部110fの上方に配置されている。
これに対して、図9は、第3筒93および第4筒94が定位置に対して上下反転されている場合を示す。上面110uは下側となり、下面110dは上側となる。このような反転位置は、改質装置1の組立時のある作業において使用され、改質装置1の使用時においては基本的には使用されない。図9に示すように、第3筒93および第4筒94が上下反転される場合において、第4筒94(第2筒部材)の第2傾斜部400は、第1ガス通過部材110の他端部110f側に係合する。これにより改質装置1の組体作業において、第1筒93および第2筒94が上下反転される場合において、第1ガス通過部材110が重力により下方に離脱することが抑制され、作業能率が向上する。
ここで、図8に示すように、第2傾斜部400および第1傾斜部300は同じ向きに傾斜して並走されている。更に、第2傾斜部400は、第1傾斜部300に対面しつつ第1傾斜部300に沿って並走するように延長された相手傾斜部401を有する。このため傾斜部300,400間における通路幅tc(図8参照)が良好に確保され、ガス通過性が確保される。なお、第1傾斜部300、第2傾斜部400、相手傾斜部401は、中心軸線P1の回りをそれぞれ1周する円錐形状をなしている。
組立時には、一般的には、リング形状の第1ガス通過部材110を第3筒93の外周に嵌めた後、第3筒93の外周に第4筒94を嵌める。
図8に示す定位置では、収容物である改質触媒20aの重量が第1ガス通過部材110に作用する。第1ガス通過部材110の一端部110eは第1傾斜部300により直接支持されているため、一端部110eの真上に位置する改質触媒20aの重量に良好に対処できる。これに対して、第1ガス通過部材110の他端部110fは、第1傾斜部300にも第2傾斜部400にも直接支持されていない。しかし図8に示すように、定位置においては、他端部110fの上方には第2傾斜部400が設けられており、従って、他端部110fの真上に位置する改質触媒20aが一端部110eに比較して少ない少量領域WAが存在する。このため他端部110fが直接支持されていなくても、他端部110fの真上に位置する改質触媒20aの重量に良好に対処できる。
次に、CO酸化部53の場合について図10および図11を参照して説明する。図10および図11は重力方向に沿って切断した主要部の断面を示す。図10に示すように、第2ガス通過部材120はCO酸化部53のガス通路53sの下部に配置されており、CO酸化部53に収容されている触媒担体53aの落下を抑制する。図10に示すように、径方向(矢印RW方向)において、第2ガス通過部材120は、第9筒99(第1筒部材)に対面する外縁部である一端部120eと、第8筒98(第2筒部材)に対面する内縁部である他端部120fと、上面120uと、下面120dと、通孔120mと、リング孔120rとを有する。
図10は、第8筒98および第9筒99が上下方向の定位置とされている場合を示す。定位置は、改質装置1の組立時の多くの作業において使用され、更に、改質装置1の使用時において使用される。図10に示すように、定位置の場合において、第9筒99(第1筒部材)は、第2ガス通過部材120の一端部120e側に係合する第1傾斜部500をもつ。第1傾斜部500は、第2ガス通過部材120の一端部120e側から重力方向の下方(矢印GD方向)に向かうにつれて、第2ガス通過部材120の一端部120e側から他端部120f側に向かうような、すなわち、矢印X3方向(径内方向)に向かうような傾斜を有する。これにより第9筒99および第8筒98が定位置とされている場合において、第2ガス通過部材120の一端部120eは、その下方に位置する第1傾斜部500に係合する。この結果、第2ガス通過部材120が重力により下方に離脱することが抑制される。従って、CO酸化部53の通路(ガス通路)内の収容物である触媒担体53aが重量するときであっても、第2ガス通過部材120は、図10に示す前記した定位置において触媒担体53aを良好に支持できる。
