JP5195014B2 - 画像濃度制御装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
この2成分現像方式は、カラー化が容易であったり、ハイライト側の諧調が比較的リニアに得られる等の理由から現在広く用いられている。この方式において、2成分現像剤は現像スリーブの回転に伴い、感光体に近接する現像領域に搬送される。現像剤が現像領域に搬送されるに従い、現像スリーブ内に内包される磁極の磁力線に沿いながら、現像剤中の多数の磁性キャリアがトナーを伴って集合し、磁気ブラシを形成する。そして、この磁気ブラシからトナーが電界作用で感光体上の潜像に転移して潜像をトナー像化して現像するようになっている。
このような2成分現像方式は、1成分現像方式と異なり、トナーと磁性キャリアの重量比(トナー濃度)を精度よく制御することが、画像形成の安定性を向上させる上で非常に重要とされている。例えばトナー濃度が高すぎると、画像に地肌汚れの発生や、細部解像力の低下が生じる。また、トナー濃度が低い場合には、ベタ画像部のトナー濃度の低下や、キャリア付着が発生するといった不具合が生じる。そのため、トナー補給量を制御して、現像剤の中のトナー濃度を適正範囲に調整する必要がある。
このようなトナー濃度の制御は、現像装置内のトナー濃度を透磁率センサ等の検出手段で検出される出力値(Vt)を予め設定しているトナー濃度の制御基準値(Vtref) と比較し、その差分に応じてトナー補給量を演算式から算出し、トナー補給装置から現像装置中にトナー補給を行うことによってなされている。
そして、現像ポテンシャル等の現像条件については比較的容易に一定にすることはできるものの、現像に寄与するトナーの帯電量を一定にすることは困難である。そのため、現像条件を一定にし、かつ、トナー濃度が一定となるようにトナー濃度制御したとしても、現像能力を一定にすることができずに一定の画像濃度が得られないという不具合が発生する。
具体的に説明すると、例えば、画像面積率の低い画像を出力した場合、その現像によって消費されたトナーの量は比較的少ないので、所望のトナー濃度に維持すべく補給されるトナーの量が少ない。そのため、現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーの量が多い。現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーは、撹拌作用を長く受けているため、現像装置内のトナーが過度に帯電したものとなりやすい。よって、現像能力が比較的低いものとなる。
また、構成によっては、画像面積率の低い画像を出力した場合の方が画像面積率の高い画像を出力した場合に比べて現像能力が高くなる場合もあり得る。例えば、外添剤が付着したトナーを用い、トナーに対するストレスが高い現像装置を用いる場合、現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーは、撹拌作用を長く受ける結果、トナー表面に外添剤が埋没したり、トナー表面から外添剤が離脱したりする。このようなトナーが多い場合、現像剤の流動性が悪化したり、トナー自体の帯電能力が低下したりして、現像に寄与するトナーを所望の帯電量まで十分に帯電させることができない。
したがって、画像面積率の低い画像を出力した場合には、現像に寄与するトナーの中における所望の帯電量まで十分に帯電されていないトナーが占める割合が多くなるので、現像能力が比較的高いものとなる。これに対し、画像面積率の高い画像を出力した場合には、トナー補給量が多いため、現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーの量が少ない。よって、現像剤の流動性が十分に良好で、かつ、帯電能力が十分に高いトナーが多い。したがって、現像に寄与するトナーを所望の帯電量まで十分に帯電させることが可能であるので、現像能力は比較的低いものとなる。
以上のように、画像面積率の低い画像を出力する場合と画像面積率の高い画像を出力する場合とでは、その後のトナー補給により現像装置内に存在する新しいトナーの比率が異なることから、現像能力に違いが生じてくる。よって、現像条件を一定にし、かつ、トナー濃度が一定となるようにトナー濃度制御したとしても、現像能力を一定にすることができずに一定の画像濃度が得られないという不具合が発生する。
しかしながら、これら特許文献1及び2記載のものでは、トナー濃度制御基準値の補正を行うためには、その都度、基準トナーパターンを形成しなければならない。そのため、画像形成に用いないトナーの消費量が増大してしまうという問題が生じる。
本発明者らは、上記問題を解決するために、特許文献3記載の画像形成装置を提案した。詳しく説明すると、特許文献3に記載された画像形成装置は、所定期間内における現像装置内のトナー入換量を把握するための情報、例えば出力された画像の画像面積率の移動平均値を検出する情報検出手段を有している。この情報検出手段の検出結果によって、現像装置内に存在する新しいトナーの比率あるいは古いトナーの比率がどの程度なのかを把握し、現像装置の現像能力を把握する。
