JP5193957B2 - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機層が一対の電極に挟まれ、電極の一辺から給電が行われる有機EL素子及びその製造方法に関する。
一般に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、基板上に形成された陽極電極上に、有機発光層、陰極電極が積層される。有機発光層で発生した光を取り出すために、電極の一方は、透明な材料で構成される。また、電極に接続される配線が発光領域を遮らないようにし、外部駆動回路との接続を容易にするために、特許文献1や2に示されるように、端子部(給電部)を電極の一辺に設けた構成が提案されている。
ところで、有機発光層を基準にして少なくとも一方の電極側から光を取り出す必要がある。したがって、光取り出し側に設けられる電極は、他方の電極と比較して、体積抵抗率の高い物質で構成されている。このため、端子部を電極の一辺に形成すると、体積抵抗率の高い物質で構成された電極から有機発光層を介し他方の電極に至る電流経路は、体積抵抗率の高い物質で構成された電極の端子に近いか、遠いかで抵抗値が大きく異なることになる。
例えば、有機EL素子の陽極側を光取り出し面とした場合、陽極の端子に近い箇所から有機発光層を介して陰極へ流れる電流経路は抵抗値が小さくなる。一方、陽極の端子とは遠い箇所から有機発光層を介して陰極へ流れる電流経路は抵抗値が大きくなる。このため、駆動電力がある値以上になると、陽極の端子近傍付近は明るく、陽極の端子から遠い場所では暗くなり、輝度むらが生じる。
この結果、発光領域全面を高輝度で発光させることができない。また、不均一な輝度分布となるので、発光素子として使用できない場合があった。また、電流が多く流れる箇所と少し流れる箇所とでは寿命が異なり、素子の発光領域内で寿命差が発生する。電流の多い箇所は寿命が短くなるので、電流が均一に流れる素子と比べると、陽極の端子近傍の有機発光層に負荷が多くかかることにより、陽極の端子近傍の劣化が他の部分より早く進行する等の問題があった。
以上のような問題を解決するために、特許文献3に示されるように、体積抵抗率の高い物質で構成された陽極の端子部近傍の有機EL層の膜厚を厚くし、陽極の端子部から遠い中央部になるほど有機EL層の膜厚を薄くし、凹面形状に形成した有機EL素子が提案されている。陽極端子部近傍の有機EL層の膜厚を中央部よりも厚くし、陽極端子部近傍の有機EL層の抵抗を高くして、発光領域の輝度が均一になるようにしている。
特開2005−100904号公報 特開2005−100916号公報 特開平11−40362号公報
しかしながら、有機EL層の膜厚を変化させて高抵抗化させる場合は、陽極端子部側に近づくにつれて、膜厚を相当厚くしないと、各電流経路での抵抗値が均一にならない。また、有機EL層が凹面状に形成され、その曲率が大きくなると、有機EL層上に積層される電極の断線が発生しやすくなる。
有機EL層の膜厚を中央部と陽極端子部近傍とで変化させると、有機EL層が発光したときに光の干渉により、中央部と陽極端子部近傍とで発光色が大きく異なる可能性がある。このために、光の干渉が行われない構造を付加しなければならず、高度な素子設計が必要となるという問題があった。
また、有機EL層の膜厚を陽極端子部側に近づくほどに、厚く形成するためには、例えば、特許文献3に示されるような複雑なマスクを用意し、必要とする膜厚の程度や傾斜に応じてマスクの各部の寸法を設計し直す必要があり、手間がかかり、コストも高くついていた。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、有機EL素子の発光領域の輝度むらや電極の給電部近傍の有機層の劣化を防ぎ、電極の断線や発光の干渉を防ぐとともに、複雑なマスクを用いずとも形成することができる有機EL素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の有機EL素子は、第1の電極と、前記第1の電極よりも体積抵抗率の高い第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟まれた有機層と、前記第2の電極の一辺に電力を供給するために設けられた給電部とを備え、前記有機層に紫外光照射を行うことにより、前記給電部近傍の有機層領域の抵抗値を、該有機層領域よりも遠くに位置する有機層の抵抗値よりも高くしたことを主要な特徴とする。