図10に示すように、第8筒98(第2筒部材)は第2傾斜部600をもつ。定位置において、第2傾斜部600は、第2ガス通過部材120の他端部120fの上側に配置されており、第1傾斜部500と同じ向きに傾斜している。
定位置において、図10に示すように、第2傾斜部600は、第2ガス通過部材120の他端部120f側から重力方向の上方(矢印GU方向)に向かうにつれて、第2ガス通過部材120の他端部120f側から一端部120e側に向かうような、すなわち矢印X3方向と反対方向である矢印X4方向(径外方向)に向かうような傾斜を有する。
これに対して図11は、第9筒99および第8筒98が定位置に対して上下反転されている場合を示す。このような反転位置は、改質装置1の組立時のある作業において使用され、改質装置1の使用時においては基本的には使用されない。図11に示すように、第9筒99および第8筒98が上下反転される場合において、第2ガス通過部材120の上面120uは下側となり、下面120dは上側となる。反転位置において、第8筒98の第2傾斜部600は、第2ガス通過部材120の他端部120fの下側に位置しており、他端部120fに係合する。これにより第9筒99および第8筒98が上下反転される場合において、第2ガス通過部材120が重力により下方に離脱することが抑制される。ここで、第1傾斜部500と第2傾斜部600とは同じ向きに傾斜しているため、第1傾斜部500と第2傾斜部600との間における通路幅td(図11参照)が良好に確保される。なお、第1傾斜部500および第2傾斜部600は、それぞれ、中心軸線P1の回りを1周する円錐形状をなしている。
また、図10に示す定位置では、酸化触媒53aの重量が第2ガス通過部材120に作用する。第2ガス通過部材120の一端部120eは、第1傾斜部500により直接支持されている。このため一端部120eは、一端部120eの真上に位置する改質触媒20aの重量に良好に対処できる。これに対して、第2ガス通過部材120の他端部120fは、第1傾斜部500にも第2傾斜部600にも直接支持されていない。しかし図10に示す定位置においては、他端部120fの上方には第2傾斜部600が設けられている。従って、他端部120fの真上に位置する酸化触媒53aが一端部120eに比較して少ない少量領域WBが存在する。このため他端部120fが直接支持されていなくても、他端部120fの真上に位置する酸化触媒53aの重量に良好に対処できる。
上記したような本実施形態によれば、第1ガス通過部材110および第2ガス通過部材120を溶接やろう付け等で固定せずとも良い。このように第1ガス通過部材110および第2ガス通過部材120を装備させるにあたり、溶接部やろう付け部を廃止できるため、熱膨張により溶接部やろう付け部が変形されることが抑制され、耐久性が向上する。
組み立て手順の一例を述べる。(1)第2筒92と第3筒93との間に第2断熱層47を挟む。この状態で、図3における第2筒92と第3筒93の上部を溶接することにより、第2筒92と第3筒93とを結合させて結合体とする。(2)結合体を第1筒91に対して位置決めすると共に、副基体87や主ガス通過部材150を配置する。(3)第3筒93の外側にリング状の第1ガス通過部材110を上から挿入する。(4)第4筒94を配置し、改質部となる空間に、改質触媒を担持する触媒担体20aをいれる。(5)蓋88を取り付ける。(6)第5筒95,第6筒96,第7筒97を結合体に取り付け、その後、結合体を上下反転させる。この場合、第5筒95、第6筒96、第7筒97は上下反転させて取り付けても良い。(7)第7筒97の外側に第8筒98を取り付け、第7筒97と第8筒98との結合部を溶接する。(8)上下反転させた状態で第2ガス通過部材120を第8筒98の外側に挿入する。(9)第9筒99を取り付け、第7筒97と第9筒99との結合部を溶接して結合する。(10)結合体の反転を元に戻す。その後、CO酸化用の酸化触媒53aをいれる。(11)リング状の第3ガス通過部材130,CO酸化部53の出口部材を取り付ける。上記したように上下反転させて作業するため、第8筒98,第9筒99を第7筒97に取り付ける位置が触媒層に対して内側(中心軸線側)になるため、反転させた方が溶接などの作業性が良い。また改質部形成後に、シフト部の取り付け、断熱層の組み付け時に上下反転した方が作業性が良い。
