以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る眼寸法測定装置の光学系の概略構成図である。図1は眼軸長測定時における光学系の配置を示す図であり、図2は前房深度測定時における光学系の配置を示す図である。
被検眼角膜と被検眼の所定部位に測定光を照射する照射光学系100は、低コヒーレント光を出射する測定光源1を持ち、光源1から出射された測定光を光路分割部材(例えば、偏光ブームスプリッタ3)により被検眼角膜への測定光(第1測定光)が通る第1測定光路T1と被検眼の所定部位への測定光(第2測定光)が通る第2測定光路T2とに分割すると共に、再度、光路合成部材(例えば、偏光ビームスプリッタ6)により合成する。
測定光源1からビームスプリッタ3の間には、コリメータレンズ2、ハーフミラー20、1/2波長板50、が順次配置されており、測定光源1から発せられた測定光は、コリメータレンズ2によって平行光束とされた後、ハーフミラー20を透過後、1/2波長板50によって偏光方向が回転された後、偏光ビームスプリッタ3によって透過光と反射光が互いに直交する直線偏光になるように分離される。なお、入射光の偏光面に対する1/2波長板50の光学軸を変化させることにより、偏光ビームスプリッタ3によって分離される透過光と反射光の比率を調整できる。
ここで、ビームスプリッタ3を透過する第1測定光は、第1三角プリズム4の反射面4aで反射され、第1三角プリズム4に対して移動可能な可動三角プリズム5の反射面5a及び反射面5bによって折り返された後、第1三角プリズム4の反射面4bで反射され、ビームスプリッタ6を透過する。すなわち、第1測定光は、第1測定光路T1(ビームスプリッタ3〜可動三角プリズム5〜ビームスプリッタ6)を通過する。なお、可動三角プリズム5は、第1測定光の光路長を変更させるための光路変更部材として用いられ、駆動部71の駆動によって第1三角プリズム4に対して矢印A方向に移動される。なお、可動三角プリズム5は、三角ミラーであってもよい。
また、ビームスプリッタ3で反射された第2測定光は、全反射ミラー11で反射された後、リレーレンズ(フォーカシングレンズ)12、全反射ミラー13を介して、ビームスプリッタ6にて反射される。すなわち、第2測定光は、第2測定光路T2(ビームスプリッタ3〜リレーレンズ12〜ビームスプリッタ6)を通過する。
ここで、ビームスプリッタ6に到達した第1測定光及び第2測定光は、第1測定光を透過して第2測定光を反射する特性を有する偏光ビームスプリッタ6によって同軸にされた後、被検眼に向かう。
すなわち、ビームスプリッタ6を透過した第1測定光は、リレーレンズ7によって一旦集光された後、全反射ミラー8、ダイクロイックミラー9、対物レンズ10、ダイクロイックミラー43を介して、被検眼角膜に照射される。なお、前述のビームスプリッタ3〜第1三角プリズム5〜対物レンズ10までの光学部材は、被検眼角膜に第1測定光を照射させるために前眼部に測定光を集光させる第1集光光学系100aとして用いられる。なお、本実施形態では、前述の第1集光光学系100aにより被検眼角膜に向けて第1測定光を照射させる際、被検眼の角膜頂点から水晶体側にずれた約3mmの位置に向かって第1測定光が入射されるように測定光を集光させる構成となっている。このとき、対物レンズ10は、測定光源1から出射された測定光を被検眼前眼部に向けて収束させる収束レンズとして用いられる。
また、ビームスプリッタ6で反射された第2測定光は、リレーレンズ7、ミラー8を介して、一旦集光された後、ダイクロイックミラー9、対物レンズ10、ダイクロイックミラー43を介して、被検眼の眼底に集光される。また、第2測定光は、リレーレンズ12によって、ミラー13とビームスプリッタ6との間で一旦集光される。リレーレンズ12は、駆動部72の駆動により光軸方向(矢印B方向)に移動可能であり、その移動によってリレーレンズ12〜ビームスプリッタ6の光路間のいずれかに形成される集光点Cの位置が移動され、被検眼の視度が補正される。これにより、被検眼の屈折誤差にかかわらず、被検眼の眼底上に第2測定光を集光できる。すなわち、第2測定光路に配置されたリレーレンズ12は、被検眼の眼底に照射される測定光のフォーカス位置を調整するための光学部材として用いられる。なお、ビームスプリッタ3〜リレーレンズ12〜対物レンズ10までの光学部材は、第2測定光を被検眼の所定部位(例えば、被検眼眼底)に集光させるための第2集光光学系100bとして用いられる。