また、本発明の有機EL素子の製造方法は、第1の電極と、前記第1の電極よりも体積抵抗率が高く光取り出し側となる第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟まれた有機層と、第2の電極の一辺に電力を供給するために設けられた給電部とを備え、前記第2の電極の裏面から見た場合、前記第2の電極の給電部近傍の有機層領域が隠れないように前記第2の電極の裏面を紫外光を遮る遮光マスクで覆う第1工程と、前記第1工程後に前記遮光マスクの後方から前記遮光マスク及び第2の電極の方向に向けて紫外光を照射する第2工程を備えていることを主要な特徴とする。
本発明の有機EL素子は、第1の電極と、前記第1の電極よりも体積抵抗率の高い第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟まれた有機層と、第2の電極の一辺に電力を供給するために設けられた給電部とを備えており、前記有機層に紫外光照射を行うことにより、前記給電部に近い有機層の抵抗値を、これより遠い有機層の抵抗値よりも高く構成している。このように、紫外光を用いることで、有機層の膜厚を変化させずに、抵抗値を変化させることができるので、電極の断線や発光の干渉を防ぐことができるとともに、複雑なマスクを用いずとも高抵抗化領域を形成することができる。
また、有機EL素子を完成させた後や、この有機EL素子をパッケージ化して有機EL装置として完成させた後でも、紫外光照射により、簡単な工程で有機層の領域毎に抵抗値を変化させることができるので、非常に生産効率が上がる。
本発明の有機EL素子の構成例を示す平面図である。 図1のA−A断面、B−B断面を示す図である。 本発明の有機EL素子を用いた有機EL装置の概観を示す図である。 図3のC−C断面を示す図である。 本発明の有機EL素子の他の構成例を示す平面図と断面図である。 有機EL装置を用いて紫外光照射による高抵抗化処理を行う工程図である。 遮光マスクと発光領域との関係を示す図である。 遮光マスクの構成例を示す図である。 遮光マスクの端の位置と紫外光照射量と発光領域の輝度分布との関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
まず、本発明の有機EL素子10の一例として、陽極と有機層と陰極で構成された素子の断面図を図2(a)、(b)に示す。一方、図1は、本発明の有機EL素子10を上面から見た平面図であり、図1のA−A断面が図2(a)を、図1のB−B断面が図2(b)を示す。
陽極1の上に有機層2が積層されており、有機層2上には陰極3が形成されている。陽極1と陰極3とで有機層2を挟んだ構造となっている。陽極1は、陽極の一辺に設けられた給電部1aと電極領域1bとで構成されている。給電部1aは、外部から有機層2に電力を供給するための接続端子に相当するものであり、電極領域1bは有機層2に接した領域であり、発光領域に相当する。陰極3は、陰極の一辺に設けられた給電部3aと電極領域3bとで構成されている。給電部3aは、外部から有機層2に電力を供給するための接続端子に相当するものであり、電極領域3bは有機層2に接した領域であり、発光領域に相当する。
ここで、陽極1は有機層2に正孔を注入する電極であり、本実施例では、陽極1側に光を取り出すようにしている。陽極1は可視光及び紫外光を含む光に対して透明になるように、ITO、IZO、酸化スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等の金属酸化物や金属窒化物等が用いられる。他方、陰極3側に光を取り出すようにする場合には、陽極1には、光を反射する材料が用いられ、AlやNi、Ti等の金属やこれらの合金などが用いられる。
一方、陰極3は、有機層2に電子を注入する電極であり、また、光を反射させて光取り出し側の陽極に導くために、Al、Li、Mg、Ag等の金属が用いられる。また、陰極3側に光を取り出す場合には、Mg−銀等の薄膜合金に透明な導電性酸化物を積層した電極等が用いられる。
有機層2は、通常、有機発光層を含む有機層の積層体で構成される。陽極1の体積抵抗率が陰極3よりも非常に大きいために、図2(a)の破線の矢印で示されるように、給電部1aから供給された電流は、電極領域1b内を進むにしたがって、電流量が減少していく。このため、従来では陽極の給電部に近い有機層では、大きな電流が流れ、給電部から遠い箇所、すなわち有機層の中央部では小さな電流が流れていた。
