以下、本発明による建設機械の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械の外観を示す斜視図である。この実施形態の建設機械は、所謂ハイブリッド型建設機械であり、その一例としてのリフティングマグネット車両を示すものである。
図1に示すように、リフティングマグネット車両1は、無限軌道を含む走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された旋回体4とを備えている。旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたリフティングマグネット7とが取り付けられている。このリフティングマグネット7は、鋼材などの吊荷Gを磁力により吸着して捕獲するための設備である。ブーム5、アーム6及びリフティングマグネット7は、各々ブームシリンダ8、アームシリンダ9及びバケットシリンダ10によって油圧駆動される。
また、旋回体4には、リフティングマグネット7の位置や励磁動作及び釈放動作を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するための動力源であるエンジン11(図2参照)といった動力源等を収容したハウス部4bが設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
図2は、図1に示す建設機械の電気系統や油圧系統等の内部構成を示すブロック図であり、構成は所謂パラレル方式と称されるものである。なお、図2では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。また、図3は、図2中の蓄電手段120の内部構成を示す図である。
図2に示すように、リフティングマグネット車両1は電動発電機(発電手段)12及び変速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に変速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の負荷が大きいときには、電動発電機12がこのエンジン11を作業要素として駆動することによりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が変速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が変速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。
電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切り替えは、リフティングマグネット車両1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
変速機13の出力軸にはメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されており、メインポンプ14には高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。コントロールバルブ17は、リフティングマグネット車両1における油圧系の制御を行う装置である。このコントロールバルブ17には、図1に示した走行機構2を駆動するための左右の油圧モータ2a,2bの他、ブームシリンダ8、アームシリンダ9及びバケットシリンダ10が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
電動発電機12の電気的な端子には、インバータ回路18Aの出力端が接続されている。インバータ回路18Aの入力端には、蓄電手段120が接続されている。蓄電手段120は、図3に示すように、直流母線であるDCバス110、昇降圧コンバータ100及びキャパシタ19を備えている。すなわち、インバータ回路18Aの入力端は、DCバス110を介して昇降圧コンバータ100の入力端に接続されている。昇降圧コンバータ100の出力端には、キャパシタ19が接続されている。キャパシタ19は、ここでは、多数のセルを有する構成とされている。なお、キャパシタに代えてバッテリを用いることもできる。
図2に戻って、インバータ回路18Aは、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。すなわち、インバータ回路18Aが電動発電機12を電動(アシスト)運転させる際には、必要な電力をキャパシタ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を発電運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に充電する。なお、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、キャパシタ電圧値及びキャパシタ電流値に基づき、コントローラ30によって行われる。これにより、DCバス110を、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