また、照射光学系100における第2測定光路T2には、第2測定光の集光位置を切り換え、第2測定光の照射目標を被検眼眼底と水晶体前面とに選択的に切り換える集光位置切換機構70が配置されている。
より具体的には、集光位置切換機構70として、第2測定光路T2に配置された光学部材(リレーレンズ12)を挿脱させるための駆動部70が設けられている。ここで、制御部80によって駆動部70が駆動され、第2集光光学系100bの光路からリレーレンズ12が外される(図2参照)と、測定光源1から発せられビームスプリッタ3にて反射された第2測定光は、ミラー11、ミラー13、ビームスプリッタ6を介して、リレーレンズ7にて一旦集光された後、全反射ミラー8、ダイクロイックミラー9、対物レンズ10、ダイクロイックミラー43を介して、被検眼の角膜頂点から水晶体側に所定量ずれた被検眼前眼部のいずれかに第2測定光が集光される。なお、本実施形態では、前述の第2集光光学系100bにより被検眼水晶体前面に向けて第2測定光を照射させる際、被検眼の角膜頂点から水晶体側にずれた約3mmの位置に向かって第2測定光が入射されるような構成となっている。この場合、第2集光光学系100bにより被検眼前眼部に向けて第2測定光を照射させるときの入射位置は、第1集光光学系100aによって被検眼前眼部に向けて第1測定光を入射させるときの入射位置と同一になる。
干渉光学系200は、照射光学系100によって照射される被検眼角膜からの反射光と被検眼の所定部位からの反射光との干渉光を受光し、干渉信号を得るために用いられる。ここで、干渉光学系200は、対物レンズ10〜ハーフミラー20までの光路を照射光学系100と共用し、さらに、所定の偏光方向成分の光を透過する直線偏光子51、集光レンズ21、受光素子22、を有する。この場合、被検眼角膜及び被検眼前眼部の所定部位で反射された測定光は、被検眼角膜又は被検眼の所定部位(眼底又は水晶体前面)に照射されるまでの測定光の光路を逆行するように、偏光ビームスプリッタ6によって分離された後、偏光ビームスプリッタ3によって同軸にされた後、再び1/2波長板50を通過し、ハーフミラー20によって反射される。また、直線偏光子51が透過する光の偏光方向が直線偏光子51に入射されるときの第1測定光と第2測定光の各偏光方向に対して傾斜した関係(例えば、各偏光方向に対して45°の関係)となるように直線偏光子51が配置されている。
ここで、被検眼角膜から反射された第1測定光は、対物レンズ10〜ビームスプリッタ6までの光路を逆行後、ビームスプリッタ6を透過して、第1測定光路を逆行し、ビームスプリッタ3を透過後、ハーフミラー20によって反射される。そして、ハーフミラー20で反射された第1測定光の一部は、直線偏光子51を透過後、集光レンズ21にて集光され、受光素子22に入射する。
また、被検眼所定部位(眼底又は水晶体前面)から反射された第2測定光は、対物レンズ10〜ビームスプリッタ6までの光路を逆行後、ビームスプリッタ6で反射されて、第2測定光路を逆行し、ビームスプリッタ3で反射された後、ハーフミラー20によって反射される。そして、ハーフミラー20で反射された第2測定光の一部は、直線偏光子51を透過後、集光レンズ21にて集光され、受光素子22に入射する。
ここで、制御部80によって集光位置切換機構70が駆動制御され、被検眼の眼底に測定光が集光された状態(第2測定光の照射目標が眼底に設定されている状態)で、可動三角プリズム5の移動によって第1測定光(参照光)の光路長が変化されると、被検眼の角膜に照射された第1測定光の光路長(光源1〜角膜、角膜〜受光素子22)と被検眼の眼軸長によって変動する眼底に照射された第2測定光の光路長とが干渉が起こり得る範囲でほぼ等しい関係になるときがある。この場合、第1三角プリズム4で反射されてビームスプリッタ3を透過する第1測定光と、ミラー11で反射されてビームスプリッタ3で反射される第2測定光とが合成されて干渉光とされたのち、ハーフミラー20を介して受光素子22に受光される。
