以下、本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法について、実施の形態を示して詳しく説明する。
まず、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置及びその駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置、及び、該表示駆動装置により駆動制御される表示画素の一例を示す要部構成図である。ここでは、表示装置の表示パネルに配置される特定の表示画素と、当該表示画素を発光駆動制御する表示駆動装置との関係について説明する。
<表示駆動装置>
図1に示すように、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置100は、概略、シフトレジスタ・データレジスタ部110と、表示データラッチ部120と、階調信号生成部130と、しきい値検出電圧アナログ−デジタル変換器(以下、「検出電圧ADC」と略記し、図中では、「VthADC」と表記する)140と、しきい値補償電圧デジタル−アナログ変換器(以下、「補償電圧DAC」と略記し、図中では、「VthDAC」と表記する)150と、しきい値データラッチ部(図中では、「Vthデータラッチ部」と表記する)160と、フレームメモリ170と、データライン入出力切換部180と、を備えた構成を有している。
シフトレジスタ・データレジスタ部(データ取得手段、しきい値取得手段)110は、図示を省略した、シフト信号を順次出力するシフトレジスタと、該シフト信号に基づいて、少なくとも外部から供給されるデジタル信号からなる輝度階調データを順次取り込むデータレジスタと、を備えた構成を有している。より具体的には、外部から順次供給される、表示パネルの1行分の表示画素の表示データ(輝度階調データ)を順次取り込み、後述する表示データラッチ部120に転送する動作、又は、検出電圧ADC140によりデジタル信号に変換され、しきい値データラッチ部160に保持された1行分の表示画素のしきい値電圧(しきい値検出データ)を順次取り込み、後述するフレームメモリ170に転送する動作、もしくは、フレームメモリ170から特定の1行分の表示画素のしきい値補償データを順次取り込み、しきい値データラッチ部160に転送する動作のいずれかを選択的に実行する。なお、これらの各動作については、詳しく後述する。
表示データラッチ部120は、上記シフトレジスタ・データレジスタ部110により外部から取り込まれ、転送された1行分の表示画素の表示データ(輝度階調データ)を保持する。
階調信号生成部(階調信号生成手段)130は、後述する表示画素PXに設けられた有機EL素子(電流制御型の発光素子)OELを表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための階調信号として、所定の電流値を有する階調電流Idata、又は、有機EL素子OELを無発光動作させる(発光動作させずに黒表示(最低輝度階調)状態に設定する)ための階調信号として、所定の電圧値を有する無発光表示電圧Vzeroのいずれかを選択的に供給する機能を備えている。
ここで、階調信号として表示データに応じた電流値を有する階調電流を供給する構成としては、例えば、図示を省略した電源供給手段から供給される階調基準電圧に基づいて、上記表示データラッチ部120に保持された各表示データのデジタル信号電圧を、アナログ信号電圧に変換するデジタル−アナログ変換器(D/Aコンバータ)と、当該アナログ信号電圧に対応する電流値を有する階調電流Idataを生成する電圧−電流変換器と、を備えた構成を適用することができる。
なお、以下の説明においては、階調信号として、所定の電流値を有する階調電流を各表示画素に供給して所定の輝度階調で発光動作(階調表示)させる場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、階調信号として、上記表示データに応じた電圧値を有する階調電圧を印加して所定の輝度階調で発光動作させるものであってもよく、この場合には、例えば、上記デジタル−アナログ変換器のみを備えた構成を適用することができる。
検出電圧ADC(しきい値電圧検出手段)140は、後述する各表示画素PXに設けられた発光素子(例えば、有機EL素子OEL)に発光駆動電流を供給するスイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)のしきい値電圧(又は、当該しきい値電圧に対応する電圧成分)をアナログ信号電圧として取り込み(測定し)、デジタル信号電圧からなるしきい値検出データに変換する。
補償電圧DAC(補償電圧印加手段、検出用電圧印加手段)150は、各表示画素PXに設けられた上記スイッチング素子のしきい値電圧を補償するためのデジタル信号電圧からなるしきい値補償データを、アナログ信号電圧からなるプリチャージ電圧(補償電圧)に変換する。また、後述する駆動制御方法に示すように、上記検出電圧ADC140によりスイッチング素子のしきい値電圧を測定する動作(しきい値電圧検出動作)において、スイッチング素子を構成する薄膜トランジスタのゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)に、当該スイッチング素子のしきい値電圧よりも高い電位差が設定(電圧成分が保持)されるように、所定の検出用電圧を出力することができるように構成されている。
また、しきい値データラッチ部160は、1行分の各表示画素PXごとに、上記検出電圧ADC140により変換、生成されたしきい値検出データを取り込んで保持し、当該しきい値検出データをシフトレジスタ・データレジスタ部110を介して、後述するフレームメモリ170に順次転送する動作、又は、フレームメモリ170から上記しきい値検出データに応じた1行分の各表示画素PXごとのしきい値補償データを順次取り込んで保持し、当該しきい値補償データを補償電圧DAC150に転送する動作のいずれかを選択的に実行する。
また、フレームメモリ(記憶手段)170は、表示パネルに配列された各表示画素PXへの表示データ(輝度階調データ)の書込動作に先立って、上記検出電圧ADC140及びしきい値データラッチ部160により1行分の各表示画素PXごとに検出されたしきい値電圧に基づくしきい値検出データを、シフトレジスタ・データレジスタ部110を介して順次取り込み、表示パネル1画面(1フレーム)分の各表示画素PXごとに個別に記憶するとともに、当該しきい値検出データをしきい値補償データとして、もしくは、当該しきい値検出データに対応するしきい値補償データを、シフトレジスタ・データレジスタ部110を介して順次出力し、しきい値データラッチ部160(補償電圧DAC150)へ転送する。
また、データライン入出力切換部(信号経路切換手段)180は、表示パネルの列方向に配設されるデータラインDLを介して各表示画素PXに設けられた上記スイッチング素子(薄膜トランジスタ)のしきい値電圧を、検出電圧ADC140に取り込み、測定するための電圧検出側スイッチ181と、少なくとも、各表示画素PXに設けられた上記スイッチング素子のしきい値電圧を補償するためのプリチャージ電圧、又は、各表示画素PXを表示データに応じた輝度階調で発光動作させるための階調信号(階調電流、又は、無発光表示電圧)のいずれかをデータラインDLに供給するモードを選択するための入力選択スイッチ182と、当該入力信号選択スイッチ182により選択されたプリチャージ電圧、又は、階調信号をデータラインDLを介して各表示画素PXに供給するための書込側スイッチ183と、を備えた構成を有している。
ここで、電圧検出側スイッチ181及び書込側スイッチ183は、例えば、チャネル極性が異なる薄膜トランジスタ(電界効果型トランジスタ)により構成することができ、図1に示すように、電圧検出側スイッチ181としてpチャネル型の薄膜トランジスタを適用し、また、書込側スイッチ183としてnチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。これらの薄膜トランジスタのゲート端子(制御端子)は同一の信号線に接続され、当該信号線に印加される切換制御信号AZの信号レベルに基づいて、各々オン、オフ状態が制御される。
<表示画素>
また、本発明に係る表示装置に適用可能な表示画素PXは、図1に示すように、表示パネルの行方向(図面左右方向)に配設された選択ラインSLと列方向(図面上下方向)に配設されたデータラインDLとの各交点近傍に配置され、各々、電流制御型の発光素子である有機EL素子OELと、当該有機EL素子OELに表示データに応じた電流値を有する発光駆動電流を供給するための発光駆動回路DCと、を備えた構成を有している。
発光駆動回路DCは、例えば、ゲート端子(制御端子)が選択ラインSLに、ドレイン端子及びソース端子(電流路の一端、他端)が所定の供給電圧Vscが印加される供給電圧ラインVL及び接点N11に各々接続された薄膜トランジスタ(第2のスイッチ手段)Tr11と、ゲート端子(制御端子)が選択ラインSLに、ソース端子及びドレイン端子(電流路の一端、他端)がデータラインDL及び接点N12に各々接続された薄膜トランジスタ(第3のスイッチ手段)Tr12と、ゲート端子(制御端子)が接点N11に、ドレイン端子及びソース端子(電流路の一端、他端)が供給電圧ラインVL及び接点(接続接点)N12に各々接続された薄膜トランジスタ(発光駆動素子、第1のスイッチ手段)Tr13と、接点N11及び接点N12間(薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース端子間)に接続されたコンデンサCsと、を備えた構成を有している。ここで、薄膜トランジスタTr13は、上述した表示駆動装置100において、上記検出電圧ADC140及びしきい値データラッチ部160によりしきい値電圧が測定される対象となる発光駆動用のスイッチング素子に相当する。
また、有機EL素子OELは、アノード端子が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード端子には共通電圧Vcomが印加されている。ここで、共通電圧Vcomは、後述する表示駆動動作において、表示データに応じた階調信号(階調電流、又は、無発光表示電圧)が発光駆動回路DCに供給される書込動作期間においては、低電位(Vs)に設定される供給電圧Vscと等電位であるか、あるいは、当該供給電圧Vscよりも高い電位であって、かつ、有機EL素子(発光素子)OELに発光駆動電流が供給されて所定の輝度階調で発光動作する発光動作期間においては、高電位(Ve)に設定される供給電圧Vscよりも低電位となる、任意の電位(例えば、接地電位GND)に設定されている(Vs≦Vcom<Ve)。
ここで、コンデンサCsは、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に形成される寄生容量であってもよいし、該寄生容量に加えて接点N11及び接点N12間にさらに容量素子を並列に接続したものであってもよい。また、薄膜トランジスタTr11〜Tr13については、特に限定するものではないが、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全てnチャネル型の薄膜トランジスタにより構成することにより、nチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタを良好に適用することができる。この場合、すでに確立されたアモルファスシリコン製造技術を適用して、素子特性(電子移動度等)の安定したアモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる発光駆動回路を比較的簡易な製造プロセスで製造することができる。以下の説明においては、薄膜トランジスタTr11〜Tr13を全てnチャネル型の薄膜トランジスタにより構成した場合について説明する。また、発光駆動回路DCにより発光駆動される発光素子は、有機EL素子OELに限定されるものではなく、電流制御型の発光素子であれば、発光ダイオード等の他の発光素子であってもよい。
<表示駆動装置・表示画素の駆動制御方法>
次いで、上述したような構成を有する表示駆動装置において、表示画素の発光素子を発光動作させて階調表示を行う場合の駆動制御方法(駆動制御動作)について、図面を参照して説明する。
上述した表示駆動装置100における駆動制御動作は、大別して、表示パネルに配列された各表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13(スイッチング素子;発光駆動素子)のしきい値電圧を測定して記憶するしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間)と、当該しきい値電圧検出動作の終了後、各表示画素PXに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13にしきい値電圧相当の電圧成分を保持させ(しきい値電圧を補償し)、さらに、表示データに応じた階調信号(所定の電流値を有する階調電流)を書き込んで、当該階調信号に応じた所望の輝度階調で有機EL素子OELを発光動作させる表示駆動動作(表示駆動期間)と、を含んで構成されている。ここで、しきい値電圧検出動作は、表示駆動動作に先立つ任意のタイミングで実行される。
以下、各制御動作について説明する。
(しきい値電圧検出動作)
図2は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置におけるしきい値電圧検出動作を示すタイミングチャートである。また、図3は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における電圧印加動作を示す概念図であり、図4は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における電圧収束動作を示す概念図であり、図5は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における電圧読取動作を示す概念図である。また、図6は、nチャネル型の薄膜トランジスタにおいて、ゲート−ソース間電圧を所定の条件に設定し、ドレイン−ソース間電圧を変調した際のドレイン−ソース間電流特性の一例を表した図である。
表示駆動装置100におけるしきい値電圧検出動作は、図2に示すように、所定のしきい値電圧検出期間Tdec内に、表示駆動装置100からデータラインDLを介して、表示画素PXにしきい値電圧検出用の電圧(検出用電圧Vpv)を印加して、表示画素PXの発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に上記検出用電圧Vpvに対応する電圧成分を保持させる(すなわち、コンデンサCsに検出用電圧Vpvに応じた電荷を蓄積する)電圧印加期間(検出用電圧印加ステップ)Tpvと、当該電圧印加期間Tpvに薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に保持した電圧成分(コンデンサCsに蓄積された電荷)の一部を放電して、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsのしきい値電圧に相当する電圧成分(電荷)のみを薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に保持させる(コンデンサCsに残留させる)電圧収束期間Tcvと、当該電圧収束期間Tcvの経過後に、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に保持された電圧成分(コンデンサCsに残留する電荷に基づく電圧値;しきい値電圧Vth13)を測定して、デジタルデータに変換してフレームメモリ170の所定の記憶領域に格納(記憶)する電圧読取期間(しきい値電圧検出ステップ)Trvと、を含むように設定されている(Tdec≧Tpv+Tcv+Trv)。