また、蓄電手段120のDCバス110には、インバータ回路20Bを介して図1に示したリフティングマグネット7が接続されている。リフティングマグネット7は、金属物を磁気的に吸着させるための磁力を発生する電磁石を含んでおり、インバータ回路20Bを介してDCバス110から電力が供給される。インバータ回路20Bは、コントローラ30からの指令に基づき、電磁石をオンにする際には、リフティングマグネット7へ要求された電力をDCバス110より供給する。また、電磁石をオフにする場合には、回生された電力をDCバス110に供給する。
さらに、蓄電手段120には、インバータ回路20Aが接続されている。インバータ回路20Aの一端には作業用電動機としての旋回用電動機(交流電動機;電動駆動手段)21が接続されており、インバータ回路20Aの他端は蓄電手段120のDCバス110に接続されている。旋回用電動機21は、旋回体4を旋回させる図1に示した旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23及び旋回減速機24が接続される。
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。旋回用電動機21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ回路20Aによって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30からの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
なお、DCバス110には、インバータ回路18A,20A,20Bを介して、電動発電機12、旋回用電動機21及びリフティングマグネット7が接続されているため、電動発電機12で発電された電力がリフティングマグネット7又は旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、リフティングマグネット7で回生された電力が電動発電機12又は旋回用電動機21に供給される場合もあり、さらに、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12又はリフティングマグネット7に供給される場合もある。
パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。操作装置26は、旋回用電動機21、走行機構2、ブーム5、アーム6及びリフティングマグネット7を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続され、また、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されると共に、圧力センサ29によって検出される。
圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
コントローラ30は、本実施形態における制御回路を構成する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。また、コントローラ30の電源は、キャパシタ19とは別のバッテリ(例えば24V車載バッテリ)である。コントローラ30は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構3を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(アシスト運転及び発電運転の切り替え)、リフティングマグネット7の駆動制御(励磁と消磁の切り替え)、並びに、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。
ここで、本実施形態における昇降圧コンバータ100について詳細に説明する。図3に示すように、昇降圧コンバータ100は、昇降圧型のスイッチング制御方式を備えており、リアクトル101、トランジスタ100B,100Cを有する。トランジスタ100Bは昇圧用のスイッチング素子であり、トランジスタ100Cは降圧用のスイッチング素子である。トランジスタ100B,100Cは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成され、互いに直列に接続されている。
具体的には、トランジスタ100Bのコレクタとトランジスタ100Cのエミッタとが相互に接続され、トランジスタ100Bのエミッタはキャパシタ19の負側端子およびDCバス110の負側配線に接続され、トランジスタ100CのコレクタはDCバス110の正側配線に接続されている。そして、リアクトル101は、その一端がトランジスタ100Bのコレクタ及びトランジスタ100Cのエミッタに接続されると共に、他端がキャパシタ19の正側端子に接続されている。トランジスタ100B,100Cのゲートには、コントローラ30からPWM電圧が印加される。
