JP5181527B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、操舵機構を構成するラックがラックエンドに衝突するときの衝撃を緩和する電動パワーステアリング装置に関する。
車両用の電動パワーステアリング装置は、運転者の操舵負荷を軽減することを目的とした装置であって、ステアリング装置に発生する操舵トルクを検出し、検出された操舵トルクの値に応じた電流指令値を演算し、演算された電流指令値に基づいてモータを制御し、操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させるものである。
図7は、電動パワーステアリング装置の全体構成の一例を説明する図である。ステアリングホイール101のコラム軸102は、減速ギア103、ユニバーサルジョイント104A、104B、ピニオンラック機構105を経て操向車輪のタイロッド106に接続されている。コラム軸102にはステアリングホイール101の操舵トルクを検出するトルクセンサ110が設けられており、操舵補助力を供給するモータ120が減速ギア103を介してコラム軸102に連結されている。
電動パワーステアリング装置を制御する制御装置130には、バッテリ104からイグニッションキー111を経て電力が供給される。制御装置130には、イグニッションキーON信号と、検出された操舵トルクTと、車速センサ112で検出された車速Vとが入力され、操舵トルクTと車速Vとに基づき、予め設定されたアシストテーブル或いは所定の演算式から電流指令値Iを算出し、算出された電流指令値Iに基づいてモータ電流を制御してモータを駆動する。
上記した一般的な電動パワーステアリング装置では、操舵装置の構造上の制約から操向車輪の転舵角度(以下、舵角という)には制限があり、操向車輪の転舵を行うピニオン・ラック機構にはラックの移動限界(ラックエンド)を越える移動を阻止するためのラックエンド機構が設けられている。以下の説明では、上記したラックの移動限界、及びラックの移動限界に設けられたラックエンド機構を、単にラックエンドと呼ぶ場合がある。
このため、ステアリングホイールの舵角に対応して移動するラック位置がラックエンド付近にあるときに、ステアリングホイールに更に大きな操舵トルクが加わると、大きな操舵トルクに応答した大きな電流指令値によりモータが駆動され、大きな操舵補助力が操舵装置に加わり、ラックがラックエンドに激しく衝突して大きな衝撃音を発生させたり、ラックエンドの構成部品に破損や変形を生じさせるおそれがある。
この課題への対処として、検出された舵角がラックエンドに相当する角度(ラックがラックエンドにあるときのステアリングホイールの舵角、以下、ラックエンド角という)近傍に到達したときは、電流指令値を舵角の増加に伴って減少するように制限し、舵角がラックエンド角に達したとき電流指令値を零にし、ラックがラックエンドに激しく衝突することを防止する構成が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、上記した構成では、ステアリングホイールがラックエンド角近傍において反対方向に切返された場合は、舵角が所定角度以下になるまで、電流指令値Iref が制限されているため、操舵トルクに応じた操舵補助力をステアリング機構に供給できず、転舵操作が重くなってしまうという不都合がある。
この課題への対処として、検出された舵角がラックエンド角近傍に到達したとき、電流指令値を舵角の増加に伴って減少するように制限するが、ステアリングホイールを中立位置に戻す方向に向かう所定値以上の操舵トルクが検出された場合は、電流指令値の制限を解除する構成が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、舵角がラックエンド角近傍に到達したときは、その前後で操舵トルクが大きく変化し、適切な電流指令値を設定できない。
この課題への対処として、電流指令値演算部の後段に電流指令値低減部を設け、舵角がラックエンド角近傍に到達したとき、電流指令値の低減値を小さくし、また、モータ回転速度が大きいときは電流指令値の低減値を小さくする構成が提案されている(特許文献3参照)。
図8は、上記特許文献3に開示された制御装置130の機能を説明するブロック図である。図示しないトルクセンサからの操舵トルクTは、ゲイン調整部141でゲイン調整されて電流指令値演算部131に入力され、また、図示しない車速センサからの車速Vも電流指令値演算部131に入力される。
ゲイン調整部141は、後述するヒッティングノイズ対策部140から出力されるゲインK1により入力された操舵トルクTをK1倍する増幅部を構成しており、入力された操舵トルクTのゲインを調整する。
ヒッティングノイズ対策部140は、ラックがラックエンドに衝突して発生する衝撃を緩和し、衝撃音を抑制するためにラックが衝突する直前の状態を検出してゲインを調整する信号であるゲインK1を出力するもので、操舵トルクT、車速Vの他、ステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサから出力される舵角θ、操舵角速度を検出する角速度センサから出力される角速度ωが入力される。ヒッティングノイズ対策部140については、後で詳細に説明する。
補償部150は、ステアリング系の安定性を高める補償情報を演算するもので、ステアリング系のセルフアライニングトルク(SAT)に基づく情報、モータの慣性に基づく情報、収斂牲に基づく情報等を加算演算して補償情報とし、加算器132に出力する。