ここで、上記薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsのしきい値電圧Vth13とは、当該ドレイン−ソース間に僅かな電圧をさらに加えることによって薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsが流れ始める動作境界となる薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsのことである。特に、本発明に係る電圧読取期間Trvにおいて測定されるしきい値電圧Vth13は、薄膜トランジスタTr13の製造初期状態のしきい値電圧に対して、駆動履歴(発光履歴)や使用時間(経時変化)等により変動(Vthシフト)が生じた後の、当該しきい値電圧検出動作の実行時点におけるしきい値電圧を示す。
以下、しきい値電圧検出動作に係る各動作期間についてさらに詳しく説明する。
(電圧印加期間)
まず、電圧印加期間Tpvにおいては、図2、図3に示すように、発光駆動回路DCの選択ラインSLにオンレベル(ハイレベル)の選択信号Sselが印加され、また、供給電圧ラインVLには、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加される。ここで、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)は、共通電圧Vcom以下の電圧であればよく、例えば、接地電位GNDでもよい。
一方、このタイミングに同期して、切換制御信号AZがハイレベルに設定されて書込側スイッチ183がオン状態、電圧検出側スイッチ181がオフ状態に設定されるとともに、入力選択スイッチ182が補償電圧DAC150側に切換設定されることにより、補償電圧DAC150から出力されるしきい値電圧の検出用電圧Vpvが、データライン入出力切換部180(入力選択スイッチ182及び書込側スイッチ183)を介して、データラインDLに印加される。
これにより、表示画素PXを構成する発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr11及びTr12がオン動作して、供給電圧Vscが薄膜トランジスタTr11を介して薄膜トランジスタTr13のゲート端子及びコンデンサCsの一端側(接点N11)に印加されるとともに、データラインDLに印加された上記検出用電圧Vpvが、薄膜トランジスタTr12を介して薄膜トランジスタTr13のソース端子及びコンデンサCsの他端側(接点N12)に印加される。
ここで、表示画素PX(発光駆動回路DC)において、有機EL素子OELに発光駆動電流を供給するnチャネル型の薄膜トランジスタTr13について、所定のゲート−ソース間電圧Vgsのときに、ドレイン−ソース間電圧Vdsを変調した場合のドレイン−ソース間電流Idsの変化特性を検証すると、図6に示すような特性図で表すことができる。
図6において、横軸は薄膜トランジスタTr13の分圧とそれに直列に接続された有機EL素子OELの分圧を表し、縦軸は薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間の電流Idsの電流値を表している。図中の一点鎖線は、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間のしきい値電圧の境界線であり、当該境界線の左側が不飽和領域であり、右側が飽和領域となっている。実線は、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsを最高輝度階調での発光動作時の電圧Vgsmax、及び、最高輝度階調以下の任意の(異なる)輝度階調での発光動作時の電圧Vgs1(<Vgsmax)、Vgs2(<Vgs1)にそれぞれ固定したときに、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電圧Vdsを変調したときのドレイン−ソース間電流Idsの変化特性を示している。破線は、有機EL素子OELを発光動作させる場合の負荷特性線(EL負荷線)であり、当該EL負荷線の右側の電圧は、供給電圧Vsc−共通電圧Vcom間電圧(一例として、図中では20V)における有機EL素子OELの分圧となり、EL負荷線の左側が薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間の電圧Vdsに相当する。この有機EL素子OELの分圧は、輝度階調が高くなる程、つまり薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Ids(発光駆動電流≒階調電流)の電流値が増大する程、漸次増大する。
図6において、不飽和領域では、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsを一定に設定した場合であっても、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電圧Vdsが高くなるにつれてドレイン−ソース間電流Idsの電流値が顕著に大きくなる(変化する)。一方、飽和領域では、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsを一定に設定した場合、ドレイン−ソース間電圧Vdsが高くなっても薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsはあまり増加せず、ほぼ一定となる。
ここで、電圧印加期間Tpvにおいて、補償電圧DAC150からデータラインDL(さらには、表示画素PX(発光駆動回路DC)の薄膜トランジスタTr13のソース端子)に印加される上記検出用電圧Vpvは、低電位に設定された供給電圧Vsc(=Vs)よりも十分低く、かつ、図6に示した特性図において、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsが飽和特性を示す領域のドレイン−ソース間電圧Vdsが得られるような電圧値に設定されている。例えば、上記検出用電圧Vpvとして、補償電圧DAC150からデータラインDLに印加可能な最大電圧に設定するものであってもよい。
さらに、検出用電圧Vpvは、次の(1)式を満たすように設定されている。
|Vs−Vpv|>Vth12+Vth13 ・・・(1)
上記(1)式において、Vth12は、薄膜トランジスタTr12のゲート端子にオンレベルの選択信号Sselが印加されたときの薄膜トランジスタTr12のドレイン−ソース間のしきい値電圧である。また、薄膜トランジスタ13のゲート端子及びドレイン端子にはともに低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加され、互いにほぼ等電位となっているので、Vth13は、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電圧のしきい値電圧であり、当該薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間のしきい値電圧でもある。なお、Vth12+Vth13は経時的に徐々に高くなっていくが、常に(1)式を満たすように(Vs−Vpv)の電位差が大きく設定されている。
このように、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(すなわち、コンデンサCsの両端)に、薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13よりも大きな電位差Vcp(両端電位Vc)が印加されることにより、この電圧Vcpに応じた大電流の検出用電流Ipvが、供給電圧ラインVLから薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間を介して、補償電圧DAC150に向けて強制的に流れる。したがって、速やかにコンデンサCsの両端に該検出用電流Ipvに基づく電位差に対応する電荷が蓄積される(すなわち、コンデンサCsに電圧Vcpが充電される)。なお、電圧印加期間Tpvにおいては、コンデンサCsに電荷が蓄積されるばかりでなく、供給電圧ラインVLからデータラインDLに至る電流ルートのその他の容量成分にも、検出用電流Ipvが流れるため電荷の蓄積が行われる。
このとき、有機EL素子OELのカソード端子には、上記供給電圧ラインVLに印加される低電位の供給電圧Vsc(=Vs)以上の共通電圧Vcom(=GND)が印加されているので、有機EL素子OELのアノード−カソード間は、無電界状態又は逆バイアス状態に設定されることになり、有機EL素子OELには発光駆動電流が流れず発光動作は行われない。
(電圧収束期間)
次いで、上記電圧印加期間Tpv終了後の電圧収束期間Tcvにおいては、図2、図4に示すように、選択ラインSLにオンレベルの選択信号Sselが印加され、また、供給電圧ラインVLに低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加された状態で、切換制御信号AZがローレベルに切換設定されることにより、電圧検出側スイッチ181がオン状態に設定されるとともに、書込側スイッチ183がオフ状態に設定される。また、補償電圧DAC150からの検出用電圧Vpvの出力が停止される。これにより、薄膜トランジスタTr11、Tr12はオン状態を保持するため、表示画素PX(発光駆動回路DC)は、データラインDLとの電気的な接続状態は保持されるものの、当該データラインDLへの電圧印加が遮断されるので、コンデンサCsの他端側(接点N12)はハイインピーダンス状態に設定される。
このとき、上述した電圧印加期間TpvにおいてコンデンサCsに蓄積された電荷(両端電位Vc=Vcp>Vth13)により薄膜トランジスタTr13のゲート電圧が保持されることになり、薄膜トランジスタTr13はオン状態を保持して当該ドレイン−ソース間に電流が流れ続けるので、薄膜トランジスタTr13のソース端子側(接点N12;コンデンサCsの他端側)の電位がドレイン端子側(供給電圧ラインVL側)の電位に近づくように徐々に上昇していく。
これにより、コンデンサCsに蓄積された電荷の一部が放電されて、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsが低下することになり、最終的に薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13に収束するように変化する。また、これに伴って、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsが減少して、最終的に当該電流の流れが停止する。
なお、この電圧収束期間Tcvにおいても、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)の電位は、カソード端子側の共通電圧Vcomと同等であるか、又は、それ未満の電位を有しているので、有機EL素子OELには依然として無電圧又は逆バイアス電圧が印加されることになり、有機EL素子OELは発光動作しない。
(電圧読取期間)
次いで、上記電圧収束期間Tcv経過後の電圧読取期間Trvにおいては、図2、図5に示すように、電圧収束期間Tcvと同様に、選択ラインSLにオンレベルの選択信号Sselが印加され、また、供給電圧ラインVLに低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加され、切換制御信号AZがローレベルに設定された状態で、データラインDLに電気的に接続された検出電圧ADC140及びしきい値データラッチ部160により、当該データラインDLの電位(検出電圧Vdec)を測定する。
ここで、上記電圧収束期間Tcv経過後のデータラインDLは、オン状態に設定された薄膜トランジスタTr12を介して、薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12)側に接続された状態にあり、また、上述したように、当該薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12)側の電位は、薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13相当の電荷が蓄積されたコンデンサCsの他端側の電位に相当する。
一方、当該薄膜トランジスタTr13のゲート端子(接点N11)側の電位は、薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13相当の電荷が蓄積されたコンデンサCsの一端側の電位であって、このとき、オン状態に設定された薄膜トランジスタTr11を介して、低電位の供給電圧Vscに接続された状態にある。
これにより、検出電圧ADC140により測定されるデータラインDLの電位は、薄膜トランジスタTr13のソース端子側の電位、又は、当該電位に対応する電位に相当することになるので、当該検出電圧Vdecと予め設定電圧が判明している低電位の供給電圧Vsc(例えば、接地電位GND)との差分(電位差)に基づいて、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgs(コンデンサCsの両端電位Vc)、すなわち、薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13、又は、当該しきい値電圧Vth13に対応する電圧を検出することができる。
そして、このようにして検出された薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13(アナログ信号電圧)は、検出電圧ADC140によりデジタル信号電圧からなるしきい値検出データに変換されて、しきい値データラッチ部160に一旦保持された後、1行分の各表示画素PXのしきい値検出データを、シフトレジスタ・データレジスタ部110により順次読み出して、フレームメモリ170の所定の記憶領域に格納(記憶)する。ここで、各表示画素PXの発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13は、各表示画素PXにおける駆動履歴(発光履歴)等により変動(Vthシフト)の度合いが異なるため、フレームメモリ170には、各表示画素PX固有のしきい値検出データが記憶されることになる。
このような一連のしきい値電圧検出動作は、後述する表示駆動動作に先立つ任意のタイミングで実行され、具体的には、後述する表示装置の駆動制御方法においても説明するように、表示パネルに配列された全ての表示画素について表示駆動動作を実行する1フレーム期間内に、特定の行の表示画素についてしきい値電圧検出動作を実行し、しきい値電圧検出動作の対象となる当該特定の行を、フレーム期間ごとにずらすことにより、常時いずれかの行の表示画素のしきい値電圧を検出して、後述する表示駆動動作における各表示画素のしきい値電圧を補償するためのプリチャージ動作に用いるように制御される。
なお、後述する表示装置の駆動制御方法の各実施形態においては、説明を簡単にするため、特定の行を1行のみとしたが、本発明はこれに限るものではなく、表示パネルの全行の一部からなる、2行以上の複数行であってもよい。
(表示駆動動作:階調表示動作)
図7は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における駆動制御方法(階調表示動作)を示すタイミングチャートである。また、図8は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置におけるプリチャージ動作を示す概念図であり、図9は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置におけるデータ書込動作を示す概念図であり、図10は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における発光動作を示す概念図である。
