以下、本発明の実施形態に係る遊技機について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態/パチンコ機の構成)
図1〜図3には、本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機10が示されている。図1〜図3に示されるように、パチンコ機10は、パチンコ機10の外郭を構成するとともにパチンコホールの島設備に設置される矩形状の外枠12を備えている。外枠12の前面には、合成樹脂で矩形額縁状に形成された内枠14が配置されており(図2参照)、内枠14の下側となる外枠12の前面下端部には、パチンコ機10の前面下端部を構成する合成樹脂製の下飾り16が取り付けられている。
内枠14は、外枠12の左上角部と下飾り16の左上角部とに設けられた一対のヒンジ部18、20に左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。内枠14の前面上部には、パチンコ機10の前面上部を構成するガラス枠22が配置されており、ガラス枠22は、縦長略楕円形の窓部24にガラス板26が装着されるとともに、左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられている(図2参照)。
ガラス枠22の裏面側となる内枠14の前面上部には、矩形状の開口部15が形成されている。この内枠14の開口部15には、遊技盤Gが着脱(交換)可能にセットされており、遊技盤Gは、内枠14に対して閉塞されたガラス枠22によって覆われ、盤面上に設けられた遊技領域PAが、パチンコ機10の正面側から窓部24のガラス板26を通して視認可能とされている。
ガラス枠22の前面には、左右の両側端部に、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出を行う複数の照明演出用のランプ28が配設されており、左上と右上の各角部近傍に、遊技の進行に応じて効果音をステレオ出力する中高音用のスピーカ30L、30Rが内蔵されている。
内枠14の前面下部には、パチンコ機10の前面下部を構成する皿ユニット40が配置されている。皿ユニット40は、皿ユニット40の本体部を構成するベース41の左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられており、ベース41の前面上部に、遊技球を遊技盤Gへ向けて発射するために貯留して発射装置60(図2及び図3参照)へ供給する上皿42が突設され、ベース41の前面下部における上皿42の左下に、上皿42に貯留しきれない遊技球を貯留するための下皿44が突設されている。
上皿42は、底面が正面視にて右側から左側へ向けて下り傾斜しており、傾斜方向下流側となる底面の左側に、上皿42内に貯留された遊技球を1列に整列して、ベース41の裏面に取り付けられた球送り装置45(図2参照)へ誘導する整列通路46が設けられている。ベース41によって構成された上皿42の奥壁面における右側端部には、内枠14の裏面に設けられた払出装置62(図3参照)から払い出された貸し球や賞球が排出される球排出口48が形成されており、下皿44の奥壁面における右側端部には、上皿42に貯留しきれない遊技球が排出される球排出口49が形成されている。
この皿ユニット40を構成するベース41の前面右下部には、発射装置60と電気的に接続されて打球の発射力(飛距離)を調整する発射ハンドル54が取り付けられており、ベース41の前面左下部には、下皿44に隣接して灰皿56が設けられている。また、ベース41の前面略中央は矩形箱状に膨出しており、内部には、遊技の進行に応じて効果音を出力する重低音用のスピーカ(サブウーハ)58が設けられている。
図2に示されるように、ベース41の裏面における略中央部には、上皿42に貯留しきれない遊技球を下皿44へ流下させる球通路70が設けられており、球通路70よりも回転支軸側には、球送り装置45が取り付けられている。球通路70は、上端部に通路入口72が形成され、下端部に形成された通路出口が球排出口49とされている(図1参照)。
一方、内枠14の前面下部における皿ユニット40の後側には、遊技盤Gの左下に発射装置60が配置され、遊技盤Gの略中央下方から右下に掛けては、貯球タンク74が内枠14に着脱可能に取り付けられている。
貯球タンク74は、上面が開口した箱型とされ、タンク底面が正面視にて左側から右側へ向けて下り傾斜している。タンク底面の傾斜方向上流側となる左端部には、詳細については後述する払出機構100の払出装置62から払い出された遊技球が流入するタンク入口(図示省略)が形成されており、傾斜方向下流側となる右側の前面には、上皿42の球排出口48に対応するタンク出口76が形成されている。また、貯球タンク74の前面左側端部には、タンク内の遊技球貯留量が満タンになった際に遊技球が溢れ出す、矩形状に切り欠かれたタンクオーバーフロー部78が形成されている。