一方、制御部80によって集光位置切換機構70が駆動制御され、被検眼前眼部に測定光が集光された状態(第2測定光の照射目標が水晶体前面に設定されている状態)で可動三角プリズム5の移動によって第1測定光の光路長が変化されると、被検眼の角膜に照射された第1測定光の光路長(光源1〜角膜、角膜〜受光素子22)と被検眼の前房深度によって変動する水晶体前面に照射された第2測定光の光路長(光源1〜水晶体前面、水晶体前面〜受光素子22)とが干渉が起こり得る範囲でほぼ等しい関係になるときがある。この場合、第1測定光は、第1三角プリズム4で反射されてビームスプリッタ3を透過する際に、ミラー11で反射されてビームスプリッタ3で反射される第2測定光と合成され干渉光とされたのち、受光素子22に受光される。
なお、上記構成において、第1測定光路に配置された光学部材と第2測定光路に配置された光学部材によって光路長の変更がなされ、第1測定光の光路長と第2測定光の光路長との光路差は、第1測定光と第2測定光がビームスプリッタ3によって分割されてからビームスプリッタ6で合成されるまでの分割光路での光路差によって生じる。よって、上記のように角膜に照射される第1測定光と眼底に照射される第2測定光との干渉光、及び角膜に照射される第1測定光と水晶体前面に照射される第2測定光との干渉光を発生させるためには、第1測定光路と第2測定光路との光路差をこれに対応させる必要がある。
そこで、前述のように測定光の一部を透過し測定光の一部を反射するビームスプリッタ3によって形成される測定光の透過光路には、ビームスプリッタ3を透過した測定光を反射する反射部材(例えば、三角プリズム4の反射面4a)と,反射面4aによって反射された測定光をビームスプリッタ6へと導く導光部材(例えば、可動三角プリズム5及び三角プリズム4の反射面4b)と,によって形成される迂回光路が設けられている
この場合、第1測定光は、ビームスプリッタ3を透過後に直進してビームスプリッタ6に向かうのではなく、ビームスプリッタ3の透過後、第1三角プリズム4の反射面4aによって反射され、第2反射プリズム5によって折り返した後に、可動三角プリズム4の反射面4bによって反射させてからビームスプリッタ6に到達する。
すなわち、ビームスプリッタ3の透過後、第1三角プリズム4及び可動三角プリズム5によって形成された迂回経路を通過させてからビームスプリッタ6にて第2測定光の光路との合流させることにより、ビームスプリッタ3の反射方向に形成されミラー11及びミラー13による迂回光路を持つ第2測定光路の光路長と第1測定光路の光路長との光路差を短くしている。この場合、第1三角プリズム4及び可動三角プリズム5による迂回光路の光路長を調整することにより、角膜に照射された第1測定光の光路長と水晶体前面に照射された第2測定光の光路長との光路差(前房深度測定用の光路差)に対応できる。これにより、被検眼の角膜からの反射光と被検眼の水晶体前面からの反射光との干渉光を受光素子22に受光させることができる。
また、第1三角プリズム4及び可動三角プリズム5による迂回光路の光路長をさらに延ばすことにより、角膜に照射された第1測定光の光路長と眼底に照射された第2測定光の光路長との光路差(眼軸長測定用の光路差)に対応できる。なお、上記構成においては、ビームスプリッタ3の透過方向を第1測定光路とするような構成としたが、これに限るものではなく、ビームスプリッタ3の透過方向を第2測定光路にするような構成であってもよい。
なお、上記光学系の構成において、上記照射光学系100及び干渉光学系200は、測定光源1から出射された測定光を第1測定光として被検眼角膜に照射して角膜からの反射光を受光するための第1測定光学系と、測定光源1から出射された測定光を第2測定光として被検眼眼底に照射して眼底からの反射光を受光するための第2測定光学系と、して機能する。そして、第1測定光の光路長または前記第2測定光の光路長のいずれかを変更させるための光路長変更手段は、第1測定光学系または第2測定光学系のどちらかに配置される。また、干渉光学系200におけるビームスプリッタ3〜受光素子22までの光路は、第1測定光学系及び第2測定光学系の共通光路に置かれ,第1測定光の反射光と第2測定光の反射光との合成による干渉光を受光し干渉信号を得るための受光光学系として機能する。そして、集光位置切換機構70は、第1測定光学系及び第2測定光学系の共通光路の共通光路とならない第2測定光学系の光路中に配置される所定の光学部材(リレーレンズ12)を移動させることにより、第2測定光の照射目標を被検眼眼底と被検眼の水晶体前面とに選択的に切り換える。