なお、トランジスタ100Bのコレクタとエミッタとの間には、整流素子であるダイオード100bが逆方向に並列接続されている。同様に、トランジスタ100Cのコレクタとエミッタとの間には、ダイオード100cが逆方向に並列接続されている。トランジスタ100Cのコレクタとトランジスタ100Bのエミッタとの間(すなわち、DCバス110の正側配線と負側配線との間)には、DCバス110において平滑用のコンデンサ110aが接続される。コンデンサ110aは、昇降圧コンバータ100からの出力電圧、電動発電機12からの発電電圧や旋回用電動機21からの回生電圧を平滑化する。
このような構成を備える昇降圧コンバータ100において、直流電力をキャパシタ19からDCバス110へ供給する際には、コントローラ30からの指令によってトランジスタ100BのゲートにPWM電圧が印加される。そして、トランジスタ100Bのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がダイオード100cを介して伝達され、この電力がコンデンサ110aにより平滑化される。また、直流電力をDCバス110からキャパシタ19へ供給する際には、コントローラ30からの指令によってトランジスタ100CのゲートにPWM電圧が印加されると共に、トランジスタ100Cから出力される電流がリアクトル101により平滑化される。
続いて、旋回体4について説明する。図4は、旋回体4のハウス部4bを示す斜視図である。以下、ハウス部4bの構成の説明においては、特に断らない限り、前後左右はリフティングマグネット車両1を基準としている。図4に示すように、ハウス部4bは、平面視において略コの字状を成すように構成され、コの字を構成する開放部が前方を向くように配置されている。ここで、ハウス部4bにおいて、車両における右前部分(図4の図示左手前部分)を右前部Rf、右後ろ部分(図4の図示左奥部分)を右後部Rr、左前部分(図4の図示右手前部分)を左前部Lf、左後ろ部分(図4の図示右奥部分)を左後部Lr、及び右前部Rfと左前部Lfとの間の部分を中央部Cと呼ぶ。
このようなハウス部4bの左前部Lfに対応して、図1に示す運転室4aが設けられ、中央部Cには、図1に示すブーム5の基端が上下動可能に取り付けられる。そして、ハウス部4bを有する旋回体4は、中央部Cの下部に設けられた旋回用電動機21(図2参照)により上下方向の軸心回りに回転し、すなわち、旋回方向Dに沿って左右に旋回する。右前部Rfには、メンテナンス作業用のステップ31及び手摺り32が設けられている。
右前部Rf内には、図2に示した蓄電手段120、インバータ回路18A,20A,20B、及びコントローラ30が設置されている。右前部Rfの左右面下部には各々開口部が形成されており、右面の開口部34(図5参照)と左面の開口部33との間には、蓄電手段120のキャパシタ19が設置されている。すなわち、左右面の開口部34,33は、キャパシタ19を冷却するための空気を左右方向に通す通気口として形成されている。
図5は、右前部Rfの下部に設置されたキャパシタ19等を前方から見た断面図である。図5には、ハウス部4bの底部を形成する骨格部材である底部フレームBaと、底部フレームBaの周縁(図5では左側)において立設された外周フレームBbと、から構成されるベースフレームBが示されている。
図5に示すように、右前部Rfにおいて、右面の開口部34及び左面の開口部33の内側には、ルーバー36,35が各々設けられている。そして、ルーバー35,36の間には、キャパシタ19を含むキャパシタボックス80が、台座155及び防振ゴム156を介して底部フレームBa上に設置されている。キャパシタ19は、上段及び下段に各々多数のセル41を並設し纏めたもので、上段のセル41の集合体により上段モジュール45が、下段のセル41の集合体により下段モジュール45が各々構成され、これらのモジュール45,45を、左右方向に通気可能に外枠で囲い補強したものがキャパシタボックス80である。
キャパシタボックス80の右側(図5では左側)には、吸気ダクト40が接続されると共に、吸気ダクト40内の上流側の端部には、ルーバー36に対向してルーバー38が設けられている。また、キャパシタボックス80の左側(図5では右側)端部には、上下段のセル41,41のそれぞれに対応して、冷却風を図示左から右へと流すためのファン43,43が設けられ、さらに左側(図5では右側)には、排気ダクト39が接続されると共に、排気ダクト39内の下流側の端部には、ルーバー35に対向してルーバー37が設けられている。
吸気側のルーバー36は、図示左から右へと流れる冷却風の流れ方向に対して下方に傾斜し、これより下流の吸気ダクト40内のルーバー38は、ルーバー36とは反対に上方に傾斜している。さらに、排気ダクト39内のルーバー37は、冷却風の流れ方向に対して下方に傾斜し、これより下流の排気側のルーバー35は、ルーバー37とは反対に上方に傾斜している。このようなルーバーの構成により、キャパシタボックス80内に対する防水が図られている。