(実施形態2)
図12は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図12に示すように、第1ガス通過部材110Bの他端部110fには、リング形状の補強リブ118が外通路21から離間する方向に向けて延設されている。すなわち、定位置において補強リブ118は下方に向けて延設されている。よって、第1ガス通過部材110Bの他端部110fは補強リブ118で補強されている。他端部110fが第4筒94に直接支持されていなくても、他端部110fは補強リブ118で補強されているため、第1ガス通過部材110Bの他端部110fは、外通路21に収容されている触媒担体20aの重量負荷に良好に対抗することができる。
(実施形態3)
図13は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図13は、第3筒93(第1筒部材)および第4筒94H(第2筒部材)が上下反転されておらず、定位置とされている場合を示す。図13に示すように、第3筒93は、定位置の場合において第1ガス通過部材110の一端部110e側に係合してこれを支持する第1傾斜部300をもつ。これにより第1ガス通過部材110の一端部110eは、第1傾斜部300に係合して支持される。この結果、図13に示すように第3筒93および第4筒94Hが上下方向の定位置とされている場合において、第1ガス通過部材110が重力により下方に離脱することが抑制される。故に、定位置において、第1ガス通過部材110は外通路21(ガス通路)内の触媒担体20aを良好に支持できる。従って第1ガス通過部材110を第3筒93に溶接またはろう付け等で固定せずとも良い。但し、図13に示すように、第4筒94Hにおいては、上下反転時において第1ガス通過部材110の他端部110fに係合する第2傾斜部は、第1傾斜部300よりも上方に設けられていない。なお第2ガス通過部材120についても、図13に示す構造で支持することにしても良い。
(実施形態4)
図14は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図14は、第3筒93および第4筒94Kが上下反転されておらず、定位置とされている場合を示す。図14に示すように、第3筒93は、定位置の場合において第1ガス通過部材110の一端部110e側に係合可能な第1傾斜部300をもつ。これにより第1ガス通過部材110の一端部110eは第1傾斜部300に係合する。この結果、図14に示すように第3筒93および第4筒94Kが上下方向の定位置とされている場合において、重力により第1ガス通過部材110が下方に離脱することが抑制される。故に、定位置において、第1ガス通過部材110は外通路21(ガス通路)内の触媒担体20aを良好に支持できる。従って第1ガス通過部材110を第3筒93に溶接またはろう付け等で固定せずとも良い。
但し、図14に示すように、第4筒94Kにおいては、上下反転時において第1ガス通過部材110の他端部110fに係合する第2傾斜部は、第1傾斜部300よりも上方に設けられていない。第4筒94Kにおいては、第1傾斜部300に対面しつつ第1傾斜部300と同じ向きに傾斜する相手傾斜部943が設けられている。このように定位置において、傾斜並走部943は第1傾斜部300と同じ方向に傾斜しており、第1ガス通過部材110の下方に配置されている。なお第2ガス通過部材120についても、図14に示す構造で支持することにしても良い。
(実施形態5)
図15〜17は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。第6筒96と第5筒95とで、筒形状の空間をなす第2燃焼通路44(ガス通路)が形成されている。第6筒96と第5筒95との間には、金属で形成された伝熱フィン46(伝熱部材)が挿入部材として挿入されている。伝熱フィン46は、第6筒96および第5筒95に伝熱可能に接触する山部46mと、周方向の端部46a,46cをもつ。
