JP5187010B2 - 金属材の熱間曲げ加工方法及びその装置 - Google Patents

金属材の熱間曲げ加工方法及びその装置 Download PDF

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Description

本発明は金属材、特に、長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位が存在する金属材の熱間曲げ加工方法及びその装置に関し、金属加工の技術分野に属する。
従来、鋼等でなる金属材を、例えば1対のローラ等で構成される固定治具及び可動治具に通して送給しながら、両治具間に配設した誘導加熱コイル等の加熱装置で前記金属材に予め設定された曲げ加工部位を加熱すると共に可動治具を固定治具の金属材送給方向に対して傾動させることにより、前記曲げ加工部位に曲げ応力を与えて該曲げ加工部位を曲げ加工し、かつ、前記加熱装置の直後に配設したノズルから水等の冷媒を噴射して前記曲げ加工部位を急冷することにより、該曲げ加工部位を焼入れして強度を高める金属材の熱間曲げ加工技術が知られている(特許文献1参照)。
一方、近年、強度や板厚等の特性が相異なる複数の金属材同士をつなぎ合わせたテーラードチューブが、例えばサイドフレームやレインフォースメントあるいはクロスメンバといった自動車用構造部材あるいは骨格部材の素材として注目されている。このテーラードチューブは、それが組み付けられる自動車の部位毎にそれぞれ相異なる要求に一括して対応できるという利点がある。
そして、このようなテーラードチューブは、特性が相異なる複数の金属板の端面同士を突き合わせて溶接してテーラードブランクを作製した後、これを管に成形して突き合わせた端面同士を溶接することにより製造される。その結果、テーラードチューブの長さ方向の途中には、テーラードチューブの周方向に延びる隣接する金属材同士の溶接部と、長さ方向に延びる管成形時の溶接部とが交差する部位が存在し、この交差部位においては、強度が他の部位よりも相対的に低くなっている。
特開2007−83304
したがって、前記テーラードチューブのように、長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位が存在し、しかも、該低強度部位を含む所定範囲が曲げ加工部位とされた金属材を、前記曲げ加工技術で熱間曲げ加工すると、前記低強度部位でワレ(crack)やシワ(wrinkle)が発生し易いという問題がある。この問題に対しては、金属材を曲げ加工する前に、前記低強度部位を焼入れ等して予め低強度部位の強度を高めておくことが考えられる。しかし、それでは、金属材の曲げ加工作業の前に焼入れ作業が追加されることになり、作業が増えて、生産性が低下してしまう。
そこで、本発明は、長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位が存在し、該低強度部位を含む所定範囲が曲げ加工部位とされた金属材を熱間曲げ加工する場合に、余分な作業を追加することなく、前記低強度部位でのワレやシワの発生を抑制することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明では次のような手段を用いる。なお、以下の手段の開示において、後述する発明の実施形態で相当する符号を参考までに付記した。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位Cが存在し、該低強度部位Cを含む所定範囲が曲げ加工部位Rとされた金属材Wを、固定治具12及び可動治具15に通して送給しながら、両治具12,15間に配設した加熱装置13で前記曲げ加工部位Rを加熱すると共に可動治具15を固定治具12の金属材送給方向に対して傾動させることにより、前記曲げ加工部位Rを曲げ加工し、かつ、前記加熱装置13の直後に配設した急冷装置14で前記曲げ加工部位Rを急冷することにより、該曲げ加工部位Rを焼入れする金属材Wの熱間曲げ加工方法であって、前記低強度部位Cが前記加熱装置13及び前記急冷装置14を通過する期間中は、前記曲げ加工部位Rのうち前記低強度部位Cよりも前の部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具15を、その傾動姿勢のまま、前記金属材Wの送給速さと同じ速さで、前記固定治具12の金属材送給方向と同じ方向に移動させる(S2)ことを特徴とする。