図2及び図3に示されるように、内枠14の裏面における開放側(裏面視左側)の側端部には、内枠14及びガラス枠22を施錠するための施錠装置64が取り付けられており、施錠装置64の下側には、皿ユニット40をロックするためのロック装置68が取り付けられている。この施錠装置64によって、内枠14が外枠12に閉塞された状態で施錠されるとともに、ガラス枠22が内枠14に閉塞された状態で施錠され、ロック装置68によって、皿ユニット40が内枠14に閉塞された状態でロックされる。
また、施錠装置64の下部に設けられたシリンダー錠(錠前)66は、皿ユニット40の前面右上から露出しており、このシリンダー錠66の鍵孔に鍵(図示省略)を差し込んで開錠操作すると、外枠12に施錠された内枠14が開錠されて開放可能となり、内枠14に施錠されたガラス枠22が開錠されて開放可能となる。さらに、ガラス枠22を開放すると露出されるロック装置68のロック解除レバー69を操作すると、内枠14にロックされていた皿ユニット40がロック解除されて開放可能となる。
皿ユニット40が内枠14に閉塞されてロック装置68によりロックされると、発射装置60の前側に球送り装置45が配置され、貯球タンク74のタンクオーバーフロー部78の前下側に球通路70の通路入口72が配置され、タンク出口76及び球排出口48を介して貯球タンク74と上皿42とが連通される。
図3に示されるように、内枠14の裏面における上部には、島設備から供給された遊技球を貯留するための上タンク80及び下タンク82が設けられている。内枠14裏面の回転支軸側(裏面右側)の側端部には、上タンク80及び下タンク82に貯留された遊技球を貯球タンク74側へ流下させる上部球通路ユニット84及び下部球通路ユニット86が延設されており、上部球通路ユニット84と下部球通路ユニット86の間に払出装置62が取り付けられ、下部球通路ユニット86の下側に発射装置60が取り付けられている。また、発射装置60の左側には、払出装置62を制御して遊技球の払い出しを実行及び停止させる払出制御基板88が設けられている。
払出制御基板88による払出停止制御では、払出装置62を駆動停止させて遊技球の払い出しを停止し、払出実行制御では、払出装置62を駆動させて、上タンク80及び下タンク82から上部球通路ユニット84を流下し払出装置62に誘導された遊技球を、貸し球又は賞球として下部球通路ユニット86へ払い出す。そして、下部球通路ユニット86を通り貯球タンク74へ誘導された遊技球は、貯球タンク74内を上流側(左側)から下流側(右側)へ転動して球排出口48から排出され、上皿42に貯留される。さらに、上皿42内を下流側(左側)へ流下しつつ整列通路46により1列に整列され、遊技者の発射ハンドル54の操作により、球送り装置45により1球ずつ発射装置60に送り込まれ、発射装置60によって遊技盤Gの遊技領域PAへ発射される(図2の矢印A方向)。この遊技球が遊技領域PAを自重落下する過程で入賞又は外れとなることにより、遊技盤Gにて遊技球を用いた遊技が行われる。
遊技の進行に伴い、大量の遊技球が賞球として払い出されるなどし、上皿42が満タンになると、上皿42に貯留しきれない遊技球は貯球タンク74に貯留される。さらに貯球タンク74が満タンになると、貯球タンク74に貯留しきれない遊技球はタンクオーバーフロー部78から溢れ出す。この貯球タンク74から溢れ出した遊技球は、通路入口72に落下して球通路70を流下し、球排出口49から排出されて下皿44に貯留される。
また、遊技の終了時などに、上皿42の前面左側に設けられた上皿用球抜きレバー50を操作すると、整列通路46の最下流部が開放して、上皿42に貯留された遊技球が球通路70へ排出され下皿44へ流下する。さらに、下皿44が遊技球で満タンになったときや遊技の終了時などに、下皿44の前面下側に設けられた下皿用球抜きレバー52を操作すると、下皿底面の一部が開放して、下皿44に貯留された遊技球が下皿44の下方に配置された球箱(図示省略)へ排出される。
本実施形態のパチンコ機10では、パチンコ機本体を構成する内枠14と、内枠14の前面下部に開閉可能に設けられて上皿42及び下皿44をユニット化した皿ユニット40とでの遊技球の主な流動経路は以上の通りであり、この内枠14の前面におけるタンク出口76の下方位置と、皿ユニット40のベース41裏面における球排出口48の下方位置とには、上下方向にスライド可能とされた一対のシャッター板90、92が取り付けられている。