上述した表示駆動装置100における表示駆動動作(階調表示動作)は、図7に示すように、所定の表示駆動期間(1処理サイクル期間)Tcyc内に、表示駆動装置100からデータラインDLを介して、表示画素PXに所定のプリチャージ電圧Vpreを印加して、表示画素PXの発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に、当該薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsのしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を保持させて(コンデンサCsに電荷を蓄積又は放電させて)、しきい値電圧を補償するプリチャージ期間(補償電圧印加ステップ)Tthと、表示データに応じた階調信号(階調電流)をデータラインDLを介して表示画素PX(発光駆動回路DC)に印加し、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に、上記プリチャージ期間Tthに保持されたしきい値電圧Vth13相当の電圧成分に、階調信号に応じた電圧成分を上乗せして、階調信号を書き込む書込動作期間(データ書込ステップ)Twrtと、上記薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に保持された全電圧成分(コンデンサCsに蓄積された総電荷量)に基づいて、表示データに応じた電流値を有する発光駆動電流を有機EL素子OELに流して、所定の輝度階調で発光動作させる発光動作期間(階調発光ステップ)Temと、を含むように設定されている(Tcyc≧Tth+Twrt+Tem)。
ここで、表示駆動期間Tcycに適用される1処理サイクル期間は、例えば、表示画素PXが1フレームの画像のうちの1画素分の画像情報を表示するのに要する期間に設定される。すなわち、後述する表示装置の駆動制御方法において説明するように、複数の表示画素PXを行方向及び列方向にマトリクスに配列した表示パネルに、1フレームの画像を表示する場合、上記1処理サイクル期間Tcycは、1行分の表示画素PXが1フレームの画像のうちの1行分の画像を表示するのに要する期間に設定される。
以下、表示駆動動作に係る各動作期間についてさらに詳しく説明する。
(プリチャージ期間)
まず、プリチャージ期間Tthにおいては、上述した電圧印加期間Tpvと同様に、図7、図8に示すように、発光駆動回路DCの選択ラインSLにオンレベル(ハイレベル)の選択信号Sselが印加され、また、供給電圧ラインVLには、低電位の供給電圧Vsc(=Vs;例えば、接地電位GND)が印加される。
これにより、発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr11及びTr12がオン動作して、供給電圧Vscが薄膜トランジスタTr11を介して薄膜トランジスタTr13のゲート端子(接点N11;コンデンサCsの一端側)に印加されるとともに、薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12)が薄膜トランジスタTr12を介して、データラインDLに電気的に接続される。
一方、このタイミングに同期して、切換制御信号AZがハイレベルに設定されて書込側スイッチ183がオン状態、電圧検出側スイッチ181がオフ状態に設定されるとともに、入力選択スイッチ182が補償電圧DAC150側に切換設定される。
これにより、補償電圧DAC150から出力されるプリチャージ電圧Vpreが、データライン入出力切換部180(入力選択スイッチ182及び書込側スイッチ183)を介して、データラインDLに印加され、さらに、上記発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr12を介して、当該プリチャージ電圧Vpreが薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12)に印加される。
ここで、プリチャージ期間Tthにおいて、補償電圧DAC150からデータラインDLを介して、表示画素PX(発光駆動回路DC)の薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12)に印加される上記プリチャージ電圧Vpreは、上述したしきい値電圧検出動作において、検出電圧ADC140及びしきい値データラッチ部160により各表示画素PXごとに検出され、フレームメモリ170に各表示画素PXごとに個別に記憶されたしきい値検出データに基づいて、各表示画素PX(発光駆動回路DC)の薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13を補償する電圧値を有するものであって、上記プリチャージ電圧Vpreの印加により、当該薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)にしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を保持させることができる電圧値に設定されている。
薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13について、より具体的に説明すると、上述したように、表示画素PXに設けられる発光駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタTr11〜Tr13として、nチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタを適用した場合、すでに確立されたアモルファスシリコン製造技術を適用して、素子特性の均一な薄膜トランジスタを形成することができ、動作特性の安定した発光駆動回路を比較的簡易な製造プロセスで製造することができるという利点を有している。
しかしながら、アモルファスシリコン薄膜トランジスタは、一般に駆動履歴によるしきい値電圧の変動(Vthシフト)が顕著に生じることが知られている。このようなしきい値電圧の変動の影響を抑制する駆動制御方法として、後述するように、表示画素PXに設けられた発光駆動回路DCに対して、データラインDLを介して表示データに応じた階調信号の電流成分(階調電流)を直接流す電流階調指定方式(又は、電流階調指定駆動)の駆動制御方法が知られているが、この駆動制御方法によれば、発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)に加え、当該階調電流が供給される経路に形成された(寄生する)容量成分をも、階調電流により所定電圧まで充電することになるため、特に、低い輝度階調で発光動作(低階調表示)を行う場合には、階調電流が微小になることにより上記充電動作に時間を要し、所定の時間内に階調信号の書込動作が終了せず、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)に保持される電圧成分が表示データに対して不足する書込不足が発生して、所望の輝度階調での発光動作が行われなくなる可能性がある。
より具体的には、電流階調指定方式の駆動制御方法において、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間に、後述する書込動作の際に表示データに応じた階調電流を流すために必要とする薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsのうち、多くの電圧成分は、当該薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13に寄与するものであり、特に、有機EL素子OELを最低輝度階調(LSB)で発光動作させる場合に必要とする薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgs(=Vlsb)では、保持された電圧成分(全電荷)のうちのしきい値電圧Vth13に寄与する電圧成分の割合は5割を大きく越えていることが本願発明者等の各種実験の結果、判明した。
このしきい値電圧Vth13に相当する電圧成分(電荷量)を、上記プリチャージ動作(プリチャージ電圧Vpreの印加)を適用することなく、階調信号(微小な電流値の階調電流)の書込動作だけでゲート−ソース間(コンデンサCs)に充電しようとすると、後述する書込動作期間Twrtが大幅に長くなってしまい、結果的に、画像情報が所定の処理期間(フレーム期間)に良好に表示されなくなる不具合が発生する可能性があった。
そこで、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置においては、後述する階調信号の書込動作に先立って、プリチャージ期間Tthを設け、プリチャージ電圧Vpreを印加することにより、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)に、当該薄膜トランジスタTr13の現時点のしきい値電圧(駆動履歴によるVthシフトした後の、しきい値電圧検出動作時点のしきい値電圧)Vth13相当の電圧成分を保持させた状態に設定し、低階調表示時の微小な階調電流であっても、階調信号により薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)にしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を充電することなく、表示データに応じた電圧成分(しきい値電圧Vth13相当分を除く、表示データに応じた階調表示のための実質的な電圧成分;実効電圧Vdata)のみを、上記しきい値電圧Vth13相当の電圧成分に上乗せして薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に保持させることができる。
なお、このプリチャージ期間Tthにおいては、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に、当該薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13相当の電圧成分が保持された状態に制御されるので、当該薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間には電流がほとんど流れず、また、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)側の電位は、カソード端子側の共通電圧Vcomと同等であるか、又は、それ未満の電位を有しているので、有機EL素子OELには無電圧又は逆バイアス電圧が印加されて、有機EL素子OELは発光動作しない。
このように、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間にしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を保持させるために、発光駆動回路DC及びデータラインDLに当該電圧成分に基づく電流を流すことなく、各薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13に応じた電圧値を有するプリチャージ電圧Vpreを、薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12)側に直接印加するようにしているので、各表示画素PX(発光駆動回路DC)の発光駆動用の薄膜トランジスタTr13(コンデンサCs)に当該しきい値電圧Vth13に相当する電圧成分を迅速に充電することができる。
(書込動作期間)
次いで、プリチャージ期間Tth終了後の書込動作期間Twrtにおいては、図7、図9に示すように、選択ラインSLにオンレベルの選択信号Sselが印加され、また、供給電圧ラインVLに低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加され、切換制御信号AZがハイレベルに設定された状態で、入力選択スイッチ182が階調信号生成部130側に切換設定されることにより、表示データに応じて階調信号生成部130から出力される階調信号(負極性の階調電流Idata)が、データライン入出力切換部180(入力選択スイッチ182及び書込側スイッチ183)を介して、データラインDLに供給される。ここで、階調信号として、負極性の階調電流Idataが供給されることにより、当該電流がデータラインDL側から、データライン入出力切換部180を介して階調信号生成部130方向に引き込まれるように流れる。
これにより、表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられた薄膜トランジスタTr11がオン動作して、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が薄膜トランジスタTr11を介して薄膜トランジスタTr13のゲート及びコンデンサCsの一端側(接点N11)に印加されるとともに、薄膜トランジスタTr12がオン動作して、データラインDLを介して階調電流Idataが引き込まれることにより、上記供給電圧Vscよりもさらに低電位の電圧が薄膜トランジスタTr13のソース端子側(接点N12;コンデンサCsの他端側)に印加されるので、薄膜トランジスタTr13が所定の導通状態でオン動作して、図9に示すように、供給電圧ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12、薄膜トランジスタTr12、データラインDLを介して、表示駆動装置100(階調信号生成部130)に、階調電流Idataの電流値に対応した書込電流Iwrtが速やかに流れる。
ここで、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に接続されたコンデンサCsには、上述したプリチャージ期間Tthにおいて、薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13相当の電圧成分が保持された(電荷が蓄積された)状態にあるので、階調電流Idataに基づく書込電流Iwrtが薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間で定常化するのに必要とする容量の電荷は、しきい値電圧Vth13分を含まず、表示データに応じた階調表示のための実効電圧Vdataのみを充電するための電流値を有する階調電流Idata(書込電流Iwrt)であればよく、比較的短い時間で薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)に当該電荷を充電することができる。
したがって、薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13が経時変化や発光履歴(駆動履歴)等によりVthシフトした場合であっても、階調信号(表示データ)に適切に対応した電圧成分Vdataを書込動作期間Twrtに迅速かつ十分に書き込むことができる。なお、この書込動作期間Twrtにおいては、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流(書込電流Iwrt)により、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgs、つまりコンデンサCsに蓄積される電荷量が一義的に設定されるので、コンデンサCsに充電される電圧Vcは、具体的には、薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13と階調電流Idataに応じた電圧成分(実効電圧)Vdataの総和(Vth13+Vdata)となる。
また、このとき、供給電圧ラインVLには、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加され、さらに、書込電流Iwrtが供給電圧ラインVLから発光駆動回路DCを介してデータラインDL方向に流れるように制御されていることから、有機EL素子OELのアノード端子(接点N12)に印加される電位はカソード端子の電位Vcom(GND)以下になるので、有機EL素子OELに逆バイアス電圧が印加されることになり、有機EL素子OELには発光駆動電流が流れず、発光動作は行われない。