図16および図17は重力方向に沿って切断した主要部の断面を示す。図16に示すように、第5筒95および第6筒96の径方向(矢印RW方向)において、伝熱フィン46は、第6筒96(第1筒部材)に対面する外縁部である一端部46ed,46euと、第5筒95(第2筒部材)に対面する径方向における内縁部である他端部46fd,46fuとを有し、更に、上面46uと、下面46dとを有する。一端部46ed,他端部46fdは下側に位置する。一端部46eu,他端部46fuは上側に位置する。
図16は上下方向の定位置とされている場合を示す。定位置は、改質装置1の組立時の多くの作業において使用され、更に、改質装置1の使用時において使用される。図16に示すように、定位置の場合において、第6筒96は、伝熱フィン46の一端部46ed側に係合する第1傾斜部700をもつ。第1傾斜部700は、伝熱フィン46の一端部46ed側から重力方向の下方(矢印GD方向)に向かうにつれて、伝熱フィン46の一端部46e側から他端部46f側に向かうような、すなわち、矢印X3方向(径内方向)に向かうような傾斜を有する。これにより定位置とされている場合において、伝熱フィン46の一端部46edはこれの下側の第1傾斜部700に係合され、支持される。この結果、重力により伝熱フィン46が下方に離脱することが抑制される。
図16に示すように、第5筒95(第2筒部材)は第2傾斜部800をもつ。第2傾斜部800は、中心軸線P1に対して第1傾斜部700と同じ向きに傾斜している。図16に示す定位置において、第2傾斜部800は、伝熱フィン46の他端部46fuの上側に配置されている。定位置において、第2傾斜部700は、伝熱フィン46の他端部46fu側から重力方向の上方(矢印GU方向)に向かうにつれて、伝熱フィン46の他端部46fu側から一端部46eu側に向かうような、すなわち矢印X3方向と反対方向である矢印X4方向(径外方向)に向かうような傾斜を有する。
これに対して図17は、定位置に対して上下反転されている場合を示す。このような反転位置は、改質装置1の組立時のある作業において使用され、改質装置1の使用時においては基本的には使用されない。上下反転された場合、図17に示すように、伝熱フィン46の上面46uは下側となり、下面46dは上側となる。第5筒95の第2傾斜部800は、伝熱フィン46の下の他端部46fuの下側に位置しており、下の他端部46fuに係合し、これを支持する。これにより上下反転される場合において、重力により伝熱フィン46が下方に離脱することが第2傾斜部800により抑制される。
更に図16に示すように、第5筒95には、第6筒96の第1傾斜部700に対面しつつ同じ向きに傾斜する相手傾斜部710が形成されている。このため第1傾斜部700と相手傾斜部710との間の通路幅txが良好に維持され、ガス通過性が確保される。更に図16に示すように、第6筒96には、第5筒95の第2傾斜部800に対面しつつ同じ向きに傾斜する相手傾斜部810が形成されている。このため第2傾斜部800と相手傾斜部810との間の通路幅tyが良好に維持され、ガス通過性が確保される。
なお、第1傾斜部700、第2傾斜部800、相手傾斜部710および相手傾斜部810は、それぞれ、中心軸線P1の回りを1周する円錐形状をなしている。上記したような本実施形態によれば、前述同様に、伝熱フィン46を溶接やろう付け等で固定せずとも良い。溶接部やろう付け部を廃止できるため、熱膨張により溶接部やろう付け部が変形されることが抑制され、伝熱フィン46の耐久性が向上する。
(その他)
上記した実施形態1では、第1ガス通過部材110は中心軸線P1の回りを連続的に1周するように連続リング形状に形成されているが、これに限らず、中心軸線P1の回りを1周するものの、複数個に円弧状に複数に分割されていても良い。第2ガス通過部材120は中心軸線P1の回りを連続的に1周するように連続リング形状に形成されているが、これに限らず、中心軸線P1の回りを1周するものの、複数個に円弧状に複数に分割されていても良い。
位置決めピン91eおよび位置決め孔150eは中心軸線P1に設けられているが、これに限らず、径方向において中心軸線P1から離間した位置でも良い。要するに第1筒91等の筒をこれの径方向に位置決めできる位置であれば良い。