そして、情報検出手段の検出結果に基づいて、トナー濃度制御基準値補正手段によってトナー濃度制御基準値の補正を行い、現像装置内のトナー濃度を調整することで、一定の画像濃度を得る。この特許文献3記載の画像形成装置において、トナー濃度制御基準値の補正に用いるトナー入換量の情報は、出力された画像の画像面積率を検出するなどトナーパターンを作らず余計なトナーを消費しないで検出できるので、画像形成に用いないトナーの消費量が増大するのを抑制できる。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、画像出力モードの急激な変化が生じた場合であっても適正に且つ安定した画像濃度を維持可能な画像濃度制御装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
また、請求項3の発明は、請求項2記載の画像濃度制御装置において、前記所定期間内に形成した画像の画像面積率の移動平均値は、
M(i)=(1/N)×{M(i−1)×(N−1)+X(i)}
(但し、上式中、「N」が画像面積率のサンプリング数であり、「M(i−1)」は、前回算出した移動平均値であり、「X(i)」は今回検出した画像面積率)
に基づいて算出されることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像濃度制御装置において、前記強制操作制御装置は、
|ΔMn|≧K
(但し、「|ΔMn|」は、所定枚数の前記画像面積率平均値の変化率の絶対値、「K」は25%/(所定枚数))
を満足するときに前記第1のトナー濃度制御基準値補正装置を作動させるように制御していることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5記載の画像濃度制御装置において、前記湿度変化率は、時間当りの湿度変化率であることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6記載の画像濃度制御装置において、前記現像装置は、前記トナーと磁性キャリアとを攪拌する攪拌装置を備え、当該攪拌装置は、前記第2のトナー濃度制御基準値補正装置によって前記トナー濃度制御基準値を補正したときに、当該トナーと磁性キャリアとを攪拌するように制御されていることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像濃度制御装置を備えたことを特徴とする画像形成装置としたものである。
図1は、本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。この画像形成装置は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色の画像を形成するための4組の作像手段1Y、1C、1M、1Bk(以下、各符号の添字Y、C、M、Bkは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック用の部材であることを示す。)が、中間転写体としての複数のローラ12に張架された無端状の中間転写ベルト6の表面移動方向(図1中の矢印A方向)における上流側から順に配置されている。この作像手段1Y、1C、1M、1Bkは、それぞれ、像担持体としてのドラム状の感光体11Y、11C、11M、11Bkを有する感光体ユニット10Y、10C、10M、10Bkと、現像装置20Y、20C、20M、20Bkとを備えている。また、各作像手段1Y、1C、1M、1Bkの配置は、各感光体ユニット内の感光体11Y、11C、11M、11Bkの回転軸が平行になるように且つ中間転写ベルト6の表面移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
また、本画像形成装置においては、上記作像手段1Y、1C、1M、1Bkのほか、その下方に図示しない光書込ユニットが配置されており、さらにその下に図示しない給紙カセットが配置されている。図1中の一点鎖線は、転写紙Pの搬送経路を示している。不図示の給紙カセットから給送された転写紙Pは、図示しない搬送ガイドによってガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ5が設けられている一時停止位置に送られる。転写紙Pは、レジストローラ5により所定のタイミングで2次転写ローラ3に供給される。そして、中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像が、転写紙P上に2次転写され、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、定着ユニット7でトナー像が定着された後、不図示の排紙トレイ上に排出される。