本発明では、有機層2において、体積抵抗率の高い陽極1の給電部1aの端に最も近いP2領域(図の斜線部分)の抵抗値を最も高く形成し、有機層2の中央部P1領域(図の斜線部分)の抵抗を最も低く形成した。また、P1とP2との間の領域は、有機層2の抵抗値に傾斜をつけるようした。以上のように構成することにより、P1領域の有機層からP2領域の有機層に進むにしたがって、順に抵抗値が高くなり、電流が流れにくくなる。このため、電極領域1b内の中央部分(P1の位置に相当)に到達する電流量を増やし、かつ陽極1から有機層2の各領域を介して陰極3に流れる電流を、ほぼ等しくすることができる。
本発明では、有機層2の膜厚や材料を変更せずに、有機層2の各部の抵抗値を変化させるために、紫外光照射(UV照射)を用いた。紫外光を有機層2に照射すると、特に有機層2の上層が変質し、抵抗値が上がる。また、紫外光の照射量が多いほど、高抵抗化する。
この作用を用いて、以下のように、有機EL素子を作製した。まず、有機EL素子をパッケージ化して有機ELデバイスの最終的な製品形態にまで形成しておく。例えば、図3に示すように、有機EL素子を収める筐体として、矩形状の基板21と中空の封し缶22を用いた有機EL装置とすることができる。
図3のC−C断面を図4に示す。基板21上に、矩形状の有機EL素子10が配置されており、有機EL素子10を完全に内包するように、封し缶22が被せられている。封し缶22の内側には、湿気等を吸収するように乾燥剤23が設けられている。基板21は、有機EL素子10で発光した光を取り出すために、紫外光を含む光を透過させる材料で構成されており、例えば、ガラスやプラスチック等で構成される。また、封し缶22には、ガラスや金属等を用いることができる。
有機EL素子10は、上述した図1、2の構成を備えている。具体的には、陽極1にはITOを、陰極3にはAlを用いた。また、有機層2の積層体の構成は、陽極1上に青色発光積層体と赤色発光積層体を順に2ユニット積層し、白色素子とした。まず青色発光積層体は、正孔輸送層として膜厚50nmのα−NPD層を、発光層として膜厚30nmでDPVBiにBCzVBiを10Wt%ドープした層を、電子輸送層として膜厚40nmのアルミニウム錯体(Alq)層を、電子注入層として膜厚1nmのリチウム錯体(Liq)層を順に積層したものを用いた。次に中間電極として膜厚1nmのAlを積層し、赤色発光積層体を積層した。
中間電極の膜厚を上記のように薄く作製することにより、赤色発光積層体で発光した赤色光を陽極1側に透過させることができる。赤色発光積層体は、正孔輸送層として膜厚50nmのα−NPD層を、発光層として膜厚30nmでAlqにDCMを5Wt%ドープした層を、電子輸送層として膜厚40nmのAlq層を、電子注入層として膜厚1nmのLiq層を積層したものを用いた。最後に陰極3として膜厚100nmのAlを積層した。
図1の有機EL素子10全体の大きさ又は陽極1の大きさは、約150mm×150mmとなるように形成し、電極領域1b、3bに相当する発光領域の大きさは、約130mm×130mmとなるように形成した。
なお、有機EL素子10は、例えば、図5のように構成することもできる。図1、2では陽極1の給電部1aが、矩形状の陽極1の両端に設けられていたが、図5の実施例では、一方だけに設けるようにした。他方、陰極3についても、給電部3aを一方だけに設けるようにした。給電部1aと給電部3aは有機EL素子の両端に形成されており、対向している。
ここで、体積抵抗率の高い陽極1の給電部1aの端に最も近い有機層領域の抵抗値が最も高く形成され、陰極3の給電部3aの端に最も近い有機層領域の抵抗値が最も低く形成され、これらの領域の間は、有機層2の抵抗値に傾斜をつけるよう構成されている。このため、図5(b)の破線の矢印で示されるように、給電部1aから供給された電流は、電極領域1b内を進むにしたがって電流量が減少していくが、電極領域1b内の端部に到達する電流量を増やし、かつ陽極1から有機層2の各領域を介して陰極3に流れる電流を、ほぼ等しくすることができる。
図6は、図4のように構成されたデバイスに、遮光マスクを配置した構成を示す。図6に示されるように、遮光マスク30は、基板21の裏面に配置される。遮光マスク30は、少なくとも紫外光を透過させない材料で構成され、例えばSUS製のマスクが用いられる。図6における有機EL素子10、陽極1、遮光マスク30等の配置関係について、遮光マスク30側から見た平面図を示すのが、図7である。わかりやすように、遮光マスク30と陽極1と有機EL素子10の関係のみを示すようにしている。