電流指令値演算部131では、入力された操舵トルクTと車速Vとに基づき電流指令値Iref が演算され、加算器132に出力される。加算器132では、入力された電流指令値Iref と補償部150から出力された補償情報とを加算される。補償情報が加算された電流指令値Iref は電流制限部133において最大電流が制限され、最大電流が制限された電流指令値Irefmが減算器134に出力される。
減算器134では、電流指令値Irefmとフィードバックされたモータ電流imとの差(Irefm−im)が演算され、その偏差が操舵特性を改善するPI制御部135で処理され、電流制御値Eref が出力される。PWM制御部136では電流制御値Eref に基づいてモータを駆動するデューテイ比が決定され、インバータ回路137を介してモータ120が駆動される。
図9は、ヒッティングノイズ対策部140の構成を説明するブロック図である。ヒッティングノイズ対策部140では、以下説明する舵角感応ゲインk1 、角速度感応ゲインk2 、車速感応ゲインk3 を乗算し、乗算結果に基づいて入力された操舵トルクTを低減するゲインK1を出力するものである。
、ステアリングホイールの舵角θは、絶対値回路401に入力されて舵角絶対値|θ|に変換され、舵角感応ゲイン演算部402に入力され、格納されている舵角感応ゲインテーブルから舵角絶対値|θ|に対応するゲインk1 が乗算器403に出力されると共に、舵角θは後述する判定制御部410にも出力される。また、舵角θは切増し/切戻し判定部420にも入力される。
ステアリングホイールの角速度ωは、絶対値回路404に入力されて角速度絶対値|ω|に変換され、角速度感応ゲイン演算部405に入力され、格納されている角速度感応ゲインテーブルから角速度絶対値|ω|に対応するゲインk2 が乗算器403に出力されると共に、後述する判定制御部410に出力される。車両速度である車速Vは、車速感応ゲイン演算部406に入力され、格納されている車速感応ゲインテーブルから車速に対応するゲインk3 が乗算器407に出力されると共に、後述する判定制御部410に出力される。
ここで、図10を参照して、舵角感応ゲイン演算部402に格納されている舵角感応ゲインテーブル、角速度感応ゲイン演算部405に格納されている角速度感応ゲインテーブル405、車速感応ゲイン演算部406に格納されている車速感応ゲインテーブルの特性について説明する。
舵角感応ゲインテーブルは、図10(a)に示すような特性を備える。即ち、舵角絶対値|θ|が所定値|θ1 |まではゲインk1 =1を維持し、それ以降は1次関数で減少し、|θ2 |でゲインk1 =0となる。
角速度感応ゲインテーブルは、図10(b)に示すような特性を備える。即ち、角速度絶対値|ω|が所定値|ω1 |まではゲインk2 =1を維持し、それ以降は1次関数で減少し、|ω2 |でゲインk2 =0となる。
車速感応ゲインテーブルは、図10(c)に示すような特性を備える。即ち、車速0ではゲインk3 =1であり、車速0からV1 までは1次関数で減少、車速V1 からV2 までは1次関数で増加し、それ以降はゲインk3 =1を維持する。
舵角絶対値|θ1 |はステアリングホイールの舵角がラックエンドに接近して、それ以降はゲインを減少させる限界値である。また、角速度絶対値|ω|はステアリングホイールが急速に操作されて、それ以降はゲインを減少させる限界値である。
切増し/切戻し判定部420は、操舵トルクT、舵角θ、角速度ωを入力として、ステアリングホイールの切増し/切戻し操作を判定するもので、判定結果を示す信号DSは後述する判定制御部410に出力される。
即ち、舵角θの符号と角速度ωの符号が同一符号の場合は切増しと判定し、舵角θの符号と角速度ωの符号が異符号の場合は切戻しと判定する。また、操舵トルクTの符号と操舵トルク変化率の符号が同一で且つ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上の場合は切増しと判定し、操舵トルクTの符号と操舵トルク変化率の符号が異符号で且つ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上の場合は切戻しと判定してもよい。また、操舵トルクTの符号と角速度ωの符号が同一符号の場合は切増しと判定し、操舵トルクTの符号と角速度ωの符号が異符号の場合は切戻しと判定してもよい。
故障検出部421は、舵角センサその他のセンサ類の異常や故障を検出し、異常や故障が検出された場合は、故障信号ABを判定制御部410に出力する。
乗算器403の乗算結果はスイッチ422の接点a11に入力され、乗算器407の乗算結果はスイッチ422の接点b11に入力される。
スイッチ423の接点a12には固定ゲイン“1”が供給され、スイッチ423の接点b12にはスイッチ422の出力が供給される。スイッチ422及び423は、判定制御部410から出力される切替信号SW1及びSW2によりそれぞれ切替られる。スイッチ423からはゲインK1aが出力され、変化率制御部424に入力される。変化率制御部424は、ゲインK1aの変化率が所定の変化率を越えないように制限するもので、制限されたゲインK1aがゲインK1として出力される。
図11は、判定制御部410の制御動作を説明するフローチャートである。ゲインテーブル402から読出したゲインk1 、又はゲインテーブル405から読出したゲインk2がゲイン“1”か否かを判定(ステップS1)し、指定条件が成立するときは切替信号SW2を出力し、スイッチ423の接点a12を出力側に切替える(ステップS2)。これによりスイッチ423の出力ゲインK1aは“1”となり、変化率制御部424を経てゲイン調整部141(図8参照)に入力されるゲインK1は“1”となるから、操舵トルクTに対するアシスト制限は行われない。