また、感光体表面に潤滑剤を塗布するとともに、感光体表面を除電する機能を有する潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ14Yも備えている。この潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ14Yは、ブラシ部が導電性繊維で構成され、その芯金部には除電バイアスを印加するための図示しない除電用電源が接続されている。
上記構成の感光体ユニット10Yにおいて、感光体11Yの表面は、電圧が印加された帯電ローラ15Yにより一様帯電される。この感光体11Yの表面に図示しない光書込ユニットで画像情報に応じて変調及び偏向されたレーザ光LY(図1参照)が走査されながら照射されると、感光体11Yの表面に静電潜像が形成される。この感光体11Y上の静電潜像は、後述の現像装置20Yで現像されてイエローのトナー像となる。感光体11Yと中間転写ベルト6とが対向する1次転写部の1次転写ローラ13(図1参照)では、感光体11Y上のトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。
上記現像装置20Yは、上記静電潜像を現像するための現像剤として、磁性キャリア及び、例えば、負帯電のトナーを含む2成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を使用している。また、この現像装置20Yは、現像ケース20Yaの感光体側の開口20Ybから一部露出するように配設された現像剤担持体としての非磁性材質からなる現像スリーブ22Yや、現像スリーブ22Yの内部に固定配置された磁界発生手段としてマグネットローラ(不図示)、撹拌搬送部材としての撹拌搬送スクリュー23Y、24Y、現像ドクタ25Y、トナー濃度検知手段としての透磁率センサ26Y、トナー補給装置としての粉体ポンプ27Y等を備えている。
現像スリーブ22Yには現像電界形成手段としての図示を省略した現像バイアス電源により負の直流電圧DC(直流成分)に交流電圧AC(交流成分)が重畳された現像バイアス電圧が印加され、現像スリーブ22Yが感光体11Yの金属基体層に対して所定電圧にバイアスされている。なお、現像バイアス電圧は、負の直流電圧DC(直流成分)のみを印加するようにしてもよい。
その後、現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ22Y上の現像剤離れ極位置で現像スリーブ22Yから離れ、第1撹拌搬送路に戻る。第1撹拌搬送路をその下流端まで搬送された現像剤は、第2撹拌搬送スクリュー24Yが配置された第2撹拌搬送路の上流端へ移動し、第2撹拌搬送路内でトナー補給を受ける。その後、第2撹拌搬送路をその下流端まで搬送された現像剤は、第1撹拌搬送路の上流端へ移動する。第2撹拌搬送路の底部を構成する現像ケース20Yaには、透磁率センサ26Yが設置されている。
現像ケース20Ya内の現像剤のトナー濃度は、画像形成に伴うトナー消費により低下するので、透磁率センサ26Yの出力値Vtに基づいて、必要により図1に示したトナーカートリッジ30Yから粉体ポンプ27Yによりトナーが補給されることで適正な範囲に制御される。
この目標出力値Vtrefの値は、安定した画像濃度を得るために、画像形成条件に応じて補正する必要があり、後述するように、本発明においては、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置及び後述する画像面積率平均値変化率に基づく第2の目標出力値補正装置によって補正するようにしている。
また、4つの感光体11Y、11C、11M、11Bkのうち、最下流側にあるブラック用の感光体11Bkのみ中間転写ベルト6に常に接触している転写ニップ常接状態であり、残りの感光体11M、11C、11Yは中間転写ベルトに対して接離可能となっている。転写紙上にカラー画像を形成する場合、4つの感光体11Y、11C、11M、11Bkは、それぞれ中間転写ベルト6に当接する。一方、転写紙上にブラックの単色画像を形成する場合、各カラー用の感光体11Y、11C、11Mを中間転写ベルト6から離間させ、ブラックトナーによるトナー像が形成されるブラック用の感光体11Bkのみを中間転写ベルト6に当接させるようにする。
本実施形態の制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、I/Oユニット104等から構成されている。I/Oユニット104には、上記透磁率センサ26及び上記反射濃度センサ62がそれぞれ図示しないA/D変換器を介して接続されている。制御部100は、CPU101が所定のトナー濃度制御プログラムを実行することにより、I/Oユニット104を介して粉体ポンプ27を駆動するトナー補給駆動モータ31に制御信号を伝達し、トナー補給動作を制御する。