被検眼を固視させるための固視標を被検眼に投影する固視標投影光学系40は、固視用チャートを表示する液晶ディスプレイ42、液晶ディスプレイ42に表示された固視用チャートを被検眼眼底に結像させるための結像レンズ41、可視光を反射して赤外光(測定光)を透過するダイクロイックミラー43、を含む。なお、液晶ディスプレイ42には、所定のパターン形状(例えば、十字マーク)を持つチャートが表示されるようになっており、制御部80による表示制御によってチャートの表示位置が二次元的に移動できるような構成となっている。
被検眼の前眼部を観察するために被検眼の前眼部を撮像する前眼部撮像光学系30は、対物レンズ10、リレーレンズ31、結像レンズ32、二次元撮像素子33、を含む。ここで、図示無き前眼部照明によって赤外照明された前眼部像は、ダイクロイックミラー43、対物レンズ10、測定光の大部分を反射し測定光の一部及び前眼部照明光を透過する波長特性を有するダイクロイックミラー9、リレーレンズ31、結像レンズ32を介して、二次元撮像素子33に結像される。
次に、本実施形態に係る装置の制御系について説明する。制御部80は、表示モニタ81、光源1、受光素子22、駆動部70、駆動部71、駆動部72、コントロール部84、メモリ85、等が接続される。なお、駆動部71及び駆動部72には、パルスモータを用いており、各駆動部に対する駆動量が検出できるようになっている。制御部80は、受光素子22から出力される干渉信号と,光路長変更のために駆動される駆動部71に対する駆動結果(光路長の変更情報)に基づいて、被検眼の眼軸長及び前房深度を演算により求める。また、メモリ85には、求められた測定値などが記憶される。また、コントロール部84には、被検眼の眼軸長を測定する眼軸長測定モードと被検眼の前房深度を測定する前房深度測定モードとを切り換えるモード切換スイッチ84a、測定開始のトリガ信号を発する測定開始スイッチ84b、被検眼の視度を補正するために眼屈折力測定装置(例えば、特開2006−187482号公報参照)によって測定された屈折度数を入力する度数入力スイッチ84c、等の各種スイッチが設けられている。
以上のような構成を備える装置を用いて、被験者眼の眼軸長及び前房深度を測定する場合について説明する。なお、以下の説明では、眼軸長測定、前房深度測定、の順で測定を行う。
眼軸長モードに移行するようにモード切換スイッチ84aが検者によって操作されると、制御部80は、測定モードを眼軸長測定モードに切り換え、駆動部70を駆動させ、第2測定光路T2の光路中にリレーレンズ12が配置された光学配置に切り換える。これにより、被検眼に向けて照射される第2測定光が被検眼の眼底に集光可能な状態となる。
次に、検者は、モニタ81に表示される被験者眼のアライメント状態を見ながら、図示なきジョイスティック等の操作手段を用いて、装置を上下左右及び前後方向に移動させ、装置を被験者眼Eに対して所定の位置関係に置く。より具体的には、被験者眼の角膜頂点もしくは瞳孔中心と測定光軸とが略一致するように装置を上下左右に移動させると共に、装置と被験者眼との作動距離が所定の適正作動距離(例えば、WD=40mm)となるように装置を前後方向に移動させる。また、検者は、固視標投影光学系40によって投影される固視標を被験者眼に固視させる。また、検者は、度数入力スイッチ84cを用いて被検眼の眼屈折力を入力する。そして、制御部80は、入力スイッチ84cで入力された屈折度数に基づいて駆動部72を駆動させリレーレンズ12を移動させることにより、被検眼の視度を補正する。
ここで、測定開始のトリガ信号が発せられると、制御部80は、測定光源1を点灯させ、照射光学系100により測定光を被検眼に照射すると共に、測定光による被検眼からの反射光を干渉光学系200の受光素子22により受光する。また、制御部80は、駆動部71を駆動させることにより可動三角プリズム5を移動させていき、受光素子22から得られる干渉信号と、プリズム5の移動によって変化される第1測定光の光路長(光路長変更部材の駆動結果)、から被検眼の眼軸長を求める。