ステップS1の判定結果、指定条件が成立しないときは、切替信号SW1を出力してスイッチ422の接点a11を出力側に切替えると共に、切替信号SW2を出力してスイッチ423の接点b12を出力側に切替える(ステップS3、S4)。これによりゲインk1 とk2 の積算値(k1 ×k2 )がスイッチ422及び423を経て出力され、変化率制御部424を経てゲイン調整部141(図8参照)に入力されるゲインK1(=k1 ×k2 )に基づいて、操舵トルクTに対するアシスト制限が行なわれる。
その後、判定制御部410は、ゲインk1 又はk2 がゲイン“1”、又は{(舵角θ×角速度ω)≦0}が成立するか否かを判定(ステップS5)、指定条件が成立するときは切替信号SW2を出力してスイッチ423の接点a12を出力側に切替える(ステップS6)。これによりスイッチ423の出力ゲインK1aは“1”となり、変化率制御部424を経てゲイン調整部141(図8参照)に入力されるゲインK1は“1”となるから、操舵トルクTに対するアシスト制限は行われない。
なお、{(舵角θ×角速度ω)≦0}の判定は切戻し判定であるから、切増し/切戻し判定部420から出力される判定信号DSにより切戻し判定をすることもできる。
ステップS5の判定で指定条件が成立しないときは、切替信号SW1を出力してスイッチ422の接点b11を出力側に切替えると共に、切替信号SW2を出力してスイッチ423の接点b12を出力側に切替える(ステップS7、S8)。これによりゲインk1 とk2 とk3 の積算値(k1 ×k2 ×k3 )がスイッチ422及び423を経て出力され、変化率制御部424を経てゲイン調整部141(図8参照)に入力されるゲインK1(=k1 ×k2 ×k3 )に基づいて、操舵トルクTに対するアシスト制限が行なわれる。
さらに判定制御部410は、故障検出部421から故障信号ABが入力されたか否かを判定し(ステップS9)、故障信号ABが入力されたときは、切替信号SW2を出力してスイッチ423の接点a12を出力側に切替える(ステップS10)。これによりスイッチ423の出力ゲインK1aは“1”、変化率制御部424を経てゲイン調整部141(図8参照)に入力されるゲインK1は“1”となるから、操舵トルクTに対するアシスト制限は行われない。即ち、舵角センサその他のセンサ類の異常や故障が検出されたときは、操舵トルクTに対するアシスト制限は停止される。
上記した判定制御部410の制御動作によれば、ステアリングホイールの舵角θがラックエンド付近にあり、且つ角速度ωが所定の設定値ω1以上の場合、或いは切戻し操舵時には、操舵トルクTに対するゲインK1を低減してアシスト量を減少させ、ステアリングホイールの操舵を重くして角速度ωを遅くさせ、ラックがラックエンドに衝突した場合の衝撃を小さくして衝撃音(ヒッティングノイズ)を抑制することができる。
特公平6−4417号公報 特開2004−175196号公報 特開2006−248252号公報
しかしながら、上記従来の構成においては、ラックがラックエンドに到達する少し手前からの急激な切り増し操舵が行われた場合には、ラックがラックエンドに衝突する衝撃や、異音の発生を回避する効果が期待できないことが分かった。
即ち、図12は、時間に対するステアリングホイールの舵角と操舵トルクの変化を説明する図で、図12(a)は、切り増し操舵が行なわれるときのステアリングホイールの舵角を説明する図、図12(b)は時間に対する舵角の変化を説明する図、図12(c)は時間に対する操舵トルクの変化を説明する図である。
図12(a)に示すように、ステアリングホイールSWがラックエンド手前(舵角θs)からラックエンド(舵角θe )へ急激な切り増し操舵が行なわれるときは、タイヤが捩じれるだけでタイヤは動かないためタイヤと路面との間の摩擦力が作用しない状態にあり、大きな操舵トルクTを必要としないで、ラックがラックエンドに衝突してしまう結果となる(図12(b)(c)参照)。このため、図12(c)に示すように、電流指令値を低減して操舵トルクTをTlim 程度に制限したのでは、ラック軸がラックエンドに衝突する動きを効果的に抑制することができず、更に操舵トルクTをTlima程度にまで制限しないと、ラック軸がラックエンドに衝突する動きを効果的に抑制することができないという不都合のあることが分かった。
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、操舵トルクと車速に基づいてステアリング機構に操舵補助力を付与するモータへ供給するモータ電流を規定する電流指令値を演算する電流指令値演算部と、前記演算された電流指令値に基づいてモータを制御する制御部と、を備えた電動パワーステアリング装置において、ステアリングホイールの操舵角加速度を出力する操舵角加速度出力手段と、ステアリングホイールの操舵角を出力する操舵角出力手段と、車両の走行速度を出力する車速出力手段とを備え、前記制御部、前記操舵角出力手段から出力された操舵角からステアリング機構を構成するラックがラックエンドに接近したと判定、且つ、前記操舵角加速度出力手段から出力された操舵角加速度からステアリングホイールが切増し方向へ急操舵されたと判定たときは、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制することを特徴とする。
そして、前記操舵角加速度出力手段は、ステアリングホイールの操舵角加速度を検出する操舵角加速度検出手段、又は操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段で検出された操舵角速度に基づいて操舵角加速度を推定する操舵角加速度推定手段とする。