また、所定の目標出力値補正プログラムを実行することにより、1回の画像形成ごとに目標出力値Vtrefを補正し、一定の画像濃度が得られるようにする。ROM102には、CPUが実行するトナー濃度制御プログラム及び画像濃度制御パラメータ補正プログラムなどが記憶されている。RAM(NV−RAM)103には、I/Oユニット104を介して取得した透磁率センサ26の出力値Vtを一時保存するVtレジスタ、現像装置20内の現像剤のトナー濃度が目標トナー濃度であるときに透磁率センサ26が出力すべき目標出力値(トナー濃度制御基準値)Vtrefを記憶するVtrefレジスタ、反射濃度センサ62からの出力値Vsを記憶するVsレジスタ等が設けられている。
なお、本実施形態において制御部100は、後述する電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置及び後述する画像面積率平均値変化率に基づく第2の目標出力値補正装置としても機能するものであるが、本発明を把握しやすいように、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置及び後述する画像面積率平均値変化率に基づく第2の目標出力値補正装置という表現をそのまま用いる。
次に、本発明の特徴部分である目標出力値補正処理に係る第1実施形態に係る制御の全体概要について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る制御の関係を示す図で(a)は、本実施形態に係る制御方法による現像γの時間的変動を示すグラフ図、(b)は、後述する画像面積率累積移動平均値に基づく第2の目標出力値補正装置による目標出力値Vtrefの補正量(ΔVtref)の時間的変動を示すグラフ図、(c)は、画像面積率累積移動平均値の時間的変動を示すグラフ図である。
本実施形態においては、図5(c)で示す画像面積率累積移動平均値の時間に対する変化曲線の傾き(当該変化曲線の微分値)が後述する所定の閾値Kの範囲を逸脱する場合に、閾値を逸脱した時点X1〜X3での当該変化曲線の微分値(当該曲線の傾斜)に応じて矢印Z1、Z2、Z3で示すように、強制的に、電位制御を行って、図5(a)で示すように、現像γを狙いの現像γ(Y値)に近づくように、目標出力値Vtrefの値を補正するようにしている。そして、さらに、画像面積率累積移動平均値が所定の閾値K内にある場合には、図5(b)で示すように、第2の目標出力値補正装置で1枚毎に目標出力値の補正量(ΔVtref)を算出して目標出力値(Vtref)を補正するようにして、電位制御によるトナーの消耗を抑制すると共に、目標出力値を精度良く補正可能としたものである。
本実施形態に係る電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置は、後述するように、第2の目標出力値補正装置において、目標出力値の補正量を算出する際に得られる画像面積率平均値変化率の変化が所定の閾値を逸脱する際に、強制操作制御装置が作動して電位制御によって強制的に、目標出力値を補正するようにしている。
第一ステップとして現像γ(現像能力)を測定するために、現像ポテンシャルを変化させ、それぞれの感光体11Y、11M、11C、11Bk上に、10階調の濃度測定用トナーパッチからなる階調パターンを作成する。この階調パターンは書き込み部の電位を固定して、現像バイアスと帯電バイアスを変化させて作像される。地肌部ポテンシャルは帯電バイアスと現像バイアスの差分で100Vに固定するように作像する。なお、トナーパッチであるが、現像ポテンシャルの低い側から順次作像する。
次に、各ステーションの感光体11Y、11M、11C、11Bk上に現像されたトナーパッチからなる階調パターンを中間転写ベルト6上に転写する。(本実施形態においては、濃度測定用パッチを、それぞれの感光体11Y、11M、11C、11Bk上に10個作成したが、より少ないパッチでも現像γの測定は可能である。望ましくは濃度を変えて3種類以上である。)中間転写ベルト6上に、各色並列に転写された濃度測定用パッチは、中間転写ベルト6の回転方向下流に設置してあるフォトセンサからなる反射濃度センサ62により、順次各パッチのトナー濃度に対応する出力が測定される。
その後、この出力をトナー付着量(mg/cm2)に換算し、この付着量(mg/cm2)と現像ポテンシャル(−KV)の関係式を得る。上記関係式の傾きが現像能力を示す現像γである。また上記関係式から、目標のトナー付着量を得るための現像バイアス値を算出することができる。同時に所定の現像γ目標値と測定により得た現像γとズレに応じてトナー濃度制御基準値(Vtref)を補正する。