シャッター板90、92は、皿ユニット40が閉塞されると各々下方へ移動して(図2に示される位置)、タンク出口76と球排出口48とを開放し連通させる。また、皿ユニット40が開放されると各々上方へ移動して、内枠14側のシャッター板90はタンク出口76の下縁側を塞ぎ、皿ユニット40側のシャッター板92は球排出口48の下縁側を塞ぐ。このシャッター板90、92によって、皿ユニット40を開放した際に、貯球タンク74及び上皿42から遊技球が流出しないよう塞き止められる。
(払出機構の構成)
次に、パチンコ機10の内枠14の裏面に設けられた本実施形態の払出機構について詳細に説明する。図4〜図15には、本実施形態に係る払出機構100が示されている。払出機構100は、基板となる矩形状のベース板102に、以下に説明する各部品が組み付けられてユニット化されており、図4に示されるユニット状態で、内枠14の裏面に着脱可能とされている。
払出機構100に設けられたベース板102の裏面左上端部には、前述した上タンク80が取り付けられている。上タンク80は、上面が開口した箱型とされ、タンク底面が裏面視の右側から左側へ向けて下り傾斜しており、傾斜方向下流側となるタンク底面上の左側端部にタンク出口(図示省略)が形成されている。
ベース板102の裏面上部には、上タンク80の下側に隣接して下タンク82が取り付けられている。下タンク82は、上面が開口した箱型とされ、タンク底面が裏面視の左側から右側へ向けて下り傾斜しており、傾斜方向下流側がベース板102の裏面右側端部付近まで延出されている。この延出部の内部には、図7に示されるように、パチンコ機10の前後方向に隣接する2本の球通路が設けられており、傾斜方向下流側となる右側端部に、2本の球通路に対応する2つのタンク出口83A、83Bが形成されている。
ベース板102の裏面右側端部の上側には、前述した上部球通路ユニット84が取り付けられており、図7では、上部球通路ユニット84をベース板102から取り外した状態で示している。
上部球通路ユニット84の上部には、下タンク82のタンク出口83A、83Bに対応する2つの通路入口(図示省略)が形成されており、上部球通路ユニット84の内部には、図8〜図15、図18及び図19に示されるように、各通路入口に流入した遊技球を払出経路へ流下させる2本の上部球払出通路104A、104Bが設けられている。
上部球払出通路104A、104Bは、上部球通路ユニット84内の上部側では、前後方向に相互に隣接し、各々上方から下方へ向けてパチンコ機10の幅方向である左右方向に蛇行するよう延設されている。また、上部球通路ユニット84内の下部側に至ると、前側に位置する上部球払出通路104Aが上部球通路ユニット84内で後側へ蛇行しつつ左側(内側)に配置され、後側に位置する上部球払出通路104Bが上部球通路ユニット84内で後側へ蛇行しつつ右側(外側)に配置され、左右方向に相互に隣接して各々下方へ向け延設されている。上部球通路ユニット84の下面後部には、この上部球払出通路104A、104Bを流下した遊技球が流出する2つの球払出通路出口106A、106Bが左右方向に相互に隣接して形成されている。
上部球通路ユニット84内の下部側には更に、上部球払出通路104A、104Bの後側へ向けた蛇行部付近から分岐して、遊技球を排出経路へ流下させる2本の上部球排出通路108A、108Bが設けられており、上部球払出通路104A、104Bと上部球排出通路108A、108Bとの分岐部には、球抜きレバー120が配置されている。
図13及び図15に示されるように、上部球排出通路108A、108Bは、上部球払出通路104A、104Bとの分岐部から下方前側へ向けて、左右方向に相互に隣接して各々直線状に延設されている。上部球通路ユニット84の下面前部には、この上部球排出通路108A、108Bを流下した遊技球が流出する2つの球排出通路出口110A、110Bが左右方向に相互に隣接して形成されている。
図16(A)、(B)に示されるように、球抜きレバー120は、レバー本体122の裏面視右側端部に操作部123が突設されており、レバー本体122の裏面側に、2つのスロープ部124A、124Bが設けられている。
スロープ部124A、124Bは、上部球払出通路104A、104Bの間隔と略同間隔で配置されている。レバー本体122の裏面左側に位置するスロープ部124Aは、上方から下方後側へ向けて湾曲するリブの端面によって幅狭に形成されており、スロープ部124Aの左側には、上下方向に開放された開放部分によってスルー部126Aが形成されている。
レバー本体122の裏面右側に位置するスロープ部124Bは、上方から下方後側へ向けて湾曲する曲面によって幅広に形成されている。このスロープ部124Bとスロープ部124Aとの間には、上下方向に貫通する開口部によってスルー部126Bが形成されており、スルー部126Bの幅寸法は、遊技球PBが通過可能な大きさに設定されている。