そして、前記制御部は、操舵角加速度、操舵角速度、操舵角、車速から選択された情報に基づいて入力された操舵トルク又は電流指令値を予め設定された所定値以下に制限してモータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制するものとする。
そして、前記制御部は、操舵角符号と操舵角速度符号とに基づいてステアリングホイールが切戻し方向へ操舵されたと判定されたときは、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないものとする。
また、前記制御部は、操舵トルク符号と操舵トルク変化率符号、及び操舵トルク変化率の絶対値とに基づいてステアリングホイールが切戻し方向へ操舵されたと判定されたときは、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないものとする。
また、前記制御部は、操舵トルク符号と操舵角速度符号とに基づいてステアリングホイールが切戻し方向へ操舵されたと判定されたときは、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないものとする。
そして、前記制御部は、操舵角加速度と車速とに基て、ステアリング機構を構成するラックがラックエンドに接近したと判定され、且つ、車速が予め設定された限界値以下の場合は、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないよう、入力された操舵トルク又は電流指令値を予め設定された所定の下限値以下に設定しないものとする。
この発明の電動パワーステアリング装置は、操舵角出力手段から出力された操舵角からステアリング機構を構成するラックがラックエンドに接近したと判定され、且つ、前記操舵角加速度出力手段から出力された操舵角加速度からステアリングホイールが切増し方向へ急操舵されたと判定されたときは、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制するように動作することから、ステアリングホイールがラックエンド手前からラックエンドに向けて急激な切り増し操舵が行なわれても、ラック軸がラックエンドに衝突する動きを効果的に抑制することができる。
また、この発明の電動パワーステアリング装置は、操舵角加速度と車速とに基づいて、ステアリング機構を構成するラックがラックエンドに接近したと判定され、且つ、車速が予め設定された限界値以下の場合は、モータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないよう、入力された操舵トルク又は電流指令値を予め設定された所定の下限値以下には設定しないから、ステアリングホイールがゆっくりと操作されてラックがラックエンドに接近した場合、ラックエンド手前での操舵補助力の不足を回避することができる。
以下、この発明の実施の形態の電動パワーステアリング装置について説明する。電動パワーステアリング装置の全体構成は、先に図7を参照して説明した構成と変らないのでここでは説明を省略し、制御装置の構成と機能について説明する。
この発明の実施の形態の電動パワーステアリング装置は、前記発明の課題で説明したラックエンド手前からラックエンドへの急激な切増し操舵をした場合に発生するラックの動き、即ちラックがラックエンドに衝突する動きを効果的に抑制する、衝撃・異音低減部とゲイン調整部とを備えている。
制御装置には、操舵トルクを制限する第1実施例と、電流指令値を制限する第2実施例とがあるが、第1実施例と第2実施例とは機能ブロックの配置順序が相違するだけであるから、第1実施例と第2実施例の機能ブロックには同一符号を付して説明する。
[第1実施例]
図1は、この発明に係る電動パワーステアリング装置の制御部の第1実施例である制御10Aの機能を説明するブロック図で、前記した衝撃・異音低減部とゲイン調整部が電流指令値演算部の前段に配置され、入力された操舵トルク値を低減するように構成されている。
図示しないトルクセンサで検出された操舵トルクTは、ゲイン調整部20において後述する衝撃・異音低減部30から出力されたゲインG1が乗算されて低減される。低減された操舵トルクTと図示しない車速センサで検出された車速Vは、電流指令値演算部11に入力され、電流指令値Iref が演算される。
加算器12では、電流指令値Iref に、後述する補償部19から出力された補償情報が加算され、電流制限部13に出力される。電流制限部13は、電流指令値Iref の最大電流値を予め設定された最大電流値に制限するもので、制限された電流指令値Irefmが減算器14に出力される。
減算器14では、電流指令値Irefmとフィードバックされたモータ電流imとの差(Irefm−im)が演算され、その偏差が操舵特性を改善するPI制御部15で処理され、電流制御値Eref が出力される。PWM制御部16では電流制御値Eref に基づいてモータを駆動するデューテイ比が決定され、インバータ回路17を介してモータ18が駆動される。モータ18に流れるモータ電流imは図示しないモータ電流検出回路により検出され、検出されたモータ電流imは減算器14にフィードバックされる。
補償部19は、ステアリング系の安定性を高める補償情報を演算するもので、ステアリング系のセルフアライニングトルクに関するSAT情報、モータの慣性に関する慣性情報、ステアリング系の収斂牲に関する収斂牲情報等を加算演算して補償情報とし、加算器12に出力する。