従来においては、この電位制御の実行頻度は、例えば、カラー画像を200枚出力毎に固定となっていた。しかしながら、このような固定方式による電位制御では、安定した画像濃度を得ることが困難となるので、本発明においては、画像面積率の所定画像形成回数間の平均値の変化(つまり画像面積率移動平均値の変化率)が大きく変化した際に、電位制御を介入させるものとしている。その結果、画像面積率移動平均値の変化率が大きい場合においても、必要最小限度でトナーパッチを作成して、適切に、現像γを制御して安定した画像濃度を得ることが可能となった。
ΔMn=(Mn−M(n−m))/m(%/(m枚)) ・・・・・(1)
(但し、本実施形態においてはm=5である。)
本実施形態においては、簡単のため所定枚数前の画像面積率の移動平均値M(n−m)と今回の画像面積率の移動平均値Mnを使用して上記(1)式から算出したが、例えば、Mn、M(n−1)、・・・・・M(n−10)の直線近似から変化率を算出してもよい。また同様にMn、M(n−1)、・・・・・M(n−10)を2次曲線に近似することにより、その傾きを算出する手法を用いてもよい。
本実施形態において、上記電位制御は、画像面積率の移動平均値の変化率が所定の閾値の範囲を逸脱した場合、特に、所定の閾値以上となった場合に、強制操作制御装置が作動して直接電位制御実行フラグをセットし、強制実行するようにしている。この場合における実行条件としては、次の(1−A)式を利用することができる。
|ΔMn|≧K ・・・・・(1−A)
(但し、|ΔMn|は、画像面積率平均値の変化率の絶対値、Kは、個々のマシンにより実験的に決定される値であるが本実施形態においては25%/(m枚)である。)
また、図6に示すように、画像面積率平均値の変化率ΔMnに応じて変動する電位制御補正係数を使用して、次式(1−B)から通常の電位補正制御とは異なる実行枚数を算出し、この実行枚数に基づいて電位制御を実行してもよい。
実行枚数=通常実行枚数×電位制御補正係数 ・・・・・(1−B)
本実施形態においては、画像面積率平均値の変化率ΔMnから電位制御による目標出力値Vtrefの調整動作の介入時期を変化させるものであるが、放置時間などの情報を組み込んで介入時期を決定してもよい。なお、本実施形態においては、印刷枚数毎とし変化率の単位を(%/(m枚))としたが、現像装置の走行距離(mm)に換算し、(%/mm)としてもよい。
本実施形態における第2の目標出力値補正装置による制御手段は、現像装置中のトナーの入換え量に従って、Vtrefを変化させるものである。この制御に用いた現像剤特性値測定方法と補正方法は以下の通りである。
図7は、出力画像面積率を変えた際の現像ポテンシャルとトナー付着量の関係即ち現像γ(現像ポテンシャルに対するトナー付着量関係式の傾き)の差異を示すグラフ図である。図7中、直線1は、画像面積率の累積平均値が5%の場合における目標現像γを示すもので、直線2は、画像面積率の累積平均値が80%の場合を示す。これは同一の画像面積率画像を、標準線速モード(100mm/sec)で、連続200枚出力した際の値であるが、この図5からわかるように、同じトナー濃度でも、一定期間内のトナー入換え量が多い(画像面積率が高い)ほど現像γが高くなっている。これはトナーとキャリアの物理的付着力や静電的付着力が変化していることを示唆している。つまり、これら一定期間内のトナー入換え量の違いによる現像能力の差異を加味した補正が必要であることを示唆している。
この累積移動平均は、単純に過去数枚毎の平均としてもよいが、本実施形態においては、簡単のため下記の式(2)に従って算出することとする。このような算出式を用いることにより、過去数枚から数十枚の画像面積率をNV−RAM(Non Volatile Random Access Memory)に保存する必要がなくなるため、非常に有効である。
M(i)=(1/N){M(i−1)×(N−1)+X(i)}・・・・(2)
ここで、M(i)は画像面積率累積移動平均の現在値、M(i−1)は画像面積率累積移動平均の前回値、Nは累積枚数である。また、X(i)は、今回の画像面積率(%)である。
なお、M(i)、X(i)は色ごとに個別に算出する。本実施形態のように、前回までの画像面積率の累積移動平均値を用いて移動平均現在値を求めることによりNV−RAMの使用領域を大幅に減少させることができる。また累積枚数を変更することにより、制御のレスポンスを変更することが可能であり。たとえば環境変動や経時において値を変更するとより効果的に制御することができる。
Vtref現在値=Vtref初期値+ΔVtref ・・・・・(3)
この場合に、Vtref現在とVtref初期値は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色毎に、個別に算出する。
ΔVtrefは、後述する図10に示すLUT(Look Up Table)から算出するVtrefの補正量であり、下記する式(4)から求められる。詳しくは後述する。