また、上記のように、キャパシタボックス80は底部フレームBa上に設置されているため、その設置位置は、右面の開口部34及び左面の開口部33に対して低くなっている。このため、吸気ダクト40及び排気ダクト39は、上下非対称な形状をなしている。すなわち、吸気ダクト40及び排気ダクト39は、両側のルーバー38,37からキャパシタボックス80に向かうにつれて、下方に広がる形状とされている。
さらに、吸気ダクト40内には、上段モジュール45と下段モジュール45との間の上流側端部と、ルーバー38の下流側端部とを連結し、吸気ダクト40内を上下に仕切る仕切壁44が設けられている。この仕切壁44は、上下に並設されたルーバー38に対して正対せずに下方にずれて配置された下段のモジュール45に対しても、上段のモジュール45と同量の冷却風を分配するためのものであり、上側の入口(ルーバー38の出口)での流量より下側の入口での流量が大きくなるように、水平では無く冷却風の流れ方向に対して下方に傾斜する構成とされている。
なお、ここでは、キャパシタボックス80、吸気ダクト40、排気ダクト39、開口部34、開口部33等は右前部Rfに設置されることとしたが、左前部Lfにおいて運転室4aの下方に設置されていてもよい。
また、図4の左後部Lr内には、エンジン用ラジエタ、オイルクーラ、インタークーラ、燃料クーラ、ハイブリッドシステム用ラジエタ(ハイブリッド用ラジエタ)、運転室4aのエアコンディショナ用熱交換器(エアコン用コンデンサ)、(いずれも図示せず)といった冷却器が設置されている。
さらに、左後部Lrから右後部Rrにかけて、すなわち天板を構成するエンジンフードHの下方には、図2に示したエンジン11、変速機13、電動発電機12、及びメインポンプ14等が設置されている。エンジン11にはファン(図示せず)が接続されており、エンジン11の回転に伴いファンが回転することにより、左前部Lfの左側面に設けられた通気口46から左後部Lr内に向けて空気が流れ、左後部Lr内に設置された上記の各冷却器が冷却される。また、右後部Rr内には、上記の電動発電機12及びメインポンプ14を収容するポンプ室(図示せず)が形成されている。
中央部Cには、ブーム5を上下動可能に挟むようにして支持する枠体である所謂Aフレーム47、及びブームシリンダ8の基端が取り付けられる枠体であるブームシリンダフレーム48が設けられている。Aフレーム47の後方近傍には、旋回用電動機21(図2参照)が配置されている。
次に、図5で説明したキャパシタボックス80について詳説する。図6は、キャパシタボックス80を示す斜視図、図7は、図6に示すキャパシタボックス80から側面外枠55及び上面外枠56を取り外した状態を示す一部破断斜視図、図8は、図7を奥側から見た一部破断斜視図、図9は、図6〜図8中のサブモジュール51を示す斜視図である。
キャパシタボックス80は概略、図9に示すように、上側の内枠50及び下側の内枠150により挟むようにして(詳しくは後述)複数のセル41を搭載したサブモジュール51を、図7及び図8に示すように集合し、この集合体を、図6に示すように、外枠52により補強して成るものである。
図9に示すように、上側の内枠50は、内部にバスバーが配線された直方体形状に構成され、この直方体形状を構成する長手方向の一対の側壁50bと、これに直交する短手方向の一対の側壁50cと、を有し、下側の内枠150は、平面視矩形(長方形)に構成された矩形板50aと、この矩形板50aの周縁において周方向に沿って短尺に立設された、長手方向の一対の側壁50bとこれに直交する短手方向の一対の側壁50cと、を有する。そして、サブモジュール51は、上側の内枠50に複数のセル41を縦横に並べて垂下させるように結合し、この複数のセル41を内枠150により下面から支持し補強することで構成されている。このサブモジュール51の長手方向の一方側の端部(排気側の端部;図示手前側の端部)には、空間が設けられており、当該空間に、図5及び図8に示すように、ファン43が取り付けられている。
サブモジュール51は、旋回体4を旋回可能に搭載した走行機構2の前後方向(図5の紙面垂直方向)に沿って、一列に複数個(ここでは4個)が並設されている。これにより、図7及び図8に示すように、サブモジュール51を構成する長尺な側壁50bが、走行機構2の前後方向(図5の紙面垂直方向)に並ぶと共に、隣り合い対面する長尺な側壁50b,50b同士が、旋回体4の旋回方向D(図4及び図7参照)を向くように配置されている。
サブモジュール51を並設した下段モジュール45に、サブモジュール51を並設した上段モジュール45が重ねられており、上、下段モジュール45,45を各々構成する各サブモジュール51の上部(上側の内枠50内)には、セル41に接続されると共に、外部配設との接続を行うための端子台95や、メンテナンス時に手動で切断可能な安全スイッチ96に接続されるバスバーが設けられている。そして、これらの上、下段モジュール45,45は、例えば螺子留め等により外枠52に固定される。
外枠52は概略、図6に示すように、底面外枠54と、側面外枠55及び上面外枠56を備える。