[第2実施例]
図2は、この発明に係る電動パワーステアリング装置の制御部の第2実施例である制御10Bの機能を説明するブロック図で、前記した衝撃・異音低減部とゲイン調整部が、電流指令値演算部の後段に配置され、演算された電流指令値を低減するように構成されている。
図示しないトルクセンサで検出された操舵トルクTと図示しない車速センサで検出された車速Vは、電流指令値演算部11に入力され、電流指令値Iref が演算される。演算された電流指令値Iref はゲイン調整部20において後述する衝撃・異音低減部30から出力されたゲインG1が乗算されて低減される。
加算器12では、低減された電流指令値Iref に、後述する補償部19から出力された補償情報が加算され、電流制限部13に出力される。電流制限部13は、電流指令値Iref の最大電流値を予め設定された最大電流値に制限するもので、制限された最大電流値Irefmが減算器14に出力される。
減算器14では、電流指令値Irefmとフィードバックされたモータ電流imとの差(Irefm−im)が演算され、その偏差が操舵特性を改善するPI制御部15で処理され、電流制御値Eref が出力される。PWM制御部16では電流制御値Eref に基づいてモータを駆動するデューテイ比が決定され、インバータ回路17を介してモータ18が駆動される。モータ18に流れるモータ電流imは図示しないモータ電流検出回路により検出され、検出されたモータ電流imは減算器14にフィードバックされる。
補償部19は、ステアリング系の安定性を高める補償情報を演算するもので、ステアリング系のセルフアライニングトルクに関するSAT情報、モータの慣性に関する慣性情報、ステアリング系の収斂牲に関する収斂牲情報等を加算演算して補償情報とし、加算器12に出力する。
[衝撃・異音低減部の構成]
図3は、衝撃・異音低減部30の構成を説明するブロック図で、前記した第1実施例の制御10A、第2実施例の制御装置10Bに共通した構成を備えている。衝撃・異音低減部30では、以下説明する舵角加速度ゲインg4、舵角ゲインg1、角速度ゲインg2、車速ゲインg3を乗算し、乗算結果に基づいて、入力された操舵トルク値を低減し、或いは演算された電流指令値を低減するゲインG1を出力するものである。
衝撃・異音低減部30には、操舵角加速度出力手段から出力された操舵角加速度(以下、舵角加速度)α、操舵角出力手段から出力された操舵角(以下、舵角)θ、操舵角速度出力手段から出力された操舵角速度(以下、角速度)ω、車速出力手段から出力された車速V、及び操舵トルク出力手段から出力された操舵トルクTが入力される。
なお、操舵角加速度出力手段は、操舵角加速度を検出する図示しない操舵角加速度検出手段、又は図示しない操舵角速度検出手段により検出された操舵角速度に基づいて操舵角加速度を推定演算する操舵角加速度推定手段を含むものとする。
操舵角速度出力手段は、操舵角速度を検出する図示しない操舵角速度検出手段、又は図示しない操舵角検出手段により検出された操舵角に基づいて操舵角速度を推定演算する操舵角速度推定手段を含むものとする。操舵角出力手段は、操舵角を検出する図示しない操舵角検出手段、又は前記操舵角速度出力手段により検出された操舵角速度に基づいて操舵角を推定演算する操舵角推定手段を含むものとする。
この他、車速出力手段は、背景技術で説明した車速を検出する車速センサ、操舵トルク出力手段は、操舵トルクを検出するトルクセンサを使用することができる。
舵角加速度感応ゲイン演算部32には、絶対値回路31で処理された舵角加速度αの絶対値|α|及び舵角θの絶対値|θ|が入力され、格納されている舵角加速度感応ゲインテーブルに基づいて舵角加速度絶対値|α|に対応する舵角加速度ゲインg4が出力される。
舵角感応ゲイン演算部34には、絶対値回路33で処理された舵角θの絶対値|θ|が入力され、格納されている舵角感応ゲインテーブルに基づいて舵角絶対値|θ|に対応する舵角ゲインg1が出力される。
角速度感応ゲイン演算部36には、絶対値回路35で処理された角速度ωの絶対値|ω|が入力され、格納されている角速度感応ゲインテーブルに基づいて角速度絶対値|ω|に対応する角速度ゲインg2が出力される。
車速感応ゲイン演算部37には車速Vが入力され、格納されている車速感応ゲインテーブルに基づいて車速Vに対応する車速ゲインg3が出力される。
操舵トルク下限ゲイン設定部38には、車速Vと舵角ゲインg1とが入力され、ラックエンド手前でのアシストトルクの不足を防止するため、操舵トルクが過大に減少しないように操舵トルク下限ゲインgL1が出力される。操舵トルク下限ゲインgL1は車速Vに感応する値である。操舵トルク下限ゲイン設定部38の機能については後で詳細に説明する。
図4を参照して、舵角加速度感応ゲイン演算部32に格納されている舵角加速度感応ゲインテーブル、舵角感応ゲイン演算部34に格納されている操舵角感応ゲインテーブル、操舵角速度感応ゲイン演算部36に格納されている操舵角速度感応ゲインテーブル、車速感応ゲイン演算部37に格納されている車速感応ゲインテーブル、の特性について説明する。
図4(a)は、舵角加速度感応ゲイン演算部32に格納されている舵角加速度感応ゲインテーブルの特性を示すもので、舵角加速度絶対値|α|が|α1 |まではゲインg4=1を維持し、|α1 |から|α2 |まではゲインg4を1次関数で徐々に減少させ、|α2 |でゲインg4=0とする。即ち、ラックエンド附近での急操舵など、舵角加速度が速い領域(|α|が大)では、ラックがラックエンドに激しく衝突して大きな衝撃と異音を発生するので、これを回避するためゲインg4を低く設定し、舵角加速度が低い領域(|α|が小)では、ラックがラックエンドに衝突しても衝撃と異音は大きくないので、ゲインg4=1とする。