次に、STEP3(S3)において、透磁率センサ(Tセンサ)26の感度情報を取得する。透磁率センサ26の感度は単位が(V/wt%)で表されるものであり、センサ固有の値であリ、センサのトナー濃度とVt出力値の関係直線の傾きの絶対値が感度である(本実施形態においては、図4で示す関係直線の傾きの絶対値が感度である)。
次に、STEP4(S4)において、直前の透磁率センサの出力値(Vt)を取得する。続いてSTEP5(S5)においてS4で取得したVt値とS2で取得したVtrefとからVt−Vtrefを算出する。その後、S5で算出されたVt−Vtrefの結果から目標出力値(Vtref)の補正の要否をSTEP6(S6)において判定をする。この場合における判断基準は、例えば、前回の電位制御が“成功”しているかどうかやVt−Vtrefが所定の値に収まっているかどうか(トナー濃度制御は正常に実行されているか)等を用いると良い。本補正を実行しない場合(N)は、そのまま終了する。
ΔVtref=(−1)×ΔTC×透磁率センサ感度 ・・・・・(4)
この場合においてもΔVtrefは、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色毎に、個別に算出する。
本実施形態で使用するLUTは以下の手法を用いて作成した。
図11は、ある基準のTC(トナー濃度)に対して現像γを一定にするためのトナー濃度を変化させる補正量(ΔTC)(wt%)と画像面積率の累積移動平均値Mi(%)の関係を示すグラフ図である。例えば、画像面積率の累積移動平均値Miが80%の場合、ΔTCを1wt%として、画像を出力すると現像γが一定に保たれるということである。画像面積率の累積移動平均値Miに対するΔTC補正量は、対数近似がもっとも精度よく近似できる。そのため、LUTに用いる画像面積率の累積移動平均値Miに対するΔTC量は、この方法を用いて決定した。
ΔVtref=(−1)×ΔTC×透磁率センサ感度×色補正係数・・・・・(5)
STEP7(S7)でΔVtrefを算出した後、STEP8(S8)において、新たなVtref現在値を算出する。Vtref現在値は上記で算出したΔVtrefとVtref初期値の以下の式(6)に従い算出する。
Vtref現在値=Vtref初期値+ΔVtref ・・・・・(6)
この場合においてもVtref現在値は、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色毎に、個別に算出する。
次に、STEP9(S9)において、Vtref現在値の上下限処理を行う。補正後のVtref現在値が、予め設定した上限値以上の場合、Vtrefを変えずそのまま先のVtref現在値とする。補正後のVtrefが下限値を超えていた場合は、Vtref現在値をあらかじめ設定した下限値とする。上下限処理終了後、STEP10(S10)にて、Vtref現在値をNV−RAMに保存する。
なお、本補正は印刷中において、転写紙間(前回の作像終了から今回作像開始の間の時間、または距離)で補正値を算出し実行することが望ましい。そのような頻度で実行することにより、出力画像1枚ごとに適切にトナー濃度制御基準値:Vtrefを算出できるため、より画像濃度を安定化させることができる。
[1]過剰補正とならないよう、補正量を小さめにする必要があったため、画像濃度を補正しきれない場合があったこと。
[2]急激な環境変動や、画像出力モードの急激な変化で、画像濃度を補正しきれない場合があったこと。
これら問題は、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置と、第2の目標出力値補正装置によるトナー濃度制御手段とが連携した制御を行っていなかったことに起因するものであると考えられる。
そこで、本発明者らは、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置による制御と第2の目標出力値補正装置による制御とを単独でのタイミングで実行せず、それぞれの長所を生かした形で融合するという方法を案出した。
本実施形態のように、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置による制御と第2の目標出力値補正装置によるトナー濃度制御の実行判定をするために参照する参照先を画像面積率平均値の変化率を使用して一致させることにより、第1の目標出力値補正装置の電位制御の実行タイミングを最適化することができる。そのため、画像濃度をより高精度に制御し、かつお待たせ時間(印刷開始までの準備時間)の発生を極力抑えることができるため、セールス上の大きなアドバンテージとなる。
なお、本実施形態においては、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置と第2の目標出力値補正装置を用いたが、電位制御をのみによる制御を行う場合においても、本実施形態のように電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置を介入させることによっても十分な効果を得ることができる。