なお、本実施形態では、第2測定光の光路長より第1測定光の光路長が短くなるようにプリズム5の基準位置(初期位置)が設定されている。したがって、第1測定光の光路長が長くなる方向(第1三角プリズム4から離れる方向)にプリズム5が基準位置から移動されていくと、まず、第1測定光による角膜からの反射光と第2測定光による角膜からの反射光(第2測定光が眼底に向かう際の角膜反射光)との干渉光が受光素子22に検出される(眼軸長0mmの位置)。さらに、プリズム5が移動されていくと、角膜に照射された第1測定光の光路長と眼底に照射された第2測定光との光路長との光路差が少なくなっていき、第1測定光による角膜からの反射光と第2測定光による眼底からの反射光との干渉光が受光素子22に検出される。ここで、第1測定光と第2測定光による角膜からの反射光の干渉光が検出される位置から第1測定光による角膜反射光と第2測定光による眼底反射光との干渉光が検出されるまでのプリズム5の移動量M1は、被検眼の眼軸長に応じて異なる。したがって、所定の演算式を用いて、移動量M1と被検眼の眼軸長との関係を求めておくことにより、プリズム5の移動量M1に対応する眼軸長データを求めることができる。なお、取得された被験者眼の眼軸長の情報は、メモリ85に記憶されるとともに、モニタ81に表示される。また、制御部80は、測定完了後、駆動部71を駆動させることによりプリズム5の移動位置を初期位置に復帰させておく。
以上のように被検眼の眼軸長測定が完了したら、前房深度測定に移行する。ここで、前房深度測定モードの移行するようにモード切換スイッチ84aが検者によって操作されると、制御部80は、測定モードを前房深度モードに切り換え、駆動部70を駆動させることにより、第2測定光路T2からリレーレンズ12が外れた光学配置に切り換える。これにより、被検眼に向けて照射される第2測定光が被検眼の前眼部に集光された状態となる。なお、上記モード切換において、制御部80は、所定の切換信号に基づいて自動的に眼軸長測定モードから前房深度測定モードに切り換えるようにしてもよい。
次に、検者は、表示モニタ81上の前眼部像における測定光の角膜反射による輝点と水晶体前面による輝点を見ながら、ディスプレイ42に表示される固視灯の位置を二次元的に変化させ、モニタ81に表示される角膜輝点と水晶体前面輝点とが重なるように(測定光軸Laと被検眼の眼軸を一致させるため)、コントロール部84に設けられた固視位置変更スイッチ84cを操作する。この場合、制御部80は、スイッチ84cからの操作信号に基づいてディスプレイ42に表示される固視位置を移動させる。ここで、検者によってスイッチ84cが操作され、角膜輝点と水晶体前面輝点との重なりがモニタ81で確認されると、検者は、コントロール部84の測定開始スイッチ84bを押して、被検眼の前房深度測定を開始する。
ここで、測定開始のトリガ信号が発せられると、駆動部71を駆動させることにより可動三角プリズム5を移動させていき、受光素子22から得られる干渉信号と、プリズム5の移動によって変化される第1測定光の光路長(光路長変更部材の駆動結果)、から被検眼の前房深度を求める。
ここで、第1測定光の光路長が長くなる方向にプリズム5が基準位置から移動されていくと、まず、第1測定光による角膜からの反射光と第2測定光による角膜からの反射光(第2測定光が水晶体に向かう際の角膜反射光)との干渉光が受光素子22に検出される(前房深度0mmの位置)。さらに、プリズム5が移動されていくと、角膜に照射(集光)された第1測定光の光路長と水晶体前面に照射(集光)された第2測定光との光路長との光路差が少なくなっていき、第1測定光による角膜からの反射光と第2測定光による水晶体前面からの反射光との干渉光が受光素子22に検出される。ここで、第1測定光と第2測定光による角膜からの反射光の干渉光が検出される位置から第1測定光による角膜反射光と第2測定光による水晶体前面反射光との干渉光が検出されるまでのプリズム5の移動量M2は、被検眼の前房深度に応じて異なる。したがって、所定の演算式を用いて、移動量M2と被検眼の前房深度との関係を求めておくことにより、プリズム5の移動量M2に対応する前房深度を求めることができる。なお、取得された被験者眼の前房深度の情報は、メモリ85に記憶されるとともに、モニタ81に表示される。なお、前房深度測定モードの場合、所定の基準位置からのプリズム5の移動可能範囲は、前房深度の測定が可能な範囲内で移動されるものであればよく、眼軸長測定用に設定された移動可能範囲より短くなるように設定されたものであってもよい。この場合、プリズム5の移動可能範囲が小さい状態(光路長変更部材による光路長の変更範囲が小さい状態)で、プリズム5を往復移動させることで前房深度の測定を複数回行って測定結果の平均化を行うことにより、測定誤差の軽減、測定時間の短縮、が可能となる。
