JP5183859B2 - 洗浄料 - Google Patents
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Description
従来の洗浄料においては、適当な粘度をだす場合、電解質(塩類)の配合などにより活性剤ミセルに作用させて増粘していた。しかしこの時、低粘度だと容器から手に取った時に「手垂れ」がおこったり、「液だれ」をおこして使いにくかった。逆に高粘度だと容器から出し難くなる上にメークと馴染ませ難くなる問題があった。またオイル系メーク落としでは濡れた顔や2度洗いのときに充分なメーク落とし効果が得られない問題点があった。
コアセルベートの基礎研究(非特許文献1参照)から、その生成条件には少なくとも(1)ポリマーの種類、電荷密度(カチオン化度)、分子量、濃度、(2)界面活性剤ミセルの表面電荷密度(活性剤組成)、濃度、(3)イオン強度(塩濃度)が大きく関与することが知られているが、処方作成においては多くの場合、経験に基づいて使用性の調整が行われている。したがってシャンプーのすすぎ時におけるカチオン性高分子と活性剤ミセルの相互作用に焦点をおいたコアセルベートの基礎的物性を明らかにすることで、素材の能力を最大限に引き出すこと、ならびに新規の機能性を付与することが期待される。
また本発明者らは先にシャンプー原液とコアセルベート相の動的粘弾性について研究し、コアセルベート相はG’(貯蔵弾性率)がG”(損失弾性率)と比べて、G’>G”となるような粘弾性特性を有するものであることを見出している(非特許文献2参照)。
したがって本発明の目的は、コアセルベートの基礎的物性を明らかにしてコアセルベートを明確に定義すると共に、コアセルベートをより多く含む洗浄料を開発することにある。
前記アニオン性界面活性剤と前記両性界面活性剤との合計配合量が3.0〜15.0質量%であり、前記カチオン性高分子の配合量が0.1〜5.0質量%であり、
メイク落とし用のメイク落とし洗浄料であり、
前記2層のうちの下層が40℃において、G’(貯蔵弾性率)がG”(損失弾性率)と比べて、角速度が30〜100rad/sの範囲においてG’>G”となるような粘弾性特性を有することを特徴とする洗浄料である。ここで前記2層のうちの下層が全体の10質量%以上を占めることが好ましい。
前記2層のうちの下層が40℃において、G’(貯蔵弾性率)がG”(損失弾性率)と比べて、角速度が30〜100rad/sの範囲においてG’>G”となるような粘弾性特性を有するものである。
本発明の洗浄料は、この下層を使用しようとするものであるので、使用に当たっては、例えば、シャンプー用のディスペンサー付き容器に充填して、ディスペンサーにより下部より洗浄剤を取り出すという方法を採用する。
本発明で用いられるアニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルイセチオン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−ラウロイル−N−メチルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などが挙げられる。好適なアニオン性界面活性剤の例としては、アルキル硫酸塩およびポリオキシエチレンアルキル硫酸塩があり、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸Na、例えば商品名アルスコープ NS−230:東邦化学工業社製)が含まれる
両性界面活性剤としては、アルキルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミノカルボン酸、アルキルスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルベタインなどが挙げられる。好適な両性界面活性剤の例には、ラウリルベタイン(ニッサンアノンBL−SF:日本油脂社製)、コカミドプロピルベタイン(レボン2000HG:三洋化成工業社製)、ココアンホ酢酸ナトリウム(オバゾリン662N−SF:東邦化学工業社製)が含まれる。
カチオン性高分子としては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タマリンドガム、カチオン化フェヌクリークガム、塩化ジメチルジアリル・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体などが挙げられる。このうち特に、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2(カチナールHC−100:東邦化学工業社製)、カチオン化グアーガム(カチナールCTR−100:東邦化学工業社製)、カチオン化ローカストビーンガム(カチナールCLB−100:東邦化学工業社製)が好ましい。
本発明の洗浄料に用いられる成分としては、電解質が挙げられる。電解質としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩が挙げられる。電解質は、従来の洗浄料においては系を増粘させるため必須の成分であったが、本発明においては、必ずしも配合する必要はない。
(1)組成
次の処方のモデルシャンプーを用い、これを希釈した時のモデルシャンプー希釈時に生成するコアセルベート相の量と組成を調べた。モデルシャンプーにイオン交換水を各希釈率(3〜7倍)になるように加えた時、コアセルベート相は全体の約4〜1.5質量%の割合で観察された。コアセルベート相は希薄相に比べて、いずれの希釈倍率においても3〜5倍の固形分濃度を示した。また3倍希釈時の各相の1H−NMR測定結果よりカチオン性高分子はコアセルベート相中に選択的に存在していることがわかった。
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 7.5 質量%
(ラウレス硫酸Na)
コカミドプロピルベタイン 4.5
カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2 0.5
塩化ナトリウム 1.0
精製水 残余
コアセルベート相のレオロジー的な性質を知るために動的粘弾性測定を行なった。また比較のためにシャンプー原液も同様に測定した。その結果を図1に示す。