(発光動作期間)
次いで、書込動作期間Twrt終了後の発光動作期間Temにおいては、図7、図10に示すように、選択ラインSLにオフレベル(ローレベル)の選択信号Sselが印加され、供給電圧ラインVLに高電位の供給電圧Vsc(=Ve)が印加される。また、このタイミングに同期して、階調信号生成部130による上記階調電流Idataの引き込み動作が停止される。
これにより、発光駆動回路DCに設けられた薄膜トランジスタTr11及びTr12がオフ動作して、供給電圧Vscの薄膜トランジスタTr13のゲート端子(接点N11;コンデンサCsの一端側)及びドレイン端子への印加が遮断されるとともに、データラインDLと薄膜トランジスタTr13のソース端子(接点N12;コンデンサCsの他端側)との電気的な接続が遮断されるので、上述した書込動作期間TwrtにおいてコンデンサCsに蓄積された電荷が保持される。
なお、発光動作期間Temにおいて、供給電圧ラインVLに印加される高電位の供給電圧Vsc(=Ve)は、有機EL素子OELを最高輝度階調(MSB)で発光動作させる際に必要となるアノード電圧以上の電圧値(有機EL素子OELのカソード側に接続された電圧Vcomに対して、順バイアスとなる正の電圧)になるように設定されている。
具体的には、高電位の供給電圧Vsc(=Ve)は、下記の(2)式を満たすような電圧値に設定される。
|Ve−Vcom|>Vdsmax+Velmax ・・・(2)
上記(2)式において、Vdsmaxは、最高輝度階調で発光動作させる際の階調電流Idataを流す場合に、薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間が発光動作期間Temで図6に示した飽和領域に達するような薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間の最高電圧値である。また、Velmaxは、最高輝度階調時の有機EL素子OELの分圧である。
このように、プリチャージ動作及び書込動作時にコンデンサCsに充電された電圧成分の総和(Vth13+Vdata)がコンデンサCsの両端電位Vcとして保持されることにより、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgs(すなわち、接点N11の電位)が保持されることになり、薄膜トランジスタTr13はオン状態を維持する。
したがって、発光動作期間Temに、図10に示すように、供給電圧ラインVLから薄膜トランジスタTr13、接点N12を介して、有機EL素子OEL方向に発光駆動電流Iemが流れ、有機EL素子OELが該発光駆動電流Iemの電流値に応じた所定の輝度階調で発光する。ここで、発光動作期間TemにコンデンサCsに保持される電荷(両端電位Vc)は、上述したように、薄膜トランジスタTr13において階調電流Idataに対応する書込電流Iwrtを流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流Iemは、上記書込電流Iwrt(階調電流Idata)と同等の電流値(Iem≒Iwrt=Idata)を有することになる。これにより、書込動作期間Twrtに書き込まれた電圧成分(実効電圧Vdata)に基づいて、所定の発光状態(輝度階調)に対応する発光駆動電流Iemが供給されることになり、有機EL素子OELは表示データ(階調信号)に応じた輝度階調で継続的に発光する。
このように、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置及び表示画素によれば、プリチャージ期間に薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間にしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を保持させ、さらに、書込動作期間に有機EL素子OELの発光状態(輝度階調)に応じた電流値を指定した階調電流Idata(書込電流Iwrt)を強制的に薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間に流して、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間にその電流値に応じた電圧成分Vdataを保持させることにより、実質的に階調電流Idataに応じた電圧成分(実効電圧Vdata)に基づいて、有機EL素子(発光素子)OELに流す発光駆動電流Iemを制御して、所定の輝度階調で発光動作させる電流階調指定方式の駆動制御方法を適用し、また、単一の発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)により、所望の表示データ(輝度階調)に応じた階調電流Idataの電流レベルを電圧レベルに変換する機能(電流/電圧変換機能)と、有機EL素子OELに所定の電流値を有する発光駆動電流Iemを供給する機能(発光駆動機能)の双方を実現しているので、発光駆動回路DCを構成する薄膜トランジスタ相互の素子特性のバラツキや経時変化の影響を受けることなく、長期間にわたり安定的に所望の発光特性を実現することができる。
また、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置及び表示画素によれば、表示画素PXへの表示データ(階調信号)の書込動作、及び、有機EL素子OELの発光動作に先立って、プリチャージ動作を実行することにより、各発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース端子間に接続されたコンデンサCsに、プリチャージ電圧Vpreを印加して当該薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13に相当する電圧成分を保持(電荷を蓄積)した状態に設定することができる。
したがって、各表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)のしきい値電圧Vth13が、経時変化や駆動履歴等に起因して変化(Vthシフト)した場合であっても、上述したプリチャージ動作において、個々の薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13に応じた電荷が適切に蓄積された状態に設定することができる。これにより、表示データの書込動作において、表示データに基づく階調電流IdataによりコンデンサCsをしきい値電圧Vth13相当に充電する必要がなく、当該表示データ(輝度階調)に応じた電圧成分(実効電圧)Vdataのみを上乗せして充電すればよいので、表示データに基づく電荷をコンデンサCsに迅速に蓄積することができ、書込不足の発生を抑制して、表示データに応じた適正な輝度階調で有機EL素子OELを発光動作させることができる。
なお、上述した表示駆動装置においては、表示駆動動作に先立って実行されるしきい値電圧検出動作において、電圧印加期間Tpvに各表示画素PXの発光駆動回路DC(薄膜トランジスタTr13のソース端子側)に印加する検出用電圧Vpvを、補償電圧DAC150から入力選択スイッチ182及び書込側スイッチ183を介して、データラインDLに印加する表示駆動装置の構成及び駆動制御方法を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、以下に示すように、検出用電圧VpvをデータラインDLに印加するための専用電源を備えるものであってもよい。
図11は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置の他の構成例を示す要部構成図である。ここで、上述した表示駆動装置と同等の構成についてはその説明を省略する。
本構成例に係る表示駆動装置は、図11に示すように、上述した表示駆動装置100の構成(図1参照)に加え、補償電圧DAC150とは別個に、検出用電圧Vpvを出力する検出用電圧電源190を備えた構成を有するとともに、データライン入出力切換部180に設けられる入力選択スイッチ182が補償電圧DAC150(プリチャージ電圧Vpre)、及び、階調信号生成部130(階調電流Idata)に加え、上記検出用電圧電源190(検出用電圧Vpv)を含む三者のうち、いずれかをデータラインDLに選択的に接続可能なように構成されている。
これによれば、上述した電圧印加期間Tpvにおいて、データライン入出力切換部180の入力選択スイッチ182及び書込側スイッチ183を検出用電圧電源190側に切り換える制御のみで、任意の電圧値を有する検出用電圧VpvをデータラインDLに印加することができるので、補償電圧DAC150における検出用電圧Vpvの出力動作のための処理負担を軽減することができる。
(表示駆動動作:無発光表示動作)
次いで、上述したような構成を有する表示駆動装置及び表示画素において、発光素子を発光動作させない無発光表示(黒表示)を行う場合の駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図12は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における駆動制御方法(無発光表示動作)を示すタイミングチャートである。また、図13は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置におけるデータ書込動作の他の例を示す概念図であり、図14は、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置における無発光動作を示す概念図である。ここで、上述した階調表示動作と同等の駆動制御についてはその説明を簡略化又は省略する。
上述した表示駆動装置100における駆動制御動作(無発光表示動作)は、図12に示すように、上述したしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)の後に、各表示画素PXに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13にしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を保持させて、当該しきい値電圧Vth13を補償した後、表示データに応じた階調信号(無発光表示電圧Vzero)を書き込んで、有機EL素子OELを無発光状態に設定する表示駆動動作(表示駆動期間)を含んで構成されている。
すなわち、上述した階調表示動作を実行する際の駆動制御動作においては、当該表示駆動動作(表示駆動期間Tcyc)の際に設定される書込動作期間Twrtから発光動作期間Temに移行する際に、供給電圧Vscが低電位(Vs)から高電位(Ve)に変位するように設定されている。このため、薄膜トランジスタTr11に寄生する容量成分等に保持される電荷の変位により、薄膜トランジスタTr13のゲート端子(接点N11)に印加される電位(ゲート電位)が上昇してしまうという現象が生じる。
ここで、表示データに基づく輝度階調が最低階調(黒表示状態)の場合、階調電流Idataの電流値は微小な状態又は0(すなわち、階調電流Idataが流れない状態)となるが、上述したプリチャージ期間TthにおいてコンデンサCsに充電される電圧(両端電位Vc)は、薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13の近傍であるため、上記書込動作期間Twrtから発光動作期間Temへの移行により、僅かなゲート電位の変動が生じた場合であっても、薄膜トランジスタTr13がオン動作して発光駆動電流Iemが流れてしまい、表示データに応じた無発光表示(黒表示)動作が実現されなくなる(不安定になる)可能性がある。
このような無発光表示動作を安定化させるためには、発光動作期間Temにおいて、コンデンサCsに充電された電圧成分(蓄積された電荷)が放電されて、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgs(コンデンサCsの両端電位Vc)が、当該薄膜トランジスタTr13のしきい値電圧Vth13よりも十分低く設定されていること、より望ましくは、0V(すなわち、接点N11と接点N12が等電位)に設定されていることが望ましい。
このような電圧状態を実現するために、上述したような微小な電流値の階調電流Idataを用いて書込動作を行った場合、コンデンサCsに蓄積された電荷を放電してゲート−ソース間電圧Vgsを所望の電荷量(電圧値)にするために比較的長い時間を必要とする。特に、1つ前の表示駆動期間(1処理サイクル期間)Tcycの書込動作期間Twrtにおいて、コンデンサCsに充電された電圧成分(両端電位Vc)が最高輝度階調電圧に近い程、コンデンサCsに蓄積されている電荷量が多いため、所望の電圧値になるように電荷を放電するためにより長い時間を要することとなる。
そこで、本発明に係る表示装置に適用可能な表示駆動装置においては、図1に示すように、階調信号生成部130に、表示データに応じた所定の輝度階調で有機EL素子(発光素子)OELを発光動作させるための階調電流Idataを生成して供給する手段に加え、有機EL素子OELを発光動作させずに最も暗い表示(黒表示)動作をさせるための無発光表示電圧Vzeroを生成して供給する手段を備え、最低輝度階調(黒表示状態)時に、無発光表示電圧VzeroをデータラインDLに印加するように構成されている。
なお、ここでは、階調信号生成部130により無発光表示電圧VzeroをデータラインDLを介して発光駆動回路DC(薄膜トランジスタTr13のソース端子側;接点N12)に印加する場合について示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、無発光表示電圧VzeroをデータラインDLに印加するための専用電源を備えるものであってもよい。
そして、このような構成を有する表示駆動装置における駆動制御方法は、上述したしきい値電圧検出動作の終了後の表示駆動動作において、図12に示すように、所定の表示駆動期間(1処理サイクル期間)Tcyc内に、表示画素PXに所定のプリチャージ電圧Vpreを印加して、発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCsの両端)に、当該薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13に相当する電圧成分を保持させる(コンデンサCsに電荷を蓄積又は放電させる)プリチャージ期間(補償電圧印加ステップ)Tthと、表示データ(無発光表示データ)に応じた階調信号(無発光表示電圧Vzero)をデータラインDLを介して各表示画素PX(発光駆動回路DC)に印加し、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCs)に保持された電荷のほぼ全てを放電して、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間電圧Vgsを0Vに設定する書込動作期間(データ書込ステップ)Twrtと、有機EL素子OELを発光動作させない(無発光動作させる)発光動作期間Temと、を含むように設定されている(Tcyc≧Tth+Twrt+Tem)。
すなわち、上述した階調表示動作を実行する際の駆動制御動作と同様に、書込動作期間Twrtに先立つプリチャージ動作において、発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間(コンデンサCs)に、当該薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13相当の電圧成分を保持(電荷量を蓄積)させた後、階調信号の書込動作において、図13に示すように、表示駆動装置100(階調信号生成部130)から、例えば、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)と等電位の無発光表示電圧Vzeroをデータライン入出力切換部180及びデータラインDLを介して、表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられた薄膜トランジスタTr13のソース端子側(接点N12)に直接印加して、上記ゲート−ソース間電圧Vgs(コンデンサCsの両端電位Vc)を0Vに設定する。