以上のような構成とすれば、被検眼の所定部位に向けて照射される第2測定光を被検眼の眼底に集光するか被検眼の前眼部に集光させるかを切換可能な構成によって、眼底に集光された照射光による眼底反射光と角膜反射光との干渉により眼軸長測定がなされ、被検眼前眼部に集光された照射光による水晶体前面反射光と角膜反射光との干渉により前房深度測定がなされるため、被検眼の眼軸長と前房深度を精度よく測定できる。
なお、以上の説明においては、第1測定光路中に光路変更部材(可動三角プリズム5)を設け、第1測定光の光路長を変更させることにより第1測定光と第2測定光との干渉を生じさせるような構成としたが、第1測定光路と第2測定光路のいずれかに光路変更部材を設け、第1測定光の光路長と第2測定光の光路長のいずれかを変更させることにより第1測定光と第2測定光との干渉を生じさせるような構成であればよい。すなわち、第1測定光と第2測定光の干渉を起こすべく、光路分割部材によって分割された分割光路中に光路長変更部材が設けられた構成により、第1測定光の光路長と第2測定光の光路長との光路差が調整されるものであればよい。この場合、第1測定光路と第2測定光路の各光路長が最も短くなるように各光路の光学部材の位置が調整されたときに(光学部材の可動範囲内)、光路長が短い方の光路に光路長変更部材が配置され、光路長変更部材が配置された光路の光路長が長くなるように光路長変更部材が移動可能な構成であればよい。
なお、以上の説明では、眼軸長測定モードにおける第1測定光の集光位置について、被検眼の角膜頂点から水晶体側に約3mmの位置に向けて第1測定光を入射させるような構成としたが、これに限るものではなく、被検眼前眼部のいずれかに第1測定光を入射させることにより被検眼角膜からの反射光が受光素子22に受光されるものであればよい。例えば、被検眼の角膜頂点又は角膜曲率中心に向けて第1測定光を入射させるようにしてもよい。
また、以上の説明では、前房深度測定モードにおける第2測定光の集光位置について、被検眼の角膜頂点から水晶体側に約3mmの位置に向けて第2測定光を入射させるような構成としたが、これに限るものではなく、被検眼前眼部のいずれかに第2測定光を入射させることにより水晶体前面からの反射光が受光素子22に受光されるものであればよい。例えば、被検眼の曲率中心に向けて第2測定光を入射させるようにしてもよい。なお、実験によれば、角膜と水晶体前面からの反射光による干渉信号を感度(効率)よく取得するためには、被検眼の角膜頂点から水晶体側に約2mm〜4mmずれた位置に第2測定光を入射させる構成が良いことがわかった(より好ましくは、約3mm)。
なお、以上の説明においては、プリズム5の移動量M1及びM2から眼軸長及び前房深度を求めるような構成としたが、これに限るものではなく、受光素子22から得られる干渉信号とプリズム5の駆動結果に基づいて眼軸長測定及び前房深度測定が可能な構成であればよい。例えば、第1測定光による角膜反射光と第2測定光による眼底反射光との干渉光、第1測定光による角膜反射光と第2測定光による水晶体前面反射光との干渉光、が検出されたときのプリズム5の移動位置に基づいて眼軸長及び前房深度を求めるような構成であってもよい。
また、以上の説明においては、照射光学系100の測定光の光路を第1測定光路T1と第2測定光路T2に分割する光路分割部材(但し、干渉光学系200においては光路合成部材として利用される)、及び第1測定光路T1と第2測定光路T2に合成する光路合成部材(但し、干渉光学系200においては光路分割部材として利用される)として、偏光ビームスプリッタ3及び偏光ビームスプリッタ6を用いるような構成により、ハーフミラー等を用いる場合よりも、光路分割部材及び光路合成部材を通過する際の測定光の減衰を軽減できるため、測定精度を向上させることができる。
また、以上の説明においては、リレーレンズ12を第2測定光路T2から外すことにより第2測定光を前眼部に集光させるような構成としたが、第2測定光路中に配置される所定の光学部材を移動させることにより、第2測定光の照射目標が被検眼眼底と被検眼の水晶体前面とで選択的に切り換わるものであればよい。例えば、リレーレンズ12より対物レンズ10側に凹レンズを配置し、被検眼に照射される平行光束を収束光束に変換させることにより、被検眼前眼部に第2測定光が集光されるような構成であってもよい。また、ズームレンズ系を配置し、ズームレンズ系の移動によって被検眼に照射される平行光束を収束光束に変換するようにしてもよい。