次に、本願の請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の金属材Wの熱間曲げ加工方法であって、前記金属材Wは、相異なる金属材がつなぎ合わされたテーラードチューブであり、前記低強度部位Cは、隣接する金属材同士の周方向の溶接部Aと管成形時の長さ方向の溶接部Bとの交差部位であることを特徴とする。
次に、本願の請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の金属材Wの熱間曲げ加工方法であって、前記低強度部位Cが前記加熱装置13及び前記急冷装置14を通過した後、前記金属材W及び前記可動治具15を、相互に同じ速さで、前記低強度部位Cが前記加熱装置13を通過する前の位置まで逆送させ(S4)、その後、曲げ加工の続きを再開する(S6)ことを特徴とする。
次に、本願の請求項4に記載の発明は、長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位Cが存在し、該低強度部位Cを含む所定範囲が曲げ加工部位Rとされた金属材Wを、固定治具12及び可動治具15に通して送給しながら、両治具12,15間に配設した加熱装置13で前記曲げ加工部位Rを加熱すると共に可動治具15を固定治具12の金属材送給方向に対して傾動させることにより、前記曲げ加工部位Rを曲げ加工し、かつ、前記加熱装置13の直後に配設した急冷装置14で前記曲げ加工部位Rを急冷することにより、該曲げ加工部位Rを焼入れするための金属材Wの熱間曲げ加工装置1であって、前記低強度部位Cが前記加熱装置13及び前記急冷装置14を通過する期間中は、前記曲げ加工部位Rのうち前記低強度部位Cよりも前の部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具15を、その傾動姿勢のまま、前記金属材Wの送給速さと同じ速さで、前記固定治具12の金属材送給方向と同じ方向に移動させる制御手段20(S2)を備えていることを特徴とする。
次に、本願の請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の金属材Wの熱間曲げ加工装置1であって、前記低強度部位Cが前記加熱装置13及び前記急冷装置14を通過した後、前記金属材W及び前記可動治具15を、相互に同じ速さで、前記低強度部位Cが前記加熱装置13を通過する前の位置まで逆送させる逆送手段20(S4)と、その後、曲げ加工の続きを再開する再開手段20(S6)とを備えていることを特徴とする。
まず、請求項1及び請求項4に記載の発明によれば、金属材を固定治具及び可動治具に通して送給しながら、前記金属材に予め設定された曲げ加工部位を曲げ加工し、かつ焼入れする金属材の熱間曲げ加工技術において、低強度部位が加熱装置及び急冷装置を通過する期間中は、曲げ加工部位のうち低強度部位よりも前の部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具を、その傾動姿勢のまま、金属材の送給速さと同じ速さで、固定治具の金属材送給方向と同じ方向に移動させるようにしたから、前記低強度部位は、可動治具による曲げ応力を受けることなく、加熱装置による加熱及び急冷装置による急冷だけを受けて、結果的に焼入れのみされることとなる。