実施形態1では、改質ガスを方向変換部82に当てて混合室81において径外方向に向けて方向変換させているが、これに限らず、改質ガスを方向変換部に当てて混合室において径内方向に向けて方向変換させ、空気と衝突させることにしても良い。この場合、空気を径外方向に指向するように混合室81に供給する。混合室81には空気を供給させているが、これに限らず、酸素ガスを供給させることにしても良い。酸素濃度を濃縮させた酸素富化ガスを供給させることにしても良い。方向変換部82は、重力方向の下方に向かうにつれて縮径するように傾斜しているが、これに限らず、重力方向の上方に向かうにつれて縮径するように傾斜している構造とすることもできる。この場合、下向きに流れる改質ガスが方向変換部に当たり、方向変換される。混合室81に空気を供給する空気通路70の入口70iの数は特に限定されるものではなく、複数個としても良い。
実施形態1では、改質部2は内通路21および外通路22の双方を有するが、これに限らず、いずれか一方のみとしても良い。蒸発部50は改質部2と一体的であるが、これに限らず、蒸発部50は改質部2から分離されていても良い。シフト部60が改質部2に一体的に連設されているが、これに限らず、シフト部60は改質部2から分離されていても良い。場合によっては、シフト部60を廃止しても良い。暖機部55は必要に応じて設ければ良い。改質部2がシフト部60の上方に配置されているが、これに限らず、改質部2がCOシフト部60の下方または横方に配置されていても良い。改質部2の上側に燃焼部25が配置されているが、改質部2の下部に配置されても良い。場合によっては、第1断熱層41,第3断熱層48を廃止しても良い。
実施形態1では、改質部2、CO酸化部53および蒸発部50が同軸的に配置されているが、同軸でなくても良く、非同軸タイプでも良い。各触媒は上記したものに限定されるものではない。上記した改質触媒を担持する触媒担体20a、シフト触媒を担持する触媒担体60a、酸化触媒を担持する触媒担体53aは、粒状とされているが、これに限らず、モノリス構造体でも、繊維状でも良い。実施形態1では、混合室81にはシフト触媒を担持する触媒担体60aが収容されていないが、場合によっては、収容しても良い。CO酸化部53に代えてメタネーション反応で一酸化炭素を低減させるメタネーション反応部を用いても良い。被覆層200および位置決めピン91eは、必要に応じて設ければ良い。本発明は上記した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した第1筒91〜第9筒99等に使用されるステンレス鋼はSUS310、SUS304が例示され、NCA−1(日新製鋼株式会社,アルミニウム含有の高温酸化用のフェライト系のステンレス鋼)等が例示される。改質装置1に用いられる配管はSUS316Lが例示される。
1は改質装置、2は改質部、20aは触媒担体、20は燃焼室、21は外通路(ガス通路)、22は内通路(ガス通路)、25は燃焼部(加熱源)、41は第1断熱層、42は中間蓋、42fはフランジ部、43は第1燃焼通路(ガス通路)、44は第2燃焼通路(ガス通路)、46は伝熱フィン(伝熱部材、挿入部材)、50は蒸発部、53はCO酸化部、54は熱交換部、60はシフト部、61は改質ガス通路形成部材、61fは第1シフト通路、61sは第2シフト通路、62は内筒、63は外筒、64は第1ガス通過板、65は第2ガス通過板、66は閉鎖板、70は空気通路、71は第1形成部材、75は水蒸気通路、80は混合部、81は混合室、82は方向変換部、86は主基体(基体)、91は第1筒、91cは底部、91eは位置決めピン(位置決め突起)、95は第5筒(第1筒部材)、96は第6筒(第2筒部材)、96aは突起部、96bは凸状面、96cは凹状面、96wは頂部、110は第1ガス通過部材(挿入部材)、110eは一端部、110fは他端部、120は第2ガス通過部材(挿入部材)、120eは一端部、120fは他端部、150は主ガス通過部材、150eは位置決め孔、300は第1傾斜部、400は第2傾斜部を示す。