また、以上の説明においては、度数入力スイッチ84cの入力値を基に視度補正を行うような構成としたが、上記装置の光学系に眼屈折力測定光学系を付加し、眼屈折力測定光学系によって得られた屈折度数に基づいて視度補正を行うような構成としてもよい。また、制御部80は、第2測定光による眼底からの反射光の光量レベルを受光素子22にてモニタリングし、光量レベルがピークを示す位置に視度補正用の光学部材(例えば、リレーレンズ12)を移動させるようにしてもよい。
なお、以上の説明においては、照射光学系100に形成された分割光路を被検眼反射光が通過した後に、ハーフミラー20によって受光素子22に導くような構成としたが、ビームスプリッタ6よりも被検眼側に照射光学系100と干渉光学系200を分離する光路分割部材を設けるような構成としてもよい。この場合、眼軸長測定時に測定光による角膜反射光と眼底反射光の波面が一致され、前房深度測定時に測定光による角膜反射光と水晶体前面からの反射光の波面を一致させることができるように、干渉光学系200を構成するのが好ましい。
例えば、被検眼と対物レンズ10の間にハーフミラーを設け、ハーフミラーの反射方向に、上記に示した干渉光学系における対物レンズ10〜受光素子22までの受光光路と同様の構成を設けるようなことが考えられる。この場合、光路が分割された照射光学系と干渉光学系の両方に分割光路が配置された状態となる。
なお、以上の説明においては、ビームスプリッタ3のような光路分割部材によって分割される分割光路中に光路変更部材が設けられるような構成としたが、所定の光路分割部材によって分割される分割光路外に、第1測定光の光路長と第2測定光の光路長の少なくともいずれかを変更させるための光路長変更部材が配置された構成であってもよい。
すなわち、測定光源から出射される低コヒーレント光を測定光として被検眼の軸方向において異なる位置に存在する2つの所定部位に向けて照射し,2つの所定部位からの反射光を合成して干渉させることにより所定部位間の眼寸法を測定するための構成を持つ眼寸法測定装置において、異なる所定部位間の眼寸法を測定するために用いる前記測定光の集光位置を実質的に切り換えるものであればよい。
図3は、第2の実施形態に係る眼寸法測定装置の光学系を示す概略光学図である。この場合、第1測定光路T1及び第2測定光路T2の光路外に光路長変更部材が配置された構成となっている。なお、図3において、図1及び図2にて示した番号と同様の番号を付したものについては、特段の説明が無い限り、図1及び図2で説明した構成と同様の構成を備えるものとし、説明を省略する。
照射光学系100によって被検眼に向けて照射された測定光は、第1測定光と第2測定光に分割され、第1測定光は第1集光光学系100aを介して主に被検眼角膜及び水晶体前面に照射され、第2測定光は第2集光光学系100bを介して主に被検眼眼底に照射される。この場合、第1集光光学系100aは、被検眼の角膜頂点から水晶体側に所定量ずれた被検眼前眼部のいずれかに第2測定光が集光されるように被検眼の前眼部に向けて測定光が入射されるような構成となっている。なお、三角プリズム5は、第1三角プリズム4に対して固定されている。この場合、第1測定光路T1における光路長と第2測定光路T2における光路長が異なるように設定されている。
そして、被検眼角膜及び水晶体前面から反射された第1測定光は、被検眼角膜に照射されるまでの第1測定光の光路に対して対物レンズ10〜可動三角プリズム5〜ビームスプリッタ3までの光路を逆方向に進行し、ハーフミラー20で反射される。一方、被検眼眼底から反射された第2測定光は、被検眼眼底に照射されるまでの第2測定光の光路に対して対物レンズ10〜リレーレンズ12〜ビームスプリッタ3までの光路を逆方向に進行し、ハーフミラー20で反射される。
そして、ハーフミラー20で反射された第1測定光による角膜反射光は、直線偏光子51を介して、ハーフミラー103を透過した後、三角プリズム104で反射され、三角プリズム104に対して移動可能な可動三角プリズム105によって折り返された後、第1三角プリズム4で再び反射され、ハーフミラー106を透過する。そして、ハーフミラー106を透過した第1測定光は、集光レンズ21にて集光された後、受光素子22に入射する。なお、可動三角プリズム105は、測定に使用する第1測定光の光路長を変更させるための光路変更部材として用いられ、駆動部171の駆動によって三角プリズム104に対して矢印D方向に移動される。