このように、コンデンサCsに蓄積された電荷のほぼ全てが放電され、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース電圧Vgsが、当該薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13よりも十分低い電圧値(略0V)に設定されるので、書込動作期間Twrから発光動作期間Temに移行する際に、供給電圧Vscが低電位(Vs)から高電位(Ve)に変位して薄膜トランジスタTr13のゲート電位(接点N11の電位)が僅かながら上昇したとしても、図14に示すように、薄膜トランジスタTr13はオン動作せず(オフ状態を保持して)、有機EL素子OELには発光駆動電流Iemが供給されず、発光動作は行われない(無発光状態となる)。
これにより、無発光表示動作時に、データラインDLを介して無発光表示データに対応した階調電流を供給して、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に接続されたコンデンサCsに蓄積された電荷のほぼ全てを放電する場合に比較して、無発光表示データの書込動作に要する時間を短縮しつつ、有機EL素子OELの無発光状態(無発光表示動作)を良好に実現することができる。したがって、上述した通常の階調表示を行うための表示駆動動作に加え、無発光表示を行うための表示駆動動作を、表示データ(輝度階調データ)に応じて切換制御することにより、所望の階調数(例えば、256階調)の発光動作を、比較的高輝度かつ鮮明に実現することができる。
なお、上述した表示画素PXにおいては、図1に示したように、発光駆動回路DCに設けられる薄膜トランジスタTr11〜Tr13として、いずれもnチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタを適用した構成を示したが、ポリシリコン薄膜トランジスタを適用するものであってもよく、さらに、全てpチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタを適用するものであってもよい。ここで、全てpチャネル型を適用した場合、信号のオンレベル(ハイレベル)、オフレベル(ローレベル)が反転するように設定される。
また、上述した表示画素PXにおいては、図1に示したように、各表示画素PXに設けられる発光駆動回路DCとして、3個の薄膜トランジスタTr11〜Tr13を備えた回路構成を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、電流階調指定方式に対応した発光駆動回路であって、単一の薄膜トランジスタを用いて、表示データに応じて供給された階調電流を電圧成分に変換して、ゲート−ソース間に接続されたコンデンサ又は寄生容量に蓄積する電流/電圧変換機能、及び、該蓄積された電圧成分に基づいて発光素子(有機EL素子)に供給する発光駆動電流を制御する発光駆動機能を実現するものであれば、他の回路構成を有するものであってもよいことはいうまでもない。
さらに、上述した表示駆動装置の駆動制御方法において、プリチャージ動作として、補償電圧DAC150からデータラインDLを介して、各表示画素PXに上記しきい値補償データに基づく電圧値を有するプリチャージ電圧Vpreを印加する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、要するに、プリチャージ動作により、各表示画素PXの発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用の薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース間に、各薄膜トランジスタTr13のドレイン−ソース間電流Idsのしきい値電圧を補償する電圧成分(当該薄膜トランジスタTr13に固有のしきい値電圧Vth13相当の電圧成分)を保持させることができるものであればよいので、例えば、表示駆動装置100から上記しきい値補償データに基づく電流値を有するプリチャージ電流を、データラインDLを介して各表示画素PXに印加する構成を有するものであってもよい。
<表示装置>
次に、本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図15は、本発明に係る表示装置の全体構成の一例を示す概略ブロック図であり、図16は、本発明に係る表示装置に適用される表示パネル及びその周辺回路(選択ドライバ、電源ドライバ)の一例を示す概略構成図である。ここで、上述した表示駆動装置及び表示画素(発光駆動回路)と同等の構成については、同一又は同等の符号を付して、上述した図面を参照しながら説明する。
図15、図16に示すように、本発明に係る表示装置200は、概略、行方向に配設された複数の選択ライン(選択線)SLと列方向に配設された複数のデータライン(データ線)DLとの各交点近傍に、上述した表示画素と同等の回路構成を有する発光駆動回路DC及び有機EL素子(発光素子)OELを備えた複数の表示画素PXがn行×m列(n、mは、任意の正の整数)からなるマトリクス状に配列された表示パネル210と、該表示パネル210の選択ラインSLに接続され、各選択ラインSLごとに順次所定のタイミングで選択信号Sselを印加する選択ドライバ(選択駆動部)220と、選択ラインSLの各々に並行して行方向に配設された供給電圧ラインVLに接続され、各供給電圧ラインVLごとに順次所定のタイミングで所定の電圧レベルの供給電圧Vscを印加する電源ドライバ(電源駆動部)230と、表示パネル210のデータラインDLに接続され、上述したしきい値電圧検出期間Tdecに、各データラインDLを介して各列の表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)の当該時点のしきい値電圧を検出するとともに、表示駆動期間Tcycに、各データラインDLを介して各列の表示画素PXに、当該表示画素PXのスイッチング素子に固有のしきい値電圧に対応したプリチャージ電圧Vpreを印加した後、各表示データに応じた階調信号(階調電流Idata、又は、無発光表示電圧Vzero)を供給するデータドライバ(データ駆動部)240と、後述する表示信号生成回路260から供給されるタイミング信号に基づいて、少なくとも上記選択ドライバ220及び電源ドライバ230、データドライバ240の動作状態を制御する選択制御信号及び電源制御信号、データ制御信号(タイミング制御信号)を生成して出力するシステムコントローラ(駆動制御部)250と、例えば、表示装置200の外部から供給される映像信号に基づいて、デジタル信号からなる表示データ(輝度階調データ)を生成してデータドライバ240に供給するとともに、該表示データに基づいて表示パネル210に所定の画像情報を表示するためのタイミング信号(システムクロック等)を抽出、又は、生成して上記システムコントローラ250に供給する表示信号生成回路260と、を備えて構成されている。
以下、上記各構成について具体的に説明する。
(表示パネル)
図16に示した表示パネル210に配列された各表示画素PXは、上述した表示画素(図1参照)と同様に、選択ドライバ220から選択ライン(選択線)SLを介して印加される選択信号Ssel、及び、電源ドライバ230から供給電圧ラインVLを介して印加される供給電圧Vsc、データドライバ240からデータライン(データ線)DLを介して供給される階調信号(階調電流Idata、又は、無発光表示電圧Vzero)に基づいて、表示データに応じた発光駆動電流Iemを生成する発光駆動回路DCと、該発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流Iemの電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作する有機EL素子(発光素子)OELと、を有して構成されている。ここで、上述した表示画素と同様に、発光素子は、発光駆動電流の電流値に応じて所定の輝度階調で発光動作を行う電流制御型の発光素子であれば、他の発光素子であってもよい。
(選択ドライバ)
選択ドライバ220は、システムコントローラ250から供給される選択制御信号に基づいて、各選択ラインSLにオンレベル(上述した表示画素においては、ハイレベル)の選択信号Sselを印加することにより、各行ごとの表示画素PXを選択状態に設定する。具体的には、各行の表示画素PXについて、しきい値電圧検出動作、及び、発光動作を除く表示駆動動作(プリチャージ動作及び書込動作)を実行する期間中、選択信号Sselを当該行の選択ラインSLに印加する動作を、所定のタイミングで各行ごとに順次実行することにより、各行ごとの表示画素PXを順次選択状態に設定する。
ここで、選択ドライバ220は、例えば、図16に示すように、後述するシステムコントローラ250から選択制御信号として供給される選択クロック信号SCK及び選択スタート信号SSTに基づいて、各行の選択ラインSLに対応するシフト信号を順次出力する周知のシフトレジスタ221と、該シフトレジスタ221から出力されるシフト信号を所定の信号レベル(オンレベル)に変換して、システムコントローラ250から選択制御信号として供給される出力制御信号SOEに基づいて、各選択ラインSLに選択信号Sselとして出力する出力回路部(出力バッファ)222と、を備えた構成を有している。
(電源ドライバ)
電源ドライバ230は、システムコントローラ250から供給される電源制御信号に基づいて、各行の表示画素PXについて、発光動作期間中のみ高電位の供給電圧Vsc(=Ve)を当該行の供給電圧ラインVLに印加し、発光動作期間以外の動作期間(しきい値電圧検出期間Tdec、及び、表示駆動期間Tcycにおけるプリチャージ期間Tth及び書込動作期間Twrt)中、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)を印加する。
ここで、電源ドライバ230は、例えば、図16に示すように、上述した選択ドライバ220と同様に、システムコントローラ250から電源制御信号として供給されるクロック信号VCK及びスタート信号VSTに基づいて、各行の供給電圧ラインVLに対応するシフト信号を順次出力する周知のシフトレジスタ231と、シフト信号を所定の電圧レベル(電圧値Ve、Vs)に変換して、電源制御信号として供給される出力制御信号VOEに基づいて、各供給電圧ラインVLに供給電圧Vscとして出力する出力回路部232と、を備えた構成を有している。
(データドライバ)
データドライバ240は、上述した表示駆動装置100と同様に、少なくとも、図1に示したシフトレジスタ・データレジスタ部110と、表示データラッチ部120と、階調信号生成部130と、検出電圧ADC140と、補償電圧DAC150と、しきい値データラッチ部160と、フレームメモリ170と、データライン入出力切換部180と、を備えた構成を有している。
なお、図1においては、単一の表示画素PXに対応する構成を示したが、本発明に係る表示装置200に適用されるデータドライバ240においては、表示パネル210の列方向に配列される各データラインDLごとに、上記データライン入出力切換部180が設けられ、当該データライン入出力切換部180を構成する電圧検出側スイッチ181、入力選択スイッチ182及び書込側スイッチ183を上述した駆動制御方法に基づいて切り換え制御することにより、各行の表示画素PXに対して、同時並行して、もしくは、各列ごとに順次、検出用電圧Vpv、プリチャージ電圧Vpre、階調信号(階調電流Idata、無発光表示電圧Vzero)のいずれかを印加する動作、もしくは、検出電圧Vdecを測定する動作が選択的に実行される。
すなわち、データドライバ(表示駆動装置)240に設けられるシフトレジスタ・データレジスタ部110は、システムコントローラ250から供給されるデータ制御信号(シフトクロック信号、サンプリングスタート信号)に基づいて、1行分の各列の表示画素PX(又は、各列のデータラインDL)に対応して生成されるシフト信号の出力タイミングに基づいて、表示信号生成回路260から供給される1行分の表示データを順次取り込む。
表示データラッチ部120は、データ制御信号(データラッチ信号)に基づいて、上記シフトレジスタ・データレジスタ部110により取り込まれた1行分の表示データが転送されて、各列の表示画素PXごとに保持される。
階調信号生成部130は、上記表示データラッチ部120に保持された各表示データに基づいて、当該表示データに応じた電流値を有する階調電流Idata、又は、所定の電圧値を有する無発光表示電圧Vzeroを生成して、階調信号として各データラインDLに同時並行(一括)して、又は、順次印加する。
具体的には、上記表示データが有機EL素子(発光素子)OELの発光動作を伴う通常の階調表示を行うための階調表示データの場合には、例えば、階調基準電圧に基づいて所定の電圧値を有するアナログ信号電圧に変換し(デジタル−アナログ変換処理)、さらに、当該表示データに対応する電流値を有する階調電流Idataを生成して(電圧−電流変換処理)、所定のタイミングで各列のデータラインDLに出力し、一方、上記表示データが有機EL素子(発光素子)OELの発光動作を伴わない無発光表示データの場合には、所定の無発光表示電圧Vzeroを所定のタイミングで当該列のデータラインDLに出力する。
なお、無発光表示電圧Vzeroは、上述した駆動制御方法(無発光表示動作)に示したように、プリチャージ動作により、表示画素PXを構成する発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)のゲート−ソース間(コンデンサCs)に蓄積された電荷を放電して、ゲート−ソース間電圧Vgs(コンデンサCsの両端電位Vc)を0Vに設定する(又は、0Vに近似させる)ために必要な任意の電圧値に設定されている。ここで、無発光表示電圧Vzero、及び、階調電流Idataを生成するための階調基準電圧は、例えば、図示を省略した電源供給手段等から供給される。
検出電圧ADC140は、表示パネル210における画像情報の表示動作(表示画素PXの表示駆動動作)に先立つしきい値電圧検出動作において、選択状態に設定された行の各列の表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)の、当該しきい値電圧検出動作の実行時点のしきい値電圧(又は、当該しきい値電圧に対応する電圧成分)を、各データラインDLを介して検出電圧Vdecとして同時並行して、もしくは、順次測定し、デジタル信号電圧からなるしきい値検出データに変換して、しきい値データラッチ部160に出力する。
補償電圧DAC150は、表示パネル210における画像情報の表示動作(表示画素PXの表示駆動動作)に先立つしきい値電圧検出動作において、選択状態に設定された行の各列の表示画素PX(発光駆動回路DCに設けられた発光駆動用のスイッチング素子)に、所定の検出用電圧Vpvを各データラインDLを介して同時並行して、もしくは、順次出力する。
また、補償電圧DAC150は、表示パネル210における画像情報の表示動作(表示画素PXの表示駆動動作)において、選択状態に設定された行の各列の表示画素PXに設けられた上記スイッチング素子に固有のしきい値電圧を補償するためのしきい値補償データに基づいてプリチャージ電圧Vpreを生成し、各データラインDLを介して同時並行して、もしくは、順次各列の表示画素PXに出力する。