また、スロープ部124Aの下流部における左側には、スロープ部124Aの下流部よりも上方へ突出されたストッパー部128Aが設けられており、スロープ部124Aを挟んだストッパー部128Aの反対側となる、スロープ部124Aの下流部とスロープ部124Bの下流部の間には、スロープ部124A、124Bの各下流部よりも上方へ突出されたストッパー部128Bが設けられている。
上記構成の球抜きレバー120は、上部球払出通路104A、104Bと上部球排出通路108A、108Bの分岐部に、左右方向へスライド可能に取り付けられており、図4等に示されるように、操作部123が上部球通路ユニット84の裏面視右側面(外側面)から露出している。また、操作部123に対応する上部球通路ユニット84の右側面部位には、ストッパー部材129が取り付けられており、球抜きレバー120の裏面視右方向(外方)へのスライド範囲はストッパー部材129によって制限される。
この球抜きレバー120が図8に示されるように裏面視左方向(矢印IN方向)へスライドされると、図9〜図11、及び図19に示されるように、上記の分岐部にスロープ部124A、124Bが配置されて、上部球払出通路104A、104Bが開通されるとともに、スロープ部124A、124Bにより上部球排出通路108A、108Bが閉塞される。
また、球抜きレバー120が図12に示されるように裏面視右方向(矢印OUT方向)へスライドされると、図13〜図15に示されるように、上記の分岐部にスルー部126A、126B及びストッパー部128A、128Bが配置されて、スルー部126A、126Bにより上部球排出通路108A、108Bが開通されるとともに、ストッパー部128A、128Bにより上部球払出通路104A、104Bの分岐部よりも下流側が略閉塞される。
図6及び図7に示されるように、上部球通路ユニット84の下面後部には、払出装置固定レバー130が配置されている。
図17(A)、(B)に示されるように、払出装置固定レバー130は、レバー本体132の裏面視右側端部に操作部133が突設されており、操作部133の下端部には、左右方向に沿ったスリット溝134が形成されている。
レバー本体132の前部には、左右方向を長手とした矩形状の2つの取付孔135A、135Bが形成されており、レバー本体132の後部には、2つのスルー部136A、136Bが設けられている。
スルー部136A、136Bは、上部球払出通路104A、104Bの間隔と略同間隔で配置されており、各々平面視が凹円弧状に形成されている。このスルー部136Aとスルー部136Bの間には、ストッパー部138Aが後方へ向けて突設されており、スルー部136Bの右側には、ストッパー部138Bが後方へ向けて突設されている。
上記構成の払出装置固定レバー130は、取付孔135A、135Bに下側から図示しないネジが各々挿通されて、上部球通路ユニット84の下面後部に、左右方向へスライド可能に取り付けられており、図4等に示されるように、操作部133が上部球通路ユニット84の裏面視右側面(外側面)における下端部から露出している。
この払出装置固定レバー130が裏面視右側(矢印OUT方向)へスライドされると、球払出通路出口106A、106Bの下側にスルー部136A、136Bが配置されて、球払出通路出口106A、106Bは開通される(図12〜図15参照)。また、払出装置固定レバー130が裏面視左側(矢印IN方向)へスライドされると、球払出通路出口106A、106Bの下側にストッパー部138A、138Bが配置されて、球払出通路出口106A、106Bは略閉塞される。
図6及び図7に示されるように、上部球通路ユニット84の右側面における下端部には、払出装置固定レバー130の前側に位置して溝部140が設けられている。溝部140は、縦断面が逆凹状とされ前後方向に沿って延設されている。そして、払出装置固定レバー130が裏面視右側(矢印OUT方向)へスライドされると、溝部140の後側に操作部133が配置されて、溝部140の後側は略閉塞される(図4参照)。また、払出装置固定レバー130が裏面視左側(矢印IN方向)へスライドされると、溝部140の後側に位置していた操作部133が左側へ退避し、溝部140の後側は開放される(図6参照)。
図4に示されるように、ベース板102の裏面右側端部には、上部球通路ユニット84の下側に隣接して、前述した払出装置62が取り付けられており、払出装置62は、図6及び図7に示されるように、上部球通路ユニット84及び下部球通路ユニット86が取り付けられたベース板102に対して着脱可能とされている。