図7で、網掛をした領域が遮光マスク30が配置されている領域である。この図からわかるように、遮光マスク30は、陽極1の裏面を覆っており、陽極1の給電部1a間の長さよりも短い幅のマスクで構成される。また、遮光マスク30の中央と給電部1a間の中央とを一致させて配置されている。遮光マスク30の給電部1aに沿った方向の長さ(図7では縦方向)は、少なくとも発光領域をすべて覆う長さ、すなわち電極領域1bの縦方向の長さ分だけ必要である。図7では、発光領域よりも長く形成されている。
上記のように、遮光マスク30を配置すると、有機EL素子10の有機層2において、遮光マスク30で覆われない領域が発生する。この領域を10aとすると、給電部1a近傍の有機層領域に相当する。図6のように遮光マスク30の後方から紫外光を遮光マスク30側に照射した場合、10aの領域は紫外光が遮られずに、そのまま照射されて高抵抗化する。有機層2における10aの領域を高抵抗化領域と呼ぶことにする。ここで、高抵抗化領域10aは、紫外光の照射光量(J/cm)が多いほど、高抵抗となる。そこで、大きさを変えた遮光マスク30をいくつか用意し、これを順次大きいものから小さいものへと交換しながら、その都度紫外光を一定量照射すれば、有機層2の抵抗値に傾斜がつくことになる。
例えば、図8に示されるような、遮光マスク30を用意する。これは、遮光マスク30の横方向の幅、すなわち陽極1の給電部1a間の長さ方向だけが異なるマスクを何種類か例示したものである。横幅がL1、L2、L3、L4の4種類のマスクが例示されている。陽極1の給電部1a間の長さをLとすると、L>L1>L2>L3>L4となるように形成される。
まず、L1の横幅の遮光マスク30を図6、7のように配置して紫外光を照射し、次に、L1の横幅の遮光マスクを取り除き、L2の横幅の遮光マスクに替えて配置し紫外光を照射する。その後、L3の横幅のマスク30に取り替えて紫外光を照射し、最後にL4の横幅の遮光マスク30に取り替えて紫外光を照射する。
このようにすれば、L1の横幅の遮光マスク30を用いたときに、遮光マスク30からはみだしていた有機層2の領域10aは、積算すれば最も多くの紫外光量が照射されたことになり、最も高抵抗化する。次に、L1の横幅のマスクとL2の横幅のマスクとの差の領域10bが2番目に抵抗が高いことになる。同様に、抵抗の高い順に領域10c、10dとなる。以上をまとめると、各領域の抵抗値の大小は、10a>10b>10c>10dとなる。このように、有機層2の領域によって抵抗値を変化させて傾斜をつけることができる。
なお、上記の例では、横幅の異なる4種類のマスクを用いたが、横幅の異なる5種類以上のマスクを用いて、より細かく有機層2の抵抗値に傾斜を設けるようにしても良い。
また、図4のように、パッケージ化して有機EL装置とした後に、図6のような高抵抗化処理を行わずに、有機EL素子10が完成した段階で高抵抗化処理を行うようにしても良い。この場合、遮光マスク30は基板21の裏面上に配置されるのではなく、有機EL素子10の陽極1の裏面上に配置される。その後の、遮光マスク30の用い方と紫外光の照射方法は、上記の説明と同様である。
以上の方法で高抵抗化領域を作製すると、有機EL素子10が完成するまで、又は図4の有機EL装置のような最終のデバイスの形態に組み立てるまでは、有機層の高抵抗化処理を行う必要がない。このように、素子完成後又はデバイス完成後に、別工程で簡単に有機層の高抵抗化処理が行えるので、生産性は大幅に向上する。
上記のようにして、4種類の遮光マスクを用いて有機層2の領域毎に段階的に高抵抗領域を作製し、発光の評価を行ったのが図9である。図9の縦軸は、遮光マスク30の横幅の短い方の中央と陽極1との中央とを合わせたときに、遮光マスク30で有機層2が覆われない領域ができる。このとき、陽極1の給電部1aの端とマスク30の端との隙間の幅を陽極からの距離と呼び縦軸に示す。陽極1の給電部1a間の長さをLとし、図7のL1〜L4を用いて、陽極からの距離を表わすと、(L−L1)/2、(L−L2)/2、(L−L3)/2、(L−L4)/2となる。