底面外枠54は、サブモジュール51全体、すなわち上、下段モジュール45,45を載置するものであり、側面外枠55は、サブモジュール51全体を四方の側方から覆うものであり、上面外枠56は、天板であってサブモジュール51全体を上から覆うものであり、サブモジュール51は、外枠52に対してボルト結合されている。これにより、サブモジュール51全体の補強が成されると共に振動の発生が防止されている。
側面外枠55は、複数のセル41に対応する所定箇所に開口部57を有する。ここでは、旋回体4の旋回方向D、すなわち冷却風の流れる方向(図5の左右方向)に対面して上、下段に各3個が、走行機構2の前後方向(図5の紙面垂直方向)に並ぶように設けられており、隣り合う開口部57,57同士の間に、上下方向に延びるリブ58を有する構成とされている。なお、図6の図示手前側に示す側面外枠55の開口部57及びリブ58は、図示奥側の側面外枠55にも同様な位置(対向位置)に設けられており、図示奥側の側面外枠55の開口部57は、図8に示すファン43に対向して開口されている。
そして、外枠52及び内枠50,150によりケースが構成されている。
このような構成を有する建設機械1によれば、旋回体4が旋回すると、この旋回によって生じる風が冷却風として、ハウス部4bの右前部Rfの右面の開口部34、吸気ダクト40、キャパシタボックス80の開口部57(図6参照)を通して当該キャパシタボックス80内に導入され、各セル41に接触し当該セル41を冷却しながら下流側に向かい、ファン43、キャパシタボックス80の開口部57を通してキャパシタボックス80外に排出され、排気ダクト39、ハウス部4bの右前部Rfの左面の開口部33を通して外部に排出されることになり、セル41を効率的に冷却できる。
すなわち、本実施形態にあっては、複数のセル41を収容したケースには、旋回体4の旋回方向Dに向かって開口された開口部57が設けられているため、旋回体4が旋回すると、この旋回によって生じる風が冷却風として、ケースの開口部57を通してケース内を流れ、セル41を効率的に冷却できる。
また、ケースは、当該ケース内から外へ向けて冷却風を排出するファン43を有しているため、旋回体4の旋回によって生じる風に、さらにファン43による冷却風が加わり、セル41を一層効率的に冷却できる。
また、複数のセル41が配置された上段モジュール45及び下段モジュール45に対して外気を冷却風として外から導く流路である吸気ダクト40において、上段モジュール45と下段モジュール45に向かう冷却風を均等に分配するように当該吸気ダクト40を上下に仕切り、冷却風の流れ方向に対して傾斜して配置された仕切壁44を備えているため、当該仕切壁44により、冷却風は、上段モジュール45と下段モジュール45に均等に分配されることになり、セル全体を均一に冷却でき、セル41を一層効率的に冷却できる。
なお、ケースは、当該ケース内へ外気を冷却風として供給するファンを有しているのが好ましい。このような構成を採用した場合、排気側ファン43にさらに吸気側ファンが加わるため、セル41を一層効率的に冷却できる。
また、上記両ファン又は排気側ファン43は、旋回体4の旋回方向Dに応じて風向が切り替わる構成であるのが好ましい。このような構成を採用した場合、旋回体4が一方向に旋回する場合には、ファンの風向が旋回体4の一方向の旋回によって生じる風と同方向となるようにファンを駆動することができ、旋回体4が一方向とは反対方向に旋回する場合には、ファンの風向を切り替えて旋回体4の反対方向の旋回によって生じる風と同方向となるようにファンを駆動することができる。従って、旋回体4が何れの方向に旋回しても、風向が切り替え可能なファンによりセル41を一層効率的に冷却できる。
因みに、ケースに対しては、作業時に下方から突き上げ荷重が作用する場合があるため、ファンは、ケースの側壁又は上壁に設けられているのが好ましい。なお、この構成に対応して、ケースの排気側の開口部も当該ケースの側壁又は上壁に設けることになる。
なお、この実施形態でいうケースとは、外枠52及び内枠50,150の2種類の枠部材を有するものとしており、開口部57は外枠52に設けられ、ファン43は内枠50,150に設けられているが、1部材より構成されたケースに対しても勿論適用できる。この場合には、当該ケースに開口部57やファン43が設けられる。
図10は、第2実施形態に係る建設機械のキャパシタボックス内を示す平面構成図である。
この第2実施形態が第1実施形態と違う点は、複数のセル41を収容したケース90のその側壁90aと当該側壁90aの近くに位置するセル41との間隔xを、複数のセル41同士の並設間隔yより広くした点である。
このような第2実施形態によれば、複数のセル41を収容するケース90の側壁90aと当該側壁90aの近くに位置するセル41との間隔xの方が、複数のセル41同士の並設間隔yより広くされているため、太陽光やエンジンの熱影響を最も受けるケース90の側壁90aからセル41が離して配置されることになり、セル41に対する熱影響が低減され、セル全体を均一に冷却でき、セル41を一層効率的に冷却できる。