したがって、別途低強度部位の焼入れ作業を追加することなく、曲げ加工作業の工程の中で低強度部位の強度を曲げ加工前に予め高めることができ、その結果、生産性を低下させずに、低強度部位でのワレやシワの発生を抑制することが可能となる。
このように、本発明の特徴は、従来知られた曲げ加工と焼入れとを同時に行う金属材の熱間曲げ加工技術において、可動治具による曲げ応力を生じさせずに金属材に対して加熱と急冷とを行うことにより、金属材を曲げ加工せずに焼入れだけできることに着目したものである。そして、その場合に、低強度部位よりも前の曲げ加工部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具による曲げ応力を一時的に停止させる構成としては、前記請求項1及び4のように可動治具を傾動姿勢を維持した状態で金属材と同期して移動させることの他に、可動治具を移動させずに傾動姿勢を金属材の通過に連動して徐々に元に戻すことも考えられる(第2案)。この2つの構成を比べた場合、いずれも可動治具の曲げ応力を一時解消する構成として有効であるが、特に、請求項1及び4の構成は、金属部材と拗れを起こさずに可動治具の傾動姿勢を元に戻す第2案よりも簡単でスピーディかつ容易に実現することができるという利点がある。
次に、請求項2に記載の発明によれば、相異なる金属材がつなぎ合わされたテーラードチューブを固定治具及び可動治具に通して送給しながら、曲げ加工部位を曲げ加工し、かつ焼入れする場合に、テーラードチューブの周方向に延びる溶接部と長さ方向に延びる溶接部との交差部位でワレやシワの発生を抑制することが可能となる。
なお、前記請求項1及び4に記載の発明においては、金属材は板状あるいは棒状のテーラードブランクでもよく、その場合、低強度部位は隣接する金属材同士の溶接部(前記周方向溶接部Aに相当する溶接部)そのものでもよい。
次に、請求項3及び請求項5に記載の発明によれば、低強度部位が加熱装置及び急冷装置を通過した後、つまり低強度部位が焼入れのみされた後は、金属材と可動治具とを、相互に同じ速さで、低強度部位が加熱装置を通過する前の位置まで逆送させ、その後、曲げ加工の続きを再開するようにしたから、1回の曲げ加工作業で、すなわち金属材を熱間曲げ加工装置に1回セッティングするだけで、低強度部位の予めの焼入れと、該低強度部位を含む曲げ加工部位の曲げ加工及び焼入れとを効率よく行って、短時間で最終製品に仕上げることが可能となる。以下、発明の最良の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説述する。
図1は、本発明の最良の実施の形態に係る金属材Wの熱間曲げ加工装置1の全体構成を示す斜視図である。
この熱間曲げ加工装置1は、水平方向に延びる金属材Wの終端部を保持する金属材保持装置10を有する。保持装置10は軌道11の上を移動自在に構成されている。保持装置10の前方には、上流側から、固定ローラ12…12、誘導加熱コイル13、冷却水噴射装置14、及び可動ローラ15,15がこの順に配設されている。
固定治具としての固定ローラ12…12は、前後2段階に金属材Wを両側から挟み付けて金属材Wの送給方向を決定する。
加熱装置としての誘導加熱コイル13は、金属材Wを取り囲む形状で、取り囲んだ範囲及びその周辺において金属材Wを局部的に所定温度(金属材Wの塑性変形可能かつ焼入れ可能温度)に加熱する。
急冷装置としての冷却水噴射装置14は、金属材Wを取り囲む形状で、取り囲んだ範囲及びその周辺においてノズルから金属材Wに冷却水を局部的に噴射して金属材Wを急冷する。