しきい値データラッチ部160は、表示パネル210における画像情報の表示動作(表示画素PXの表示駆動動作)に先立つしきい値電圧検出動作において、選択状態に設定された行の各列の表示画素PXごとに、上記検出電圧ADC140により変換、生成されたしきい値検出データを取り込んで保持した後、シフトレジスタ・データレジスタ部110により当該1行分のしきい値検出データが取り出されて、フレームメモリ170に順次転送される。
また、しきい値データラッチ部160は、表示パネル210における画像情報の表示動作(表示画素PXの表示駆動動作)において、シフトレジスタ・データレジスタ部110によりフレームメモリ170から順次取り出された、選択状態に設定された行の各列の表示画素PXごとのしきい値検出データに応じたしきい値補償データを取り込んで保持し、各列ごとに補償電圧DAC150に転送する。
(システムコントローラ)
システムコントローラ250は、選択ドライバ220及び電源ドライバ230、データドライバ240の各々に対して、動作状態を制御する選択制御信号及び電源制御信号、データ制御信号を生成して出力することにより、各ドライバを所定のタイミングで動作させて、所定の電圧レベルを有する選択信号Ssel及び供給電圧Vsc、階調信号(階調電流Idata、無発光表示電圧Vzero)、を生成して出力させ、各表示画素PX(発光駆動回路DC)におけるしきい値電圧検出動作(電圧印加動作、電圧収束動作、電圧読取動作)、及び、表示駆動動作(プリチャージ動作、書込動作、発光動作)を実行させて、映像信号に基づく所定の画像情報を表示パネル210に表示させる制御を行う。具体的な制御動作については、後述する駆動制御方法において詳しく説明する。
(表示信号生成回路)
表示信号生成回路260は、例えば、表示装置200の外部から供給される映像信号から輝度階調信号成分を抽出し、表示パネル210の1行分ごとに、該輝度階調信号成分をデジタル信号からなる表示データ(輝度階調データ)としてデータドライバ240のシフトレジスタ・データレジスタ部に供給する。ここで、上記映像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像情報の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成回路260は、上記輝度階調信号成分を抽出する機能のほかに、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ250に供給する機能を有するものであってもよい。この場合においては、上記システムコントローラ250は、表示信号生成回路260から供給されるタイミング信号に基づいて、選択ドライバ220や電源ドライバ230、データドライバ240に対して個別に供給する各制御信号を生成する。
なお、図15及び図16に示した表示装置200においては、表示パネル210の周辺に、選択ラインSLに接続された選択ドライバ220、及び、供給電圧ラインVLに接続された電源ドライバ230を個別に設けた構成を示したが、上述した表示駆動装置(データドライバ240に相当する)の駆動制御方法(図7、図12参照)において説明したように、特定の行の表示画素PXについて、(選択ドライバ220から)選択ラインSLに印加される選択信号Sselと、(電源ドライバ230から)供給電圧ラインVLに印加される供給電圧Vscとは、相互に信号レベルが反転関係になるように設定されるので、表示パネル210に配列された各表示画素PXを行単位で独立して表示駆動動作(特に、発光動作)を行う場合(具体的には、後述する表示装置200の駆動制御方法の第1の例の場合)には、選択ドライバ220により生成される選択信号Sselの信号レベルを反転し(レベル反転処理)、さらに、所定の電圧レベルを有するようにレベル変換して(レベル変換処理)、当該行の供給電圧ラインVLに印加するように構成することにより、電源ドライバ230をなくした構成を適用することができる。
<表示装置の駆動制御方法>
次いで、本発明に係る表示装置における駆動制御方法(駆動制御動作)について説明する。
図17は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第1の例を模式的に示したタイミングチャ−トである。ここで、上述した表示駆動装置100及び表示画素PX(発光駆動回路DC)における場合と同等の駆動制御方法(図2、図7参照)については、その説明を簡略化する。なお、ここでは、説明の都合上、便宜的に表示パネルに12行(第1行〜第12行)の表示画素が配列された構成を有しているものとして説明する。
本発明に係る表示装置200の駆動制御動作の第1の例は、概略、図17に示すように、1フレーム期間(約16.7msec;一定の動作期間)内に、表示パネル210に配列された表示画素PXのうち特定の行の表示画素について、各表示画素PXに設けられた発光駆動回路DCにおいて有機EL素子(発光素子)OELの発光状態を制御する発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ;発光駆動素子)のしきい値電圧(又は、当該しきい値電圧に対応する電圧成分)を検出するしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)と、表示パネル210の各行ごとの表示画素PX(発光駆動回路DC)について、上記スイッチング素子のしきい値電圧を補償した(しきい値電圧相当の電圧成分を保持させた)後、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata、無発光表示電圧Vzero)を書き込み、各行の表示画素PX(有機EL素子OEL)を上記表示データ(階調信号)に応じた輝度階調で発光動作させる表示駆動動作(表示駆動期間Tcyc)とを、全行について順次繰り返し、表示パネル210一画面分の画像情報を表示する。
ここで、しきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)は、上述した表示駆動装置における駆動制御方法と同様に、表示パネル210の特定の行の表示画素PX(発光駆動回路DC)に対して、所定の検出用電圧Vpvを印加する電圧印加動作(電圧印加期間Tpv)と、該検出用電圧Vpvに基づく電圧成分を各スイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)の当該検出時点でのしきい値電圧に収束させる電圧収束動作(電圧収束期間Tcv)と、各表示画素PXにおける電圧収束後のしきい値電圧Vth13を測定して(読み取り)、各表示画素PXごとにしきい値検出データとして記憶する電圧読取動作(電圧読取期間)と、からなる一連の駆動制御を実行する。
特に、第1の例に係る表示装置の駆動制御動作においては、連続するフレーム期間において、各フレーム期間ごとに特定の1行分の表示画素PXについて、上記一連の駆動制御からなるしきい値電圧検出動作を順次実行する。
具体的には、図17に示すように、表示画素PXが12行配列された表示パネル210においては、第1フレームにおいて、1行目の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作が実行されて、当該しきい値検出データがフレームメモリの対応する記憶領域に格納される。第1フレームにおいては、この1行目の表示画素PXに対するしきい値電圧検出動作が終了後に、表示パネル210に配列された全ての表示画素PXについて、1行目から12行目まで各行ごとに後述する表示駆動動作が順次実行される。
次いで、第2フレームにおいて、1行目の表示画素PXについて、表示駆動動作が実行された後、2行目の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作が実行されて、当該しきい値検出データがフレームメモリの対応する記憶領域に格納される。その後、表示パネル210の2行目から12行目までの表示画素PXについて各行ごとに表示駆動動作が順次実行される。
次いで、第3フレームにおいて、1行目及び2行目の表示画素PXについて、表示駆動動作が実行された後、3行目の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作が実行されて、当該しきい値検出データがフレームメモリの対応する記憶領域に格納される。その後、表示パネル210の3行目から12行目までの表示画素PXについて各行ごとに表示駆動動作が順次実行される。
以下同様に、第12フレームまで、対応する行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作を順次繰り返し実行することにより、フレームメモリに表示パネル210一画面分に配列された全表示画素PXについてのしきい値データ(しきい値電圧)が記憶される。
すなわち、本発明に係る表示装置の駆動制御方法(しきい値電圧検出動作)においては、各フレーム期間において、表示パネル210のいずれかの行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作が実行され、表示パネルの行数分のフレーム期間を1サイクルとして、常時最新のしきい値電圧が検出(モニタ)される。
なお、図17に示したタイミングチャートにおいて、しきい値電圧検出期間Tdecの各行の斜線で示したハッチング部分は、各々、上述した電圧印加動作及び電圧収束動作、電圧読取動作からなる一連のしきい値電圧検出動作を表しており、各行ごとのしきい値電圧検出動作が時間的に重ならないように、タイミングをずらして順次実行される。
また、表示駆動動作(表示駆動期間Tcyc)についても、上述した表示駆動装置における駆動制御方法と同様に、1フレーム期間内に、表示パネル210の各行ごとの表示画素PX(発光駆動回路DC)に対して、上記しきい値電圧検出動作により各フレーム期間ごとに各行の表示画素PX(発光駆動用のスイッチング素子)について検出され、フレームメモリに記憶されたしきい値検出データ(しきい値補償データ)に基づいて、各表示画素PXのしきい値電圧を補償するプリチャージ電圧Vpreを書き込むプリチャージ動作(プリチャージ期間Tth)と、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata、無発光表示電圧Vzero)を書き込む書込動作(書込動作期間Twrt)と、所定のタイミングで上記表示データ(階調信号)に応じた輝度階調で各表示画素PX(有機EL素子OEL)を発光させる発光動作(発光動作期間Tem)と、からなる一連の駆動制御を、各行ごとに所定のタイミングで順次実行する。
特に、第1の例に係る表示装置の駆動制御動作においては、各行ごとのプリチャージ動作及び書込動作が時間的に重ならないように、タイミングをずらして順次実行され、書込動作が終了した行の表示画素PXから順に発光動作が実行される。すなわち、各行の表示駆動動作のうち、発光動作のみが各行間で相互に時間的に重なるように(部分的に並行して)実行される。
ここで、図17に示したタイミングチャートにおいて、表示駆動期間Tcycの各行のクロスメッシュで示したハッチング部分(「Tth+Twrt」と表記)は、各々、上述した表示駆動動作の駆動制御方法に示したプリチャージ動作及び書込動作を表しており、また、各行のドットハッチング部分は、各々、発光動作を表している。
具体的には、図17に示すように、表示駆動動作(表示駆動期間Tcyc)のプリチャージ期間Tth及び書込動作期間Twrtにおいては、選択ドライバ220から表示パネル210の各行の選択ラインSLに対して、図7、図12に示したように、オンレベル(ハイレベル)の選択信号Sselを個別に印加することにより、各行の表示画素PXを順次選択状態に設定する。また、当該プリチャージ期間Tth及び書込動作期間Twrtにおいては、電源ドライバ230から各行の供給電圧ラインVLに対して、低電位の供給電圧Vsc(=Vs)が印加される。
そして、このタイミング(以下、便宜的に「選択タイミング」と記す)に同期して、選択状態に設定された行の表示画素PXに対して、まず、プリチャージ期間Tthにおいて、データドライバ240に設けられた補償電圧DAC150から各データラインDLに対して、各表示画素PX(発光駆動回路DC)に設けられたスイッチング素子(薄膜トランジスタ)のしきい値電圧を補償するための個別のプリチャージ電圧Vpreを印加することにより、当該行の各表示画素PXのスイッチング素子の制御端子(具体的には、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース端子間;コンデンサCsの両端)に、当該スイッチング素子(薄膜トランジスタTr13)に固有のしきい値電圧相当の電圧成分が保持(電荷が蓄積)される。
ここで、上述したしきい値電圧検出動作において説明したように、表示パネル210に配列された表示画素PXのスイッチング素子のしきい値電圧は、各フレーム期間ごとに特定の1行分の表示画素PXについて検出されるように駆動制御されるので、システム起動直後や休止状態からの復起直後等においては、前回検出された表示画素PXについて検出され、フレームメモリに記憶されたしきい値電圧に基づいて、上記プリチャージ動作が実行される(プリチャージ電圧Vpreが生成される)。
次いで、書込動作期間Twrtにおいて、データドライバ240に設けられた階調信号生成部130から各列のデータラインDLに、上記選択状態に設定された行の各表示画素PX(発光駆動回路DC)の表示データに応じた階調信号(階調電流Idata、もしくは、無発光表示電圧Vzero)を個別に印加することにより、当該行の各列の表示画素PXのスイッチング素子の制御端子(具体的には、薄膜トランジスタTr13のゲート−ソース端子間;コンデンサCsの両端)に、階調信号(表示データ)に応じた電圧成分が保持(電荷が蓄積、又は、放電)される。
ここで、上述した駆動制御方法と同様に、表示信号生成回路260からデータドライバ240に供給される表示データが、有機EL素子(発光素子)OELの発光動作を伴う階調表示データ(0ビット以外の階調値;階調表示動作)の場合には、データドライバ240(階調信号生成部130)により当該表示データに応じた階調電流Idataが生成されて、対応する列の表示画素PXに供給され、一方、上記表示データが、有機EL素子(発光素子)OELの発光動作を伴わない無発光表示データ(0ビットの階調値;無発光表示動作))の場合には、データドライバ240により所定の無発光表示電圧Vzeroが生成されて、対応する列の表示画素PXに供給される。
したがって、階調信号として階調電流Idataが供給された表示画素PXにおいては、上述したプリチャージ動作により、当該行の各表示画素PX(発光駆動用の薄膜トランジスタのゲート−ソース間)に充電されたしきい値電圧(Vth13)相当の電圧成分に上乗せして、階調電流Idataに基づく電圧成分(実効電圧Vdata)が充電されることになる。
また、階調信号として無発光表示電圧Vzeroが供給された表示画素PXにおいては、上述したプリチャージ動作により、当該行の各表示画素PXに充電されたしきい値電圧(Vth13)相当の電圧成分(電荷)がほとんど全て放電されて、結果的に表示データに対応した電圧(0V)が発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタのゲート−ソース間)に設定されることになる。
次いで、図17に示すように、表示駆動動作(表示駆動期間Tcyc)の発光動作期間Temにおいては、図7、図12に示したように、選択ドライバ220から各行の選択ラインSLに対して、オフレベル(ローレベル)の選択信号Sselを印加することにより、各行の各表示画素PXを非選択状態に設定する。また、データドライバ240に設けられた階調信号生成部130から各データラインDLへの階調信号の印加が遮断される。
そして、このタイミングに同期して、電源ドライバ230から非選択状態に設定された行の供給電圧ラインVLに対して、高電位の供給電圧Vsc(=Ve)が印加されることにより、当該行の各表示画素PX(発光駆動用の薄膜トランジスタのゲート−ソース間)に充電された電圧成分に基づいて、表示データ(階調信号)に応じた発光駆動電流Iemが有機EL素子OELに供給され、所定の輝度階調で発光動作、又は、無発光動作が行われる。