払出装置62の上面後部には、上部球通路ユニット84の球払出通路出口106A、106Bに対応する2つの球払出通路入口142A、142Bが形成されており、払出装置62内の後側には、球払出通路入口142A、142Bに流入した遊技球を払出経路へ流下させる2本の球払出通路144A、144Bが設けられている(図8〜図15、及び、図18〜図20参照)。
球払出通路144A、144Bは、払出装置62内の上部側では、左右方向に相互に隣接し、各々上方から下方へ向けて前後方向に蛇行するよう延設されている。また、払出装置62内の下部側に至ると、球払出通路144A、144Bが合流して1本の球払出通路144Cとされ、この球払出通路144Cは下方へ向けて直線状に延設されている。払出装置62の下面後部中央には、球払出通路144Cを流下した遊技球が流出する球排出通路出口146が形成されており、球排出通路出口146には、球排出通路出口146を通過して流出される遊技球を検出する検出センサ148が設けられている。
球払出通路144Aと球払出通路144Bの合流部付近から球払出通路144Cに繋がれた通路区間には、球払出通路144A、144Bに対応するスプロケット150が設けられている。このスプロケット150は、外周面の裏面視左側(内側)に、球払出通路144Aに対応する3つの凹部152Aが120度間隔で形成され、外周部の裏面視右側(外側)に、球払出通路144Bに対応する3つの凹部152Bが120度間隔で、且つ、上記3つの凹部152Aに対し60度の位相差を持って形成されており、払出装置62内の右側端に配置されたステッピングモータ154(図4参照)の回転軸156に取り付けられて、外周部の一部が各通路内に臨むように配置されている。
図23(A)〜(C)、及び図24に示されように、スプロケット150の外周面に設けられた各凹部152A、152Bには、スプロケット150の回転方向における上流側に、その回転方向に対して略直交する向きに配置された縦壁部200が設けられており、回転方向における下流側に、回転方向に沿った断面V字状の溝部202が形成されている。そしてこの凹部152Aでは、縦壁部200と溝部202の対向する2つの角部204の3箇所で遊技球PBが支持される。
また、図22(A)、(B)に示されように、球払出通路144Cにおけるスプロケット150の下側には、スプロケット150の回転方向に対し略直交する方向に沿って延設された壁状部206、及び、この壁状部206におけるスプロケット150側の端部(上端部)に形成されて遊技球PBが接触するV溝(凹溝)208により構成されたガイド部が設けられている。
また、払出装置62内の左側端には、検出センサ148と電気的に接続されたコネクタ158、及び、ステッピングモータ154と電気的に接続されたコネクタ160が設けられており(図21(A)参照)、これらのコネクタ158、160には、払出制御基板88に接続された図示しないハーネスのコネクタが各々接続される。これにより、検出センサ148による遊技球検出信号が払出制御基板88へ出力され、払出制御基板88からステッピングモータ154へ駆動電力が供給されるとともに回転制御信号が入力される。
図6及び図7に示されるように、払出装置62の上面前部には、上部球通路ユニット84の球排出通路出口110A、110Bに対応する2つの球排出通路入口162A、162Bが形成されており、払出装置62内の前側には、球排出通路入口162A、162Bに流入した遊技球を排出経路へ流下させる2本の球排出通路164A、164Bが設けられている(図8〜図15参照)。
球排出通路164A、164Bは、左右方向に相互に隣接し、各々上方から下方へ向けて延設されている。払出装置62の下面前部には、この球排出通路164A、164Bを流下した遊技球が流出する2つの球排出通路出口166A、166Bが左右方向に相互に隣接して形成されている。
また、払出装置62の上面右側部には、上部球通路ユニット84の溝部140に対応する縦断面が凸状とされた固定リブ168が前後方向に沿って延設されており、固定リブ168の後側には、払出装置固定レバー130のスリット溝134に対応する平面視がL字形とされたストッパーリブ170が設けられている。
図4に示されるように、ベース板102の裏面右側端部の下側には、払出装置62の下側に隣接して、前述した下部球通路ユニット86が取り付けられている。この下部球通路ユニット86は、ベース板102に複数本のネジ171によって取り付けられている。
図6及び図7に示されるように、下部球通路ユニット86の上面後側略中央には、払出装置62の球排出通路出口146に対応する球払出通路入口172が形成されており、下部球通路ユニット86には、球払出通路入口172に流入した遊技球を払出経路へ流下させる下部球払出通路174が設けられている。