図4(b)は、舵角感応ゲイン演算部34に格納されている舵角感応ゲインテーブルの特性を示すもので、舵角絶対値|θ|が|θ1 |まではゲインg1=1を維持し、舵角がラックエンドに向かう|θ1 |から|θ2 |まではゲインg1を1次関数で減少させ、ラックエンド|θ2 |でゲインg1=0とする。
図4(c)は、操舵角速度感応ゲイン演算部36に格納されている角速度感応ゲインテーブルの特性を示すもので、角速度絶対値|ω|が|ω1 |まではゲインg2=1を維持し、|ω1 |から|ω2 |まではゲインg2を1次関数で徐々に減少させ、|ω2 |でゲインg2=0とする。即ち、ラックエンド附近での急操舵など、角速度が速い領域(|ω|が大)では、ラックがラックエンドに激しく衝突して大きな衝撃と異音を発生するので、これを回避するためゲインg2を低く設定し、角速度が低い領域(|ω|が小)では、ラックがラックエンドに衝突しても衝撃と異音は大きくないので、ゲインg2=1とする。
図4(d)は、車速感応ゲイン演算部37に格納されている車速感応ゲインテーブルの特性を示すもので、車速VがV1 までは1次関数でゲインg3が減少し、車速V1 からV2 までは1次関数で増加してゲインg3=1まで回復し、車速V2 以降はゲインg3=1を維持する。即ち、車速Vが零(停車状態)ではゲインg3=1とし、車速Vが零から低車速V1 まではラック推力が大きいためゲインg3を減少させるが、低車速V1 から車速V2 まではラック推力が大きくなるためゲインg3を徐々に高く設定し、車速V2 でg3=1とする。車速V2 以上では、ラックがラックエンドに衝突することは殆ど考えられないので、ゲインg3を制限しない。ゲインg3を制限しない車速V2 を車速感応ゲインの閾値(車速閾値)とする。
操舵トルク下限ゲイン設定部38と、操舵トルク下限ゲイン設定部38から出力される操舵トルク下限ゲインgLについて説明する。操舵トルク下限ゲイン設定部38はステアリング機構のラックがラックエンド手前に接近したとき、操舵トルクが衝撃・異音低減部30とゲイン調整部20(図1、図2参照)の動作により過大に制限され、ラックエンド手前でアシストトルクが不足してしまうことを防止するものである。
操舵トルク下限ゲイン設定部38には、車速Vと舵角ゲインg1とが入力され、舵角ゲインg1に基づいてラックエンド手前か否かを判断する。そしてラックエンド手前であれば、その時の車速Vに応じた操舵トルク下限ゲインgL(図3参照)を出力する。
図5は、操舵トルク(又は電流制御値)を制限する操舵トルク下限ゲイン設定部38から出力される操舵トルク下限ゲインgLを説明する図で、横軸は車速V、縦軸は操舵トルク下限ゲインgLを示し、線(a)は参考のために示した通常時(ラックがラックエンド附近にない場合)の操舵トルク下限ゲインgL、線(b)はラックがラックエンド附近にある時の操舵トルク下限ゲインgL1を示し、通常時(ラックがラックエンド附近にない場合)のゲインgLよりも小さい値が設定されている。なお、電流制御値を制限する場合は、操舵トルク下限ゲインを、電流制御値下限ゲインと読み替えるものとする。
まず、通常時(ラックがラックエンド附近にない場合)を説明する。車速が停車状態にあるときはラック推力が大きいため、操舵トルク(又は電流制御値)を制限しない。車速Vが低速走行状態にあるときはラック推力が小さいため、操舵トルク(又は電流制御値)を下限ゲインgLに制限する。車速Vが高速走行状態にあるときはラックがラックエンドに衝突することは考えられない(高速走行では急操舵はしない)ので、操舵トルク(又は電流制御値)を制限しない。
次にラックがラックエンド附近にある場合の操舵トルク値(又は電流制御値)の制限について説明する。車速が停車状態を示すときはラック推力が大きいため、操舵トルク(又は電流制御値)を制限しない。
車速Vが低速走行状態を示すときはラック推力が小さいため、ラックがラックエンドに激しく衝突するおそれがあるので、激しく衝突しないようにするため、操舵トルク(又は電流制御値)を車速Vに応じたゲインに制限する。操舵トルク下限値設定部38からは操舵トルク下限ゲインgL1が出力される。
車速Vが高速走行状態にあるとき(車速V=V2 以上)は、ラックがラックエンドに衝突することは考えられない(高速走行では急操舵はしない)ので、操舵トルク(又は電流制御値)を制限しない。
切増し切戻し判定部39は、ステアリングホイールの切増し/切戻し操作を判定するもので、舵角θ、角速度ω、及び操舵トルクTに基づいて切増し/切戻し操作を判定する。判定結果を示す信号DSは、後述する判定制御部41に出力される。
即ち、舵角θの符号と角速度ωの符号が同一符号の場合は切増しと判定し、舵角θの符号と角速度ωの符号が異符号の場合は切戻しと判定する。また、操舵トルクTの符号と操舵トルク変化率の符号が同一で且つ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上の場合は切増しと判定し、操舵トルクTの符号と操舵トルク変化率の符号が異符号で且つ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上の場合は切戻しと判定してもよい。また、操舵トルクTの符号と角速度ωの符号が同一符号の場合は切増しと判定し、操舵トルクTの符号と角速度ωの符号が異符号の場合は切戻しと判定してもよい。