ここで、各表示画素PXに書き込まれた階調信号が、有機EL素子OELの発光動作を伴う階調表示データ(0ビット以外の階調値)に基づく場合には、有機EL素子OELに当該階調電流Idataと同等の発光駆動電流Iemが供給されて、表示データに対応した所定の輝度階調で有機EL素子OELが発光動作(階調表示動作)し、一方、上記階調信号が、有機EL素子OELの発光動作を伴わない無発光表示データ(0ビットの階調値)に基づく場合には、有機EL素子OELには発光駆動電流Iemが供給されず、発光動作が行われない(無発光表示動作;黒表示動作)。
このような発光動作(又は、無発光動作)は、各行の表示画素PXにおいて、上記プリチャージ動作及び書込動作の終了タイミングに同期して(終了直後から)開始され、当該行について次のプリチャージ動作及び書込動作の開始タイミング(開始直前)まで、例えば、1フレーム期間継続して実行される。
また、各行(例えば、i行目;1≦i≦12)の表示画素PXについての上記プリチャージ動作及び書込動作の終了タイミングに同期して(終了直後から)、隣接する行(i+1行目)の表示画素PXについて、上記と同様のプリチャージ動作及び書込動作が開始される。なお、上述したように、しきい値電圧検出動作(しきい値検出期間Tdec)が実行される行(例えば、i行目)においては、当該行の1つ前の行(i−1行目)についてのプリチャージ動作及び書込動作の終了後、当該行について上記しきい値電圧検出動作を実行した後、プリチャージ動作及び書込動作を実行する。
これにより、図17に示したように、1フレーム期間内に、表示パネル210の各行ごとの表示画素PX(発光駆動回路DC)に対して、プリチャージ動作及び書込動作により各表示画素PXに表示データ(階調信号)に応じた適切な電圧成分を充電させる動作を、各行間で相互に時間的に重ならないように、タイミングをずらして順次実行し、かつ、プリチャージ動作及び書込動作が終了した行の表示画素PXから順に所定の輝度階調で発光動作(又は、無発光動作)を、各行間で相互に一部時間的に重なるように実行する駆動制御動作が実現される。
このように、本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法の第1の例によれば、上述した電流指定階調方式の駆動制御方法に対応した表示駆動装置及び表示画素を、各々データドライバ及び表示パネルに適用した構成を有していることにより、通常の階調表示動作時(無発光表示動作時以外)においては、表示データに応じた階調電流の電流値に基づいて、発光素子(有機EL素子)に供給する発光駆動電流を制御することができるとともに、各表示画素に設けられた単一のスイッチング素子(発光駆動用の薄膜トランジスタ)により、上記階調電流の電流レベルを電圧レベルに変換し、該電圧レベルに基づいて発光駆動電流の電流値を設定することができるので、各表示画素(発光駆動回路)に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)の素子特性(しきい値電圧)のバラツキや経時変化の影響を受けることなく、長期間にわたり安定的に所望の発光特性を実現することができる。
また、本発明に係る表示装置及びその駆動制御方法によれば、表示パネルに配列された各行の表示画素への表示データ(階調信号)の書込動作、及び、発光素子(有機EL素子)の発光動作に先立って、各フレーム期間ごとに特定の行の表示画素について、当該表示画素(発光駆動回路)に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)のしきい値電圧を検出して記憶し(しきい値電圧検出動作)、その後、各表示画素への表示データの書込動作の直前に、当該表示画素に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)に上記検出されたしきい値電圧に応じたプリチャージ電圧を印加する(プリチャージ動作)ことにより、表示パネルに配列されたいずれかの行の表示画素について、しきい値電圧検出動作実行時点の発光駆動用のスイッチング素子のしきい値電圧(Vthシフトの状態)を常時モニタすることができ、各表示画素の発光駆動用のスイッチング素子の制御端子(薄膜トランジスタのゲート−ソース間)に、当該スイッチング素子に固有のしきい値電圧(Vthシフトにより変動したしきい値電圧)に相当する電圧成分(電荷)を保持した状態(しきい値電圧を個別に補償した状態)に設定することができるので、表示データの書込動作において、当該表示データに応じた電圧成分のみを上乗せして充電すればよく、表示データに基づく電圧成分を迅速かつ適切に書き込むことができる。
したがって、電流階調指定方式の駆動制御方法において、表示データに応じた階調電流が非常に小さくなる低輝度階調での表示動作の際においても、当該表示データに応じた電圧成分を迅速かつ適切に書き込むことができるので、各表示画素における書込不足の発生を抑制することができ、また、各表示画素に設けられた発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)のVthシフトの影響を受けることがないので、映像信号に応じた適切な輝度階調で所望の画像情報を、長期間にわたり良好に表示することができる。
また、無発光表示時においては、表示データ(0ビットの階調値)に応じた所定の無発光表示電圧を各表示画素に供給することにより、発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタのゲート−ソース間)に保持された電圧成分のほとんど全てを迅速に放電することができるので、発光素子(有機EL素子)への発光駆動電流の供給を確実に遮断することができ、無発光表示動作を安定的に実現することができる。
さらに、第1の例に係る駆動制御方法によれば、表示パネルの各行において、1フレーム期間のうち、プリチャージ期間及び書込動作期間以外の期間では、次のプリチャージ期間及び書込動作期間の開始タイミング、又は、しきい値電圧検出動作の開始タイミングまで、発光動作が継続するように駆動制御されるので、各表示画素(発光素子)の発光時間を十分長く設定することができ、画像情報を高い発光輝度で表示することができる。これは換言すると、各表示画素の発光輝度を低減した場合であっても十分な輝度で画像情報を表示できることを意味しており、したがって、画像情報の表示に係る消費電力を削減することができる。
次に、本発明に係る表示装置における駆動制御方法の第2の例について、図面を参照して説明する。
図18は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第2の例を模式的に示したタイミングチャ−トである。ここで、上述した第1の例(図17参照)と同等の駆動制御方法については、その説明を簡略化する。また、図中のハッチング部については上述した第1の例と同等の動作状態を示す。また、図19は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第2の例を実現するための表示装置の一例を示す要部構成図である。ここで、上述した表示装置と同等の構成については、同等の符号を付して説明する。
本発明に係る表示装置200の駆動制御動作の第2の例は、図18に示すように、まず、表示パネル210に配列された表示画素PXについて、相互に隣接する複数行ごとに予めグループ分けし、1フレーム期間内に、特定のグループの特定の行の表示画素PXの発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)についてしきい値電圧を検出するしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)と、表示パネル210の各行ごとの表示画素PXに対して、上記しきい値電圧を補償した後、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata、無発光表示電圧Vzero)を書き込む動作(プリチャージ期間Tth、書込動作期間Twrt)を、全行について順次繰り返し、所定のタイミングで各グループごとの複数行の表示画素PX(有機EL素子OEL)を上記表示データ(階調信号)に応じた輝度階調で一斉に発光動作させる表示駆動動作と、を実行することにより、表示パネル210一画面分の画像情報が表示される。
ここで、第2の例に係る駆動制御動作は、具体的には、まず、表示パネル210に配列された全ての表示画素PXを複数行ごとに予めグループ分けする。例えば、図18に示すように、表示パネル210を構成する12行の表示画素PXを、相互に隣接する1〜4行目、5〜8行目、9〜12行目のように、4行分の表示画素PXを一組としてグループ分けする。
そして、第1フレームにおいて、1〜4行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて1行目の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)が実行されて、当該しきい値検出データがフレームメモリの対応する記憶領域に格納される。第1フレームにおいては、この1行目の表示画素PXに対するしきい値電圧検出動作が終了後に、表示パネル210に配列された全ての表示画素PXについて、1行目から12行目まで各行ごとに表示駆動動作(プリチャージ動作及び書込動作;Tth+Twrt)が順次実行される。
この各行ごとの表示駆動動作において、各グループに含まれる全ての行の表示画素PXへの書込動作が終了したグループについて、発光動作が実行される。例えば、1〜4行目の表示画素PXを一組とするグループにおいては、1行目の表示画素PXから順に、上記プリチャージ動作及び書込動作が実行され、4行目の表示画素PXについて書込動作が終了したタイミングで、各表示画素PXに書き込まれた表示データ(階調信号)に基づいて、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作する。この発光動作は、1行目の表示画素PXに対して、次のプリチャージ動作及び書込動作が開始されるタイミング、又は、1〜4行のいずれかの行についてしきい値電圧検出動作が開始されるタイミングまで継続される。
また、上記4行目の表示画素PXについて書込動作が終了したタイミングで、5〜8行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて、5行目の表示画素PXから順に、上記プリチャージ動作及び書込動作が実行され、8行目の表示画素PXについて書込動作が終了したタイミングで、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作する。以下、同様の動作が次のグループの各行の表示画素PXについて繰り返し実行される。
次いで、第2フレームにおいて、1〜4行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて上記プリチャージ動作及び書込動作が順次実行され、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作するタイミングで、5〜8行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて4行目(当該グループにおいては1行目に相当する)の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)が実行されて、当該しきい値電圧検出動作が終了後に、当該グループにおいてプリチャージ動作及び書込動作が順次実行される。
次いで、5〜8行目の表示画素PXを一組とするグループにおいてプリチャージ動作及び書込動作が終了し、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作するタイミングで、9〜12行目の表示画素PXを一組とするグループにおいてプリチャージ動作及び書込動作が順次実行され、その後、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作する。
以下同様に、各フレーム期間ごとに、予め設定された各グループについて、当該グループに含まれる特定の行の表示画素PXについてしきい値検出動作が実行され、また、各グループに含まれる全ての行の表示画素PXに書込動作が終了した時点で、当該グループの全ての表示画素PXを一斉に発光動作させる表示駆動動作が繰り返し実行される。
このように、各フレーム期間ごとに特定の行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作を順次繰り返し実行することにより、各フレーム期間において、表示パネル210のいずれかの行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作が実行され、表示パネルの行数分のフレーム期間を1サイクルとして、常時最新のしきい値電圧が検出(モニタ)される。
また、第2の例に係る表示駆動動作においては、同一グループの他の行の表示画素PXに対して、しきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が実行されている期間中は、当該グループ内の全ての表示画素が無発光動作して無発光表示状態(黒表示状態)に設定されるように制御される。
このような表示駆動動作は、例えば、図7、図12に示したように、しきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作の際に、電源ドライバ230により当該行の供給電圧ラインVLに対して印加されていた低電位の供給電圧Vsc(=Vs)を、同一グループに含まれる行の表示画素PXに対するしきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が実行されている期間中、継続して印加し、当該グループに含まれる全ての行に対するしきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が終了した後に、当該グループの全ての行の供給電圧ラインVLに対して高電位の供給電圧Vsc(=Ve)を印加するように制御することにより実現することができる。
また、同様の駆動制御は、各グループごとに単一の供給電圧Vscが同時に印加されるように、例えば、図19に示すように、単一の供給電圧ラインVLを分岐させて、1〜4行目(又は、5〜8行目、9〜12行目)の表示画素PXに共有して接続された構成を適用し、電源ドライバ230から印加される単一の供給電圧Vscが同一グループに含まれる全ての行の表示画素PXに印加されるようにすることによっても実現することができる。なお、本駆動制御方法においても、図16に示した場合と同様に、表示パネル210の各行ごとに個別の選択ラインSLが配設され、選択ドライバ220から個別の選択信号Sselが異なるタイミングで印加される。
したがって、このような表示装置の駆動制御方法(表示駆動動作)によれば、上述した第1の例に係る駆動制御方法と同様の作用効果を得ることができるとともに、同一グループ内の各行の表示画素にしきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作を実行する期間中、表示画素(発光素子)の発光動作が行われず、無発光動作(黒表示動作)が行われるので、複数の画像情報(静止画像)の連続的な表示による動画像の表示動作に際して、当該動画像のちらつきを抑制し、鮮明さを向上させることができる。
ここで、図18に示したタイミングチャートにおいては、表示パネル210を構成する12行の表示画素PXを、3組にグループ分けして、各グループごとに異なるタイミングで一斉に発光動作を実行するように制御されるので、1フレーム期間における上記無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)は概ね33%となる。ここで、人間の視覚において、動画像をちらつきがなく鮮明に視認するためには、一般に、概ね30%以上の黒挿入率を有していることが目安になるので、本駆動制御方法によれば、良好な表示画質を有する表示装置を実現することができる。