下部球払出通路174は、球払出通路入口172から下方左側(内側)へ向けて延設されるとともに、図5に示されるように、ベース板102の正面視左下に球払出通路出口176が配置されて前述した貯球タンク74のタンク入口に接続される。
下部球通路ユニット86の上面前部には、払出装置62の球排出通路出口166A、166Bに対応する2つの球排出通路入口178A、178Bが形成されており、下部球通路ユニット86には、球排出通路入口178A、178Bに流入した遊技球を排出経路へ流下させる2本の下部球排出通路180A、180Bが設けられている。
下部球排出通路180A、180Bは、左右方向に相互に隣接し、各々上方から下方左側(内側)へ向けて延設されるとともに、図5に示されるように、ベース板102の正面視左下における、球払出通路出口176よりも右側(内側)に球払出通路出口182A、182Bが配置されている。
また、下部球通路ユニット86の上面左側端部には、払出装置62の左右方向の取付位置を定める位置決めリブ184が前後方向に沿って延設されており、上面右側端部には、払出装置62を固定する固定レバー186が設けられている。
固定レバー186は、上下方向に弾性変形可能とされた平板状のレバー本体188を備え、レバー本体188の後端部に、下方へ延出された操作部190、及び、上方へ突出されたツメ部192が設けられている。また、払出装置62の下面には、ツメ部192に対応するスリット状の開口部(図示省略)が形成されている。
本実施形態の払出機構100では、上述したように、上部球通路ユニット84及び下部球通路ユニット86が取り付けられたベース板102に対して払出装置62が着脱可能に構成されている。この払出装置62を取り付けるには、先ず、払出装置固定レバー130の操作部133を指で裏面視左方向(矢印IN方向)へ押し込み、払出装置固定レバー130を左側へスライドさせて溝部140の後側を開放する(図6参照)。
次に、払出装置62を後方から下部球通路ユニット86の上面に乗せて、固定リブ168を上部球通路ユニット84に溝部140に嵌め合わせ、そのまま前方へ押し込んで下部球通路ユニット86と上部球通路ユニット84の間に嵌め入れる。
払出装置62の前面がベース板102に略突き当たるまで押し込むと、払出装置62の下面に形成されたスリット状の開口部(図示省略)に、固定レバー186のツメ部192が嵌まり込む。この状態で、払出装置62の左側面の下端部が位置決めリブ184に接触し、これにより、払出装置62の下部側は、左右及び前後方向の位置が定められて固定レバー186によりロックされる。
また、払出装置62の上部側では、固定リブ168が払出装置固定レバー130の右側(外側)を通過し、上部球通路ユニット84の溝部140に嵌め込まれて収容され、左右方向の位置が定まる。そして、払出装置固定レバー130の操作部133に指を引っ掛けて裏面視右方向(矢印OUT方向)へ引き出し、払出装置固定レバー130を右側へスライドさせると、スリット溝134がストッパーリブ170に嵌まり込み(図4及び図17参照)、前後方向の位置が定まる。これにより、払出装置62の上部側は、左右及び前後方向の位置が定められて払出装置固定レバー130によりロックされる。
以上の手順で、上部球通路ユニット84と下部球通路ユニット86の間に払出装置62が取り付けられ、払出機構100はユニット化される。この払出機構100では、払出装置固定レバー130が裏面視右側(矢印OUT方向)へスライドした状態であるため、球払出通路出口106A、106Bの下側にスルー部136A、136Bが配置され、球払出通路出口106A、106Bは開通している。
また、球抜きレバー120が裏面視左方向(矢印IN方向)へスライドされると、上部球払出通路104A、104Bと上部球排出通路108A、108Bの分岐部にスロープ部124A、124Bが配置され、上部球通路ユニット84の上部球払出通路104A、104B、払出装置62の球払出通路144A、144B、144C、及び、下部球通路ユニット86の下部球払出通路174が連通して、上タンク80及び下タンク82に貯留された遊技球を、貯球タンク74を経て上皿42に払い出す払出経路が形成される。
逆に、球抜きレバー120が裏面視右方向(矢印OUT方向)へスライドされると、上部球払出通路104A、104Bと上部球排出通路108A、108Bの分岐部にスルー部126A、126B及びストッパー部128A、128Bが配置され、上部球払出通路104A、104Bの途中から分岐した上部球排出通路108A、108B、払出装置62の球排出通路164A、164B、及び、下部球通路ユニット86の下部球排出通路180A、180Bが連通して、上タンク80及び下タンク82に貯留された遊技球をパチンコ機10の外部に排出する排出経路(球抜き経路)が形成される。