乗算器40は、舵角加速度感応ゲイン演算部32から出力される舵角加速度ゲインg4、舵角感応ゲイン演算部34から出力される舵角ゲインg1、角速度感応ゲイン演算部36から出力される角速度ゲインg2、車速感応ゲイン演算部37から出力される車速ゲインg3が入力され、それそれのゲインg1、ゲインg2、ゲインg3、ゲインg4を乗算し、乗算結果であるゲインg5(g5=g1×g2×g3g×4)をスイッチ43に出力する。
故障検出部42は、舵角センサその他のセンサ類の異常や故障を検出し、異常や故障が検出された場合は、故障信号ABを後述する判定制御部41に出力する。
判定制御部41は、操舵トルクTに対するアシスト制限を行うか否かを判定するもので、舵角θ、車速V、操舵トルク下限ゲインgL1、切増し/切戻し操作の判定結果を示す信号DS、舵角感応ゲイン演算部34から出力される舵角ゲインg1、角速度感応ゲイン演算部36から出力される舵角速度ゲインg2、車速感応ゲイン演算部37から出力される車速ゲインg3、故障検出部42から出力される故障信号AB、及び後述するスイッチ43の出力であるゲインG1aを入力とし、アシスト制限を行うか否かの判定結果に基づいてスイッチ43及び44を切替える切替信号SW1(SW1a、SW1b)及びSW2(SW2a、SW2b)を出力する。判定制御部41の制御動作については、後で図6のフローチャートにより詳細に説明する。
スイッチ43の接点a11には固定ゲイン“1”が入力され、スイッチ43の接点b11には乗算器40の乗算結果であるゲインg5が入力される。判定制御部41から出力される切替信号SW1aによりスイッチ43の接点a11が出力側に切替えられると、固定ゲイン“1”がゲインG1aとして出力され、又切替信号SW1bによりスイッチ43の接点b11が出力側に切替えられると、ゲインg5がゲインG1aとして出力される。
スイッチ44の接点a12にはスイッチ43の出力ゲインG1a(=ゲイン“1”又はゲインg5)が入力され、スイッチ44の接点b12には操舵トルク下限値制限回路38から出力された操舵トルク下限ゲインgL1が入力される。判定制御部41から出力される切替信号SW2aによりスイッチ44の接点a12が出力側に切替えられると、ゲインG1aがゲインG1bとして変化率制御部45に出力され、判定制御部41から出力される切替信号SW2bによりスイッチ44の接点b12が出力側に切替えられると、操舵トルク下限値下限ゲインgL1がゲインG1bとして変化率制御部45に出力される。
変化率制御部45は、操舵トルク値、或いは電流指令値が急激に変動して、運転者に違和感を与えることがないようにアシストトルクの変化率を調整するもので、具体的にはゲインG1bの変化率が予め設定された所定の変化率を越えないように調整される。入力されたゲインG1bは調整され、ゲインG1としてゲイン調整部20(図1、図2参照)に出力される。
図6は、判定制御部41の制御動作を説明するフローチャートである。舵角θの符号と角速度ωの符号が異符号か否かを判定し(ステップP11)、舵角θの符号と角速度ωの符号が異符号の場合は切戻しと判定してステップP12に移る。ステップP12では、スイッチ切替信号SW1aを出力してスイッチ43の接点a11を出力側に切替え、固定ゲイン“1”をゲインG1aとして出力し、ステップP17に移る。
ステップP11の判定で、舵角θの符号と角速度ωの符号が同一符号の場合は切り増しと判定してゲインg1が1か否かを判定し(ステップP13)、ゲインg1が1であればステップP12に移る。
ステップP13の判定でゲインg1が1でないときは、ゲインg2が1か否かを判定し(ステップP14)、ゲインg2が1であればステップP12に移る。
ステップP14の判定でゲインg2が1でないときは、車速Vが予め設定された所定車速V1よりも大きいか否かを判定し(ステップP15)、車速Vが予め設定された所定車速V1よりも大きい場合はステップP12に移る。
ステップP15の判定で、車速Vが予め設定された所定車速V1よりも大きくない場合はステップP16に移り、切替信号SW1bを出力してスイッチ43の接点b11を出力側に切替え、ゲインg5をゲインG1aとして出力し、ステップP17に移る。
ゲインG1aが操舵トルク下限ゲインgL1よりも大きいか否かを判定し(ステップP17)、(G1a>gL1)の関係が成立するときは、切替信号SW2aを出力してスイッチ44の接点a12を出力側に切替え、ゲインG1aを変化率制御部45に出力し、ステップP20に移る。
ステップP17の判定で(G1a>gL1)の関係が成立しないときは、切替信号SW2bを出力してスイッチ44の接点b12を出力側に切替え、操舵トルク下限ゲインgL1を変化率制御部45に出力し、ステップP20に移る。
故障検出部42から出力される故障信号ABの有無を判定し(ステップP20)、故障信号ABが出力されたときは、切替信号SW1aを出力してスイッチ43の接点a11を出力側に切替え(ステップP21)、さらに切替信号SW2aを出力してスイッチ44の接点a12を出力側に切替え(ステップP22)、固定ゲイン“1”を変化率制御部45に出力し、アシスト制限を停止して主ルーチンに戻る。
ステップP20の判定で、故障信号ABが出力されていないときは、直ちに主ルーチンに戻る。変化率制御部45を経てゲイン部20(図1、図2参照)に入力されるゲインG1に基づいて、操舵トルクTに対するアシスト制限が行なわれる。
以上、この発明の電動パワーステアリング装置の実施の形態について説明したが、操舵機構を構成するラックがラックエンド附近にあるとき、急激な切増し操舵によってもラックがラックエンドに激しく衝突しないよう、操舵トルク或いは電流指令値を制限してモータからステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制するが、これに加えて操舵トルク或いは電流指令値を制限する下限値を設けることで、ラックエンド手前での操舵補助力の不足を回避することができる。