可動治具としての可動ローラ15,15は、ハウジング16に収容されて金属材Wを両側から挟み付ける。そして、前記固定ローラ12…12の金属材送給方向と同じ方向(x軸方向)に移動自在、前記固定ローラ12…12の金属材送給方向と水平方向に直行する方向(y軸方向)に移動自在、前記固定ローラ12…12の金属材送給方向と垂直方向に直行する方向(z軸方向)に移動自在、y軸周りに回動自在、及びz軸周りに回動自在に構成されている。そして、これらの動きが組み合わされて、可動ローラ15,15は、固定ローラ12…12の金属材送給方向に対して傾動し、これにより金属材Wに曲げ応力を与えて、該金属材Wを誘導加熱コイル13で加熱された部位(後述するように曲げ加工部位R)において曲げ加工する。
図2は、曲げ加工前の金属材Wの製造工程図である。この実施形態においては、金属材Wは、相異なる金属材がつなぎ合わされたテーラードチューブである。すなわち、特性が相異なる複数の金属板(図例では2つの金属板)の端面同士を突き合わせて溶接してテーラードブランクを作製した後、これを管に成形して突き合わせた端面同士を溶接することにより製造される。その結果、このテーラードチューブWの長さ方向の途中には、テーラードチューブWの周方向に延びる隣接する金属材同士の溶接部Aと、長さ方向に延びる管成形時の溶接部Bとが交差する部位Cが存在し、この交差部位Cにおいては、強度が他の部位よりも相対的に低くなっている。そして、このテーラードチューブWにおいては、前記低強度部位Cを含む所定範囲が曲げ加工部位Rに予め設定されている。
図3は、この熱間曲げ加工装置1の制御システム図である。この曲げ加工装置1は、前記保持装置10を軌道11上で移動させるための(換言すれば金属材Wを送給するための)テーラードチューブ送給アクチュエータ21、前記誘導加熱コイル13、前記冷却水噴射装置14、前記可動ローラ15,15をx軸方向、y軸方向、z軸方向に移動させるためのアクチュエータ22,23,24、及びy軸周り、z軸周りに回動させるためのアクチュエータ25,26に制御信号を出力して、この曲げ加工装置1が行う金属材Wの熱間曲げ加工動作(金属材Wの熱間曲げ加工方法)を統括制御するコントロールユニット20を備えている。
コントロールユニット20は、金属材Wの横溶接部A及び縦溶接部Bの位置、ひいては低強度部位Cの位置が登録されたメモリ20aを具備している。このメモリ20aには、その他、曲げ加工部位Rの範囲等も格納されている。
図4は、曲げ加工後の金属材Wの平面図である。この実施形態においては、金属材Wは、前後2箇所で反対方向に曲げ加工され、S字状の最終製品に仕上げられる。特に、後段の曲げ加工においては、横溶接部Aと縦溶接部Bとの交差部位である低強度部位Cが曲げ加工部位Rに含まれている。このS字状製品は、例えばサイドフレームやレインフォースメントあるいはクロスメンバといった自動車用構造部材あるいは骨格部材の素材として用いられる。
図5は、この曲げ加工装置1が行う金属材Wの熱間曲げ加工動作(金属材Wの熱間曲げ加工方法)の具体的1例を示すフローチャートである。
ステップS1で、金属材Wの横溶接部Aが誘導加熱コイル13の直前位置に来たか否かを判定する。金属材Wの低強度部位Cは、金属材Wの送給方向においては、横溶接部Aと同じ位置にあるので、この判定は、結局、金属材Wの低強度部位Cが誘導加熱コイル13の直前位置に来たか否かを判定しているのである。
なお、この判定は、メモリ20aに登録された低強度部位Cの位置、誘導加熱コイル13の位置、及び金属材Wの送給速さ等に基き判定される。もちろん、適宜センサで低強度部位Cを直接検出するようにしてもよい。
また、この判定が行われるまでにすでに低強度部位Cよりも前の曲げ加工部位Rが誘導加熱コイル13を通過しており、誘導加熱コイル13は金属材Wの塑性変形可能かつ焼入れ可能温度に加熱可能に作動しており、可動ローラ15,15は加熱された曲げ加工部位Rを曲げ加工可能に傾動しているのである。
その結果、来たときは、ステップS2で、可動ローラ15,15の傾動姿勢を維持させたまま、ワーク(金属材Wであるテーラードチューブ)の送給速さと同じ速さで、固定ローラ12…12のワーク送給方向と同じ方向(x軸方向)に、可動ローラ15,15を移動させる。