発光領域の面積が130mm×130mmの素子を使用しているので、L=130mmとなり、上記の計算式からわかるように、陽極からの距離が1mmの場合は、遮光マスクの横幅は128mmとなる。また、陽極からの距離が5mmの場合は、遮光マスクの横幅は120mmである。次に、陽極からの距離が10mmの場合は、遮光マスクの横幅は110mmであり、陽極からの距離が20mmの場合は、遮光マスクの横幅は90mmである。
上記のような、4種類のマスクを用いて、横幅の最も大きいマスク(図9の陽極からの距離1mm)から順次使用して紫外光を照射していく。横軸は紫外光照射量を示し、単位はJ/cmである。紫外光照射量は、4種類の遮光マスクを順次取り替えて使用する過程では一定である。紫外光照射量への依存性を調べるために、照射量を0、1、3、6、12(J/cm)と変化させて高抵抗化領域を作製し、作製後の素子の発光状態を輝度計で測定した。
まず、有機層2の発光領域中心箇所(1箇所)と、矩形状の発光領域の4辺の各中点から発光領域内側に10mm入った箇所(4箇所)の輝度を測定した。このとき測定された5箇所の輝度の平均を算出し、この輝度平均に対し上記5箇所の輝度による標準偏差を算出して評価とした。前記の測定と評価は、陽極からの距離が1mm〜20mmまでの4種類の各遮光マスクを使用する毎に行った。図9の×は、輝度分布において標準偏差が16%以上発生したことを示す。△は、同様に、輝度分布の標準偏差が11%以上、かつ15%以下であることを示す。○は、同様に、輝度分布の標準偏差が10%以下であることを示す。
例えば、陽極からの距離が5mmのマスクを使用し、紫外光を3(J/cm)照射して、有機EL素子に10(mA/cm)の電流密度を流した場合、発光領域の中心箇所の輝度は1900(cd/m)、他の端の4箇所の輝度は、2360、2350、2260、2270(cd/m)であった。輝度平均は、2228(cd/m)となり、輝度の標準偏差は8%となった。これに対して、同様の構造で、紫外光処理を行わない(高抵抗化処理を行わない)従来の素子について、上記のように5箇所の輝度を測定した。発光領域の中心箇所の輝度は1320(cd/m)で、その他の端の4箇所の輝度は、2470、2650、2530、2580(cd/m)となった。輝度平均は、2310(cd/m)となり、輝度の標準偏差は22%となった。この結果からも、本発明の効果が良くわかる。
紫外光照射量が0の場合(マスクによる処理を行わない場合)は、陽極からの距離が1mm〜20mmまでの4種類のいずれの遮光マスクを用いた場合でも、輝度の標準偏差が16%以上発生する。紫外光照射量が1の場合は、4種類のいずれの遮光マスクを用いた場合でも輝度の標準偏差が15%以下に収まる。紫外光照射量が3の場合は、輝度の標準偏差が11%以上、かつ15%以下の項目が1箇所あるものの、他の項目では輝度の標準偏差が10%以下に収まっている。紫外光照射量が6の場合は、輝度の標準偏差が16%以上の項目が1箇所、輝度の標準偏差が11%以上、かつ15%以下の項目が1箇所あり、その他の項目は輝度の標準偏差が10%以下に収まっている。照射量が12の場合は、輝度の標準偏差が16%以上の項目が3箇所となって、均一性が極めて悪い。
図9からは、紫外光照射量が1又は3(J/cm)であれば、陽極からの距離が1mm〜20mmまでの4種類のすべての遮光マスクを用いないでも、例えば、4種類のうち1種類使用したとしても、輝度分布の均一性があるものとして許容できる範囲であると言える。また、紫外光照射量が6(J/cm)であれば、陽極からの距離が1mm〜10mmまでの3種類のマスクのすべてを用いても良いし、1種類だけ用いても良いことがわかる。
以上のように、紫外光を照射して、有機層2の領域を光取り出し側の電極の給電部に近い側から遠くに行くにしたがい、抵抗値を高い方から低い方に段階的に形成することで、各領域に流れる電流の値を均一に近づけることができ、輝度分布の偏りや有機層の領域によって寿命が異なることなどを防止することができる。
なお、有機層2は、上記のように構成するのではなく、青色の単色、緑色の単色、赤色の単色になるように構成しても良い。青色の単色に構成するには、有機層2を、陽極側から、正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に、例えば、α−NPD層(膜厚50nm)/AlqにTBpeを10Wt%ドープした層(膜厚30nm)/Alq層(膜厚40nm)/Liq層(膜厚1nm)を順に積層した積層体とすることができる。