車両用の操舵機構を構成するラックがラックエンド附近にあるとき、急激な切増し操舵によってもラックがラックエンドに激しく衝突しないよう、操舵トルク或いは電流指令値を制限して、操舵機構を破損したり異音の発生を回避するように構成した電動パワーステアリング装置である。
電動パワーステアリング装置の制御装置の第1実施例の機能を説明するブロック図。 電動パワーステアリング装置の制御装置の第2実施例の機能を説明するブロック図。 衝撃・異音低減部の構成を説明するブロック図。 舵角加速度感応ゲインテーブル、舵角感応ゲインテーブル、角速度感応ゲインテーブル、車速感応ゲインテーブルの特性を説明する図。 操舵トルク下限値設定部における操舵トルク値又は電流制御値を制限するゲインを説明する図。 判定制御部の制御動作を説明するフローチャート。 電動パワーステアリング装置の全体構成の一例を説明する図。 従来の電動パワーステアリング装置の制御装置の機能を説明するブロック図。 従来の制御装置のヒッティングノイズ対策部の構成を説明するブロック図。 従来の制御装置の舵角感応ゲインテーブル、角速度感応ゲインテーブル、車速感応ゲインテーブルの特性を説明する図。 従来の制御装置の判定制御部の制御動作を説明するフローチャート。 時間に対するステアリングホイールの舵角と操舵トルクの変化を説明する図。
符号の説明
10A、10B 制御
11 電流指令値演算部
12 加算器
13 電流制限部
14 減算器
15 PI制御部
16 PWM制御部
17 インバータ回路
18 モータ
19 補償部
20 ゲイン調整部
30 衝撃・異音低減部
31、33、35 絶対値回路
32 舵角加速度感応ゲイン演算部
34 舵角感応ゲイン演算部
36 角速度感応ゲイン演算部
37 車速感応ゲイン演算部
38 操舵トルク下限ゲイン設定部
39 切増し/切戻し判定部
40 乗算器
41 判定制御部
42 故障検出部
43、44 スイッチ
45 変化率制御部


Claims (5)

  1. ステアリングホイールの操舵トルクと車速に基づいて、ピニオン・ラック機構で構成されるステアリング機構に操舵補助力を付与するモータへ供給するモータ電流を規定するための電流指令値を演算する電流指令値演算部と、前記演算された電流指令値に基づいて前記モータを制御する制御部と、を備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記ステアリングホイールの操舵角加速度を出力する操舵角加速度出力手段と、
    前記ステアリングホイールの操舵角を出力する操舵角出力手段と、
    前記車速を出力する車速出力手段と、
    を備え、
    前記制御部は、前記操舵角出力手段から出力された操舵角と前記操舵角加速度出力手段から出力された操舵角加速度と前記車速とに基づいて、前記ステアリング機構を構成するラックがラックエンドに接近し、且つ、前記ステアリングホイールが切り増し方向へ急操舵されたと判定したときは、前記モータから前記ステアリング機構に付与される操舵補助力を低減して、前記ラックがラックエンドに衝突する動きを抑制すると共に、
    前記制御部は、前記操舵角出力手段から出力された操舵角と前記操舵角加速度出力手段から出力された操舵角加速度と前記車速とに基づいて、前記ステアリング機構を構成するラックがラックエンドに接近し、且つ、前記車速が予め設定された限界値以下の場合は、前記モータから前記ステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制し過ぎないよう、操舵トルク又は前記電流指令値の何れかを予め設定された所定の下限値以下には設定しないでラックエンド手前での操舵補助力の不足を回避することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記操舵角加速度出力手段は、前記ステアリングホイールの操舵角加速度を検出する操舵角加速度検出手段、又は操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段で検出された操舵角速度に基づいて操舵角加速度を推定する操舵角加速度推定手段であることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記制御部は、操舵角符号と操舵角速度符号とに基づいて前記ステアリングホイールが切戻し方向へ操舵されたと判定されたときは、前記モータから前記ステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記制御部は、操舵トルク符号と操舵トルク変化率符号、及び操舵トルク変化率の絶対値とに基づいて前記ステアリングホイールが切戻し方向へ操舵されたと判定されたときは、前記モータから前記ステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記制御部は、操舵トルク符号と操舵角速度符号とに基づいて前記ステアリングホイールが切戻し方向へ操舵されたと判定されたときは、前記モータから前記ステアリング機構に付与される操舵補助力を抑制しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
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