この払出機構100を備えるパチンコ機10にて、遊技を行う際は、球抜きレバー120の操作部123を指で押し込み、図8に示されるように、球抜きレバー120を裏面視左側(矢印IN方向)へスライドさせた状態とする。これにより、上タンク80及び下タンク82に貯留された遊技球は、上部球払出通路104A、104Bを流下し、上記の分岐部では、図9、図11、及び図16に示されるように、遊技球PBが球抜きレバー120のスロープ部124A、124Bに誘導されて、払出装置62の球払出通路144A、144Bに流下し、スプロケット150に塞き止められてスプロケット150の上流側に滞留される。
そして、球貸し時や入賞時等には、払出制御基板88がステッピングモータ154を制御して回転駆動させる。これにより、スプロケット150が回転して、球払出通路144A、144B内の遊技球PBは凹部152A、152Bに嵌まり込み、スプロケット150の回転に伴い交互に球払出通路144Cへ誘導されて、貸し球又は賞球として払い出される(図20(A)、(B)参照)。
払出装置62から払い出される遊技球PBは、検出センサ148によって検出され、検出センサ148は、遊技球PBの検出毎に検出信号を払出制御基板88に出力する。この検出信号に基づいて、払出制御基板88はステッピングモータ154を制御し、これにより、スプロケット150の回転/停止が制御されて、遊技球PBの払い出し数が制御される。そして、払出装置62から払い出された遊技球PBは、下部球払出通路174を流下し、貯球タンク74を通過して上皿42に払い出される。
また、パチンコ機10のメンテナンスや入れ替え等により、球抜きを行う際は、球抜きレバー120の操作部123に指を引っ掛けて、図12に示されるように、球抜きレバー120を裏面視右側(矢印OUT方向)へスライドさせる。これにより、球抜きレバー120の上流側に滞留された遊技球、及び、上タンク80及び下タンク82に貯留された遊技球は、図13、図15、及び図16に示されるように、遊技球PBが球抜きレバー120のスルー部126A、126Bを通り抜けて、払出装置62の球排出通路164A、164Bに流下し、更に、下部球払出通路174を流下してパチンコ機10の外部に排出される。
また、パチンコ機10のメンテナンスや、払出機構100における球詰まりの解消等のために、払出装置62を取り外す際は、先ず、払出装置固定レバー130の操作部133を指で押し込み、払出装置固定レバー130を裏面視左側(矢印IN方向)へスライドさせて、スリット溝134をストッパーリブ170から抜き出し、払出装置62の上部側のロックを解除する。このロック解除に伴い、球払出通路出口106A、106Bは払出装置固定レバー130のストッパー部138A、138Bによって略閉塞され、払出装置固定レバー130の上流側に滞留した遊技球はストッパー部138A、138Bに塞き止められる。
次に、固定レバー186の操作部190を指で押し込み、レバー本体188を下方へ撓ませてツメ部192による払出装置62の下部側に対するロックを解除し、そのまま、払出装置62を後方へ引き抜くと、上部球通路ユニット84と下部球通路ユニット86の間から払出装置62が取り外される。そして、この払出機構100では、払出装置62が取り外されても、払出装置固定レバー130の上流側に滞留した遊技球が球払出通路出口106A、106Bから流出しないため、遊技球の流出を気にすることなく、払出装置62を簡単に取り外すことができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
上記構成の払出装置62を備えたパチンコ機10では、上述したように、上流側の上部球通路ユニット84から球払出通路144A、144Bを通って払出装置62内に供給された遊技球PBは、スプロケット150の外周面に設けられた凹部152A、152Bに嵌まり込んで支持され、スプロケット150の回転に伴い、下流側の球払出通路144Cへ払い出される。そしてこのスプロケット150の凹部152A、152Bでは、遊技球PBを縦壁部200及び溝部202の2つの角部204の3箇所で支持し払い出し方向(下流側)へ誘導させるため、スプロケット150の回転方向と直交する方向での遊技球PBの移動が抑えられる。これにより、遊技球PBの払い出し速度を高速化する場合でも、スプロケット150の凹部152A、152Bに支持(装填)された遊技球PBのガタツキやバウンド等が抑えられ、球詰まりの発生を回避できるようになる。