お待たせ時間を最短にするために、画像面積率及び画像面積率平均値の変化率から、以下のように実施する調整動作を変化させることも可能である。例えば、画像面積率平均値の変化率(ΔMn)は大きいが、該当画像の画像面積率(Xi)自体が小さい場合には、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置による電位制御を行わず、現像装置内のトナーとキャリアの攪拌のみを実行してトナーの帯電量を上げることによって安定した画像濃度を得ることが可能である。
この第2実施形態の構成では、コストダウンのために中間転写ベルト6から転写紙Pへのトナー像の2次転写の際に中間転写ベルト6に残存する残存トナーをクリーニングするクリーニング部材を併設していない。このような場合には、諧調パッチが2次転写ローラ3に付着するのを防止するために、2次転写ローラ3の離間動作を行う必要がある。
この離間動作は、機械的なカム機構の採用によりなされるものであるが、離間、当接を確定するためにそれぞれ1秒程度の時間を要するため、それだけでお待たせ時間を生じさせてしまう。上記のように、目標出力値Vtrefの補正のために、トナーとキャリアの攪拌動作のみを実行する場合には、この2次転写ローラ3の離間当接動作が必要なくなるため、お待たせ時間を短縮した上で画像濃度を安定させることが可能となる。
また、図12中の「攪拌」は、現像装置内での攪拌搬送スクリュー23、24によるトナーとキャリアの攪拌動作を、「電位制御」は、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置による電位制御を、また「攪拌+電位制御」は、電位制御に基づく第1の目標出力値補正装置による電位制御と共に、現像装置内での攪拌搬送スクリュー23、24によるトナーとキャリアの攪拌動作を示している。
このように、画像面積率平均値の変化率(ΔMn)と当該画像の画像面積率(Xi)とに応じて調整動作を選択することによって、適切な画像濃度に制御することが可能となるだけでなく、トナーパッチの必要な「電位制御」を最小必要限度に抑制することが可能となって、トナー消費を抑制することが可能となる。
本実施形態においては、第1及び第2実施形態と同様の目標出力値の補正動作を環境の変化を加味した状態で実行するものである。低温低湿観環境では、トナーの帯電量は増加傾向となるため、何らかの画質調整動作を実行する必要がある。また、逆に高温高湿環境においては、トナー帯電量は低下傾向となるため、何らかの画質調整動作を実行する必要がある。通常は、単純に湿度のみを見て、調整動作の実行を判断する(例えば、絶対湿度<3g/m3及び絶対湿度>16g/m3の条件の際に調整動作を実行する)。
しかしながら、低温低湿環境、もしくは高温高湿環境において定常的に印刷を行う場合には、その環境条件において現像剤は安定する。そのため、調整動作を多く介入させる必要がない。逆に、通常は調整動作を介入させる必要がない環境条件においても、急激に環境条件が変化した場合においては、調整動作を実行する必要となってくる。そのため、本実施形態においては、絶対湿度そのものではなく、絶対湿度の所定時間当りの変化率に従って調整動作を実行させるものとした。
具体的には、前回の絶対湿度を(A(n−1))とし、今回の絶対湿度を(An)とした場合に、時間当りの平均変化率(ΔMAn)は、以下の式(7)で与えられる。
ΔMAn=(An−A(n−1))/時間 ・・・・・(7)
この場合、絶対湿度の測定は、1枚ごとに実行してもよいし、数枚から数十枚ごとに測定してもよい(ただし、印刷ごとに時間を記憶する必要がある)。また、ある一定時間ごとに測定するようなシステムとしてもよい。実行条件は以下式(7−A)に従う。
|ΔMAn|≧R ・・・・・(7−A)
ここで、R(g/m3/枚)とする。なお、本実施形態においては、絶対湿度のみを指標としたが、相対湿度や温度を指標としてもよい。
このように湿度変化を考慮することにより、調整動作の介入回数を減少させることが可能となる。さらに、環境の変化率で介入の有無を決定することが可能なため、画像濃度をより安定化させることができる。
この場合、標準線速モード(120mm/秒)で、70%のベタ画像を100枚連続で通紙したものである。曲線4で示す比較例のものでは、印刷JOBが進むに従い画像濃度が高くなっている。印刷枚数が80枚で電位制御を介入させているが、電位制御の実行前後で画像濃度差が大きくなっている。これは、電位制御の介入が遅いことを示している。
これに対して、曲線3で示す本実施形態に係るものでは、印刷JOBの進行に伴う画像濃度上昇が適切に抑制されている。また、電位制御の介入タイミングも適切であるため、電位制御前後での画像濃度差も小さく抑えられている。本実施形態のような制御を取り入れることにより、トナーの入換えが多い画像、つまり画像面積率の高い画像を出力した場合の画像濃度安定性を大幅に改善させることが可能となった。