すなわち、低強度部位Cは曲げ加工部位Rに含まれているから、前述したように、可動ローラ15,15は、曲げ加工部位Rのうち低強度部位Cよりも前に位置する部位を曲げ加工するためにすでに傾動しており、その傾動姿勢を保った状態で、可動ローラ15,15を金属材Wと同期して前方に移動させるのである。
次いで、ステップS3で、金属材Wの横溶接部A、すなわち低強度部位Cが冷却水噴射装置14を通過したか否かを判定する。つまり、低強度部位Cが誘導加熱コイル13で焼入れ可能温度に加熱され、冷却水噴射装置14で冷却されて、焼入れされたか否かを判定しているのである。
なお、この判定も、メモリ20aに登録された低強度部位Cの位置、冷却水噴射装置14の位置、及び金属材Wの送給速さ等に基き判定される。もちろん、適宜センサで低強度部位Cを直接検出するようにしてもよい。
その結果、通過したときは、ステップS4で、可動ローラ15,15の傾動姿勢を維持させたまま、ワーク(金属材Wであるテーラードチューブ)と可動ローラ15,15とを、相互に同じ速さで、x軸方向に逆送させる。
次いで、ステップS5で、金属材Wの横溶接部A、すなわち低強度部位Cが誘導加熱コイル13の直前位置に戻ったか否かを判定する。
その結果、戻ったときは、ステップS6で、曲げ加工の続きを再開する。つまり、焼入れされた低強度部位Cを含む曲げ加工部位Rの後半部分に対して、改めて、誘導加熱コイル13による加熱、傾動した可動ローラ15,15による曲げ加工(今度は可動ローラ15,15は移動しない)、及び冷却水噴射装置14による冷却を行うのである。
図6は、この曲げ加工装置1が行う金属材Wの熱間曲げ加工動作(金属材Wの熱間曲げ加工方法)の具体的1例を示す工程図である。
図6(a)に示すように、金属材Wは、固定ローラ12…12及び可動ローラ15,15を通過して送給され、その送給に伴い、低強度部位Cが誘導加熱コイル13に近づいて来る。
次いで、図6(b)に示すように、曲げ加工部位Rの前端部が誘導加熱コイル13に入ると、誘導加熱コイル13が作動して、該曲げ加工部位Rだけが、局部的に、金属材Wの塑性変形可能かつ焼入れ可能温度に加熱される(図中ドットを施した部分)。
次いで、図6(c)に示すように、低強度部位Cが誘導加熱コイル13の直前位置に来ると(ステップS1:この時点では可動ローラ15,15は曲げ加工部位Rのうち低強度部位Cよりも前に位置する部位を曲げ加工するためにすでに傾動している)、図6(d)に示すように、可動ローラ15,15は、その傾動姿勢を維持したまま、金属材Wと同期して前方に移動する(ステップS2)。
そして、低強度部位Cが冷却水噴射装置14を通過すると(ステップS3)、図6(e)に示すように、可動ローラ15,15は、その傾動姿勢を維持したまま、金属材Wと共に同期して後方に逆送する(ステップS4)。
そして、低強度部位Cが誘導加熱コイル13の直前位置に戻ると(ステップS5)、曲げ加工の続きが再開され(ステップS6)、図6(f)に示すように、低強度部位Cを含む曲げ加工部位Rの後半部分が曲げ加工される。
なお、以上において、加熱装置13による加熱温度としては、金属材Wにも依るが、特に、鉄系材料の場合、曲げ加工温度及び焼入れ温度共に、800℃〜1050℃等が好ましく、850℃程度がより好ましい。
800℃以下では、焼入れ効果が十分に現れず、成形品における引張強度の向上が不十分となる。一方、1050℃を超えて加熱すると、引張強度の向上が飽和し又は却って低下傾向となり(理由は過度の高温化に伴う金属結晶の粗大化によって結晶組織の結び付きが却って粗くなるためと考えられる)、エネルギコストの割には実益に乏しい。
急冷装置14による焼入れの入る冷却速度としては、A変態点以下に冷却することが好ましい。A変態点とは、残留オーステナイト等を除いて、冷却時にオーステナイトからのパーライト変態がおよそ終了する温度である。なお、鋼管の冷却方法及び冷却条件としては特に限定されず、一般的な冷却方法及び冷却条件を採用することが可能である。