また、この第2実施形態にあっては、ファン43の駆動を制御手段81により制御する点も第1実施形態と異なっている。すなわち、この第2実施形態においては、セル41の温度に関する情報を検出する温度情報検出手段82と、この温度情報検出手段82で検出された情報に基づいて、ファン43の駆動を制御する制御手段81と、を備えている。
ここで、セル41の温度に関する情報を検出する温度情報検出手段82としては種々のものが挙げられるが、ここでは温度センサが用いられる。そして、ここでは、1つのケース90に対して2個の温度センサが配置され、冷却風に対する最上流側のセル41よりさらに上流に配置された温度センサ82aと、ケース90の下流側の隅に配置された温度センサ82bと、を有する。温度センサ82aは、ケース90内の最も温度の低い位置の温度を測定するものであり、温度センサ82bは、ケース90内の最も温度の高い位置の温度を測定するものである。
制御手段81は、これらの温度センサ82a,82bからの検出温度に基づいてファン43の駆動を制御する。具体的には、検出温度が、予め設定した設定温度以上となったらファン43の駆動を開始し、検出温度が設定温度を下回ったらファン43の駆動を停止する。
また、吸気側(上流側)にもファンを設けている場合には、制御手段81は以下のように制御する。具体的には、検出温度が、予め設定した低温時の設定温度に達しない場合には、吸気側ファン及び排気側ファン43の両方とも停止とし、検出温度が低温時の設定温度以上となったら排気側ファン43のみ駆動を開始し、その後は、検出温度に応じて吸気側ファンも駆動する。
このような第2実施形態によれば、温度センサ82で検出されたセル41の温度に基づいて、制御手段81によってファンの駆動が制御されるため、ファン駆動の省エネを図りつつ当該ファンによりセル41を効率的に冷却できる。
なお、この制御手段81を有する構成は、ケース90の側壁90aとセル41との間隔xが、セル41同士の並設間隔yとほぼ同じである構成に対しても勿論適用可能である。
図11は、第3実施形態に係る建設機械のキャパシタボックス内を示す平面構成図である。
この第3実施形態が第2実施形態と違う点は、複数のセル41を、冷却風の流れ方向(図示上から下)に対して、千鳥状にずらして配置した点である。
このような第3実施形態によれば、冷却風の流れ方向に対してセル41が一列に並ぶことにより最上流のセル41に冷却風が当たりこれより下流側のセル41に対する冷却効率が悪くなる構成に比して、各々のセル41に対して冷却風が当たるようになり、セル全体を均一に冷却でき、セル41を一層効率的に冷却できる。
なお、この第3実施形態にあっては、第2実施形態で説明した制御手段81を有する構成は無くても良く、また、この第3実施形態の千鳥状の配列の構成は、ケース90の側壁90aとセル41との間隔xが、セル41同士の並設間隔yとほぼ同じである構成に対しても勿論適用可能である。
図12は、第4実施形態に係る建設機械のキャパシタボックス内を示す平面構成図、図13は、図12のXIII-XIII矢視図である。
この第4実施形態が第1実施形態と違う点は、複数のセル41を収容したケース90内を流れる冷却風の流路とは別に、排気側に配置されたセル41に対して冷却風をバイパスして送るためのバイパス流路85を備えた点である。
ここで、バイパス流路85は、複数のセル41を並設して収容したセル領域86の例えば底部や側部の外側に沿うように設けられ、冷却風を流すための流路84と、この流路84とセル領域86とを連通する多数の連通孔83と、を有する。
そして、多数の連通孔83は、冷却風の流れ方向に並ぶセル41,41同士間の両脇に設けられている。
このような第4実施形態によれば、最上流のセル41に冷却風が当たり排気側のセル41に対する冷却効率が悪くなる構成(セル領域86)に比して、排気側に配置されたセル41に対しても冷却風がバイパス流路85を通して送られることになり、セル全体を均一に冷却でき、セル41を一層効率的に冷却できる。
なお、第4実施形態の構成は、第2、第3実施形態に対しても勿論適用可能である。
図14は、さらに他の実施形態に係る建設機械の電気系統や油圧系統等の内部構成を示すブロック図である。
図14に示す構成は、所謂シリーズ方式と称されるもので、図2に示すパラレル方式の構成において、変速機13とメインポンプ14とを連結する構成に代えて、ポンプ用電動機140及びインバータ18Dを別途設け、エンジン11の全ての動力を一旦電気エネルギに変換して、各種の駆動要素を駆動するものである。
具体的には、インバータ18Dは、蓄電手段120のDCバス110(図3参照)と電気的に接続されると共に、コントローラ30により制御される。また、インバータ18Dの出力端は、ポンプ用電動機140に接続されており、ポンプ用電動機140は、インバータ18Dにより駆動制御される。また、ポンプ用電動機140においてメインポンプ14により発電された電力は、回生エネルギとしてインバータ18Dを経て蓄電手段120に供給される。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、リフティングマグネットタイプのハイブリッド型建設機械に対する適用を述べているが、ショベルやホイルローダ、クレーン等の他の建設機械に対しても適用可能である。