Claims (8)
- 潜像を担持する像担持体と、
当該像担持体を所定の電位に帯電させる帯電装置と、
所定電位に帯電した当該像担持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持する現像剤担持体に現像バイアスを印加しながら当該現像剤担持体上のトナーを前記像担持体上の潜像に転移させて当該潜像を現像する現像装置と、
当該現像装置内にトナーを補給する補給装置と、
前記現像装置内の前記2成分現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段と、
前記現像装置内のトナー濃度を制御するために参照されるトナー濃度制御基準値に応じて前記補給装置からのトナーの補給を制御して前記トナー濃度を制御するトナー濃度制御装置と、を備えた画像濃度制御装置において、
前記現像によって得られたトナー像を前記像担持体から転写体に転写する転写装置と、
前記転写体上に、付着量が互いに異なるような画像形成条件で形成された複数のトナーパッチからなる階調パターンを形成する階調パターン形成装置と、
当該階調パターンからの反射光を検出する光学的検知装置と、
当該光学的検知装置によって検出された前記階調パターンの出力から算出されるトナー付着量と、前記帯電装置の帯電電位と前記現像バイアスとから算出される現像ポテンシャルとから現像γを算出する現像γ算出装置と、
当該現像γ算出装置により算出された前記現像γと前記現像γの目標値との差分に応じて前記トナー濃度制御基準値を補正する第1のトナー濃度制御基準値補正装置と、
前記像担持体上に形成された各色毎のトナー像の、各転写体における面積率の移動平均値である画像面積率平均値及び前記画像面積率平均値の変化率を算出する画像面積率平均値算出装置と、
前記画像面積率平均値算出装置により算出される前記画像面積率平均値の変化率が所定範囲内にあるときに、前記画像面積率平均値算出装置により算出される前記画像面積率平均値に応じて前記トナー濃度制御基準値を補正する第2のトナー濃度制御基準値補正装置と、
前記画像面積率平均値算出装置により算出される前記画像面積率平均値の変化率が前記所定範囲を逸脱したときに、前記第1のトナー濃度制御基準値補正装置を作動させる強制操作制御装置と、を備えたことを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項1記載の画像濃度制御装置において、
前記トナー像の前記画像面積率平均値は、所定期間内に形成した画像の画像面積率の移動平均値であることを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項2記載の画像濃度制御装置において、
前記所定期間内に形成した画像の画像面積率の移動平均値は、
M(i)=(1/N)×{M(i−1)×(N−1)+X(i)}
(但し、上式中、「N」が画像面積率のサンプリング数であり、「M(i−1)」は、前回算出した移動平均値であり、「X(i)」は今回検出した画像面積率)
に基づいて算出されることを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像濃度制御装置において、
前記強制操作制御装置は、
|ΔMn|≧K
(但し、「|ΔMn|」は、所定枚数の前記画像面積率平均値の変化率の絶対値、「K」は25%/(所定枚数))
を満足するときに前記第1のトナー濃度制御基準値補正装置を作動させるように制御していることを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像濃度制御装置において、
前記強制操作制御装置は、前記画像濃度制御装置の受ける湿度変化率が所定範囲を逸脱したときに作動するように制御されていることを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項5記載の画像濃度制御装置において、
前記湿度変化率は、時間当りの湿度変化率であることを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像濃度制御装置において、
前記現像装置は、前記トナーと磁性キャリアとを攪拌する攪拌装置を備え、当該攪拌装置は、前記第2のトナー濃度制御基準値補正装置によって前記トナー濃度制御基準値を補正したときに、当該トナーと磁性キャリアとを攪拌するように制御されていることを特徴とする画像濃度制御装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像濃度制御装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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