また、冷却液としては、水、特に防錆剤を含有した水等の冷媒が好ましい。
さらに、金属材Wの送給速さとしては、150mm/秒程度以下の速さが曲げ加工の精度の点から好ましい。
そして、テーラードチューブWの異種材の組み合わせとしては、基本的に、板圧の異なる異種材同士が好ましい用いられる。
以上のように、この実施形態によれば、金属材Wを固定治具12及び可動治具15に通して送給しながら、前記金属材Wに予め設定された曲げ加工部位Rを曲げ加工し、かつ焼入れする金属材Wの熱間曲げ加工技術において、低強度部位Cが加熱装置13及び急冷装置14を通過する期間中は、曲げ加工部位Rのうち低強度部位Cよりも前の部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具15を、その傾動姿勢のまま、金属材Wの送給速さと同じ速さで、固定治具12の金属材送給方向と同じ方向に移動させるようにしたから(S2)、前記低強度部位Cは、可動治具15による曲げ応力を受けることなく、加熱装置13による加熱及び急冷装置14による急冷だけを受けて、結果的に焼入れのみされることとなる。
したがって、別途低強度部位Cの焼入れ作業を追加することなく、曲げ加工作業の工程の中で(図6参照)低強度部位Cの強度を曲げ加工前に予め高めることができ、その結果、生産性を低下させずに、低強度部位Cでのワレやシワの発生を抑制することが可能となる。
なお、低強度部位Cよりも前の曲げ加工部位Rを曲げ加工するために傾動させた可動治具15による曲げ応力を一時的に停止させる構成としては、図6(d)に鎖線(ア)で示したように、可動治具15を移動させずに金属材Wの通過に連動して傾動姿勢を徐々に元に戻すことも考えられる。これと比較すると、この実施形態は、金属部材Wと拗れを起こさずに可動治具15の傾動姿勢を元に戻すよりも簡単でスピーディかつ容易に実現することができるという利点がある。
また、相異なる金属材がつなぎ合わされたテーラードチューブWを固定治具12及び可動治具15に通して送給しながら、曲げ加工部位Rを曲げ加工し、かつ焼入れする場合に、テーラードチューブWの周方向に延びる溶接部Aと長さ方向に延びる溶接部Bとの交差部位Cでワレやシワの発生を抑制することが可能となる。
また、低強度部位Cが加熱装置13及び急冷装置14を通過した後、つまり低強度部位Cが焼入れのみされた後は、金属材Wと可動治具15とを、相互に同じ速さで、低強度部位Cが加熱装置13を通過する前の位置まで逆送させ(S4)、その後、曲げ加工の続きを再開するようにしたから(S6)、1回の曲げ加工作業で、すなわち金属材Wを熱間曲げ加工装置1に1回セッティングするだけで、低強度部位Cの予めの焼入れと、該低強度部位Cを含む曲げ加工部位Rの曲げ加工及び焼入れとを効率よく行って、短時間で最終製品に仕上げることが可能となる。
なお、金属材Wとしては、テーラードチューブに代えて、板状あるいは棒状のテーラードブランクでもよく、その場合、低強度部位は隣接する金属材同士の溶接部(前記周方向溶接部Aに相当する溶接部)そのものでもよい。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位が存在し、該低強度部位を含む所定範囲が曲げ加工部位とされた金属材を熱間曲げ加工する場合に、余分な作業を追加することなく、前記低強度部位でのワレやシワの発生を抑制することが可能な技術であるから、テーラードチューブ等の金属材を金属加工する技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
本発明の最良の実施の形態に係る金属材の熱間曲げ加工装置の全体構成を示す斜視図である。 曲げ加工前の金属材(テーラードチューブ)の製造工程図である。 前記熱間曲げ加工装置の制御システム図である。 曲げ加工後の金属材の平面図である。 前記熱間曲げ加工装置が行う熱間曲げ加工動作(熱間曲げ加工方法)の具体的1例を示すフローチャートである。 前記熱間曲げ加工装置が行う熱間曲げ加工動作(熱間曲げ加工方法)の具体的1例を示す工程図である。