また、ハーフミラー20で反射された第2測定光による眼底反射光及び第1測定光による水晶体前面反射光は、直線偏光子51を介して、ハーフミラー103で反射され、全反射ミラー111で反射された後、全反射ミラー113を介して、ビームスプリッタ106にて第1測定光の光路と合成される。
なお、上記の場合、第1測定光による角膜反射光にはハーフミラー103を反射されるものが含まれ、第2測定光による眼底反射光及び第1測定光による水晶体前眼部反射光はハーフミラー103で透過されるものが含まれるが、眼寸法測定に使用するものではないため、以下の説明においては、説明を省略する。
ここで、可動三角プリズム5の移動によって角膜に照射された第1測定光の光路長が変化されると、角膜に照射された第1測定光の光路長(光源1〜角膜、角膜〜受光素子22)と眼底に照射された第2測定光の光路長が干渉が起こり得る範囲でほぼ等しい関係になるときがある。この場合、三角プリズム104で反射されてハーフミラー106を透過する第1測定光と、ミラー113で反射されてハーフミラー106で反射される第2測定光とが合成されて干渉光とされたのち、集光レンズ21を介して受光素子22に受光される。
また、可動三角プリズム5の移動によって角膜に照射された第1測定光の光路長が変化されると、角膜に照射された第1測定光の光路長(光源1〜角膜、角膜〜受光素子22)と水晶体前面に照射された第1測定光の光路長(光源1〜水晶体前面、水晶体前面〜受光素子22)とが干渉が起こり得る範囲でほぼ等しい関係になるときがある。この場合、角膜に照射された第1測定光は、ハーフミラー106を透過する際に、ミラー11で反射されてハーフミラー106で反射される水晶体前面に照射された第1測定光と合成され干渉光とされたのち、受光素子22に受光される。
この場合、制御部80は、駆動部171を駆動させることにより可動三角プリズム105を移動させていき、受光素子22から得られる干渉信号と、プリズム105の移動によって変化される角膜に照射された第1測定光の光路長(光路長変更部材の駆動結果)、から被検眼の眼軸長及び前房深度を求める。
すなわち、制御部80は、角膜からの第1測定光と眼底からの第2測定光による干渉光が受光素子22に受光されるように可動三角プリズム105を移動させていき、角膜からの第1測定光と眼底からの第2測定光による干渉光の干渉信号及び光路長変更手段の駆動結果とに基づいて被検眼の眼軸長を測定する。
また、制御部80は、角膜からの第1測定光と水晶体前面からの第1測定光による干渉光が受光素子22に受光されるように可動三角プリズム105を移動させていき、角膜からの第1測定光と水晶体前面からの第1測定光による干渉光の干渉信号及び光路長変更手段の駆動結果とに基づいて被検眼の前房深度を測定する。この場合、上記眼軸長測定に対して、眼寸法を測定するために用いる測定光の集光位置が眼底から前眼部に実質的に切換えられる。
なお、上記の光学系において、第1集光光学系100aは、測定光源1から出射された測定光を第1測定光とし被検眼角膜及び水晶体前面を照射目標として照射するための光学系を持つ第1照射光学系として機能する。第2集光光学系100bは、測定光源1から出射された測定光を第2測定光とし被検眼眼底を照射目標として照射するための光学系を持つ第2照射光学系として機能する。また、ハーフミラー20〜受光素子22までの光路に配置された光学部材は、第1測定光による被検眼からの反射光と第2測定光による被検眼からの反射光とを干渉させて受光し干渉信号を得るための受光光学系であって,測定に使用する第1測定光の光路長または測定に使用する第2測定光の光路長のいずれかを受光光路における光路長の増減のみにて変更させるための光路長変更手段を持つ受光光学系として機能する。
そして、制御部80は、第1測定光による角膜反射光と第2測定光による眼底反射光とを干渉させて得られる干渉信号及び光路長変更手段の変更情報とに基づいて被検眼の眼軸長を測定し,第1測定光による角膜反射光及び水晶体反射光を各々干渉用の前記第1測定光及び第2測定光の反射光として干渉させて得られる干渉信号及び光路長変更手段の変更情報とに基づいて被検眼の前房深度を測定する測定制御手段として機能する。
なお、上記の構成の場合、前房深度測定時に受光素子22への眼底反射光の入射を回避するために、集光光学系100aにおける第2測定光路T2に遮光板を設けるような構成としてもよい。