なお上記の粘弾性特性の測定結果は、コアセルベート層とされるものに一般的に適用されるものであった。
試験例1の処方のモデルシャンプーにおいて塩化ナトリウムを無配合とし、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤との配合比(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸Na、LESと略)/コカミドプロピルベタイン(AMPBと略)=5/3、質量比)をそのままとして合計配合量を種々変化させ、かつカチオン性高分子の配合量を変化させてその状態を観察した。その結果を図2に示す。
図2中、測定点は、●が二相(カスミ〜濁り)であり、×が透明一層である。また測定線は、二相状態(透明〜濁り)と透明一層の境界線を示しており、斜線部分が二相状態(透明〜濁り、コアセルベート層)になったところ、斜線部分の外側が透明一層になったところである。
上記試験例2と同様にして、塩化ナトリウムの濃度を0.5質量%、1.0質量%、1.5質量%、2.0質量%、2.5質量%配合とし、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤との配合比(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸Na、LESと略)/コカミドプロピルベタイン(AMPBと略)=5/3、質量比)をそのままとして合計配合量を種々変化させ、かつカチオン性高分子の配合量を変化させてその状態を観察した。その結果について、上記で定義した測定線のみを図3に示す。
試験例2の処方である塩化ナトリウムを無配合とした時の状態図において、下層が10質量%以上を占める部分、および50質量%以上を占める部分を図4に示す。
図4中、斜線の部分が10質量%以上を占める部分、格子部分が50質量%以上を占める部分である。
次の表1〜表4に示す処方で後記する方法で洗浄料を調製し、その外観、粘弾性測定、使用性(使いやすさ(手取り)、メーク落ち(口紅)、メーク落ち(マスカラ)、タオルドライ後の唇、タオルドライ後の目の周り)を後記する方法で評価した。また、コアセルベート層比(外観上の下層/全体)について測定したものについては、その値を記載した。その結果を併せて表1〜表4に示す。なお表中の実施例1,2,10〜17、21は本発明に含まれない参考例である。
水にカチオン性高分子を分散させてから70℃に加温し、次いで塩類、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などを添加し、冷却して洗浄料を得た。
(1)外観
洗浄料を静置し、その外観を次の方法で評価した。
◎:製造直後より二層分離(上層が透明層)
○:濁り状態(液−液二相分離)
×:溶解していて分離なし
試料が二層分離している場合は下層物を取り出し、二層分離してない場合は均一層よりサンプリングし、TA instruments社製 Rheometer AR 1000−Nを用いて、測定温度:40℃、評価した角速度範囲:30〜100rad/sの条件でG’(貯蔵弾性率)およびG”(損失弾性率)を測定した。その結果を次の方法で評価した。
○:G’>G”またはG’=G”
×:G’<G”
使用性に関する上記5項目について、専門パネル20名によって、次の1〜4の4段階評価を行い、その平均値を示した。なお、試料が二層分離している場合は下層物を取り出し、二層分離してない場合は均一層よりサンプリングして用いた。下層物の取り出し方法としては、シャンプー用のディスペンサー付き容器に充填して、ディスペンサーにより下部より洗浄剤を取り出すという方法で行った。
(評価方法)
1:不満である。
2:やや不満である。
3:やや満足である。
4:満足である。
実施例22
ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸Na)液(30%) 17.5 質量%
コカミドプロピルベタイン液(30%) 10.5
カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2 2.1
コカミドモノエタノールアミド(MEA) 0.4
イソプレングリコール 3.5
クエン酸 0.1
安息香酸ナトリウム 0.2
水 65.7
水にカチオン性高分子を分散させてから70℃に加温した。次いで、塩類、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などを添加し、冷却して製造した。
(粘弾性測定結果)
30rad/s:G’=451Pa、G”=173Pa
100rad/s:G’=681Pa、G”=245Pa
Claims (2)
- アニオン性界面活性剤と、両性界面活性剤と、カチオン性高分子とを少なくとも含み、20〜40℃で2相となり、外観上でも2層に分離した状態を呈する洗浄料であって、
前記アニオン性界面活性剤と前記両性界面活性剤との合計配合量が3.0〜15.0質量%であり、前記アニオン性界面活性剤の配合量が1.0〜6.0質量%であり、前記カチオン性高分子の配合量が0.1〜5.0質量%であり、
メイク落とし用のメイク落とし洗浄料であり、
前記アニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムであり、前記両性界面活性剤がラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびココアンホ酢酸ナトリウムから選ばれる一種又は二種以上であり、前記カチオン性高分子がカチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2であり、
前記アニオン性界面活性剤と、前記両性界面活性剤の配合比率が、アニオン性界面活性剤:両性界面活性剤=1:7〜3:1(質量比)であり、
電解質は含まないか、あるいは含む場合は3.0質量%以下であり、
前記2層のうちの下層が40℃において、G’(貯蔵弾性率)がG”(損失弾性率)と比べて、角速度が30〜100rad/sの範囲においてG’>G”となるような粘弾性特性を有することを特徴とする洗浄料。 - 前記2層のうちの下層が全体の10質量%以上を占めることを特徴とする請求項1に記載の洗浄料。
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