符号の説明
1 金属材の熱間曲げ加工装置
10 金属材保持装置
11 軌道
12 固定治具(固定ローラ)
13 加熱装置(誘導加熱コイル)
14 急冷装置(冷却水噴射装置)
15 可動治具(可動ローラ)
16 可動治具ハウジング
20 制御手段、逆送手段、再開手段(コントロールユニット)
A 周方向の溶接部(横溶接部)
B 長さ方向の溶接部(縦溶接部)
C 低強度部位(交差部位)
R 曲げ加工部位
W 金属材(テーラードチューブ)

Claims (5)

  1. 長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位が存在し、該低強度部位を含む所定範囲が曲げ加工部位とされた金属材を、固定治具及び可動治具に通して送給しながら、両治具間に配設した加熱装置で前記曲げ加工部位を加熱すると共に可動治具を固定治具の金属材送給方向に対して傾動させることにより、前記曲げ加工部位を曲げ加工し、かつ、前記加熱装置の直後に配設した急冷装置で前記曲げ加工部位を急冷することにより、該曲げ加工部位を焼入れする金属材の熱間曲げ加工方法であって、
    前記低強度部位が前記加熱装置及び前記急冷装置を通過する期間中は、前記曲げ加工部位のうち前記低強度部位よりも前の部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具を、その傾動姿勢のまま、前記金属材の送給速さと同じ速さで、前記固定治具の金属材送給方向と同じ方向に移動させることを特徴とする金属材の熱間曲げ加工方法。
  2. 前記請求項1に記載の金属材の熱間曲げ加工方法であって、
    前記金属材は、相異なる金属材がつなぎ合わされたテーラードチューブであり、
    前記低強度部位は、隣接する金属材同士の周方向の溶接部と管成形時の長さ方向の溶接部との交差部位であることを特徴とする金属材の熱間曲げ加工方法。
  3. 前記請求項1又は2に記載の金属材の熱間曲げ加工方法であって、
    前記低強度部位が前記加熱装置及び前記急冷装置を通過した後、前記金属材及び前記可動治具を、相互に同じ速さで、前記低強度部位が前記加熱装置を通過する前の位置まで逆送させ、その後、曲げ加工の続きを再開することを特徴とする金属材の熱間曲げ加工方法。
  4. 長さ方向の途中に強度が他の部位よりも相対的に低い低強度部位が存在し、該低強度部位を含む所定範囲が曲げ加工部位とされた金属材を、固定治具及び可動治具に通して送給しながら、両治具間に配設した加熱装置で前記曲げ加工部位を加熱すると共に可動治具を固定治具の金属材送給方向に対して傾動させることにより、前記曲げ加工部位を曲げ加工し、かつ、前記加熱装置の直後に配設した急冷装置で前記曲げ加工部位を急冷することにより、該曲げ加工部位を焼入れするための金属材の熱間曲げ加工装置であって、
    前記低強度部位が前記加熱装置及び前記急冷装置を通過する期間中は、前記曲げ加工部位のうち前記低強度部位よりも前の部位を曲げ加工するために傾動させた可動治具を、その傾動姿勢のまま、前記金属材の送給速さと同じ速さで、前記固定治具の金属材送給方向と同じ方向に移動させる制御手段を備えていることを特徴とする金属材の熱間曲げ加工装置。
  5. 前記請求項4に記載の金属材の熱間曲げ加工装置であって、
    前記低強度部位が前記加熱装置及び前記急冷装置を通過した後、前記金属材及び前記可動治具を、相互に同じ速さで、前記低強度部位が前記加熱装置を通過する前の位置まで逆送させる逆送手段と、
    その後、曲げ加工の続きを再開する再開手段とを備えていることを特徴とする金属材の熱間曲げ加工装置。
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