次に、本発明に係る表示装置における駆動制御方法の第3の例について、図面を参照して説明する。
図20は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第3の例を模式的に示したタイミングチャ−トである。ここで、上述した第2の例(図18参照)と同等の駆動制御方法については、その説明を簡略化する。
本発明に係る表示装置200の駆動制御動作の第3の例は、図20に示すように、
まず、表示パネル210に配列された表示画素PXについて、相互に隣接しない複数行ごとに予めグループ分けし、1フレーム期間内に、特定のグループの特定の行の表示画素PXの発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)についてしきい値電圧を検出するしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)と、
上記各グループごとに、当該グループに含まれる行の表示画素PXに対して、上記しきい値電圧を補償した後、表示データに応じた階調信号(階調電流Idata、無発光表示電圧Vzero)を書き込む動作(プリチャージ期間Tth、書込動作期間Twrt)を順次実行し、所定のタイミングで各グループごとの複数行の表示画素PX(有機EL素子OEL)を上記表示データ(階調信号)に応じた輝度階調で一斉に発光動作させる表示駆動動作と、を実行することにより、表示パネル210一画面分の画像情報が表示される。
ここで、第2の例に係る駆動制御動作は、具体的には、まず、表示パネル210に配列された全ての表示画素PXを、例えば、図20に示すように、表示パネル210を構成する12行の表示画素PXを、1、4、7、10行目、2、5、8、11行目、3、6、9、12行目のように、各々4行分の表示画素PXを一組として3グループに分ける。
そして、第1フレームにおいて、1、4、7、10行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて1行目の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)が実行され、その後、表示パネル210に配列された全ての表示画素PXについて、各グループのごとに行番号の小さい順に表示駆動動作(プリチャージ動作及び書込動作;Tth+Twrt)が実行される。
この各行ごとの表示駆動動作において、各グループに含まれる全ての行の表示画素PXへの書込動作が終了したグループについて、発光動作が実行される。例えば、1、4、7、10行目の表示画素PXを一組とするグループにおいては、1行目の表示画素PXから順に、上記プリチャージ動作及び書込動作が実行され、10行目の表示画素PXについて書込動作が終了したタイミングで、各表示画素PXに書き込まれた表示データ(階調信号)に基づいて、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作する。この発光動作は、1行目の表示画素PXに対して、次のプリチャージ動作及び書込動作が開始されるタイミング、又は、1、4、7、10行のいずれかの行についてしきい値電圧検出動作が開始されるタイミングまで継続される。
また、上記10行目の表示画素PXについて書込動作が終了したタイミングで、2、5、8、11行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて、2行目の表示画素PXから順に、上記プリチャージ動作及び書込動作が実行され、11行目の表示画素PXについて書込動作が終了したタイミングで、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作する。以下、同様の動作が次のグループの各行の表示画素PXについて繰り返し実行される。
次いで、第2フレームにおいて、1、4、7、10行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて上記プリチャージ動作及び書込動作が順次実行され、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作するタイミングで、2、5、8、11行目の表示画素PXを一組とするグループにおいて2行目(当該グループにおいては1行目に相当する)の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)が実行されて、当該しきい値電圧検出動作が終了後に、当該グループにおいてプリチャージ動作及び書込動作が順次実行される。
次いで、2、5、8、11行目の表示画素PXを一組とするグループにおいてプリチャージ動作及び書込動作が終了し、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作するタイミングで、3、6、9、12行目の表示画素PXを一組とするグループにおいてプリチャージ動作及び書込動作が順次実行され、その後、当該グループの4行分の表示画素PXが一斉に発光動作する。
以下同様に、各フレーム期間ごとに、予め設定された各グループについて、当該グループに含まれる特定の行の表示画素PXについてしきい値検出動作が実行され、また、各グループに含まれる全ての行の表示画素PXに書込動作が終了した時点で、当該グループの全ての表示画素PXを一斉に発光動作させる表示駆動動作が繰り返し実行される。
このように、各フレーム期間ごとに特定の行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作を順次繰り返し実行することにより、各フレーム期間において、表示パネル210のいずれかの行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作が実行され、表示パネルの行数分のフレーム期間を1サイクルとして、常時最新のしきい値電圧が検出(モニタ)される。
また、第2の例に係る表示駆動動作と同様に、同一グループの他の行の表示画素PXに対して、しきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が実行されている期間中は、当該グループ内の全ての表示画素が無発光動作して無発光表示状態(黒表示状態)に設定されるように制御される。
また、このような表示駆動動作は、上述した第2の例と同様に、例えば、同一グループの他の行の表示画素PXに対して、しきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が実行されている期間中、電源ドライバ230から当該グループの各行の供給電圧ラインVLに印加される供給電圧Vscを低電位(Vs)の状態に保持し、同一グループの全ての行の表示画素PXに対するしきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が終了した後、当該グループに含まれる全ての行の供給電圧ラインVLに高電位の供給電圧Vsc(=Ve)を印加するように制御することにより実現することができる。なお、上述した第2の例(図19参照)と同様に、各グループに含まれる全ての行の表示画素PXに対して、単一の供給電圧Vscが印加されるように、供給電圧ラインVLを分岐して配設するようにした構成を適用するものであってもよい。
したがって、このような表示装置の駆動制御方法(表示駆動動作)によれば、上述した第1の例に係る駆動制御方法と同様の作用効果を得ることができるとともに、第2の例に係る駆動制御方法と同様に、表示パネル210を構成する12行の表示画素PXを、複数組にグループ分けして、各グループごとに異なるタイミングで一斉に発光動作を実行するように制御されるので、1フレーム期間中に所定の期間、無発光動作(黒表示動作)が実行される。特に、本駆動制御方法においても、当該無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)を概ね33%に設定することができるので、動画像のちらつきを抑制して鮮明さを向上させた表示装置を実現することができる。
なお、上述した第2、第3の例に係る駆動制御方法においては、表示パネル210を構成する表示画素PXを、3組にグループ分けした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記グループ数を適宜増減させて設定したものであってもよいことはいうまでもない。
以下に、上述した第2、第3の例に係る駆動制御方法の変形例を示す。
図21は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第2の例の変形例(その1)を模式的に示したタイミングチャ−トであり、図22は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第3の例の変形例(その1)を模式的に示したタイミングチャ−トである。また、図23は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第2の例の変形例(その2)を模式的に示したタイミングチャ−トであり、図24は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第3の例の変形例(その2)を模式的に示したタイミングチャ−トである。
上述した第2及び第3の例に係る表示装置の駆動制御方法の変形例(その1)においては、例えば、図21、図22に示すように、表示パネル210を構成する表示画素PXを、4組にグループ分けして(図21では1〜3行目、4〜6行目、7〜9行目、10〜12行目の4グループ、図22では1、5、9行目、2、6、10行目、3、7、11行目、4、8、12行目の4グループ)、各フレーム期間ごとに特定の行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作を実行するとともに、各グループごとに異なるタイミングで各行の表示画素PXについてプリチャージ動作及び書込動作を実行した後、一斉に発光動作を実行するように制御する。この場合、1フレーム期間における上記無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)は概ね25%となり、上述したような動画像のちらつきが視認されない目安である30%をやや下回るものの、比較的良好な表示画質を有する表示装置を実現することができる。
また、上述した第2及び第3の例に係る表示装置の駆動制御方法の変形例(その2)においては、例えば、図23、図24に示すように、表示パネル210を構成する表示画素PXを、2組にグループ分けして(図23では1〜6行目、7〜12行目の2グループ、図24では奇数行目、偶数行目の2グループ)、各フレーム期間ごとに特定の行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作を実行するとともに、各グループごとに異なるタイミングで各行の表示画素PXについてプリチャージ動作及び書込動作を実行した後、一斉に発光動作を実行するように制御する。
この場合、1フレーム期間における上記無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)は概ね50%となり、上述したような動画像のちらつきが視認されない目安である30%を上回るものの、発光動作期間が1フレーム期間の半分に過ぎなくなるため、画像情報を十分な発光輝度で表示することができなくなる。そこで、各表示画素の発光輝度を適宜増大させることにより、画像情報を十分な輝度で、かつ、良好な表示画質で表示することができる。
次に、本発明に係る表示装置における駆動制御方法の第4の例について、図面を参照して説明する。
図25は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第4の例を模式的に示したタイミングチャ−トである。ここで、上述した第1〜第3の例(図17〜図24参照)と同等の駆動制御方法については、その説明を簡略化する。また、図26は、本発明に係る表示装置の駆動制御方法の第4の例を実現するための表示装置の一例を示す要部構成図である。ここで、上述した表示装置と同等の構成については、同等の符号を付して説明する。
本発明に係る表示装置200の駆動制御動作の第4の例は、図25に示すように、1フレーム期間の前半(1フレーム期間の1/2の期間)で、まず、表示パネル210に配列された特定の行の表示画素PXの発光駆動用のスイッチング素子(薄膜トランジスタ)についてしきい値電圧を検出するしきい値電圧検出動作(しきい値電圧検出期間Tdec)を実行した後、表示パネル210に配列された全ての行の表示画素PXに対して、上記プリチャージ動作及び書込動作を各行ごとにタイミングをずらして順次実行し、1フレーム期間の後半(1フレーム期間の1/2の期間)で、表示パネル210に配列された全ての行の表示画素PXを、表示データに応じた輝度階調で一斉に発光動作させる表示駆動動作を実行することにより、表示パネル210一画面分の画像情報が表示される。
このように、各フレーム期間ごとに特定の行の表示画素PXについてしきい値電圧検出動作を実行するとともに、各フレーム期間の後半で、全ての表示画素PXを一斉に発光動作させるように駆動制御することにより、しきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が実行されている各フレーム期間の前半は、いずれの行の表示画素PXにおいても発光動作が行われず、全ての表示画素PXが無発光表示動作(黒表示動作)するように制御される。
このような表示駆動動作は、例えば、各行の表示画素PXに対して、しきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が実行されている期間中、電源ドライバ230から全ての行の供給電圧ラインVLに印加される供給電圧Vscを低電位(Vs)の状態に保持し、全ての行の表示画素PXに対するしきい値電圧検出動作、プリチャージ動作及び書込動作が終了した後、全ての行の供給電圧ラインVLに高電位の供給電圧Vsc(=Ve)を印加するように制御することにより実現することができる。
同様の駆動制御は、全ての表示画素PXに対して単一の供給電圧Vscが同時に印加されるように、例えば、図26に示すように、単一の供給電圧ラインVLを全ての行に対応させて分岐し、表示パネル210に配列された全ての表示画素PXに共有して接続された構成を適用し、電源ドライバ230から印加される単一の供給電圧Vscが全ての行の表示画素PXに印加されるようにすることによっても実現することができる。
この場合の電源ドライバ230の構成は、高電位の供給電圧Vsc(=Ve)と低電位の供給電圧Vsc(=Vs)を、例えば、システムコントローラ250から供給される電源制御信号に基づく所定のタイミングで選択的に出力する機能を有していればよいので、少なくとも図16に示したようなシフトレジスタ回路を備えていなくてもよい。なお、本駆動制御方法においても、図16に示した場合と同様に、表示パネル210の各行ごとに個別の選択ラインSLが配設され、選択ドライバ220から個別の選択信号Sselが異なるタイミングで印加される。
したがって、このような表示装置の駆動制御方法(表示駆動動作)によれば、各フレーム期間を、前半と後半に2分割して、前半で特定の行の表示画素に対してしきい値電圧検出動作を実行した後、各行の表示画素に順次プリチャージ動作及び書込動作が実行され、後半で全ての表示画素が一斉に発光動作を実行するように制御されるので、1フレーム期間における上記無発光動作による黒表示期間の比率(黒挿入率)は概ね50%となり、上述したような動画像のちらつきが視認されない目安である30%を上回るものの、発光動作期間が1フレーム期間の半分に過ぎないため、画像情報を十分な発光輝度で表示することができず、また、各行におけるプリチャージ期間及び書込動作期間(特に、書込動作期間)が短縮されるため、表示データ(階調信号)を十分書き込む時間が確保されなくなる可能性があるが、各表示画素の発光輝度を適宜増大させ、さらに、階調電流の電流値を増加させることにより、画像情報を十分な輝度で、かつ、良好な表示画質で表示することができる。