緑色の単色に構成するには、上記青色の単色に係る積層体のうち、AlqにTBpeを10Wt%ドープした層をAlqにクマリン6を10Wt%ドープした層(膜厚30nm)に変更すれば良い。緑色の単色に構成するには、上記青色の単色に係る積層体のうち、AlqにTBpeを10Wt%ドープした層をAlqにDCMを5Wt%ドープした層(膜厚30nm)に変更すれば良い。上記、青色の単色、緑色の単色、赤色の単色のいずれの場合も、陽極1はITO、陰極3はAl(膜厚100nm)で構成することができる。
また、有機層2を青色、緑色、赤色を3ユニット積層化した構造としても良い。例えば、陽極をITOとし、α−NPD層(膜厚50nm)/AlqにTBpeを10Wt%ドープした層(膜厚30nm)/Alq層(膜厚40nm)/Liq層(膜厚1nm)/Al層(膜厚1nm)/α−NPD層(膜厚50nm)/Alqにクマリン6を10Wt%ドープした層(膜厚30nm) /Alq(膜厚40nm)/Liq層(膜厚1nm)/Al層(膜厚1nm)/α−NPD層(膜厚50nm)/AlqにDCMを5Wt%ドープした層(膜厚30nm)/Alq層(膜厚40nm)/Liq層(膜厚1nm) の積層構造とすることができる。なお、陰極はAl層(膜厚100nm)で構成される。
また、有機層2を青色と赤色を同じ発光層に入れた構造としても良い。例えば、陽極をITOとし、α−NPD(膜厚50nm)/AlqにTBpeを10W%ドープ層(膜厚15nm)/AlqにDCMを5W%ドープした層(膜厚15nm)/Alq(膜厚40nm)/Liq(膜厚1nm)の積層構造とすることができる。なお、陰極はAl層(膜厚100nm)で構成される。
以上のように実施例では、本発明の有機EL素子を代表的な材料構成で説明したが、これらに限定されるものではなく、他のあらゆる有機EL素子に適用できる。なお、本発明はここでは記載していない様々な実施例等も含まれる。
本発明の有機EL素子の構成は、発光デバイス、照明装置等など、幅広く光デバイスに適用することができる。
1 陽極
1a 給電部
1b 電極領域
2 有機層
3 陰極
3a 給電部
3b 電極領域
4 絶縁膜
10 有機EL素子
10a 高抵抗化領域
21 基板
22 封し缶
23 乾燥剤
30 遮光マスク

Claims (5)

  1. 第1の電極と、
    前記第1の電極よりも体積抵抗率の高い第2の電極と、
    前記第1の電極と第2の電極に挟まれた有機層と、
    前記第2の電極の一辺に電力を供給するために設けられた給電部とを備え、
    前記有機層に紫外光照射を行うことにより、前記給電部近傍の有機層領域の抵抗値を、該有機層領域よりも遠くに位置する有機層の抵抗値よりも高くしたことを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記給電部は前記第2の電極の対向する2辺に各々設けられており、前記給電部近傍の有機層から前記対向する2辺の中間に位置する有機層にかけて有機層の抵抗値が段階的に小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子。
  3. 第1の電極と、前記第1の電極よりも体積抵抗率が高く光取り出し側となる第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟まれた有機層と、第2の電極の一辺に電力を供給するために設けられた給電部とを備え、
    前記第2の電極の裏面から見た場合、前記第2の電極の給電部近傍の有機層領域が隠れないように前記第2の電極の裏面を紫外光を遮る遮光マスクで覆う第1工程と、前記第1工程後に前記遮光マスクの後方から前記遮光マスク及び第2の電極の方向に向けて紫外光を照射する第2工程を備えていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  4. 前記第1工程は、前記有機EL素子を筐体に組み込み有機EL装置として構成された後に行うことを特徴とする請求項3記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 大きさの異なる複数の前記遮光マスクが用意されており、大きさの異なる遮光マスク毎に、前記第1工程と第2工程とを繰り返すことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
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