また、特に本実施形態では、上記の凹部152A、152Bに3箇所で支持された遊技球PBは、スプロケット150の回転方向における上流側では、回転方向に対して略直交する向きに配置された縦壁部200に当接されて支持され、下流側では、回転方向に沿って形成された断面V字状の溝部202に嵌まり込み、その溝部202の対向する2つの角部204に支持されて、払い出し方向へ誘導される(図23(B)参照)。この溝部202によって、回転方向と直交する方向への遊技球PBの移動を抑えつつ、縦壁部200によって、遊技球PBを回転方向へ押圧し円滑に誘導できるため、球詰まりの発生をより確実に回避することができる。
また、本実施形態では、スプロケット150の凹部152A、152Bに支持された遊技球PBは、スプロケット150の回転に伴い、球払出通路144Cにおけるスプロケット150の下側に設けられた壁状部206のV溝208(ガイド部)に接触して、凹部152A、152Bから離脱し通路内に落下する。このようなガイド部を設けることで、スプロケット150から球払出通路144Cへの円滑な遊技球PBの受け渡しが可能となる。
ここで、例えば上記のガイド部の形状が、図25(A)に示されるように、スプロケット150の回転方向と直交する一様のエッジ状(平端な壁状部206)等であると、特にスプロケット150の高速回転による高速払い出しにおいて、スプロケット150との間での球詰まりが発生しやすくなる。
これに対し、図25(C)に示されるように、ガイド部をV字型(V溝208)とした場合には、そのV字型のガイド部との接触で遊技球PBが払い出し方向へ押し出される力が大きくなり、スプロケット150とガイド部との間で発生する球詰まりが回避できるようになる。
すなわち、図25(A)に示すようなエッジ状のガイド部(壁状部206)と、図25(C)に示すようなV字型のガイド部(V溝208)とでは、遊技球PBがスプロケット150(凹部152A、152Bの縦壁部200)及びガイド部(壁状部206又はV溝208)に接触する箇所の距離の関係がL1>L2となる。そのため、図25(B)、(D)に示されるように、遊技球PBがガイド部から受ける力のX方向の分力はF21X<F22Xとなり、エッジ状よりもV字型のガイド部の方が遊技球PBをX方向へ押し出す(逃がす)力が大きくなり、球詰まりが発生しにくくなる。
なお、図25(A)〜(D)に示した符号は以下のとおりである。
〔エッジ状のガイド部における〕
L1:遊技球がスプロケット及びガイド部と接触する箇所の距離
F11:スプロケットから遊技球に作用する力
F21:ガイド部から遊技球に作用する力
F21X:F21のX方向の分力
F21Y:F21のY方向の分力
〔V字型のガイド部における〕
L2:遊技球がスプロケット及びガイド部と接触する箇所の距離
F12:スプロケットから遊技球に作用する力
F22:ガイド部から遊技球に作用する力
F22X:F22のX方向の分力
F22Y:F22のY方向の分力
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る払出装置について説明する。なお、本実施形態の払出装置については、上述した第1の実施形態に係る払出装置62と同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
図26〜図28に示されるように、本実施形態に係る払出装置63のスプロケット151では、外周面の幅方向(スプロケット151の軸方向)中央に、スプロケット151の回転方向に沿ってスリット210が形成されている。
また、図26(A)、(B)に示されように、球払出通路144Cにおけるスプロケット150の下側には、ガイド部としての凸状部212が突設されており、この凸状部212は、スプロケット151のスリット210内に挿入されている。
このように、本実施形態の払出装置63では、スプロケット151の外周面に回転方向に沿って形成したスリット210内に、ガイド部を構成する凸状部212を挿入させていることで、スプロケット151の回転に伴い遊技球PBが凸状部212に接触し、払い出し方向へ叩き落とされるようになる。これにより、スプロケット151とガイド部を構成する凸状部212との間で発生する球詰まりをより確実に回避することができる。
以上、本発明を上述した第1及び第2の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。例えば、上述した実施形態の払出装置62、63では、複数の供給通路(球払出通路144A、144B)から供給された遊技球PBを、スプロケット150、151の凹部152A、152Bにより支持してスプロケット150、151の回転に伴い1つの排出通路へ払い出すよう構成されているが、本発明は、複数の供給通路から供給された遊技球PBをそのまま複数の排出通路へ払い出すような構成の払出装置に対しても適用することができる。